グリーンベイ・パッカーズ ニュース

2010年2月22日

シーズン総括と展望 OT編

悪い意味で、オフェンスで最も注目を浴びたユニット。右タックルの新スターターとなったアレン・バーバーはパスプロテクションのミスを繰り返してQBロジャースを半殺しの目に遭わせ、左タックルのチャド・クリフトンは足首などの負傷で4回途中退場、欠場2試合。最初に代役LTに回ったLGダリン・カレッジの出来も悪く、新人T.J.ラングを投入してようやくパスプロ崩壊に歯止めがかかった。その後、ACLリハビリ完了間近のマーク・タウシャーを呼び戻し、シーズン半ばから先発RTに据えて後半の躍進につなげた。(2009年OLの変遷へ

こうして嵐のシーズンをなんとか乗り切ったが、LTクリフトン(33歳)とRTタウシャー(32歳)の同期コンビの後継者育成がオフェンス最大の課題であることに変わりはない。3年やってダメだったバーバーは(首脳陣は認めていないが)スターター失格、ブレノ・ジャコミニは成長がなく、LGカレッジに左タックルは務まらないこともわかった。唯一プラス評価できる若手はT.J.ラング。左タックルとなると疑問だが、右タックルなら先発でやっていけそうな器に見える。

このように若手のレベルの高くない現状では、ともに無制限フリーエージェント(UFA)となるLTクリフトンとRTタウシャーを手放すわけにはいかないため、トンプソンGMは再契約の意志を明確にしている。両ベテランを1年つなぎとめた上で、ドラフト1巡で後継LT候補を指名し、右タックルはタウシャーとラングが先発を争う、というのが理想のシナリオではないか。当面は再契約交渉が注目されるところだ。

チャド・クリフトン Chad Clifton | Left Tackle | Tennessee
6-5 (195cm) | 320lbs (145kg) | 11年目 33歳 | 2000年ドラフト2巡

一流左タックルとして活躍してきたクリフトンも最近はケガが多い。持病の両ヒザ腱炎に加えて昨年は足首の捻挫に悩まされ、4試合途中退場、2試合欠場とチームに迷惑をかけた。ランブロッキングやスクリーンパスでの機動力はないものの、元気で出ているときは高いレベルでパスプロテクトできており、彼に代わる左タックル候補はチーム内には見当たらない。

来季のオフェンスの安定を考えると手放すわけにはいかない選手だが、金額や契約年数で折り合えるのかは微妙なところ。かといっていったんFA市場に出てしまったら、希少価値の高い左タックルだけに高値がつきかねず、再契約はかなり難しくなるだろう。そうしないために、交渉が行き詰まったらフランチャイズ指名で1年引き留めるかもしれない。

マーク・タウシャー Mark Tauscher | Right Tackle | Wisconsin
6-3 (191cm) | 316lbs (143kg) | 11年目 32歳 | 2000年ドラフト7巡 (10月にFA再加入)

同期クリフトンとともに長らくスターターを務めてきたが、契約最終年の2008年12月にヒザの前十字靭帯(ACL)を断裂する不運。そのためFA市場で買い手がつかず、個人でリハビリを進めた。後継RTとなったバーバーが大不振のため、10月半ばになってパッカーズと再契約。約1ヶ月かけてリハビリの仕上げを行い、第9週バッカニアーズ戦から先発RTに復帰してパスプロ向上に貢献した。試合中に足をひきずるなど、まだ100%でない様子もあった。

再契約したいとトンプソンGMは明言しているが、右タックルはT.J.ラングの存在もあり、クリフトンほど「どうしても再契約したい」存在とはいえない。ただ、ヒザの負傷から2年近く経つ来季は、昨季よりプレーがよくなる可能性がある。

T.J.ラング T.J. Lang | Tackle/Guard | Eastern Michigan
6-4 (193cm) | 316lbs (143kg) | 2年目 22歳 | 2009年ドラフト4巡

ドラフト4巡指名入団から即戦力となり、ケガ人の多いラインで代役スターターとしてよく持ちこたえた。OL変遷リストのとおり、左タックルで7試合、右タックルで2試合に出場。パスプロで大崩れすることがなく、ランブロッキングではベテラン2人よりもパワフルな働きをした。キャンプから彼に先発RT争いをさせればよかったものを、彼をガードに回し、バーバーとジャコミニのRT争いに絞ってしまった首脳陣の判断は責められていい。

今年の夏はいよいよスターター争いだが、どこでもこなしてしまう器用さがあるせいで、本来どこで使うべき選手なのか、判断が難しいのはたしか。ダリン・カレッジが大不振だった左ガードか、タウシャーの右タックルか。RGジョシュ・シットンのように、プロ2年目で大きく伸びてくれるとありがたいのだが。

アレン・バーバー Allen Barbre | Right Tackle |  Missouri Southern State
6-4 (193cm) | 305lbs (138kg) | 4年目 25歳 | 2007年ドラフト4巡

昨夏はタウシャーの抜けた先発RT争いで下記ジャコミニに勝利。しかしレギュラーシーズンに入ると相手の多様なパスラッシュに対応できず、ミスを繰り返してパスプロ崩壊の主犯となった。被サックもプレッシャーを許した回数も、出場スナップ数で割れば彼が最多。サイズも直線スピードもタウシャーより優れているはずが、やられるときは一瞬で抜かれてしまう。ラインマンとしてのセンスに欠け、フットワークや手の使い方など、基本技術がおろそかになりやすい。ただランブロッキングではよい仕事もあった。

あれだけひどいプレー内容を見せられると、プロ4年目に大きく成長すると期待するのはちょっと無理がある。今年は複数ポジションの控えを争い、場合によっては開幕前に解雇もありうる。

ブレノ・ジャコミニ Breno Giacomini | Right Tackle | Louisville
6-7 (201cm) | 311lbs (141kg) | 3年目 24歳 | 2008年ドラフト5巡

チームNo.1の長身選手。1年目はほとんど出場機会がなく、昨年もキャンプで先発RT争いに敗れ、出場ゼロに終わった。RT問題であれほど困っているのに彼を一度もアクティブ登録しなかったのは、コーチ陣の評価の低さを示している。フィルビンOCは、「GMが彼を気に入っているのだろう」と突き放したコメント。ふつうコーチはGMの人事をさりげなくかばうもので、これほどはっきり言うのは珍しい。バーバーと同様に今年の夏が正念場で、ルーキーたちとOL最後の枠を争うことになりそう。

カテゴリ : Player