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2010年5月31日
セント・ノーバート大で開催された「アメリカ社会におけるスポーツ」のシンポジウムに出席したカート・A・デイヴィッド氏は、驚くべき調査結果を明らかにした。
NBA選手の60%以上が、リーグを去って5年以内に破産。
NFL選手の75%以上が、引退から2年以内に持ち金が底をつく。
元プロスポーツ選手の80%ちかくが離婚を経験。
デイヴィッド氏の著書"FROM GLORY DAYS"(2008年)は、かつてスターダムにいたプロアスリートが引退後の日常生活にどう適応したか(またはしなかったか)を描き、話題作となった。彼が羅列する数字が示しているのは、「ビッグマネーを稼いで一生安泰」という姿は虚像に過ぎない、という現実だ。
「こうした統計はたやすく手に入るものではなく、データを掘り出すために多大な労力を要した。どのプロ球団にでも行って聞いてみるといい。彼らはこうした統計は宣伝したがらない。しかしこれが偽りのない真実だ。とても厳しい。真面目に受け入れなければならない」
カウンセラーである彼は、これまで多くの元プロ選手のカウンセリングを行ってきた。彼らの多くがツキに見放され、うつ病になったり破産したりしていた。彼はなるべくシンプルなメッセージを伝えるよう努力しているという。かつてスターであっても、栄光の日々を捨てるよう努力し、将来に目を向けること。
「能力の高いアスリートであることは、人生における1つの『段階』にすぎない。たしかに素晴らしい、みごとな『段階』ではある。できるかぎり長くそれを続ければいい。しかしそれは1つの段階にすぎないことを理解すべきだ。それが終わったあとには全く違った段階が待っている。アスリート時代と同じぐらい良いものにしてほしいものだ」
◆ ◆ ◆
今回のシンポジウムはグリーンベイ・パッカーズも後援者に名を連ね、選手たちに重要なメッセージを伝えようとしている。ふだんパッカーズにおいてそうした役割を担うのは director of player development である元ロングスナッパーのロブ・デイヴィス。プロ生活への適応、住居探し、子供の学校の世話といった私生活全般だけでなく、学位や修士号の取得、オフシーズンのインターン研修といった将来設計のアドバイスも彼の職務のうちだ。
「我々は選手たちに、できるだけ早め早めにフットボール後の人生設計に取り組ませようと努力している。引退した選手が、フットボール以外に自信が持てずに姿を、私自身たくさん見てきた。NFLには確かなものが3つある、と私はいつも選手たちに言っている。それは、契約ボーナスと、ケガと、いつか交代させられる時がくる、ということだ」 (ベンジャミン・フランクリンの「確実なのは死と税金だけ」になぞらえている)
「私は彼らに言い聞かせるんだ。 『こうした将来が避けられないと知っているなら、引退後の失敗例のひとりにならないために、君たちはどうする?』 ってね。 『オレが知っているのはフットボールだけだ』 という言葉を聞くほど私にとって悲しいことはない。そうした心構えは、ほんとうにほんとうに危険なことだ」
6ケタや7ケタの給料に慣れているプロ選手たちが一般社会の仕事に就くことは、90%以上のサラリーカットを意味し、なかなか受け入れがたいものだ。「とてもプライドを傷つけられる。フットボールはいわば夢の世界だ。そこにいたら、現実世界がどうなっているのか本当に把握することはできない」
パッカーズはフットボール後の人生についての教材を選手に配布している。ロブ・デイヴィスはインターンシップなど他の職業を体験する機会をアレンジしたり、Transitions...after the gameという団体の顧問もしている。「しかし結局のところは、その選手しだいだからね」
デイヴィッド氏はかつてヨーロッパでプロバスケットボールをプレーした経験がある。「当たり前の権利のように思ってしまうことも問題だ。NFLのゲームを見てみるといい。口を開ければ誰かが水を注ぎ込んでくれる。NBAでは、(選手交代時に)ジャージを脱ぎ捨てるとそれを拾ってくれる人がいる。いままで意識しなかったちょっとした実際的な事柄を、引退したとたんに考えなければならなくなる。自分の衣類を洗濯しなきゃいけないのか? この請求書はオレが払わなきゃいけないのか? なにがどうなってるんだ? そういったことが、引退後の生活に適応するための実際面だ」
「35歳や40歳といった人間が、ただカウチに寝転んで暮らし、ゴルフをプレーすべきだとは私には思えない。何か自分の活力や情熱を注ぎ込めることを毎日すべきだと思う。自分が他人と会話をし、フットボールフィールドの外でも自信を持って取り組めるようなことをね。いったんフットボールから離れたら、たいていの者はそう思えなくなるのではないだろうか。学ぶのは難しいが、必要なことだ。数字は嘘をつかない。プロアスリートの100%が、最後には退職させられるのだから」
2010年5月29日
ラリー・ウェイアーズ理事を副社長兼筆頭理事に昇格させ、マーク・マクマレン理事を経営委員会 Executive Committee に加えることをマーク・マーフィ社長兼CEOが発表した。長年にわたって役員を務めてきたピーター・プラッテンが定年で名誉理事に退くことを受け、その穴を埋めるための人事だ。マクマレンはウェイアーズに代わって会計を担当する。これらの人事はすでに理事会の承認を得ており、7月末の株主総会で承認されて正式なものとなる。
ラリー・ウェイアーズ(65歳)はエネルギー関連大手 Integrys Energy Group の元社長兼CEOで、最近理事長を退任したばかり。2004年にパッカーズの経営委員会に加わり(2004年記事)、翌年から会計担当を務めてきた。 マーク・マクマレン(61歳)は Associated Bank Corp の上級副社長で、2007年にパッカーズ理事会に加わったばかり。退任するピーター・プラッテンも元銀行頭取。
ウェイアーズのVice President and Lead Director (of Board of Directors) という新しい肩書きは全く目新しいもので、経営委員会のメンバーに副社長の肩書きがつくのも、少なくともこの10年では初めてのこと。事実上筆頭格(マーフィ社長の選出も主導)だった重鎮プラッテンの代わりにウェイアーズが筆頭理事となる、という役回りを公式な形にしたのだろうか。新労使協定締結にむけてこれから多忙になるマーク・マーフィ社長の任務を軽減する、という意味合いがあるかもしれない。
グリーンベイ・パッカーズには、株主総会で選任された45人の理事からなる理事会 Board Of Directors があり、その中から7人が選ばれて経営委員会 Executive Committee を構成している(リスト)。理事はビジネス経験豊富な地元財界人が圧倒的多数で、その他に弁護士、判事、病院理事長、大学役員、元NFL選手(マーフィ社長を除いて3人)などがいる。
理事会の会合は年に4回ほどで、重要な決定には蚊帳の外に置かれることが多い。経営委員会も通常の業務に携わるわけではなく、主に経営面で社長に助言を与える諮問委員会のような存在。会合はだいたい月1回 + 必要に応じて、といった感じらしい。給料も特権もないが、ウィスコンシンの人々にとっては憧れの存在で、有力経営者は理事会に入りたがり、理事は経営委員会に入りたがる。ビジネス面の能力が重視されるため、元パッカーズ名選手というだけでは理事にはなれず、経営者としてある程度認められなければならない。
2010年5月28日
先日のミニキャンプ公開練習で判明したポジション変更や今年の課題などについて、ドム・ケイパースDCがインタビューに答えている。
ピケットをNT/DE兼任とし、ラジを先発NTとしたことについて
「この商売では、できる仕事が多いほどよいものだ。彼らは2人とも、両ポジションをこなせるだけのアスレチック能力とサイズがある。こうすることでチームにフレキシビリティが生まれる。たとえばゴールラインディフェンスで、彼らのような能力の選手を2人並べられるチームは多くない。去年も我々のショートヤードディフェンスは優秀だった。相手を押し返す大きな選手たちが必要なのだ」
DEジャスティン・ハレルについて
「昨年の腰の問題は正真正銘のケガで、タフネスの欠如を示すものは何もない。DL2人をドラフト指名したこと? 優秀なビッグ・ガイはいくらいてもいいものだし、(ケガ人が出始めると)あっという間に足りなくなるものだ。新人たちが伸びてジャスティンが向上してくれば、我々にとっては嬉しい悩みが生まれる。足りない事態と比べれば、そうした『難しい決断』の方がずっといい」
プロ2年目の左OLBブラッド・ジョーンズについて
「ブラッドを先発させることに何の不安もない。アーロン(キャンプマン)が倒れたとき、彼がしっかりした働きをしてくれて、彼が加わったディフェンスは非常によいフットボールができた。彼のプレーを我々は気に入っているし、彼は今年のオフシーズン・プログラムでもよくやっている。おそらく10ポンドほど重くなっただろう。これは彼にとってよいことだ。ああした若手選手はプロ最初の2年間でぐっと伸びるのが普通で、ウェイトルームでの努力が実り、急にフィジカルになるものだ。それはブラッドにもあてはまると思う。去年のキャンプでは(背中を痛めて)あまりプレーできず、今年使えるのだろうかと疑問に思い始めていたのだが」
昨季NFL28位だったレッドゾーンディフェンス向上が最大のテーマ。
「失点をNFL最少に抑えるために、それが最大の目標となるのはいつものことだ。そのために、レッドゾーンに入られたら、タッチダウンでなくフィールドゴールばかりを蹴らせなければ。昨年の我々のディフェンスすべてを振り返り、さらなる進歩のためにはレッドゾーンディフェンス向上が一番だと我々は考えた。今年はその点に重点を置くことになるだろう。レッドゾーンでは違ったプレーをしなければならなない。フィールドは縦に縮まり、より素早くパスが出てくる。あっという間に物事が起きて、躊躇している余裕はない。ずっと速く反応しなければならない」
数人の優れた選手がチームを引っ張る、いわゆるプレーメーカー理論を信奉。
「非常に優秀なディフェンシブ・チームを作るには、2人か3人のディファレンス・メーカーが必要だと、私はつねづね考えている。1試合60プレーのうち、2つか3つのプレーが試合結果に大きな影響を与えるのが普通だ。2人か3人のプレーメーカーを手に入れたら、あとは頼りになるしっかりしたロールプレーヤーがたくさん必要だ。CBチャールズ・ウッドソンがプレーメーカーのカテゴリーに入るのは言うまでもない。NFLじゅうの誰もが欲しがるような選手だ。すべてのゲームで大きなプレーを決める可能性がある選手なのだから」
ウッドソンに次ぐプレーメーカーはOLBクレイ・マシューズ?
