いったんは現役を退いた、元MINのWRクリス・カーターがドルフィンズの一員としてランボーフィールドに帰ってくる。来月には37歳になる彼は、つい最近までテレビ局HBOのコメンテーターを務めていた。もともと彼は、引退するよりも、優勝の狙える強豪チームで、尊敬されながらプレーを続けることを望んでいたのだ。そう、ジェリー・ライスのように。
しかし昨季の、リーダーシップとは程遠いようなサイドラインでのいざこざで、人格面での評価を落としてしまったカーターに、彼の望むようなオファーはなく、しかたなく引退の道を選んだ。今回のドルフィンズからの誘いは、半年遅れて彼の願いがかなったとも言えるだろう。しかしドルフィンズの選手たちが彼をどのように迎えるかは別の話。ケガでシーズン終了となってしまったWRギャズデンへの、フロントの冷淡な扱いに、選手たちは腹を立てていると伝えられている。
それはともかく、パッカーズ同様バイウィークのおかげで、カーターも10日以上の準備を重ねることができる。このようなことは'95年のパッカーズにもあった。いったん引退したTEキース・ジャクソンが6週間たってから復帰したのだ。「彼ら2人は同じようなタイプの選手だ。WRカーターが2週間でオフェンスをマスターできるか? もちろんだ。キース・ジャクソンもできたんだ。カーターも同じことができると思う」と語るのはパッカーズのプロ人事担当部長、レジー・マッケンジー。
'90年から'01年までの12年間、毎年2回ずつパッカーズと対戦してきたWRカーターは、最もパッカーズに詳しい選手であるといってもいい。もちろん、逆もまた然りだ。「我々は彼が何をできるかを知っている。そして今度は、彼がドルフィンズのスキーム内で何をするかを予測しなければいけない。最大限の準備をするつもりだ」とドナテルDC。
今月17日にお伝えしたとおり、RBナジェ・ダヴェンポートの法的問題がようやく決着した。ドラフト前の4月1日、女子寮に忍び込んでクローゼットの中でウ○コをしたことに関する訴えを検察が取り下げる代わりに、ダヴェンポートは社会奉仕をすることになった。シーズン終了後にマイアミで、学生の大学進学の手伝いを100時間ほどするらしい。州検事局も、被害者の女性も、この結果に満足している、と弁護士は語っている。「どこに証拠がある? 僕は自分がしていないと知っている。ただ、これでもう終わりにしてしまいたかっただけだ」とダヴェンポート本人は否定を続けている。
他の選手たちがバイウィークの休日を楽しんでいる中、OTマーク・タウシャーは浮かない顔だ。「僕はバイウィークが15週続くようなもんだからね。ちっとも目新しくなんかない」。第2週のセインツ戦で左ヒザの靭帯を断裂してしまい、今シーズンは終了となってしまったタウシャー。10月11日に手術を受けてから2週間以上経つ今も、松葉杖を使っているのだ。リハビリと休養のほかには、あまりやることもない。
最初は、家の中で通常の生活をするだけでも、家族や友人の助けが必要だった。もうじき松葉杖は必要なくなるが、フィールドに復帰できるまでには8ヶ月はかかると言われている。普通に歩き回れるようになるだけでも、多くのリハビリが必要なのだ。今のタウシャーの目標は、来年7月のトレーニングキャンプに間に合うこと。
「こんな大ケガをすると、未経験の怖さを感じるんだ。どう対処していいかわからない。そりゃあ完全に回復することを期待してるよ。そう思わないなんて馬鹿げてる。でも、今年はパッカーズにとって特別なシーズンになると、そして自分もその一部になると思っていただけにね・・・」とタウシャー。 気分の浮き沈みも激しいようだ。ロッカールームに入り浸って、仲間とバックギャモンやドミノをするのが日常的だった彼にとって、チームメイトから孤立しているのはつらいものだ。
タウシャーに代わって右タックルで先発しているアール・ドットソンには、彼の気持ちが痛いほどよくわかる。「僕も同じことを経験してきた。あんなことは誰にも起こってほしくない。NFLで先発を務めていたのに、わずか1プレーでそれを失うんだ。僕にも2回それがあった。フィールド上で倒れ、ロッカールームに退き、『これが最後の試合かも』と思う。彼の気持ちは本当によくわかる。だから僕も、彼に声をかけづらいんだ。どんな慰めも、彼の気分を良くすることはできない」
もう少しヒザが回復したら、もっとチームメイトと時間を過ごそうと、タウシャーは思っている。ホームゲームではサイドラインで応援し、いくつかのロードゲームにもついていくつもりだ。「今は本当に気分の浮き沈みが激しい。少し良い日があれば、本当に惨めな日もある。でも少しずつ良くなっている。今はまず普通に歩けるようになりたいね。一日一日、一歩ずつだよ」
パッカーズは、ミルウォーキーに本拠を置くラジオ局、WTMJ との長期契約を延長した。パッカーズの試合を(インターネットを含め)ラジオ観戦する方にはPacker Radio Networkとしておなじみである。WTMJが初めてパッカーズ戦を放送したのはなんと1929年の11月24日、@ニューヨーク・ジャイアンツ戦。今年で73年のパートナーシップということになる。
現在のラジオ中継は、解説がラリー・マッカレン(写真右)とアナウンサーのウェイン・ラリヴィー(左)。今年で4年目のコンビである。マッカレンは現在50歳。パッカーズで、1973年から1984年まで162試合連続出場した鉄人センター。プロボウルにも2回選出された名選手だ。低いトーンでやや口が重いが、時おり「ウォー!!」と叫び声を挙げる時はパッカーズのビッグプレーが出た時である。
アナウンサーのラリヴィーは現在47歳。KC・チーフスで7年、シカゴ・ベアーズで14年のキャリアを重ねた。その間、NBAシカゴ・ブルズやビッグ10カンファレンスのアメフトやバスケの放送も担当してきた。子供の頃からファンであったパッカーズのアナウンサーになったのは1999年のこと。声が良く、喋りも非常にテンポが良くて、耳に心地よい。これまでにもイリノイやウィスコンシンで、数々の賞を受賞している。
この2人は、 毎週のローカルテレビ番組"The Mike Sherman Show"のホストでもある。
かつてパッカーズでもプレーしたことのある元DTが、自分はゲイだと告白して話題になっている。その元選手とは、'91年のドラフト2巡8位(ファーヴのすぐ2つ下!)でパッカーズに指名されて、グリーンベイで2年プレーしたDTエゼラ・トゥアオロ。ゲイであることを隠してプレーすることや、常にゲイをネタにしたジョークがロッカールームで飛び交うことの苦痛などが、早い引退の理由だったとのこと。
これまで北米4大プロスポーツにおいて、現役中にホモセクシュアルだと公言した選手は1人もおらず、全てが引退後の告白。「自分はチームメイトにゲイがいても構わないが、もしゲイだと告白する選手がいたら、チーム内での立場が非常にまずいものになるだろう」と多くの選手が認めている。統計では合衆国の人口の1%から4%がホモセクシュアルだと言われており、その数字がNFLにも当てはまるとすれば、NFL全体で19人から76人ものゲイがいることになる。
ここ何試合か先発セーフティを務めてきたマット・ボウエンとマーカス・アンダーソン。シャーパーとエドワーズの復帰が秒読みとなり、注目が集まっていたのが、「3人のうち誰がシャーパーと先発コンビを組むか」ということ。コーチたちは言葉を濁しているが、どうやらアンダーソンに決定したようだ。「今日、言い渡されたよ」と嬉しそうなアンダーソン。代役としての先発出場でなく、ベストメンバーの中での先発指名は、価値が違う。
「本当に興奮している。先発できて嬉しいよ。でもこれで満足しているわけにはいかない。スターターの座が常に約束されたわけじゃないんだから。毎週自分を証明しなきゃいけないし、良いプレーを続けなければ」とアンダーソン。惜しくもチャンスを逃したボウエンも、「彼は非常にいいプレーを続けているし、ボールを狙うのが上手いから、このポジションに一番向いていると思う。正直言って、僕より彼の方が合っている。僕はどちらかというとシャーパーと同じようにフィールド中央でプレーするタイプだから、アンダーソンがプレーするのがチームにとって一番良いと思う」と理解を示している。
「僕とシャーパーの、2人のプレーメーカーが同時にフィールドにいるっていうのは良いことだよね。2人とも、ボールを狙いに行く勘のようなものを持っている。同時にプレーしたらどんなことが起きるか楽しみだよ」とアンダーソンは期待を語る。「僕の目標は、シーズンが終わった時に、シャーパーと僕が、リーグ最高のセーフティ・コンビだと認められることだ。何らかの目標は立てておかないとね」
「倒れこんだ時、やっかいなことになったと思ったよ。その瞬間、ヒザの左側が壊れる感触があった。痛みもひどかったし、音も聞こえたし、正直言って、脚が折れたと思った。立ち上がる時、左足がぶらぶらしているかもわからなかった。だから立ち上がって、少し体重をかけてみてようやく、『OK、少なくとも折れてはいない』って言ったんだ。でもヒザがおかしいってことはわかったし、プレーは続けられないとわかって恐ろしかった」とQBブレット・ファーヴ
ベンチに座らされて、ドクターのチェックの結果、主要な靭帯は切れていないと確認され、多少は気分がよくなった。それでも、どれだけ長く欠場することになるか、わからない。カートに乗せられて、スタンディング・オベーションの中、フィールドを去る時、感情を抑えきれなくなったファーヴはタオルで顔を覆った。「フィールドから退場する時はいつでも、耐えるのは大変だ。僕の場合は滅多にあることじゃないしね。自分でもフィールドに立つつもりでいるし、周りの誰もがそれを期待している。その通りにならなかった時、なんだか情けない気持ちになるよ」
「そのうえ、ケガの状態がどの程度のものかわからない。『3試合欠場だろうか? 8試合? それとも今季すべて欠場?』って思っていた。脳震盪でしばらくベンチで休んでいるのとはわけが違うんだ。ヒザの靭帯が切れる音が聞こえた時、最悪のことを想像するもんだよ」
幸い、ヒザの靭帯の状態は、その痛みほどはひどくないことがはっきりした。痛みそのものは、これまでのケガで最もひどいかもしれないとファーヴは言う。今はヒザのこわばりをほぐし、腫れを引かせるプロセスを行っている。朝8時半にチーム施設にやってきて、3時間か4時間かけて、ストレッチやアイシングなどのリハビリを行うのだ。 木曜日の練習が終わると、チームは5連休に入る。ファーヴもミシシッピの家に帰り、その間は自宅近くの母校サザンミシシッピ大に通ってリハビリを続けることにしている。
練習への復帰は来週後半の予定だ。「今日なんて、7on7のドリルに参加したい気持ちに駆られたよ。でもみんながそれはいい考えじゃないって言うしさ。今日はニー・ブレースが出来たからそれを着けてみた。それで『プレーできると思う』って言ったんだ。まあジョークだよ。時間はたっぷりあるから、出来る限り休む方がいい。予定通りに行けば、来週にはなんらかの練習を試してみたい。無理するような愚かなことはしないよ。練習できずにいきなり試合ということになっても、僕らはプレーできる」
ブレット・ファーヴの控えQBが、どれほど出番が少ないか知らない人はいない。ファーヴが'92年にスターターになってから、試合でプレーした控えQBはわずか5人。「ファーヴの控えQBは、NFLで最も楽な仕事」と言われることもある。しかしその瞬間は、いきなりやってくる。レッドスキンズ戦の第3Q、QBファーヴが倒れ、満員のスタンドが静まり返る中、ダグ・ピダーソンの出番がやってきた。
気温はかなり低く、ろくにウォームアップする間もなくフィールドに入る。スタンドの観衆はどちらかというと、ベンチで医療スタッフに囲まれるファーヴの方に注目している。 「僕はサイドラインで、いつものとおり相手ディフェンスのチャートをつけていたから、試合に入っていくのは楽だった。相手が何をしてくるか予想がついたからね。それに、ナーバスになる間もなかったのもよかった」
