心配された3-4ディフェンスへの適応は問題なく進んだ。FSニック・コリンズが6INTを挙げて2年連続プロボウルに選ばれたいっぽう、SSアタリ・ビグビーは良くも悪くもあまり目立たないシーズンだった。ボールを狙いやすいスキームになったせいか、先発2人で10INTを奪うことができたが、パスTD数もレッドゾーンTD率もNFL28位の不振で、パス守備に脆さがあったのは否めない。
控え選手たちは低レベルで、デプス不安はいまだ解消していない。昨年オフにFA補強したSアンソニー・スミスを開幕前にあっさり解雇し、レイヴンズからトレードでSデリック・マーティンを獲得。なぜか生き残っていたSアーロン・ラウス(2007年3巡指名)も第2週を終えたところで解雇。元コルツのSマット・ジョルダーノと契約した。スペシャルチーマーとしてはともかく、マーティンもジョルダーノも先発コンビを脅かすには程遠い。
今年は、ビグビーのいるストロングセーフティ強化が重要な課題、という見方が多い。(OTやCBと違って)それなりに能力のある選手がFA市場に出てくるポジションなので、FA補強に乗り出す可能性もある。仮にビグビーがスターターに残ったとしても、控え組の押し上げが期待しにくいため、ドラフトで補強したいところだ。展開しだいでは思い切った上位指名もありうる。
2008年がまぐれでなかったことを証明する活躍を見せ、2年連続プロボウルに選ばれた。6INT(2年で13INT)、3.5ロスタックル(キャリア最多)を挙げ、ミスタックルも前年より大幅に少ない9回。CB並のスピードを活かしたパスカバレッジに優れ、"Ball Hawk"としてのセンスにも磨きがかかってきた。経験を積んで戦術眼も向上し、フィールド上で出す指示もよくなっている。プレーオフを含め、彼に責任のあったパスTDはわずか2.5回。
プロ5年目を終えて無制限FAとなるはずが、労使交渉が進まないおかげで今春は制限つきFA(RFA)にしかなれない不運。最高額テンダー(1巡+3巡)または2番目のテンダー(1巡)で引き留めることになりそう。代理人は長期契約の締結に自信を示しているが、2年連続プロボウラーとなると相当な要求額になるはずで、難航するかもしれない。交渉が進まなければキャンプ等をホールドアウトする可能性もある。
先発定着から3年目のシーズンは可もなし不可もなしといったところか。開幕戦でヒザを負傷して3試合欠場、その間のディフェンスは不振だった(1勝2敗)。シーズン中盤には4試合で5TDを許したが、終盤には調子を上げ、彼らしいハードヒットも見られた。守備範囲があまり広くないぶん、スクリメージ近くでのプレーを得意とするが、昨年はロスタックルがゼロだった。フィールドで目立たなかったのは、スキーム的にそういう役回りなのか、反応の遅さなど彼の能力不足によるものなのか。
ディフェンスのスターターの中では明らかに力量の劣る選手で、「強力3-4ディフェンスを作るためにはもっとSSに優れたタレントを」という声は根強い。今春はRFAなので、2巡テンダーあたりをオファーされて残留することになりそう。
レイヴンズでは入団から3年間コーナーバックをプレーし(先発3試合)、昨年夏からセーフティに転向。開幕直前にT/Gトニー・モールとのトレードでパッカーズにやってきた。SSビグビーの代役スターターを務めた第4週MIN戦では散々な内容で途中交代させられるなど、セーフティとしてのプレーはよくなかった。しかしスペシャルチームでは中核選手の1人としてエネルギッシュな活躍を見せた。
今春はRFAとなるはずだったが、先日契約延長にサイン。RFAとしての最低額オファーよりも安い。総額$1.9ミリオンの2年契約で、契約ボーナスが$355,000ドル。ベースサラリーは今年が$65万ドル、来年が$75万ドル。ワークアウトボーナスは今年が$45,000ドル、来年が$10万ドル。セーフティとしての伸びシロも見込まれたのかもしれないが、実質的にはスペシャルチーマーとしての金額だろう。
コルツでは控えセーフティ(4年間で先発6試合)としてスーパーボウル制覇も経験したが、昨年開幕前に解雇。パッカーズは第2週を終えたところでSアーロン・ラウスを解雇し、入れ替わりにジョルダーノと契約した。スペシャルチームばかりで、出場はわずか5試合。これといってよいところを見せることはできなかった。