「(質問には直接答えず)クレイを手に入れることができて嬉しい、それははっきり言える。彼は頭のいい選手だ。あちこち動かすことができ、じっさい我々はそうした。昨年のキャンプではハムストリング負傷でろくにプレーできず、シーズン初めはスターターでさえなかった。彼がスターターとして全ダウンをプレーするようになり、ウチのディフェンスが大きく向上したのは明らかだ。彼には能力があるだけでなく、真のプロフェッショナルだ。大きな犠牲を払うほど手に入れるものは大きい、という古い法則を彼は理解し、そのように準備する。ケガさえなければ、素晴らしいシーズンを過ごすと私は予想するよ」
2010年5月25日
LGダリン・カレッジは昨季予想外の不振で先発の座が危うくなり、今年は同期のC/Gジェイソン・スピッツ、さらに2年目のT.J.ラングも挑戦してくる。これまでは左タックルなど他のポジションをやらされることが多く、それがキャリアの妨げになってきた、というのが本人の言い分だが、今年はその言い訳はきかない。新人LTブライアン・ブラガをはじめ、各ポジションに控え選手がそろい、1人ケガ人が出ただけで彼がポジション変更をする必要はもうないのだ。
「今年はポジションを固定する、という約束を毎年聞かされたけど、結局はケガやなにかで話が変わってくる。だからあまりアテにしないよう心がけてるよ。フルタイムで左ガードに専念し、全試合全スナップをプレーできればほんとに最高。左ガードこそ僕のベストポジションだからね。これまでは必ずしもそうした展開にならなかった」
ジョー・フィルビンOCは彼の言い訳めいたコメントに賛成せず、かなりはっきりと反論している。「2試合左タックルをやらせたから左ガードでうまくいかなかった、などと我々は言うつもりはない。これはナショナル・フットボール・リーグなのだ。(試合当日のロースターには)7人を登録し、ときには違うポジションをやらなければならない」
「固定するに越したことはないし、彼を攻撃する気はない。しかし昨季に入る時点で、彼は左ガードでおそらく2500回とか3000回のプレー経験があったはずだ。OL選手をあちこち動かしたといってウチのコーチングスタッフが責められるべきなのかどうか。その議論に正当な根拠があるとは思えない。昨年は新人のT.J.ラングに左ガードや左タックルをやらせた。彼についてなら、その議論は成り立つかもしれない。しかしダリン・カレッジにはこのリーグで3年半の経験があるのだ。正当な理由があったとは私には思えない」
「彼の昨季のプレー内容は、多くの選手と同じように、良い点も悪い点もあった。我々がとても大きな期待をしていたのもたしかだし。忘れてはならないのは、彼は球団史上最高得点シーズンに貢献したメンバーの1人なのだ。すべてが良かったわけではないし、向上すべき点はいろいろある。他の選手と同じように」
OL2人がドラフト指名入団し、カレッジはもう終り、と叩くのがファンのトレンドのようになっているが、彼はこれまでも劣勢になるたびに盛り返して先発の座を守ってきた。「僕にとってこのオフシーズンは心身ともに非常に重要なものだ。故郷に帰っても体づくりに力を注いでいるし、僕になれる最高のオフェンシブラインマンになろうと努力してる。アーロン(QBロジャース)にはそうされる資格があるし、チームにも、この街にもその資格がある」
いまだに契約延長はしてもらえないが、先日RFAテンダーにサインしてOTAに参加している。「今はチームメイトと一緒に過ごすことが僕にとって一番大事だ。(契約でもめて)チームの迷惑になるようなことはしない。オフェンシブライン全員で仕事をすることが大事なんだ」
同期C/Gジェイソン・スピッツとの先発争いについて。「僕はスピッツを心底愛している。しかし先発するために彼もベストを尽くすだろうし、僕もベストを尽くす。最後まで厳しい争いが続くはずだ」
2010年5月24日
DEジョニー・ジョリーは2008年に起こした鎮痛剤コデインの大量不法所持事件のためヒューストンでの公判が予定されていたが、今回の審問では下記のような「いかがわしい振る舞い」が話し合われただけで、公判はまたも延期となった。次回の審問は今月28日と決まり、そこで公判の予定が決まることになっている。
今回の審問で地方検事補は、ナイトクラブのパーティの宣伝チラシにジョリーが写っていることを判事に示し、保釈金($1万ドル)の増額と追加ドラッグ検査を求めた。保釈条件としてナイトクラブ訪問は禁止されていないが、ドラッグとアルコールは禁止事項となっているからだ。それに対して弁護士は「ジョリーの名は"社交の催し"の宣伝に用いられることが多いだけで、本人がパーティに出席した証拠にはならない」と反論。検事補はチラシだけでなく、ジョリーが複数のパーティに参加している写真が載ったウェブサイトも提示している。
判事は結論として保釈金の増額には同意しなかったものの、さらなるドラッグ検査のため頭髪サンプルの提出を命じ、夜6時から朝6時までの外出禁止、依存の問題があるのかどうか薬物カウンセラーの診断を受けること、「ドラッグまたはアルコールが供せられるあらゆる場所への出入り禁止」を保釈条件に加えた。判事が例のチラシを掲げ、「二度とこのようなチラシを私が目にすることのないように」と厳しく叱責すると、DEジョリーは「Yes sir.」と神妙に答えている。
前回の審問を欠席した2日後の5月7日にパーティを主催したことも問題となったが、盲腸の手術のため仕方なかった、と弁護士は釈明。審問後に弁護士は、パーティを主催したのか、出席しただけなのか、と記者に聞かれ、コメントを避けている。
2010年5月22日
- 水曜の練習終了後にトライアウトを受けたQBグレアム・ハレル Graham Harrell と正式契約。テキサス工科大ではシーズン5111ydsの大活躍(ハイズマン投票4位)だったが、昨年のドラフトでは指名されず。CFLサスカチュワンからもこの4月に解雇され、オクラホマ州立大のアシスタントとして働き始めていたところだった。大学時代にスプレッド・オフェンスで数字を稼いだQBはプロでは評価が低く(ESPN記事へ)、そのうえハレルは肩が弱く、コントロールも今ひとつといった評判。
- 入れ替わりに、昨季プラクティス・スクワッドにいたQBクリス・ピゾッティ(ハーヴァード大出身)が解雇された。前日の公開練習のときも、ピゾッティの出番はほとんどなく、ドラフト外ルーキーのノア・シェパード(サウスダコタ大)が3番手としてプレーしていたようだ。
- TEドナルド・リーは先発の座を失い、スペシャルチームでの出番が増えている。「僕はセルフィッシュな選手じゃない。勝利のために必要なら、言われたことは何でもやる。スペシャルチームでインパクトを与えるつもりだ。入団した頃はそっちで活躍していたわけだし、何も目新しいことはない。解雇の可能性? 自分の能力に自信を持っているから、考えたことはない。ぜひここでプレーを続けたいけれど、もしダメならば他でプレーするだろう。母からずっと言われてきたことだけど、自分でコントロールできないことを心配してもしょうがない。だからドラフトは全く見なかったし、ESPNさえ見なかった」
- 1stチームのノーズタックルとなったB.J.ラジ。「僕の知る限りでは、この方向で進むのだと思う。理由は知らないし、聞きもしなかった。でも、そう告げられたときは嬉しかったよ。僕のポテンシャルを最大限に生かすことができるから。最終的な目標は、ラン守備を向上させて相手ブロッカーを常に2人引き受け、後ろのA.J.(ホーク)やニック(バーネット)を自由に動かすこと。パスプレーでは、僕らがポケットを押し込んで、クレイ(マシューズ)やブラッド(ジョーンズ)のいる方へQBを押しやることだ。今はパスラッシュ技術の向上に務めているところ。右サイドにはリーグ最高の1人であるカレン(ジェンキンズ)がいるから、僕がスキルを磨けば、相乗効果が生まれれる」
