過去の記事 2008年7月 全文表示 (リスト表示はこちら)
2008年7月31日
ミシシッピ州ハティスバーグに住むブレット・ファーヴは、例によってオークグローヴ高校の水曜朝の練習に参加して汗を流した。妻のディアナと一緒にスタンドを駆け上がるトレーニングを済ませると、マーク・マーフィ社長との会談のため急いで同校を後にした。「9時からの会合に遅れそうなんだ、嘘じゃない」
会合場所となった代理人バス・クックの事務所のスポークスパーソンは、おそらく会談は終日にわたるのでは、との見通しを示していたが、会談は午後12時30には終了した。事務所から出てきたファーヴは集まったメディアに対し、「なぜ(この暑いのに)日陰に入らないんだ?」とだけ話し、それ以外のコメントはなし。ファーヴが自宅に帰ったところを地元 Hattiesburg American 紙の記者がつかまえたが、やはりノーコメントだった。(写真)
ファーヴが去ったあと、午後はマーフィ社長とクックが話し合いを続けている模様。またprofootballtalk.com によると、ハティスバーグ空港を16時10分に発ってグリーンベイ空港に18時20分に到着する飛行機のフライトスケジュールが提出されているとのこと。大方のところマーフィ社長の乗るパッカーズ機と思われるが、ファーヴの自家用機でないという確証もまだない。
いっぽう、コミッショナーは今日も復帰許可を出さないことが明らかになった。「コミッショナーは今日は何のアクションも起こさない。パッカーズとブレットの双方に、ロースター枠やサラリーキャップを含めた諸問題に対処できるよう適当な時間を与えたいと彼は考えている。コミッショナーからブレットの復帰許可が下りたら、我々がアナウンスする」とNFLスポークスマンは述べている。木曜はパッカーズの練習がないので、復帰許可が下りたとしても、キャンプ練習に強行出席するのは早くて金曜朝となる。
- キャンプ2日目は午後の練習(フルパッド)だけ。空は厚い雲に覆われて雷雨の予報もあったが、ぶじ最後まで屋外で行うことができた。
- 欠席者はDTライアン・ピケット(ハムストリング)、DTジャスティン・ハレル(背中)、CBトラモン・ウィリアムズ(初日にでん部を痛めた)の3人と、契約問題で合流が遅れているRBライアン・グラント。
- そのCBトラモン・ウィリアムズ本人は、「たいしたことはないんだ。早ければ明日にでも復帰できるかもしれない。昨日の練習の間にすごくこわばってきてね。1日か2日休めば大丈夫さ」
- 背中のケガで復帰のメドが立たないDTジャスティン・ハレルは "Physically Unable to Perform" リスト(PUPリスト)に入っていることが明らかになった。キャンプ開始の時点で負傷している選手はPUPリストに入れることができ、そのぶんロースター枠を空けることができる。ケガが治りしだいPUPリストから出して練習に参加させることができるが、いちどPUPリストから出した選手は、そのシーズンはPUPリストに戻すことはできない。また、トレーニングキャンプ開始後に新たな選手をPUPリストに入れることもできない。
- 集まったファンからはQBアーロン・ロジャースへの厳しい声が聞かれないかわり、熱烈な応援も聞こえてはこない、とPress-Gazette紙。
- 11on11練習でパス成功16/21のQBロジャースの内容をマッカーシーHCは評価したが、ロジャース本人は、3rdダウンに重点を置いた部分で不満の残る内容だった、と反省。この日唯一のインターセプトはWRジェニングスへのスラントをCBウッドソンに読まれてパスコースに割って入られたものだった。「今日はベストの出来じゃなかったけど、キャンプの中にはこういう日もある」
- QBロジャースのよいところは、どうしても投げる場所がないときには走れること。この日も3rdダウン5からのスクランブルで容易に1stダウンを更新した。
- この日はアレン・バーバーが1stチームの左ガード。予告どおりダリン・カレッジと1日おきだ。それでも、右ガードがスピッツに固定されただけここ数年よりマシか。この日のバーバーはパスラッシュドリルでも3戦全勝。
- 4巡指名のOGシットンと比べて5巡指名のOTブレノ・ジャコミニはパスラッシュドリルで苦しんでいる。コーチの指導でテクニックの改善に取り組んでいるが、まだなかなか。
- ドラフト外ルーキー組では、身長198cmの長身TEエヴァン・ムーアのパスキャッチ能力は評判がいい。この日もQBロジャースからの高いパスを、みごと右手でワンハンドキャッチ。
- ニッケル守備でDEマイケル・モンゴメリーがDTに入る場面があった。昨年まではDEカレン・ジェンキンズがしていた役割だ。OTだけでなくOGも相手にパスラッシュドリルを行い、控え組には勝ったがLGバーバーは崩せず。DTの人数不足のせいかもしれないが、成長を見せているモンゴメリーをパスラッシュDTとしても使い、ジェンキンズの負担を軽減する意図かもしれない。
- 今年こそスペシャルチームだけでなくパスラッシャーとして戦力になってほしいのがDEジェイソン・ハンター。パスラッシュドリルでは2日間で6勝5敗2引き分け(優勢だがサックは無理そう、というプレー)とかなり優秀な動きを見せている。
- DTダニエル・ミューアは練習後のフィールドに居残り、なぜかRBたちとともにパスキャッチ練習。マシンが次々に繰り出す速いパスを難なくさばいていた。
- ストロングサイドLBではミニキャンプ同様にブレイディ・ポピンガが1stチームに入り、FA加入のブランドン・チラーは控えのまま。OTA、ミニキャンプとポピンガのプレー内容がよかったことが先日の契約延長に結びついたと見られているが、それと同時にチラーのプレーに失望を感じたのではないか、という説も出てきている。しかしLBたちにとって本番はトレーニングキャンプのフルパッド練習なので、今後逆転する可能性は十分ある。
- 初日もそうだったが、CBトラモン・ウィリアムズが抜けた3番手CB/ニッケルバックにはCBジャレット・ブッシュが入っている。2ndチームのCBはそのブッシュとブラックモン。
- パントリターナーの1番手はやはりCBウィル・ブラックモン。ライバルのCBトラモン・ウィリアムズが負傷中なので、少なくともプレシーズンゲームまでは彼がエースのままか。
- Pジョン・ライアンは前日に続いて好調な内容で、最長60ydsを含む7回平均49.0yds。平均4.4秒のハングタイムが特によかった。
- Kメイソン・クロスビーはこの日も22ydsから36ydsを5本すべて成功。新人ロングスナッパーのJ.J.ジャンセンは低すぎるスナップが1つあった。
- ロングスナッパー争いはこれまでのところ互角、とPress-Gazette紙。
- 以下、ファーヴの復帰願い提出を受けてのコメント。
- WRドナルド・ドライバーは火曜の練習後(つまり復帰願い提出直後)にファーヴと電話で話をしたという。「うちのヨメのティナがヒザの手術を受けたもんだから、その様子をブレットが聞いてきた。話はそれだけだよ」と語り、復帰願いの件について話したかどうかは明言を避けた。しかしファーヴの復帰をいちばん歓迎しているのはドライバーのようだ。「彼がここにいてくれることが一番大きいよ。そばにいてくれると僕らはすごく楽しいしね。ここに戻ってくるのはいいことだ。僕の彼への愛情は、ロッカールームの誰とも違う特別なものだ。復帰願いにサインしてカムバックを決心してくれたことが僕は嬉しい」
- QBアーロン・ロジャース。「みなさんが思うほど僕は騒動の影響を受けていないし、(たとえファーヴが合流しても)影響を受けるべきじゃない。チーム側は僕がスターターだと言ってくれているし、その話が変わるまでは、僕はスターターとしてプレーすることに集中するだろう」
- RTマーク・タウシャー。「こう言っても記者のみなさんは信じないかもしれないけど、僕らはこのこと(ファーヴ騒動)に巻き込まれてしまってはいけないんだ。みなさんから情報は次々と聞かされているけど、僕らの頭にそのことが浮かぶのは、こうして質問されて答えを考えなきゃいけない時だけ。毎日フットボールをプレーし、シーズンに備えているとき、(ファーヴに関する)シナリオなど考えているヤツなどいないと思う。僕らの頭にあるのはインストールされたプレーのこと、フィールドに出てフットボールをプレーすることだけだ」
- CBチャールズ・ウッドソン。「状況は悪くなる一方のように思えるね。インタビューの内容や携帯メールの件とか、この状況からよい結果を引き出すなんてすごく難しいよ。だって誰がああ言った、誰がこう言った、と非難合戦のようになってきてるし、騒ぎはどんどん大きくなるばかり。彼がここに戻ってきたらバックアップ扱いだというんだから、クレージーなことになりそうだ」
- CBアル・ハリス。「アーロン(QBロジャース)は大丈夫だと思うよ。どのような成り行きになってもね。彼はプロフェッショナルらしく、しっかりと対処している。前向きだ。だからどんな結果になっても彼は大丈夫」
2008年7月30日
ブレット・ファーヴが火曜午後、復帰願いをNFLにファックス送信した、とESPNのクリス・モーテンセンが報じている。コミッショナーはすぐに許可する(一応許可が必要)はずなので、ファーヴはパッカーズのロースターに戻ることになる。パッカーズの選択肢は3つあり、解雇するか、トレードするか、キャンプへの参加を認めるか。労使協約によって、契約下にある選手を球団施設から締め出すことは許されていない。
すでにトレード合意ができたから、という推測もできなくはないが、「交渉の成果はなく、早期のトレード成立は望み薄」という見方を地元2紙が前日に報じたばかり。トレード交渉に進展がないことに業を煮やしたファーヴが、もともとの第1希望である「解雇」、第2希望である「すみやかなトレード成立」に向け、さらにプレッシャーをかけてきたということだろうか。
この情報が流れたのは火曜午後の練習の最中。練習後の記者会見でマッカーシーHCは、ファーヴから復帰願いが提出されたことを認めた。今後は通常の手順に従い、まずファーヴがフィジカルチェックを受け、コンディショニングテスト(ランニングなど)で体調をチェックされたうえで、今後の練習プランについて話し合うことになる、とマッカーシーHCは説明。これまでも「チームに復帰したら受け入れる」と話していたとおり(ブラフと見られていたが)、下記のように冷静なコメントをしている。
「ブレットが復帰するための、これが最初のステップであることは言うまでもない。彼が正式に復帰したら我々はそれに対応するし、我々はすでにプランを立ててある。ブレット・ファーヴは今でも非常に優れた選手であり、我々フットボールチームの大きな財産だ。彼に関するプランはまず本人と話し合い、それから公にお話しすることになる。ブレット・ファーヴへの悪感情は何もないし、彼は我々のロッカールームで歓迎されるだろう」
いっぽうNFLスポークスマンは、「今日はコミッショナーは許可を出さない」とコメント。先日来コミッショナーが「すぐにも許可を出す」といった発言をしていたことと矛盾するが、トレードをまとめるまでの時間稼ぎをしてくれている、ということなのか。
Press-Gazette紙によると、復帰願いを提出したブレット・ファーヴが家に留まるよう、マーク・マーフィ社長が説得に当たることになった。マーフィ社長は火曜夜にミシシッピに向かい、水曜朝に代理人バス・クックの事務所において、ファーヴおよび代理人と話し合いを行うとのこと。
- 待ちに待ったトレーニングキャンプ初日。注目のチームとあって、例年を大幅に上回る報道陣が詰めかけている。いっぽうファンの数は昨年よりやや少ないように見える、とPress-Gazette紙。
- テッド・トンプソンGMはサングラスとベースボールキャップという姿でサイドラインから見つめている。彼が携帯電話で話し始めると、その姿を撮るためにカメラマンが近くに集まった。マーク・マーフィ社長も練習フィールドに姿を見せている。(写真)
- ケガの恐れのある選手の場合、朝晩と練習がある日は晩(フルパッド)だけしか参加しないことが多い。そうした扱いを予定しているのは、LTチャド・クリフトン(ヒザ)、DEバジャ=ビアミラ(ヒザ)、場合によってはRTマーク・タウシャーその他ベテラン選手もそうだ、とマッカーシーHC。
- DTジョニー・ジョリー(肩)とDTコリン・コール(前腕)とCBウィル・ブラックモン(足)は初日から元気に復帰。ただしジョリーはフル参加ではなく、スナップ数を加減していく予定とのこと。
- 春に背中を手術したDTジャスティン・ハレルはまだ復帰許可が下りていない。本人自身のコメントによると、最近ふたたび悪化させてしまい、よくても復帰まで数週間、悪ければ再手術もありそう。相当落ち込んだ様子で、「もう・・・質問されるのさえ嫌だよ。でもイラついても何の役にも立たないしね・・・」
- DTライアン・ピケットはハムストリングを少し痛めていて見学。長期にわたるものではなさそう。CBトラモン・ウィリアムズは夕方にでん部の屈筋を痛めて退場した。
- WRショーン・ボディフォードはケガのためインジャリー・リザーブ入りしたことが判明した。WRもリターナーも十分足りているので、チームへの痛手にはならないだろう。
- 注目のQBアーロン・ロジャースは堅実な内容だった。今キャンプ初のインターセプトは、7巡指名のWRブレット・スウェインがミスをしてボールを弾いたもので、CBアル・ハリスが簡単にキャッチ。
- QBロジャースからのパスをWRルヴェル・マーティンが立て続けに見事なキャッチを見せた。最初はCBブッシュを縦に抜き、ブッシュと絡み合って倒れながらキャッチ。2プレー後には、ヒッチ・ルートを走ってサイドライン際のボールをジャンプしながらキャッチ。
- WRジェームズ・ジョーンズも、CBウッドソンをぶち抜いてロジャースからのロングパスをキャッチしたナイスプレーがあった。
- RBグラントが契約問題で不在のため、RBブランドン・ジャクソンが1番手としてプレーしている。その後の序列はよくわからない。
- 7巡指名のWRブレット・スウェインは落球した上にボールを弾いてインターセプトされるミスを犯し、この日もっとも出来の悪かった選手の1人。TEトリー・ハンフリーも落球およびフォルススタート。
- LTチャド・クリフトンが休んだ午前の練習では、OTトニー・モールが1stチームの左タックルを務めた。入団から2年間は右サイドオンリーでプレーしていたモールだが、今年は春から左サイドもプレーしている。LTクリフトンは夕方のフルパッド練習には参加し、今後もこのパターンで行く予定。
- この日は朝・夕とも1stチームの左ガードはダリン・カレッジ。
- 1on1のパスラッシュドリルでよいところを見せたのは4巡指名のOGジョシュ・シットン。DTダニエル・ミューア、DEジェイソン・ハンターらを次々と料理した。ディフェンス側でよかったのは(夕方だけ参加の)DEバジャ=ビアミラ。OTトニー・モールをインサイド・ラッシュで見事に抜き去った。
- OTオーリン・トンプソンと4巡指名DEジェレミー・トンプソンがパスラッシュドリルで兄弟対決。Journal Sentinel紙によると初日は1勝1敗だったようだ。
- ピケット不在のため、1stチームのDTはジョニー・ジョリーとコリン・コールの病み上がりコンビだった。ロッカールームでDTジョリーは鎮痛剤所持で逮捕されたことについてノーコメント。「僕はここにいて、フットボールをプレーしてる。心配などしていられない。僕が心配なのは自分の仕事だけだ」
- Pジョン・ライアンは13回平均54.7ydsと好調。パンターが彼1人だけのため、リターン練習の途中からはマシンが代わりに蹴った。
- 。CBウィル・ブラックモンはパントリターナーの1番手としてプレーし、2番手はCBトラモン・ウィリアムズ。その他、WRグレッグ・ジェニングス、WRジョーディ・ネルソン、WRブレット・スウェイン、CBパトリック・リーも。
- パント練習のロングスナッパーは、J.J.ジャンセン、トーマス・ギャフォード、OGライアン・コンシダインに加え、なぜかDTジョリー・ジョリーまで登場。しかしDTジョリーのスナップは2回ともPライアンの頭を超えてしまった。
