6巡24位(全体193位)指名のRBジェームズ・スタークス(バッファロー大)について。
5巡38位(全体169位)指名のT/Gマーシャル・ニューハウスについて。
Sチャーリー・ペプラー Charlie Peprah との再契約が発表された。ペプラーはアラバマ大出身の27歳。2006年5巡指名でジャイアンツに入団するが開幕前に解雇されてパッカーズに移り、3年間おもにスペシャルチーマーとしてプレーした。昨夏のキャンプでヒザを負傷してインジャリーリザーブに入り、その後"Injury Settlement"に合意して解雇。ヒザが回復したシーズン半ばにファルコンズと契約したが出場はわずか2試合にとどまり、RFAとなるはずだった今春はファルコンズからオファーがなく無制限FAとなっていた。
もうプロ5年目だけに先発組を争うポテンシャルがないことははっきりしており、Sデリック・マーティンと同様スペシャルチーマーとしての補強ではないか。先発コンビに加えて3巡指名ルーキーのSSモーガン・バーネットは開幕ロースター入りが確実、最後の枠をマーティンとペプラーが争う形になりそう。セーフティ兼任だったジャレット・ブッシュを、リハビリ組の多いCBに専念させる効果はあるかもしれない。
入れ替わりにTEデヴィン・フリシュネクトが解雇された。昨年ドラフト外入団からトレーニングキャンプでよい動きを見せたフリシュネクトだったが、プレーシーズンゲームで右脚の脛骨と腓骨を骨折する重傷(つまりすねの骨が両方ぶち折れた)を負いインジャリーリザーブへ。今回の解雇がケガによるものか、5巡指名TEクウォレスに押し出された結果なのかは不明。
昨年12月に首を大けがしたOLBジェレミー・トンプソンは、その後の回復が思わしくなく、本人は引退する考えを明らかにした。チームは解雇扱いとしている。OLBトンプソンはウェイクフォレスト大から2008年4巡指名でパッカーズに入団し、2年目の昨夏は新人クレイ・マシューズとの先発争いに敗れた。12月4日の練習中にRBランプキンと激突して首を負傷(記事へ)、脊柱管狭窄症と診断され、何人もの専門家を訪ねて診断を仰いでいた。
OLBジェレミー・トンプソンは球団を通して次のような声明文を発表している。「数多くの医師の診断を受けた結果、医学上の問題から僕はフットボールからの引退を決意した。グリーンベイでのキャリアを通してサポートしてくれたパッカーズ球団とファンに感謝したい。パッカーズはファーストクラスの球団であり、僕にNFLでプレーする機会をくれたことに感謝している。プレーしたいと思う球団は他にはないと心から思っている」
パッカーズでは2005年2巡b指名のWRテレンス・マーフィ(テキサスA&M)も、同じようにルーキーシーズンに首を負傷してけっきょく引退に追い込まれている。(記事へ)
5巡23位(全体154位)指名のTEアンドリュー・クウォレスについて。
2日目に3巡でトレードアップしたため4巡指名権がなく、5巡から7巡はトレードなしですんなり進んだ。ニーズ的に予想どおりだったのは1巡のOTブラガ、3巡のSSバーネット、6巡のRBスタークスあたりで、それ以外は予想外のポジションが並んでいる。トレードダウンがなかったのは2年連続。指名総数7名はトンプソンGM時代に入って最少。
2010 Green Bay Packers Draft Picks | |||||
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Pick | 全体 | Pos. | Name | College | 備考 |
1巡23位 | 23位 | OT | Bryan Bulaga | Iowa | LTクリフトンの後継者になれるか |
2巡24位 | 56位 | DE | Mike Neal | Purdue | 3-4のDEにぴったり |
3巡 7位 | 71位 | SS | Morgan Burnett | Georgia Tech | SSビグビーをプッシュしてほしい |
4巡24位 | 122位 | 3巡トレードアップのためイーグルスへ譲渡 | |||
5巡23位 | 154位 | TE | Andrew Quarless | Penn State | アスレチック能力の高いTE |
5巡38位 | 169位 | T/G | Marshall Newhouse | TCU | 身体能力のわりに実戦でもろい |
6巡24位 | 193位 | RB | James Starks | Buffalo | 万能RBタイプ |
7巡23位 | 230位 | DE | C.J. Wilson | East Carolina | DEジェンキンズ似のハードワーカー |
パッカーズの今年最後は7巡23位(全体230位)でDE C.J.ウィルソン(イーストカロライナ大)を指名。DEが2人も指名されたのは驚きだ。3-4のOLBにコンバートするタイプではなく、評価記事を読むとDEカレン・ジェンキンズに似たタイプに思える。
Strengths : 激しいプレースタイル。力強いタックラー。クイックな動きで腕をうまく使ってOLを追い詰め、下からもぐるようにポケットを崩すこともできる。競争心が強く、タフな頑張りでサイズ不足を補う。左右両サイドをこなし、パスシチュエーションではインサイドからラッシュするヴァーサタイルなプレーヤーで、つまり3-4のDE向きのタイプ。「文句なしのチームリーダー」という評判で、精神面はしっかりしている。インタビュー映像での話しぶりも悪くない。
Weaknesses : サイズもアスレチック能力もエリートDE級のものはない。守備範囲はそこそこ。スペースでのプレーは不得手に見える。パスラッシュのバリエーションがまだ少なく、技を増やす必要がある。
その他 : 本名はClifford James Wilson。同じC.J. Wilson表記のセーフティがパンサーズにいるうえ、今年はノースカロライナ大でDE E.J.ウィルソン(SEA4巡指名)という選手がいてややこしい。イーストカロライナ大といえば90年代に活躍したLBジョージ・クーンスがいる。
パッカーズは6巡24位(全体193位)でRBジェームズ・スタークス(バッファロー大)を指名。大学3年目までに計3140ydsを走り、昨秋時点では2巡か3巡クラスと目されていたが、肩の手術のために2009年シーズンをまるまる棒に振っている。
Strengths : 大きめのサイズでスピードも十分。加速がよく、ホールを鋭く駆け抜ける。レシービングのうまい万能バックで、素早くパスルートに出てカバレッジを振り切る。パスプロテクションでは、技術は未熟ながら熱心に取り組む。2年目シーズン半ばで先発RBの座をつかみ、3年間で計3140yds(平均4.5)、34TDを量産。パスキャッチも127回898ydsを記録している。コンバインでは順調な回復ぶりをアピールし、とくに20ydsシャトルと3コーンドリルはトップクラス。