- 腰の問題で昨季を棒に振った元1巡指名のDEジャスティン・ハレル。「昨季を休んで体づくりに取り組んだおかげで、これほど体調がいいのは最初に負傷して以来だ。大きな問題は何もない。ぶり返しもないし、軽い筋肉痛があるだけ。もう契約4年目だというのに、僕はここで何も貢献できていない。だから今年こそ僕は終りだ、と人々が言うのもわかる。でも自分としては出来る限りの努力をして、結果を見守るだけだ」
- 1stチームに入っている3巡指名SSモーガン・バーネット。「ニック(FSコリンズ)の隣でプレーできるのは名誉なことだ。すごいアスリートだし、頭もいい。彼のプレーを見て、質問をして、学ぼうと努力してる。まだやるべきことは多いよ。ホテルの部屋に帰っても、勉強すべきことが山積みだ」
- ウィル・ブラックモンのセーフティ転向について、ダレン・ペリー・セーフティコーチ。「過去の彼のプレーぶりを見ると、とくにボールの来る場所を把握する能力など、セーフティに必要な能力を備えている。もちろん、一人前のセーフティになるにはもっと多くのものが必要だ。ランサポート、よいタックラーであること、よいコミュニケーターであること。そういった部分で水準に達するよう、取り組んでいるところだ。サイズは十分だよ。ウチの他のセーフティたちと比べても、彼より大きいのは(元WRの)カリル・ジョーンズぐらいだ」
2010年5月21日
Organized Team Activities(OTA)3日目は今年初めての公開練習。雲ひとつない晴天に恵まれた。ノーパッド練習なのでプレー内容がどうこうといった段階ではないが、デプスチャート的に注目すべき動きがいくつもあった。
- 1stチームのノーズタックルには2年目のB.J.ラジが入り、ライアン・ピケットは(ジョリー不在の)左DEに。つまり昨季と入れ替わり、ピケットが両ポジションの控えを務めるようだ。今春ピケットと大型契約を結んだだけに、2人の起用法は昨季と似たものになると見られていた。
- 左DE兼任となったライアン・ピケット。「最初はあまり乗り気じゃなかったけど、これがチームにとってベストなのだと思う。B.J.はすごいノーズタックルになるはずだ。彼の方がノーズのタイプで、僕は両方できる。体つきの点でも彼の方が低いし」
- もうひとつ記者たちを驚かせたのが、1stチームの左アウトサイドLBにOLBブレイディ・ポピンガが入っていたこと。2ndチームは左OLBブラッド・ジョーンズ、右OLBシリル・オビオザー。しかしドム・ケイパースDCは練習後のインタビューで、スターターはOLBブラッド・ジョーンズである、と明言している。
- ACL断裂でリハビリ途上のCBウィル・ブラックモンが、今オフはセーフティの勉強中であることが明らかになった。公式ロースター表ではCBのままで、恒久的なコンバートなのかどうかはわからない。彼はCB陣では最もサイズ(体重206ポンド)がある。
- ウィル・ブラックモン。「フィールド全体を見られるのはすごく面白いよ。まったく違ったゲームになる。ディフェンスのクォーターバック役として、全く違うレベルの準備をしなきゃいけない。僕にとってはすごく魅力的だ。とくにウチのディフェンスでは、これは楽しいよ。(コンバートを打診した)コーチたちに言ったんだ。僕は構わない。フィールドに立てさえすればね」
- QBアーロン・ロジャースは非常に鋭いパスを投げ、現時点では文句なし。
- 注目の1stチームOL陣は昨季と同じ。左からLTクリフトン、LGカレッジ、Cウェルズ、RGシットン、RTタウシャー。
- 2ndチームOL陣は、LTブラガ(1巡指名)、LGバーバー、Cディートリック=スミス、RGニューハウス(5巡指名)、RTジャコミニ。(後述のようにラングとスピッツは見学組)
- 1stチームDB陣は、FSコリンズ、SSバーネット(3巡指名)、CBアンダーウッド、CBブッシュ。CBパット・リーがニッケル。(後述のように両ベテランCBとCBウィリアムズとSSビグビーは不在)
- マイク・ターゴヴァックDLコーチはDEジャスティン・ハレルに怒鳴りどおしで指導している。
- この日のパント練習は敵陣45ydsからインサイド20を狙うもの。
- 2人ともミスが少なく安定していた。
- Pティム・マステイは蹴った9本すべてをインサイド20に落とし、平均11.2yds地点。平均ハングタイム4.32秒。彼はキックオフ練習でも何度か蹴っていた。
- オーストラリアン・フットボール出身のPクリス・ブライアンも、蹴った8本すべてインサイド20に落とした。平均13.8yds地点。平均ハングタイムは4.58秒とマステイを上回った。
- フリーエージェントとなっているRBアーマン・グリーンは、ロッカールームを片付けるため前日にランボーフィールドを訪れた。引退するつもりはない、と本人。
- 欠席・見学組は以下のとおり。
- 未契約RFAのDEジョリー、SSビグビー、CBトラモン・ウィリアムズ以外の選手たちはほとんどが出席している。
- ヒザのリハビリ途上のCBアル・ハリスは欠席しているが、これは予定通り。先週はグリーンベイに来てチームドクターにリハビリ経過を見せた。
- CBチャールズ・ウッドソンは火曜まで参加し、前夜グリーンベイを離れた。
- ケガによる見学組はC/Gジェイソン・スピッツ(腰)、T/G T.J.ラング(手首)、WRブレット・スウェイン(ヒザ)、DEロナルド・タリー(ヒザ)、ILBニック・バーネット(ヒザ)、CBウィル・ブラックモン(ヒザ)、Sデリック・マーティン(足首)
- ともにケガのため昨季を棒に振ったCBパット・リー(ヒザ)とDEジャスティン・ハレル(腰)は元気に参加している。「サイドラインにいるのを見慣れすぎて、実際にハレルが練習してるのを見るのは不自然な感じ」とある記者。
2010年5月18日
- Organized Team Activities(OTA)が始まった。初日はフィジカルチェックやミーティングだけで、フィールドでの練習は2日目にスタートする。練習は週4日ほど行われ、ファンに公開されるのは週1回水曜だけ。(今後の予定はこちら)
- パッカーズにとっては今オフ初めてのチーム集合であり、ルーキーとベテランの初顔合わせの場でもある。チーム側は参加を強制できないので、ベテラン選手は用があれば欠席することも少なくない。
- 制限付きFAのDEジョニー・ジョリー、SSアタリ・ビグビー、CBトラモン・ウィリアムズの3人はまだテンダーオファーにサインせず、OTAに参加していない。
- DEジョニー・ジョリーは鎮痛剤コデインの不法所持事件で、いよいよ今週金曜から裁判が始まる予定。サインしないかぎり球団側はRFAテンダーをいつでも引っ込めることができるので、もし有罪判決が出たら、チーム側はRFAテンダーを引っ込めて節約する可能性が出てくる。そうならないよう、先にサインを済ませた方が本人のためではないか(ただし解雇の恐れは消えない)。DEを2人ドラフト指名した点でも球団側の立場が強い。 RFAとはいえ、いわゆる「1巡テンダー」の$2.521ミリオンは、簡単に足蹴にできる額ではないはず。
- SSアタリ・ビグビーは、SSモーガン・バーネットの3巡指名入団で先発の座が危ういというのに、わざわざ新人を1stチームに入れる機会を作っていいのか。ただファンとしては面白い。
- 契約延長に向けて、最も立場が強いのはCBトラモン・ウィリアムズ。30代半ばのベテランと大ケガ組ばかりで若いライバルがおらず、チームとしては手放すわけにはいかない。
- ランボーフィールドのアトリウムのガラスに銃弾で穴が開いているのが発見され(写真)、警察が捜査中。人のいなくなった前夜10時以降に起きたことは間違いなさそうだ。警察はダウンタウンで起きたドライブバイ・シューティング(車からの発砲)との関連を調査中で、また目撃者の情報を呼びかけている。
- ジェフ・ジャゴジンスキー前OCがUFLの新チーム、オマハ・ナイトホークスのヘッドコーチに就任した。彼は2006年限りでパッカーズを退団してボストン・カレッジのヘッドコーチとなり、2年間で20勝8敗の好成績を残したが、NFLヘッドコーチを目指して勝手にジェッツと面談するなどしたため、昨年1月に解雇。バッカニアーズのオフェンシブコーディネーターとなったものの、プレーコール能力が疑問視されて昨年開幕直前に解雇されている。