- フィールドゴールのブロック練習では、Kメイソン・クロスビーが24ydsからの35ydsの距離を6回全て成功させた。
- QBアーロン・ロジャースのインタビュー。
- ファーヴ騒動に注意を払っていた? 「そうせずにいるのは難しいからね。もちろんたくさんの話を見聞きしたよ。でも僕は自分のコントロールできることだけに集中しようと努力してる」
- 最近ファーヴと話をした? 「いや。ESPYアウォードのときに話そうと思ったんだけど、捕まえられなかった。番組が終わるとすぐにセキュリティが彼を連れ去ってしまった」
- 「僕は他人から気の毒に思ってもらう必要はない。クォーターバックをプレーするのはタフな仕事だし、それだけでも常に厳しい目で見られるものだ。時には厳しすぎる批判を浴びることもある。大事なのは自分の中でバランスが取れていることだ。なぜこのような目に遭うのか、などとは思わず、これもよい経験だと思わなきゃいけない。過去3年間(控えに甘んじたこと)、それにこのオフシーズンのおかげで今の自分が形作られたのだし、そうでなければよかったなどとは思わない」
- ファーヴがキャンプに来たら気まずいことになる? 「そうは思わない。僕らは仲良くやっているからね。たぶん最初の数日はぎごちないかもしれないけど、僕ら2人の間は問題ないと思う。記者のみなさんは大げさに書き立てるだろうけどね。本当にそういう状況になるまでは、あれこれ言いたくない」
- マイク・マッカーシーHCの記者会見。
- 17年ぶりにブレット・ファーヴ不在のトレーニングキャンプとなったことについて、「別に奇異な感じはしていない。春からずっとそうしてきたからね」。全80人のうち21人がファーヴに会ったことがないとのこと。
- (トンプソンGMに任せきりではなく)自分もまだファーヴ問題に関与していて、トンプソンGMとは緊密に話し合いをしている。
- 「練習内容はまずまずだったが、プレスナップ反則(フォルススタートやオフサイド)が多く、雑なところがあった。攻守ともパッド・レベルが高く(つまりヒザが曲がっていない)、フットワークもよくなかった」
- 「アーロン(QBロジャース)は朝も夕もシャープな出来だったと思う。投げるべきところにしっかり投げていたしね。レシーバーとのタイミングが合わないことが何度かあった。ブライアン(QBブローム)とマット(QBフリン)に必要なのはプレーの回数をこなすことだ。まだゲームのスピードについて行けていない。それも時間が経てばよくなっていくだろう」
- 前日のコンディショニングテストに失格した選手は1人もいなかった。ランニングテストを走り切れなかった選手の数は自分のヘッドコーチ就任以来もっとも少く、脚がつった選手が1人いただけ。
- QBが3人だけ、キッカーとパンターが1人ずつしかいないのは、ロースター枠がきっかり80人だけになった影響を受けている。またQB3人体制は、日程の詰まったスケジュール(プレシーズンゲームの間隔が短く、実質的に練習回数が少ない)のため、自分が提案し、トンプソンGMが同意した。
- テッド・トンプソンGMの記者会見はやはりファーヴ問題に質問が集中。
- 「ブレットと私は土曜に45分にわたって話し合いをした。非常にプロフェッショナルで心のこもったものだった。ユニークな状況であることを互いに認め、どのような選択肢があるか話し合った。しかし、どの選択肢がベストかという点については結局合意できなかった」
- ファーヴがキャンプ参加を見合わせた理由について。「彼はこのチームを非常に大事に思ってくれていて、チームの妨げになるようなことを望んでいない」
- 「彼の引退、そしてその後に引退の意思を再確認したことで、我々は前に進む決心を固めた。彼もそれを理解している。彼が完全に同意しているとは言わないが、彼もフットボール選手であり、理解してくれている。それが我々の現状だ」
- なぜファーヴの復帰を許して競争させない? 「ブレットに対しても100%正直に言ったのだが、我々はこの道をもう進み始めてしまったし、後戻りしては意味がない。進み続けるしかない。この道の先に何があるのか私にもわからないが、やっぱり気持ちが変わった、などといい加減なことは言えない。ブレットにはふさわしくない扱いだとわかっているから、我々の気持ちは彼に伝えた」
- なぜこの道を進み続ける必要が? なぜ競争の結果ベストなQBを選ぶのではいけない? 「我々はこの道を進むべきだと信じているからだ。これが球団の利益にとって最善であると信じている。短期的にも長期的にも」
- ブレットにふさわしくない扱い、と自分で認めるなら、なぜ彼の求めるものを与えない? 「球団にもそうする権利があるからだ。トレードであれ何であれ、一緒に解決策を見出そう、と我々はブレットに言った。しかし単に解雇して球団の権利を手放しては、ビジネス的に意味がない」
- NFC北地区へのトレードを考えたことはある? 「ノー」
- "キャンプに来たいと言ったファーヴに、来ないよう頼んだ"という話は本当か? 「ノー。ノー。歪曲されている。さきほど述べたように、我々はよい話し合いをした」
- いつまでにトレードが成立しなければキャンプに強行出席する、というデッドラインはファーヴから通告された? 「いや、そういう話はなかった。『2、3日』という言葉を使ったように思う」
- "自分はクビになってしまう"と貴方が言ったとファーヴが言っている本当? 「彼の言うような意味合いではなかった。誰がああ言った、という話には私は答えられない」
- メディアを通してファーヴから強い非難を受けていることについて。 「我々は感情に流されてはならない。(低レベルの非難合戦には)関わらずに行くつもりだ」
- 「 『お前らはどうかしてる』 と言う人々がいるのも理解している。我々が正しい決断を下したかどうかは、歴史に決めさせるほかない」
- RBライアン・グラントの契約交渉で代理人から非難されていることについて。 「ライアン・グラントは、(実質プロ4年目だが2年目扱いという)非常にユニークな状況にある。交渉は続いている最中で、プレス相手に交渉するつもりはない。そうしたがる代理人はいるものだが、我々がとくに気分を害することはない。いまは解決に向け話し合っているところだ。ライアンはよい人間であり、よい選手であり、我々は彼が再びここに来てくれるよう努力を惜しまないだろう」
2008年7月29日
ブレット・ファーヴはESPNのインタビューの中で、トレーニングキャンプ出席を見合わせたのはあくまでテッド・トンプソンGMの頼みによるものだ、という実情を明らかにした。「土曜に、『僕が出席したら球団は歓迎してくれるのだろうか?』 と質問すると、テッドはしどろもどろになって、『ブレット、それはできない。私の首が飛んでしまう』 って調子だった。誰の首も飛ばすつもりはないと僕が言うと、『2、3日待ってくれれば解決するから』 と彼は言った」
「僕はテッドに言ったんだ。『(ロジャースと)競争させてくれ。きっと僕が勝つから』 ってね。すると 『ブレット、状況はすでに変わってしまった。アーロン・ロジャースが我々のクォーターバックなんだ』 という返事だった。コミッショナーにも伝えたことだけど、(パッカーズ側の姿勢は)もうはっきりしているよ。彼らは僕に去ってほしい。引退していてほしい。他のチームのユニフォームを着るよりは ?本当は避けたいだろうけど? $12ミリオンの控えQBでいてほしい、ってことだ。口でなんと言おうとね。彼らはきっと交渉を引き延ばすだろう。トレード話が立ち消えになることに望みを賭けて、相手チームに大きな代償を求めるだろう」
復帰願いにはすでにサインを済ませたが、NFL本部にファックスするのは見合わせたとのこと。「(妻の)ディアナも(代理人の)バスも、あなたはバカだ。こんな風にパッカーズに扱われるなんて、と言っていたよ。彼女たちは復帰願いの提出を望んでいたが、僕は火曜ごろまで待つかもしれない」
タンパリング疑惑について改めて否定。「ブラッド・チルドレスと話したことを否定するつもりはない。12年前、彼とジェイ・ノーヴェルがウィスコンシン大のアシスタントだったとき、彼らが(友好関係にある)パッカーズを訪問してQBミーティングに出席したりしていた。その後ブラッドはフィラデルフィアに行ってアンディ・リードの下でコーチをした。ご存知のようにアンディと僕は親しい。 (調査担当の)ミルト・アーレリッチやコミッショナーにも説明したが、僕はチルドレスと話をしている。ダレル・ビーヴェルともしている。アンディ・リードとも、マイク・シャーマンとも、マット・ミレンとも、スティーヴ・マリウッチとも。友人であり僕のコーチをして友人でもある人たちと、いつも話をしているし、携帯メールも送っている」
QBブライアン・ブロームが4年契約にサインし、これでルーキー全員がキャンプ初日から練習に参加できることになった。いっぽう進展がなかったのはRBライアン・グラントで、パッカーズ側からの新しいオファーが屈辱的な内容だった、と代理人は怒りをあらわに。長期欠席もありそうな雲行きになってきた。
ホームを離れてキャンプを行うチームも少なくないが、グリーンベイが涼しいこともあって、パッカーズは地元ファンの前で毎年キャンプを行う。選手たちはグリーンベイ南郊デピア市にあるセント・ノーバート大学の学生寮で合宿生活(2人1部屋)を行い、毎朝チームバスでランボーフィールドに通ってくる。ミーティングや着替えを済ませると、スタジアムの出入り口で待ち構える子供たちの差し出す自転車に乗り、道の反対側にある練習場クラーク・ヒンクル・フィールドに向かう(略図)。セント・ノーバート大を利用するのは1958年以来、今年で51年目。キッズファンの自転車に乗るのはヴィンス・ロンバルディHC時代に始まったようなので、これも約半世紀にわたる伝統だ。
ファンの見学はもちろん無料で、よい位置で見るためには朝早くから場所取りしなければならない(夜の練習は比較的すいている)。悪天候の場合は隣にある屋内練習場ドン・ハトソン・センターに移り、非公開練習となる。マッカーシーHCは休養を重視し、昨年から朝・夜・昼という練習ローテーションを採用。毎週1回の全休日を置くのもNFLでは珍しい試みだ。そのおかげかどうかわからないが、昨年はケガの少ないシーズンを送ることができ、今年も同じパターンとなった(スケジュール表)。朝・夜とある場合、かならず夜の方にフルパッド練習がある。
ファーヴ騒動にかまけて各ポジション分析をサボったので、せめて今トレーニングキャンプの注目点を、攻・守・STの順で挙げてみることにする。公式サイトのデプスチャート(オフシーズンは掲載されない)が公開されたのでそちらも参照のこと。
- 注目はなんといってもクォーターバック。殿堂級QBの後継者という十字架を背負わねばならぬ上に、今回の騒動で「ファーヴの復帰希望を退けるほどのQBなのか」というアーロン・ロジャースへのプレッシャーはいっそう強くなってしまった。ロジャースが負傷した場合に2巡指名のQBブライアン・ブロームにスターターが務まるのか、という点も問題。ベテランの控えを獲っておくべきでは、という見方は依然としてある。
- オフェンス唯一の先発争いは左ガード。表向きは「アレン・バーバーとダリン・カレッジに平等にプレー機会を与える」という建前になってはいるものの、もし今試合をするならバーバーが先発らしい。カレッジは2年間先発を務めてきたが不安定さが払拭できず、バーバーの方がインサイド向きのタフさやアグレッシブなメンタリティがあると見られている。
- 今年もまたランブロックの向上が課題。昨季のラン成績はRBグラントの一発ロングゲインに助けられたが、ショートヤーデージが確実に取れない弱点は依然として残っている。
- 控えRB争いはRBブランドン・ジャクソンが大きくリードしている印象。3番手の座をヴァーナンド・モレンシー、ノア・ヘロン、デショーン・ウィンの3人が争うか。グラントの契約問題が長引くようだとエラいことになる。
- 控えWR争い。公式デプスチャートでは3番手ジェームズ・ジョーンズ、4番手ルヴェル・マーティン、5番手ジョーディ・ネルソンの順のようだ。ジョーンズが3番手の座を守れるのか、2巡指名のネルソンがキャンプ中に上がっていけるのか、なかなかハイレベルな争いと言えるだろう。
- 控えTE争い。公式デプスチャートでは2番手がトリー・ハンフリー、3番手が3巡指名のジャーマイケル・フィンリーという序列になっている。ドラフト外の2人にロースター入りのチャンスはあるのか。
- ディフェンスの注目は先発ストロングサイドLB争い。2年間先発を務めてきたブレイディ・ポピンガがいるところへブランドン・チラー(2年総額$6.3ミリオン)を獲ったので先発交代かと思いきや、ポピンガと総額$17ミリオンの5年契約を結んでしまった。2人とも控えLBとしては高すぎる金額で、いったいどういうつもりなのか。チラーはLB全ポジションこなせる器用さがあり、バーネットやホークが負傷した場合の安心感が大幅にアップしたのはたしかだ。ポピンガはスペシャルチームやパスラッシャーとしても貢献できる。
- もう1つの先発争いはフリーセーフティ。先発4年目のニック・コリンズに、プロ2年目のアーロン・ラウスが挑戦する。過去3年間先発を務めながら伸び悩んできたコリンズだが、首脳陣からは意外と信頼されているらしい。
- ディフェンシブタックル。ライアン・ピケットの先発の座は動かないが、その相棒がどうなるのか。コーリー・ウィリアムズのトレードとケガ人続出で層が薄くなってしまった。先発予定だったジョニー・ジョリーは肩のケガに加えて薬物問題で出場停止のおそれがあり、昨年の1巡指名のジャスティン・ハレルは背中のケガでまだプレーできない。ダニエル・ムーア、コンラッド・ボルストン、アルフレッド・マローンといった選手たちが、成長次第では先発を脅かすチャンスが出てくるかも。
- 控えディフェンシブエンド。先発左DEアーロン・キャンプマンに次ぐ2番手はプロ3年目のマイケル・モンゴメリーの予定だが、4巡指名ルーキーのジェレミー・トンプソンの追い上げにも期待。
- 控えCB。3番手/ニッケルバックはトラモン・ウィリアムズが確保したようなので、3年目のウィル・ブラックモンと2巡指名のパトリック・リーが4番手/ダイムバック争いか。昨年の今ごろは3番手だったジャレット・ブッシュは、今夏はセーフティにもチャレンジする模様。
- ポジション争いとは関係ないが、今年のパッカーズ守備は多彩なブリッツを増やしていく、との触れ込みだ。ボブ・サンダースDCのディフェンスは相手にとって非常に予測しやすい、という批判が絶えず、またマッカーシーHCからも、もっとアグレッシブにという内意があったらしい。ただ、オフシーズンの間は「今年はアグレッシブにする」と喧伝してもシーズンが始まると元通り、ということがNFLでは多いので、どうなるか。
- ロングスナッパー。長年務めてきたロブ・デイヴィスが引退し、出場経験のない選手同士の争いとなった。公式デプスチャートでは、25歳のトーマス・ギャフォードではなく新人のJ.J.ジャンセンが1番手となっているのが注目される。ふつうデプスチャート上では、同格の実力があれば新人は後ろに回るものなので、すでにジャンセンが大幅リードということなのか。
- リターナーはパント、キックオフともCBトラモン・ウィリアムズが1番手と表示されているが、CBウィル・ブラックモンが完全復帰できれば再逆転もありそう。リターンゲームはフルコンタクト練習をしないものなので、(昨年のブラックモンのように)プレシーズン4試合でアピールできた選手がチャンスをつかむだろう。
2008年7月28日
ブレット・ファーヴはスポーツ・イラストレイテッド誌のピーター・キングのインタビューの中で、パッカーズのキャンプ初日には出席しないことを明らかにした。「パッカーズのトレーニングキャンプの初めから出席するつもりだったが、『2日ほどくれたら今の状況を解決できるよう努力する』 とテッド・トンプソンが言ったので、僕もそれに同意した。僕はパッカーズの邪魔になるようなことをしたくないし、僕がフットボールを続けられるよう、今後数日のうちに合意できればと望んでいる」
