グリーンベイ・パッカーズ ニュース
2008年7月29日
ホームを離れてキャンプを行うチームも少なくないが、グリーンベイが涼しいこともあって、パッカーズは地元ファンの前で毎年キャンプを行う。選手たちはグリーンベイ南郊デピア市にあるセント・ノーバート大学の学生寮で合宿生活(2人1部屋)を行い、毎朝チームバスでランボーフィールドに通ってくる。ミーティングや着替えを済ませると、スタジアムの出入り口で待ち構える子供たちの差し出す自転車に乗り、道の反対側にある練習場クラーク・ヒンクル・フィールドに向かう(略図)。セント・ノーバート大を利用するのは1958年以来、今年で51年目。キッズファンの自転車に乗るのはヴィンス・ロンバルディHC時代に始まったようなので、これも約半世紀にわたる伝統だ。
ファンの見学はもちろん無料で、よい位置で見るためには朝早くから場所取りしなければならない(夜の練習は比較的すいている)。悪天候の場合は隣にある屋内練習場ドン・ハトソン・センターに移り、非公開練習となる。マッカーシーHCは休養を重視し、昨年から朝・夜・昼という練習ローテーションを採用。毎週1回の全休日を置くのもNFLでは珍しい試みだ。そのおかげかどうかわからないが、昨年はケガの少ないシーズンを送ることができ、今年も同じパターンとなった(スケジュール表)。朝・夜とある場合、かならず夜の方にフルパッド練習がある。
ファーヴ騒動にかまけて各ポジション分析をサボったので、せめて今トレーニングキャンプの注目点を、攻・守・STの順で挙げてみることにする。公式サイトのデプスチャート(オフシーズンは掲載されない)が公開されたのでそちらも参照のこと。
- 注目はなんといってもクォーターバック。殿堂級QBの後継者という十字架を背負わねばならぬ上に、今回の騒動で「ファーヴの復帰希望を退けるほどのQBなのか」というアーロン・ロジャースへのプレッシャーはいっそう強くなってしまった。ロジャースが負傷した場合に2巡指名のQBブライアン・ブロームにスターターが務まるのか、という点も問題。ベテランの控えを獲っておくべきでは、という見方は依然としてある。
- オフェンス唯一の先発争いは左ガード。表向きは「アレン・バーバーとダリン・カレッジに平等にプレー機会を与える」という建前になってはいるものの、もし今試合をするならバーバーが先発らしい。カレッジは2年間先発を務めてきたが不安定さが払拭できず、バーバーの方がインサイド向きのタフさやアグレッシブなメンタリティがあると見られている。
- 今年もまたランブロックの向上が課題。昨季のラン成績はRBグラントの一発ロングゲインに助けられたが、ショートヤーデージが確実に取れない弱点は依然として残っている。
- 控えRB争いはRBブランドン・ジャクソンが大きくリードしている印象。3番手の座をヴァーナンド・モレンシー、ノア・ヘロン、デショーン・ウィンの3人が争うか。グラントの契約問題が長引くようだとエラいことになる。
- 控えWR争い。公式デプスチャートでは3番手ジェームズ・ジョーンズ、4番手ルヴェル・マーティン、5番手ジョーディ・ネルソンの順のようだ。ジョーンズが3番手の座を守れるのか、2巡指名のネルソンがキャンプ中に上がっていけるのか、なかなかハイレベルな争いと言えるだろう。
- 控えTE争い。公式デプスチャートでは2番手がトリー・ハンフリー、3番手が3巡指名のジャーマイケル・フィンリーという序列になっている。ドラフト外の2人にロースター入りのチャンスはあるのか。
- ディフェンスの注目は先発ストロングサイドLB争い。2年間先発を務めてきたブレイディ・ポピンガがいるところへブランドン・チラー(2年総額$6.3ミリオン)を獲ったので先発交代かと思いきや、ポピンガと総額$17ミリオンの5年契約を結んでしまった。2人とも控えLBとしては高すぎる金額で、いったいどういうつもりなのか。チラーはLB全ポジションこなせる器用さがあり、バーネットやホークが負傷した場合の安心感が大幅にアップしたのはたしかだ。ポピンガはスペシャルチームやパスラッシャーとしても貢献できる。
- もう1つの先発争いはフリーセーフティ。先発4年目のニック・コリンズに、プロ2年目のアーロン・ラウスが挑戦する。過去3年間先発を務めながら伸び悩んできたコリンズだが、首脳陣からは意外と信頼されているらしい。
- ディフェンシブタックル。ライアン・ピケットの先発の座は動かないが、その相棒がどうなるのか。コーリー・ウィリアムズのトレードとケガ人続出で層が薄くなってしまった。先発予定だったジョニー・ジョリーは肩のケガに加えて薬物問題で出場停止のおそれがあり、昨年の1巡指名のジャスティン・ハレルは背中のケガでまだプレーできない。ダニエル・ムーア、コンラッド・ボルストン、アルフレッド・マローンといった選手たちが、成長次第では先発を脅かすチャンスが出てくるかも。
- 控えディフェンシブエンド。先発左DEアーロン・キャンプマンに次ぐ2番手はプロ3年目のマイケル・モンゴメリーの予定だが、4巡指名ルーキーのジェレミー・トンプソンの追い上げにも期待。
- 控えCB。3番手/ニッケルバックはトラモン・ウィリアムズが確保したようなので、3年目のウィル・ブラックモンと2巡指名のパトリック・リーが4番手/ダイムバック争いか。昨年の今ごろは3番手だったジャレット・ブッシュは、今夏はセーフティにもチャレンジする模様。
- ポジション争いとは関係ないが、今年のパッカーズ守備は多彩なブリッツを増やしていく、との触れ込みだ。ボブ・サンダースDCのディフェンスは相手にとって非常に予測しやすい、という批判が絶えず、またマッカーシーHCからも、もっとアグレッシブにという内意があったらしい。ただ、オフシーズンの間は「今年はアグレッシブにする」と喧伝してもシーズンが始まると元通り、ということがNFLでは多いので、どうなるか。
- ロングスナッパー。長年務めてきたロブ・デイヴィスが引退し、出場経験のない選手同士の争いとなった。公式デプスチャートでは、25歳のトーマス・ギャフォードではなく新人のJ.J.ジャンセンが1番手となっているのが注目される。ふつうデプスチャート上では、同格の実力があれば新人は後ろに回るものなので、すでにジャンセンが大幅リードということなのか。
- リターナーはパント、キックオフともCBトラモン・ウィリアムズが1番手と表示されているが、CBウィル・ブラックモンが完全復帰できれば再逆転もありそう。リターンゲームはフルコンタクト練習をしないものなので、(昨年のブラックモンのように)プレシーズン4試合でアピールできた選手がチャンスをつかむだろう。