2010年5月17日
5巡a指名のTEアンドリュー・クウォレスは、過去のトラブル歴(記事へ)がたたって指名順位を下げた、というのがもっぱらの評判。それについて、昨年まで彼を教えたペン州立大TEコーチのビル・ケニーは強い憤りを表明している。"ドラフト専門家"などは「フィールド外での問題」と決まり文句を繰り返すばかりで、本当の姿を知ろうとしない、知りたいのならなぜ指導した自分に聞きに来ないのかと。「いいかい私はね、アンドリューのためなら焼けた炭の上だって歩いてやる」
未少年飲酒から始まるトラブル歴をインタビュアーが説明し始めると、キニーTEコーチがさえぎった。「君は大学へ行ったんじゃないのか? 大学では飲まなかったのか?」 たしかに。
クウォレスはレッドシャツ(いわば練習生)を経ず大学1年目に先発TEとなったため、18歳の誕生日より前に名門ペン州立大のスター選手となっていた。本人も認めるように、精神的な未熟さと思い上がりがトラブルの遠因だった。「今にして思えば、1年目はレッドシャツにさせておきたかった。しかしそうするには才能がありすぎた」とケニーTEコーチは振り返る。
最初のオフシーズンに未成年飲酒で逮捕。2年目を終えた2008年3月には、チームメイトを送る途中で飲酒運転で逮捕。ケニーTEコーチによると、血中アルコールレベルは法定制限値の約半分の0.04%にすぎなかったが、彼の場合は未成年飲酒なので逮捕されても仕方がない。本人がジョー・パターノHCに懇願してかろうじて退部処分は避けられ、長い謹慎処分となった。
追い打ちをかけるように、2008年9月には彼のアパートメント(チームメイト数人で共有)でマリファナが発見され、1試合の出場停止処分。マリファナは彼の物ではないと証明され、事件翌日の薬物検査でもシロ。それでも、チームに迷惑をかけたうえ家族まで白い目で見られたことにクウォレスは深く傷ついた、とケニーTEコーチは言う。
「私は彼と長時間の話し合いをして、彼はアルコールをやめる努力を心から誓い、ずっとそれを守った。決してアルコール依存の問題があったわけじゃない。アルコールこそ自分を再びトラブルへと導く道だ、と彼が思い知ったからだ。しかし彼はとてもいい子だ。ペン州立大での後半2年間、彼はアルコールにまったく触れてもいない。私はここで23年間教えているが、彼はその中で最高のタイトエンドの1人だよ。あらゆる点で素晴らしい若者だ。私には息子が2人いるが、彼らがアンドリューのように育ってくれたら私は幸せだ」
「私に言わせれば、世間の連中は彼のことをロクに調べていない。好きなように言えばいいさ。しかしグリーンベイ・パッカーズはしっかりと調べた。見事な仕事ぶりでアンドリューのことを調べ、厳しく吟味し、その上で彼の現状、個性、人柄といったものをよく把握した。カイパーだのマクシェイだのといった連中は、なにひとつわかっちゃいない」
「現在の彼のことではなく、17歳や18歳の頃にしでかした事を元に判断を下す、彼らがやっているのはそういうことだ。だってああした経験をするのが大学というものだろう。経験から学んで自分を向上させるのが大学というものだ。学業のことだけでなく、人付き合いや人間的成長の面でもね。アンドリューが大学4年間に示した成長の大きさについて、私はとても誇らしく思っている」
フィールド上でのクウォレスは典型的なレシービングTE、という評判について。
「選手としての彼に関して私がもっとも誇らしいのは、テクニック的な部分だけでなく彼がTEとしての体づくりに打ち込んでくれたことだ。若い選手にはつきものだが、彼も走ってボールをキャッチするのが大好きだ。シーズン40回もパスが来れば喜ぶだろう。しかし同時に、彼はDEやストロングサイドLBを相手に大喜びで戦うし、非常にフィジカルなプレーヤーだ。彼はキャリアを通じて、(フィジカルな)ビッグ10カンファレンスでそれを証明してきた。私はカイル・ブレイディ、トロイ・ドレイトン、トニー・スチュワート、ジョン・ギルモアといった選手たちを教えてきたが、彼はそのトップにいるよ」
2010年5月16日
ACL断裂のCBアル・ハリスは、マイアミのAtlantic Rehabilitation Centerでリハビリの日々を過ごしている。復活への道のりをファンに報告するビデオレターがパート12まで来ているので、これまでの分をまとめて紹介。かなり激しい動きをこなしていて、負傷からわずか半年でここまで動けるのかと驚かされる。本人はことあるごとに、「復活は無理だという見方が間違っていると証明する」と繰り返している。最新分ビデオの下は、これまでのビデオのリスト。
- パート1 (2月10日) 手術から6週間。左ヒザのACLだけでなくLCLなど損傷がひどかったことを話す。理学療法士兼アスレチックトレーナーのジョーなど、スタッフやリハビリ仲間も紹介。「タオル」とはきついストレッチのときに口にくわえるためのもの。
- パート2 (2月18日) またもタオルをくわえて悶絶。もも上げ、前後への細かいステップも。同じマイアミに住むSSアタリ・ビグビーも登場して応援コメント。
- パート3 (2月25日) チューブで軽い負荷をかけて激しく曲げ伸ばし。マシンでのトレーニングも。抱負コメントの中の "Can't leave money on the table."というくだりがプロ魂を示している。元同僚のSマーカンド・マニュエル(現DET)も登場。
- パート4 (3月11日) 左右のヒザの曲がり方がまだぜんぜん違う。バックペダルから前方への軽いダッシュ。コンバインやプロ・デイを控えたドラフト候補生たちも登場し、40yds走の練習などをしている。自分と同じスモールスクール出身のWR(ドラフト外でJAXへ)の肩を抱いて応援。
- パート5 (3月18日) ヒザを伸ばした時の角度はすでに5度まで伸びている。
- パート6 (3月26日) 屋外ジョギング、軽いスプリント、各種ラダー・ドリルなど。CBウィル・ブラックモンなど同じケガの選手たちの回復を祈ったあと、DEアーロン・キャンプマンの移籍を祝福している。
- パート7 (4月2日) ラダー・ドリルで得意の細かいフットワークを披露。CBのポジションドリルでは、WR役のトレーナーにぴったり並走。裸で走るときはいつもネックレスを口にくわえる。
- パート8 (4月9日) 足に振動を与えるマシンが出てくる。トレーナーにヒザをきつく曲げられても、もう叫び声をあげずに我慢できている。
- パート9 (4月9日) 可動域が128度まで戻ってきた。目標は135度とのこと。
- パート10 (4月16日) CBのポジションドリルに加え、数十cmの台に片足ジャンプして飛び乗る練習を繰り返す。
- パート11 (5月1日) 足を滑らせてばったり倒れ、一瞬ヒヤッとするシーンあり。バックペダルを中心にポジションドリルを激しく繰り返し、本当にACL断裂だったのかと疑問に思えてくるほどの動き。
- パート12 (5月15日) 上の映像と同じ。さまざまな方法で負荷をかけるトレーニングを紹介していて興味深い。二筋の傷痕が生々しい。
2010年5月14日
- Packers Tailgate Tour が今年もはじまり、パッカーズ選手たちが4日間ウィスコンシン各地をめぐってファン交流イベントを行っている。今回はマーク・マーフィ社長、LTチャド・クリフトン、FSニック・コリンズ、WRジェームズ・ジョーンズ、FBジョン・クーンが参加。昼間は学校や病院などの慰問や見学を行い、夕方は賑やかにファン交流パーティが行われる。パーティの入場料は$25ドルで、収益金はすべてチャリティに寄付される。(ツアー・ブログはこちら)