ファーヴの口ぶりからして、パッカーズで復帰する線は完全に消えたと言ってよさそうだ。またパッカーズ側もキャンプでの混乱を避けるため、小さな妥協が成立したのだろう。今後の焦点は、パッカーズが満足するような代償がトレード先から手に入るかどうか、相手チームがファーヴの$12ミリオンのサラリー(それがイヤなら契約を結び直す)を受け入れるのか、ファーヴが(またも変心せず)新チームでプレーする気になるかどうか、といった点になる。
「今週はコミッショナーのロジャー・グッデルと何度か話をした。ある種の調停者になってくれないかと思ってね」とファーヴ。先日コミッショナーがトンプソンGMにトレードを促したのも、それを受けてのことのようだ。
ファーヴはヴァイキングスのチルドレスHCと話をしたことも認めたが、タンパリングに相当するような内容ではない、と強く否定している。「彼らと話したことははっきり認めるよ。(NFLの代表として調査をしている)ミルト・アーレリッチと面談した。『ブレット、彼らは君に移籍を誘ったのか?』 と聞かれたが、ノーと答えた。『僕は誰からも誘われる必要はない』 ってね。彼らは決して僕にミネソタに来るように誘ってなどいない」
トレード先の候補として挙がっているジェッツについて地元のNew Jersey Star-Ledger紙は、「トレードがまとまる可能性は非常に低い」との情報筋の話を伝えている。またファーヴに近い筋も、ジェッツとのトレードは可能性が低い、と述べているようだ。
2巡a指名のWRジョーディ・ネルソン、2巡c指名のCBパトリック・リー、3巡指名のTEジャーマイケル・フィンリーがそれぞれ4年契約に合意し、未契約のルーキーは2巡b指名のQBブライアン・ブロームだけとなった。しかしそのブロームも時間の問題と見られている。彼のすぐ下で指名されたQBチャド・ヘニー(MIA)がすでに契約に合意しており、その内容を参考にすれば交渉が進めやすいためだ。
キャンプ参加が危ぶまれているRBライアン・グラントだが交渉の進展があった模様で、「まだ安心はできないが、楽観できる材料はある」と代理人は語っている。グラント側が提示した妥協案にパッカーズ側も乗り気で、ただインセンティブやキャップ上の扱いについてNFL本部に問い合わせを行っている最中とのこと。そのため月曜の練習初日の参加はかなり難しくなってきたが、欠席は最小限で済むかもしれない。
トレーニングキャンプを前にマイク・マッカーシーHCが記者会見を行ったが、冒頭から20分ほどぶっ通しでファーヴに関する質問ばかり。さすがのマッカーシーHCも苛立ってきたようで、「ファーヴ以外の質問をした方には$50ドル」というジョークを繰り出したが、次の質問もファーヴだった。
- ファーヴがキャンプに参加したら、という仮定に基づいての質問多し。 「アーロン・ロジャースがグリーンベイ・パッカーズの先発クォーターバックだ。何度も言ったようにね。我々は100%彼にコミットしているし、彼ならこのチャンスを活かしてくれると確信している」
- 「ブレットが復帰を考えているか? その通り。しかし 『考える』 のと 『コミットする』 のは別の話だ。そして我々はフットボールチームとして前に進んでいる」とマッカーシーHC。ファーヴがいつまでたっても揺れ動いていることが、彼を見切った理由の1つであると示唆しているのだろう。
- 復帰希望をパッカーズに伝えてから1ヶ月以上が経つが、ファーヴが現役復帰に100%コミットしているという印象を持ったことがあるか、という質問には、「特にそういうことはなかったと思う。結論を出すのに苦労している最中だと思う」
- 「今回の問題に関し、別の進めようがなかったかどうか、我々も振り返ってずいぶん話し合った。たくさんの教訓が含まれていると思うからね。最初に反省すべきはコミュニケーションだ」
- 4月に背中を手術したDTジャスティン・ハレルは回復が十分でなく、練習にはまだ参加できない。
- 今月初めに鎮痛剤の所持で逮捕されたDTジョニー・ジョリーだが、キャンプには参加の予定。昨年負傷した肩が回復して練習に参加できるかどうかは日曜のフィジカルチェック次第、とマッカーシーHCは語っているが、初日からのフル参加は難しそうな口ぶりだった。次の出廷は8月27日に予定されているが、NFLからの処分があるかどうかは裁判の成り行き次第と見られている。
- さいわい、DEバジャ=ビアミラ(ヒザ)、DTコリン・コール(前腕)、CBウィル・ブラックモン(足)の3人は、問題なく練習に参加できる見込みとのこと。
2008年7月27日
ブレット・ファーヴの動向に注目の集まった金曜午後だったが、けっきょく復帰願いの提出はされず、NFL本部も公式にそれを認めている。やはり提出するのは三者の間でトレード合意ができてからなのか。
ジェッツとバッカニアーズがファーヴと直接話し合う許可を得た、と報道されたため、すでにトレーニングキャンプの始まっている両チームのヘッドコーチは練習後の会見で質問攻めに。どちらも事実上ノーコメントだったが、獲得しないとも言わなかった。バッカニアーズのジョン・グルーデンHCは、「現時点ではジェフ・ガルシアが我々のクォーターバックだ。グリーンベイがどうするつもりか私は知らない。ブレット・ファーヴがどうするつもりかも私は知らないし、そのことは私の携帯電話が証明できる」と、ヴァイキングスのタンパリング疑惑にひっかけて上手いコメント。
トレードが有力となりつつある中、「ファーヴは今でもパッカーズでプレーするのがファーストチョイスであり、パッカーズならスーパーボウルが狙えると考えている」と代理人バス・クックは周囲に漏らしている。また、ファーヴはロジャースから先発QBを奪い返せると自信を持っている、という情報もある。しかし、そういった話も全て、パッカーズ側がファーヴに本気でキャンプに来られては困ることを見越して、トレードへの圧力に使っているのだろう、という見方も。
- 4巡a指名のDEジェレミー・トンプソンが契約にサインした模様。これでドラフト指名9人のうち下から5人の契約がまとまった。
- 彼ら下位選手はすべてベースサラリーが最低額の4年契約で、契約ボーナスは4巡bのOGシットンが$384,000ドル、5巡のOTジャコミニが$179,000ドル、7巡aのQBフリンが$64,000ドル、7巡bのWRスウェインが57,600ドルとなっている。それ以外にもエスカレーター条項が全員に含まれていて、プレータイムが一定の基準に達すると4年目のサラリーが$1.2ミリオンに跳ね上がる。これは、4年契約では3年終了時に制限つきFAとならないため、そのことが選手の不利益にならないように、という仕組み。
- 上記ドラフト指名選手との契約にともない、TEマイク・ピーターソン、LBマーカス・ライリー、CBカイル・ワード、Pケン・デブッシュのドラフト外4選手が解雇された。TEピーターソンはポテンシャルが高いと期待されていたが、OTAやミニキャンプでのプレーが期待はずれだったのだろう。
- Pケン・デブッシュはグリーンベイ出身選手として地元の期待を集めたが、昨年大きな成長を見せたPジョン・ライアンとの差は大きかった。これで今年のキャンプはキッカーとパンターが1人ずつとなり、スペシャルチームのポジション争いはロングスナッパーだけとなった。
- RBライアン・グラントは契約交渉が行き詰っているようで、代理人は「こちらはできる限りの協力をしたのに」と不満顔を見せている。グラントは契約下にないので、たとえキャンプを欠席しても正式にはホールドアウトではないが、シーズンへの悪影響は同じこと。とにかくEFAとしての1年$37万ドルの契約にはサインしないという点は、グラント側がこれまで何度も強調している。
2008年7月26日
ブレット・ファーヴが早ければ今日中にも復帰願いを提出し、パッカーズのトレーニングキャンプ(土曜のうちに集合、日曜朝に最初のミーティング)に出席する構えであることが明らかになった。最初にNFL.comのアダム・シャフターが報じ、パッカーズの地元紙も確認を取っていて、どちらも情報元は代理人バス・クックからのようだ。それによると、ファーヴは木曜にトンプソンGMに電話をし、パッカーズに復帰してトレーニングキャンプに参加したい意思を明らかにしたとのこと。
ファーヴが軟化して 「ロジャースが先発QBだがファーヴの復帰は歓迎する」 というトンプソンGMの先日の話を受け入れ、本気でロジャースと先発争いをする、という見方もできなくはない。しかし、もうパッカーズにファーヴを受け入れる気がないのを承知で、「本気でトレードを成立させろ」と圧力をかける戦術、と見る向きが多い。後述のように、トレードに関する情報があちこちから多数流れてきているからだ。
水曜には、パッカーズがファーヴ側とトレード先の候補について話し合ったようだ。その後のESPNの情報によると、ジェッツはファーヴと直接話し合う許可をパッカーズから得たとのこと。他にもバッカニアーズが興味を示している、とパッカーズに近い筋が認めているが、今年対戦のあるバッカニアーズはできれば避けたいところで、ジェッツ同様の交渉許可を出すかどうかはまだわからない。(追記 : Fox Sports によるとバッカニアーズにも許可を出したようだ)
毎年恒例のグリーンベイ・パッカーズ株主総会が開催され、9375人もの熱心な株主がランボーフィールドに詰めかけた。以前は近くのレシュ・センターで行われていたが、増える出席者を収容しきれなくなったため、2006年からはランボーフィールドの東側スタンドを利用して屋外で行われている。(写真集1・写真集2)
ファーヴ問題で紛糾することも心配されたが、もともと首脳陣の報告の際には質疑応答は行われないため、一部でブーイングが起きたほかは大きな混乱はなかったようだ。例年どおり、総会が終了してからマーフィ社長とトンプソンGMがスタジアム内のアトリウムで、取り囲んだファンからの質問に答えたり、サインや記念写真に応じるセッションがあった。
- マーク・マーフィ社長が冒頭のスピーチ。手話通訳もついている。
- ファーヴ問題が論議を呼んでいることに言及すると、数人のファンから "Bring Back Brett"の連呼があり、対抗するように声援も起きたが、それを除けば会場は比較的平静だった。
- 「今は非常に微妙な状況で、この球団に長期的な影響を与えることになるだろう。ブレット・ファーヴのことはフットボール上の決定だが、私も密接に関わっていて、みなの意見は一致している。我々はブレットに対してフェアでありたいと思っているが、同時にグリーンベイ・パッカーズの利益となるよう最善を尽くしたいと望んでいる」
- スムーズにCEOを継承できたことをボブ・ハーラン名誉会長に感謝。ハーラン名誉会長には大きな拍手が送られた。
- テッド・トンプソンGMがマーフィ社長から紹介されて壇上に上がると、中にはブーイングもあったが、拍手を送るファンが大多数だった。報告は30分ほど。
- 「我々はファミリーだ。ファミリーというのは時に意見の衝突があるものだ」とファーヴ問題に言及。「誰にとっても困難な時を迎えている。非常に複雑な問題だが、我々の最重要目標は、球団として正しい道を進むことだ」
- 席上でトンプソンGMは、LBブレイディ・ポピンガと契約延長を結んだことを明らかにした。
- RBライアン・グラントとの契約交渉が進行中だが、長期的に見て大きな問題とはならないと考えている、とのこと。
- NFLヨーロッパ枠がなくなったことでキャンプ中のロースターが80人に減り、その人数でキャンプ練習をこなしていくには、自分たち人事部門がケガ人に備えることも必要になる。「今年のキャンプではケガ人を出さないとマイク(マッカーシーHC)が約束してくれたが」とジョーク。
- 各ポジションについてひと通りの現状報告。QB陣の話の際にはファーヴには触れなかった。
- 「今後も、内側からのチーム作りに注力していきたい。我々が目指すのは勝つこと、いま勝つこと。それは昨年もここで述べたとおりだ。昨年の成績を誇りに思ってはいるが、我々は満足していない」
- マイク・マッカーシーHCも15分ほど報告を行ったが、ファーヴ問題への言及は避けた。
- 「大きな成長を果たしたシーズンだった」と昨季を振り返り、NFL2位のオフェンスばかりでなく、ディフェンスにも喝采を送ってほしいと求めると、スタンディングオベーション。躍進を遂げたスペシャルチームにも、と求めると、再びスタンディングオベーション。
- オフシーズン・プログラムの成果を強調。「よくあるようなポジティブな嘘っぱちを並べるつもりはないが、我々は素晴らしいオフシーズンを過ごした。前向きなエネルギーがチームじゅうに満ちている。しかしやるべき仕事はまだたくさん残っている。大事なのはワールド・チャンピオンを勝ち取ることだ」
- 話し終えたマッカーシーHCは(その後のスピーチを聞かず)ポディウムを降りると、拍手を浴びながらさっそうと選手入場トンネルから退場。「こうしている暇はない、私は2008年シーズンに取り掛からねば、という明確なメッセージが伝わってきた。そういう台本だったのかもしれない。とにかく見事だった」と感想を記した記者も。
- 来年以降のトレーニングキャンプ会場を、屋内練習場の反対側にあるレイ・ニチキ・フィールドに移すことを検討しているとジェイソン・ウィード副社長が明らかにした。交通量の多いオナイダ・ストリートに面しているクラーク・ヒンクル・フィールドは安全面の問題があり、レイ・ニチキ・フィールドなら周囲に観覧席を増やすことも可能になるため。
- 財務担当のヴィッキー・ヴァンイーブンホーフェン副社長からは、経常経費が20%もアップして過去最高の$220ミリオンとなり、利益を圧迫していることなどを報告。内容は先月のリポートのとおり。
- 総会終了後ランボーフィールドのアトリウムでは、球団首脳を囲んでファンが自由に質問したりサインをもらえる恒例のセッション。
- トンプソンGMはおそらく混乱を避けるため、1時間以上経って人数が減ってから登場したが、あっという間にファンやメディアに取り囲まれた(写真)。
- トンプソンGMに近づいた大半のファンは、「100%支持している」 「こうするより他ないよ」 「素晴らしい仕事をしてくれてる。今後も頑張って」と励まし、サインをもらったり写真を撮ったり。
- 「ブレット・ファーヴはもっと尊重されるべきよ!」と、離れたところから女性ファンが叫ぶと、別のファンが「彼は引退したんだ!もう乗り越えろよ!」と怒鳴り返す場面も。トンプソンGMに「チームに復帰させない理由を説明して」と礼儀正しく質問したファンもいたが、「わたしの顔さえ見ず、ちゃんと答えてもらえなかった」と不満をあらわにしている。
- 「今日はその件はお話しできない、と私は言っているだけなんだ」とトンプソンGM。
- この日はエルヴィスの扮装をしたファンも登場した。しかもチーズヘッド。 「正直、今日はテッド・トンプソンにとって厄介な日になると思うぜ。 Favre is King. 」と宣言し、意気揚々と会場に乗り込んでいった。
- 株主総会後の記者会見でマーク・マーフィ社長は、開幕戦に予定されていたブレット・ファーヴの永久欠番セレモニーをいったん保留とすることを発表した。ファーヴ本人が現役復帰の希望を表明した以上、当然の措置だろう。
LBブレイディ・ポピンガと契約延長を結んだことをトンプソンGMが明らかにした。今季限りで契約の切れるポピンガだが、FA加入のLBブランドン・チラーと先発争いをしている最中の契約延長は意外だ。2012年までの5年契約なので、実質4年の契約延長ということになる。Journal Sentinel紙によると総額は約$17ミリオンで、LBボス・ベイリー(DET→DEN)の5年$17.5ミリオン、LBカウィカ・ミッチェル(NYG→BUF)の3年$17.5ミリオンに近く、スターターにふさわしい金額であるのは言うまでもない。
2008年7月25日
- パッカーズは昨日挙げた8球団だけでなく、(同地区を除いて)ほとんどのチームに打診をしているようだ。