パッカーズとしても、彼の力で勝とうというのではない。大きなミスをせずにリードを保ち、逃げ切ればいいのだ。幸いディフェンス陣の活躍で3つのファンブルリカバーを奪い、ピダーソンも大事なサードダウンでのパスを2つほど決めて、13点を追加することができた。「あんな異様な雰囲気の中で、殿堂入り確実のQBの穴を埋める、というのは大変な仕事だ。しかし彼は素晴らしい仕事をしてくれた」とシャーマンHC。
「こんな(ファーヴが倒れるような)状況は嫌だけど、すごく楽しめたよ」とべダーソン。しかしその楽しみも、すぐに終わりだ。検査の結果、ファーヴのヒザは深刻なケガでないと判明し、鳴り続けていた友人や親戚からの電話も、すぐに静かになった。再びピダーソンはヘッドセットをつけ、サイドラインからサインを伝達する仕事に戻ることになる。「僕の心構えはいつも同じ。毎週、『今日がその日かもしれない。今日がその日かもしれない』と言い聞かておくんだ。控えQBってのはそうでなきゃいけない。それはリーグ中、どのチームでも同じだし、グリーンベイだって違いはない」
ゆったりとバイウィークを過ごす予定の選手たちに比べ、相変わらず休む間もないコーチたち。余分にできた時間を使って、今週は自分たちのチームをスカウティングするのだという。敵チームのコーチの視線で、パッカーズの戦術に一定の傾向がないか、特定の状況でのプレー選択に偏りがないか、徹底的にチェックする。その分析を、シーズン後半に活かしていこうという作業なのだ。これはビル・ウォルシュに始まるウェストコースト閥のコーチたちがよくやることらしく、前任者のマイク・ホルムグレンやレイ・ローズも同じことをしたらしい。
バイウィーク明けのドルフィンズ戦のための研究はもちろんやるのだが、その次のライオンズの研究も始めている。ドルフィンズ戦はマンデーナイトのため、ライオンズ戦までは中5日しかないからだ。また、(攻守のどちらかは明言しなかったが)スキーム的にいくつか新しいアイディアやコンセプトも導入したい、とマイク・シャーマンHC。
ラフィングザパサーなど、ディフェンス陣が大きな反則を連発してしまったレッドスキンズ戦。マイク・シャーマンHCはある程度仕方がない、と受け入れているようだ。「QBに対して、ボールに対して、アグレッシブに行くことを求めたのは私だ。結果として、時々アグレッシブになりすぎたのだろう。しかしそれは、ディシプリンの欠如によるオフサイドなどと比べれば、気にはならない」とシャーマンHC。
しかしSアンダーソンのラフィングザパサーの判定については、ヘルメットによるヒットなどではなく、大いに疑問の余地がある。「直後に審判に聞いたら、彼は『自分にはそう見えたのだ』と言った。『もし違っていたら、謝るよ』とね。後からそう言われても何にもならないけれど、その正直さと率直さは評価するよ」とシャーマンHCは語っている。「こうしたことは起きるものだ。あれはビデオリプレーできないしね。彼は自分が見損ねたかもしれないと認めて、謝った。それ以上のことは出来ないよ。彼らも人間である以上、過ちは犯すんだ。腹立たしいが、それが現実だ。ただ、それらの反則が、あとで我々の有利に働いたのは確かだと思う。」
月曜日に行われたMRI検査の結果、当初の診断どおりQBブレット・ファーヴの左ヒザは外側側副靭帯(LCL)の捻挫と判明した。比較的程度の軽いもので、より深刻な前十字靱帯(ACL)や内側側副靱帯(MCL)の損傷はなかった。痛みもだいぶ収まり、ヒザの腫れも比較的軽い。「マイアミ戦への準備として、彼はアイシングとリハビリをすることになる」とシャーマンHC。もちろん今週の練習には参加せず、治療に専念する。再来週のマイアミ戦には"Probable"とリストするだろう、とのこと。また、ニー・ブレースは発注したものの、ファーヴがこれを着けてプレーするかどうかはわからない。
向こうのパッカーズファンたちは月曜午後3時(現地)からのシャーマンHCの記者会見を、まさに祈るような思いで待っていたようです。記者会見が始まったとたん、掲示板などはアクセスが殺到してパンク状態に・・・。
QBファーヴがヒザを痛めたのは第3Qの残り12分30秒。QBが右にブーツレグするプレーだったが、WASのマーヴィン・ルイスDCは右サイドからLBアーリントンとLBトロッターをブリッツに送り込み、狙いどおりの結果になった。当然RTアール・ドットソンだけでは2人のブリッツに対応できず、QBファーヴはボールを投げ捨てる時間もなく、LB2人にサンドイッチにされた。かつてQBトロイ・エイクマンを脳震盪で引退に追い込んだことのあるLBアーリントンは、「彼が大丈夫だといいけど。他に何か彼の情報はない?」と心配していたが、QBファーヴの状態がさほど悪くないと聞かされてホッとした様子。
倒れた直後のファーヴは、かなりの痛みに顔をしかめていたが、サイドラインに下がってしばらくすると痛みが収まってきたようで、試合に戻ろうとした。しかしドクターは「LCLを痛めた状態では、ACLやMCLへの損傷を起こしやすい」と主張して、この試合への復帰を許さなかった。「僕は長いことプレーして、ずっと深刻なケガはしたことがない。腹立たしいのは、試合の途中で退場しなきゃいけないことだよ。誰だってケガで退場したくはない。もしこのリーグで一番負傷退場したくない人間がいるとしたら、それは僕だ」
一昨年の@タンパベイで足首をひどく痛めて途中退場した時と比べると、今回のロッカールームには楽観的なムードが漂っている。幸い今週はバイウィークのため、ドルフィンズ戦までたっぷり2週間ある。FSシャーパーは、「一昨年の彼の足首のケガを見た時、プレーするなんて無理だと思った。でも次の週には復帰して2TDを投げた。彼のタフさについての話が、単なる噂でなくて真実なのだということが、その時わかったよ。今回も彼は戻ってくる」
相手ディフェンスに豪華メンバーが揃い、(QBファーヴがいた時でさえ)あまり進まなかったパッカーズオフェンス。そんな状況でチームの勝利に最も貢献したのは、パスディフェンスだろう。このところ不振のレッドスキンズOL陣を圧倒し、未熟なルーキーQBにプレッシャーをかけ続け、6サックを記録。先週はセインツDL陣がレッドスキンズに対して7サックを挙げているが、パッカーズはDEホリデイとDEジョンソンを欠いていることを考えれば、十分な成績だ。
わき腹のケガから復帰してからは、3試合で4サック2ファンブルフォースという快進撃が続くDEバジャ=ビアミラ。2試合目の先発となったこの試合では、3rdダウンだけでなくベースディフェンスでのプレー回数も多かった。予想外のランの回数の多さに、ドナテルDCのアテは外れたが、心配されたラン守備でもまずまず。2回目のサック&ファンブルフォースは、RBグリーンのダメ押しTDランに結びついた。ガードやセンターに不安を抱えるレッドスキンズOLは、DTギルバート・ブラウンやDTハントにインサイドを圧倒され、アウトサイドのDEバジャ=ビアミラが1on1になるシーンが増える、という相乗効果を生んだ。
6勝1敗で迎えるバイウィーク。マイク・シャーマンHCは、月曜日(普通はビデオ反省会や軽い練習がある)を休日にし、それを火曜日に移すことにした。そして水曜日と木曜日に練習を行い、金曜日から来週の火曜日までを5連休に。「6勝1敗でバイを迎えられることを嬉しく思っている。選手たちは実家に帰って楽しんでもよいし。昨年はミネソタに負けてバイウィークだったからあまり楽しめなかった。今年は彼らもいい気分で、自分たちの成し遂げたことを楽しんでよいと思う。同時に、これからのシーズンでもっとすごいことを成し遂げたい欲望は維持してほしい」とシャーマンHC。
もちろんバイウィークの恩恵はリラックス効果だけではない。ここ数週間、多くの主力選手たちがケガで欠場してきたが、その多くはドルフィンズ戦には復帰できる見込みだ。一番確実なのがFSシャーパー。レッドスキンズ戦にも出場できたのだが、無理をさせなかった。RB/FBダヴェンポート(ハムストリング)の復帰も確実。CBマッケンジー、DEホリデイ、SSエドワーズも出場の可能性は高い。LTクリフトンも順調なら復帰できるかもしれない。
1Q | 2Q | 3Q | 4Q | Total | |
---|---|---|---|---|---|
Redskins (2-4) | 3 | 3 | 3 | 0 | 9 |
Packers (6-1) | 7 | 10 | 0 | 13 | 30 |
天気は晴れ。気温は7℃。先週QBラムジーが4INTを浴びたレッドスキンズは、大幅にランを増やして保守的なゲームプラン。パッカーズは、前半だけで9回の反則やFG失敗など、拙い試合運びで追い上げを許す。しかしRBアーマン・グリーンのラン10回71yds、2TDの活躍で11点をリードしてハーフタイムへ。第3Qの途中でサックされたQBファーヴが足首を痛めて退場。そこからはパッカーズの攻撃がラン・パスともに全く進まなくなり、完全にレッドスキンズのペースに。しかしそのピンチにチームを救ったのがディフェンスのビッグプレー。なんと立て続けに3回のファンブルリカバーでモメンタムを取り返し、FGとRBグリーンのランで13点を追加。最後は楽に逃げ切った。
<第1Q> レッドスキンズはWAS陣30から。リバースなどで2つ1stダウンを獲得してGB陣31へ。サックで3rdダウン18に追い込むが、Sアンダーソンの反則で1stダウンを与えてしまう。さらにランとパスでGB陣9に迫り、1stダウンゴール。しかしなんとか踏ん張ってそこで止め、25ydsのFGでレッドスキンズ先制。GB陣31からのパッカーズ攻撃は、RBグリーンのラン2回とWRドライバーへのパスでWAS陣に入り、さらにフェイスマスクの反則でWAS陣36へ。TEマーティンへのパスでさらに1stダウン。RBグリーンの24ydsランでタッチダウン。次のレッドスキンズはラフィングザパサーなどで50ヤード地点まで進むが、そこでRBデイヴィスがファンブル。LBディッグスが押さえてターンオーバー。WRグレンへの15ヤードパスでWAS陣34へ攻め込んだところで第1Q終了。
<第2Q> パッカーズはFBヘンダーソンへの11ydsパスなどでWAS陣23まで進むがそこでストップ。42ydsのFGを蹴ろうとしたがスナップが高く、ホルダーのピダーソンがパスを無理投げするが当然失敗。ボールを奪ったレッドスキンズは、またもやラフィングザパサーの反則でGB陣へ。イリーガルコンタクトの反則でさらに1stダウンを与え、GB陣41。次も3rdダウン4でオフサイドの反則で1stダウン。サックとパス失敗2回で止めるが、53ydsのFGが決まって1点差に。パッカーズの攻撃は、RBグリーンの11ydsランとWRドライバーへの11ydsパスでGB陣49へ。相手パスインターフェアで一気にWAS陣3へ。RBグリーンのTDランで7点追加。レッドスキンズはRBベッツの35ydsリターンでWAS陣46から。しかし1stダウンを許さず、4thダウン1でのギャンブルも止めてターンオーバー。前半残り3分26秒でGB陣45からの攻撃。WASの23ydsパスインターフェアの後、WRドライバーもインターフェアを取られてWAS陣32。1stダウンは奪えなかったが、36ydsのFGが決まって3点追加。
<第3Q> パッカーズはGB陣30から。RBグリーンがパスをキャッチした後にファンブルロスト。WAS陣47からのレッドスキンズ。
いきなりWRトンプソンへの47ydsパスが決まって1stダウンゴール。なんとかそこで止めて30ydsのFGへ。しかしボールが左ポールに当たって失敗。GB陣20からのパッカーズ攻撃に。QBファーヴがサックを受けて、左足首を痛め退場。QBピダーソンは1stダウンを獲得できず、WAS陣49からのレッドスキンズの攻撃に。スクリーンパスでGB陣34へ。WRガードナーへのパスとRBデイヴィスのランでGB陣8へ。しかし今度もタッチダウンを許さず、31ydsのFG成功で8点差に。パッカーズは1つ1stダウンを更新しただけでパント。レッドスキンズはパッカーズのレイトヒットの反則でWAS陣45へ。しかしそこでLBウェインがサック&ファンブルフォース&リカバー。しかしパッカーズの攻撃は1stダウンを奪えずにパント。レッドスキンズはWAS陣10から。