- T/G T.J.ラングが4月5日に左手首の手術を受け、今月のOTAや来月のミニキャンプなどすべて参加できないことが明らかになった。7月末に始まるトレーニングキャンプには間に合うものと見られているが、正確な復帰時期は不明。12月末の練習中に手の舟状骨を骨折し、オフシーズンになっても回復しなかったため、手術せざるをえなかったとのこと。
- Sデリック・マーティンは4月26日に足首の関節鏡手術を受けた。こちらもOTAには参加できないが、トレーニングキャンプには間に合う見込み。
- OGスタンリー・ダニエルズが解雇された。おそらく、OL2人をドラフト指名したために押し出されたのだろう。OGダニエルズはワシントン大から2007年ドラフト外でラムズに入団、その後ジェッツを経て昨年10月にパッカーズのプラクティス・スクワッドに加わっていた。
- テキサンズのLBブライアン・クッシングがステロイド等薬物違反のため(昨年9月に陽性反応)、AP通信はディフェンス新人王の投票をやり直したが、なんとそれでもLBクッシングが1位となり、新人王剥奪はされなかった。1位クッシング18票、2位FSジェラス・バード(BUF)13票、3位OLBクレイ・マシューズ10票。
- 投票した50人のリストはこちら。ローカルメディアが22人、あとは全米メディアから28人で、有名な記者が名を連ねている。MVP、オフェンシブ/ディフェンシブ・プレーヤー・オブ・ザ・イヤー、オフェンス/ディフェンス新人王、コーチ・オブ・ザ・イヤー、カムバック・プレーヤー・オブ・ザ・イヤー、オールプロもこの面々が投票を行う。
- 薬物違反にもかかわらず新人王に投票した記者たちに大きな批判が集まっているが、Journal Sentinel紙のトム・シルヴァーステイン記者は自分はクッシングに入れなかった、とブログで弁明している。
2010年5月13日
今春総額$20ミリオンの3年契約にサインしたLTチャド・クリフトンが、契約後はじめて記者の質問に答えた。「ずっと再契約を望んでいたんだ。チームとの交渉がまとまらずにFA期間に入り、『訪問してみないか』 とワシントンから声がかかった。何がどうなるかわからないし、とても気がもめたよ。前回(2004年)はFA解禁前に再契約したしね。さいわい、レッドスキンズとあまり交渉が進まないうちにパッカーズから連絡があった。いい結果になってよかった」
若きライバルとして1巡指名のLTブライアン・ブラガが入団してきたことについて。「言うまでもない、素晴らしい指名だよ。去年ウチはケガ人に苦しんだし、若返りを図る必要があった。よい指名だと思う。彼に僕の知識を伝え、成長していくのを見るのが楽しみだ。キャンプでの競争? この仕事に競争はつきもので、来るときには来るものだ。僕としては何も問題ない」
手術があった過去数年とは違い、今年はフルにワークアウトできているとLTクリフトンは言う。「昨シーズンだって足首の捻挫さえなければ全試合出場できていた。ああしたケガさえなければ、ヒザも肩もちゃんと持ちこたえるはずだ。問題にはならないと思う」
先日テネシー州各地を襲った大洪水で、彼の所有する農場も大きな被害を受けた。「柵が流されたり、かなりの部分がやられて、流れてきた瓦礫の山になっている。テネシーには川が多く、あの大雨(2日間で490mm以上)で堤防が決壊したんだ。たくさんの人々が財産を失い、住む家を失った。洪水の保険に入っていない人が多くて、ダメージは計り知れないよ。僕らはマシな方だ。すべてを失った人たちがたくさんいるんだから」とLTクリフトンは言う。同じくテネシー出身のCスコット・ウェルズとともに、支援活動を検討しているとのこと。
2010年5月12日
制限付きフリーエージェント(RFA)のLGダリン・カレッジがパッカーズからのテンダーオファーにようやくサインし、今週からオフシーズンプログラムに合流している。ここにきてRFAテンダーにサインしたのは、(契約下にない選手はトレードできないので)トレードのための動きでは、という早まった見方も一部にあったが、そうしたわけではなさそう。ラジオ解説の元Cラリー・マッカレンは、「現時点ではトレードはないと思う。あるとしたらキャンプの終りごろではないか」と話している。
カレッジ側の不満にもかかわらず、依然として契約延長の動きはない。「現在はなにも話しあっていない」と代理人も認めている。
これで未契約のRFA選手は、DEジョニー・ジョリー、SSアタリ・ビグビー、CBトラモン・ウィリアムズの3人だけ。情報筋によると、SSビグビーは契約延長を求めてホールドアウトを続ける構え、といわれていたが、それはドラフト前の話。3巡指名でライバルのSSモーガン・バーネットが入団してきたため、方針変更せざるをえなくなったかもしれない。新人にあっさりスターターの座を奪われかねないからだ。
2010年5月11日
ドラフト指名からわずか数日、新人選手たちはあわただしくルーキーミニキャンプに参加した。6巡指名のRBジェームズ・スタークスは言う。「ゾンビになった気分だね。(練習やミーティングや食事に)どこに行けばいいのかもわからない。大学入学したころをもう一度やり直してるみたいだ」
5巡a指名のT/Gマーシャル・ニューハウス。「新しい場所だから緊張するのは当然。でも結局のところ、フットボールに変わりはない。そう考えると気持ちが落ち着いた。『よし、これは自分が長い間やってきたことだ。これならやれる』 と思った」
2巡指名のDEマイク・ニール。「ミニキャンプ前日にプレーブックを受け取ったんだけど、生物学の教科書ぐらいある、と思ったよ( 『オレの街の電話帳ぐらいだ』 と横からDEウィルソン)。 もし生物学のことを何も知らないなら、これはクレイジーな量だ。でもコーチが言ってくれたんだけど、ディフェンシブラインマンにとって、ディフェンス習得はそれほどハードじゃない。どのコールで自分がどこにラインナップすればいいか、そしてチェックをよく聞いて、自分が関係するならそれに対応すればいい。あとはフットボールをプレーするだけだ」
「最初の練習を終えると、自分のことが見えてくる。自分に何ができて、どこを改善しなければならないか。ここに来る前は緊張してたけれど、練習が近づくにつれて緊張は消えていった。ただのフットボール、と気付いたからだ。長くやってきたことだし、あとは本能の命ずるままにプレーすればいいんだと」
ドラフト指名ルーキーの中で、最も勉強量の多いのは3巡指名のSSモーガン・バーネットだろう。「コーチに渡されたプレーブックをすべて身につけ、力の及ぶかぎりのプレーをして、楽しめたらいいね。すごい量のプレーブックを渡されていて、たいへんな量を覚えていかなきゃいけない。でもそれも仕事の一部だし、楽しみにしているよ」
2010年5月 9日
既存の選手たちから見たドラフトの結果をざっとまとめてみる。個々の選手からみて「立場が苦しくなった」というのは先発争いのレベルが上がったということなので、チームにとっては喜ばしいこと。その逆に「ホッとした」選手たちのポジションは、補強に手が回らなかったのでよくない。
立場が苦しくなった選手たち
- SSアタリ・ビグビー: SSモーガン・バーネットが3巡指名され、先発交代の可能性が最も高いルーキーと見なされている。セーフティコーチのダレン・ペリー自身がSSバーネットに惚れ込んで指名に至った模様で、できれば先発の座を奪ってほしい、という気持ちが口ぶりから伝わってくる。SSビグビーは今年が契約最終年なので、先発争いで敗れた場合、来春は移籍となりそう。
- オフェンシブライン: LTクリフトンとRTタウシャーが再契約し、ただでさえデプスが確保されていたところへ、1巡指名LTブライアン・ブラガと5巡指名T/Gマーシャル・ニューハウスが入団してきた。
- OL9人枠とすると、順当ならば昨季の先発5人にLTブラガ、C/Gスピッツ、T/Gラングまではロースター入りが固い。最後のイスを残りの選手たちで争うことになる。
- OTブレノ・ジャコミニ & OTアレン・バーバー: すでにギロチンの刃の滑り落ちる音が聞こえていそうだ。生き残りに向けて、今夏のキャンプが最後のチャンス。