- Journal Sentinel紙のトム・シルヴァーステインは次のように分析。 「ブレット・ファーヴやコミッショナーを納得させるためにいちおう当たっているだけで、本気で交渉をまとめる気はない。 『引退したままでいてほしい』 というのが依然としてパッカーズの本音。パッカーズがファーヴ側に(よくあるように)トレード先を探す許可を与えていないのは、勝手にトレード交渉を進められてはかえって困るからだ。今のところ強い興味を示すチームはなく、『パッカーズ側の要求が高ければトレード実現は無理』と踏んでいる。状況が大きく変わるとすればキャンプでどこかのQBが負傷したとき」
- タンパリング疑惑に関して、ファーヴとヴァイキングスの間で交わされたのは携帯メールだったらしい。
- パッカーズが職員に支給している携帯電話は、チームとスポンサー契約を結んでいるベライゾン・ワイヤレス社のもの。同社の役員によると、携帯メールの内容を同社のサーバーに保存するのはせいぜい数日分で、1ヶ月前のメールについて分かるのは相手の番号だけとのこと。
- いっぽうPress-Gazette紙は、「ファーヴがパッカーズ支給の携帯を使用していたとする報道は誤り」との2人の情報筋のコメントを掲載している。うち1人はファーヴ周辺の人物。
- 球団が選手に携帯電話などを無料で支給するのはサラリーキャップ違反(電話代もキャップ額に含めない限り)となるので慌てて否定したのでは、という憶測もある。タンパリング疑惑を立証するだけなら、ヴァイキングス側の通話記録だけで足りるので、サラリーキャップ違反を咎められないようにしておこう、ということ。
昨日の7巡指名2人に続いて、4巡b指名のOGジョシュ・シットンと5巡指名のOTブレノ・ジャコミニも契約に合意した。これで9人のうち下から4人は決まったことになる。
2008年7月24日
- パッカーズがブレット・ファーヴのトレード先として数チームに打診をした模様。同地区球団には絶対に渡さない(解雇しないのはそのため)ものと見られていて、できればAFCへとパッカーズは望んでいるはずだが、今回の相手にはNFC球団も含まれているらしい。
- Wisconsin State Journal紙によると、パッカーズ側の候補リストにあるのはAFCのジェッツ、レイヴンズ、ドルフィンズ、テキサンズ、NFCのパンサーズ、バッカニアーズ、ファルコンズ、レッドスキンズ。 プロ人事部門のトップ、レジー・マッケンジーとジョン・シュナイダーの2人が交渉にあたっていて、候補先の選定そのものは今月11日にファーヴが解雇を要求した直後から始まっていたとのこと。
- ファーヴは正式な復帰願いを提出していないが、パッカーズとトレード先球団とファーヴの三者が合意してから、復帰願い提出→トレード成立、となるのが現実的か。代理人のバス・クックが先日、「次はパッカーズの番」と述べたのは、おそらくトレード先探しを指していたのだろう。
- Fox Sportsによると、NFLコミッショナーのロジャー・グッデルがパッカーズのトンプソンGMに対し、ファーヴ問題の早期解決を促したらしい。つまり、ファーヴのチーム復帰を許さぬのならさっさとトレードに出したらどうか、ということ。トレード先の検討に動き出したのはそのせいかもしれない。コミッショナーがチームの人事に口を出すのは極めてまれなことだ。
- 2日前には 「ファーヴが復帰を断念。パッカーズからトレード先として提示された3球団を全て拒否」との噂が一部に流れた。これが全くの誤報だったとしても、今後の成り行きとしてはありそうな話だ。ファーヴの希望はおそらく優勝が狙えて、大勉強の必要のないようシステムの似通っているチーム。条件のぴったりだったヴァイキングスがダメとなると、残る候補は少ない。しかも開幕までの準備期間がだんだん短くなってきており、トレード先が「今からで大丈夫か」と二の足を踏む可能性も、時間が経つにつれ高くなってしまう。
- バッカニアーズの地元St.Petersburg Times紙によると、QBクリス・シムズ(移籍を希望して球団とモメている)が、「ブルース・アレンGMから 『キャンプで十分練習できなくてもブレットはウチで活躍できるか』 と質問された」と暴露。アレンGMはすぐに「全ては仮定の話だ」とコメントしたが、獲得しないとは明言しなかった。
- ヴァイキングスのタンパリング疑惑に関して、「ファーヴとヴァイキングス首脳との通話記録(電話番号)が残っている」という情報筋の話をJournal Sentinel紙が伝えている。それによると、ファーヴは迂闊にもパッカーズが支給した携帯電話を使い続けていて、その通話記録をパッカーズが調べたところ、ヴァイキングスのビーヴェルOCだけでなくブラッド・チルドレスHCとも複数回にわたって話していたことが明らかになった。ビーヴェルOCと違ってチルドレスHCはこれまでファーヴと同じチームになったことがなく、これがもし事実ならば重要な証拠となるかもしれない。裁判と違って「疑問の余地なく立証」される必要はなく、NFL本部が有罪を確信すればそれでいいからだ。
- NFLの調査担当者は火曜にミネソタ入りしている。
- キャンプ入りを前に、各球団ともルーキーとの契約が急ピッチで進んでいる。中には全指名選手との契約を済ませた球団もあるが、今年のパッカーズはキャンプ入りが遅いので契約のペースも遅い。ファーヴ騒動の影響があるのかもしれないが、実際の契約交渉はほとんどラス・ボール副社長がこなすので、おそらく偶然だろう。しかも今年は1巡指名選手がいないので、モメる可能性は低い。
- ようやくこの日は7巡指名のQBマット・フリンとWRブレット・スウェインが契約に合意した。
- 入れ替わりにOGキャメロン・スティーブンソンが解雇された。ラトガーズ大から昨年の5巡指名でスティーラーズに入団したが開幕ロースターに残れず、昨季はずっとパッカーズのプラクティス・スクワッドにいた。
- QBアーロン・ロジャースはマニトウォク市のスーパーマーケットでのサイン会に顔を出した(写真)。なんと予定の3時間半前から行列ができ、さらに特筆すべきは背番号4のジャージを着てきたファンがいなかったこと。1時間半もドライブして駆けつけた女性ファンは、「ハンサムだし良い選手だし、写真を一緒に撮ってもらえて、遠くから来た甲斐があった」と大喜び。しかし列の先頭で3時間半待った17歳の少年はファーヴ支持者のようで、「誰がクォーターバックをやるべきか、僕の気持ちは変わらない。でも(ロジャースは)タダでサインしてくれたし、尊敬してる」と複雑な胸の内を明らかにした。
2008年7月23日
OGマルコ・リヴェラが古巣パッカーズと一日契約を結び、パッカーズ選手として引退した。ペン州立大から1996年のドラフト6巡指名で入団した彼は、入団3年目の1998年に先発に昇格すると106試合連続出場(プレーオフ含む)などタフな右ガードとして活躍。強力OLの中核として3年連続プロボウルにも選ばれた。NFLヨーロッパも経験した苦労人ということで地元ファンの人気も高かったが、2005年にカウボーイズにFA移籍。しかし腰のケガに悩まされて期待されたような活躍ができず、昨年6月に解雇されていた。(写真集)
「パッカーとして自分のキャリアを終えられたことは、NFL選手だったことと同じぐらい素晴らしいことだ。こうして引退し、一緒にプレーした仲間たち、そして先輩の素晴らしい選手たちと一緒にパッカーズの卒業生の一員となれることは大きな名誉だ」とリヴェラは述べている。
トンプソンGM。「マルコは正真正銘のプロフェッショナルだった。彼のタフネスとフットボールへの真摯な取り組みはチームメイトの素晴らしいお手本であり、慈善活動への献身も同様だ。我々はチームのOBの一員としてマルコを迎えられたことをとても嬉しく思っている」
プエルトリコ系のリヴェラは、2002年5月にはヒスパニック系の有名人たちと一緒にホワイトハウスに招待されたことがある。彼も最初からおっさんだったわけではなく、Journal Sentinel紙のサイトには1997年のこんな写真も残っている。また、ブルックリンの肉屋の息子、という点がヴィンス・ロンバルディと同じ。
2008年7月22日
ブレット・ファーヴの復帰を球団側に訴えるため、400人ものファンがランボーフィールドに集まって気勢を上げた(写真)。初回の先週日曜は百数十人、先週月曜のミルウォーキーの集会はわずか30人ほどしか集まらなかったことも報道されたが、この日は遠くアリゾナから駆けつけたファンもいて、初回の3倍もの人数が集まった。関係者によると、今週木曜に開催される株主総会に合わせてさらに大きな集会を予定しているとのこと。
2008年7月21日
今年パッカーズの殿堂入りを果たしたのは元Cフランク・ウィンタース、元DTギルバート・ブラウンという優勝メンバー2人に加え、長年にわたってフィルム/ビデオ分析部門を支えたアル・トレムル。渦中のブレット・ファーヴが久しぶりにパッカーズを訪れるとあって全米メディアが注目したが、主役の3人の邪魔にならぬよう、ファーヴはウィンタースについて語っただけで記者からの質問には答えなかった。
- 3組の受賞者・プレゼンターのコンビが順に記者会見場に現れ、関係者への感謝の言葉、懐かしいエピソードなどを披露した。
- 最初は元DTギルバート・ブラウンと、プレゼンターの元DTサンタナ・ドットソン。「こんな晴れがましい日が来るなんて、いまだに信じられない。僕は自分の仕事をしただけなのに。これまでに受けたさまざまな栄誉の中で、これがトップに来るよ。パッカーズは僕にとって極めて大きな意味がある。僕はチームのためにこの体を捧げた。別のチームのヘルメットをかぶるなんて考えられない」とブラウン。
- ファーヴ騒動のせいでイベントそのものが悪影響を受けないか、と聞かれたブラウンは、「今日はギルバート・ブラウン、フランク・ウィンタース、アル・トレムルの日だ。僕にとって大事なのはそれだけだよ」と答えている。「引退してよかったのは、メディアと毎日顔を合わさなくてよくなったことだね(笑)。 (引退の寂しさへの対処は)いろいろ仕事をして、目の前のことに集中することだ。朝起きて、ESPNのスポーツ・センターを見るときはつらいよ。自分の体の中からフットボールを追い出そうとしているのに、フットボールの話を聞かされるのは」
- 次に登場したのは元Cフランク・ウィンタースとファーヴの名コンビ。「ブレットは結局こないだろう、と言う人たちがいたのは知ってるよ。でも彼は約束を守ると僕にはわかっていた。長い付き合いで、互いに素晴らしい時を過ごした。(現役時代は)彼とほとんどフットボールの話はしなかった。世界中でここほど素晴らしい場所は他にないよ。選手を大事にしてくれるし、特別なチームだ」とウィンタース。
- ファーヴ騒動について聞かれたウィンタースは、「みなさん聞きたいことがたくさんあるだろうけどね、今日は3人のための日だ。ブレットのことがどうなるにせよ、結果が出たときにあらためてコメントするよ」
- チームメイトとの仲間意識についてウィンタース。「あれほど長くプレーしてそこを去るとき、一番つらいのは仲間を失うことだと実感した。長くプレーするほど、別れるのはつらいものだ。正直言って、給料の小切手も恋しかったけどね」
- ファーヴは1992年に初めてウィンタースと出会ったときのエピソードなど(2003年9月の記事参照)。「僕はアトランタからトレードで、彼はフリーエージェントでグリーンベイにやってきた。たしかミッドウェイ・ホテルだったと思う。当時の僕は(アトランタでの不摂生がたたって)252ポンドもあった。3月の寒い日で、僕は格子縞のボタンダウンのシャツを着て、汚い無精ひげを生やしてた。ミニキャンプの準備かなにかで、他の数人と一緒にメシを食った。向かいにフランクが座ったので、『やあ、僕はブレット・ファーヴだ』 『オレはフランク・ウィンタース』」 『どこをプレーするの?』」 『センターだ。お前は?ラインバッカーか?』ってね 。それ以来、僕らは切っても切れない間柄になった」
- アル・トレムルについては2007年12月の記事を参照のこと。自分がプレゼンターを務めるのは、昔からの友人であることに加え、自分が彼の殿堂入りをずっと推薦してきたからだ、とバート・スターは明かしている。
- 記者会見が終わると本番の殿堂入り式典が行われたが、こちらはメディアには非公開。元FBウィリアム・ヘンダーソンや元TEマーク・チュムラも旧友を祝福するためにかけつけ、彼ら優勝チームを作った立役者でもあるロン・ウルフ元GMも出席している。本来ならギルバート・ブラウンへのプレゼンターは兄貴分の故レジー・ホワイトだったかもしれないが。
- 式典のあとには、ビールのミラー社による"MVP of the Year"がファーヴに贈られた。「今週はESPYアウォードでも『レコード・ブレーキング・パフォーマンス賞』というのをもらったけど、それはつまり個人じゃなくてチームによるものだ。一緒にプレーしてきたチームメイトに感謝したい。今日は、ちょうど仲間が集まったところで受賞でき、感謝の言葉を直接伝えることができて嬉しい」
- この日の写真はこちら。
元DTサンタナ・ドットソンと元DTギルバート・ブラウン
元Cフランク・ウィンタースとブレット・ファーヴ
元QB/HCのバート・スターとアル・トレムル
2008年7月20日
- この日のブレット・ファーヴは、例によって地元オーク・グローヴ高校の選手たちと汗を流した(写真・ビデオ)。パッカーズ関連の質問には答えない、との条件で取材に応じているが、現役復帰の気持ちに変わりがないことをアピールする意図があるのかもしれない。「僕が高校チームの助けになっていると彼らは言ってくれるけど、僕もおかげで若くいられる。1人で練習するのは大変だしね、エネルギーをもらえるし、楽しんでるよ。彼らは決して大したことのない選手じゃない。すごく優秀で、才能に恵まれた子たちだ」
- 金曜にパッカーズ経営委員会が開かれた。席上でマーク・マーフィ社長は理事たちに対し、トンプソンGMおよびマッカーシーHCへの全幅の信頼をあらためて強調した。
- マーク・マーフィ社長の父、ヒュー・マーフィが83歳で死去。葬儀は彼が住んでいたフロリダ州クリアウォーターで月曜に行われる。
- 今年1月にパッカーズを退団したアンドリュー・ブラント元副社長は、レイダーズに移るとの噂もあったが、けっきょく実現はしなかったようだ。このたびペンシルヴェニア大大学院ウォートン・スクールに招かれてスポーツ法を教えることになったため、近いうちにグリーンベイからフィラデルフィアに引っ越すことになっている。最近はNFL Networkなどでスポーツ・ビジネスに関する解説者を務めることもある。また、近いうちにスポーツ関連のインターネット会社を立ち上げる予定とのこと。
2008年7月19日
ローラ・サンスキーをマーケティング&セールス担当の上級副社長として招聘することをマーク・マーフィ社長が発表した。マーフィ社長にとって初めての大きな人事であり、マーフィ社長に続く州外からの採用だ。昨年4月にはヴィッキー・ヴァンイーヴンホーフェンが財務担当副社長に内部昇格しており、女性の重役はこれで2人目。これまで大手企業のマーケティング部門を率い、プロスポーツとも深く関わってきた経験を活かし、球団の収入アップを図ることになる。
ローラ・サンスキーはオハイオ州シンシナティ出身の43歳で、夫ケヴィンとの間に3人の子供(10歳の娘、8歳と6歳の息子)がいる。ダートマス大学を卒業後ノースウェスタン大学のケロッグ経営大学院で修士号を取得。プロクター&ギャンブル社などで働いたあと、1993年からビール大手クアーズ社でマーケティング担当副社長として活躍。NFLやNASCAR関連の事業も担当した。2006年には同じくデンバーに本拠を置く通信大手Qwest社の副社長となり、シーホークスのクエスト・フィールドなどさまざまなプロスポーツ球団とのパートナーシップを主導した。
シンシナティで生まれ育っただけにかつてはベンガルズやレッズのファン。デンバーで働くようになってからは、街の4大メジャースポーツすべてのシーズンチケットを所有または共有していた熱心なスポーツファンのようだ。
ブレット・ファーヴ騒動に関してこの日は久しぶりに動きがなかった。昨日明らかになったタンパリング告発について、ヴァイキングスのスポークスマンは当然ノーコメント。Press-Gazette紙は情報筋の話として、調査対象期間が6月初めに遡るだけなので調査は1週間ほどで済むのではないか、との見通しを明らかにしている。また、関係者をニューヨークのNFL本部に呼びつけるよりも、両球団本部を担当者が訪れて調査することになるだろう、とのこと。
