経歴 : マサチューセッツ州モルデン出身。ブラジル移民の息子なので中学まではサッカーをプレーし、長身を活かしてフォワードやキーパーをしていた。高校時代はDEやLBとしてプレーし、高校3年目はフットボールを休んでバスケットボールで平均21得点(リーグ2位)の大活躍も見せている。ルイヴィル大に進むと1年目は控えTE兼OT、2年目はTEとして13試合に出場し、先発も2試合。3年目は左タックルとして2試合先発など両OTおよびセンターをプレーした。
4年目の昨季ようやく先発右タックルに定着し、QBブローム率いる全米6位(1試合平均488yds)の強力オフェンスに貢献した。ビッグ・イースト・カンファレンスの2ndチームにも選出されている。
Strengths : サイズに恵まれ、しっかりヒザを曲げてパスプロできる。まずまずのクイックネスでアウトサイドのパスラッシャーに対処できる。競争心が強く、ホイッスルが鳴るまで頑張る。体重242ポンドのTEとして入学し、TEと両OTを行ったりきたりしてきたので、伸びシロはかなり残っているはず。40yds走はそこそこだが、10ydsまでならOT中トップタイムで、20ydsシャトルや3コーンドリルも優秀。
Weakness : NFLの速いパスラッシャーを相手にするにはクイックネスやアジリティに欠けるので、LTよりRT向きか。ブルラッシャーをスローダウンさせるハンドパンチがなく、懐に入られて押し込まれやすい。タックルをプレーするにはアスレチック能力に欠け、ガードをプレーするには馬力やタフネスに欠ける、という評も少なくない。経験が浅く荒削りなので、NFLで一人前になるには手の使い方やフットワークなどテクニックを磨く必要がある。
メンタル面 : タフで激しいメンタリティの持ち主。ワンダーリックテスト24点はOLとしては標準的な数字。前回のOGジョシュ・シットンと同じく、飲酒運転で逮捕歴がある。今年のルーキーの中では最もよく喋る外向的な選手で、記者の側からすると面白いコメントが取れるありがたい選手らしい。
ライバルのケンタッキー大との試合前、敵地のファンに対して中指を立てる事件を起こしたことがある。公式に謝罪を行い、ヘッドコーチからの処罰(公共奉仕とダッシュ何本か)を受けた。「僕の過ちだった。二度とあのようなことは起こさない。ライバル校との試合で、気合が入りすぎてコントロールできなくなったしまった。僕は激しいタイプで、喋るのも大好きだ。どんどん声を出してチームを盛り上げるのが好きだけど、口だけの人間じゃない。言葉を実証することでリーダーシップを示す方だ」
パッカーズにとって : 先発の左右両タックルが30歳を過ぎたため、そろそろ後継者を考えるべき、という見方が一般的だった。4巡のシットンは大学では右タックルだったがパッカーズではガード専任、こちらのジャコミニは右タックルの控え候補となるようだ。
ドラフト直後のキャンペンOLコーチの話では両サイドをやらせてみるとのことだったが、入団からここまでは右タックル専門でプレーしている。先発OL5人(LGはバーバーとする)に加えてLGカレッジとRGシットンまで開幕ロースター入り確実と見られている。OL9人枠とすれば、あと2つの枠をこのジャコミニ、C/Gコストン、OTモール、OTトンプソンらで争うことになる。
長身OT : 長身の右タックルといえば、2003年6巡指名入団のOTブレナン・カーティン(ノートルダム大)はケガにも悩まされてモノにならず、1試合も出場できないままNFLから姿を消した。一般に長身すぎるOL選手は、たとえ直線スピードが速くても成功しないことが多く、スカウトから敬遠されやすい傾向がある。ジャコミニはOTAやミニキャンプで軽いフットワークを見せていてなかなか評判がよいものの、現状ではランブロッキングの迫力に欠けるようだ。これまでの経験則から、やはり長身すぎるのがマイナスに働くにでは、と懸念する声は消えていない。
元タイトエンド : 高校ではDEやLB、大学に入ってTEにコンバート、やがてOT兼任となり、3年目は代役左タックルやセンターを務め、4年目の昨季初めて先発右タックルに定着した。大学入学時は242ポンドだったが、昨年は303ポンド。それでも身長からすると線が細すぎるので、馬力をつけることが大事になるだろう。タイトエンドとしては通算パスキャッチ4回19yds・1TD。
「彼は元タイトエンドで、今もまだ大型ラインマンに成長しつつあるところだ。デカい骨格、デカい脚、非常にアスレチックだ。秋にルイヴィルに見に行ったとき、他の選手たちも全て見たが、彼はスタッフから非常に賞賛されていた。あの競争心の強さもいい」とトンプソンGM。
イタリア系ブラジル経由 : コテコテのイタリア系の姓名だが、まず曽祖父がイタリアからブラジルに移民し、そして両親がブラジルから合衆国に移民し、その1年後に彼が生まれたとのこと。父は191cmの長身サッカー選手で、母は173cmのバレーボール選手だった。親戚の住むマサチューセッツのブラジル系の多い街に移民し、父はビルのメンテナンスの仕事、母は掃除婦として5人の子供たちを育てた。ポルトガル語の家庭だったため、ジャコミニが小学校に入るときには英語の補助クラスも受講したという。
ブラジル系のNFL選手はジャコミニが初めてなのかどうか、NFL本部も確認できていないとのこと。
ルイヴィル大 : 2巡のQBブロームのチームメイトであり、RGジェイソン・スピッツの2年後輩でもある。パッカーズがルイヴィル大の選手を指名するのはRGスピッツ以来2年ぶり、QBブロームが6人目でOTジャコミニが7人目となる。その他にルイヴィル大といえば、QBダン・マリーノ時代のドルフィンズで活躍(プロボウル5回)したWRマーク・クレイトンが、1993年に1年だけパッカーズでプレーしている。2002年にセインツから高額FA移籍して失敗に終わったDEジョー・ジョンソンもルイヴィル大。