- LGダリン・カレッジ & C/Gジェイソン・スピッツ: 2人とも契約最終年なので、たとえ今夏の争いに勝ち残っても、今年がパッカーズ最後の年となる可能性はかなりある。OT2人の入団でT.J.ラングが左ガードに挑戦しやすくなったのも痛い。イヴァン・ディートリック=スミスや新人ニューハウスの出来しだいでは、今夏トレードの可能性さえある。
- LTチャド・クリフトン & RTマーク・タウシャー: 世代交代へのカウントダウンが正式にスタート。クリフトンは3年契約(詳細)、タウシャーは2年契約(詳細)を結んだが、その契約を全うできるのは先発の座を守れたときだけだろう。
- 両ディフェンシブエンド: 控えのレベルがやや低かったところへ、2巡指名マイク・ニールと7巡指名C.J.ウィルソンの入団でぐっと層が厚くなった。カレン・ジェンキンズとジョニー・ジョリーの両スターターとも契約最終年を迎え、来春は(少なくとも)どちらかがチームを去るはず。LB等と比べて育成に時間の必要なポジションだけに、球団は来年に備えて早めに手を打ったのだろう。
- 控えTE陣: 5巡指名でTEアンドリュー・クウォレスが入団。「残っている中で最高評価の選手だったから」という説明が本当だとすれば、控えTEたちにとっては不運。逆に説明がただの建前だとすれば、昨季スランプだったTEドナルド・リー(落球率14.6%)や、飲酒バイク事故のTEスペンサー・ヘイヴナーの立場が弱くなったことになる。
- RBアーマン・グリーン: 現在フリーエージェント。可能性は消えていないが、6巡指名RBジェームズ・スタークスの入団で再契約が遠のいたのはたしか。ただ、RBスタークスが即戦力になると決まったわけではない。
ホッとした選手たち
- OLBブラッド・ジョーンズ: 大物ルーキーが入ってくると覚悟していたら、逆にスターターの座を確約されたようなもの。今後FA補強の可能性は残っているが。しっかりバルクアップしてパスラッシュ力を強化してほしい。
- CB陣: 指名がなかったとはいえ、「粗削り組」と「病み上がり組」がひしめいていて、けっして人数は少なくない。ベストシナリオは、ベテランが衰えず、若手が伸びてくること。その逆はまずい。
- パンター陣: ドラフトでもドラフト外でも獲らなかったということは、今年の新人はレベルが低い、と見たからなのか(ドラフト外ルーキーに断られたのかもしれないが)。ともにNFL経験のないティム・マステイとクリス・ブライアンに争わせ、他球団からこぼれてくるパンターに目を光らせる、といった方針だろう。昨年とまったく同じことをやっている。
- WR陣: 2年連続で指名なし。リターナー指名がなかっただけに、ドラフト外ルーキーたちにもチャンス。もしプレシーズンでリターン能力をアピールできれば、5番手WR争いで一気に有利になる。
- QBマット・フリン: QBも2年連続で指名なし。今年もまたQBロジャース&QBフリン&プラクティス・スクワッド、という構成になるのではないか。
- Kメイソン・クロスビー: ライバルの入団がなく、プレシーズンでよほど不振に陥らないかぎり開幕スターターは間違いなさそう。
- ILB陣: 2年連続で指名なし。A.J.ホークとデズモンド・ビショップが契約最終年を迎えるが、ブランドン・チラーと契約延長しているのでさほど問題ないだろう。
2010年5月 7日
WRグレッグ・ジェニングスが人気ドラマ「クリミナル・マインド」にチョイ役で出演し、現地5日夜に放映された。ドラマの内容は、FBI行動分析課の捜査員たちが心理プロファイリングを中心にして凶悪犯を追い詰めていく、というもの。WRジェニングスは1シーンだけ科学捜査員として登場し(背中にforensicsと書いてある)、犯罪現場でちょっとした感想をもらす、といった役回りらしい。
撮影はこの3月に行われた。きっかけは2年ほど前。知人のCBSプロデューサーから同番組のプロデューサーを紹介され、いつか出てくれ、という話になっていたが、これまではフットボールの都合や妻の出産などでスケジュールが合わず、今回ようやく実現のはこびとなった。
「とにかく楽しかったよ。やっぱり本業はフットボール、と知らしめるつもりで行ったんだけど。キャストのメンバーもみんなすごくよくしてくれて、僕の演技がまともに見えるよういろいろ手伝ってくれた。僕の部分の撮影は2時間ぐらい。セレブ待遇なんて予想してなかったのに、ちゃんと僕用のトレーラーが用意されていて、ドアには "Head Lab Tech - Jennings" と役名が書いてある。そのシーンの撮影では、クルーが全員グリーンベイのアパレルを身に着けてくれた」
下のYouTube映像が、WRジェニングスの出演したシーン。その下のビデオ映像は、地元TV局のインタビューで出演体験を語ったもの。普通にしているとどうしてもニコニコしてしまうことを注意されたなど、共演したレギュラー出演者からアドバイスをもらったエピソードなどを話している。
2010年5月 5日
ルーキーミニキャンプにトライアウト参加した29選手の中から、パッカーズは下表の3選手との正式契約を発表した。昨年はトライアウト参加選手の中から、CBトレヴァー・フォードがプラクティス・スクワッドを経てロースター入りを果たしている。
- WRショーン・ゴアはカナダのトロント出身の黒人選手。ちょうどパッカーズからのオファーと同じ日にCFLドラフトで2巡(全体10位)指名されている。
- NTアレリック・マリンズは大学ではフルタイムのスターターではなかったが、40yds走4.95秒と素晴らしいスピードを持つために7巡あたりでの指名も予想されていた。しかしコンバインでの検査で心雑音があると診断され、どの球団からも敬遠されたらしい。「僕は高校でも大学でも心臓の問題など1つもなかった。家族でもそんな病歴を持つ者は1人もいない」と本人。
- フルタイムのスターターではないが直線スピードがすごいという点で、NTマリンズは2003年5巡指名のDTジェームズ・リーを思い出させる。
- Sアンソニー・レヴィーンはコンバインに招待されなかったがプロデイで猛烈なタイムを出して注目された。3コーンドリル6.64秒、20ydsシャトル4.05秒、60ydsシャトル10.97秒はどれもコンバインに出ていたらセーフティ中トップの数字。
2010 Packers Rookie Free Agents |
Pos. |
Name |
College |
ht. |
wt. |
40走 |
備考 |
WR |
Shawn Gore |
Bishop's (Canada) |
6-0 |
200 |
4.50 |
CFLドラフトで全体10位指名 |
NT |
Aleric Mullins |
North Carolina |
6-1 |
319 |
4.95 |
身体能力の高いノーズタックル |
S |
Anthony Levine |
Tennessee State |
5-11 |
195 |
4.48 |
プロデイでの各種タイムがすごい |
2010年5月 4日
ルーキーミニキャンプでの話題をまとめて。
- マイク・マッカーシーHC。 「今年のルーキー組の感想は、やはり攻守両ラインの4人だね。ここ数年間の新人たちと比べて、今年のラインの選手たちはサイズが大きいし、パワーの点でも上回っている。動きに関してはまだはっきりわからない」
- ブライアン・ブラガ(1巡指名)は左タックル、マーシャル・ニューハウス(5巡b指名)は左ガードに入っている。ニューハウスは左タックルの2番手としてもプレー。
- ディフェンシブラインの1stチームは左から、DEマイク・ニール(2巡指名)、NTアンソニー・トリビオ、DE C.J.ウィルソン(7巡指名)の3人。
- ルーキーミニキャンプにもかかわらず、スペシャルチーム練習に多くの時間を割いた。各選手の適性を見極めるだけでなく、STコーチたちが新しいドリルをいくつか披露したらしい。チーム最大の弱点であるスペシャルチームをFAやドラフトで補強していないことに、地元メディアから批判の声が大きくなっている。コーチ陣としては「内側からの成長」でそれが達成できることを示さなければならない。