Weaknesses : 昨年8月に肩の手術を受けて2009年シーズンを全休している(今は完全に回復)。走る姿勢が高い。このサイズならもう少しパワフルな走りがほしい。タックラーをかわす動きが物足りない。ブロッキングの展開を見極める忍耐がいまひとつで、早くカットバックしすぎて穴を逃すことがある。アウトサイドでタックラーを振り切るエリート級のスピードはない。
その他 : バッファロー大といえば、かつてパッカーズで Director of Player Development を務めていたターナー・ギルがヘッドコーチだった(今年からカンザス大HCに)。これまでバッファロー大出身でパッカーズで試合に出場した選手はおらず、RBスタークスが球団史上初となる。以下のビデオでは同大史上最高のRB、と紹介されている。
パッカーズは5巡38位(全体169位)でOTマーシャル・ニューハウスを指名。大学ではずっと先発左タックルを務めてきたが、ガード向きとの見方も。
Strengths : 分厚い体つきと素晴らしい身体能力の持ち主で、コンバインでのどの数字もトップクラス。一歩目が鋭く、セカンドレベルへの到達が速い。しっかり腰を落とし、素早い横へのステップで、アウトサイドのパスラッシャーをポケットから押し出す。同大の左タックルとして過去3年間スターターを務め、欠場が一度もない。
Weaknesses : フィールド上での嗅覚がいまひとつで、身体能力を生かし切れていない。ブリッツやスタントの判断が悪く、アサインメントミスが多すぎる。一発目のパンチの後、イヤらしさに欠け、最後までしっかり仕留められない。スペースでのブロッキングで動くターゲットを捕らえるのに苦労する。NFLで左タックルをやるには腕の長さなどサイズが物足りないので、ガード向きかもしれない。
その他 : 伯父ロバート・ニューハウスはかつてカウボーイズで活躍した名フルバック。父ジョンはヒューストン大でプレーし、コットンボウル出場3回。従兄たちもベイラー大やライス大でプレーしたフットボール一族。
パッカーズは5巡23位(全体154位)でTEアンドリュー・クウォレス(ペン州立大)を指名。今年3人目のビッグ10カンファレンスからの指名だ。
Strengths : アスレチック能力とサイズに恵まれ、十分なバルクがある。パスキャッチ力も水準以上で、体から離れたボールや密集の中でも捕ることができる。フィールドをストレッチする加速力がある。通常のタイトエンドの他にスロットやHバックとしてもプレーしてきた。4年間で47試合出場(29試合先発)、パスキャッチ通算87回1146yds、8TD。LSUとのボウルゲームでは8回88ydsの活躍で勝利に貢献した。2008年まではいろいろ問題を起こしたが、昨季はチームリーダーの1人だった。
Weaknesses : メンタル・タフネスや練習熱心さにはやや疑問府がつく。ブロッキングはこの1年で向上してきたが、まだ不安定。見た目のサイズのわりにパワーに欠けるところがある。フィールド外で問題を起こしている。2007年には未成年飲酒で2試合出場停止、2008年にも飲酒運転などでスプリングキャンプと1試合出場停止を受けている。
その他 : すでに昨年12月に卒業をすませている。パッカーズでペン州立大といえば、戦前に活躍した殿堂入りラインマンマイク・ミカルスキ、ロンバルディ時代のLBデイヴ・ロビンソン、最近ではRGマルコ・リヴェラがおなじみ。
3巡7位(全体71位)指名のSSモーガン・バーネット(ジョージア工科大)について。
2巡24位(全体56位)指名のDEマイク・ニール(パデュー大)について。
パッカーズは3巡7位(全体71位)にトレードアップしてSSモーガン・バーネット(ジョージア工科大)を指名。15スポットトレードアップするために4巡指名権をイーグルスに譲渡している。2巡のDEニールとは逆に、SSバーネットは2巡末あたりの評判の多かった選手。
Strengths : サイズ・パワー・アスレティック能力とすべてに恵まれている。ランへの反応やパスへの飛び込みなど嗅覚がよく、頭のよいプレーをする。パスの読みとボールスキルに優れ、通算14インターセプト(昨季6INT)を記録している。ゾーンカバレッジでの守備範囲もまずまず広く、1on1でもスロットのレシーバーについていける。読み間違いから追いつくスピードもある。大学3年間で40試合(先発28試合)に出場して欠場ゼロ。
Weaknesses : アグレッシブになりすぎてプレーに安定感を欠くきらいがある。ランサポートが不安定で、アングルを誤り、アームタックルになりやすい。パワーランに対してインサイドを埋めるにはサイズがイマイチかもしれない。パスプレーでは一発を狙いすぎて裏目に出ることがある。
その他 : 兄キャムはジョージア大で1998年から2002年まで活躍。従兄のブルース・ソーントンはカウボーイズと49ersでプレーした。ジョージア工科大といえばパッカーズではなんといってもRBドーシー・レヴェンズ。
パッカーズは2巡24位(全体56位)で予想外のDEマイク・ニール(パデュー大)を指名。「残っている最高の選手」方針によるものか、ジョニー・ジョリーの出場停止リスク、両スターターが今年契約最終年ということも考慮したのか。ニール自体も2巡指名選手としてはノーマークに近く、かなり意外な指名らしい。大学では4-3のDTをプレーしており、3-4のパッカーズはDEをプレーさせるつもりのようだ。
Strengths : 3-4のDEにはぴったりのサイズとアスレチック能力の持ち主。クイックネスに優れ、手の使い方が上手いので、相手ラインマンとしては捕まえにくい。横方向の動きがよく、サイズのわりに迫力のあるパワーラッシュでポケットを押し込む。ハードワーカーで、笛が鳴るまで止まらないモーターの持ち主。リーダーシップも高く評価されている。4年間で46試合に出場、うち24試合に先発。通算13サック、ロスタックル26回。
Weaknesses : 上半身も下半身もまずまず強いが、横幅が狭い。腕が短め。パワーラッシュに頼り、相手OLを崩すパスラッシュのバリエーションが物足りない。「NFLでDTをやるには馬力や横幅の点で物足りない」といった評価記事が多く、たしかに3-4のDE向きと感じられる。
その他 : 1巡指名のOTブラガに続いてビッグ10カンファレンスからの指名。パッカーズでパデュー大といえば、1940年ごろの名パサー、セシル・イズベルがいる。注目されていなかった選手なのでYouTube等にハイライト映像が見当たらない。