2008年7月18日
パッカーズはヴァイキングをタンパリング(不正な事前交渉)の容疑でNFLに告発した。AP通信は関係筋の話として、「ブレット・ファーヴとヴァイキングスのダレル・ビーヴェルOCとの間で通常の交際以上のやりとりがあった」とする証拠をパッカーズは提出し、リーグ側もすでに証拠の検証を始めている、と報じている。その人物(おそらくパッカーズ関係者だろう)によると、「ファーヴとヴァイキングスの間で何らかの合意があり、ファーヴが急に解雇を求めたのもそのせいだ、とパッカーズ側は見ている」とのこと。
かつてウィスコンシン大でスターQBとして活躍したダレル・ビーヴェルOCは、2000年から2005年までパッカーズのアシスタントコーチを務め、最後の3年間はQBコーチとしてファーヴとは密接な関係にあった。有力選手ひしめくヴァイキングスにとって最大の弱点がQBであることは衆目の一致するところだが、チルドレスHCやチームメイトたちが、先日来くちぐちにQBタヴァリス・ジャクソンへの信頼を強調しているところ。
フリーエージェントでない選手は他球団と交渉できないのがルールとはいえ、多数の選手をかかえる代理人が複数球団と常に連絡を取り合っているNFLの世界で、タンパリング疑惑を証明するのは実際は難しい。そのためこれまでは野放しに近い状態だったが、コミッショナーが交代して以来取締りが厳しくなってきたのは事実だ。今年3月にはベアーズのLBランス・ブリッグスに対してFA解禁前のタンパリング行為があったとして、49ersのドラフト5巡指名権を没収(さらに3巡7位と3巡12位の交換を命令)する裁定が下っている。
引退した選手が昔馴染みのコーチに電話をかけるだけでは違反行為ではない。前述の49ersが有罪と判断された証拠は球団内部のEメールだった。友人同士の会話以上のものがあった証拠を本当にパッカーズ側がつかんでいるのか、ライバル球団の今後の動きを牽制するためにハッタリをかけているだけなのか、本当のところはまだわからない。
ブレット・ファーヴが正式な復帰願いを出すかどうか聞かれた代理人バス・クックは、「今すぐに提出するはっきりとした予定はない」と語っている。「まだレギュラーシーズン開幕まで6週間もある。それにブレットは、バックアップとして現役復帰するつもりはないと明言している。彼が復帰願いを提出してキャンプに合流しなければ、チームは1日$15000ドルの罰金を科すことができる。それでは意味がない」
「いま我々は、グリーンベイがどのようにしたいのか、彼らに決めさせようとしているところだ。次の行動は彼らの番だ」とクックは付け加えたが、これは意味不明のコメント。ファーヴが復帰願いを出さない限りパッカーズは何もする必要がなく、明らかに「次はファーヴの番」だからだ。先日のFox News独占インタビューでもファーヴは今年絶対プレーしたいのかどうかやや曖昧な様子も見せており、彼への世論、メディアの論調は厳しくなる一方だ。
2008年7月17日
- 非難合戦はともかくとして、次の注目はブレット・ファーヴが正式な復帰願いをNFLに提出するかどうか。「けっきょく復帰を断念するのでは」という見方も一部にはあるが、Press-Gazette紙はファーヴに近い筋の話として、「近いうちに提出の見込み」と報じている。
- チームとファーヴの関係が修復不可能となったことで、復帰願いが提出されればパッカーズとしてはトレード先を探すほかない。火曜にはさっそく「バッカニアーズのブルース・アレンGMがオーナー一族をまじえてファーヴと会食した」との目撃情報があったが、アレンGMが強く否定。パッカーズ側がファーヴに「トレード先を探してもよい」と許可を出さないうちに交渉したりすれば、タンパリング禁止規定に抵触する。
- 「このチームには行かない」との条件付きで解雇することは、労使協約に違反するらしい。
- ファーヴのインタビュー放映2日目だが、トンプソンGM批判の部分(昨日の「3つの出来事」の部分と思われる)はけっきょくカットされて放送されなかったようだ。誰の判断かはわからないが、ファーヴがかえってアホに見えるからかもしれない。
- パッカーズ経営委員会(7名)の重鎮、ピーター・プラッテン理事は、「われわれ経営委員会はテッド・トンプソンGMの方針を強く支持する」と語っている。「われわれは先週金曜に非公式の会合を開き、そこでテッドの戦略を聞いて話し合いを行い、彼を心から支持することに決した。異論は全くなかった。残念ながらいまは 『勝者なき争い』 といった状況だと私は見ている。最終的にはグリーンベイ・パッカーズにとって最善の道をわれわれは選ばなければならないし、必ずそうすることだろう。われわれは今回のことは純粋にフットボール上の問題と考えており、経営委員会から指示を出すようなことはない」
- ファーヴは7月19日のパッカーズ殿堂入りセレモニーで、親友フランク・ウィンタースへのプレゼンターを務めることになっているが、関係者によると、今のところその予定に変更はない。「2人の友情の強さからして、キャンセルは問題外なのだろう」とパッカーズ・ホール・オブ・フェイムの役員は語っている。
2008年7月16日
ブレット・ファーヴがFox Newsの "On the Record with Greta Van Susteren" に出演し、はじめて自らの言葉で現状を語った。専門分野の違うグレタが全米注目の独占インタビューを手に入れたことに驚きの声が上がったが、彼女はグリーンベイにほど近いアップルトンの出身で、パッカーズの株式を所有しており、1月のNFC決勝の直前にはチーズヘッドをかぶって出演したこともある(動画)。ファーヴが彼女に話をもちかけたのは、パッカーズファンに本当のところを説明したい、という意図らしい。
インタビューは二晩に分けて放送されることになったが、二日目の内容もすでに文書にして各メディアに配布されているので、それも合わせてお伝えする。チームやトンプソンGMへの不信感をこれまで以上に強調する内容となっていて、「両者の不和は決定的で修復不可能」とする見方が圧倒的だ。前日のトンプソンGMのインタビューと比べると、(特に下記に示した3つの件について)かえってファーヴの身勝手さが浮き彫りになっているようで、メディアにおける支持率はむしろダウンしている。
- 基本的な内容はこれまで間接的に語られてきた報道と変わらない。
- バックアップとして復帰するつもりはない。
- 正式な復帰願いはまだ提出していない。けっきょくどこでもプレーしないかもしれない。
- トレードされてもよいチームのリストを出すよう球団側から打診されたが、自分は好きな移籍先を選べるよう、解雇を望んでいる。
- 「早まって引退してしまったのは僕が悪い。でも理由があってしたことだ。『じゃあなぜ引退したんだ』 『ブレットはグリーンベイでプレーしたくないから解雇を望んでる』 というのが議論の的になっているけど、事実はそうじゃない。今日の僕の話を聞いて、『OK、これで納得できた』 とみなさんに感じてほしい」
- 「気持ちが変わるかもしれないと僕も思っていたし、マイク(マッカーシーHC)もそうコメントしていたほどだ。そして、実際そのとおりになった。するとチームは、グリーンベイではプレーさせられないと僕に言い、『我々は君の名声を守ろうとしているのだ』 と言う。そうかい、ありがとう。感謝するよ。でも今彼らが言っているのは、僕を復帰させてバックアップをさせることで名声を守ってくれる、ということだ。なんとありがたい話だろう。彼らにとっては僕が他所でプレーするよりその方がマシなのかもしれない。自分たちの名声が傷つけられるよりはね。自分の名声は自分で心配するよ。馬鹿げてる」
- 「チームが僕抜きで 『前に進んでいる』 ことに不満はない。本当だ。僕も完全に理解している。3月に引退したときから、こうしたことも起こりうると覚悟していた。僕が言ったのは、またプレーしたいと考えているということだけだ。もし再びプレーするならば、それは100%のコミットメントだ。そしてチームがすでに前に進んでいるなら、なぜ僕には 『カムバックしてくれるな』 と言っておいて、公にはそうでないようなことを言うのか。話をでっちあげたり、真実の半分だけ話すようなことをしないでほしい」
- 6月20日にマッカーシーHCに電話をかけ、復帰を真剣に検討していると伝えたときの話。「マイクの答えは、『我々はもうきみ抜きで前に進んでいる。選手たちにはそう明言せざるをえなかった。3月には100%コミットできないと君が言っていたし』 というものだった。『まったくその通り。そのときの僕はそうだったよ。でも、あなたたちが答えを出せというから、僕はその時点での率直な気持ちを話しただけだ。トレーニングキャンプまで決断を待ってくれたら、最高だったんだけど』 と僕が言うと、『なぜそのときそう言ってくれなかった。そうさせたのに』 とマイクは言う。でも実際は一番最初に僕はそう伝えたし、決断を急がせたのはチームの方だ」
- トンプソンGMへの不満を募らせることになった過去の3つの出来事。
- 2年前に自分はWRランディ・モスを獲得するよう一生懸命働きかけ、「自分のサラリーの一部を返上してもいい」とまで言ったのに獲れなかった。自分がモス獲得を働きかけたことをトンプソンGMは公式に否定した。
- 2005年春にはRGマルコ・リヴェラとLGマイク・ウォールとの再契約するよう自分はトンプソンGMに働きかけたが、けっきょく2人とも移籍してしまった。
- 2005年1月にシャーマン前HCを解任した際には、新HC候補としてスティーヴ・マリウッチとも面談するよう働きかけたが、その通りにはならなかった。
- 「いま挙げたようなことは引退とは関係ないけど、信頼するのが難しくなったのはたしかだ。つまり、僕に言うことと公に言うことが異なってしまっている。それが解雇を求めている理由の一部でもある」
- 「他のチームに所属する自分の姿は考えたこともなかったし、今なお想像することができない。これまで言い続けてきたことをここでも繰り返すが、グリーンベイでプレーすることほど素晴らしいことは他にない。まるで運命のように感じていた。南ミシシッピで育った子供が、バート・スターと同じように活躍できるなんて。僕がグリーンベイに行ってこのようなキャリアを築けるなんて、誰が想像しただろう」
- 「だからこのような状況になったのは本当に残念なことだ。『ブレットは裏切り者だ、他所でプレーすることを望んでる』 と思うファンもたくさんいることだろうけれど、それは本当のことじゃない。グリーンベイでプレーはさせられない、と僕が言われたんだ。球団の誰がなんと言おうとね。僕は嘘を言ってない。グリーンベイでプレーさせられないと言われたのは僕の方だ」
- QBアーロン・ロジャースについて。「こんな騒ぎになってしまって、アーロンにはすまないと思っている。彼はきっと立派な働きをするだろう。本心からそう思うよ。彼はケガをしていたが、2つのケガはどちらも彼の責任じゃないし、コントロールしようのないものだった。今回のこと(復帰騒動)は彼とは何の関係もない」
- 「僕は今までどおり、これからもパッカーであり続ける。他のチームでプレーするか? それはまだわからない。ただ、パッカーズにい続けるためだけに現役復帰するつもりはない。チーム側はそう言っているけどね。僕がこうして話しているのは、ずっと公に話さなかったから、自分を弁護する必要があると感じたからなんだ。本当はこんなの好きじゃない。インタビューのことを考えると、昨夜は眠れなかった。『真実だけを話そう。僕は何も隠すことはない』 と自分に言い聞かせた。チーム側が言っているのは真実の一部分でしかない。僕が言ったのは、『またプレーすることを考えている』 ということだけだ。それがこの騒ぎになってしまった」
2008年7月14日
これまで沈黙を守ってきたテッド・トンプソンGMが地元メディアのインタビューに応じた。まずは、チームの置かれている困難な状況、自分の苦しい胸のうちについてファンの理解を求め、昨季終了時からここまでの経緯についても詳しく説明。肝心の今後のファーヴの扱いについては、解雇をするつもりはないこと、復帰は受け入れチームに迎えること、今の先発クォーターバックはロジャースであることなどを述べた。ただ競争の結果ファーヴが先発の座を取り返せないとは言っておらず、真意を読み取るのは難しい。
- 「今回のことで不安や苛立ちを感じている人々が多いことは知っているし、我々が知っているということを人々にも知ってほしい。みなさんと同じ気持ちを我々も経験している。この件を考えると、内臓がえぐられるようなつらい気持ちになる。我々は正しい道を進もうともがきつつ努力しているが、かといって正解を全て知っているわけではない」
- 「冷淡で他人の気持ちを考えない人間だと私は思われているが、決してそうではない。ドラフト指名に関してそう言われるなら別にかまわないが。私が、そして球団がファンをとても大事に思っていることを知ってほしい」
- ファーヴの希望どおりに解雇するつもりはない。
- 「ファーヴが今年パッカーズのロースターに入る可能性は?」 「もちろんある」 「それはスターターとして?」 「どう答えたらよいかわからない。我々は(先発QBロジャースで)前に進んでいる。今後のことは成り行きを見守るしかない」
- 「いったん渡した先発QBの座をロジャースから奪ったら、気を悪くしたロジャースが契約延長してくれなくなると心配している?」 「必要なときがきたら、我々は対処するだろう。今の我々のクォーターバックはアーロン・ロジャースだ」
- 「復帰は歓迎する。しかしチームの状況は変わってきていて、彼の役割は違ったものになるかもしれない。彼が復帰願いを提出すれば、彼はグリーンベイ・パッカーズのアクティブ・ロースターに入り、それから我々はどうするか、成り行きを見ることになる。先ほど言ったように、私が全ての正解を知っているわけではない。復帰届けは提出されていないし、今後されるかどうかも我々にはわからない」
- 「じゃあキャンプで先発争いさせるつもりは?」という質問には明言を避けた。
- 「3月末にファーヴがいったん現役復帰を決意し、その後ふたたび変心した」という Fox Sports 報道は事実と認め、昨季終了からのファーヴとの出来事について詳しい日付つきで述べている(リストへ)。(ここまではっきり整理するのは極めて珍しいが、ファンへの説明責任を果たすため、またファーヴ側からの非難に対抗するためでもあるのだろう)
- 3月初めにファーヴが引退を決める前のことについて。「私にとってもマイク(マッカーシーHC)にとっても、引退は大きな驚きだった。私は2005年と2006年は(ファーヴの現役続行説得に)よりアクティブに関わった。2007年と2008年にそうしなかったのは、ブレットとマイクとの関係がより親密になってきていたからだ。だから今年の我々は2007年と全く同じ体制で、決定の目標日時はフリーエージェント解禁日(2月29日)だった」
- 4月にトンプソンGMがミシシッピのファーヴ宅を訪問した際には、ファーヴから復帰したいとの言葉はなかった。マッカーシーHCやキャンペンOLコーチ(92年のデビュー時に先発センターだった)からトンプソンGMが聞いたところでは、ファーヴが知りたがったのは「チームは自分に戻ってきてほしいのか」という点だった。「私が彼らから伝え聞いた情報では、大方のところはそうだ。こちら側が 『じゃあ君はプレーしたいのか?』 と聞き返すと、『わからない。ただチーム側が僕に戻ってほしいのか知りたくて』 という返事で、依然として宙ぶらりんの状態だった」
- そのファーヴが復帰の意図を明確に示したのは、火曜の四者会談が初めてのことだった。「今回は復帰意思が明確に受け取れたか? そう言えるだろうね。しかしそれは今回が初めてのことだ。本気でフットボールにコミットするという本人の言葉を聞いたのは、7月8日が初めて。それまで彼は、プレーするつもりはない、とキャンペンに言っていた。それはパズルの重要なピースだ」 (100%本気でフットボールにコミットできるか疑問、という意味か?)
