「3-4経験のあるDE補強が必要では」と心配されていたが、それも杞憂に終わった。左DEジョニー・ジョリーと右DEカレン・ジェンキンズはNTピケットとともにNFL最重量ディフェンシブラインを構成し、期待を上回る働きでラン守備1位の原動力となった。3-4転換1年目から大きな成果を挙げたのは、選手たちの頑張りに加え、マイク・ターゴヴァックDLコーチの指導も高く評価されている。
DLは基本的に先発トリオにB.J.ラジを加えた4人だけでローテーションし、DE陣3番目のジャリアス・ウィンでもシーズンわずか75スナップしか出場しなかった。ジャスティン・ハレルはまたも腰痛で開幕前にインジャリーリザーブ入り。軽量のマイケル・モンゴメリーはやはり3-4に向いておらず、出場機会が激減した。6巡指名ルーキーのウィンはまだ体作りが不十分。
今年も両スターターは安泰だが、もしジョリーが出場停止となれば補強が必要になる。たとえ出場停止がなかったとしても、ハレルもモンゴメリーも頼りにならないので、今年は控えのレベルを向上させたいところだ。FAならば3-4経験のある安価なベテラン、ドラフトなら中位以降で。
B.J.ラジの入団でスターターの座が危うくなったかと思われたが、先発左DEの座をがっちりキープ。初めての3-4ディフェンスで期待を大きく上回る活躍を見せ、入団以来最高のシーズンを過ごした。強烈な破壊力があり、やや雑だったギャップコントロールも3-4になってからは安定している。パスラッシュではジェンキンズに劣るが、パスを叩き落とす天性のセンスがあり、パスディフレクトは球団記録の11回。ターンオーバー・プレー4回も素晴らしい。
本来ならばもうじき無制限FAとなるはずだったが、労使交渉がまとまらないため、今春は制限つきFAにしかなれない不運な選手の1人。これほどの働きならばすぐにでも長期契約交渉をしたいところだが、問題は裁判沙汰。一昨年夏に鎮痛剤コデインの違法大量所持で逮捕され、もうじき裁判が始まることになっている。たとえ軽罪に切り替えて有罪答弁取引をしても、リーグからの処分は避けられない。
2008年第4週に胸筋を断裂する大ケガを負ったが、昨年は見事に復活を果たし、慣れない3-4ディフェンスで期待以上の働きを見せた。4-3時代よりパスラッシュに不利なポジションのため4.5サックに減ったが、プレッシャー回数はキャリアハイの39回(チーム2位)。ロスタックルもチーム2位タイの7.5回。ただサイズが小さめのせいか、有力OL選手にシャットアウトされるゲームも何度かあった。
昨年ドラフト6巡指名で入団し、下記ハレルの負傷もあって開幕ロースター入り。出場機会は少なかったが、それでも出場スナップ数は下記モンゴメリーを上回り、シーズン終盤にNTピケットが欠場したゲームで出番をもらった。キャンプではパスラッシュで時おり光るものを見せたが、まだ体作りが足りないせいか、実戦ではよいところを見せられなかった。2年目の成長に期待したい選手の1人だ。
昨年の春FAとなったが他球団から買い手がつかず、安く再契約。しかし懸念されたとおり3-4ディフェンスのDEには線が細く、出場は前年の523スナップからわずか64スナップに激減した。足首や手のケガの影響もあったかもしれないが、よほどバルクアップでもしないかぎり、今年よくなることは考えにくい。やはり4-3ディフェンスのチームに移って控えDEとしてやっていく方が本人のためだろう。
下位指名&ドラフト外ばかりの雑草軍団にひとり混じった1巡指名選手。またもや腰痛が再発してしまい、開幕前にインジャリーリザーブ入りとなった。入団3年間で出場15試合、わずか301スナップしかプレーしていない。ケガさえなければ3-4のDEは向いていそうに思えるのだが、腰痛が再発しない保証はない。今年の夏ダメなら今度こそ解雇ではないか。