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2011年3月30日

シーズン総括と展望 DL編

2年目で先発ノーズタックルに昇格したB.J.ラジが期待以上の成長を見せ、とくにパスラッシュ向上に大きく貢献した。世間一般のノーズタックルとは異なり、パスシチュエーションでもサイドラインに下がらない。DE陣のケガの多さもあってほぼ毎試合で出ずっぱりとなる酷使のされようだった。すでにプロボウルの一歩手前まで来ていて、あとはケガなく伸びていってくれさえすればいい。

いっぽうディフェンシブエンド陣はプレー内容はよかったもののケガ人が多く、やりくりに苦労した。先発右DEのカレン・ジェンキンズはチーム2位タイの7サックを挙げる活躍だったが、シーズン前半は左手骨折、後半はふくらはぎを痛めて5試合欠場。左DEでは無期限出場停止のジョニー・ジョリーに代わって元NTのライアン・ピケットがスターターとなり、安定感のある働きを見せた。

両先発DEを欠きながら第7週MIN戦をなんとか乗り切ると、元NYJの巨漢NTハワード・グリーンを補強し、これがラインの安定につながった。NTラジが元気なため実質DEとしての起用ばかりで、340ポンド級のDL3人を並べる超ヘビー隊形を活用するゲームも何度かあった。残念だったのは、2巡指名のDEマイク・ニールが肩のケガで2試合しか出場できなかったこと。ニッケル隊形(2-4-5)でのパスラッシャーとして期待されていたが、彼の戦線離脱でNTラジへの負担がさらに増えてしまった。

今年はFAとなるDEジェンキンズが移籍確実と見られていたが、先日DEジョリーが再び逮捕されたため、再契約の可能性がわずかながら高くなった。順当ならばDEニールを先発に昇格させたいところだが、リハビリ途上なので計算どおりに行かないかもしれない。ドラフトでは遅くとも3巡か4巡までにDEを指名するのではないか。NTは控えにピケットとグリーンがいるので当面は不要だろう。

B.J.ラジ B.J. Raji | Nose Tackle | Boston College
6-2 (188cm) | 337lbs (153kg) | 3年目 24歳 | 2009年ドラフト1巡9位

1巡9位指名からのルーキーシーズンはケガで出遅れて物足りない内容だったが、先発NTに専念したプロ2年目に大きく飛躍し、リーグのトップNTの仲間入りを果たした。並外れた下半身のバネを武器に鋭いパスラッシュを見せ、6.5サックはNTとしては見事な数字。ニッケル隊形(2DL)でもサイドラインに下がらず、ディフェンス全体の85%のスナップに出場した(パッカーズのDT/NTとしては過去13年間で最多)。DL陣最多タックも記録し、ケガ人の多かったDLを彼のタフネスが支えた。

プロボウル補欠に選ばれたうえNFC決勝ではINTリターンTDを決めて人気者となったが、課題が残るのはラン守備の方。時おりポイントオブアタックでうまく料理されてしまう場面があり、ダブルチーム相手の踏ん張りでは前任者ピケットにまだ劣っている。チームのラン守備が前年より悪化したのはそれも一因かもしれない。酷使に耐えてシーズンを乗り切ったが、今年はもう少し休む時間を増やしてやりたいところだ。

カレン・ジェンキンズ Cullen Jenkins | Defensive End | Central Michigan
6-2 (188cm) | 305lbs (138kg) | 8年目 30歳 | 2004年ドラフト外

左手骨折のためシーズン前半はギプスを着けたままプレーし、治ったと思ったらふくらはぎのケガに苦しんで終盤4試合を欠場した。しかし元気で出ている間のプレー内容は素晴らしいもので、スピードとクイックネスでパスラッシュの主役の1人として活躍。DL陣最多(チーム2位)の7サックを挙げ、出場スナップあたりのサック数は過去5年のうち4年でDL陣最多を記録している。

チーム側が契約延長の動きをいっさい見せないまま、今春はいよいよFAとなる。ケガがちな30歳というのはトンプソンGMに嫌われるパターンだが、3-4でも4-3でも実績を残し、インサイドからのパスラッシュ能力はリーグ中から高く評価されている。ジョリーの二度目の逮捕で再契約の可能性が多少増したとはいえ、けっきょくは他球団からの高額オファーに対抗できない(するつもりはない)のではないか。

ライアン・ピケット Ryan Pickett | Defensive End | Ohio State
6-2 (188cm) | 340lbs (154kg) | 11年目 31歳 | 2006年FA(2001年STL1巡29位)

先発ノーズタックルの座をラジに譲り、ジョリーの欠けた先発左DEへ。派手さはないが相手ブロッキングの読みがよく、ボールのありかを見つけるのが素早い。出場スナップあたりのタックル数は2年連続DL陣最多かつ自己最高。昨年春に大型契約(記事へ)を与えてくれたチームの期待に応えた。パスラッシュ力はないのでニッケル隊形ではサイドラインに退く。今年も起用法は同じだろう。年齢のせいか、ややケガが増えてきたのは気になる。

ハワード・グリーン Howard Green | Defensive End/Nose Tackle |  Louisiana State
6-2 (188cm) | 340lbs (154kg) | 7年目 32歳 | 2010年FA(2002年HOU6巡)

9年間で10回の解雇を経験したジャーニーマンで、公称340ポンドだが実際は360ポンドあたり。375ポンドにふくれ上がったのがジェッツ解雇の理由らしい。先発両DEが負傷した10月末にFA加入し、いきなりの古巣NYJ戦で34スナップに出場してラン守備向上に貢献。シーズン終盤は彼がベース守備の右DEに入り、DEジェンキンズの負担を減らすことができた。彼とNTラジとDEピケットを並べる1030ポンド級の超重量級パッケージはケイパースDCのレパートリーの1つとなり、4-4-3隊形では右DTに入る。

基本的にはラン守備要員だが、スーパーボウルでFSコリンズのINTリターンTDを導いたブルラッシュは球団史上に残る好プレーとなった。体重問題を抱えるだけに、ロックアウトのせいでチームがオフシーズン練習を管理できないのが痛い。

C.J.ウィルソン C.J. Wilson | Defensive End | East Carolina
6-3 (191cm) | 285lbs (129kg) | 2年目 23歳 | 2010年ドラフト7巡

7巡指名ルーキーながらロースター入りを果たし、開幕戦を除く全試合に出場した。ケガ人続出でチャンスをつかみ、とくに先発両DEを欠いた第7週MIN戦では8タックルの活躍で勝利に貢献。DEジェンキンズがふくらはぎを痛めたシーズン終盤はニッケル隊形での出番が増え、シーズン全スナップの22.9%に出場した。同期のDEニールほどの身体能力はないが、精神的にしっかりしていて常に激しくプレーする。体ができてくれば大きく伸びる可能性もある。

ジャリアス・ウィン Jarius Wynn | Defensive End | Georgia
6-3 (191cm) | 285lbs (129kg) | 3年目 24歳 | 2009年ドラフト6巡

プロ1年目は光るものを見せたが、2年目シーズンは新人ウィルソンの後塵を拝した。開幕直前に解雇されたがハレルの戦線離脱ですぐに再契約。もっとも出番が多かったのが第7週MIN戦というところはウィルソンと同じだ。NFC決勝ではアクティブ登録から外れ、スーパーボウルでもプレー機会がなかった。DL陣では最も線が細く、今年はもう少しバルクアップしたい。今年も伸び悩みが続くようならば見切りをつけられてしまうだろう。

マイク・ニール  Mike Neal | Defensive End |  Purdue
6-3 (191cm) | 294lbs (143kg) | 2年目 23歳 | 2010年ドラフト2巡

2巡指名にふさわしいポテンシャルの高さを見せていたが、8月末に肩回旋腱板(rotator cuff)を損傷し、けっきょく10月末に手術を受けてシーズンを終えることになった。インサイドの新人選手にしては素晴らしい馬力があり、鋭くペネトレートするパスラッシュも魅力。順調ならば十分ジェンキンズの後釜が務まりそうな器だが、(たとえロックアウトがなかったとしても)春のOTAやミニキャンプを全休するクラスの手術なので、伸び悩みのシーズンとなる可能性もある。

ジャスティン・ハレル  Justin Harrell | Defensive End |  Tennessee
6-4 (193cm) | 315lbs (143kg) | 5年目 27歳 | 2007年ドラフト1巡16位