<第4Q> WAS陣30まで進んだところで、WRロケットがファンブルロスト。再びWAS陣39でパッカーズの攻撃に。3rdダウン10でWRウォーカーへの20ydsパスが通ってWAS陣19へ。しかし1stダウンは奪えず、40ydsのFGが決まって3点追加。レッドスキンズの攻撃はWAS陣34から。またもやDEバジャ=ビアミラが背後からサックし、ファンブルフォース。DTウォーカーがWAS陣23でリカバー。WRドライバーへの15ydsパスが通ってWAS陣8での1stダウンゴール。RBグリーンが8ydsのTDランを決める。レッドスキンズの攻撃はホールディングの反則などで3&アウト。ダリエン・ゴードンのナイスリターンでWAS陣37から。FBヘンダーソンへのスクリーンパスでWAS陣23へ。ラン2回のあと、WRファーガソンへのパスが通って1stダウンゴール。タッチダウンは奪えなかったが28ydsFGを決めてさらに3点追加。そのまま逃げ切り。
パッカーズ | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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レッドスキンズ | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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少しずつ工事が進むランボーフィールド。すでにパッカーズの選手たち用のゴージャスな施設は7月に完成しているが(写真)、アウェーチーム用のロッカールームはまだ ― おそらく意図的に ― 完成していない。旧ロッカールームはすでに取り壊されているため、トレーラーを利用した仮施設での窮屈な状態を、アウェーチームは強いられている。トイレもシャワーも数が少ないため、選手たちの行列ができる。試合後にはその狭いスペースに記者たちが殺到してくる。
「これはNFLじゃないよ。XFLだ。こんなのひどすぎる」とファルコンズのCBブキャナン。あるパンサーズの匿名のコーチも、「15年か20年前のクリーヴランドに戻ったみたいだ」と不満を口にする。プレシーズンにここを訪れたブラウンズのベテランDCファンジオは、「最初に足を踏み入れた時は『なんてこった』と思ったよ。球場が完成すれば、ロッカールームも素晴らしいものができるだろう。しかし今のような状態でプレーしなきゃいけないチームは可哀想だね・・・」
常にチームの足を引っ張っているスペシャルチームの中でも、特にひどいのがパントリターン。なんと平均3.8ヤードでNFL31位。今年はせっかく名リターナーのダリエン・ゴードンを補強したというのに、この体たらくである。ゴードンが衰えたわけではない。ブロックが拙すぎるのだ。キャリア通算12.3ヤードのゴードンとはいえ、キャッチした瞬間に相手選手が目前に迫っていては、仕事のしようがない。
「良いパントリターナーというのは、最初のタックラーをかわせるものだが、我々はそのチャンスを与えてやれていない。ブロックをもっと良くしていかなくては。8人がいい仕事をしても、1人か2人がしくじれば、うまくいかないものだ。彼がしっかりボールをキャッチし、少しでも動く余地が得られるようにしてやらなくてはならない」とシャーマンHC。
フェアキャッチがわずか4回しかないというのは、ゴードンに数字面での焦りがあるのだろうか。「そんなことはない。自分のスタッツを良くしようとして、無理なプレーをするのは利己的だ。僕はそんなことのためにプレーしているんじゃない。確かに若い頃は、何試合か良いリターンができないとパニックになって、無理にリターンすることもあった。でも今は歳を重ねて、ボールのバウンドもわかるし、時には忍耐も必要だということがわかっている」とゴードン。
「リターンゲームってのは、『大失敗か大成功か』っていう面がある。何週間かビッグリターンがなくても、突然ビッグリターンが1試合に2回も出て、それでシーズンが変わってしまうこともある。これまでにもこういう状況になったことはあるよ。大事なのは、改善していくことであって、パニックになったり、キャッチすべきでないパントをキャッチするような判断ミスを犯さないことだ。今のランキングにも、これまでのプレーにも全く満足していないけど、我々は良いリターンチームになれると自信を持っている。あとは時間の問題だ」
わずか3週間足らずの間に3回パッカーズと契約し、2回カットされたOTバレット・ブルックス。最初は急なWR不足の犠牲となって解雇され、次はDB不足の犠牲になった。どちらも週明けには再契約したが。「そりゃあイライラするよ。僕はチームの一員でありたいんだ。僕はOLのほとんど全てをプレーできるし、フィールドに立てるためならどんなことでもするつもりだ」
2回の解雇宣告は、どちらもシャーマンHC/GMが直々に彼に伝えたのだという。「だから僕はこのチームに残ることを選んだんだ。彼は正々堂々とした人で、1人の男として僕の所に来てくれた。これまで僕がいた多くのチームが、カットしたらそれで終わり、って感じだった。彼自身が僕の所に来て、どういう意図なのか僕に話してくれた。僕はそれを感謝してるんだ」
ドラフト外ルーキーとしてロースター入りしたLBマーカス・ウィルキンズ。40ヤード走で4.5秒を切り、垂直跳びで40インチを超える瞬発力。LBとしてはトップクラスの身体能力を持っている。その彼がドラフト指名されなかったのは、テキサス大学時代には主にパスラッシャーとしてプレーしていたから。DEとしてはあまりに軽量(231ポンド)であり、LBとしては経験が少なすぎる。パッカーズとしても彼を長期計画で育てるつもりだった。
そんな彼に、スペシャルチーム以外でのチャンスが与えられたのは、DEレイノルズの(相変わらずの)不振のせいだ。そのため、DEジョンソンが戦線離脱した今は、パスシチュエーションでアウトサイドからラッシュをかけるのは、DEバジャ=ビアミラとウィルキンズの2人というパターンが増えている。しかしパスラッシャーとしてもストロングサイドLBとしても、ウィルキンズはまだまだ未熟。「まだ始めたばっかりで、サックも決めていない。進歩しているのは確かだ。効果的なパスラッシャーになるために、ベストを尽くすよ」とウィルキンズ。
QBブレット・ファーヴは第6週を終わってインターセプトがわずか3つ。NFL1位のQBレーティング102.5を挙げているのは、主にこのINT数の少なさのおかげだ。このペースがもし最後まで続けば、インターセプトは8つ。これまでのシーズン最少は13('92、'95、'96の三度記録)だから、今年はかなり少ないことになる。確かにファーヴのプレーが成熟さを増しているのは確かだが、そう極端に進歩したわけではない。親指やヒジのケガで苦しんだ時期を除けば、彼は常に高いレベルを保ってきた。
「今年のINTの少なさは、何よりもレシーバーたちのおかげだよ」とQBファーヴ。まだ粗削りだが、スピードで相手CBを引き離せるWRが揃った今年は、以前のように、タイトにカバーされているWRに無理に投げ込む必要がない。フリーになっているレシーバーを選ぶ余裕がある。「これは彼にとって今までで最もタレント豊富なレシーバーたちだ」とロン・ウルフ元GM。これまでも、彼のINTの少ない時期は、やはりレシーバー陣に優れたタレントが揃った時期だった。ロン・ウルフ元GMが辞任する時、「QBファーヴに充分な武器を持たせてやれなかったことが心残りだ」と告白したが、今になってようやくその「武器」が揃いつつある。
地区内の最大のライバルとのマンデーナイトゲーム、そしてスーパーボウル・チャンプとの対戦。しかもケガ人続出の緊急事態の中でのアウェー連戦だった。どちらの試合もアンダードッグと予想され、モティベーションには事欠かなかった。その2試合を乗り切ったところで、心配になるのはわずかな気の緩み、モティベーションの低下だ。昨年もレイヴンズ戦の快勝のあとヴァイキングスに惨敗したり、ベアーズに勝つ度に次の試合で敗れている。
「去年、大事なベアーズ戦に勝った後、ファルコンズにホームで敗れたようなことは繰り返したくない。どの試合も、ホームフィールド・アドバンテージに向けて大事だ、ということを理解しなければ」とFSシャーパーは語る。ペイトリオッツ戦に関しては、精神面で非常に良い仕事をしたと評価されているシャーマンHCだが、今度のレッドスキンズ戦にはどのようにして選手を駆り立てるのか。「精神的な緩みを避けられたチームが、最後には勝ち残るのだ。これはチャレンジだ。大きな挑戦だ」とマイク・シャーマンHC。
デトロイトからダラスに移って心機一転、スターCBとしての地位を取り戻そうと頑張っていたCBブライアント・ウェストブルックだが、開幕戦での不振のためにいきなり解雇。それ以来一ヶ月、ヒューストンの自宅でくすぶっていたところに、先週の水曜になって電話が鳴った。それからの5日間は嵐のような毎日だった。グリーンベイにやってきてワークアウトを受けると即契約。体が多少なまっていようと関係ない。4日間でペイトリオッツ戦の準備をしなければならないのだ。
試合最初のドライブ。QBブレイディは立て続けにショートパスを通し、パッカーズはあっという間に自陣に攻め込まれてしまう。そして新加入のウェストブルックを狙ったロングパス。WRパッテンに抜かれずに付いていたウェストブルックは、ややアンダースロー気味のパスに飛びつき、しっかり掴んで離さなかった。「あれがターニングポイントだった。決定的なインターセプトだった」とシャーマンHC。「あれはすごかった。彼には脱帽するよ」とDEバジャ=ビアミラ。
「彼がテキサス大でプレーしていた時、私はテキサスA&Mにいた。だからあのアスリートについてはよく知っているんだ。こっちがグリーンベイに来ると、彼はデトロイトだったしね。彼がこれまでケガでいろいろと苦しんできたことは、我々はよく知っている。それでも彼は良いプレーヤーだと思っている」とシャーマンHC。ウェストブルック本人も、今がベストコンディションだとは思っておらず、 「僕はまだウェイトルームでのトレーニングや、心配機能を高めることが必要だ」と語る。「このチャンスをもらえたことに、神とそしてMr.シャーマンに感謝している」
ドラフト前に起こしたトラブルのせいで、7月に逮捕されたRB/FBナジェ・ダヴェンポートの問題で、検察側との司法取引が成立。検察が訴えを取り下げる代わりに、ダヴェンポートは地元マイアミで子供向けのフットボールキャンプを開催するという公共奉仕を行うことになった。正式には、来週の金曜日に本人が出廷し、判事がこの合意を承認する、という手続きだけが残っている。
「これはまさにダヴェンポートが望んでいたものだ。本人はとても喜んでいるし、この件を過去のものとしたいと思っている」と弁護士。エープリルフールの晩、大学の女子寮の部屋に忍び込んで、女子学生のクローゼットの中でウ○コをして帰ってくるという、前代未聞の恥ずべき事件を起こしたダヴェンポート。このネタで今後もからかわれ続ける、ということを考えれば、罰はこれくらいで十分という考え方もできる。
先週末に二度目のカットをされたベテランOTバレット・ブルックスが、パッカーズと三度目の契約。イーグルス(4年在籍)とライオンズ(2年在籍)で合計62試合の先発経験のあるブルックス。パッカーズは、OLにケガ人の増えた第3週ライオンズ戦のあとで彼と契約したが、WR不足となったパンサーズ戦の間だけ彼を解雇し、試合の直後にまた契約。今回の解雇&契約も、完全に予定された行動であり、おそらく彼もロッカールームを片付けたりはしていなかっただろう。
OTブルックスの代わりに解雇されたのは、先週末にプラクティス・スクワッドから引き上げられたCBアーウィン・スウィニー。初出場だったペイトリオッツ戦では(おそらく)スペシャルチームだけでのプレーだった。またパッカーズは、プラクティス・スクワッドにCBブルース・ブランチと契約し、代わりにCBブランドン・ジェニングスを解雇した。
ペイトリオッツ戦の最初のドライブで右ヒザを痛めて退場したOTチャド・クリフトン。月曜日のMRI検査の結果、当初の予想通り側副靭帯の捻挫と診断された。しかしそれ以上の、軟骨などの損傷はなかったのは幸い。シャーマンHCによると、1週間から3週間の欠場になるかもしれない、とのこと。