- 「スペシャルチームは重要な課題であり、我々はそこで進歩する必要がある。そのために新しいドリルをいくつか、OTAで全チームが集合する前にルーキーたちで試してみた」とマッカーシーHC。
- パンター争いは2年目のティム・マステイ(23歳)、オーストラリア人のクリス・ブライアン(28歳)の2人。オフシーズンプログラム開始からすでに6週間にわたって練習を続けてきているが、チームドリルで蹴るのはこのミニキャンプが初めて。
- Pクリス・ブライアンは過去5年間オーストラリアン・フットボール・リーグでプレーし(記事へ)、NFLのルールやプレーにまだうとい。 「パンターの役割はわかっているけど、それ以外の部分はまだ覚えている最中。ビデオで試合をたくさん見てるんだけど、審判のハンドシグナルとかはまだよくわからない。だからいちいち質問をしないと」
- 自分の長所はインサイド20に蹴ることだとPクリス・ブライアンは言う。オーストラリアンではボールを順回転させるドロップキックが主流であるため、スパイラルをかけたアメリカンフットボール流の蹴り方はまだ練習中だが、問題はないと本人は言う。 「6歳の頃か蹴っているから、正確性が強みだ。毎回安定したスパイラルで蹴ることには慣れていないが、ドロップパントは10回のうち10回成功できる。心配ないよ」
- 自分のパンティングについて、Pティム・マステイ。 「60ydsぶっ飛ばすというタイプじゃない。それは滅多にない。でも僕は5.0秒のハングタイムを稼げる。そこが長所だ。大事なのは『ネット』だよ。40ydsから50ydsの間で、よいハングタイムを稼ぐこと。以前は2.5ステップか3ステップで蹴っていたけど、真の2ステップ・パンターになるべく、この1月からSTコーチと必死に取り組んでいるところ(ステップが少なければゲットオフ・タイムが短くなりブロックされにくい)。いい感じで蹴れているし、このリーグでやっていけるのだと、以前より自信が持てている。今度は次のレベルでよいプレーを見せなければ」
- 5巡a指名のTEアンドリュー・クウォレスについてマッカーシーHC。 「初日の動きは今ひとつだったが、それは無理からぬことだ。あとの2日はとてもよかったと思う。パントチームなどスペシャルチームでも、あの体にしては非常に高いアスレチック能力を示した」
- 肩の手術のため昨季を棒に振った6巡指名のRBジェームズ・スタークスは、今はもう痛みもまったくないとのこと。「ただ初日はちょっと息が上がった」
- 2巡指名のDEマイク・ニールはバスケットを断念してフットボールに専念するようになった頃からウェイトトレーニングに打ち込むようになり、今では趣味といっていいほど。ベンチプレス510ポンド、スクワット615ポンド、パワークリーン385ポンド。 「どれも大したことはない。好きでやってるから、これくらいは驚く数字じゃないよ。始めたのは高校2年のときだ。お前はフットボールをやるには細すぎる、と親父に言われた。ウェイトルームに行け、とね」
- その父ゲイリーはウェバー州立大(ユタ州)でDTとして活躍し、1988年ドラフト外でジャイアンツへ。しかしケガもあってロースター入りはならず、ワールドリーグのオーランド・サンダーでもケガをして、選手生活は短命に終わった。45歳の今は消防士のかたわら高校のアシスタントコーチも務め、"World Police and Fire Games"(警官・消防士の競技会)にも出場してベンチプレス525ポンドを挙げた、とのこと。「ベンチプレスで親父に勝ったことがない」とDEニール。
- 昨年12月にWRとしてプラクティス・スクワッド契約したカリル・ジョーンズだが、今年はセーフティにコンバートされている。「高校でやって以来だけど、自信はある。体つきとスピードと能力を見て、そちらが向いていると思ってくれたんだろう。大学でもずっと220ポンドだったし、セーフティに理想的なサイズだ。自分でもレシーバーより向いていると思う。実を言うと、NFL選手を夢見ていた頃、僕はいつも自分がスーパーボウルでセーフティをプレーするところを夢に描いていた。このチームのスタッフは(昨年もヘイヴナーのTEコンバートに成功し)この道に秀でているから、僕はその見立てを信頼しているし、自分にとってもこうする方がよいのだと確信している」
- ドラフト外入団のQBノア・シェパード(サウスダコタ大)はモバイル型の黒人QB。 「この3日間で成長が見られた。初日は地面に落ちるパスが多かったが、最終日はそれがなかった。よいアスリートだし、体にパワーもある。身のこなしも素早い。彼を育てるのが楽しみだ」とマッカーシーHC。
- ドラフト外入団のCBサム・シールズはマイアミ大時代に40yds走4.19秒を出したことがある、と豪語する。陸上のフロリダ州大会では100m走10.5秒で決勝進出。「本気で陸上だけに集中していたらオリンピックを狙えたかもしれない。でも僕はフットボールだ。それに集中していた」
- ドラフト外入団のOLBジョン・ラッセルは体重のローラーコースターを強いられている。ウェイクフォレスト大では265ポンドでDTをプレーし(相当軽い)、コンバインでプロにアピールするため286ポンドまで増量。ところが、ドラフト後に誘いがかかったのは、パッカーズをはじめとして3-4のアウトサイドLBばかりだった。 「僕とエージェントが考えたのは、3-4のDEとか、インサイドからのパスラッシャー役だった。だから先に重くしておいて、その後で必要なら減量すればいいと。パッカーズやチーフスやビルズといったチームたちはラインバッカーを望んだし、その道しかなさそうだった。僕としては喜んでるよ。280ポンドとかでプレーする必要を感じなかったし、無理につけた不自然な体重だったから」
- トライアウト参加の選手が29人もいるため、その選手たちはアウェーチーム側のロッカールームを割り当てられている。
- WRグレッグ・ジェニングスがこのたびウェスタンミシガン大を卒業したニュース映像。彼の両親や妻子も登場する。
1巡指名のLTブライアン・ブラガ関連の話題から。
- アイオワ大でも同じようにゾーンブロッキングのスキームだった。 「慣れている部分は多いけれど、用語がぜんぜん違うし(スナップ前の)チェックなどすべてが違っているから、憶えなきゃいけないことは多い。ゾーン・スキームが似ているとはいっても、これはNFLだ。フォーメーションやモーションはいろいろ違っている」
- 腕の短さについて、本人は次のように笑っている。 「本番の試合でプレーの後、『ちっ 腕がもっと長けりゃよかった』 と思うような状況には一度もなったことがない。ランブロッキングで手が小さくて困ったこともないし」
- 先発の可能性について。 「僕は(実戦で)フットボールをプレーしたい。でももしそうならず出場できなかったら、それは僕が資格を勝ち取れなかったということであり、まだ準備ができていないとコーチが判断した、ということだ。(控えと決めつけず)どちらになるか頑張って確認したい。単純なことだ」
- 代理人は大物エージェントのトム・コンドン。 「トムに全幅の信頼を置いている。彼が契約を交渉し、僕はフットボールをプレーする。もちろん僕は(ホールドアウトなどせず)練習に出てプレーしたい。でもビジネス面も無視するわけにはいかない。それを扱うのはトムだ」
- ドラフト前の数ヶ月間は、代理人コンドンの指示で、他のドラフト候補生とともにアリゾナ州の施設でトレーニング。そのときOL指導にあたったのが元パッカーズOLコーチのトム・ロヴァット(GB在籍1992-98)だった。(引退後や浪人中のコーチがアルバイトとしてドラフト候補生の指導をすることはよくある)
- トム・ロヴァットはパッカーズ現トレーニングコーチのマーク・ロヴァットの父親。
- トム・ロヴァットについて、LTブラガ。 「彼は優秀な選手をたくさんコーチしてきた。その彼がマンツーマンで指導してくれて、僕は多くのことを学んだ」