パッカーズは1巡23位指名でOTブライアン・ブラガ(アイオワ大)を指名。ドラフト1巡前半の予想が多かった選手だが、パッカーズの順までにOTが3人しか指名されず、予想外のスライドとなってパッカーズが手に入れることができた。指名時のビデオはこちら。ドラフト会場で長時間待たされ後、ホッとした本人の様子がわかる。
Strengths : 優れた体格とアスレチック能力に恵まれ、しっかりしたテクニックでプレーする。素早くセットし、柔軟かつバランスのよいフットワークで相手パスラッシュを無力化できる。ランブロッキングでは最初の動きが鋭く、パワフルなパンチでラインバッカーを料理する。バックサイドのブロッキングもよく、カットバック・レーンを作り出せる。笛が鳴るまで動き続けるタフなプレーぶりで、しっかりとどめを刺すことができる。頭のよい選手で、ガードとの連携もよい。バタバタせず、ミスを引きずらない。
フィールド外で問題を起こしたことはなく、人格的には申し分ない。先月21歳になったばかりのアーリーエントリーながら、3年間(左ガードで1年弱、左タックルで2年)の先発経験がある。必要ならば右タックルやガードもできると見られている。(実戦で平凡なわりに)コンバイン等でアスレチック能力をやたら発揮する選手もいるが、彼は実戦で大きな実績を残してきた。
Weaknesses : 身体能力は最高クラスとは言えないかもしれない。左タックルとしては腕がやや短い。上半身とくらべ下半身のパワーは改善の余地があり、強力なブルラッシュに押し込まれやすい。いったん捕らえたら強いが、スピンムーヴなどインサイドへの変化に苦しむことがある。アウトサイドへのランプレー等では広いスペースでターゲットを捕らえるのに苦しむかもしれない。昨年はウィルス性甲状腺炎のために3試合を欠場している。
その他 : ウィスコンシン州境からわずか20kmほどのイリノイ州ウッドストック(地図)で、ベアーズファンとして育った。アイオワ大はDEアーロン・キャンプマンの母校であり、ジョー・フィルビンOCがかつてOLコーチを務めていた大学でもある。
2010年NFLドラフトがいよいよ日本時間23日朝に迫った。以下はすべて日本時間。
2010年のNFLレギュラーシーズンスケジュールが下表のとおり正式発表された。
Packers 2010 Regular Season Schedule | ||||||
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Date | Opponent | Time | 米TV | 備考 | ||
9/12 | @ | Philadelphia Eagles | 4:15 p.m. | FOX | ||
9/19 | Buffalo Bills | 1:00 p.m. | CBS | |||
9/27 | @ | Chicago Bears | 8:30 p.m. | ESPN | Monday Night | |
10/3 | Detroit Lions | 1:00 p.m. | FOX | |||
10/10 | @ | Washington Redskins | 1:00 p.m. | FOX | ||
10/17 | Miami Dolphins | 1:00 p.m. | CBS | |||
10/24 | Minnesota Vikings | 8:20 p.m. | NBC | Sunday Night | ||
10/31 | @ | New York Jets | 1:00 p.m. | FOX | ||
11/7 | Dallas Cowboys | 7:20 p.m. | NBC | Sunday Night | ||
- | - | Open Date | - | - | ||
11/21 | @ | Minnesota Vikings | 1:00 p.m. | FOX | * | |
11/28 | @ | Atlanta Falcons | 1:00 p.m. | FOX | * | |
12/5 | San Francisco 49ers | 1:00 p.m. | FOX | * | ||
12/12 | @ | Detroit Lions | 1:00 p.m. | FOX | * | |
12/19 | @ | New England Patriots | 8:20 p.m. | NBC | Sunday Night | |
12/26 | New York Giants | 4:15 p.m. | FOX | * | ||
1/2 | Chicago Bears | 8:20 p.m. | FOX | * |
注: 時間はすべて米東部標準時
モックドラフト集の第4回。先日トンプソンGMがOT補強を軽視ぎみの発言(ブラフかも)をしたせいか、OT予想が少し減った印象。Sporting News誌は3巡パンター指名予想を意地でも変えない。
今ドラフトでのパッカーズのニーズ分析、最後はディフェンシブバックおよびスペシャルチームについて。
チャールズ・ウッドソンがディフェンスMVPを獲得する大活躍のいっぽう、アル・ハリスは第11週にヒザの前十字靭帯(ACL)を断裂してシーズンエンド。3番手のトラモン・ウィリアムズが代役スターターとしてまずまずの働きをした。4番手ウィル・ブラックモンと5番手パット・リーもシーズン序盤にインジャリーリザーブに入っていたため、1、3、6番手の3人でプレーオフを戦わなければならなかった。
今年はウッドソンが33歳、ハリスが35歳のうえリハビリ途上で、開幕からバリバリ働くのはおそらく無理。2008年2巡指名のパット・リーは伸び悩んでおり、将来スターターに成長すると期待するのは楽観的すぎる。そのため今年のドラフトでは、目先のデプスのためにも、将来のスターターを育てるためにも、上位指名を使ってタレントを確保したいところだ。1巡指名の予想も多く、遅くとも3巡までには指名がありそう。
FSニック・コリンズは2年で13インターセプトを量産して連続プロボウル選出。先月には大型の契約延長にもサインした。しかしSSアタリ・ビグビーはいまひとつで、ビッグプレー不足だけでなく、彼のカバレッジミスがシーズン終盤のパス守備崩壊の一因となった。今年が契約最終年だが、契約延長の話はない。控えのデリック・マーティンとマット・ジョルダーノ(すでに解雇)は純粋なスペシャルチーマーで、先発組を脅かすポテンシャルはない。
躍進したディフェンスがさらに上を目指すためには、SSビグビーのところをいずれアップグレードしたいところ。展開しだいではドラフト上位指名の可能性もある。控えの層の薄さ・レベルの低さを考えると、悪くても下位指名はあるはず。