クリフトンのケガは、第3週ライオンズ戦でFBヘンダーソンがヒザを痛めた時の状態によく似ているらしい。ヘンダーソンの場合は1試合休んだだけで復帰している。レッドスキンズ戦の次がバイウィークであることを考えると、1試合引っ込めただけで2週間休ませることが出来る。彼が欠場する間は、センターのフラナガンが左タックルに回る予定。コンバートに気乗りがしないフラナガンは「ホールドアウト中だ。左タックル並の給料をくれないなら、プレーしたくない」とジョーク。オフェンシブラインの中では、平均すると左タックルが一番高給だからだ。
ペイトリオッツ戦では若いDL陣の活躍と、ペイトリオッツOL陣の不振のために、QBブレイディに十分なプレッシャーをかけることができた。しかしいつもこう上手く行くとは限らず、DEホリデイの復帰が待ち遠しいことに変わりはない。シャーマンHCは月曜日、DEヴォニー・ホリデイが今週から一部の練習に復帰し、レッドスキンズ戦に出場できる可能性があることを明らかにした。故障個所を保護するためのハーネスを付けて、とりあえず少しだけ練習に参加してみる、ということらしい。
第3週のライオンズ戦で胸筋を断裂してしまい、復帰には6週から8週かかる、と診断されたDEホリデイ。今週末に復帰するとなると、わずか4週間しか休まなかったことになる。実際にまだそこまでは治りきっていないようで、今回の動きはレッドスキンズ戦に向けての情報戦の一部と見るべきかもしれない。やはりバイウィーク明けから復帰と見るのが現実的かも。
昨年のパッカーズ攻略法といえば、まず8メンボックスでRBグリーンのランを止めることだった(そのおかげで被サックは非常に少なかったが)。スピード不足のWRたちならマンカバーで料理できる。3rdダウンロングに追い込んでQBファーヴの焦りを誘えば、インターセプトも狙える。WRがだらしないためにRBグリーンにマークが集中してしまう、というのが昨季後半の負けパターンであり、今春のWR陣総入れ替えは、それを断ち切るためだった。まだ熟成には程遠いし、OLにケガ人が出て予定が狂ってはいるものの、この2試合の戦いぶりを見ると、補強の効果が出ていることがわかる。
ベアーズは昨年同様、RBグリーンのランを止めることをメインテーマにしたが、パッカーズは長めのパスを投げまくってベアーズのDB陣を粉砕してしまった。それを見て警戒したのか、ペイトリオッツはランの脅威をわかっていながら2ディープを多用せざるを得ず、そのおかげでRBグリーンのランがコンスタントに出た。昨年は開幕2試合で合計273ヤード走った後、警戒されて3試合連続で60ヤード以下に抑えられた。今年は出場した5試合全てで70ヤード以上を走っている。
「負けても仕方がないという理由を探すのではなく、勝てる理由を探すのだ、ということを選手たちに徹底させるのが困難な1週間だった。しかし選手たちはその通りにしてくれた。土曜夜のミーティングで、『おいみんな、我々が明日勝てると思っている人はあまりいないみたいだが、そんなことは関係ない。大事なのはこの部屋にいる連中がどう思っているかだ』と私は言ったのだが、彼らはそれを証明してくれた」とシャーマンHC。「シャーマンHCが言ってたんだ。『(ケガ人が多いという)言い訳は許さない』って。1人が倒れたら、誰かがやらなきゃいけない。今日はその通りになったよ。3人もの新しい選手がラインに入ってみんないいプレーをした」とDEキャンプマン。
これまでの2年半、シャーマンHCの持ち味はどちらかというと、選手たちとの相互理解を重視した対話路線。理解を示すあまり甘くなってしまう傾向もないではなかった。しかし多くのケガ人を抱えてペイトリオッツ戦に臨むパッカーズの選手たちに、「ケガ人が多いから」「自分はまだチームに慣れてないから」という甘えは一切許さなかった。そしてそのムチに選手たちは見事に応えた。先週金曜日の練習後、シャーマンHCはWRテリー・グレンにハドルを組むよう命じた。グレンが仲間に叫んだ言葉は・・・"One, two, three - NO EXCUSES !"
グリーンベイの地元記者でさえ、多くが負けを予想していたペイトリオッツ戦。勝因は何と言ってもつぎはぎだらけのディフェンス陣の踏ん張りだ。多くの記者たちがロッカールームを去った後、大活躍のルーキー、Sアンダーソンは呟いた。「何でその話ばかりするのか理解できないよ。みんな、僕らが負けるつもりでここに来たみたいに思っているようだけど、ちゃんと準備を重ねてきたんだ」
先週の途中に呼び集められた、CBウェストブルック、CBスウィニー、Sフランツ、そしてルーキーのSアンダーソンとSボウエンたちは、毎日朝7時半に集まってコーチとミーティングを重ねた。ついたあだ名が"The Breakfast Club"。朝から晩まで、プレーブックに首まで浸かるような研究が実り、平均310yds以上を投げていたQBブレイディを183ydsに抑え、4つのターンオーバーを奪った。特に開幕ドライブで挙げたCBウェストブルックのインターセプトは、若い守備陣に自信を与え、逆にペイトリオッツの自信は揺らいだ。サイドラインで見たCBマッケンジーは、「ウチはゲームプランをそんなには変えなかった。3人ものDBが代わりに出場して、すごい仕事をした。ターンオーバーがカギだった」と語る。
この日最も大きなプレーは、FBヘンダーソンのタッチダウンが決まって7-3となった前半残り3分20秒。ホールディングの反則のために1stダウン20と下げられたペイトリオッツは、左に開いたRBフォークへのスクリーンパス。フォークがそのパスを弾いた時、両軍の選手たちは、ぶらぶらとハドルへ戻り始めた。ボールはDEカビーア・バジャ=ビアミラの足元に転がっている。「知らなかった。プレーは終わったと思ってたんだ」とバジャ=ビアミラ。DLも、LBたちも気が付かなかった。しかし笛は鳴っておらず、パスはラテラルだった。ファンブル扱いなのだ。
しかし最も若いSマーカス・アンダーソンだけは笛が鳴っていないことに気づき、守っていたディープゾーンからボールに突進してきた。そこでようやくLBディッグスが事態に気づき、DEバジャ=ビアミラにボールを拾うよう叫んだ。最終的にファンブルリカバーが記録されたのはバジャ=ビアミラだったが、手柄はSアンダーソンの物だ。フォワードパスだったと主張するペイトリオッツ側はレビューを要求したが、判定は覆らず。直後にRBグリーンへのTDパスが決まって点差は11点に。
パッカーズにとっては夢のようなターンオーバーだったが、ペイトリオッツのベリチックHCにとっては悪夢だったろう。「ボールはただそこに置いてあったのだ。チーム全体が無気力だった。40ヤードも向こうから(アンダーソンが)リカバーに走ってきてるのに。油断していた。アグレッシブでなかった。注意不足だった。It's just bad football. 」と嘆いている。
先発LTチャド・クリフトンが、最初のドライブでヒザを痛め、2回目のドライブからはセンターのフラナガンが左タックルへ。ウィンタースがセンターに入った。フラナガンは、QBファーヴの背後を守るという大役を、なんとか果たし終えた。彼はやや細身でパワーに欠けるが、フットワークが軽く、柔軟で、手の使い方が上手い。「彼は非凡なプレーヤーだ。非常にアスレチックで、大変頭がよい。それらをプレーに活かすことができる」とベクトルOLコーチ。
クリフトンが欠場するようだと、この布陣で来週以降も戦うことになりそうだ。センターに専念したいフラナガンは、この人事異動にあまり乗り気ではない。「今日はまずまずだった。完璧じゃないが、まあ良かった。来週当たるDEブルース・スミスのような偉大なDEが相手じゃなかったし、雨のせいで芝も遅かったし。急きょ左タックルとしてプレーするには最高のシチュエーションだったかもね」
クリフトンは右ヒザの側副靭帯を痛めたようで、詳しい検査待ち。何週間か欠場することになるかもしれない。そのため、パッカーズは解雇したばかりのOTバレット・ブルックスを呼び戻すことになりそうだ。また、RTドットソンは第4Qの途中で指を脱臼。OTケヴィン・バリーが代わりに出場し、大量リードがあったため、そのまま最後までプレーした。
予想された通り、WRテリー・グレンがボールに触るたびに大きなブーイングが起こった。精神面に脆さを抱えるグレンのこと、厳しい状況でいかに平静を保ってプレーするか、シャーマンHCやQBファーヴから、いろいろとアドバイスがあったようだ。その甲斐あってか、フィールドに乗り込むところからバスで去るところまで、なんとか落ち着いてプレッシャーに耐えることができた。第4Qに入る頃には、ファン達はグレンにブーイングするよりも、不甲斐ないペイトリオッツに対してブーイングするのに忙しくなった。
主にテレル・バックリー(元GBのドラフト1巡だ)にマークされ、ダブルカバーされることも多かったグレンは、結局パスキャッチ3回19ヤード。スウィート・リベンジとまでは行かなかった。しかし勝利の味は格別のようだ。「第3Qに23ヤードのTDパスをキャッチできていれば言うことはなかったけどね。今はただ勝てたことが嬉しいよ」 「僕がダブルチームされるほど、他の誰かがフリーになる。そうすれば毎週、ファーヴがフリーのやつに投げるだけだからね」とグレン。「僕の人生全てが以前とは変わった。ペイトリオッツ時代とは全く別の人間なんだ。ここへ戻って来た時は心配もあったけど、今日はチームメイトが僕を後押ししてくれた」
「そしてペイトリオッツに関して言えば、彼ら友人たちは僕にケガをさせようとか、特にハードヒットで痛めつけようとかしなかった。他の良いレシーバーと同様に扱ってくれた」と感謝する。「仲のよかったCBタイ・ロー、SSミロイ、CBバックリー、WRトロイ・ブラウンたちに会えてすごく良かった。彼らは僕に優しい言葉をかけてくれたし、話ができて本当によかった」
ペイトリオッツ時代にはロッカーの方を向いたまま、二言三言話して終わるだけだったらしいグレンだが、この日はパッカーズファン向けのラジオインタビューに応えたあと、QBファーヴらとともに記者会見にも参加。全てが終わり、バスに乗りこんだグレンにまで罵声を浴びせる地元ファンに対して、グレンは大きな笑顔で応え、フォックスボロを後にした。
1Q | 2Q | 3Q | 4Q | Total | |
---|---|---|---|---|---|
Packers (5-1) | 0 | 14 | 7 | 7 | 28 |
Patriots (3-3) | 0 | 3 | 0 | 7 | 10 |
ケガ人続出のため、ディフェンス陣のスターターは、開幕時とは半分も入れ替わっている。特にDB陣は頼みのFSシャーパーとCBマッケンジーが欠場し、パス守備の不安は大きかった。しかし代わりに出場するリプレイスメントたち、新加入のCBウェストブルック、Sボウエン、初先発のルーキーSアンダーソンの3人が重要なところでインターセプトを決め、流れを大きく引き寄せた。ショートパス主体のペイトリオッツとは対照的に、パッカーズはRBグリーンのラン中心にボールコントロール。ターンオーバーでつかんだチャンスをことごとく得点に結び付けたパッカーズが、相手の反則にも助けられて、意外なほどそつのないゲーム運びでスーパーボウル・チャンプを下した。パッカーズは4連勝。ペイトリオッツは3連敗。
<第1Q> 気温は16℃。時おり小雨がパラつき、湿度は100%。 最初のペイトリオッツのドライブ、予想通りテンポの速いパス攻撃でGB陣まで攻め込むが、WRパッテンへのロングパスを、新加入のCBウェストブルックがGB陣7でインターセプト。パッカーズはRBグリーンのラン中心に3つ1stダウンを重ねるが、結局パント。次のNEのドライブでもショートパスでGB陣に攻め込まれるが、相手反則にも助けられて失点は逃れる。