先発DTジョニー・ジョリーが故郷テキサスで、規制薬物コデイン(鎮痛剤)の所持容疑で逮捕された。重罪(felony)扱いとなっているのは、200グラム以上所持していたために販売目的とされたからか。ジョリーは$1万ドルの保釈金を支払って釈放されており、今月22日に最初の出廷が予定されている。各メディアとも関係者からコメントが取れておらず、これ以上の詳しいことはわかっていない。
今オフはここまで警察沙汰のなかったパッカーズにとって、これが初の逮捕者となった。もし有罪となって出場停止処分にでもなれば、DTコーリー・ウィリアムズを放出して手薄になったDT陣にとって大きな痛手だ。
2008年7月13日
- Fox Sportsのジェイ・グレイザーが以下の新情報を明らかにし、今回の騒動に新たな要素を加えている。それによると、ファーヴが早くも3月末に気持ちを変え、球団側に復帰の希望を伝えた。マッカーシーHCとトンプソンGMは復帰を受け入れ(むろん先発QBとして)、ジェット機を用意してミシシッピを訪れる予定を立てた。ところが予定された会合の2日前になってファーヴからマッカーシーHCに電話があり、やはり復帰はしないと通告。呆然としたチーム首脳は、あらためてファーヴ抜きで前に進む決心を固め、ドラフトでのQB2人指名となった。
- 上記の報道はおそらく、(モラル上の)反撃のための球団側からのリークと思われ、また球団側がファーヴを受け入れない理由を示唆するためなのだろう。地元両紙を含めた他のメディアはまだ確認できていないが、ファーヴ側からの反論も出てきていない。もしこの報道が本当だとすれば、「トンプソンGMが復帰を強く望まなかった」とファーヴ側が主張するのはこの時期のことなのかもしれない。
- ファーヴの代理人バス・クックは、希望どおり解雇された場合の移籍先の選定をすでに進めていて、ドルフィンズやパンサーズも候補に入っているとの噂。クックの別の顧客が、クックからそう聞いたらしい。
- ファーヴの兄スコットは例によってトンプソンGMを攻撃。「どうして解雇を求めずにいられる? チームは彼抜きで前に進んでいるんだ。口ではっきり言わないだけでね。もしブレットの復帰を望んでいたなら、『もし復帰したくなったら、戻ってきてほしい』 と言えたはずだろう。チームが自分を必要としていないなら、なぜそんなチームに戻りたい?」
- かつてディフェンスのリーダーだった元SSリロイ・バトラー。「これはビジネスで、パッカーズ側の見方は理解できる。3月末にブレットが復帰したいと連絡し、チーム側が受け入れたのに再び変心した、という話が本当なら、球団側が 『もう十分だ』 と言うのもよくわかる。その話が事実でなかったとしても、これはやはり責任の問題だろう。アーロン・ロジャースにフランチャイズを任せると決めたのに、それを後になって引っ込めたりしたら、今後は誰もパッカーズの言葉をきかなくなってしまうから。私が一番心配なのはロッカールームが分裂することだ。ベテランなら 『ブレットがいれば今勝てるチャンスがある』 と言うかもしれないし、若手なら 『俺たちはアーロン・ロジャースと一緒に成長していけるチャンスがある』 と言うかもしれない。ブレットが他のチームでプレーするかどうか? すると思うよ。4月からそう予想してた。両者の間の橋は焼かれたも同然だと思う。ブレットはチームが自分の復帰を望んでいないことに傷ついているはずだ。それでも、両者にとってよい結果になるような解決策を彼らは見出すと思う」
- 例年7月前半はNFLメディアにとって最も暇な時期で、記者たちも交替でバケーションを取るが、気の毒なのはJournal Sentinel紙のロリ・ニッケル記者。パッカーズ担当の中でも下っ端の女性記者が留守番をしているところにファーヴ騒動が持ち上がり、1週間ほとんど孤軍奮闘に近い状態。ようやく昨日になってトム・シルヴァーマン記者が復帰してきたが、ボブ・マッギンやグレッグ・ベダードはまだ休暇中のようだ。
2008年7月12日
ブレット・ファーヴに近い筋およびパッカーズ側の情報筋によると、ファーヴがチームに対し、解雇を求める書面を提出した、とESPNのクリス・モーテンセンが報じている。情報源は両サイドとのことなので、情報の確度は高いように思われる。(追記 : 地元両紙も関係者から確認が取れたようだ)
記事によると、ファーヴ、代理人バス・クック、マッカーシーHC、トンプソンGMの四者による電話会談が火曜に行われ、ファーヴは再びプレーしたい意思を明確に示した。チーム側は復帰を歓迎せず、「フットボールに100%コミットできないと3月には言ったではないか」と再考を求めた。「当時はそうだったが、3月にそう思うのは毎年のこと。それにチーム側が早い決断を求めたので引退を選ばざるをえなかった」とファーヴ。話し合いで決着がつかなかったので、木曜に解雇を求める書面を発送、パッカーズには金曜に到着した、という順序らしい。
ファーヴはトレードされるより、自由に移籍先が選べるよう解雇を望んでいるようだ。しかしあと3年の契約が残っているので、パッカーズ側が求めに応じてファーヴを手放す必要は、ルール上はない。そこで代理人バス・クックは、「これまでのフランチャイズへの貢献の大きさにかんがみ、本人の希望をかなえてほしい」と書面の中で主張しているらしい。書面を提出とはいっても、NFL公式の復帰願い(コミッショナーにも提出する)ではない。
金曜朝にモーテンセンが取材をしたとき、ファーヴは地元ハティスバーグの高校で練習をしている最中(昨年も同じようにしていた)。今回の件についてはノーコメントだったが、体調は非常によさそうで、高校生レシーバー相手にかるがるとロングパスを投げている。リラックスしてポジティブな様子で、自分やかつてのチームメイトやコーチたちについてのジョークも。ファーヴによると、来週も練習を続ける予定とのこと。
こうした報道を受け、パッカーズがついに公式サイトにおいて以下の声明を発表した。
ブレットはその権利を行使して彼自身の意思で引退した。現役続行を求め、歓迎する意思を、我々は再三にわたって彼に示した。
ブレットの引退会見そしてその後数週間にわたる彼の発言は、引退する意思の固さを示していた。引退が動かぬものであることを球団は受け入れ、その時点で、グリーンベイ・パッカーズはフットボールチームとして前に進むこと決心を固めた。
引退選手として、ブレットはコミッショナーに対して復帰願いを提出する選択肢がある。もしそれがなされたなら、彼はグリーンベイ・パッカーズのアクティブ・メンバーとなる。いつもどおり、パッカーズはチームにとって適切かつ最善な行動をとることだろう。
全ての偉大なパッカーズ選手たちと同じように、彼個人の意思がどのように変化したとしても、ブレットの功績はファンからも球団からも決して忘れ去られることはない。ブレットとディアナはこれからも常にパッカーズ・ファミリーの一員であり続ける。
Journal Sentinel紙は、ファーヴの復帰希望は本物だがパッカーズ側は解雇するつもりはなく、移籍があるとすればトレードだ、との関係筋の話を伝えている。たとえばヴァイキングスなどライバルチームに行ってしまった場合にパッカーズがこうむる不利益とファンの反感の大きさを考えれば、たとえ偉大なファーヴの願いだとしても解雇するわけにはいかない。36歳のジョー・モンタナがトレードされた際は、モンタナと3巡指名権とSデヴィッド・ウィットモアをチーフスに譲渡するかわり、49ersは1巡指名権を受け取っている。
昨季序盤は大不振に見舞われたRB陣だが、グラントが台頭してくれたおかげで今年はまずまず安心して見ていられるユニットとなった。ただグラントの契約問題がこじれた場合は、低レベルの先発争いに再突入する。グラントがぶじ合流した場合の注目は2番手・3番手争い。現時点ではジャクソンが2番手として大きくリードしていて、残りの選手たちで3番手を争うものと見られている。ドラフト指名が予想されていたが結局指名はなく、ドラフト外でジョージア大のクレッグ・ランプキンを獲得したのみ。
ロースター枠は通常3人。昨年4人枠だったのはキャンプでケガ人が多かったためだろう。グラントとジャクソンは当確で、最後のイスを4年目のモレンシーとヘロン、2年目のウィンで争う。実績ではモレンシー、器用さと信頼性でヘロン、ポテンシャルでウィンといったところか。
ライアン・グラント Ryan Grant
ノートルダム大ではジュリアス・ジョーンズの影にかくれ、2005年のドラフト外でジャイアンツに入団。2年間まったく出場機会がなかったが、昨年開幕直前に6巡指名権とのトレードでパッカーズに移り、第8週ブロンコス戦で負傷のウィンにかわってスターターに昇格すると、目覚しい活躍を見せてRB陣の救世主に。第8週以降プレーオフを含めた12試合で1186yds(平均5.2yds)と目覚しい働きを見せた。今春はEFAとしての1年契約にサインせず大型契約を求めているが、キャンプに間に合わないとチームとしては困ったことになる。
ビジョンが非常によく、的確な穴を選んで迷わず突っ込むので、ゾーンブロッキングのスキームにぴったり合っている。一瞬の加速が鋭く、第一線を突破したあとのカットバックも効果的なので、一発ロングゲインが少なくない。(プレーオフでは2回ファンブルしたものの)ボールセキュリティもまずまずで、1stダウンや2ndダウンのランに関しては、もう課題は多くない。
未熟な点としてはパスキャッチ(昨季は1回平均わずか4.1yds)、ブロッキング、スクリーンパスでの動きなど。昨季はまだ3rdダウンで安心して使えなかったので、今年はそういった細かい技術を向上させ、真のエヴリダウン・バックに成長したいところ。精神的にしっかりしていて天狗になるタイプではないとはいえ、今春のOTAやミニキャンプに参加できなかったことが成長の妨げになる恐れはある。
ブランドン・ジャクソン Brandon Jackson
ネブラスカ大から昨年のドラフト2巡指名で入団。モレンシーとの先発争いは不戦勝の形で開幕を迎えたが、OL陣のランブロッキング不振とあいまって平均2.4ydsしか走れず、3試合で先発の座を失った。いったん3番手まで下がったもののシーズン終盤には再び2番手に昇格し、最終戦で113ydsラッシング、プレーオフでもパスキャッチTDを記録するなど、まずまずの形でシーズンを終えた。今オフの成長はいちじるしいと首脳陣は強調している。
スピードもクイックネスも十分あり、時にはタックラーを引きずるような馬力も見せるが、グラントに大きく劣るのはゾーンブロッキング適性か。ホールを選ぶところで躊躇する傾向があり、肝心の穴に突っ込む瞬間にスピードが下がってしまうことがある。課題だったブロッキングは向上し、パスプレーやスクリーンでも巧い動きを見せる。このぶんなら3rdダウンバックとしてやっていけるのは間違いないが、エースが不在のときに安心して先発を任せられる優秀な2番手RBになれるかどうか、今年の成長が注目されている。
ヴァーナンド・モレンシー Vernand Morency
2005年ドラフト3巡でオクラホマ州立大からテキサンズに入団。2年目シーズンの序盤にパッカーズにトレードされ、91回421yds(平均4.6yds)の好成績を残した。RBアーマン・グリーンの抜けた昨季は先発争いが期待されたが、キャンプ初日にヒザを負傷して回復に時間がかかり、若手3選手の後塵を拝する結果に。復帰後は経験と技術を活かして3rdダウンバック役を務め、グラントに並ぶ30キャッチを記録。しかし一昨年のような鋭いカットバックからのロングゲインは見られなかった。
パスキャッチもブロッキングもそつなくこなすが、ジャクソンもヘロンも同じような3rdダウンバックのタイプで、今夏は熾烈な3番手争いが待っている。もう先発の座を脅かす存在ではなく、今年は話題に上ることさえ少ない。すでに28歳で伸びシロがなさそうなのもマイナス。
ノア・ヘロン Noah Herron
ノースウェスタン大から2005年の7巡指名でスティーラーズに入団、プラクティス・スクワッドにいたところをパッカーズが獲得した。器用さと安定感が認められて3rdダウンバックに定着するが、3年目の昨季はプレシーズン最終戦でヒザを負傷し、インジャリーリザーブでシーズンを終えた。かなりの努力家で、ウィンとは正反対。鋭い加速やクイックネスには欠けるが、ビジョンや戦術眼に優れ、ブロッキングもしっかりしているので首脳陣から信頼されている。モレンシーやウィンとの3番手争いだろう。
デショーン・ウィン DeShawn Wynn
フロリダ大から昨年の7巡指名で入団。大学時代から問題児との評判だったが、NFL入り後もやはり精神面が課題だ。昨夏は異例の長時間説教付きでかろうじて開幕ロースターに残ったが、それもモレンシーとヘロンのケガのおかげだった。ジャクソンの不振でスターターに昇格し、4試合で平均4.1ydsとまずまずの働き。しかしその間もわずかなケガでサイドラインに下がるなど、首脳陣からもタフネスを疑問視され、グラントが台頭するとあっさりインジャリーリザーブへ。
230ポンド級のガタイで4.4秒台で走るなど身体能力は申し分なく、RBとしてのセンスもいい。問題は体作りや体調管理といった部分で、今オフにもRBコーチが「毎日同じレベルの努力を続けられるようでなければ」と公にコメントするなど、精神的な幼さが大きな課題として残っている。才能だけでプレーしてきた彼が真のプロに成長できればロースター入りなど簡単なはずだが、現実はモレンシーやウィンとの3番手争いで、今夏はかなりの頑張りが必要だろう。
クレッグ・ランプキン Kregg Lumpkin
ジョージア大からドラフト外で入団したルーキー。40yds走は4.64秒。高卒時は全米トップクラスのRBと評価された選手だが、大学ではケガに苦しみ、4年間合計で1699yds(平均5.3yds)、17TDにとどまっている。大学1年目はハムストリング、2年目のキャンプでヒザの前十字靭帯(ACL)断裂。1年休んで3年目は9試合に先発して798yds(平均4.9yds)を挙げるが、昨年は親指骨折のうえ再びヒザの手術を受け、4試合で計12回しかキャリーできなかった。
2008年7月11日
セレブリティ・ゴルフ・トーナメント"American Century Championship"に出場するQBアーロン・ロジャースが、電話による記者会見を行った。ファーヴ騒動が勃発して以来初めて公の場に姿を現したロジャースの発言が注目されたが、ファーヴ騒動については(おそらくチーム側との打ち合わせの結果)事実上ノーコメントに近い。
Q : ファーヴの噂についてどう思う?
「球団の出したコメントと、僕も全く同じだ。いろいろ飛び交っている噂に関してあれこれ発言するつもりはない」
Q : 噂は気になる?
「家族と山登りとかしていたから、メディアの報道にはあまり接することなくいられた。それが僕の基本的な姿勢だ。いまはゴルフトーナメントに出場するため、ここネバダ州タホに来ている。これからの4日か5日はそのことに集中する」
Q : こういった騒ぎから離れて休暇を楽しんでる?
「いいオフシーズンを過ごしてるよ。最近はサンディエゴでWRジェームズ・ジョーンズが練習相手をしてくれた。WRブレット・スウェインもルーキー・シンポジウムの後サンディエゴにいてくれたし。いまは体調もすごくいい。携帯を持たずに家族と山登りをしたのもよかったし、今週はタホでこの夏の最高の1週間を楽しんでる」
Q : (先発に昇格した今年は)準備のやり方が変わった?
「これまでと同じだよ。トレーニングキャンプ開始の1週間以上前にグリーンベイに戻り、中西部時間に体を慣らし、トレーニング・コーチのロック・ガリクソンとワークアウトを重ねる。何も変わらないよ。全てスケジュールどおりに進んでいるし、よいトレーニングキャンプを過ごせると期待している」
Q : この1週間にチーム側から連絡があった?
「マッカーシーHCやクレメンツQBコーチとは常に連絡を取り合っていて、それは何も変わっていない」
Q : ファーヴとは最近なにか話をした?
「僕とブレットはグリーンベイで非常に仲良くやっていて、よい友人になった。でも彼の今後のプランについて、彼と話し合ってはいない」
Q : オフシーズンはどのような点に注力を?
「やはり頭脳面だと思う。(マッカーシーHCが行う)オフシーズンのクォーターバック・スクールはその点で大きなチャレンジなんだ。オフェンス全てを使い、ディフェンスを読んで分析する。毎日たくさんのフィルムを見る。自分たちのスキームや、その意図するところを完全に理解し、同時に相手がしようとしていることを把握しようと努める。そういったことが僕にとって一番重要だ」
Q : 2008年シーズンにブレットがチームメイトである可能性をどう思う?
「さっきも言ったように、噂についてあれこれコメントしたくない。来るべきシーズンや自分のもらったチャンスに興奮している」
Q : 今後の3週間の休暇のあいだ、騒ぎからできるだけ離れる? 毎日の展開をチェックする?
「予定は何も変えないよ。今週はタホにいて、来週はL.A.、その後はグリーンベイ。それが僕のスケジュールで、何も変更はない」
- グリーンベイの Boys & Girls Club に寄付をするセレモニーに現れたマイク・マッカーシーHCは、記者からの質問にはノーコメントだったが、かわりに11歳の女の子が「ブレット・ファーヴは復帰するの?」と真っ向勝負。マッカーシーHCは「メディアの誰が君にその質問をさせたのか知りたいところだね(笑)。そう・・・その事柄についてはわれわれが今後対処するよ」と苦しい返答。ある子が「ブレット・ファーヴはなぜ引退したの?」と質問すると、別の子が横から「本当は引退してなかったんだよ!」と口を出して笑いがまき起こる場面も。
- 「テッド・トンプソンGMが現役続行を強く働きかけなかった」とファーヴの周囲が批判していることに関し、マーク・マーフィ社長。「テッドは不当な非難を受けていると思う。我々全員が集まって、現役続行してほしい、まだ十分プレーできる、とブレットに言ったのだ。彼はMVP級のシーズンを過ごし、スーパーボウルの一歩手前まで我々を導いてくれた。我々が現役続行を望んでいたことはブレット自身が知っている」
- サンディエゴでロジャースと練習していたWRジェームズ・ジョーンズ。「僕の電話が鳴りどおしだったぐらいだから、彼も当然(ファーヴ騒動の勃発は)気づくだろうと思ったよ。でも翌日ワークアウトに集まると、彼は 『(噂を心配する以外にも)毎日ほかにやることがあるさ』 という感じだった。落ち着いた人だよ。(ファーヴ復帰の)噂は前にも経験済みだから、彼は一日一日を大事にしてる。そして何かが起きたら、その時はその時だ」
- QBトレント・ディルファーは同じジェフ・テッドフォード門下とあってQBアーロン・ロジャースとは親しく、ロジャースが信頼するアドバイザーの1人らしい。このたび引退を発表したディルファーがロジャースについても語っている。「アーロンは信じられないほど精神的にタフで、非常に忍耐強い。ブレットと長く付き合うにつれ密接な関係を築き、ブレットから学べたことを感謝している。遠くから見ていてもブレットはあれほどすごいのだから、間近で学べるのはどれほど素晴らしいか想像はつくよ。しかし同時に、ブレットが引退して自分がエースになれることに、アーロンがとても元気付いていたのも事実だ。長く控えでいるのは鬱憤がたまることだろうしね。あそこではブレットが全てのカードを握っているわけだし」
- ファーヴについてディルファー。「もしブレットが復帰したとして、望みどおりに先発の座に戻ったとしても、この稼業ではいつ(大ケガによって)終わりが来るかわからない。NFL史上最も丈夫な選手なのはわかっているが、このリーグではあっという間に物事は変わってしまう。(たとえ今年も控えだったとしても)アーロンが頑張ってきた成果をしめす機会が、すぐに訪れるかもしれない」
- 4年目もまた控えに留まることは、ロジャースのNFLでの将来に悪影響を及ぼすのでは、という質問にディルファーはきっぱりと否定。「ノー。QBに有効期限などはないよ。しっかり対処すればね。アーロンは実際そのとおりにしてきたし、彼自身がこうした場合のお手本のようなものだ。興味深いことに、僕が見てきた中で最もしっかりと対処した2人がグリーンベイなんだよ。マット・ハッセルベックがグリーンベイにいたとき、下位指名の彼は先発候補じゃなかったけど、気持ちの中ではそのつもりで準備してきた。アーロンもマットと同じだ。プレー機会の多いオフシーズンやプレシーズンを大事にしている」
- 引き続きディルファー。「マットにもアーロンにもリーダーシップがある。生まれついてのリーダーだ。バックアップでいても、リーダーシップを発揮することはできる。何年も控えでいたが、アーロンはその点で立派にやっていた。自分の出番が来れば、きっと成功できるはずだ。スティーヴ・ヤングがサンフランシスコで経験したことは、とてもよい参考になる。彼は若いときに(タンパベイで)プレーして失敗もあったが、練習やプレシーズンでしっかりやっていれば、ちゃんと成長できるものだ」
- ブロンコスのQBジェイ・カトラーはファーヴと同じバス・クックが代理人。「ファーヴはまだプレーしたいのだと思うけど、グリーンベイの状況が複雑で、どうなるかは成り行きを見守るしかないね」と語っている。「バス・クックが何と言っていたか教えて」と質問されると、「バスはミシシッピの人だから、(南部訛りのせいで)言ってることが半分しか聞き取れない」とカトラー。「ちょっと待った。あなたもSEC(テネシー州のヴァンダービルト大)出身なんだから、わからんはずないでしょ」と突っ込まれるとしどろもどろに。
- 「ファーヴが正式な復帰願を提出の構え」との噂が一部に出ている。
2008年7月10日
ウィスコンシン各地を大型バスでめぐるふれあい企画、第3回"Packers Tailgate Tour"が始まった(公式サイトブログ)。今回の参加者はマーク・マーフィ社長、ボブ・ハーラン名誉会長に加え、RBブランドン・ジャクソン、WRジェームズ・ジョーンズ、RGジェイソン・スピッツという若手選手たちだ。 ファーヴ騒動が始まって以来パッカーズ首脳が公の場に姿を現すのはこれが初めてとあって、マーフィ社長にはメディアからもファンからも鋭い質問が飛んだ。コメントの内容は、復帰を思いとどまるようファーヴに直接話しかけているように聞こえなくもない。
Q : ブレットは復帰するでしょうか?