毎年腰のケガに苦しみ、今度こそトレーニングキャンプを乗り切ったと思ったら開幕戦の序盤でヒザの前十字靭帯を断裂してシーズンエンドとなった。元1巡16位指名入団ながら、4年間で出場わずか14試合・欠場50試合。たとえ元気な時でもさほど目立つ働きをするわけではなく、「控えならロースター入りできる」程度でしかない。トンプソンGMにとって6年間で最大のドラフト指名失敗。今度こそパッカーズでのキャリア終了ではないか。

2011年3月28日

シーズン総括と展望 G/C編

先発3人が全試合先発を果たし、安定したパスプロテクションでスーパーボウル制覇に貢献した。OL陣の許したプレッシャーが前年の1試合9.0回から6.9回へと改善されたのは、インサイド3人のコミュニケーションが向上したことも大きい。ランブロッキングでは相変わらずLGカレッジが足を引っ張っているが、右サイドでRGシットンとCウェルズのコンビがよく走路を切り開いている。

RGジョシュ・シットンは先発2年目でNFL屈指のガードという評価を固め、ケガさえなければ近いうちに初プロボウルに選出されるはず。Cウェルズも非常に頭のよいプレーぶりで、オフェンシブラインの要として重要な貢献をしている。この2人の先発の座は当分安泰だろう。

いっぽうOL陣最弱のLGダリン・カレッジはもう伸びシロもなく、FAとなる今年は再契約しないものと見られている。同期入団のC/Gジェイソン・スピッツも'09年の腰のケガ以来精彩を欠き、同じくFAとなって出ていくことになりそう。インサイド3ポジションをこなせる器用さがあるとはいえ、左ガードとして途中出場したゲームで不振のため下げられており、実質控えセンターだけの存在になっていた。彼ら2人が再契約するとしたら、よほど安いサラリーを受け入れた場合だけだろう。

というわけで、今年は先発左ガードと2番手センターが交代する年となりそうだ。現時点での有力LG候補はプロ3年目のT.J.ラングだが、ブライアン・ブラガや新人がスターターになる可能性もある。昨日書いたように、ガード専門の選手をドラフト指名するよりも、タックルを獲っておいて誰か1人を左ガードに回すのがパッカーズらしいやり方に見える。

スコット・ウェルズ Scott Wells | Center | Tennessee
6-2 (188cm) | 300lbs (136kg) | 8年目 30歳 | 2004年ドラフト7巡

ジェイソン・スピッツを完全に蹴落とし、不動の先発センターとしてキャリア最高のシーズンを過ごした。頭脳明晰で学習能力が高く、OL陣やQBとのコミュニケーションがしっかりしている。プレッシャーを許したのはプレーオフを含めて16回でOL陣最少。反則はわずか2回(過去5年間で12回)、ショットガンスナップのミスは1回もなかった。OL陣最年長とはいえまだ30歳で、このポジションの傾向からいって、当分は世代交代の必要はなさそう。

ジョシュ・シットン Josh Sitton | Right Guard | Central Florida
6-3 (191cm) | 318lbs (144kg) | 4年目 24歳 | 2008年ドラフト4巡

スターターとなって2年目、パッカーズ最強のOLとしての評価を確固たるものにした。プロボウル投票では知名度不足のせいで補欠に留まったものの、NFLのOB会"NFL Alumni Association"からオフェンシブラインマン・オブ・ザ・イヤーに選ばれた。ランブロッキングはパワフルかつ機動力も高く、パスプロテクションでもアサインメントが確かでミスが少ない。2年間で1スナップも休んでいない。すでにエリート級のガードであり、いずれプロボウルの常連になるものと期待されている。

プロ4年目の今年は契約最終年なので、早めの契約延長がチームの重要課題となるだろう。TEフィンリーも同様だが、順調ならばシーズン終了までに契約がまとまるはず。

ダリン・カレッジ Daryn Colledge | Left Guard | Boise State
6-4 (193cm) | 308lbs (140kg) | 6年目 29歳 | 2006年ドラフト2巡

相変わらず頼りないプレー内容で、先発OL5人の中では明らかに最低の選手。プロ5年間で一度も欠場しないタフさはあるが、ブロッキングではタフさには欠ける。大スランプだった'09年(プレッシャー40.5回)からは立ち直り(23.5回)、スピードラッシュには対応できるものの、ブルラッシュやスタントのピックアップがよくない。"Bad Run"(ショートヤーデージ状況を除く1yds以下のラン)の原因を作ったのも2年連続チーム最多の25回。

もう年齢的に伸びシロがないため、契約最終年にもかかわらず契約延長交渉はまったく行われず。労使交渉がまとまりしだいFA市場に出ていくが、よほどの妥協がなければ再契約はないだろう。緊急時に代役LTが務まらないことも'09年に自分で証明してしまっている。

ジェイソン・スピッツ Jason Spitz | Center/Guard |  Louisville
6-3 (191cm) | 305lbs (138kg) | 6年目 28歳 | 2006年ドラフト3巡

プロ1年目から先発ガードを務め、'09年にいったんはウェルズから先発センターの座を奪った。しかし腰のケガの間にウェルズが大活躍してしまい、'10年に入ってもスターターの座は遠ざかるばかり。LGカレッジが途中退場した第14週DET戦で代役LGに入ったものの、プレー内容が酷かったためにT.J.ラングと再交代させられ、その後は控えセンターだけの存在となってしまった。不振はふくらはぎの問題もあったらしい。

LGカレッジ同様に今年はFAとなるが、いまのところ再契約はないものと見られている。ただ、下記の控えセンター候補たちが頼りなければ、安価に再契約する可能性はある。

ニック・マクドナルド Nick McDonald | Guard/Center | Grand Valley State
6-4 (193cm) | 316lbs (143kg) | 2年目 23歳 | 2010年ドラフト外

ディビジョンIIの無名校からドラフト外入団。キャンプ後半に多少評価を上げたとはいえ、開幕ロースター入りは昨夏最大のサプライズだった。大学では左タックルだったが、プロ入り後はガードとセンターの修業。けっきょくプレーオフを含めて20試合すべてインアクティブだった。「シーズン終盤に復帰できそうな選手をあっさりインジャリーリザーブに入れてG/Cマクドナルドを残すのか」といった批判も少なくなかったが、コーチ陣はポテンシャルをよほど買っているのだろう。今年は左ガード争いと控えセンター争いのどちらをメインにするのか、まだはっきりしない。

イヴァン・ディートリック=スミス Evan Dietrich-Smith | Guard/Center | Idaho State
6-2 (188cm) | 308lbs (140kg) | 3年目 24歳 | 2009年ドラフト外

こちらもディビジョンI-AAのマイナー校出身。'09年にドラフト外入団からロースター入りを果たし、スピッツの戦線離脱で2番手センターを務めた。しかし昨年夏は期待されたほどの成長がなかったのか、新人のニック・マクドナルドに敗れて開幕前に解雇。ウェイバーで拾われたシアトルでも出場機会がないまま解雇され、12月末になってパッカーズと再契約した。今年は控えセンター争いか。

マーシャル・ニューハウス Marshall Newhouse | Guard/Tackle |  Texas Christian
6-4 (193cm) | 319lbs (145kg) | 2年目 22歳 | 2010年ドラフト5巡

テキサス・クリスチャン大からドラフト5巡指名で入団。キャンプ前半は左ガードをプレーしたが、その後は大学時代と同じ左タックルに戻り、プレシーズン後半は3番手・4番手LTとして良い働きを見せた。15試合すべてインアクティブとなったあと、12月末に背中を負傷してインジャリーリザーブへ。横方向のフットワークは良いがまだ線が細く、左ガード争いに加わるにはかなりの馬力向上が必要だろう。

2011年3月27日

シーズン総括と展望 OT編

パスプロテクション崩壊の2009年シーズンから立ち直り、安定したプロテクションで優勝に貢献した。ブライアン・ブラガをドラフト1巡指名したおかげでRTマーク・タウシャー(肩)の戦線離脱に難なく対応でき、序盤に不振だったLTチャド・クリフトンもやがて調子を上げ、2回目のプロボウル選出を果たした。

OL陣が許したプレッシャーは'09年は1試合平均9.0回、'10年は6.9回と大幅に改善された。新人ブラガは不慣れな右タックルだったため、時おりぎごちない動きもある。しかしやられるときでも'09年のRTアレン・バーバーのように一瞬で抜かれるのではなく、なんとか外に押し出すことでQBロジャースにスクランブルのチャンスを作ることができた。

昨年春に3年契約を結んだLTクリフトンはプレーオフでの働きも非常によく、34歳となった今年も先発LTとして開幕を迎える見込み。急激な衰えがあればブラガが予定どおり後継者となるだろう。いっぽう右タックルではタウシャー不在中にブラガが先発の座を固めてしまい、33歳のタウシャーの立場は非常に厳しい。2年契約の2年目を迎える今年はサラリーが$4.1ミリオンとなり、減俸を受け入れなければ解雇となるかもしれない。