<第2Q> パッカーズは3&アウトでパント。NE陣35からのペイトリオッツ。WRトロイ・ブラウンへのパスやフェイスマスクの反則などで、GB陣14まで来たところでようやくパッカーズが止めてFGへ。32ydsFGが決まってペイトリオッツが先制。パッカーズはRBグリーンのランとTEフランクスへのパスでNE陣26に。3rdダウン2を失敗してFGを蹴った(成功)プレーでオフサイドの反則。労せずして1stダウン。WRドライバーのサイドライン際のキャッチがいったんはアウトオブバウンズと判定されるが、レビューの結果覆って1stダウンゴール。FBヘンダーソンへの4ydsのパスが通ってタッチダウン。次のペイトリオッツは、RBフォークへの横パス失敗が、バックワードパスだったためファンブル扱い。DEバジャ=ビアミラがリカバーしてターンオーバー(レビューしたが覆らず)。NE陣8での大チャンスに、RBグリーンが8ydsのTDパスキャッチ。前半残り2分56秒からのペイトリオッツ。QBブレイディのスクランブルなどで50ヤード付近まで来たところでSSボウエンがインターセプト。その後は両チームとも得点ならず、ハーフタイムへ。
<第3Q>GB陣28から、相手パスインターフェアなどでNE陣35まで攻め込んだパッカーズは、4thダウン4。WRウォーカーへのパスが決まってギャンブル成功するが、そのあと42ydsのFGを右に外して11点差のまま。ペイトリオッツの攻撃は3&アウト。パントリターナーのCBゴードンがファンブルするが、かろうじてマーシャルが押さえて事なきを得る。GB陣6からのパッカーズ攻撃。RBグリーンのランとTEフランクスへのパスでGB陣30。WRウォーカーへのパスインターフェア(34yds)とWRドライバーへの29ydsパスが通ってNE陣2へ迫る。TEフランクスへのTDパスが一発で通って7点追加。94ヤードのドライブ。NE陣17からのペイトリオッツ。WRパッテンへの13ydsパスやパスインターフェアの反則などでGB陣25。しかしそこでSアンダーソンのインターセプト。ボールを奪ったパッカーズは、RBグリーンの38ヤードランでNE陣24へ。
<第4Q> WRグレンがパスインターフェアを誘ってNE陣4へ。RBグリーンのラン3回でタッチダウン。残り12分、NE陣34からのペイトリオッツはもちろんノーハドル。GB陣に入るものの、またもや反則で1stダウンはならずパント。ブーイングが響き渡る。GB陣11からのパッカーズ攻撃はラン・ラン・パスの3&アウト。ペイトリオッツは良いパントリターンで、GB陣44からの攻撃。残り8分。RBアントワン・スミスのラン4回でGB陣4まで迫り、最後はWRギヴェンズへのパスが通ってタッチダウン。18点差で残り6分弱。オンサイドキックのフェイクから普通のキックオフ?。ペイトリオッツの狙いが当たって、パッカーズはGB陣6からの攻撃。ラン・ラン・サックでパント。残り4分、GB陣44からのペイトリオッツ。しかし4thダウン7でのギャンブルが失敗に終わり、ターンオーバー。これで勝負あり。
パッカーズは土曜日、プラクティス・スクワッドからCBアーウィン・スウィニーとSトッド・フランツを53人ロースターに昇格させた。入れ替わりにCBバウ・ジューがインジャリー・リザーブ(今季の出場不可)に入り、控えOTバレット・ブルックスが解雇された。CBウェストブルックに加え、2人もDBをロースターに加えるということは、ペイトリオッツ戦にはCBマッケンジーだけでなく、FSシャーパーも出場できない、という判断なのかもしれない。これでなんと今週のDB補強は3人目。ただし2人ともずっとパッカーズで練習し、プレシーズンゲームでも活躍した選手なので、戦術理解に関する心配はない。
CBスウィニーはネブラスカ大出身。この春、ドラフト外ルーキーとしてパッカーズと契約し、キャンプやプレシーズンゲームでの評価は、ドラフト外としてはかなり高かった。開幕ロースター入りは逃したものの、プラクティス・スクワッドの中では特に期待されていた選手と言っていい。
Sフランツは白人ハードヒッター。2000年にタルサ大からドラフト5巡でライオンズに指名されたが、開幕ロースターに残れずに解雇。その後セインツと契約し、スペシャルチーム中心に5試合出場したあとプラクティス・スクワッドへ。11月にセインツから解雇されたあとは、ブラウンズ、NFLヨーロッパ、ジェッツと渡り歩き、今年の7月途中からパッカーズに加わっていた。
今回の動きは、WRが足りなくなったパンサーズ戦の直前に、OTブルックスをカットしてWRクリス・ジャクソンを一時的に補強したこととよく似ている。今回も、DB危機が過ぎ去れば、再びOTブルックスと契約する可能性は高い。
新加入のCBブライアント・ウェストブルックは、3日間全ての練習に参加し、ペイトリオッツ戦でも十分に戦力になると見られている。というより、やってもらわなければ困るチーム状況なのだ。下の表のようにバウ・ジューの欠場は決定し、マッケンジーも欠場が濃厚。ベアーズ戦途中からリリーフ出場したゴードンは、ビッグゲインいくつもを許し、頼りにならないことは明らかだ。ウィリアムズとマクブライドが先発し、ウェストブルックはニッケルかダイムで出場することになりそうだ。
「すごく良い補強だったと思うよ。きっと僕らの助けになる。彼はよく走れているし、彼の経験も大いに役立つはずだ」とFSシャーパー。 プロ人事部長のレジー・マッケンジーは、「彼は良いプレシーズンを送ったと思う。我々の評価では、あの時点で手に入る最高のCBだった。ダラスから解雇されたあと、常に彼の代理人と連絡を取っていたんだ」と語っている。
ウェストブルックと言えば、熱心な母親のジョージアが有名だ。高校時代から今に至るまで、彼の出場するゲームを見に来なかったことは1回しかないという。「2年生の時のライス大との試合だけ、彼女は来なかったんだけど、その試合で僕はヒザを壊してしまった。よく飛行機に乗るもんだから、(航空会社の)マイレージが一杯貯まる。だからよくタダで飛んでるよ」と息子ブライアント。
パッカーズ入団から間もないにも関わらず、母ジョージアはすでにニューイングランド行きの飛行機を確保している。 「飛行機のイスに座ったとたん、6人の友達を作ってしまうような人なんだ。偉大な女性だよ」とウェストブルック。デトロイト時代の一番の友人はWRハーマン・ムーアの母親だったらしい。社交的な母ジョージアは、"NFL for mothers"の活動にも熱心で、すでにFSシャーパーの母親と連絡を取っているらしい。「すごく社交的で、熱烈なフットボールファンだね」と息子が感心するほどだ。
パッカーズ | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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ペイトリオッツ | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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開幕から4試合、LBニッカーソンとともに、不甲斐ないディフェンスの象徴だったLBネイト・ウェイン。ブロッカーをかわすことが出来ず、ミスタックルを繰り返し、ポジショニングも悪かった。しかしベアーズ戦では、ヒザが良くなってきたこともあって、ようやく本来のキレのいいプレーが出始めた。そして試合の最後には、勝利を決定付けるインターセプトで締めくくった。
「自分にかなりプレッシャーをかけたよ。自分の能力からすれば物足りないプレーしか出来ていなかったからね。毎週少しずつ良くなってきた。あとはもう少しプレーを安定させることだね」とウェイン。開幕から立て続けに30点以上の失点を喫していたパッカーズ守備が、この2試合は失点を減らしてきているのは、もちろん彼の復調と無関係ではない。「ベアーズ戦では僕らはすごくいいプレーができた。しかしまだ無駄にヤードを失うことが多すぎる」
両先発DEの戦線離脱で、DLのやりくりをどうするか。今週は補強なしで8人で行くと仮定して、今パッカーズ首脳が検討しているのは、以下のような布陣だと思われる。ルーキーDEキャンプマンを"Power End"からジョンソンの"Elephant End"の先発に移し、バジャ=ビアミラはこれまで通り"Elephant End"でパスシチュエーション専門のまま。疲労によってパスラッシュのキレが鈍らないように、バジャ=ビアミラの負担は軽くしておきたいからだ。
元々はNTギルバート・ブラウンの控えだった巨漢DTロッド・ウォーカーをホリデイの"Power End"に移し、ラン守備を固める。DTハントは、水曜日にはDEの練習をしなかったようで、これまで通り先発DTにしておくつもりだろう。もちろんNTギルバート・ブラウンは変更なし。DT/DEビリー・ライオンは、その器用さを活かして、NT以外全ての控えをこなす。DTウォーレンはブラウンとハントの控え。
これまで出番のほとんどなかったDEレイノルズだが、ようやく出番が来そうだ。パスラッシュシチュエーションには、バジャ=ビアミラと2人がアウトサイドからラッシュをかけることになる。しかし控えLBマーカス・ウィルキンズは、大学時代にパスラッシュLBとして活躍しており、ベアーズ戦でもそのような出番があった。もしレイノルズが相変わらず振るわないようだと、パスの場面ではダウンラインメンを3人だけにして、後ろを増やすことも考えられる。
DB陣のケガ人続出に対処するため、パッカーズは元DET・DALのCBブライアント・ウェストブルックと契約した。予定通り、DEジョー・ジョンソンはインジャリー・リザーブ(今季の出場不可)入り。DEジョンソンのケガも痛いが、それは「質」の問題。今はDB陣の数が絶対的に足りないのだ。通常より1人多い10人体制で開幕を迎えたDL陣は、8人になっても当座はしのげる。それよりも、人数が足りないDB陣を優先したということだろう。ワークアウトをした結果の契約なのだろうが、ケガに悩まされてきたウェストブルックだけに、状態が万全なのかが気になるところ。
ライオンズ戦といいベアーズ戦といい、同地区のライバルに勝利する代償は何故こうも高いのか。まずベアーズ戦のウォームアップ中に、CBマッケンジーが鼠蹊部のケガを悪化させてしまい、出場できず。FSシャーパーはサイドライン際でINTをした時に、インバウンズに両足を残そうとしてハムストリングを痛めた。CBウィリアムズとハムストリングを痛めて途中退場。代わりにプレーするはずのCBジューも同じくハムストリングを痛めた。試合の最後には、動けるDBはCBマクブライド、SSボウエン、Sアンダーソン、そしてリターナー兼任のCBゴードンの4人だけ。WRテリー・グレンをDBとして投入する準備をしているところでようやく試合が終わった。
この中ではCBウィリアムズが一番軽そうだが、パッカーズDBの中で最も優れた2人、シャーパーとマッケンジーがペイトリオッツ戦を欠場する可能性は高い。また、キャンプ中から鼠蹊部のケガに苦しみ、今回はハムストリングまで痛めたCBバウ・ジューについて、シャーマンHCは「インジャリー・リザーブに入れるかもしれない。今後24時以内に決断する」と述べている。使えるかどうかアテにならない選手をロースターに入れておく余裕はない、ということだろう。彼をインジャリー・リザーブに入れてロースターに空きができるが、その枠をDLの補強に使うのだろうか。それとももう1人DBを補強するのか。
CBブライアント・ウェストブルックは、'97年にテキサス大からドラフト1巡5位でライオンズ入り。しかしケガの多い選手で、全試合出場したのは2年目の'98年だけ。最も活躍していた'00年シーズン中にアキレス腱を断裂してしまい、ようやく復帰したのは翌'01年のシーズン中盤。しかし状態は万全ではなく、プレー内容は芳しくなかった。FAとなったこの春も評価は高くなく、カウボーイズと1年契約。開幕のテキサンズ戦は先発出場したが、43ydsのパスインターフェアやイリーガルコンタクトの反則などでベンチに下げられ、屈辱的な敗戦の戦犯扱い。すったもんだの挙句、2試合目を待たずに9/13に解雇されてしまっていた。
なおプラクティス・スクワッドも一挙に3人を入れ替えた。WRコーリー・パーチマン、OLアル・ジャクソン、DEジョン・ギルモアをカット。そしてSトッド・フランツ、DBブランドン・ジェニングス、OTミッチ・ホワイトの3人と契約している。