「ブレット自身も言っていたように、現時点では全て噂と憶測にすぎない。そして、3月の引退会見を思い起こす必要がある。非常に感動的で心のこもった記者会見だったし、彼にとって難しい決断の結果だったのはご存知のとおりだ。おなじ元NFL選手として、彼がいま体験している状況は、私には完璧に理解できる。フットボールから離れるのは非常につらいことだし、長くプレーした選手ならなおさらのことだ。彼の気持ちはとても揺れ動いていると私は思うし、過渡期に対処しようとしている最中だと思う。しかし現時点ではただの噂に過ぎず、それ以上の反応は我々にはできかねる」
Q : 彼が再びパッカーズのユニフォームを着るかどうかはわからない?
「私にはわからない」
Q : 今日のファンとのふれあいの中では、(ファーヴについて)質問攻めだったのでは?
「5歳の子供からも聞かれたよ。たくさんの人々の関心の的であるのは明らかだね」
Q : ファーヴ問題は3週間後のトレーニングキャンプ開幕までに決着する?
「もちろんそう願っている」
Q : この話題についてファンからの電話がたくさんかかって来る?
「いくつか電話をもらったよ。さっきの話に戻るが、私が思うに、フットボールに限らずどんなスポーツでも引退の決断は容易ではないし、どのようにキャリアを終えるかは容易なプロセスではない。自分の望むような終わり方はできないものだ。自分がどうすべきなのかブレットが非常に苦しんでいる、というのが現在の状況だ。あのエモーショナルな引退会見を見ればわかるように、彼と奥さんはとても苦しんであの結論を出し、あそこで心からの決断を下したのだ」
[ 火曜夜のテイルゲート・パーティに集まったフォンデュラクの人々への発言 ]
「非常にデリケートな状況であることをご理解いただきたい。それも、彼がパッカーズの歴史の中で特別な存在であればこそです。どんなプレーヤーも、徐々に辞めていくことなどできません。彼らを偉大な選手たらしめている強烈な競争心。それがあるからこそ彼らは常に競争を求め、次の挑戦を求める。しかし同じような興奮やアドレナリンをもたらすような 『次の挑戦』 など見つけるのは困難なものです。いま我々が見ているのはそういったことでしょう」
- CEOを退いて初めてのテイルゲート・ツアーに同行しているボブ・ハーラン名誉会長だが、聞かれるのはやはりファーヴ問題。「私が覚えているのは引退を決心した彼の姿だし、今日もまだそう感じている。心の奥底では、彼も同じように感じているのではないかと思う。どんな選手にとっても、去っていくのはつらいものだ。ゴルフのジャック・ニクラウスであろうと誰であろうと、絶頂期に背中を向けて去っていくのはね。だから(ブレットが迷うのは)私は全く驚いていない。そうでないほうが驚いただろう」
- 同じくツアー初参加のWRジェームズ・ジョーンズ。「ブレットは復帰しないと思う。その質問には答えられないよ。もし復帰するなら復帰するで構わないし、もししないなら、レッツゴー・アーロンだ」
- ファーヴのジャージを着た少年に、どのくらい強くブレットの復帰を願ってる?と質問をされたWRジェームズ・ジョーンズ。 「いいかい、アーロン・ロジャースが僕らのエースだ。僕はブレット・ファーヴと一緒にプレーできて素晴らしかった。彼は素晴らしいキャリアを、素晴らしいときに終えた。そして今はアーロン・ロジャースのときだ」
- いっぽうテッド・トンプソンGMとマイク・マッカーシーHCは休暇を終え、火曜日から仕事に復帰。Journal Sentinel紙は「ファーヴが何度もトンプソンGMに携帯メールを送ったが返事がない」と報じている。基本的にはファーヴ側の身勝手さを指摘するメディアが多いが、トンプソンGMの側がチーム側の考えを公にすべきでは、との声も次第に強くなりつつある。「ファーヴの復帰を許さなければ今月下旬の株主総会でファンのつるし上げにあうのでは」との声も。
- ロン・ウルフ元GMは、2001年春に引退してからはメリーランド州都アナポリス(海軍士官学校でも有名)に住んでいたが、ちかくグリーンベイに引っ越す予定とのこと。これまで同様、冬はフロリダの別宅で過ごすようだ。息子のエリオットは現在パッカーズのプロ人事副部長。妻のエディーは精神分析医で、ウルフのGM在任中は10年間にわたってグリーンベイで開業医をしていた。ウルフは引退後もシャーマン前HC/GMやトンプソンGMの招きで毎年夏のキャンプを訪れている。グリーンベイに移ったからといって、パッカーズの仕事をする予定はないとのこと。
2008年7月 8日
7巡10位 | Matt Flynn | Wide Receiver | San Diego State | Senior |
6-0 (185cm) | 200lbs (91kg) | 40yds/4.41秒 | 1985年6月21日生 |
経歴 : サンディエゴの北にあるカールスバッド市の出身で、高校の先輩には今年パッカーズに加わったLBブランドン・チラーがいる。高校ではWR兼Sとしてプレーし、野球や陸上でも活躍した。地元のサンディエゴ州立大に進むと3年目の2006年からフルタイムのスターターとなり、47回528yds、2TD。昨年はさらに大きく伸ばして58キャッチ973yds(平均16.8yds)、5TDを挙げ、それまでの3年間を足したよりも数字を稼いでいる。カンファレンスの2ndチームにも選出された。
Strengths : 飛びぬけた部分はないもののボディバランスがよく、キャッチ力もまずまず。頭がよく、ショートエリアで手薄なゾーンを見つけるのが上手い。ルート取りがよく、密集でのキャッチを恐れないタフさがある。リバース等でもよい結果を出している。またパントリターン経験もあり、昨年は(おそらく代役として)10回平均8.8ydsの成績を残している。
Weakness : エリート級のスピードや、CBをぶち抜くような爆発的な加速はない。キャッチは決して下手ではないが、ときどき手で捕らず体で受けてしまう癖がある。ランアフターキャッチのセンスはよいが、ディフェンダーを振り切るクイックネスに欠ける。下半身はしっかりしているものの全体的にまだ線が細く、バルクアップが必要。
メンタル面 : 2006年には指の腱を断裂しながら全試合に出場するなど、精神的タフさには定評がある。ワンダーリックテスト17点は平均以下だが、WRとしてはそれほど悪くない。
指名の経緯 : 無名選手のためコンバインには招待されなかったが、QBケヴィン・オコネル(3巡でNEへ)を見に来たスカウトたちの前で40yds走を4.41秒で走るなど、プロ・デイの出来がよかったため数チームの興味を引いた。その後パッカーズは彼をグリーンベイに呼んでワークアウトを見ている。
有望な若手が揃っているパッカーズWR陣だけに2人目のWR指名は意外で、チーム首脳の日ごろからのコメントどおり、その時点でのベスト・プレーヤーと評価したのだろう。「秋に現地を訪れたスカウトたちがQB相手のプレーも見てみたのだが、彼をとても気に入った。そこで先日グリーンベイにも呼んでさらに見てみたのだ。とてもよい選手だし、7巡だし、よいピックだと思っている」 とトンプソンGM。
パッカーズにとって : 即戦力WRは必要ない状況なので、あくまで将来性を買っての指名。ネルソン(2巡)と同じように、どちらかといえばミドルからショート寄りのオールラウンダーか。
昨年のWR陣は6人枠だったが、5人の年も少なくない。ドライバー、ジェニングス、ジョーンズ、ネルソン(2巡指名)までは開幕ロースター入りが間違いなく、ルヴェル・マーティンもほぼ確実とすれば、そこまでで5人枠が埋まってしまう。スウェインが6人目に滑り込むには、スペシャルチームでの活躍が不可欠。ミニキャンプではパントリターナーやキックオフリターナーとしてもテストされている。もしロースター入りできなければプラクティス・スクワッドの有力候補。
スピード : スピードのないレシーバー、という見方に本人は強く反発している。コンバインには招待されなかったが、大学でのプロ・デイでは4.41秒を出したと強調している。「僕のスピードについて、4.6秒級という見方ばかりされ、そのせいで全て(ドラフト指名)が影響を受けてしまったように感じている。スピードは僕のプレーの重要な部分だし、プロ・デイではそれを証明する必要があった」
白人レシーバー : 自分たちのような白人レシーバーが評価されるのは、ウェス・ウェルカー(NE)の大活躍のおかげだ、とスウェイン。「僕らのような選手たちがドラフトされたり注目されたりするのは、ウェス・ウェルカーのおかげだ。彼が台頭する前は、あのサンディエゴ州立の白人の子は誰だ、って感じだっただろう。彼のおかげで僕らの存在が認知されたと思う」
サンディエゴ州立大 : DEバジャ=ビアミラ(2000年5巡)の後輩にあたる。同大からパッカーズに指名されたのは、2005年のSマーヴィール・アンダーウッド以来3年ぶり11人目。パッカーズで80試合以上に出場した選手がCBウィリー・ブキャノン(在籍1972-78)、LBマイク・ダグラス(1978-85)、OGリッチ・モラン(1985-93)、そしてDEバジャ=ビアミラと4人もいる。中でもCBブキャノンはプロボウルに3回選ばれるなど、70年代パッカーズを代表する名選手の1人。LBダグラスはパッカーズの殿堂入り、OGモランはファーヴのデビューした1992年まで先発左ガードを務めていた。
2008年7月 7日
ブレット・ファーヴが本当に復帰を希望していると仮定して(じっさいそれを否定する報道はほとんど見られない)、パッカーズが取りうる4つの道を、Press-Gazette紙のロブ・デモフスキー記者が以下のように解説している。
1. 希望どおり復帰させる
実現の見込みは薄い。あらゆる状況証拠からして、パッカーズはファーヴ抜きですでに前に進んでおり、ポスト・ファーヴ時代をすすんで受け入れている。マッカーシーHCらオフェンスのコーチたちはロジャース向きのオフェンスを作ってきているし、それよりさらにポスト・ファーヴ時代を歓迎しているのはトンプソンGMをはじめとした人事部門。自らが指名したロジャースの活躍を見たがっているし、今年はさらに2人もQBをドラフト指名した。
2. 解雇して自由の身にする
前項で述べた理由により、ファーヴがあくまで復帰を望んだ場合には、これが現実的な選択肢となる。「ファーヴがすでに解雇を求めた」 「解雇を求めたがトンプソンGMが拒否」 「まだ解雇は求めていない」と相反する報道がなされている。過去にファーヴは「他のチームではプレーしたくない」と繰り返し述べてきたが、それらは全て引退する前のこと。パッカーズ側が自分を受け入れてくれないのなら、他チームでプレーする道を選ぶ可能性はある。
3. トレードする
パッカーズがタダで手放すことを望まない場合、この第3の選択肢がありうる。しかし「放っておけば解雇されてくるのだから」と相手チームが思えば、交渉が難航するかもしれない。ファーヴを手放す以上、トンプソンGMは比較的上位のドラフト指名権(たとえば2巡か3巡)を望むはずだが、わずか1年か2年しかプレーしない選手のためにそれだけの代償を支払うチームがあるかどうか。
ファーヴが復帰に本気になったとしても、新しいチームで新しいオフェンスを習得しなければならないことに、腰が引けるかもしれない。また、トンプソンGMには将来にわたって「ファーヴをトレードした男」というレッテルがつきまとうことになる。
4. 説得して現役復帰を思いとどまらせる
パッカーズにとっては最善の選択肢のように思われる。こうすれば、「ファーヴを街から追い出した」と数多くのパッカーズファンの怒りを買わずにすむ。
なお、ESPNのビル・ウィリアムソンがファーヴの移籍先候補としてNFL全球団について検証し、現実的な可能性としてはレイヴンズとテキサンズとバッカニアーズだ、と結論している(記事)。 またPress-Gazette紙のマイク・ヴァンダーマウスはコラムの中で、ファーヴの周囲がトンプソンGMを悪者にしようとしていることを批判。「マッカーシーHCが現役続行を説得に行っただけでは不満で、『トンプソンGMが熱心でなかった』 と責めるのか。一体いつから、そこまで甘やかされなければプレーできない選手になったのか。プレーをしたいのにチーム側が望んでいないと感じたなら、持ち前の負けず嫌いを発揮して競争し、チーム側が間違っていたことを証明すればいいだけではないか」と述べている。
2008年7月 6日
7巡2位 | Matt Flynn | Quarterback | Louisiana State | Senior |
6-2 (188cm) | 227lbs (103kg) | 40yds/4.80秒 | 1985年6月20日生 |
経歴 : テキサス州タイラー出身。高校では走れるQBとして大活躍し、4年時はパスで9TD、ランで12TDを挙げた。有力選手ひしめく同州でトップクラスのQBと評価されてニック・セイバン率いるルイジアナ州立大に進むが、不幸にも同期にジャマーカス・ラッセル(現OAK)がいた。3年間は控えに甘んじたものの、ラッセルが1年早くNFL入りした昨年先発QBに昇格し、同大をNCAA王座に導く活躍を見せた。オハイオ州立大とのBCSチャンピオンシップでも4TDを成功させ、優勝に貢献している。
2006年までの3年間はフィールドゴールのホルダーとして38試合に出場している。
Strengths : まずまずの肩の強さがある。フットワークがよくメカニックがしっかりしていて、リリースもクイック。ミドルレンジまでのパスのタッチがよくコントロールが正確。頭がよく、判断がしっかりしている。リーダーシップを含めた精神面は高く評価されている。40yds走のタイムではQBブロームに劣るものの、昨年215ydsを走って4TDを挙げるなど、実際のフィールドではけっこう足を活かしたプレーをしている。
Weakness : スケールの大きさを感じさせるものがなく、スターターの器でないと見られている。サイズが小さめで強肩ではなく、パスの正確性も「そこそこ」どまり。狭いところに合わせるタイミングも今ひとつ。プレッシャーをかわすクイックネスやアジリティに欠けるのか、ボールを持ちすぎてサックをくらう癖がある。先発経験が1年しかないため、相手ディフェンスの読みなど戦術眼にまだ未熟な点が多い。今オフに肩の手術を受けたのは減点材料だが、OTAやミニキャンプではすでに普通にプレーできている。
メンタル面 : ワンダーリックテスト26点はQBとしては平均的な数字。精神的にタフで気骨のあるタイプで、リーダーシップ、勝負強さといった"Intangibles"に優れた選手と見られている。
指名の経緯 : 事実上ロジャースの控えがいない状態でドラフトを迎えたが、2巡のQBブロームとあとはベテランのFA選手でまかなうだろう、という見方が一般的で、2人目のQB指名はやはり意外。「若手ばかりのQB構成でもかまわない」というマッカーシーHCのコメントが、強がりでなかったことが証明されたことになる。その後、パッカーズがドラフト前にQBダンテ・カルペッパーに$1ミリオンのオファーをして断られていたことが明らかになった。
フリンを指名した理由についてトンプソンGM。「我々はかなりマットを気に入っていて、それが7巡でも残っていたということだ。彼が残っていたのはとても驚いた。試合に強いタイプだ。ジャマーカス・ラッセルがいたために1年しか先発経験がないが、見れば見るほど我々は気に入ってきた。それにQBというのはデプスが重要なポジションだし、この3人がいればチームの助けになると思っている」
パッカーズにとって : 前述のように、一般的にはスターターの器ではないと見られていて、将来「頼れる2番手」に成長すれば十分だろう。キャンプの結果フリンの能力が物足りないと判断すれば、ロースター入りさせずに(昨年のように)QB2人体制をとる可能性もある。その場合はプラクティス・スクワッドの有力候補。
90年代にはドラフト下位指名からマーク・ブルネル、タイ・デトマー、マット・ハッセルベック、アーロン・ブルックスといった先発級QBを輩出したパッカーズだが、2000年以降はあまり成功していない。
控え期間の長さ : テキサス州の有力QBとして進学したものの、大学3年までQBジャマーカス・ラッセル(現OAK)の控えに甘んじた。しかし2005年シーズン末のボウルゲームでは、負傷欠場のラッセルに代わって初先発し、ランク9位のマイアミ大に40-3の大勝を収めている。初めてフルタイムの先発QBとなった昨年のLSUは、12勝2敗でみごと全米制覇。最後のBCSチャンピオンシップでも彼が4TDを挙げて優勝の原動力となっている。