- LTブラガについてトム・ロヴァット。 「最初の5番か6番に指名されるものと私は思っていた。カンザスシティが指名するものとね。(昨年ここで教えた)ジェイソン・スミスほどアスレチックではないが、高校ではバスケや野球もプレーした。しっかりしたスキルがある。力強いし、ハードに頑張るだろう。やろうと決めたことを彼はやり抜く」
- 腕の短さについて、トム・ロヴァット。 「そんなものは全く問題じゃないと思う。私はむかし(殿堂入りOTの)ダン・ディアドーフも教えた。彼は腕が短かったが、"Too Tall"ジェームズ(身長206cm・通算106サック)を毎年ちゃんとブロックしていた。大事なのは嗅覚であり、正しい位置に体を置くことだ。毎回外を抜かれるようならば、長い腕も必要になることだろう。相手が自分よりクイックだと知っていたら、よい位置に体を置くことが大事だ」
2010年5月 2日
3日間のルーキーミニキャンプが始まった。とはいえ正式名称は"Rookie Orientation Camp"にすぎない。フィールドでの練習も行われるが、チーム練習の進め方、ミーティングやトレーニングなど新チームでの選手生活全般に慣れておき、全チーム集合したときにまごつかないようにすることが最大の目的。記者たちが見学できるのも初日だけで(ファン非公開)、ドラフト指名選手たちの練習フィールドでの評判が聞こえるのはもう少し先のことだ。
ルーキーミニキャンプ参加57名のリストはこちら。ドラフト指名選手7人、ドラフト外ルーキー11人、トライアウト参加のルーキー29人、それにドラフト以前からロースターにいた「1年目選手」たちも参加している。
写真集1・写真集2
パッカーズはドラフト外ルーキーとして下表の11選手との契約を発表した。そのほか今ルーキーミニキャンプにトライアウト参加しているルーキー選手が29人もいる。
- ドラフトで補強できなかったパスラッシュOLB候補を3人確保している。
- キッカーもパンターも契約していないのが意外。
- ちょっと注目されているのがマイアミ大のCBサム・シールズ。40yds走なんと4.30秒の快速CBだが、大学3年までWRをしていてCB経験が1シーズンしかなく、技術的にはかなり未熟。そのうえ、この3月にマリファナ所持で逮捕されてしまった。しかしスペシャルチーマーとしては非常に優秀で、リターナー経験はあまりないが、得意なのはパントチームのガンナーやキックオフカバレッジ。スペシャルチームコーチならば今すぐにでもほしいほどの素材らしい。
- 例年にも増してディビジョンI-AAやディビジョンIIの選手が多い。
- 今年もやはり、「契約に合意」と報道された中で正式契約されなかった選手が1人いた。
2010 Packers Rookie Free Agents |
Pos. |
Name |
College |
ht. |
wt. |
40走 |
備考 |
QB |
Noah Shepard |
South Dakota |
6-2 |
223 |
4.76 |
ディビジョンI-AA校で同大新記録多数 |
RB |
Quinn Porter |
Stillman College |
6-0 |
205 |
4.48 |
ディビジョンII校で昨季1247yds |
WR |
Chastin West |
Fresno State |
6-0 |
212 |
4.59 |
リターナーとして通算3TD |
WR |
Jeff Moturi |
UTEP |
5-11 |
186 |
4.42 |
通算170キャッチ2527yds26TD |
OT |
Chris Campbell |
Eastern Illinois |
6-5 |
328 |
5.28 |
6巡か7巡との予想も |
OG |
Nick McDonald |
Grand Valley State |
6-4 |
316 |
5.21 |
ディビジョンIIのオールアメリカン |
OLB |
John Russell |
Wake Forest |
6-3 |
260 |
4.90 |
大学では主にDL |
OLB |
Frank Zombo |
Central Michigan |
6-3 |
254 |
4.75 |
通算25.5サック TEとして誘う球団も |
OLB |
Tim Knicky |
Stephen F. Austin |
6-4 |
251 |
4.68 |
大学ではDE 通算32.5サック |
ILB |
Alex Joseph |
Temple |
6-2 |
238 |
4.62 |
通算252タックル |
CB |
Sam Shields |
Miami |
5-11 |
183 |
4.30 |
バカっ速いがCB経験1年 |
2010年5月 1日
7巡23位(全体230位)指名のDE C.J.ウィルソン(イーストカロライナ大)について。
- ノースカロライナ州ベルヘイヴン出身。実家から西に50kmほどのグリーンヴィルにあるイーストカロライナ大に進んだ。
- 兄2人も大学フットボールをプレーしたアスリート一家。兄エヴェレットはノースカロライナA&T、兄エイモスはニューメキシコ州立大でプレーした。
- 4シーズンで54試合に出場(先発44試合)して通算27サック、ロスタックル45.5回、QBプレッシャー35回。この3年間は主に左DEをプレーしている。
- 大学3年時の活躍が最も目覚ましく、カンファレンスUSAの最優秀選手(Sporting News誌)や最優秀ディフェンス選手(ESPN)にも選ばれている。昨年は相手のマークが厳しくなったが、それでも10.5サックを挙げた。 「昨年はかなり注目されてマークされた。僕を止めるためパスプロテクトをスライドしたり、マックスプロテクトや、RBやTEのチップも多かった」と本人。
- 大学4年間で欠場ゼロ。 「僕は9歳のときからフットボールをしてるけど、骨折とか大きなケガは一度もしたことがない。すごく幸運に恵まれてる」
- ピアノはかなりの腕前。 「今後も続けるつもりだよ。独りになりたいとき、リラックスさせてくれるから。心が落ち着くんだ。フィールドでクォーターバック連中をサックしているときと違ってね」
- テッド・トンプソンGM。 「なぜ7巡までスライドしたのはわからないが、我々はかなり気に入っていた。指名直前に電話で話したら、彼は相当燃えていたよ。指名を見送ったチームが間違っていたと証明してみせる、とね。彼の手の動きは非常にクイックで上手いし、相手の胸に当てて押し込むことができる。インサイドからラッシュできる。しかも今この瞬間、たいへん怒りに燃えた人間だ」
- ドラフト前にJournal Sentinel紙記者が集めたスカウトたちのコメントでは、4巡から6巡の予想が多かった。
- C.J.ウィルソン本人のコメントから。
- 「指名がずっと見送られて、すごく気持ちが燃えている。3巡から6巡の間と聞かされていたし、先に指名されたDEたちよりも自分の方が上だと、僕は100%確信している」
- 「7巡も終わりに近づき、ドラフト外としてセントルイスやクリーヴランドやシンシナティから電話がかかってきた。そんなときにパッカーズから指名されて、ものすごく嬉しかった」
- 「僕のいちばんの取り柄はスピード。(DLすべてを経験し)ノーズタックルからでもパスラッシュできるし、ディフェンシブエンドでエヴリダウンでもプレーできる。以前は265ポンドから270ポンドでプレーしていたけど、今は285から290ポンドに慣れてきている」
- 背番号は98番。90年代半ばにはDEゲイブ・ウィルキンズ、その後もDE/DTビリー・ライオン、DT/DEケニー・ピーターソンと地味めな控えDL選手が着けてきた。
- イーストカロライナ大出身のパッカーズ選手には90年代のLBジョージ・クーンス(ドラフト外)がいるが、ドラフト指名となるとDEウィルソンが球団史上初。他球団ではRBクリス・ジョンソン(TEN)やQBデヴィッド・ギャラード(JAX)がいる。