全米注目のマンデーナイトゲームで、WRテリー・グレンは8キャッチ154ヤードの大活躍。スピード、鋭いルート取り、パスキャッチ能力のどれを取っても、去年までの先発WR2人にはなかったものだ。今年のパッカーズのWR陣総入れ替えが間違っていなかったことを、ドライバーと2人で証明して見せた。特にグレン本人にとって、偏頭痛に悩まされて精彩を欠いたここ数週間のことを考えると、大きな意味のある試合だったことだろう。
「嘘をつくつもりはないよ。僕にとって大事な試合だった。でも、その試合に勝ったっていう事実がもっと大きいんだ。もし負けていたら、いくら僕が活躍したって何にもならない。(偏頭痛問題から)元の軌道に戻って、勝利に貢献できたからこそ、素晴らしい気分なんだ」とグレン。
そして今週はいよいよ古巣のペイトリオッツ戦。ニューイングランドでは、大量のブーイングが彼を待っている。現地のラジオショーなどでは「グレンがどうやってこの試合をサボる口実を見つけるか」などと皮肉る雰囲気もある。しかしグレンは「この試合を休むなんて、死体安置所にでも行かない限りあり得ないね」と笑う。移籍した時から、この対戦スケジュールは彼の頭に入っていた。「あそこに戻ることを楽しみにしているんだ。去年はいろいろなことがあっただけにね」
グレンにも言い分はあるが、ペイトリオッツで彼が起こしたトラブルのほとんどは彼に責任があり、ニューイングランドのファン達には、グレンにブーイングを浴びせる権利がある。しかしグレンはいまや新天地に移り、NFL選手としてのキャリアだけでなく、人生そのものを立て直しつつある。そのことを多くのファンの前で立証するのに、先日のマンデーナイト、そしてペイトリオッツ戦ほどふさわしい舞台はない。
QBブレット・ファーヴが、ベアーズ戦の22/33・359yds・3TD・レーティング133.3という活躍で、NFCの"Offensive Player Of The Week"に選ばれた。第1Q、WRドライバーに決めた85ydsのTDパスは今季のNFL最長記録。QBファーヴにとってもキャリア2番目の記録だった。この試合でQBファーヴはNFL史上8人目の40000ヤードパサーとなり、あとタッチダウン2つで、ジョン・エルウェイと並ぶNFL史上4人目の300TDを記録することになる。なお、10月10日は彼の33回目の誕生日。
やはり両チームの違いはQBブレット・ファーヴがいるかいないかだった。この試合をご覧になった方には、彼のプレーの素晴らしさを説明する必要はないはずだが、ご覧になれなかった方はせめてこちらのビデオ・ハイライトで。「彼はこれまでも常に素晴らしいプレーを続けてきたから、これが彼にとって最高とは言えないかもしれない。しかし今日の前半のプレーは、QBとしての最高に近いプレーだったんじゃないかな」とシャーマンHC。前半のレーティングはなんと146.2。
第2Qの残り7分を切ったあたりで強烈なヒットを受けて、3rdダウン6なのにパスを投げられずにランをせざるを得ないシーンもあった。しかしベンチに下がってドクターやトレーナーに取り囲まれているうちに回復したようで、その後のプレーには支障がなかった。この試合でQBファーヴの通算パスヤードは4万ヤードを超え、NFL史上8位。来週にはジョニー・ユナイタスの記録を上回り、再来週にはジョー・モンタナの記録も抜くことが予想される。10月10日には33歳の誕生日を迎えるファーヴだが、スクランブル能力以外の衰えは全く見られない。
第3Q、自陣深くに攻め込まれたものの、DEカビーア・バジャ=ビアミラがサックを決めて迎えた2ndダウン16。QBミラーがボールを持ちすぎてDEジョンソンに強烈なヒットを受ける。投げ捨てようとしたボールがふわりとバジャ=ビアミラの目の前に。これ以上楽なインターセプトはない。「あまりのことに信じられない思いだった。本当に静かだった」。あとは一目散にエンドゾーンをめがけて走るだけだ。彼自身、高校時代から、ディフェンスとしてはタッチダウンを決めたことがない。
彼はちょうどスーパーボウルのハイライトフィルムを見たところだった。ダラスのDTレオン・レットがゴールラインに駆け込む寸前で、バッファローのWRビービにボールを叩き落とされた恥ずかしいシーンだ。「だから僕は走りながらスクリーンを見上げて、誰も周りにいないことを確認したんだ。ボールを掲げたり馬鹿げたことをしないように。ESPNでそのビデオを見た時には、『僕は絶対あんなミスをしないぞ』って自分に言い聞かせたばかりだったから」
このビッグプレーの以外にも2サック・1ファンブルフォース・3タックルを決め、パスディフレクトも2回。まさにディフェンスのMVPだった。DEジョー・ジョンソンが今季絶望となってしまい、今後はパスラッシュ以外の仕事も大幅に任されることになる。今後先発するかどうかについては「それはコーチが決めること」としながらも、ベアーズ戦の後半の活躍はかなり自信回復に役立ったようだ。あとはお得意の、神様中心のコメントなので省略。
この試合でもいくつかのビッグリターンを許し、あまりいい所のなかったスペシャルチーム。しかし彼らが最も勝利に貢献したプレーは、21-7で迎えた第2Qの残り7分35秒。GB陣36まで攻め込みながら4thダウン4となったベアーズは、FG隊形からスルスルとロンリー・センターに移行。7人の選手が左サイドに集まり、ロングスナップを受けるのはWRブッカー。右サイドに走りながらオプションパスのようにして後ろのLBアーラカーにパスし、アーラカーがロングスナッパーのマネリーへパス。しかしルーキーのSアンダーソンがぴったりとカバーしており、きっちりボールを叩き落とした。
「ロングスナッパーがエリジブル・レシーバーだというのは気づいていたから、ディープに留まって待っていたんだ。彼が上がってくるのがわかった」とアンダーソン。ノヴァックSTコーチも、このフォーメーションを見た時にそれほど慌てなかったようだ。「彼らは2年前にもデトロイト相手にあれをやったんだ。準備はしていた」
今季の補強の目玉であったDEジョー・ジョンソンが、ベアーズ戦の第3Qに左の上腕三頭筋を断裂。今季は絶望となってしまった。特にここ2試合ではかなり良い働きを見せていただけに、パッカーズ守備陣にとって大きな損失となった。すでにDEホリデイが長期欠場しているディフェンスラインをどうするか、苦しいやりくりを強いられることになる。 「彼とホリデイの両方がいない? 周りのラインマンの負担が大きくなる。誰かが頑張らないと」とFSシャーパー。
両先発DEの穴をどうするか。まずはホリデイの"Power End"。先発はルーキーのキャンプマンだったが、試合中(たぶんジョンソンが退場する前)から、デカいDTロッド・ウォーカーを"Power End"として使うという試みはしていたようだ。ビリー・ライオンもローテーション起用の候補だが、ジョンソンの代わりに逆サイドで使うかも。
DEジョー・ジョンソンの担当していた"Elephant End" 。パスラッシュだけならDEバジャ=ビアミラがずば抜けているのだが、いかんせん彼は軽量でスピード一辺倒のパスラッシュスペシャリスト。ラン守備ではほとんど役に立たないため、毎ダウン使える選手ではない。昨年ドラフト1巡のレイノルズも同タイプ。おそらくDEジョンソンはインジャリー・リザーブに入れてロースターに空きを作り、誰かDLと契約するだろう。DTハントを再びDEに戻す手もある。ハントやライオンら、DT兼任の選手をDEで使ってランを防ぎつつ、3rdダウンでバジャ=ビアミラのパスラッシュに期待、という感じになるのだろうか。
5試合終わって440yds(NFL7位)、5TD(WRの中では1位)を記録して話題の人になっているWRドナルド・ドライバー。彼の代理人が、すでにパッカーズ側と契約延長交渉を始めたことを明らかにした。「まだ突っ込んだ話は全然していない。お互いに興味があるのはもちろんだ」。ドライバーは制限付きFAだったこの春、チーフスからの3年$3ミリオンほどのオファーを蹴り、$563,000の1年契約で残留を選んだ。契約延長するにせよ、来春FAとなるにせよ、彼は賭けに勝ったと言える。
パッカーズ側はこの夏、DEホリデイとの契約延長交渉を進めてきたが、合意に至らないうちにDEホリデイが全治8週間以上のケガを負い、交渉は棚上げに。代わりにOTタウシャーとの延長交渉を始め様とした途端にタウシャーがシーズン終了の大ケガ。現在$2ミリオン以上の空きがあるサラリーキャップを有効に使わなければもったいないということもあり、次の候補としてドライバーが浮上した、というわけだ。
1Q | 2Q | 3Q | 4Q | Total | |
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Packers (4-1) | 14 | 10 | 7 | 3 | 34 |
Bears (2-3) | 7 | 7 | 0 | 7 | 21 |
天気は晴れ。気温は8℃。両チームの初対戦は1921年にさかのぼり、NFL史上最多の通算163回目の対戦となる。昨年までの成績はパッカーズの73勝83敗6分け。近年はパッカーズが16勝4敗と追い上げている。レギュラーシーズンの163試合に加え、プレーオフでの対戦は1941年に1回あるだけ。シカゴのリグレー・フィールドで行われたその試合では、ベアーズが完勝している。この両者は強い時期が互い違いになっており、両方ともプレーオフに出ること自体が非常に少ない。
前半、ランは止められながらも、長めのパス中心に攻めるパッカーズは、ドライバーへの85ydsTDパスをはじめとして快調に得点を重ね、リードを広げる。ファンブルロストや反則から追い上げを許すが、前半終了間際には49ydsのFGを成功させて、10点差でハーフタイムへ。後半に入ると、FG失敗から自陣深くに攻め込まれるなど、苦しい場面が多かったが、逆にDEバジャ=ビアミラのINTリターンTDが飛び出してリードを広げる。その後も拙い攻めでダメ押しのチャンスを逃したり、ディフェンスにケガ人が続出して苦しいやりくりを強いられるが、INTやサックでしのいで後半を7失点で抑え、なんとか逃げ切りに成功した。
<第1Q> パッカーズの最初のドライブは、WRドライバーへのパスで1stダウンを更新したものの、RBグリーンのランが止められてパント。ベアーズの攻撃もブッカーへのパスを許さずにパントへ。GB陣15からの攻撃、いきなりWRドライバーへの85ydsパスが炸裂して先制タッチダウン。次のベアーズのドライブではランをしっかり止め、またもや1stダウンを許さず。GB陣24からの攻撃、相変わらずランは止められているが、ドライバーとグレンにパスを通し、最後はTEタイロン・デイヴィスへの19ydsTDパスが通って14-0。しかしキックオフリターンでGB陣37までリターンされ、パスインターフェアの反則のあと、WRブッカーへのTDパスを許し、わずか4プレーで7点を返される。
<第2Q> 第2Qの冒頭、WRウォーカーへの17ydsパスが通ってCHI陣32へ。さらにWRグレンに26ydsパスが通ってCHI陣6に迫る。TEフランクスへのパスが通ってタッチダウン。21-7。次のベアーズのドライブは、RBトーマスのランを中心にGB陣36まで攻め込むが、4thダウンでFGフェイクからのLBアーラカーのパスはインコンプリート。無失点に止める。両者パントのあと、GB陣15からの攻撃、WRドライバーがファンブルさせられたボールをSマイク・ブラウンにリカバーされ、GB陣4までリターンされてしまう。TEデイヴィスへのTDパスが通って再び7点差に。両者パントのあと、前半残り38秒、GB陣37からの攻撃。WRグレンへのパスなどでCHI陣30までボールを進め、前半終了と同時にKロングウェルが49ydsFGを決めて3点追加。