昨年のブラガ1巡指名である程度見通しの立った「両OT世代交代作戦」だが、ポジションの重要さを考えれば、今年もドラフト上位指名があってもおかしくない。昨年肩のケガで伸び悩んだT.J.ラングが成長し、将来はLTブラガ&RTラングという組み合わせが可能なのかもしれないが、ラングはLGダリン・カレッジ(FA移籍の見込み)の抜ける左ガードで先発を争うかもしれない。

LGカレッジの単純な後釜としてガードをドラフト指名する予想もあるが、ブラガやラングの器用さを考えれば、タックルを指名しておいて誰か1人をガードに回す方針の方がよいのではないか。トンプソンGMは2005年の就任以来、大学でガード専任だった選手を指名したことは一度しかない('06年のジェイソン・スピッツ)。ブラガは昨年プレシーズンでLGとしてダリン・カレッジを上回るポテンシャルを見せており、T.J.ラングもカレッジの負傷退場時に無難に代役をこなしている。

チャド・クリフトン Chad Clifton | Left Tackle | Tennessee
6-5 (195cm) | 320lbs (145kg) | 12年目 34歳 | 2000年ドラフト2巡

大学ではペイトン・マニング、NFLではファーヴとロジャースの背後を守り続ける一流左タックル。シーズン序盤は持病のヒザのせいで絶不調、ついに世代交代かと思われたが、復調して全試合出場を果たし、2回目のプロボウル選出となった。最後の6連勝の間も、ユメニオーラ(NYG)、ペッパーズ(CHI・2戦)、トレント・コール(PHI)、ジョン・エイブラハム(ATL)、ジェームズ・ハリソン(PIT)といった名だたるパスラッシャー相手に見事な働き。プレーオフ4戦で1サック(エイブラハム)しか許さず、スーパーボウル制覇の陰の立役者となった。

ランブロッキングでは相変わらず頼りにならない。それでもプレーオフでこれだけパスプロが良ければ、まだ今年のキャンプでは世代交代させるわけにはいかず、来季の働きを見てからだろう。今年は3年契約の2年目。ブラガに先発LTの座を奪われないよう必死で頑張ってくれるのはよいことだ。

ブライアン・ブラガ Bryan Bulaga | Right Tackle | Iowa 
6-5 (196cm) | 314lbs (142kg) | 2年目 22歳 | 2010年ドラフト1巡

クリフトンの後継候補として1巡23位指名で入団。最初は左タックルオンリー、キャンプ途中から左ガードを兼任してLGカレッジを上回るパフォーマンスも見せた。股関節を痛めたためにけっきょく控えLT/LGとして開幕を迎えたが、10月初めにRTタウシャーが戦線離脱すると代役右タックルに。プロの長いシーズンで終盤はガス欠気味だったが、プレーオフに入ると被サックも反則も激減し、スーパーボウル制覇に貢献することができた。経験不足だった右サイドにも次第に慣れ、考えずに体が動くようになってきたようだ。

上記のような都合により、将来のポジションがどうなるかはまだわからない。先発右タックルのまま開幕を迎える可能性が最も高いが、クリフトンの衰え次第では左タックルに落ち着くかもしれず、「タウシャーまたはラングまたは新人」が先発RTとなってブラガが左ガードに回る可能性もなくはない。

マーク・タウシャー Mark Tauscher | Right Tackle | Wisconsin
6-3 (191cm) | 316lbs (143kg) | 12年目 33歳 | 2000年ドラフト7巡

同期クリフトンとともに2000年から先発RTを務めてきたが、このところ大きなケガに苦しみ、いよいよキャリアの終わりが近づいてきたかもしれない。2008年末には前十字靭帯断裂、そして昨年10月には肩を負傷し、5試合欠場した後にけっきょく手術を受けてシーズンエンドとなった。元気でさえあればあと1年か2年スターターを務めることはできそうだが、もう一流RTとしての力はなく、ブラガから先発の座を奪い返すのは難しそうだ。

昨年春に2年契約を結んだのでまだ契約が残っているが、今年はベースサラリーが$4.1ミリオンとなるので、控え選手としては高額すぎる。「近くトンプソンGMとともに代理人と話し合う必要がある」とマッカーシーHCが2月末に語ったのは、もうタウシャーをスターターと考えていない証拠ではないか。控えクラスへの減俸を受け入れれば残留(故郷ウィスコンシンを離れずにキャリアを終えることもできる)、拒否すればキャンプでの新人・若手のプレーを見極めた上で解雇となるかもしれない。

T.J.ラング T.J. Lang | Tackle/Guard | Eastern Michigan
6-4 (193cm) | 318lbs (144kg) | 3年目 23歳 | 2009年ドラフト4巡

ルーキーだった'09年シーズンは左右両タックルの代役としてパスプロテクション復調に貢献。期待された2年目シーズンだったが、オフシーズンの手首の手術でトレーニング不足となり、大いに伸び悩んだ。キャンプでは右タックル争いに加わることさえできず、シーズンでは左ガードと左タックルの代役を数シリーズ務めただけに終わった。DL不足の時期にはゴールラインディフェンスなどでエクストラDLとして出場したことも。

彼のベストなポジションがガードなのか右タックルなのか依然としてはっきりせず、コーチ陣でも意見が分かれるらしい。マッカーシーHCは先日、「彼は左右ガードが向いていると私はずっと思ってきたが、アウトサイド(つまりOT)も非常に自然にこなしている。器用貧乏な選手にしてしまってはいけないので、我々が最適な場所を見つけなければ」と語っている。今年はLGカレッジの後継候補と見られているが、このヘッドコーチのコメントからすると、右タックルを争う可能性もありそうだ。

2011年3月26日

DEジョリーがまたもや逮捕

無期限出場停止中のDEジョニー・ジョリーが、故郷ヒューストンでまたもや薬物の大量所持で逮捕された。これでNFL復帰が絶望的となったどころか、今度は長期の実刑を科せられる可能性も大きい。彼は金曜午前0時45分に交通違反で車を停められ、免停中と判明。警官がキャデラック・エスカレードの車内を調べたところ、600グラムの鎮痛剤コデインと別の薬物(詳細不明)も発見され、販売目的薬物所持の重罪容疑で逮捕となった。

コデイン・シロップを主成分とした"Purple Drank"といわれるドリンクは南部で蔓延し、DEジョリーが2008年にコデイン200グラム所持で逮捕されたのも、その製造販売目的と疑われていた。彼は2年以上裁判を引き延ばして粘ったうえで昨年8月に司法取引に応じ(記事へ)、なんとか実刑は逃れていた。その直前にNFLからは無期限の出場停止処分を受け(記事へ)、シーズンが終わったところで復帰願いを提出(記事へ)。復帰すればパッカーズ側は受け入れる意向だったが、それもすべて吹っ飛んでしまったのは間違いない。

本人はすでに保釈金を収めて釈放されており、最初の出廷は月曜朝9時の予定。今後の司法手続きの成り行きはよくわからないが、「昨年8月の司法取引の条件からして、公判抜きでただちに量刑判断の手続きに入るのではないか」と見通しを語る地元記者もいる。有罪ならば最長禁固20年とのことで、たとえその半分以下だったとしても、これはもうNFL復帰どころではなさそうだ。

追記: 「釈放された」というのは誤報と判明。判事に保釈を拒否され、現地29日時点でも拘留中となっている。

補償ドラフト指名権として4巡を獲得

前年にFA流出のあったチームにNFLから配布される補償ドラフト指名権(Compensatory Pick: 用語集へ)として、今年のパッカーズには4巡指名権1つが与えられた(32指名権のリスト)。これは昨年DEアーロン・キャンプマンがFA流出したことによるもので、指名順位は流出選手の契約の大きさや活躍の度合いによって決められる。キャンプマンはシーズン半ばで(再び)前十字靭帯を断裂して8試合出場に留まったが、フル出場できていればパッカーズは3巡をもらえたはず。

これでパッカーズの今年のドラフト指名権は以下の9つになったものと思われる。

 1巡32位
 2巡32位 (全体64位)
 3巡32位 (全体96位)
 4巡32位 (全体129位)
 4巡34位 (全体131位) ← Compensatory Pick
 5巡32位 (全体163位)
 6巡32位 (全体197位)
 7巡01位 (全体204位) ← トレードで獲得
 7巡30位 (全体233位) ← トレードで失ったかもしれない