パンターはジェレミー・カピノスがネット34.1yds(NFL最下位タイ)の不振で、すでに退団。ドラフト外でパンターを2人獲得しているが、実績はまったくない。FA市場でベテラン獲得に動かなかったことを考えると、ドラフト指名の可能性はかなり高いのではないか。ただ、今年のドラフトはパンターが不作らしい。
キッカーはメイソン・クロスビーがFG成功率75%の25位タイと不振のシーズンだったが、Pカピノスとちがって首脳陣の信頼はさほど揺らいでおらず、このまま留任となりそうな情勢。ドラフトは、下位で魅力的な選手がいれば考えてもいい、といった姿勢で臨むのではないか。2007年に6巡c指名でクロスビーを獲得したのもそうした流れだった。指名しない場合、ドラフト外で競争相手を獲るかもしれない。
ロングスナッパーはブレット・グードが2年間ミスがなく、補強の必要はなし。
リターナー とくにパントリターナーの人材不足が深刻で、前職のCBブラックモンがACL断裂からのリハビリ途上ではなおさらだ。WRやCBでリターナーを兼ねられる選手ならありがたいし、ドラフト指名がうまく行かなければ開幕直前まで補強の可能性はある。
今ドラフトでのパッカーズのニーズ、今回はLBおよびDLについて。
右サイドではドラフトでトレードアップして獲ったOLBクレイ・マシューズが大当たり。10サック、45.5プレッシャー、35ノックダウン(すべてチーム最多)を挙げ、新人ながらプロボウルに繰り上げ出場した。いっぽう左サイドではアーロン・キャンプマンの「OLB不向き説」がほぼ的中。OLBとしての柔軟な動きができず、チームとしてはむしろ彼が戦線離脱したあとのブラッド・ジョーンズの方がよかった。今春はキャンプマンがFAで退団し、ジョーンズが仮スターターとなっている。
ジョーンズは7巡ルーキーにしては大健闘だったが、パスラッシュでは荒々しい迫力に欠け、(すくなくとも現状では)スターターとして物足りない。マシューズが止められるとプレッシャーが全くかからないことが、PIT戦やプレーオフでの大量失点の原因だった。
といったわけで、パス守備向上のためにはパスラッシュの強化が不可欠だ。ジョーンズの成長やILBブランドン・チラーをアウトサイドで起用する手もあるが、やはりドラフトでパスラッシャーを獲りたい。LTやCBと並んで、ニーズ的には3本柱といってよく、1巡指名の可能性は高い。
ニック・バーネットが予想以上のペースでACL断裂から復活し、A.J.ホークもまずまずの働き。ブランドン・チラーも万能ぶりを発揮して実質ホークと並立スターターを務め、昨年12月には契約延長(記事へ)も済ませている。かなり充実したユニットといってよく、この3人で問題ないだろう。
ホークは今年が契約最終年なのでトレードしてもおかしくはないが、これまでそういう噂はまったく出てきていない。控えでは、今年4年目のデズモンド・ビショップ(こちらも契約最終年)がやや伸び悩み中。キャンプ練習では期待感をいだかせるものの、実戦で出場機会をもらうと大きなミスが多い。
順当ならば昨季と同じこの4人で来季開幕を迎える可能性が高く、たとえホークが来年いなくなってもチラーを先発させればよいとチームは考えているのではないか。ドラフトのニーズとしてはかなり低く、指名があるとしても下位のはず。
右サイドのカレン・ジェンキンズと左サイドのジョニー・ジョリーが期待を大きく上回る活躍で、ディフェンス躍進の原動力となった。2人がフル出場したうえNT兼任のB.J.ラジもローテーションにも加わるので、実力・デプスとも十分だった。
控えは6巡ルーキーのジャリアス・ウィンとベテランのマイケル・モンゴメリーで、内部情報ではドラフト外のロナルド・タリーの評判がいい。今春は、3-4に不向きのモンゴメリーがFAで退団。腰の問題で昨季を棒に振ったジャスティン・ハレル(2007年1巡指名)は今春はここまで順調らしいが、いつまた腰痛が再発しないともかぎらない。ジョリーが有罪となれば出場停止処分必至なので、デプス的には多少不安がある。
ジョリーが契約最終年を迎え、(たとえ無罪判決が出ても)やや契約延長しづらい問題児タイプ。またジェンキンズも4年契約の最終年で、ぜひ契約延長したいところだが、本人は4-3のチームを望んで渋るかもしれない。体作りが重要なポジションなので早めに後継候補を確保して育てる必要があり、今ドラフトでは意外に上位指名があるかもしれない。ただ、3-4のDEはあまり派手なパスラッシュ力を必要としない「縁の下の力持ち」タイプで十分なので、DEとDTのトゥイーナー的な選手がドラフト中位以降で手に入りやすい。
ライアン・ピケットが期待以上の働きでライン中央をしっかり固め、1巡指名のB.J.ラジも粗削りながらポテンシャルの高さを示した。3番手にはアンソニー・トリビオがいて、シーズン末にプラクティス・スクワッドから昇格し、1試合だけ出場した。
今春ピケットと大型契約(記事へ)を結んだのは、ラジが2年目から安心してスターター任せられる、とまで確信が持てなかったからか。または、ラジのパスラッシュ力をアテにして今後もDE兼用で使いたいからか。それでも、DEとくらべてニーズは低く、魅力的な素材がいれば下位指名がある程度だろう。
今ドラフトでのパッカーズのニーズ、今回はOLおよびTEについて。
長年オフェンスを支えてきた両OTが高齢化し、今ドラフトでの最重要課題となった。RTマーク・タウシャーはヒザのACL断裂からの復帰がようやく昨季半ば。LTチャド・クリフトンも足首のケガに苦しみ、途中退場4試合、欠場4試合。当初タウシャーの後継者に選ばれたRTアレン・バーバーはパスプロ不振でオフェンスを大混乱に陥れ、世間からは完全にスターター失格と見なされている。4巡ルーキーのT.J.ラングが左右タックルで奮闘したおかげで、かろうじて4勝4敗から盛り返すことができた。(昨季OLの変遷はこちら)
今春はLTクリフトンと3年$20ミリオン(記事へ)、RTタウシャーと2年$8.7ミリオン(記事へ)で再契約し、なんとか現状維持は確保することができた。しかしそれぞれ33歳、32歳の彼らと高額契約せざるをえなかったのは、これまでドラフト指名がうまくいかなかった裏返しでもある。テッド・トンプソンGMが2005年に就任して以来のOL指名は以下のとおり。
Ted Thompson's Offensive Linemen Draft Pick | ||||
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Year | Pos. | Name | Round | 結果 |
2005 | C/G | Junius Coston | 5 | モノにならず4年目に解雇 |
2005 | OG | William Whitticker | 7 | モノにならず2年目に解雇 |
2006 | G/T | Daryn Colledge | 2 | 先発LGをしっかり確保できず今夏はピンチか |