<第3Q> 後半開始のキックオフでCHIのRBアブドゥラがファンブルし、パッカーズがCHI陣18でリカバー。しかしタッチダウンはならず、さらにFGもブロックされてしまい、追加点はならず。CHI陣20からのベアーズの攻撃。WRホワイトとWRテレルへのパスでGB陣14へ。DEバジャ=ビアミラのサックでQBにファンブルさせるがベアーズがリカバー。しかしその直後、DEジョー・ジョンソンがQBミラーをヒットして跳ね上がったボールを、DEバジャ=ビアミラがインターセプトし、そのまま72yds走り切ってなんとタッチダウン。次のベアーズの攻撃も、GB陣29まで攻め込むが、サックと反則で3rdダウン21となったところでFSシャーパーがインターセプト。WRグレンへの49ydsパスなどでCHI陣18まで攻め込むが、36ydsFGを右に外して追加点はならず。ベアーズの攻撃をパントに終わらせた後、RBグリーンの43ydsランなどでCHI陣22まで進んで第4Qへ。
<第4Q> CHI陣7まで迫るが、タッチダウンは奪えず、35ydsFGで3点追加。34-14。ベアーズの攻撃はWRブッカーへの31ydsパスなどでGB陣16へ攻め込むが、そこでDEバジャ=ビアミラがサック。4thダウン16でギャンブルを敢行するが、エンドゾーンへのパスは通らずターンオーバー。パッカーズの攻撃が3&アウトに終わった後、CHI陣38からのベアーズの攻撃。残り9分。WRホワイトへの21ydsパスとTEデイヴィスへの21ydsパスが立て続けに決まってタッチダウン。13点差で残り6分50秒となって、ベアーズはオンサイドキック。WRファーガソンが無事にキャッチしてオンサイドキックは不成功。パッカーズの攻撃は1stダウンを1回獲得するが、Kロングウェルが50ydsのFGを失敗。その直後WRテレルへの52ydsパスが通ってしまい、GB陣6まで攻め込まれてしまう。しかしそこでLBウェインがインターセプト。残り2分26秒でベアーズにはもうタイムアウトがなく、これで万事休す。
下表のうち、"Out"の2人以外は全員出場の見込み。これは心強い。
パッカーズ | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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ベアーズ | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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ベアーズの豪華なLB陣と違い、先発組のレベルも、層の厚さも心もとないパッカーズのLBたち。ラン守備がNFL27位なのも、パス守備でしょっちゅうビッグプレーを許すのも、多くはLB陣のスピード不足が原因と言われている。「いずれわかる。もっと良くならなければいけないのは確かだ。しかし心配はしていない。問題はなくなるはずだ」とペリーニLBコーチ。
開幕から1ヶ月がたち、明らかになってきたのはベテランMLBハーディ・ニッカーソンの衰え。彼のスピード不足は、多くのスカウトたちが指摘するところだ。あるAFCチームの人事担当者によると、「ニッカーソンはイーグルスにくれてやるべきだった。しかし(PHIと契約した)カークランドだって、大して良くはない。私が思うに、ミドルLBが遅いと、ディフェンス全体が遅く見えるものだ」とのこと。
ウィークサイドLBのネイト・ウェインは、昨年、ケガで欠場するまでは、プロボウル級のプレーを続けていた。今年は全試合に出場しているものの、期待を大きく裏切るプレー内容となっている。ギャップを詰めることを怠って、ランでビッグゲインを許すことも多い。まだヒザの状態が100%ではないのか、動きに思い切りが見られない。「このところ、日に日に良くなっている。ヒザの状態に、彼も自信が持てるようになってきている」とペリーニLBコーチ。
上記の2人と比べれば、よくやっているのがストロングサイドLBのナイル・ディッグスだ。ミスタックルがほとんどなかったルーキー年の活躍と比べると、プロ2年目の昨季は、細かいケガに悩まされて力を出し切れなかったが、今季は好調。先日は名TEウェスリー・ウォールズを封じ込めるのにも成功している。
もしニッカーソンの不振が今後も続くとすれば、若手との交代も考えなければならないが、LBトランス・マーシャルが伸び悩んでいることが、チームにとっては頭が痛い。ニッカーソンは1年契約のため、(悪く言えば)あとくされなく来春にはサヨナラできる。さらに、もし本気でマーシャルをFBに転向させるとすれば、来春にはドラフトとFAの両方で、LBの補強が必要になるだろう。
ベアーズ戦の重要さのせいもあるのだろう、パンサーズ戦に欠場した選手たちも、多くが復帰の見込みだ。もしFBヘンダーソンが出場できれば、オフェンスは現状でのベストメンバーが組める。
注目を浴びるWRとなった今も、チーム事情からスペシャルチームでのプレーを強いられているWRドナルド・ドライバー。リターナーでもない限り、普通は先発WRがやる仕事ではない。しかし彼は嫌な顔一つせず、フィールドに飛び出していく。チームを助けるためなら、どんなことでもやるのだ。そしてこれは、今に始まったことではない。少年時代、無一文となった家族の生活を支えるために、彼は車泥棒をしたり、クスリを売ることまでしたというのだ。それに比べれば。
すばしっこいから、少年ドナルドのニックネームは"Quickie"。今と同じように、常に笑みを絶やさず、少し痩せた体の、聡明な少年だった。ある時、母のボーイフレンドの借金を背負わされて、一家の財産は全て差し押さえられ、文字通り無一文になってしまう。今夜寝るところさえわからない生活。「車も盗んだし、クスリも売った。自分でクスリをやったことはないけど、路上でクスリを売るのも、生きていくためには仕方がなかった」
中学一年のころ、忘れられない思い出がある。車を盗んでパトカーに追いかけられている時、角を曲がったところで、女性が運転して道路にバックで出てきた車に、彼の車は衝突してしまったのだ。慌てて車を乗り捨てて逃げようとしたが、女性のケガが心配で戻ってみた。「それは年をとった女性で、彼女は『大丈夫よ』と言うから、僕は改めて逃げようとした。でも彼女は、『ウチのベランダに座ってなさい』と言ってくれて、信じた僕はその通りにしたんだ。警官が来ると彼女は、『犯人は走って逃げた。あそこにいるのはウチの孫だ』と言ってくれたんだ。そのあと僕を家に招き入れ、『そんなことしてちゃダメよ。あなたは若いんだから』と、その女性は言ってくれた」
この事件は大きく心に残ったものの、しかし家庭の事情から、悪事から足を洗うには至らない。翌年、ショッキングな出来事もあった。街角でクスリを売っている時、親友の1人から銃を突きつけられたのだ。「最初は冗談だと思った。親友だからね。でも彼は本当に僕の金とドラッグを獲ろうとしたんだ。本当に涙が出たよ」とドライバー。住む家もない、どん底の生活が1年半ほど続いた後、一家は母フェイ・グレイの義理の母を頼り、ようやく生活を立て直すきっかけをつかんだ。母は警備の仕事に就き、兄弟は学校に通うようになった。
兄弟は、近くのバプテスト教会に、週に何度も通うようになった。日曜はもちろんのこと、木曜は聖書の勉強、水曜は聖歌隊、その他いろいろな行事があった。「このような経験が今の彼を形作ったと思う。準備になったんだ。ある晩、あいつが 『いつか必ず出世する。他の誰が何と言おうと関係ない。いつか必ず成功してやる』と言っていたのを思い出すよ」と語るのは兄のマーヴィン。彼は今、バプテスト教会の牧師だ。
高校でドライバーは、陸上、フットボール、バスケ、野球で活躍し、アルコーン州立大へ。頭も良かった彼は、学業で苦労したことはあまりない。会計学の学位はすでに取った。「いつも言ってたんだ。『僕はスーツを着たい』 って。毎日スーツを着るには、会計学が一番良いと思ってさ」 と笑うドライバー。今はコンピューター科学の修士過程で勉強していて、来年の夏には修士号が取れそうだという。
ここまで話してくれば、プロに入ってからの苦労が、彼にとって大したことではないことがよくわかる。 今はチームを去った元同僚たちも、ドライバーの活躍を喜んでくれている。テキサンズでエースWRとなっているブラッドフォードは「去年でさえ、僕ら2人はもっとやれると思ってた。先発とは言わないまでも、もっとプレー機会があればね」と言う。フリーマンも「テリー・グレンも良いレシーバーだけど、僕がいなくなって一番よかったのは彼じゃないかと思う。ファーヴとの経験が一番多いし、システム的にもね。僕がいたせいで、足踏みしてたという面もあるかもしれないが、今は彼が良くやっているのが本当に嬉しいよ」
来春にはFAとなって、かなりの契約を手に入れることが確実視されている。そうなったら、母や、病気の祖母を楽にしてやりたいと思う。それを考える時だけは、温厚な彼も感情を抑えきれなくなる。しかし糖尿病や心臓病に苦しんでいる祖母はともかく、母はまだヒューストンのホテルの警備の仕事を続けていて、「もう引退したら」という孝行息子の願いをはねつけている。そして息子の金を受け取る時には、その資金で、貧しい人たちのためのデイケア・センターを開こうと決めているのだ。
「あの子はいつも、『もう家を買うかい? 車を買おうか?』って言うけれど、そんな物質的なことはどうでもいいのです。私たちは、あの状況を生き延びた。たくさんの苦しいことを耐えて生き抜いた子供たちのことが私の誇りなのです」と母は涙を流す。「あの子が私と同じように思っていることはよくわかる。私にいろいろな物をプレゼントしようとするけれど、そんなことしてくれなくても私は幸せ。彼には自分の好きなことをして、彼に出来る限り最高の選手になってほしい」
WRテリー・グレンの頭痛に関する確かな答えを探していたパッカーズは、ニューヨーク大学の著名な神経学者、Ira Cassonの元へグレンを送り、火曜日に診察を受けさせた。その結果、今週初めのパッカーズ側の推測どおり、グレンの症状は、"post-traumatic migraines"(頭部外傷後の偏頭痛)であることがはっきりした。
この診断によると、幸い、これまで幾人ものNFL選手を引退に追い込んできたような、「あと何回脳震盪を起こしたら選手生命の危機」というような状態ではない。さらに嬉しいことに、投薬治療によって頭痛は改善していくこと、そして頭痛が耐えられさえすれば、プレーしても差し支えない、という許可が得られたようだ。「ニューヨークに行ったおかげで、私もグレンも本当にホッとした」とシャーマンHC。
今回新しく処方された薬によって、すでに頭痛は軽くなってきたため、グレンは水曜日の練習にも復帰した。「練習中にも時々めまいがしたけれど、かなり薬が効いてきている。ありがたいよ」とグレン。ベアーズ戦の出場については、シャーマンHCはまだ慎重だが、グレンの気分さえ問題なければ、出場させるつもりのようだ。パンサーズ戦には、ずっとひどい頭痛を抱えながら前半をプレーしたことを考えれば、おそらく本人は出場するつもりだろう。
無理をしてパンサーズ戦をプレーしたことは、グレンにとって、やはりこれまでのケガに弱いという悪評を振り払いたい、という気持ちが強かったようだ。「アトランタ戦で脳震盪を起こして以来、何度もヒットされてノックアウトされそうになったけど、なんとか立ち上がってサイドラインに行き、そうすべきじゃなかったかもしれないが、『大丈夫、大丈夫』とか言ってた。今思えば無理していたんだ。問題ないようなふりをして」とグレン。
今回、ニューヨークまでグレンに付き添ったのは、元エースRBのエドガー・ベネット。今はパッカーズの"Director of Player Development"という肩書き(実際はRBコーチ補佐でもある)で、選手生活のあらゆる面をサポートする係(2月25日の記事参照)。このベネットもまた、現役時代には時おり偏頭痛に悩まされ、サイドラインに下がることもあったという。また現役のRTアール・ドットソンも偏頭痛持ちで、そのために練習を休むことがある。
パッカーズは、先週木曜日にいったん契約しながら、一時的なWR不足の犠牲になって土曜日に解雇されていたOTバレット・ブルックスと再び契約した。OTブルックスは'95年イーグルスのドラフト2巡指名。フィラデルフィアで4年、デトロイトで2年プレーし、合計62試合の先発経験のあるベテラン。右タックル・左タックル両方で経験豊富なだけでなく、ガードでプレーした経験もある。タウシャーの戦線離脱によって控えOTはドラフト外ルーキーのケヴィン・バリーだけになっていたため、OTブルックスの加入は大きい。