7巡1位指名権は、一昨年春にロングスナッパーのJ.J.ジャンセンをパンサーズにトレードして受け取ったもの。7巡29位指名権は昨年10月にジャガーズからFSアンソニー・スミスをトレード獲得する際に条件付きで譲渡したが、FSスミスは出場わずか4試合に終わったので、条件をクリアしなかったかもしれない。地元紙もまだ確認が取れていないようだ。

2011年3月24日

今年のルール改正

ニューオーリンズで開催されたオーナー会議において、今年のルール改正が以下のとおり決定した。

2011年3月23日

Notebook: 広報部長が辞任

今週はニューオーリンズで年次オーナー会議が開催され、ヘッドコーチやGMもそれぞれの会議に出席するため現地に集結している。

2011年3月21日

シーズン総括と展望 TE編

他のポジションは代役スターターたちが大きな結果を残したが、このタイトエンド陣に限ってはジャーマイケル・フィンリーの戦線離脱後は誰も穴を埋めることができなかった。元スターターのドナルド・リーはシーズン途中で新人アンドリュー・クウォレスに先発の座を奪われ、出番は減る一方だった。とはいえ新人TEにいきなりの活躍を求めるのが無理な話で、ユニット全体の将来性についてはさほど心配はない。30歳のドナルド・リーを先日解雇したのも、若手への期待の大きさの表れだろう。

今年は大エースのフィンリーが復帰し、2年目のクウォレスとクラブトリーの成長も期待できるので、補強不要のオフシーズンと言っていいかもしれない。ドラフト下位でよほど魅力的な素材がいれば指名も、といったところ。

アンドリュー・クウォレス Andrew Quarless | Tight End | Penn State
6-4 (193cm) | 252lbs (114kg) | 2年目 22歳 | 2010年ドラフト5巡

サイズとスピードに恵まれ、フィンリーによく似たタイプのレシービングタイトエンド。4番手として開幕を迎え、少しずつ勉強していくはずのルーキーシーズンだったが、フィンリーの戦線離脱で実質エースTE役を担うことに。しかし21回238yds・1TDの成績に終わり、パスオフェンスを助けることはあまりできなかった。なかでもチーム最悪の落球率14.3%とパスキャッチが不安定。アサインメントミスはシーズンが進むにつれ減り、ブロッキングもそれなりのレベルになってきた。

オフシーズンからしっかり鍛えたいプロ2年目だが、ロックアウトでコーチの目の届かないのが残念なところ。練習熱心さなど、プロ入り前に指摘されたメンタル面の懸念を払拭したわけではまだない。彼が一人前に成長すれば、マッカーシーHCの好む複数TE隊形から攻める選択肢が増え、オフェンスの幅が広がるはず。

トム・クラブトリー Tom Crabtree | Tight End | Miami (Ohio)
6-4 (193cm) | 245lbs (111kg) | 2年目 25歳 | 2010年FA

'09年にチーフスにドラフト外入団し、シーズン途中でパッカーズのプラクティス・スクワッドに加わった。昨夏は強力なブロッキング能力が認められ、ヘイヴナーを退けて開幕ロースター入りを果たし、全試合に出場。スペシャルチームではチーム2位タイの12タックルを決めている。スピードはフィンリーやクウォレスに遠く及ばないが、パスキャッチは決して悪くなく、スーパーボウル最後のシリーズでは1ydsのダイビングキャッチで貴重な40秒を稼いだ。

フィンリーが戻ってくる今年はロースター残留も確実ではなく、今オフの成長が重要になる。ヘイヴナーや新人との3番手争いになりそう。

ドナルド・リー Donald Lee | Tight End | Mississippi State
6-4 (193cm) | 248lbs (112kg) | 9年目 30歳 | 2005年FA(MIAで2003年5巡)

'07年にはエースTEとして575yds・6TDを記録したが、'09年には先発の座を失い、'10年はTEフィンリー離脱後も復活どころかさらに出番が減った。出場スナップでもクラブトリーを下回り、プレーオフではけっきょくパスキャッチゼロ。まだ30歳なのにかつてのスピードはなく、ブロッキングTEとしてならクラブトリーの方が将来性がある。5年契約の最終年となるはずだったが、3月初めに解雇されている。(解雇記事

ジャーマイケル・フィンリー Jermichael Finley | Tight End | Texas
6-5 (195cm) | 247lbs (112kg) | 4年目 23歳 | 2008年ドラフト3巡

シーズン序盤は4試合で21回301ydsを挙げ、実質エースレシーバーの活躍だった。ところが第5週WAS戦、TEリーがファンブルロストした後でタックルしようとしてヒザの半月板を損傷、即インジャリーリザーブ入りとなってしまった。半月板の完全切除ならば数週で復帰も可能だったが、修復(ヒザの将来のためには良い)が可能な状態だったため、予後の長い修復手術を選択することに。その後もひどい感染症のため再手術を受けるなど大変だったらしいが、今はリハビリの最終段階にいるはず。

スペンサー・ヘイヴナー  Spencer Havner | Tight End | UCLA
6-3 (191cm) | 250lbs (113kg) | 2年目 28歳 | 2007年ドラフト外

ストロングサイドLBとして2年間で4試合に出場したあと、'09年にTEにコンバートされていきなり4TDの活躍。しかしTE2年目の'10年はオフシーズンに飲酒バイク自損事故を起こし、トレーニングキャンプでもクラブトリーに競り負けて解雇された。ウェイバーでライオンズに拾われたが、ハムストリングを負傷してけっきょく退団となり、11月半ばにパッカーズに戻ってきた。しかし数週後に再びハムストリングを負傷してインジャリーリザーブへ。現状では4番手にすぎず、今夏は再びクラブトリーや新人たちとの争いが待っている。

2011年3月20日

Mock Draft集 ver.1

毎年恒例モックドラフト集の第1回。例年ならばFA前のドラフト指名予想などあまり意味がなかったが、今年はFA市場が開く前にドラフトを迎える可能性が高くなりつつあり、そうなったら各球団のニーズが変わらないままドラフト本番となる。

長い間こうした企画を見てきてわかったのは、たとえ専門誌の記者やコラムニストであっても、全32球団の各ポジションの状況をすべて理解してニーズを把握するのはけっきょく無理ということ。われわれ素人から見てもおかしいと思われることは多々あり、「プロがそんなことも知らんのか」と驚いてしまうが、無理なものは無理なのだと諦めるしかない。(地元紙記者なら特定チームの事情には詳しいが、そのぶん他球団に疎くなる)

そうした多少冷ややかな目で眺めてみると、今年はDEジェンキンズのFA移籍を見込んだDE指名予想が非常に多いが、DEマイク・ニールの存在やDEジョニー・ジョリーの復帰の可能性がどれだけ理解されているかは疑問が残る。いっぽう右OLBがディフェンスの弱点であることや、全体に穴が少なく"Best Player Available"の方針を実行しやすい状況であることは見方が一致している。オフェンス選手が少ないのが意外だが、有力OLが1巡下位まで残ってもパッカーズの目の前でCHIやPITに指名されてしまうという展開予想のためか。

2011 NFL Mock Draft Links ver.1
メディア / 担当者 rd Player Pos. College
NFL.com / Pat Kirwan 1巡 Adrian Clayborn DE Iowa
 NFL.com / Pat Kirwan 2巡 Brooks Reed OLB Arizona
NFL.com / Bucky Brooks 1巡 Martez Wilson LB Illinois
NFL.com / Steve Wyche 1巡 Cameron Heyward DE Ohio State
ESPN / Todd McShay 1巡 Brooks Reed OLB Arizona
 ESPN / Todd McShay 2巡 Allen Bailey DE Miami
ESPN / Mel Kiper 1巡 Brooks Reed OLB Arizona
SportingNews / The War Room 1巡 Muhammad Wilkerson DE Temple
CBS Sportsline / Rob Rang 1巡 Martez Wilson LB Illinois
CBS Sportsline / Chad Reuter 1巡 Brooks Reed OLB Arizona
 CBS Sportsline / Chad Reuter 2巡 Kenrick Ellis DT Hampton
FOX Sports / Peter Schrager 1巡 Danny Watkins G/T Baylor
 FOX Sports / Peter Schrager 2巡 Dontay Moch OLB Nevada
Sports Illustrated / Don Banks 1巡 Muhammad Wilkerson DE Temple
Pro Football Weekly / Nolan Nawrocki  1巡 Justin Houston OLB Georgia
National Football Post / Wes Bunting 1巡 Benjamin Ijalana OT Villanova
Yahoo! Sports / Doug Farrar 1巡 Cameron Heyward DE Ohio State
Scout.com / John Crist 1巡 Torrey Smith WR Maryland
KFFL / Cory J. Bonini 1巡 Aaron Williams CB Texas
NFL Draft Countdown 1巡 Aaron Williams CB Texas
Great Blue North 1巡 Cameron Heyward DE Ohio State