2006 | C/G | Jason Spitz | 3 | ケガでウェルズに先発Cを奪い返される |
2006 | T/G | Tony Moll | 5 | モノにならず昨夏にBALへトレード |
2007 | T/G | Allen Barbre | 4 | 満を持して先発RT昇格したが大失敗 |
2008 | OG | Josh Sitton | 4 | 不動の先発RG。唯一の大成功指名 |
2008 | OT | Breno Giacomini | 5 | いまだメド立たず今夏の生き残りも難しそう |
2009 | T/G | T.J. Lang | 4 | 今夏はRTタウシャーに挑戦か。先発LG挑戦も |
2009 | OT | Jamon Meredith | 5 | 1年目の開幕ロースターに残れず(現BUF) |
こうしてみると、「指名がうまくいかなかった」というより、両ベテランに頼ってタックル補強を後回しにしてきたツケがついに回ってきた、という方が近い。最高位指名のダリン・カレッジがガード、2番目のジェイソン・スピッツがガード/センターで、タックルは4巡や5巡ばかり。上位指名が当たり前のプレミア・ポジションがこれでは、スターターが育たないのも無理はない。
とはいえ、両ベテランが再契約し、右タックルではT.J.ラングがタウシャーをプッシュしてくれそうなので、現状はどうにもならないほどの戦力不足ではない。ただ、両ヒザに持病を抱えるLTクリフトンが契約満了まで3年間先発を続けてくれると期待するのはいささか無理があり、今年か来年のドラフトで必ず上位指名して後継LTを引き当てる必要がある。問題は1巡23位でよいタックルが残っているかどうか。手が届く範囲なら思い切ってトレードアップするかもしれないし、逆に残っていなければトレードダウンしてディフェンス補強に充てる可能性もある。
右ガードでスターターに昇格したプロ2年目のジョシュ・シットンは昨季OL陣最高の働きを見せ、将来のプロボウラーと期待されている。しかし左ガードでは不動のスターターのはずだったダリン・カレッジが大スランプで、被プレッシャー数もランブロッキングミスの数もチーム最多。今夏はジェイソン・スピッツと先発争いをすることになりそうだ。
センターでは昨夏いったんジェイソン・スピッツがスターターに選ばれたが、序盤から腰のケガで苦しむ間にスコット・ウェルズがプロ入り最高の働きを見せ、先発センターの座をがっちり固めてしまった。スピッツはあらためてチャレンジャーとなり、もし先発LG争いで敗れれば、インサイド3ポジションすべての控えを兼ねることになる。
シットン、ウェルズ、カレッジ、スピッツとそれなりに先発経験のある選手がインサイドに4人揃い、またT.J.ラングも先発LG争いする力がありそうなので、今年はドラフト指名の重要度は高くない。世間のモックドラフトではガード/センターを上位指名する予想もあるが、ここに上位指名権を使うのはぜいたくというもの。あっても下位指名だろう。
プロ2年目のジャーマイケル・フィンリーがプレーオフを含め13試合で61回835ydsを記録し、有力なレシービングTEに成長。実質3番手レシーバーとしてオフェンスの幅を広げてくれた。あとは慢心せず成長を続けてくれればよく、当分スターターの心配はせずにすみそうだ。いっぽうベテランのドナルド・リーは落球などミスが目立ち、あっさりと先発の座を明け渡した。3番手は元ラインバッカーのスペンサー・ヘイヴナーが予想外の急成長を見せ、プレーオフを含めて5TDを記録。まだ伸びシロはありそうなので、3番手クラスとしては申し分ない。
バランスの取れた陣容が整い、今年は補強の必要はなさそう。ケガさえなければ昨季と同じ3人で来季開幕を迎えるのではないか。ドラフト指名はあったとしても下位、よほど魅力的な素材がいた場合だけだろう。
昨年のドラフトでパッカーズに指名された選手たちが、そのときの様子を振り返っている。ドラフト候補選手がドラフト当日をどのように過ごすものなのか、そういった様子もわかって興味深い。
「その日はニュージャージーの自宅で、ファミリーと一緒に過ごした。NFL NetworkとESPNのクルーが撮影にやってきた。たぶんそれが一番カッコよかったところだ。朝の10時ごろだったか、家のまん前に両社のトラックが止まってセッティングを始めて、いよいよ現実になるんだと僕も実感が沸いてきた。正直言って、すこし緊張した。僕を指名する可能性のあるチームがたくさんあって、なんだか目が回りそうだった。5位から12位とか15位ぐらいまで、文字通りどこになってもおかしくなかった」
「本当は(5位の)クリーヴランドになると思ってたんだ。直前になって、クリーヴランドのスタッフが僕の教授に電話をかけたりボストン・カレッジの教務課に来ていろいろ僕のことを調べていたから。そこまでするなら指名するに決まってると思ったし。でも彼らは5位指名権をジェッツにトレードして、僕は 『こうなったらさっぱり分からん』って気持ちだった。8位のジャガーズの番が来て待っていると、フロリダの番号から僕の電話にかかってきた。『おおっこれはジャクソンヴィルか!』 と思って出たら、オーランドに住む友達の母親。周りのみんなは 『はああああああ』 って力が抜けたよ。『あのすみません、ブルックスさん。あとでかけ直してもいいっすかね?』 と答えるしかなかった(笑)」
「そしてその次にテッド(トンプソンGM)から電話が来て、僕を指名してくれた。『B.J.、こちらはグリーンベイ・パッカーズのテッド・トンプソンだ。どうしてるかね』 『元気です』 『パッカーになりたいかね』 『もちろんです。パッカーになれるのは名誉なことです。ありがとうございます』 という会話だったのをよく憶えてる」
「その後は兄弟や友人でリムジンを借りてちょっとしたドラフト・パーティを楽しんだ。翌日の日曜日、僕はパッカーになるんだと実感が沸いてきた。ドアベルが鳴って出てみると、CD2枚が置いてあった。近所の人がドラフトをビデオに撮って焼いてくれたんだ。そのディスクをプレーヤーに入れて、前日のドラフトをもう一度観ることができた」
「カリフォルニアの実家でファミリーや親しい友人たちと一緒にいた。ESPNのカメラクルーが撮影に来ていたよ。どのピックも、指名選手の名が呼ばれるまでほんと長く感じた。ひょっとして携帯の圏外なのか、電話を受け損ねたかと心配になったぐらいだ。どのくらい待ったのか憶えていないけど、2、3時間だろうか。なにしろテレビカメラがずっと僕を見ているものだから、他のヤツが先に指名されたからといって嫌な顔をするわけにもいかない。真面目な顔で謙虚な態度を保ち、内心はイライラしても表面はハッピーな様子でいなければならなくて」
