グリーンベイ・パッカーズ ニュース

2008年6月23日

球団経営は今年も堅調

7月の定例株主総会を前に、グリーンベイ・パッカーズの昨会計年度(3月まで)の収支報告をマーク・マーフィ社長が行った。NFL球団の中で収支が明らかになるのは市民所有であるパッカーズだけなので、毎年ちょっとした注目が集まるイベントだ。今回も堅調な内容ではあったが、プレーオフ2試合をホームで行ったにしては期待はずれの観があるのも否めない。総収入が$218ミリオンから$241ミリオンへと約10%アップしたにもかかわらず、支出の上昇はその2倍近い19.6%で、そのため利益は$22ミリオンから$23.4ミリオンへの伸びに留まっている。

他球団の数字がまだ出ていないので順位はわからないが、今年も総収入ランキングでNFLの9位から16位に入るものと見られている(昨年は11位)。レベニュー・シェアリングをさらに補完する仕組みとして、上位15位までの球団は下位の球団のために、順位に応じて何ミリオンかずつ支出しており、パッカーズは毎年支払う側に入っている。

支出増の最大の要因は、$110.7ミリオンから$124.7ミリオンへと増えた選手サラリー。サラリーキャップ額の上昇が各球団の収入増のペースを上回っているのだ。大物FAは補強しなかったパッカーズだが、WRドライバー、RTタウシャー、TEリー、DEジェンキンズ、LBバーネットといった中心選手との契約延長を積極的に行ったことでボーナスの支出が膨らみ、トンプソンGMとマッカーシーHCも今年1月と2月に契約延長をしている。

ナショナル・レベニューとはNFLの特徴であるレベニュー・シェアリングの対象となる収入で、NFLが一括して管理し、各球団に配分するもの。前年の$124ミリオンから$135ミリオンに増えている。そのうち64%の$87ミリオンがテレビ放映権によるものだ。

いっぽう独自の努力で他球団と差をつけられるのがローカル・レベニューで、チーム成績躍進のおかげもあり、前年の$93ミリオンから$105ミリオンへと大きくアップさせている。地元テレビ局(試合中継ではない)やラジオ局との契約、各種スポンサー契約などマーケティング収入、プロショップのグッズ販売、ランボーフィールドのアトリウムでの収入など。プロショップとアトリウム収入だけで、その半分近い$50.2ミリオンを稼ぎ出している。(前年の$40.7ミリオンから23%増)

マーク・マーフィ社長は、「収入の伸びを上回る勢いで支出が増えている。それはサラリーキャップ増がナショナル・レベニューの伸びを上回っているためで、我々にとって大きな懸念材料だ。オーナー側が現行の労使協約の早期終了を決めたのもそのためだ」と述べている。

2006年3月に締結された労使協約の期限は2013年までだったが、オーナー側が期間を短縮できるオプションが設定されていた。今のままでは経営を圧迫するとして、今年5月に行われたオーナー会議で、2010年限りで現労使協約を打ち切ることが全会一致で可決された。もしこのまま新協約が締結できなければ、最終年の2010年はサラリーキャップなしとなる規定なので、2009年シーズンのうちに新労使協約を締結することが重要となる。

大富豪オーナーを持たないパッカーズは、いざというとき(サラリーキャップなしの完全自由競争になるなど)にも球団が存続でき競争力を保てるよう "Packers Franchise Preservation Fund" という準備金制度を作っている。一昨年は$17.8ミリオン、昨年は$10ミリオンを積み増したが、今年の積み増しは$2ミリオンだけで、基金の総額は$127.5ミリオンとなっている。

チャリティ関連の支出が約$5ミリオンにも増えたことや、最近ランボーフィールド周辺(西側)の土地の取得を進めていることも支出増の要因とのこと。将来の拡張に備えたもので、その用地に今すぐ何を作るというわけではないようだ。

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