2011年3月19日

シーズン総括と展望 WR編

シーズン序盤はTEフィンリーに押されて地味な働きだったが、TEフィンリー戦線離脱後はとくにグレッグ・ジェニングスが素晴らしい働きを見せ、パスオフェンス復調に大いに貢献した。スーパーボウルでのピンポイントなパス成功の数々は、長くファンの記憶に残ることになるだろう。

ジェニングスが初プロボウルに選ばれたいっぽう、大ベテランのドナルド・ドライバーはケガもあってチーム4位の51回565ydsにとどまった。ジェームズ・ジョーンズは右サイドでディープスレットとして起用される機会が増えてキャリアベストの679ydsを記録したものの、手痛い落球など不安定なプレー内容。プレーオフではジョーディ・ネルソンに活躍の場を奪われ、ネルソンの約半分の数字しか残せなかった。

この3年間はトップ4人を固定することができたが、どうやら今年は変化の年になりそうだ。ジョーンズは無制限FAとなり、ここまでの流れからすると再契約はなさそう。とすると、ケガの増えてきたドライバーに代わって、ついにネルソンが先発に昇格するのではないか。ただTEフィンリーが復帰してきたらボールがどれだけ回ってくるかはわからないが。

ジョーンズ退団、ネルソンが契約最終年、ドライバーの衰え(もうしばらく持ちこたえたとしても)、それに育成に時間のかかるポジションということを考えれば、今年はドラフト指名があるはず。これまでトンプソンGMはかなりWR重視のドラフト指名を繰り返しており(在籍6年間で2巡3人・3巡1人)、今年は思い切った上位指名があってもおかしくない。できればリターナー能力のある選手が望ましい。

グレッグ・ジェニングス Greg Jennings | Wide Receiver | Western Michigan
5-11 (180cm) | 198lbs (90kg) | 6年目 27歳 | 2006年ドラフト2巡

エースWRとなって3年目、1265yds・12TDの大活躍でついに初プロボウルに選ばれた。TEフィンリーが健在だった第5週まではわずか14回183ydsだったが、第6週以降は62回1082ydsと躍進し、QBロジャースとのホットラインがオフェンスの中心となった。試合序盤に集中力を欠く悪い癖も改善され、落球率はWR陣で最も低い3.77%(キャリアベスト)。TEフィンリーの存在やチームオフェンスの傾向を考えると、1400や1500といったオールプロ級の数字を残すことは考えにくいが、あとは今のような質の高いプレーを続けてさえくれればいい。

故郷のミシガン州カラマズー市ではデレク・ジーター(MLBヤンキース)と並ぶ地元の英雄。同市はこの3月14日を「グレッグ・ジェニングスの日」と宣言してスーパーボウルを祝っている(現地記事と写真)。ジェニングスはこの街にあるウェスタン・ミシガン大で学び、妻もこの街の出身で、両親もまだこの街に住み、頻繁に里帰りして地元の慈善活動に力を入れている。全国的知名度ではジーターに遠く及ばないにしても、地元密着度を考えれば、愛され方ではジェニングスが追いつきつつある、というコラムも。

ドナルド・ドライバー Donald Driver | Wide Receiver | Alcorn State
6-0 (183cm) | 194lbs (88kg) | 13年目 36歳 | 1999年ドラフト7巡

6年連続1000ydsレセプションを続けてきた人気者も'10年は太もものケガに悩まされ、先発昇格以来最低の51回565yds。スーパーボウルも途中退場するなど個人成績では失望のシーズンだったが、キャリア12年目でついにトロフィーを手に入れた喜びは想像するに余りある。落球率は、キャリア最悪だった前年の9.4%から6.9%へと回復した。最大のハイライトは第13週49ers戦、次々とタックルを破った61ydsタッチダウン(ビデオ)。

ケガさえなければまだやれるのか、それともついに急速な衰えが始まったのか、来季が来てみなければわからないが、チームとしては世代交代の準備を進めるべきだろう。今年は3年契約の2年目。'10年のようなシーズンが続くようなら、来春のロースターボーナス発生($2.2ミリオン)の前に球団は決断を迫られることになる。

ジェームズ・ジョーンズ  James Jones | Wide Receiver | San Jose State
6-1 (185cm) | 208lbs (94kg) | 5年目 26歳 | 2007年ドラフト3巡

これまでどおりネルソンと3番手WRの座を分け合い、キャリア最高の50回679yds・5TD。ドライバーがケガで苦しんだこともあって、恵まれたガタイを活かして彼が右サイドのディープを攻める役割が増えた。プレーの精度は向上し、素晴らしいプレーも数多くあったものの、試合ごとの波が大きい。第3週CHI戦では最後のドライブでファンブルロスト(ビデオ)を犯して敗因となり、プレーオフでも完璧なロングパスを落球する場面が何度もあった。

今後長くスターターの座を任せられる器かというと不安は大きく、契約最終年にもかかわらず球団側は契約延長交渉の動きがまったくなかった。本人は先発できるチームを望んでいるが、今年はFA市場に有力WRが何人も出てくるので難しいかもしない。思うようなオファーが来なければ、パッカーズと再契約する可能性が出てくる。

ジョーディ・ネルソン Jordy Nelson | Wide Receiver | Kansas State
6-3 (191cm) | 217lbs (98kg) | 4年目 25歳 | 2008年ドラフト2巡

キャリアベストの45回582ydsにくわえ、プレーオフ4戦で21回286yds・2TDと実質2番手WRの活躍。スーパーボウルでは落球するたびにすぐ挽回し、9回140ydsの大活躍で勝利に貢献した。多くの面で順調に進歩し、ランブロッキングもWR陣では一番。ただ、ルーキーイヤーにわずか1回しか落球しなかったのが、この2年は10%前後ととやや落球が目立っている。キックオフリターンはシーズン序盤こそ好調だったが、第4週DET戦で2回もファンブルロストする大失態。その後も機会はもらったが精彩を欠いた。

今年は大ベテランのドライバーから先発の座を完全に奪わなければならない。それができればシーズン中にも契約延長、できなければ来春FAとなって出ていく可能性もある。

ブレット・スウェイン Brett Swain | Wide Receiver | San Diego State
6-0 (183cm) | 203lbs (92kg) | 3年目 25歳 | 2008年ドラフト7巡

7巡指名から2年目の'09年に初ロースター入り、シーズン半ばにACL断裂の大ケガを負ったが、昨年は復活に成功して全試合出場を果たした。スペシャルチームでは中核選手の1人として頑張っている。WRとしての出番は5WR隊形かケガ人が出たときだけで、上位4人との実力差は大きい(プレーオフ4戦でわずか1回6yds)。スピードもサイズもそこそこで、ここからのし上がるにはルート取りなどプレーの精度を上げていかなければならない。今年はルーキーとのロースター争いか。

2011年3月17日

今年のルール改正案

NFL競技委員会(competition committee)は今年のルール改正案をまとめ、来週のオーナー会議において勧告を行うことになった。32球団中24球団の賛成があれば可決される。ベテランHCやGMで作る同委員会の権威は大きいが、オーナー会議で否決されることはけっして珍しくない。改正案の内容はおおよそ以下のとおり。

  1. キックオフ位置を30ydsラインから35ydsラインへと前進させ、そのかわりタッチバック後の攻撃開始地点を25ydsラインとする。キックオフチームの選手は30ydsラインより後からスタートすることはできない(助走距離が5yds未満へと短縮)。リターンチームのウェッジ・ブロック(現在は2人までならOK)もすべて禁止とする。
  2. 悪質なヒットを繰り返す選手に対し、出場停止を含めて処分をより厳しくする。昨年10月ごろから常習者への罰金の高額化を進めたが、出場停止処分については脅し止まりで、まだ実際に出場停止となった選手はいない。OLBジェームズ・ハリソン(PIT)のような反省の色の見られない選手への抑止力とするための措置なのは言うまでもない。
  3. インスタント・リプレーのチャレンジ権限を変更。これまでは前後半2ミニッツのリプレー・チャレンジだけはオフィシャルが行っていたが、それに加えて新たに、得点プレー(TD、FG、エクストラポイント、セーフティ)もすべてオフィシャルの権限とする。そのかわり、これまで「2回チャレンジ成功すれば3回目のチャレンジ可能」だったのを、「いくら成功してもチャレンジは2回まで」と変更する。
  4. 開幕戦DET@CHIではWRカルヴィン・ジョンソンのTDパスキャッチ不成立(ビデオ)が大きな話題となったが、そのパスキャッチ判定基準は変更しない。たとえボールを確保して両足が残っても、その後の倒れ込む過程でボールをこぼしたら不成立となる。
  5. プレーオフのシード順決定法は現状のまま据え置き。