「そして26番目。ペイトリオッツの指名順で残りは1分半だった。(音沙汰がないので)これは指名されないと僕にも分かった。するとエリアコード920番から電話がかかってきた。僕は知らなかったけど、それがグリーンベイ・パッカーズだったんだ。彼らの順番じゃないから、(他球団の様子を?)探りを入れてきただけかと思った。でも実際はパッカーズがトレードアップして僕を指名。ご存じのとおりね。歴史ある球団の一員になれることが嬉しかったし、同時に、もう待たなくていいのが単純に嬉しかった。ドラフト前の努力が実を結び、新たの一歩を踏み出せることも」
「シャンパンを取り出してちょっとお祝いをしたけど、それほどの大騒ぎじゃなかった。家族や友人と一緒に過ごしただけ。よい時も悪い時も僕を支えてくれた人たちだ。本当にいい日だった。正直言ってその後はもうドラフトなんて全然観なかったよ。テレビを消してみんなとゆっくり楽しんだ。でもしばらくして、チームはトレードアップするために2巡と3巡指名権を手放したのだということに、僕は打たれた。どれだけ僕を欲しがってくれたか、ディフェンスの柱石になるとどれだけ期待されているか。そういうことを考えると、自分が成功するためにまさにぴったりの環境に入っていくのだと僕は実感した。その球団の一員になれることにものすごく興奮したし、トレードした甲斐があったと思いたい」
「指名は2日目だと確信していたから、初日は家族や友人数人と一緒に観ていただけ。ドラフト中は電話をかけてくるなとみんなに言っておいたんだ。電話が鳴るたびに驚かなくて済むようにね。すごく落ち着いていたし、ドラフト初日の晩はぐっすり眠れた。ナーバスになる選手が多いのは知ってるけど、僕は(2日目の)日曜の朝はすごく張り切って起きたよ」
「ウチは相当なビッグ・ファミリーだから、『ファミリーと一緒に』 と言った場合、30人か40人ってことになる。だからその日はちょっとした宴会場を借り切って、大きなプロジェクターでドラフトを観た。食事をしたりおしゃべりを楽しみながら。実を言うと、指名してくれそうな球団を僕は数チームに絞り込むことができてた。グリーンベイもその1つ。ドラフト前の球団訪問をして、これこそ僕にぴったりだと思った。球団も、街も、そこに住む人々も。グリーンベイから帰ってきたとき、『自分がグリーンベイでプレーしているのが見える』 と代理人に言ったほどだ」
「僕は何度も代理人に電話をして、次のグリーンベイの指名はいつだと確認した。彼らは1巡で2つ指名をして、そのために4巡まで指名がなかったからね。そして全体109位になって、僕の電話が鳴った。エリアコード920番だ。その時はグリーンベイだとは知らなかったけど。最初に出たのは(管理スタッフ)のマット・クラインで、すぐにテッド・トンプソンGMと替わったから、僕を指名するのだと分かった。『グリーンベイ・パッカーズでプレーしてみないか』 『もちろんです』 それから他のコーチとも話をした。コーチ・フィルビン(OC)、コーチ・キャンペン(OLコーチ)、コーチ・フォンテノー(アシスタントOLコーチ)。ごく短い会話だったけれど、家族とこの時を楽しめと彼らは言ってくれた」
「本当に素晴らしい経験だった。電話が鳴って、僕の名前がスクリーンに大写しになる瞬間を家族と楽しむことができた。大歓声が上がって、母や姉は涙ぐんだりしていた。本当にプライスレスなフィーリングだったよ。過去4年間努力してきたこと、そしてコンバインやプロデイのための猛練習・・・そういったことが実を結んだ瞬間だった。1日じゅう笑いどおしだったからアゴが痛くなってしまったのを憶えてる」
今ドラフトでのパッカーズのニーズをまとめてみる。今回は下記の4ポジションについて。
2008年2巡指名のQBブライアン・ブロームに早くも見切りをつけ、先発アーロン・ロジャース、2番手マット・フリンの2人体制でシーズンを乗り切った。ロジャースが立派なフランチャイズQBに成長したので当分はスターターの心配はないが、ファーヴほどの頑強さがあるわけではなく、あれだけヒットを喰らって欠場せずにいてくれる幸運が今後も続く保証はない。フリンはプロ2年間で着実な成長を見せたものの、しょせんスターターの器でないことははっきりしている。たとえばロジャースが骨折して1ヶ月休んだとき、少しでも星を拾ってプレーオフの望みをつなげてくれるような頼りになる控えQBがほしいところ。
パッカーズのことなのでFAでベテランQBを獲る様子はないが、2人体制を続けることも考えにくいので、今年はそろそろドラフト指名があるはず。ロン・ウルフ元GM時代は1992年から1999年まで7人ものQBをドラフト指名し、一人前に育ててはトレード材料にしていた。今春マッカーシーHCはティム・ティーボウ(フロリダ大)などプロ・デイを精力的に回り、QBたちをチェックしている。育てがいのありそうな選手を下位で指名する可能性が高いが、よほど魅力的な選手が残っていれば3巡あたりで指名してもおかしくない。
ライアン・グラントが1253yds(平均4.4yds)を走り、プロボウルにあと一歩で繰り上げ出場できる活躍。控えRB陣は馬力のアーマン・グリーン(33歳)と3rdダウンバックのブランドン・ジャクソンで、まずまずバランスの取れた陣容だった。派手なプレーは少ないが、グラントはファンブルロストがわずか1回。それでも優勝を狙うとなると、もうひとつ飛び道具が欲しいのは事実で、3rdダウンバックにビッグプレー能力を加えたいところ。また、グラント自身も3年間フル出場しているので、そろそろ大きなケガがあってもおかしくない時期にさしかかる。
再びFAとなったグリーンとの再契約をパッカーズは今のところ見送っており、ドラフトかFAでなんらかの補強があるのは確実。つい先日は「ブライアン・ウェストブルック(元PHI)に興味」と報じられたばかりだ。「先にFA補強を済ませてドラフトでは他の要補強ポジションに注力」というのもひとつの方法であるし、逆に「ドラフトでよいのが獲れなければFAで」という順序もアリだろう。順当ならドラフト2巡から4巡の間、場合によっては1巡指名さえありうる。おそらくグリーンとの再契約は、補強がうまく行かなかったりケガ人が出たりした場合の最後の手段、とチーム側は考えているのではないか。
ジョン・クーン、コーリー・ホール、新人クイン・ジョンソンという超異例の3人体制でシーズン最後まで押し通したが、それだけの価値があったかどうかはわからない。3人残したのは戦術面の都合ではなく、「器の大きいジョンソンを育てたいが、ベテラン2人のスペシャルチーム能力も捨てがたい」という思惑によるもの。さすがにそれを今年も続けることは考えにくく、クーンとホールのどちらかがキャンプでの争いに敗れてチームを去ることになりそう。
昨年は「ドラフト指名の可能性がオフェンスで最も低い」と書いたら指名があったが、今年こそは指名なしだろう。
