ガードは左右で対照的なシーズンだった。新先発RGジョシュ・シットンはラン・パスとも安定した働きを見せ、2009年のチーム最優秀ラインマンと評価されている。マルコ・リヴェラの退団以来不安定だった右ガードだが、シットンなら今後長きにわたって活躍してくれそうだ。いっぽうLGダリン・カレッジは2008年と打って変わって不振に陥り、制限つきフリーエージェント(RFA)となる今春はチームからオファーされない可能性さえ噂されている。
センターでは、開幕スターターの座をつかんだジェイソン・スピッツが序盤に腰を負傷してシーズンエンド。しかし、代わって先発の座を取り戻したスコット・ウェルズはむしろスピッツより高いレベルでプレーし、シーズン後半のチーム躍進に大きく貢献した。今年も当面はウェルズがスターターで行くものと見られている。
左ガードの問題は残っているが、若い選手が揃っているので、タックルと比べると補強の必要性は高くない。FA補強をするとしたら、LGダリン・カレッジとの再契約を見送った場合ではないか。ドラフトもタックルの方が優先で、ガードやセンターはあるとしても下位指名だろう。
入団1年目はケガのため先発RGの座をつかみ損ねたが、2年目の2009年は不動のスターターとなって全試合先発を果たした。ケガや不振に苦しむ仲間を尻目に高いレベルのプレーを続け、プロボウルの一歩手前とする評価も。ランブロックは明らかにチームNo.1で、アサインメントがたしかで、パスプロテクションも予想以上によかった。右サイドのスクリーンパスが効果的だったのも、彼の動きがよかったのが最大の理由。考えてみれば、来季スターターの座が確定しているOL選手はこのシットンだけだ。
山あり谷ありのキャリアを続け、ようやく2008年に一流ガードへの道を進み始めたかと思ったら、2009年は再び大不振に陥ってしまった。被サックやプレッシャーを許した回数ではOL陣最多で(RTバーバーは先発7試合のため)、"Bad Run"の原因を作ったのも彼がダントツ1位だった。クリフトンの代役LTをやらされたのは気の毒だが、いつまでたっても馬力がつかず、ブルラッシュに簡単にやられてしまう。
今春はRFAとなるが、チームが再契約オファーをしてくれる保証はない。代役LTとしてダメだったので、その点でもFA市場での価値が下がったことだろう。たとえ再契約したとしても、来季スターターになるためには、キャンプでポジション争いに勝たねばならないはず。
キャンプでの先発センター争いでスピッツに敗れたが、それはプレー内容の差ではなく、「スピッツの方がスケールが大きい」とコーチ陣が決めつけていた部分が大きいのでは。スピッツの戦線離脱によってスターターに戻るとキャリア6年間で最高のプレーを見せ、並みいる強力NTたちを相手に一歩も引かない活躍でオフェンスを支えた。サイズは小さいが体の使い方がうまく、スナップ前のコールも非常に的確。今年も決してスターター確定ではないが、彼からポジションを奪うのは昨年よりかなり難しそうだ。
ウェルズとの先発センター争いに勝って開幕スターターとなったが、シーズンに入ってからのプレー内容はいまひとつ。そのうえ、4試合(センター2試合・代役左ガード2試合)出場したところで腰を負傷してインジャリーリザーブ入りとなってしまった。代わったウェルズが活躍したため、先発センターの座はさらに遠ざかってしまった。今春はRFAとなるが、すんなり再契約できそう。今年の夏は再びCウェルズと争わせるのか、左ガード争いをさせるのか。
アイダホ州立大から昨年ドラフト外で入団し、ドラフト外としては唯一の開幕ロースター入り。スピッツの戦線離脱で2番手センターに昇格した。13試合に出場し、主にスペシャルチームでプレー。Cウェルズの負傷時など、1stチームで練習する機会はかなりあった。サイズが小さいので、ガードよりもセンターとしてやっていくことになりそうだ。「将来的にはNFLで先発センターになれる器かも」という声もあるが、まだ判断材料が少ない。