1番のキックオフ位置/タッチバック位置の変更は選手の安全を向上させるためのもの。キックオフリターンはとくにケガの多いプレーだからだ。リッチ・マッケイ委員長(ファルコンズ社長)は、「キックオフ後の平均オフェンス開始地点は27.6か27.7yds地点だから、(新ルール下で)タッチバックを多く蹴っても大きなプラスにはならないだろう。最大の眼目はフィールドを短くしてしまうこと。(激突までの助走距離を短くすることで)ケガを減らし、それでいてオフェンス開始地点が変わらないことを我々は望んでいる」と語っている。

キックオフ位置のルール改正が正式決定された場合、最もトクをするのはパッカーズかもしれない。WRデヴィン・ヘスターやWRパーシー・ハーヴィンといった有力リターナーを地区内に抱えて「40ydsまでリターンされなければ御の字」であるうえ、こちらのキックオフリターナーはヘナチョコだからだ。当然ベアーズのようにスペシャルチームの優れたチームからは反発が予想される。タッチバックが増えればより安全に、そしてより退屈になるのはたしか。

2番は昨年途中に強化した罰則を明文化しただけ。違反回数は1年単位でリセットされるのではなく、過去2年を対象とするようだ。

3番の、得点プレーのチャレンジをすべてオフィシャル権限とするのは、ヘッドコーチの責任を軽減し、誤審の多いゲームでチャレンジ権を使い切ってしまう不公平をなくすため。

4番のパスキャッチ基準は大きな批判を受けて今年は変更されるかと期待されていただけに、変更なしとの決定に失望の声が上がっている。「たとえば両腕を前に伸ばしてエンドゾーンに突っ込むような場合、エンドゾーンに(ボールの先が)入ったあとでボールをこぼしてもタッチダウンが認められるのに、なぜパスキャッチだとダメなのか。もっと単純にできるものをなぜしないのか」といった批判だ。

2011年3月16日

シーズン総括と展望 FB編

フルバックをロースターに置かないチームさえあるご時世に、2年連続のFB3人体制でシーズン開幕。おかげで、RBグラント戦線離脱後にジョン・クーンがボールキャリアーに回っても、とくに補強なくシーズンを戦うことができた。クーンはショートヤーデージを中心に84回281ydsラッシング、ラン・パス合計6TDの活躍。クーンの前にフルバックを2人並べる、時代錯誤的な超ヘビーパッケージも注目を集めた。

いっぽう、コーリー・ホールは今季もまたケガで6試合(うちプレーオフ2試合)を欠場し、得意のスペシャルチーム以外では存在感の薄いシーズンだった。プロ2年目のクイン・ジョンソンも期待されたほどの成長はなく、ルーキーシーズンで見せた欠点があまり改善されていない。

今オフはクーンとホールの2人が無制限FAとなるが、ジョンソンが伸び悩んでいるだけに、どちらかはキープしたいところ。スペシャルチームでの貢献が大きいホールだが、毎年ケガが多いので、やはり再契約を見送るとしたら彼だろう。FA市場で買い手がつかなければ安い金額で再契約し、キャンプでロースター争いさせる手もある。

ジョン・クーン  John Kuhn | Fullback | Shippensburg
6-0 (183cm) | 250lbs (113kg) | 6年目 28歳 | 2007年ウェイバー (PITで2005年ドラフト外)

RBグラントの大ケガでショートヤーデージのボールキャリアーとなり、ラン84回281yds・4TD、レシービング15回97yds・2TDの活躍。昨季までは年間キャリー8回が最多だったが、いまや彼がボールを持つたびにスタンドから"Kuhhhhhhhn!"の合唱が起きるほどのカルトヒーローに。ただシーズン後半は相手に読まれてシャットアウトされるゲームも増え、RBスタークスの台頭したプレーオフではキャリー合計6回8yds。スーパーボウルではボールに触れる機会が一度もなかった。

今年はフリーエージェントとなるが、FA市場でどのように評価されるのかよくわからない。おそらく本人にとってもパッカーズに残る方が能力を活かせるはずで、比較的容易に再契約できるのではないかと見られている。

コーリー・ホール  Korey Hall | Fullback | Boise State
6-0 (183cm) | 236lbs (107kg) | 5年目 27歳 | 2007年ドラフト6巡

ボイジ州立大ではスター級のミドルLBとしてカンファレンスのディフェンスMVPにも選ばれたが、入団と同時にフルバックに転向。スペシャルチームでは中核選手の1人として活躍を続けてきた。ランブロッキングは少しずつ向上してきたが、パスキャッチはキャリア最少の1回9ydsにとどまった。小兵のせいかケガが多く、毎年4試合か5試合欠場してしまう点も気になる。今年は上記クーンとともにフリーエージェントとなるが、スペシャルチーム能力を買ってそれなりのオファーが来る可能性はある。安上がりで済むならば再契約も。

クイン・ジョンソン  Quinn Johnson | Fullback | Louisiana State
6-1 (185cm) | 263lbs (119kg) | 3年目 24歳 | 2009年ドラフト5巡

ルイジアナ州立大ではQBマット・フリンの1年後輩。ガタイを活かしたパワフルなランブロッキングは魅力だが、動くターゲットへのアジャストが拙く、まだまだ粗削り。パスプロでは何度も大きなミスを犯してQBロジャースから叱責され、パスキャッチもミスが多い。プレーオフ初戦のイーグルス戦ではよく頑張ったものの、スーパーボウルでアクティブ登録から漏れたのは、スペシャルチームで頼りにならないためだ。

プロ3年目の今年はそろそろ正念場。伸び悩みは技術よりハート(献身的努力が足りない)の問題、と見る向きもある。上記2人の再契約しだいではあるが、トレーニングキャンプで進歩が見られなければ見切られてしまう可能性も十分ある。

2011年3月14日

ロックアウト下のパッカーズ

「パッカーズはラッキーだ」と語るのはジェイソン・ウィード副社長兼法律顧問。「(たとえばカウボーイズのように)スタジアム建設費の借金返済という問題がない。おかげで厳しいときにもやりくりしていける余地がある。ただ同時に、我々は責任ある球団運営のために多少の犠牲を払わなければならない。最悪の事態にも備え、職員をレイオフせずに済む態勢を整えたい。そのためには球団側が犠牲を払う必要がある」

ロックアウトに伴う犠牲の一部として、トンプソンGMやマッカーシーHCを含めた上級管理職に対し、「かなりの」サラリーカットを行うことをウィード副社長は明らかにした。ただし、減俸措置はまだ始めておらず、いつ始めるかも決まっていない。また、それ以外の職員の給与水準は凍結され、新規雇用も行わない。そのかわり解雇や一時解雇は行わない予定だ。なお、非営利法人グリーンベイ・パッカーズの全職員は550人で、ブラウン郡の中で26番目に大きな雇用主。一昨年の調査によれば、ブラウン郡への経済的影響は年$282ミリオンと試算されている。

大富豪オーナーを持たないパッカーズは、ストライキやロックアウトのような事態にも球団が存続していけるよう、毎年の利益を少しずつ蓄えて "Packers Franchise Preservation Fund" として$127.5ミリオン(昨年3月時点)の資金を確保している。しかし今回はこの資金を取り崩す必要はない見込みで、今夏に予定している新スコアボードおよび新サウンドシステム導入計画にも変更はない、とウィード副社長は語っている。

公式ショップやパッカーズ・ホール・オブ・フェイムやスタジアムツアーなど、ランボーフィールドの営業はすべて通常どおり。「いまは我々にとって縮小すべきときではない。なんといっても我々はスーパーボウルを勝ったばかりなのだ。我々はみなそのことに興奮しているし、選手たちも同様だ。ホール・オブ・フェームも、スタジアムツアーも営業中。忙しくなるだろう。リーグの法的状況がどうなろうと、ランボーフィールドを満喫しにくるファンがいなくなることは決してないのだから」

2011年3月13日

シーズン総括と展望 RB編

開幕戦でエースRBライアン・グラントが大ケガを負って戦線離脱し、おかげでたいへん興味深いシーズンとなった。代役ブランドン・ジャクソンにやはりスターターの力はなく、その後マーショーン・リンチ(BUF→SEA)のトレードも検討したが、代償が高いためにけっきょく見送り。パスと見せてのドロー、かと思うとFB3人を投入しての超パワー隊形など、プレーコールの工夫によってなんとかラン回数を確保した。(ラン421回は'09年の438回からさほど減っていない)