グレッグ・ジェニングスはプロボウルこそ逃したもののエースWRにふさわしい働きを見せ、ドナルド・ドライバーも34歳とは思えない活躍でキャリア7回目の1000ydsシーズン。世間的には「デプス十分」と見られているWR陣だが、3年目のジェームズ・ジョーンズ(32回440yds)と2年目のジョーディ・ネルソン(22回320yds)の3番手争いがやや低調で、彼らのどちらかが将来スターターになれる器なのかどうか。5番手のWRブレット・スウェインはヒザの前十字靭帯断裂からリハビリ途上。
昨年は5年ぶりにWR指名がなかったが、RBと比べて育成期間の長いWRは早め・多めにドラフト指名するトンプソンGMなので、今年は指名があるはず。リターナーのタレント不足も深刻なので、リターナーを兼ねられる選手なら理想的。ニーズ的には下位指名で十分と見られているが、(RBと同様に)魅力的な素材がいれば上位指名があってもおかしくない。たとえば、注目の問題児WRデズ・ブライアント(オクラホマ州立大)が1巡下位まで残っていた場合、1998年のランディ・モスの再現となるのかどうか。
前十字靭帯(ACL)断裂を乗り越えて復活を果たしたRTマーク・タウシャーが来季への期待を語っている。「年をとってくると、勝つチャンスが欲しいものだ。このチームは・・・去年は惜しいところで負けたけれど、優秀な中核選手が揃っているし、無限の可能性を秘めている。しかし大事なのは、どのシーズンも全く別モノだってことだ。たとえロースター53人のうち51人が残っていようと、先発22人のうち19人が残っていようと、そんなことは全く関係ない」
「行く手に障害があっても、それを乗り越えなきゃいけない。それが 『成功するチーム』 のカギだ。6勝10敗だった2008年シーズン、僕らはよいフットボールチームだったよ。 『ああ6-10か。ひどいチームだな』 って人はすぐそう言うだろう。僕はそうは思わない。ただ僕らは、起きてしまったまずい事態に対処できなかっただけなんだ。いっぽう昨年は、悪いことが起きても、それを乗り越えることができた」
「たとえばデトロイトでの感謝祭ゲーム、最初にターンオーバーから先制タッチダウンを許した。2008年だったらあれで苦しくなっただろう。でも昨年の僕らは、『よし、しっかり足場を固めて、チームを軌道に戻そうじゃないか』 という感じだった。失敗からどう立ち直るか、苦境にどう立ち向かうか。その点でウチは成長してきたと僕は楽観しているし、今後も成長を続けると思っている。しかしそれでも、新しいシーズンに成功を収めるためには、やらなければならない仕事が山ほどある」
彼が復帰するまでのパスプロ不振と復帰後のパスプロ復調について、次のように謙遜している。「数字が悪くなると(RTバーバーのように)さんざん非難され、見た目がちょっとよくなると(自分のように)やたら褒められすぎなんじゃないかな。ウチはタイミングとリズムがベースのオフェンスで、最初の3週か4週はチーム全体の呼吸が合っていなかったと思う。試合を重ねてみんなの理解が進み、だんだんよくなった。最初のうちは、何ができて何ができないか探る過程だったんだろう。成功するためには何が必要かみんなが分かってきて、あとはそれを続ければよかった」
キャリア二度目のACL断裂からの復帰について。「リハビリのためにトレーニングキャンプに参加できず、失ったものは大きかった。実際にフィールドでプレーするまでは、ヒザに自信が持てないものだ。最初のうちはそうでなくて苦労した。でもシーズンが進んで、最後の3週か4週は脚に自信がついて、プレー内容も向上した」
「今年は、早く再契約してオフシーズン・プログラムから参加することがすごく重要だった。体作りに力を注ぎ、よいシーズンを過ごすことに専念できるからね。今は体力面の向上に努めている。OTAとかが始まったら、フットボール面に集中していくことになる。オフシーズン・プログラムからトレーニングキャンプへとすべてこなしていくことは、(昨年のように)10月半ばに合流するよりずっといい」
Journal Sentinel紙によると、元イーグルスのRBブライアン・ウェストブルックにパッカーズが興味を示しているらしい。ESPNのアダム・シェフターも、「まだ予備的な話し合いにすぎないが、接触したのは事実」とコメントしている。ウェストコーストオフェンスで大活躍してきた有力RBウェストブルックなので、もしRB陣に加えることができれば大きいが、心配なのは健康問題。小さい体でハードヒットを受け続けてきたこともあって、昨年は大きなケガに苦しみ、わずかラッシング274yds、1TDに終わった。FA市場で不人気なのも健康問題のせいだ。
昨季は第7週WAS戦で頭をヒザで蹴られる形になって脳震盪を起こし、2試合欠場。復帰した第10週SD戦で再び脳震盪を起こしてしまい、今度は5試合休んだ。現役続行の危機とさえ言われたが、専門家の許可が下りてなんとか復帰。レギュラーシーズン最後の2試合とプレーオフには出場したものの、ルショーン・マッコイからエースRBの座を奪い返すことはできず、高給(今年$7ミリオンの予定だった)のせいもあって2月23日に解雇となった。脳震盪の他にもヒザ(すぐに腫れてくるらしい)と足首に持病を抱えていて、健康面でのリスクは非常に大きい。
健康問題さえクリアできれば、パッカーズにとってうってつけの選手であるのはたしかだ。RBブランドン・ジャクソンが3rdダウンバックとして成長したとはいえ、もうワンパンチ欲しいのは衆目の一致するところで、RBをドラフト上位指名するとの予想も少なくない。エースにはワークホース型のRBライアン・グラントがいるので、ウェストブルックには体力的に負担のかからない使い方ができるはず。レシーバーとしてシーズン60回600yds以上を4回も記録していて(パッカーズのRBでは1995年のエドガー・ベネットが最後)、レシーバーの位置にセットすることもできる。「一発の魅力のある3rdダウンバック」問題は一挙に解決してしまいそうだ。
キャリアはもう終わりとの一部の見方に対し、本人は現役続行の意志が固いらしい。契約するとすれば、入念なフィジカルチェックを経た上で、出場試合ごとのロースターボーナスやインセンティブを大きくした低リスク型の契約内容になるはず。
モックドラフト集の第3回。
3月13日にバイクで飲酒自損事故(記事へ)を起こしたTEスペンサー・ヘイヴナー。現地カリフォルニア州ネヴァダ郡の地方検事によると、今のところ起訴するに足る証拠が集まっておらず、目撃者への事情聴取など調査を続けるよう地元警察に指示を出した、とのこと。テッド・トンプソンGMは「この件で彼の扱いが影響を受けることはない」と話しているので、このまま不起訴となれば球団からもリーグからもおとがめなしで済みそうだ。