入れ替わりに解雇されたのはもちろんWRクリス・ジャクソン。パンサーズ戦ではスペシャルチームでのみプレーし、WRとしての出場はなかった。彼をカットできたということは、少なくともWRウォーカーはベアーズ戦に出場できる見通しが立ったということだろう。
NFL最古の対戦カードであるパッカーズ対ベアーズ。1921年以来163試合目となる試合数も、もちろん最多だ。パッカーズと同じく、ベアーズも新スタジアムを建設中で、どちらも来年オープン予定。ただし違う点は、パッカーズがランボーフィールドを使用し続けながら少しずつ工事をしているのに対し、ベアーズは今シーズン、別のスタジアムを使用していることだ。それはシカゴの南260キロ、車で2時間半走ったところにあるイリノイ州シャンペインにある、イリノイ大メモリアル・スタジアムだ。
メモリアル・スタジアムの収容人数は71,000人。また、デトロイトのフォード・フィールドやパッカーズの室内練習場に敷かれている"FieldTurf"に似た、脚に優しいタイプの人工芝"Astroplay"が敷かれている。シカゴからかなりの距離があるため、ベアーズの選手たちは、試合前日にシャンペインに宿泊しなければならないらしい。
実はパッカーズも、新ランボーフィールドの建設計画を立てるに当たっては、「建設中はマディソン市にあるウィスコンシン大のキャンプ・ランドール・スタジアムを借りたらどうか」という話があった。しかしハーラン社長が断ったらしい。理由は3つ。全試合をアウェーで戦うことになり、チームにとって不利なこと。遠いマディソン市まで多くのファンに来てもらわなければならないこと。そして小さなグリーンベイの地元経済にとって、観光客の減少が痛手になること。もちろんこの決断によって、工事の進行は困難になるわけだが、シャーマンHCはホームを離れずに済むことに感謝している。「私だって、ウィスコンシン大バジャーズの大ファンだが、パッカーズはグリーンベイでプレーするべきだ」
確かにベアーズの選手たちはシカゴを離れることで不利を被っているのだが、パッカーズ戦だけはそう感じないかもしれない。というのもこの10年間、QBファーヴはシカゴのソルジャー・フィールドでの対戦成績がなんと9勝1敗。ベアーズにとって天敵と言っていい。「いっそソルジャー・フィールドじゃない方がチャンスがあるかも」という、強気だか弱気だかわからないことを考えている記者やファンもいるようだ。
2002年のNFL各チームの"Payroll" つまり給与支払い総額が発表された(リストはこちら)。パッカーズは$40ミリオンを下回って最下位。この順位は毎年どのチームも極端に変動するもので、パッカーズの場合、'99年が1位、'00年が28位、'01年が3位、そして今年が最下位。大型契約が多ければ巨額の契約ボーナスを一度に支払うため、その年のPayrollは一時的に膨れ上がる。しかしサラリーキャップ上は、その契約ボーナスは数年間に分割して計上し、最終的には毎年決まった額(今年は$71.1ミリオン)に収めなければならない。だからこのPayrollは、チームの裕福さや経営状態を示すものではない。
WRテリー・グレンの偏頭痛問題が、どうも芳しくない。原因がはっきりしないために、流感のせいとか脳震盪の影響とか、チーム側の説明もこれまで二転三転。先週末のチーム側のCTスキャン検査でも、「第1週のアトランタ戦で起こした脳震盪の後遺症は残っていない」という結論が出て、本人もプレーしようとフィールドに立ち、前半に唯一のパスキャッチ(サイドライン際の見事なジャンピングキャッチ)を見せた。しかしハーフタイムにはついに耐え切れなくなり、後半は欠場。
現在のチーム側の考えはこうだ。(1) やはり第1週の脳震盪からすべては始まっている。(2) 検査した限りでは、脳震盪の後遺症ではないはず。それ以前に脳震盪を起こしたこともない。(3) しかし脳震盪でなくても、"Head Trauma"(頭部外傷)に起因する頭痛はある。グレンの場合はそれではないか。頭部をヒットされたのは第1週以後にも何度かあった。(4)こうなったら、チーム外部の専門家に診てもらうしかない。(5) 「体の最も大事な部分だけに、最大限の注意が必要だ。これまでも、そして今後も、我々はグレンについている」とシャーマンHC。 現在、チームは適当な専門家を探しているところで、今週中にはそちらの診断を仰ぐことになる。
彼自身が頭痛をチームに報告したのは先週なかばだが、実際は第3週のライオンズ戦の前から頭痛、吐き気、めまいのような症状に悩まされていたようだ。 彼の親しい友人によると、「ライオンズ戦の試合前に会ったとき、彼は気分が悪く、まるで別人のようだった」とのこと。先週末に、グレンの病状に懐疑的な記事を掲載したJS Onlineだが、(チームから厳重な抗議を受けたのかもしれない)今週になって、非常に丁寧で、チーム側の説明に忠実な記事を掲載している。
先週と比べると、今週のケガ人リストは多少は短くて済みそうだ。それでも心配な点はいくつもある。次の対戦相手のベアーズもディフェンスの主力選手にケガ人が多く、両チームとも満身創痍だ。
マイク・シャーマンHCの長男マシュー(13歳)は、普段から「なぜ試合最初のドライブでタッチダウンが獲れないのだ」などと、自宅でくつろぐ父親を苦しませてきた生意気な少年。今回もなかなかナイスなコメントを出した。試合直後に誰かがマシューに「お父さんがあんな風に振舞う(写真)のを見たことある?」と聞かれ、「僕の先生との父親面談のあと、家に帰ってきてああいう顔になったのを見たことがある」
なお、NFL側からシャーマンHCへの処罰はない、とのこと。「すでに試合中に15ydsの罰を与えられているし、審判との身体的接触もなかった」とNFLスポークスマン。
オフェンスのMVPはやはりWRドナルド・ドライバー。偏頭痛のために第3WRに下がったWRテリー・グレンに代わってフランカーに入り、5回97yds・2TD。リバースでも15yds。前半にはTEフランクスからのTDパスをキャッチし、第4Qには決勝のTDを決めた。その決勝TDの直前の34ydsのパスインターフェアを引き出したのもドライバー。味方の反則で取り消されなければロングゲインになっていたプレーも2回ほどあった。最もスピードのある2人、グレンとウォーカーを欠き、フィールドをストレッチすることができない中、彼の勝負強いプレーがチームを救った。
TEフランクスからのTDパスは下記の記事で触れるとして、やはり最大の見せ場は第4Qの逆転TDシーン。CBマクダニエルにタイトにカバーされているのを承知で、QBファーヴはドライバーに弾丸のような高いパスをブン投げた。得意のジャンピングキャッチを決めると、タックルをかわしてエンドゾーンへ。「イージーなパスだったとは言わないよ。本当にハードなボールだった。でも一番ハードなのは、練習の時の、僕らの指を折るようなつもりで投げるやつだね」
一般的に変わり者の多いWRの中で、ドライバーは人格的にも優れていることでも知られている。重い偏頭痛に悩まされているグレンに関しても、「テリーがいない今は、僕がリーダーにならなくちゃいけない。彼は頭痛がひどいのに、無理してフィールドに出てハードヒットを受けている。一生影響が残らないとも限らないのに。テリーがしてくれたことに、僕らは本当に頭が下がるよ」と誠実そのもののコメント。極貧の中で育った彼は、まだ高給取りとはとても言えないサラリーで、300回以上のチャリティーにも顔を出している。
QBファーヴも「これまで僕らはドライバーを(過小評価して)できるだけ他の選手と交代させようとしてきた。毎年、毎キャンプ、彼は素晴らしいキャンプを過ごしているのに、彼を後ろに下げて、3rdダウンレシーバーとか、年間15キャッチぐらいの扱いをしてきた。彼は一つも文句を言わず、常に笑顔を浮かべ、スターWRだろうと5番手WRだろうと、同じルートを走ってきた」と称賛を惜しまない。NFL9位の320ydsをすでに稼ぎ、このままのプレーを続ければ、FAとなる来春にはこれまでの苦労が(金銭的にも)報われる可能性は高い。はやくも「今のうちに契約延長すべき」と主張するコラムも現れている。
3試合連続で30失点以上を許してきたディフェンス陣。まだまだミスも多く、ビッグプレーを許すこともあるが、パンサーズ戦では集中力の高さとエネルギッシュなプレーで、信頼回復の兆しを見せている。LB陣やDB陣の出来はまだ誉められたものではないが、相手を14点に抑えるのに最も貢献したのはディフェンスラインだ。DEホリデイとDEバジャ=ビアミラを欠きながら、勝負どころでサックやファンブルフォースを決め、先発の4人とも今季最高の出来だった。
ここまでの3試合、高額契約にふさわしいプレーをしたとは言えず、メディアからも批判の声が上がり始めていたDEジョー・ジョンソン。5タックル・1サック・1ファンブルフォース・1ファンブルリカバーの活躍で汚名返上に向けて第一歩。「僕らはまだ能力の全てを出し切ってプレーしていない。もっと良いディフェンスをできるはずなんだ。こんなんで満足するわけにはいかない。それよりも、上手くいかなかった部分に関して、フラストレーションを感じるべきだ」
DTギルバート・ブラウンとDTクリディアス・ハントは、ともに今季最高のプレー。「ギルバートと試合前に会ったとき、彼は燃え上がっていた。これこそ僕らが知るギルバート・ブラウンだ」と欠場中のホリデイも証言する。ハントも7タックル・2サック・1ファンブルフォースの活躍。2人でインサイドから相手のポケットを押しまくった。
DEホリデイの欠場で、初出場が初先発となったルーキーDEアーロン・キャンプマン。6タックルに加え、大事なところでロスタックルも決めた。評判どおりのタフなプレーを見せ、来週も先発は間違いなさそうだ。
前半残り2分弱、パッカーズにとって、久々のトリックプレーが炸裂した。前回はQBファーヴが途中退場した2000年の@タンパベイ。その時はFGフェイクから、(ホルダーの)QBハッセルベックがTEババ・フランクスへのTDパス。それがフランクスのキャリア初TDだった。今回のTEフランクスは投げる側。スルスルと左サイドへ動いてファーヴの横パスをキャッチしたフランクスは、エンドゾーンでワイドオープンになったWRドライバーへ、見事に31ydsのTDパスを決めたのだ。フランクスはサウスポーだった。(写真)
これは2年前からロスリーOCが暖めていたプレーだという。これまで練習でも繰り返し成功させていて、「これまで10回やって10回成功だったんだ。これで11/11だね」とフランクス。「このプレーがコールされた時は嬉しかった。そして、ドライバーは超ワイドオープンだったから、『外すな、外へ投げ出すな、ちゃんと彼に決めろ』と言い聞かせながら投げたよ」
いったんは最初のQBファーヴのパスがフォワードパスと判定されるが、これは明らかな誤審。65000人の大ブーイングを背に、下記の記事のようにシャーマンHCが珍しいパフォーマンスを見せるが、幸いレビューで判定が覆り、タッチダウンは認められた。「すごいプレーだったよな。でももうアイツが左利きだってことがバレちゃったから、このプレーは使えないね」とFSシャーパー。
普段から、アンスポーツマンライクコンダクトのような反則には非常に厳しい態度をとるマイク・シャーマンHC。しかしTEフランクスのTDパスが反則扱いされた時には、珍しく彼は荒れ狂った。ヘッドセットを地面に叩きつけ、暴言を吐いて、アンスポーツマンライクコンダクトで15ydsの罰退。「いや、あれがレビューされないのかと思ってね」とシャーマンHC。実際、次のキックオフの位置を15yds下げられたために、ファンブルリカバーがなければ、前半終了間際に失点してしまうところだった。
しかし選手たちの反応は好意的。「V8エンジンのスパークプラグみたいだった。あれで僕らのディフェンス、チーム全体に火が点いた。これがどんなに大事な試合か、みんなにわからせてくれた」とLBウェイン。「HCは僕らに謝ったよ。いつも僕らに説教していることだしね」とFSシャーパー。さすがにバツが悪かったシャーマンHCは、「自分に罰金を科すよ」と試合後のインタビューでは反省している。