今季はこのままかと諦めかけていたシーズン終盤、開幕から欠場を続けていた新人ジェームズ・スタークスが台頭し、タフな走りでプレーオフ快進撃に大きく貢献した。レギュラーシーズンに1試合20回以上キャリーしたのは第15週NE戦のジャクソンだけだったが、プレーオフではスタークスが4試合中3試合で20回以上キャリー。ラン守備1位のスティーラーズ戦だけは真っ向勝負を避けたものの、その他3試合では先行逃げ切りの形を作ることができた。

チームのラン1回平均は前年の4.3yds(11位タイ)から3.8yds(25位)へ、ランTD数も20回(5位)から11回(18位タイ)へと悪化。しかしボールセキュリティだけは今季も素晴らしく、なかでもジャクソンはラン190回・パスキャッチ43回でファンブルわずか1回、ロストはゼロだった。RB/FB陣全体のパスキャッチでは'09年の65回523ydsから67回519ydsへと横ばいだった。

今年はブランドン・ジャクソンが無制限FAとなるが、3rdダウンバックとしてのオールラウンドな能力、とくにパスプロテクションは非常によいので、できれば引き留めたいところ。スターター級のオファーは来ないはずなので、球団側がその気になれば再契約は比較的容易ではないか。スターターはグラントとスタークスの争いとなる見込み。ジャクソンが残留すれば補強の必要性は低く、あってもドラフト下位指名(できればリターナー能力がほしい)だろう。もし3巡以上で獲るようなことがあれば、高給のグラントの首が危なくなる。

ブランドン・ジャクソン Brandon Jackson | Running Back | Nebraska
5-10 (178cm) | 216lbs (98kg) | 5年目 25歳 | 2007年ドラフト2巡

グラントの代役として3年ぶりにスターターとなり、ラン703yds・パスキャッチ43回342ydsとキャリア最高の成績を残した。しかし1回平均では3.7ydsと苦しみ、平均3ydsを下回るゲームが7回、とくにシーズン後半は1回平均4ydsを超えたゲームが1回のみ。穴を選ぶときに慎重になりすぎ、その間に穴が閉じてしまう。逆に思い切りよく突っ込み過ぎてカットバック・レーンを見落とすことも。スターターの器でないことを改めて立証する形となり、プレーオフでは新人スタークスにスターターの座を譲った。

本来の3rdダウンバックの役割に限れば、ドロー、スクリーンパス、チェックダウンのパス、パスプロテクションとどれも申し分なく、とくにブリッツのピックアップとボールセキュリティには全身全霊で取り組んでいる。今年はFAとなるが、パス主体のチームだけに彼のような完成度の高い3rdダウンバックは重要。さほど問題なく再契約できると期待したい。

ジェームズ・スタークス James Starks | Running Back | Buffalo
6-2 (188cm) | 218lbs (99kg) | 2年目 25歳 | 2010年ドラフト6巡

プロ入り直後のOTAでハムストリングを負傷、それが長引いてキャンプを全休し、開幕第6週までPUPリストに。ロースター合流後も実戦投入されず、このまま実質"レッドシャツ"でシーズンを終えるかと思われていた。しかし初登場の第13週SF戦で73ydsの活躍を見せると、プレーオフでは4試合すべて先発出場し、計315ydsを走ってシンデレラボーイとなった。恵まれたサイズを活かした縦への突破力にくわえ、力強く曲がることができ、なかなか倒れないタフなランナーだ

大学時代は通算ファンブル19回・ロスト12回とかなりのファンブラーだったが、プロ入り後は7試合でファンブルゼロ。ただ危なっかしい瞬間は何度もあり、指導と努力でファンブル癖が改善されたのか、単に運がよかっただけなのか。パスキャッチ(大学通算127回898yds)はグラントよりずっと上手いが、パスプロテクションは不安定で、3rdダウンでの起用はまだ度胸が要る。コーチ陣は彼のポテンシャルを高く評価しており、今夏はグラントとの先発争いが期待される。

ディミトリ・ナンス Dimitri Nance | Running Back | Arizona State
5-10 (178cm) | 219lbs (99kg) | 2年目 23歳 | 2010年ドラフト外

アリゾナ州立大からドラフト外でファルコンズに入団、開幕からプラクティス・スクワッドにいたところを、RBグラントを失ったパッカーズが獲得した。40yds走は4.63秒で、比較的がっしりしたパワー型に見える。ジャクソンがイマイチだけに彼をガンガン走らせるかと思われたが、使われたのはFBジョン・クーンの方だった。けっきょくラン36回95yds・パスキャッチ3回30ydsにとどまり、プレーオフも出場はPHI戦だけで、ラッシング機会なし。

今季あまり使われなかったのは、おそらくスキーム習得やボールセキュリティやプロテクションなど、細かい部分の不安もあったはず。フィールドに出てもモーションしてレシーバーになる場面が多く(ただし誰もひっかからない)、たまにボールを持てば力強いラッシングが何度か見られた。2年目の成長が楽しみな選手ではあるが、現時点ではロースター枠ぎりぎりにいる。

ライアン・グラント Ryan Grant | Running Back | Notre Dame
6-1 (185cm) | 222lbs (101kg) | 5年目 28歳 | 2007年ドラフト外

NYGからのトレード移籍以来3年間エースRBとして活躍したが、4年目の開幕戦で足首の腱を断裂する大ケガ。シーズン末に復帰できる可能性もあったが、本人の将来も考えてインジャリーリザーブ入りとなった。じっさいスーパーボウルの頃には「100%に近づいている」と本人が語っていたので、回復は順調なのだろう。今夏はスタークスと先発の座を争う。4年契約の大事な最終年を迎え、パッカーズだけでなく他球団に対しても能力をアピールする必要がある。

2011年3月12日

労使交渉決裂 ロックアウト突入

交渉期限最終日、オーナー側がかなりの譲歩を行ったものの選手会側は譲らず、交渉は決裂となった。選手会側はただちに組合認証取り消しの手続きを行って組合を解散、QBトム・ブレイディを原告代表とし、オーナー側を反トラスト法違反で訴えた。そして現地11日いっぱいで旧労使協定が失効し、オーナー側は12日0時01分をもってロックアウトを宣言した。

オーナー側は自分たちの最終オファーの内容を明らかにし、これだけの譲歩をしたのになぜ選手会側は受け入れないのかと世論に訴えている。金額面の詳細は明らかになっていないが、隔たり($320ミリオンと言われる)があったところを半々にした、と書かれている。たしかにこの内容ならばかなりの譲歩であり、選手会への世間の風当たりは先週とは比べ物にならないほど強くなっている。

いっぽう選手会が譲らなかった最大の理由は、各球団の財務状況が明らかでないことだ。帳簿も見せないくせに、利益が減った、経営が苦しいと言われても、とても信頼できるものではない。そこでオーナー側は「(すべて公表するのではなく)中立の監査人を選んで各球団の財務諸表を調べさせる」という妥協案を提示したが、選手会はこれも受け入れなかった。オーナーたちが個人的な出費をいかにしてフットボール経費にすりかえて計上しているか、数々の手口を指摘。そうした操作のない帳簿かどうかとても信頼できない、と突っぱねている。けっきょくのところ、この「信頼」の部分が決裂の最大の原因となった。

こうして賽は投げられ、これからは交渉のテーブルではなく法廷が両者の主戦場となる。1993年の労使協定の際にNFL/NFL選手会の調停人に指名されたミネソタ連邦地裁のデヴィッド・ドティ判事は、その組合寄りの姿勢で長らくオーナー側の目の上のたんこぶとなってきた(連邦判事に任期や定年はなく終身である)。選手会側の強気の理由にはそのこともありそうだ。

以下、用語の解説や今後予想される展開について、管理人がわかった範囲でまとめてみた。

2011年3月 9日

シーズン総括と展望 QB編

長かったプレーオフのおかげで、例年より1か月遅れでポジション分析のスタート。ネタ探しに悩むオフシーズンが1か月も短いのは、管理人にとって涙が出るほどありがたい。

アーロン・ロジャースが先発3年目にしてチームを優勝に導き、エリートQBとしての地位を確固たるものに。ファーヴ騒動を完全に忘れさせる見事な活躍だった。いまや心技体どこをとっても超一流で、「優勝数でなくプレーの質だけを見れば、彼がいまNFLナンバーワン」という声さえある。あとは大ケガなく続けてくれさえすればいい。