鎖骨骨折の大ケガを負ったため、現在どの程度動けるのかわからないが、いちおう先週からグリーンベイでオフシーズン・プログラムに参加している。5月17日から始まるOTAにはフル参加できるのではないか。
制限つきフリーエージェント(RFA)のジェイソン・スピッツがパッカーズからのRFAテンダーにサインし、残留が決まった。「2巡テンダー」だったので、サラリーは$1.759ミリオン。RFA選手が他球団と交渉できるのはドラフト1週間前(今年は4月15日)までと決まっていて、諦めたRFA選手たちが先週あたりから続々とサインしている。パッカーズがRFAテンダーをオファーした8人のうちすでにFSコリンズとCBブラックモンがサインを済ませ、残るはDEジョリー、SSビグビー、CBウィリアムズ、LGカレッジ、FBクーンの5人。
今年はNFL経験が6年ないと無制限FAになれない特殊な年なので、有力RFA争奪戦が起きるかと予想されていたが、ふたを開けてみれば無風に近い。所属チームが1巡テンダー等でがっちり守っているため、やはり手が出せないのだ。これまでに移籍が成立したのはQBチャーリー・ホワイトハースト(SD→SEA)、DEダリル・タップ(SEA→PHI)、OGロブ・シムズ(SEA→DET)の3人だけで、どれも通常のRFA獲得手順ではなくトレードによるもの。ただ、RFA戦略では締め切り間際に勝負をかけることもよくあるので、このまますんなり終わるとはかぎらない。
なお、EFA(用語集へ)だったTEスペンサー・ヘイヴナーも先週パッカーズのオファーにサインし、オフシーズン・プログラムに参加している。先月半ばにバイクで飲酒自損事故(記事へ)を起こしたが、今のところ起訴されてはいないようだ。
バスケ好きの多いパッカーズでは、オフシーズンに "The Titans of the Tundra" を組織して州内各地でチャリティ・ゲームを行っている。昨年はWRルヴェル・マーティン(現SEA)が、今は元LSロブ・デイヴィスがオーガナイザー役を務める。対戦相手はグリーンベイ警察署だったり、ラシーン保安官事務所だったり、一般企業や教師や消防士のチームだったり。選手たちはバスに乗り込んで、遠くはミネソタ州境まで行ったこともある。「彼らの戦いを間近で見れるので、ファンたちはすごく楽しみに集まってくれる」と元LSロブ・デイヴィス。
DEジョニー・ジョリー。 「ジャーマイケル(TEフィンリー)? ダンク・コンテストならヤツかもしれんけど、ゲームになればこっちのダンクが上」
WRジェームズ・ジョーンズ。 「ジャーマイケルもけっこうやるけどね、シュートでは僕についてこれないさ。こないだ彼とH-O-R-S-Eをやったら、こっちのジャンパー(アウトサイドからのジャンプシュート)が絶好調」
TEジャーマイケル・フィンリー。 「あのときは指を痛めてて・・・」
CBトラモン・ウィリアムズ。 「ジョリーはあのサイズにしてはいいプレーヤーだ。でもコートでの僕を見れば、本当のアスレティシズムがどういうものかわかるはずさ」
彼らが腕前を自慢するのも無理はない。あと数インチ身長が高ければそちらの道に進んでいたかもしれない連中なのだ。CBトラモン・ウィリアムズはニューオーリンズ大を含む複数のバスケットボール部から奨学金オファーを断った。WRジョーンズもワシントン大とサンディエゴ州立大から奨学金オファーがあった。TEフィンリーは両スポーツの奨学金オファーをしてくれたアリゾナ大に進む予定だったが、確定直前でテキサス大のフットボールを選んでいる。
バスケットはフットボールのよいトレーニングだ。キャッチング力や反射神経をシャープに保つ効果がある、とTEフィンリーは言う。またWRジョーンズは、「瞬間的な加速や方向転換を鋭くするのに役立つ。とくに(1on1で)守るときにフットワークを磨けるんだ。僕の大学時代、レシーバー組はオフシーズンになると週3回バスケをやりに出かけたものだ。長い時間ディフェンスをプレーすることで、腰の動きがよくなるし、瞬発力やジャンプ力の助けにもなる」
「ただ、まったく別のワークアウトだからね。 『フットボールの体』 と 『バスケットボールの体』 では全然ちがう。フットボール的にベストの体でバスケット・コートに出ると、死ぬほどバテてしまうんだ」とCBトラモン・ウィリアムズ。
DEジョニー・ジョリーが昨季パスディフレクト11回の球団記録を作ったのも、バスケでのブロック・ショットの技術がものを言っている。彼は高校時代あるゲームで42得点、次のゲームで35点を挙げたことがある。「ガードからセンターまで、オレは5つのポジション全部できるよ。クロスオーバー・ドリブルのレッスン用テープを作ってもいいぐらい」 (背後でチームメイト爆笑) 「NBAの誰でも連れてきていい。僕とプレーしたければ、オフシーズンに見に来いと言ってやってよ」
むろんフットボールが本業の彼らにとって、バスケで負傷しては元も子もないので、トレーニングキャンプが近づいたらアスファルトの屋外コートには近づかない。「かならず足首のプレースは着けるし、馬鹿げたプレーはしないよ。すごい勢いでバスケットに突っ込んでくるヤツがいたら、止めに行ったりはしない。何でもかんでもボールを叩こうとするヤツがいたら、僕はそこは避ける。(アウトサイドから)ジャンプショットを打つだけだ」とWRジョーンズ。
WRドナルド・ドライバーはフットボールフィールドでは体を犠牲にすることもいとわないが、バスケットボールではとんでもない。7年間オフシーズンにはバスケをプレーしてきたが、最近は時々やるだけ、しかもケガには十分注意しているという。「ハードにプレーする連中とゲームをやったこともある。こっちがダンクに行くときに、足を払おうとするんだ。僕は落ち着いて考えた。『OK、もうやめとこう』 ってね。これは真剣勝負じゃない、チャリティーなんだ、とみんなに言い聞かせないと」
パッカーズの2010年プレシーズンゲームの対戦相手と、大まかなスケジュールが下表のとおり発表された。第3週コルツ戦(全国放送があるため)を除き、詳しい日時は決まっていない。なお、レギュラーシーズンのスケジュールは通常4月半ばに発表される。
Packers 2010 Preseason Game Schedule | |||||
---|---|---|---|---|---|
Date | Opponent | Time | 米TV | ||
8/12 - 16 | Cleveland Browns | 未定 | state | ||
8/19 - 23 | @ | Seattle Seahawks | 未定 | state | |
8/26 | Indianapolis Colts | 8:00 | ESPN | ||
9/2 - 3 | @ | Kansas City Chiefs | 未定 | state |
モックドラフト集の第2回。前回から更新されているサイトだけ。