グリーンベイ・パッカーズ ニュース

2010年3月 3日

シーズン総括と展望 CB編

長らくマンカバレッジ中心だったパッカーズにとってゾーンカバレッジへの転換は大きなチャレンジだったが、結果はかなり良好なものだった。名手チャールズ・ウッドソンはオールラウンドな能力をいかんなく発揮し、キャリア最高の働きでNFL最優秀ディフェンス選手に選出された。アル・ハリスも予想以上にゾーンに適応し、NFL5位のパス守備に貢献した。

開幕前にパット・リー(5番手)、第4週にウィル・ブラックモン(4番手)、第11週にハリスがケガで戦線離脱し、シーズン終盤は深刻な戦力不足に。第15週にはQBロスリスバーガー(レーティング121.9)、プレーオフではQBワーナー(154.1)にボコボコにやられてしまった。パスカバレッジの責任だけではないにせよ、有力QB相手ではケイパースDCの手腕でも戦力不足をカバーしきれなかった、ということかもしれない。ハリス不在のためウッドソンを相手エースWRにつけざるをえず、バラエティに富んだ利用ができなくなったのが残念。

両スターターが30代半ばとなったうえ、ハリスとブラックモンがヒザがリハビリ途上、しかも若手の成長が物足りないので、パスラッシュLBと並んでディフェンスの要補強ポイントとなっている。ドラフトでは3巡までに指名があるのではないか。キャンプではアンダーウッドやリーの成長に期待したいところだ。

チャールズ・ウッドソン Charles Woodson | Cornerback |  Michigan
6-1 (185cm) | 202lbs (92kg) | 13年目 33歳 | 2006年FA (OAKで1998年1巡)

新ディフェンスで彼のオールラウンドな能力と高い戦術眼がいかんなく発揮され、見事NFL最優秀ディフェンス選手に輝いた。マンカバレッジと違ってQBの目を見て守れるのは明らかに彼向きで、ターンオーバー・プレー15回(9INT・5ファンブルフォース・1リカバー)はダントツのチーム1位。巧みに相手WRの前に体を割り込ませ、たとえキャッチされても常にボールを掻き出そうとする姿勢が素晴らしい。ブリッツやランサポートもよく、CBながらチーム3位のタックル数を稼いだ。

月間MVPを4ヶ月のうち3回も受賞。同一シーズンに3回受賞したのはNFL史上3人目の記録らしい。キャリア6回目のプロボウル選出も果たし、あとはこの活躍を続けて将来の殿堂入りを確実にするだけだ。

アル・ハリス Al Harris | Cornerback | Texas A&M-Kingsville
6-1 (185cm) | 190lbs (86kg) | 13年目 35歳 | 2003年トレード(TBで1997年6巡)

2007年まで欠場ゼロだった鉄人ハリスだが、2年連続で大きなケガに見舞われた。2008年は脾臓損傷から欠場わずか4試合で復帰したものの、昨年は第11週SF戦でヒザの前十字靭帯(ACL)を断裂してシーズンエンドに。それまでは、心配されたゾーン守備やオフカバレッジにも問題なく適応し、ランサポートでもアグレッシブなプレーを見せていた。

ヒザのリハビリの様子を本人がYouTubeのビデオで報告していて(パートIIIIII)、非常に興味深い映像が見られる。ILBバーネットは前年同時期にACLを断裂したが、2009年開幕戦から出場。もともとワークアウトの鬼だったハリスだけに、順調な復活を疑う声は聞かれない。まだまだ現役で長くプレーしたい気持ちがとても強い。

トラモン・ウィリアムズ Tramon Williams | Cornerback | Louisiana Tech
5-11 (180cm) | 191lbs (87kg) | 4年目 26歳 | 2006年ドラフト外

3番手CB/ニッケルバックに定着して3年目、ハリス負傷後はスターターを務めた。第13週BAL戦でパスインターフェアを3回取られたのが目立ったが、4インターセプトを挙げるなど全体としてはまずまずのシーズンだった。独特の勝負強さを持っているが、大きなミスも少なくなく、将来スターターとしてやっていけるかどうかは微妙なところ。