3年間控えを務めた経験についてQBフリン本人は、「たしかにつらい状況だった。2003年にジャマーカスと一緒にLSUに入ったんだ。(先発はラッセルだったが)彼とは毎年タイトなバトルをしたし、大きな差があったとは思わない。そういった経験全てが将来の助けになると思いたい」と振り返っている。QBブロームと同期入団となったことについては、「ある意味で、僕とジャマーカスのいた状況と同じだね。お互いに切磋琢磨して、2人ともよりよく成長していけると思う」
肩の強さ : 「僕はアスレチックなプレーヤーだし、ほとんどのパスは投げられると思っている。大学時代にはストロングアームの持ち主でないと言われたけど、そりゃあジャマーカスが100yds投げるのを見れば、隣の僕は見劣りしてしまう」
ルイジアナ州立大 : LSU出身のパッカーズ選手といえばなんといっても殿堂入りFBジム・テイラー。しかしそれに次ぐ選手となるとDEアブナー・ウィンバリー(1950-52)の35試合出場が最多で、目立った活躍をした選手はいない。ドラフト指名は2000年7巡のRBロンデル・ミーリー以来で、フリンがパッカーズ史上10人目。移籍組ではSマーク・ローマン(現49ers)やDTケンドリック・アレン(現MIN)も同大の出身。
2008年7月 5日
- ブレット・ファーヴの噂で大騒ぎとなった翌日も、パッカーズ首脳からの公式コメントはなし。
- 現在ファーヴはreserve/retired リストに入っており、ロースター枠にはカウントされないものの、パッカーズの管理下にある。ファーヴが復帰したいと思えば、チームとNFL本部に書類を送付するだけでよく、チームは24時間以内にファーヴをロースターに入れるか解雇しなければならない。トレードするならいったんロースターに入れてから。どちらにせよ、もしファーヴが本気ならばパッカーズは困った立場に追い込まれる、という見方が強い。
- パッカーズがファーヴの復帰希望に困惑(または迷惑)、とする見方が主流である一方、「パッカーズ側の姿勢はシンプルで、プレーをしたいなら来ればいい、という構え」という情報筋の話を伝えるメディアもある。
- 元相棒のCフランク・ウィンタースは水曜(大騒ぎになった日)の朝にファーヴと話をしたが、本人は復帰話など何も口にしなかったとのこと。「復帰したら驚くか? いや、プロスポーツでは何があっても僕は驚かないね。マイケル・ジョーダンは何年か休んだ後で復帰したし、何が起こるかわからないよ。今の暮らしにうんざりしてカムバックするかもしれないし、やはりフットボールはもうたくさん、のんびりリラックスしたいと言うかもしれない」
- 元TEのマーク・チュムラは不祥事で退団したあとファーヴと疎遠になっているせいか、コメントにややトゲがある。「ブレットはメディアが大好きで、彼の兄弟もメディアが大好きで、代理人のバス・クックもメディアが大好きだ。彼が本当にプレーしたいのなら、直にテッド・トンプソンと話し合って 『自分はプレーしたい』 と言えばいい」
- 契約問題が注目されるRBライアン・グラントが地元ラジオ番組に出演し、「交渉は進展していて、間違いなく今後数週のうちに締結できるはずだ」と見通しを語った。EFAオファーにサインしていない彼はパッカーズの契約下にない状態なので、たとえキャンプを欠席しても罰金を科すことはできないが、さすがにトレーニングキャンプ前には折れるだろうという見方が一般的。
- 4日が独立記念日の休日なので、連休明けあたりからドラフト指名選手との契約交渉が活発になる見込み。
- CBウィル・ブラックモンは一昨年に骨折した右足が完全に治りきらず、昨季終了後にも手術を受けたが、今もまだ痛みがあるらしい。トレーニングキャンプから復帰できたとしても、練習量を加減しながらの参加となりそうだ。リターナーではビッグプレーをいくつも繰り出したものの、本業のCBの方ではトラモン・ウィリアムズにむしろ引き離されてしまっている。
- Supplemental Draft が来週行われるはずだったが、エントリーが1人もなかったため今年は取り止めとなった。ドラフト後に大学出場資格を失った選手たちがNFL入りするための補助ドラフトで、古くはQBバーニー・コーザーやWRクリス・カーター、最近ではOGマイク・ウォールやDTジャマール・ウィリアムズといったプロボウラーも輩出。昨年は10人がエントリーして2人が指名されていた。
2008年7月 4日
ブレット・ファーヴ現役復帰のこれまでで最大の噂が持ち上がった。ESPNのクリス・モーテンセン記者が情報筋の話として、「ファーヴはプレーしたいと願っていて、トレーニングキャンプ参加を望んでいる」と伝えたところから大騒ぎが始まった。Wisconsin State Journal紙も、「ファーヴ本人または代理人バス・クックが、過去数週のうちにパッカーズ側に復帰を打診したもののチーム側の反応は芳しくなく、最後は、(他のチームでプレーするための)解雇をファーヴ側が求めた」とする情報筋の話を伝えている。
マッカーシーHCもトンプソンGMもみなバケーションに入ってしまっているので、球団首脳からのコメントは全くなく、広報から「パッカーズからのコメントはありません」という一言だけ。
これまでの噂ばなしと違ったのは、ファーヴ家の人々がウィスコンシンのテレビ局のインタビューに答えたこと。ファーヴの兄スコットは、「本人がどうするつもりかはわからない。でもキャンプの時期が近づいてきているし、その気になってもおかしくはない。復帰の可能性は50-50だと思う。能力的にまだプレーできることに疑問の余地はない。体調はいいし、ちゃんとワークアウトもしている。だから、復帰しても僕は驚かない」と語っている。しかし「家族がファーヴに復帰を促している」とのESPN報道は否定し、「たしかに僕はまたプレーしてほしいと思ってるけど、彼には何も言っていない。またプレーするのを見たいという僕らファミリーの気持ちは彼にもわかっている。しかし全てはブレットしだいだ。彼がハッピーでないのならプレーしてほしくない」
いっぽうファーヴの母ボニータは、特にトンプソンGMへの恨み言とも思えるコメント。「過去2年間、ブレットはパッカーズが本当は現役続行を望んでいないような印象を持っていました。誰もはっきり口に出して言ったのではないけれど、細かいことが積み重なって、彼らが無理に彼をキープしたいと望んでいないように思えることばかりでした。まるで『君はもう終わりだ』と言っているような」
代理人バス・クックは、「私の知るかぎり、現時点では、ブレット・ファーヴは引退しているし、そうでなくなったと本人から聞かされるまでは、そういう状態だ」
水曜の夜になって、ファーヴと親しいビロキシ・サン・ヘラルドのおなじみアル・ジョーンズ記者にブレット・ファーヴ本人からメールがあり、「すべては噂にすぎない。根拠のない話だ」と否定。
CBアル・ハリスはESPNのNFL Liveに出演し、家族の話を裏付けるような証言。「僕はブレットと連絡を取り合っているけど、彼がまたプレーしたい気持ちであることは知ってる。本当に復帰するどうかは僕にもわからない。しかしプレーしたい気持ちは知ってるよ。今の僕らのクォーターバックはアーロンだ。ブレットは引退したんだから。しかし復帰したいのであれば別に構わないという連中もいるだろう。僕は腕を広げて彼を歓迎するよ」
このESPN出演後にWisconsin State Journal紙からコメントを求められたCBアル・ハリスは、「ファーヴと話したのはしばらく前のことだ。今の季節になれば、引退しようと現役であろうと、プレーしたい気持ちは出てくるものだ。彼がどうするつもりかは僕にはわからない。すべてブレットしだいだ。でも本当にプレーしたいのなら、プレーすべきだよ。他のチームでプレーする彼の姿を思い描けるか? いや、想像できないね。彼自身もきっとそうだろう。でもありえない話じゃない」
ESPNのモーテンセン記者はNFL関係者の話として次のようなコメントを載せていて、口ぶりからしてパッカーズ関係者であることを匂わせている。「ブレットがパッカーズに正式な復帰希望を提出すれば、チーム側はその通りにするか解雇するしかないが、それは推測に過ぎないし、そこまでは行かないと思う。我々はブレットの名声を大事に思っていて、彼もそうだと思うし、我々はそれを守りたい。ブレットの立派な人柄からして、球団側に決断を迫るところまで押すことはないだろう。彼は正しい行動を取る(復帰しない)と思う。こういった状況はだいたい予想できたことだ。シーズンが近づけばブレットがプレーしたくなるだろう、ということはね」
いっぽう、クリス・モーテンセンの誤報歴を指摘する記事もあり、「ヴィックは起訴されない見通し」 「イーライが4週から6週欠場」などと報じた過去の失敗の数々をあげつらっている。
2008年7月 2日
- 第12回NFLルーキー・シンポジウムが今週月曜からカリフォルニア州カールスバッドで開催されている。今年ドラフト指名された252人全員がホテルに3日間カンヅメにされ、NFL選手としての行動について、みっちり講習を受ける(2006年の記事参照)。講師として招かれる現役選手が必ずしも品行方正なタイプばかりでないのも特徴で、今年はDEジャレッド・アレン(KC→MIN)が過去のアルコール問題を含めて体験談を話すことになっている。
- LBニック・バーネットは昨年6月に起こした暴力事件に関する司法手続きが正式に終了し、完全に自由の身となった。3月に検察との間で「7月まで不法行為を行わず、アンガー・マネジメント(怒りの感情コントロール)のコースを受講し、$500ドルの罰金プラス訴訟費用を負担する」という条件で起訴猶予処分となっていて、このたびめでたくその条件を満たしたため。
- CBジャレット・ブッシュのガールフレンド、ジャクリン・ジョンソンはアリゾナ州立大の陸上選手で、このたび全米選手権の7種競技で2位に入って北京オリンピックへの出場を決めた。NCAA選手権では同種目で4回も優勝しており、4年前のアテネオリンピックにも出場している。そのときは12位に終わったが、今度は上位入賞なるか。彼氏がかすんでしまうほどの名選手たちが彼女の周囲にはおり、十種競技の王者ダン・オブライエンがコーチを務め、200m/400mの偉大なチャンピオン、マイケル・ジョンソンがスポンサー契約の代理人を務めているらしい。
- RBケヴィン・ジョーンズはライオンズを解雇されてから買い手がつかないため、ACL断裂からの回復ぶりを見せるための公開ワークアウトを行った。10チームが興味を示しているという触れ込みのわりには、パッカーズ、スティーラーズ、ドルフィンズ、ライオンズの4球団しかスカウトを送らなかった。
2008年7月 1日
5巡15位 | Breno Giacomini | Tackle | Louisville | Senior |
6-7 (201cm) | 303lbs (137kg) | 40yds/5.20秒 | 1985年9月27日生 |
経歴 : マサチューセッツ州モルデン出身。ブラジル移民の息子なので中学まではサッカーをプレーし、長身を活かしてフォワードやキーパーをしていた。高校時代はDEやLBとしてプレーし、高校3年目はフットボールを休んでバスケットボールで平均21得点(リーグ2位)の大活躍も見せている。ルイヴィル大に進むと1年目は控えTE兼OT、2年目はTEとして13試合に出場し、先発も2試合。3年目は左タックルとして2試合先発など両OTおよびセンターをプレーした。
4年目の昨季ようやく先発右タックルに定着し、QBブローム率いる全米6位(1試合平均488yds)の強力オフェンスに貢献した。ビッグ・イースト・カンファレンスの2ndチームにも選出されている。
Strengths : サイズに恵まれ、しっかりヒザを曲げてパスプロできる。まずまずのクイックネスでアウトサイドのパスラッシャーに対処できる。競争心が強く、ホイッスルが鳴るまで頑張る。体重242ポンドのTEとして入学し、TEと両OTを行ったりきたりしてきたので、伸びシロはかなり残っているはず。40yds走はそこそこだが、10ydsまでならOT中トップタイムで、20ydsシャトルや3コーンドリルも優秀。
Weakness : NFLの速いパスラッシャーを相手にするにはクイックネスやアジリティに欠けるので、LTよりRT向きか。ブルラッシャーをスローダウンさせるハンドパンチがなく、懐に入られて押し込まれやすい。タックルをプレーするにはアスレチック能力に欠け、ガードをプレーするには馬力やタフネスに欠ける、という評も少なくない。経験が浅く荒削りなので、NFLで一人前になるには手の使い方やフットワークなどテクニックを磨く必要がある。
メンタル面 : タフで激しいメンタリティの持ち主。ワンダーリックテスト24点はOLとしては標準的な数字。前回のOGジョシュ・シットンと同じく、飲酒運転で逮捕歴がある。今年のルーキーの中では最もよく喋る外向的な選手で、記者の側からすると面白いコメントが取れるありがたい選手らしい。
ライバルのケンタッキー大との試合前、敵地のファンに対して中指を立てる事件を起こしたことがある。公式に謝罪を行い、ヘッドコーチからの処罰(公共奉仕とダッシュ何本か)を受けた。「僕の過ちだった。二度とあのようなことは起こさない。ライバル校との試合で、気合が入りすぎてコントロールできなくなったしまった。僕は激しいタイプで、喋るのも大好きだ。どんどん声を出してチームを盛り上げるのが好きだけど、口だけの人間じゃない。言葉を実証することでリーダーシップを示す方だ」
パッカーズにとって : 先発の左右両タックルが30歳を過ぎたため、そろそろ後継者を考えるべき、という見方が一般的だった。4巡のシットンは大学では右タックルだったがパッカーズではガード専任、こちらのジャコミニは右タックルの控え候補となるようだ。
ドラフト直後のキャンペンOLコーチの話では両サイドをやらせてみるとのことだったが、入団からここまでは右タックル専門でプレーしている。先発OL5人(LGはバーバーとする)に加えてLGカレッジとRGシットンまで開幕ロースター入り確実と見られている。OL9人枠とすれば、あと2つの枠をこのジャコミニ、C/Gコストン、OTモール、OTトンプソンらで争うことになる。
長身OT : 長身の右タックルといえば、2003年6巡指名入団のOTブレナン・カーティン(ノートルダム大)はケガにも悩まされてモノにならず、1試合も出場できないままNFLから姿を消した。一般に長身すぎるOL選手は、たとえ直線スピードが速くても成功しないことが多く、スカウトから敬遠されやすい傾向がある。ジャコミニはOTAやミニキャンプで軽いフットワークを見せていてなかなか評判がよいものの、現状ではランブロッキングの迫力に欠けるようだ。これまでの経験則から、やはり長身すぎるのがマイナスに働くにでは、と懸念する声は消えていない。
元タイトエンド : 高校ではDEやLB、大学に入ってTEにコンバート、やがてOT兼任となり、3年目は代役左タックルやセンターを務め、4年目の昨季初めて先発右タックルに定着した。大学入学時は242ポンドだったが、昨年は303ポンド。それでも身長からすると線が細すぎるので、馬力をつけることが大事になるだろう。タイトエンドとしては通算パスキャッチ4回19yds・1TD。
「彼は元タイトエンドで、今もまだ大型ラインマンに成長しつつあるところだ。デカい骨格、デカい脚、非常にアスレチックだ。秋にルイヴィルに見に行ったとき、他の選手たちも全て見たが、彼はスタッフから非常に賞賛されていた。あの競争心の強さもいい」とトンプソンGM。
イタリア系ブラジル経由 : コテコテのイタリア系の姓名だが、まず曽祖父がイタリアからブラジルに移民し、そして両親がブラジルから合衆国に移民し、その1年後に彼が生まれたとのこと。父は191cmの長身サッカー選手で、母は173cmのバレーボール選手だった。親戚の住むマサチューセッツのブラジル系の多い街に移民し、父はビルのメンテナンスの仕事、母は掃除婦として5人の子供たちを育てた。ポルトガル語の家庭だったため、ジャコミニが小学校に入るときには英語の補助クラスも受講したという。
ブラジル系のNFL選手はジャコミニが初めてなのかどうか、NFL本部も確認できていないとのこと。
ルイヴィル大 : 2巡のQBブロームのチームメイトであり、RGジェイソン・スピッツの2年後輩でもある。パッカーズがルイヴィル大の選手を指名するのはRGスピッツ以来2年ぶり、QBブロームが6人目でOTジャコミニが7人目となる。その他にルイヴィル大といえば、QBダン・マリーノ時代のドルフィンズで活躍(プロボウル5回)したWRマーク・クレイトンが、1993年に1年だけパッカーズでプレーしている。2002年にセインツから高額FA移籍して失敗に終わったDEジョー・ジョンソンもルイヴィル大。