グリーンベイ・パッカーズ ニュース

2008年7月12日

ロースター展望 RB編

昨季序盤は大不振に見舞われたRB陣だが、グラントが台頭してくれたおかげで今年はまずまず安心して見ていられるユニットとなった。ただグラントの契約問題がこじれた場合は、低レベルの先発争いに再突入する。グラントがぶじ合流した場合の注目は2番手・3番手争い。現時点ではジャクソンが2番手として大きくリードしていて、残りの選手たちで3番手を争うものと見られている。ドラフト指名が予想されていたが結局指名はなく、ドラフト外でジョージア大のクレッグ・ランプキンを獲得したのみ。

ロースター枠は通常3人。昨年4人枠だったのはキャンプでケガ人が多かったためだろう。グラントとジャクソンは当確で、最後のイスを4年目のモレンシーとヘロン、2年目のウィンで争う。実績ではモレンシー、器用さと信頼性でヘロン、ポテンシャルでウィンといったところか。

ライアン・グラント Ryan Grant

ノートルダム大ではジュリアス・ジョーンズの影にかくれ、2005年のドラフト外でジャイアンツに入団。2年間まったく出場機会がなかったが、昨年開幕直前に6巡指名権とのトレードでパッカーズに移り、第8週ブロンコス戦で負傷のウィンにかわってスターターに昇格すると、目覚しい活躍を見せてRB陣の救世主に。第8週以降プレーオフを含めた12試合で1186yds(平均5.2yds)と目覚しい働きを見せた。今春はEFAとしての1年契約にサインせず大型契約を求めているが、キャンプに間に合わないとチームとしては困ったことになる。

ビジョンが非常によく、的確な穴を選んで迷わず突っ込むので、ゾーンブロッキングのスキームにぴったり合っている。一瞬の加速が鋭く、第一線を突破したあとのカットバックも効果的なので、一発ロングゲインが少なくない。(プレーオフでは2回ファンブルしたものの)ボールセキュリティもまずまずで、1stダウンや2ndダウンのランに関しては、もう課題は多くない。

未熟な点としてはパスキャッチ(昨季は1回平均わずか4.1yds)、ブロッキング、スクリーンパスでの動きなど。昨季はまだ3rdダウンで安心して使えなかったので、今年はそういった細かい技術を向上させ、真のエヴリダウン・バックに成長したいところ。精神的にしっかりしていて天狗になるタイプではないとはいえ、今春のOTAやミニキャンプに参加できなかったことが成長の妨げになる恐れはある。

ブランドン・ジャクソン Brandon Jackson

ネブラスカ大から昨年のドラフト2巡指名で入団。モレンシーとの先発争いは不戦勝の形で開幕を迎えたが、OL陣のランブロッキング不振とあいまって平均2.4ydsしか走れず、3試合で先発の座を失った。いったん3番手まで下がったもののシーズン終盤には再び2番手に昇格し、最終戦で113ydsラッシング、プレーオフでもパスキャッチTDを記録するなど、まずまずの形でシーズンを終えた。今オフの成長はいちじるしいと首脳陣は強調している。

スピードもクイックネスも十分あり、時にはタックラーを引きずるような馬力も見せるが、グラントに大きく劣るのはゾーンブロッキング適性か。ホールを選ぶところで躊躇する傾向があり、肝心の穴に突っ込む瞬間にスピードが下がってしまうことがある。課題だったブロッキングは向上し、パスプレーやスクリーンでも巧い動きを見せる。このぶんなら3rdダウンバックとしてやっていけるのは間違いないが、エースが不在のときに安心して先発を任せられる優秀な2番手RBになれるかどうか、今年の成長が注目されている。

ヴァーナンド・モレンシー Vernand Morency

2005年ドラフト3巡でオクラホマ州立大からテキサンズに入団。2年目シーズンの序盤にパッカーズにトレードされ、91回421yds(平均4.6yds)の好成績を残した。RBアーマン・グリーンの抜けた昨季は先発争いが期待されたが、キャンプ初日にヒザを負傷して回復に時間がかかり、若手3選手の後塵を拝する結果に。復帰後は経験と技術を活かして3rdダウンバック役を務め、グラントに並ぶ30キャッチを記録。しかし一昨年のような鋭いカットバックからのロングゲインは見られなかった。

パスキャッチもブロッキングもそつなくこなすが、ジャクソンもヘロンも同じような3rdダウンバックのタイプで、今夏は熾烈な3番手争いが待っている。もう先発の座を脅かす存在ではなく、今年は話題に上ることさえ少ない。すでに28歳で伸びシロがなさそうなのもマイナス。

ノア・ヘロン Noah Herron

ノースウェスタン大から2005年の7巡指名でスティーラーズに入団、プラクティス・スクワッドにいたところをパッカーズが獲得した。器用さと安定感が認められて3rdダウンバックに定着するが、3年目の昨季はプレシーズン最終戦でヒザを負傷し、インジャリーリザーブでシーズンを終えた。かなりの努力家で、ウィンとは正反対。鋭い加速やクイックネスには欠けるが、ビジョンや戦術眼に優れ、ブロッキングもしっかりしているので首脳陣から信頼されている。モレンシーやウィンとの3番手争いだろう。

デショーン・ウィン DeShawn Wynn

フロリダ大から昨年の7巡指名で入団。大学時代から問題児との評判だったが、NFL入り後もやはり精神面が課題だ。昨夏は異例の長時間説教付きでかろうじて開幕ロースターに残ったが、それもモレンシーとヘロンのケガのおかげだった。ジャクソンの不振でスターターに昇格し、4試合で平均4.1ydsとまずまずの働き。しかしその間もわずかなケガでサイドラインに下がるなど、首脳陣からもタフネスを疑問視され、グラントが台頭するとあっさりインジャリーリザーブへ。

230ポンド級のガタイで4.4秒台で走るなど身体能力は申し分なく、RBとしてのセンスもいい。問題は体作りや体調管理といった部分で、今オフにもRBコーチが「毎日同じレベルの努力を続けられるようでなければ」と公にコメントするなど、精神的な幼さが大きな課題として残っている。才能だけでプレーしてきた彼が真のプロに成長できればロースター入りなど簡単なはずだが、現実はモレンシーやウィンとの3番手争いで、今夏はかなりの頑張りが必要だろう。

クレッグ・ランプキン Kregg Lumpkin

ジョージア大からドラフト外で入団したルーキー。40yds走は4.64秒。高卒時は全米トップクラスのRBと評価された選手だが、大学ではケガに苦しみ、4年間合計で1699yds(平均5.3yds)、17TDにとどまっている。大学1年目はハムストリング、2年目のキャンプでヒザの前十字靭帯(ACL)断裂。1年休んで3年目は9試合に先発して798yds(平均4.9yds)を挙げるが、昨年は親指骨折のうえ再びヒザの手術を受け、4試合で計12回しかキャリーできなかった。

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