リターナーとしては本来ブラックモンに次ぐ2番手の能力があるはずだが、CB陣の層が薄くなったことを考慮して昨年はあまり使われず、パントリターンわずか13回。平均10.4ydsはまずまず。

ウィル・ブラックモン Will Blackmon | Cornerback |  Boston College
6-0 (183cm) | 206lbs (93kg) | 5年目 25歳 | 2006年ドラフト4巡

2008年は初めて全試合出場したが、4年目の2009年は第4週MIN戦でヒザのACLを断裂してシーズン終了。プロ4年間で32試合も欠場している。元気なときも3番手のウィリアムズを脅かすには程遠く、CBとしては伸び悩んでいる。実質リターンスペシャリストにちかい存在だが、そのリターンも昨年はイマイチだった。今週末にはRFAとなるが、リハビリ中ということもあり、おそらく最低額ランクのオファーで引き留められるのではないか。

パット・リー Pat Lee | Cornerback |  Auburn
6-0 (183cm) | 194lbs (88kg) | 3年目 26歳 | 2008年ドラフト2巡

期待の2年目シーズンは、腰を痛めてキャンプ練習を半分以上休んだうえ、プレシーズン最終戦でヒザを負傷。全治6週間ほどのケガだったが、インジャリーリザーブに入ってシーズンを終えることになった。要は、「ロースターに置いて完治を待つには及ばない選手」と首脳陣が判断したわけで、2巡指名に値するような光るものを見せられずにいるのが現状だ。今年ダメならばバストの烙印を押されても仕方がない。

ジャレット・ブッシュ  Jarrett Bush | Cornerback |  Utah State
6-0 (183cm) | 200lbs (91kg) | 5年目 25歳 | 2006ドラフト外

昨年RFAとしてタイタンズからのオファー(3年$4.5ミリオン)にサインしたが、パッカーズがマッチして引き留め。リーとブラックモンの戦線離脱で4番手に昇格し、さらにハリスの負傷で3番手/ニッケルバックとなった。マンカバーではついていくスピードがイマイチで、ゾーンカバレッジでも判断や読みがよくない。それより悪いのが実戦でのボールスキルで、せっかく相手WRを密着カバーしていても結局なぜか失敗する。

主にスペシャルチーマーとしての再契約だったが、そのスペシャルチームでも反則が多く、目を見張るほどの活躍はしていない。Sデリック・マーティンと契約延長したので、ブッシュはいずれ解雇されるのでは、という見方が出てきている。

ブランドン・アンダーウッド Brandon Underwood | Cornerback |  Cincinnati
6-1 (185cm) | 191lbs (87kg) | 2年目 23歳 | 2009年ドラフト6巡

6巡指名入団から、1年目は修業の年のはずだったが、上記3選手の戦線離脱で4番手/ダイムバックに昇格。パスカバーでは、終盤になるにつれてテクニックが向上し、それなりに光る物を見せた。おそろしく線が細く、ランサポートではへなちょこアーム・タックルを破られてばかり。今オフはウェイトルームで頑張り、上記の伸び悩み組を追い抜いてほしいところ。マッカーシーHCは2年目選手の中で、このアンダーウッドとOTラングを「期待の成長株」に挙げている。

ジョシュ・ベル Josh Bell | Cornerback  |  Baylor
5-11 (180cm) | 177lbs (80kg) | 3年目 25歳 | 2009年FA(2008年SDでドラフト外)

2008年ドラフト外でチャージャーズに入団、その後ブロンコスのプラクティス・スクワッドからロースターに昇格し、9試合に出場した。昨年はプレシーズン最終戦でヒザを負傷してインジャリーリザーブに入り、その後ブロンコスを退団。リハビリを終えたところで、アル・ハリスを失ったパッカーズと契約した。アンダーウッドが欠場した第15週PIT戦ではダイムバックとして出場、WRマイク・ウォレスに最後のTDパスを許した。それ以外はほとんどがスペシャルチームで、パントチームのガンナーとしてよく頑張っている。

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