昨季まで低レベルと言われてきた控えQB陣も、今季は大きな進歩が見られた。2番手QBマット・フリンがプロ3年目の成長をプレシーズンでアピールし、ロジャースの欠場したNE戦でも3TD・27得点を挙げる活躍。今オフは先発QBを探す球団からトレードのオファーがあるのではないかと言われるほどになった。

QB2人体制で開幕を迎えたものの、終盤にロジャースが欠場した際にグレアム・ハレルをプラクティス・スクワッドから昇格させ、そのままシーズン終了までロースターに留めた。あまり期待されていない選手だったが、プレシーズン後半で進歩を見せていたので、他球団にさらわれるのを恐れたのではないか。

せっかくフリンが立派な2番手に成長したので、今年もQB陣に変化はなさそう。好条件のオファーがあればフリンを手放す手もあるが、ロジャースに脳震盪歴があるだけに、2番手QBを軽視するのは得策でないはず。ドラフト下位で魅力的なQBがいれば、来年のフリン移籍(4年契約が終了してFAとなる)に備えて指名する手はあるが、優先度は高くない。

アーロン・ロジャース Aaron Rodgers | Quarterback | California
6-2 (188cm) | 225lbs (102kg) | 7年目 27歳 | 2005年ドラフト1巡

順調に進歩を続けてきた若きエースが先発3年目にして早くも優勝の立役者となり、スーパーボウルMVPに輝いた。きわめて正確なコントロールを誇り、とくに動きながらのパスのコントロールはおそらくNFL随一。強肩とクイックリリース、ロングパスの精度、勝負強さ、相手ディフェンスの読み、ポケットでの落ち着きと巧みな身のこなし、効果的なスクランブル、リーダーシップ、タフネス、ハードワークなど、すべて申し分ない。

昨季唯一の課題だった被サックも50回から31回へと激減した。RTブラガの加入もさることながら、相手ブリッツの読みが進歩し、平均リリースタイムが大幅に短縮されたことが大きい(3.89秒→3.18秒)。今季に限らないが、間一髪のところでプレッシャーをかわしてパスを通す場面が目立ち、ディビジョナル・プレーオフではファルコンズ守備がまさにお手上げ状態となった。

TEフィンリーの戦線離脱でシーズン前半はもたついたものの、しだいにWRジェニングス中心のパス攻撃が軌道に乗り、シーズン後半(1試合欠場)とプレーオフの計11試合中8試合でレーティング110超を記録した。インターセプト数は昨季の7回から11回へと増えたものの、シーズン前半が9回、後半が2回(さらにプレーオフ4試合で2回)なので、あまり心配する必要はない。WRジョーンズがFA流出するとしても、TEフィンリーが帰ってくればプラスの方が大きい。

心配なのはケガだけ。シーズンで2回も脳震盪を起こしてしまい、しかも今のNFLは脳震盪判定が格段に厳しくなっている(今の基準が20年前から存在していたら、ファーヴの連続試合出場も不可能だったはず)。無茶なスクランブルに気をつけてスライディングすること、そして頼れる控えQBを確保しておくことが、長いシーズンを戦い抜く上で重要になりそうだ。

マット・フリン Matt Flynn | Quarterback | Louisiana State
6-2 (188cm) | 225lbs (102kg) | 4年目 25歳 | 2008年ドラフト7巡

名門ルイジアナ州立大で全米王座に貢献し、2008年ドラフト7巡指名で入団して3年目。着実な成長をプレシーズンでアピールし、ロジャースの欠場したNE戦では敗れたものの3TD・1INT・レーティング100.2の活躍を見せた。プレッシャー下でも落ち着いて的確なパスを通すことができ、動きながらのパスやスクランブルなど機動力も魅力。弱肩タイプだが、トレーニングやフットワーク向上の成果か、球速も増してきた。ただ高い弾道のパスはコントロールが不安定な印象がある。

今春は先発QBを探す球団にとって選択肢の1つと見られているが、FA市場やトレード市場に有力QBが何人もいるので、本当に興味を示す球団があるのかどうか。どちらにせよ、前述のように控えQBの重要性が増しているので、今年のパッカーズはおそらく手放さないだろう。しかし来年は契約が切れてFAとなる。ハッセルベックやブルネル(どちらもトレードだったが)のように新天地で成功するのか、ダグ・ピダーソンのように失敗して出戻りとなるのか。

グレアム・ハレル Graham Harrell | Quarterback | Texas Tech
6-2 (188cm) | 215lbs (98kg) | 2年目 25歳 | 2010年FA

テキサス工科大ではシーズン5111ydsの大活躍でハイズマン投票4位だったが、一般にスプレッド・オフェンス一辺倒で活躍したQBは評価が低く、2009年ドラフトでは指名されず。CFLサスカチュワンからも昨年4月に解雇され、オクラホマ州立大のアシスタントとして働き始めた5月、パッカーズのトライアウトを受けて入団が決まった。トレーニングキャンプ後半に成長を見せたため、開幕からプラクティス・スクワッドに入り、ロジャース欠場時にめでたくロースター昇格。そのままシーズン終了までロースターに残ることができた。

上記マット・フリンと同様、スケールの大きさは感じられないが、順調に伸びていけばNFLで控えQBとしてやっていけそうな選手に見える。今年のキャンプで2番手フリンを脅かすのはまだ難しそうだが、「フリン後の2番手候補」と認められれば、今年は開幕ロースター入りが叶うかもしれない。もしドラフト下位でQBが入ってくれば、その選手と3番手を争う。

2011年3月 8日

Notebook: マッカーシーHCの給料はNFL6位

A.J.ホークの契約詳細

ILB A.J.ホークが先日パッカーズと結んだ5年契約は、契約ボーナス$8ミリオンを含む総額$33.75ミリオンであることが判明した。詳細は以下のとおり。

A.J. Hawk contract
Year base salary roster bonus workout bonus Cap Number
契約ボーナス: $8,000,000 (年$1.6Mずつキャップ計上)
2011  $1,150,000 $1,800,000    $4,550,000
2012 $4,400,000 $300,000 $250,000 $6,550,000
2013 $4,900,000 $300,000 $250,000 $7,050,000
2014 $4,900,000 $800,000 $250,000 $7,550,000
2015 $5,400,000 $800,000 $250,000 $8,050,000

契約ボーナス$8ミリオンと合わせ、今年だけで$10.95ミリオンを受け取る。旧契約の2011年分として予定されていた$10ミリオンよりもむしろ増えているが、サラリーキャップ額は$4.55ミリオンと大幅にダウン。比較的平坦に近いバックロード型で、サラリーキャップ枠の拡大ペースを考えれば、本人が今の働きを続けてくれる限り、球団としては受け入れられる金額、といったところか。ロースターボーナスが$80万ドルに増えて本人が30歳を迎える2014年あたりが1つの考えどころかもしれない。

2011年3月 7日

今回の優勝チームを14年前と比較

開幕前から予言めいて言われていたことだが、今回のパッカーズと前回1996年シーズンの優勝チームには共通点が多い。ちょっとした戯れにまとめてみた。

■ 相違点もいろいろ

2011年3月 5日

マイク・マッカーシーHCが契約延長

就任5年目でスーパーボウル制覇を成し遂げたマイク・マッカーシーHCが、パッカーズとの5年契約にサインした。予想されていたとおり、サラリーはこれまでの年$4ミリオンから年$5ミリオン前後に増額される模様。先月半ばに契約延長したテッド・トンプソンGMと同じく、2012年まで残っていた契約を実質3年延長したことになる。

両コーディネーターを含め、アシスタントコーチ全員が2012年まで契約延長したことも明らかになった。

マイク・マッカーシーHCの経歴は就任時の記事を参照のこと。ポール・ハケットが恩師でありウェストコーストオフェンスの師匠。6年間のチーフス時代にはマーティ・ショッテンハイマーからも多くを学んでいる。パッカーズ5年間の通算成績は53勝34敗(勝率.609)、レギュラーシーズンは48勝32敗(.600)、プレーオフは5勝2敗(現役トップタイの.714)。第6シードからの優勝はNFC初であり、ケガ人だらけのチームを優勝に導いた手腕が高く評価されている。

トンプソンGMによる2006年のヘッドコーチ選考時は、ショーン・ペイトン(現セインツ)もパッカーズのHC職を望んでいたことが後に明らかになったが、いまや2人とも優勝HCに。当時バツイチの独身(娘1人)だったマッカーシーHCは、3年前にグリーンベイ出身の女性と再婚(記事へ)。その後娘が生まれ、さらにもう1人生まれてくる予定だ。「私も家族もグリーンベイを愛している。コーチのキャリアを終えた後も、私はここに住み続けるつもりだ。このコミュニティの一員でいられることを、私たちは心から喜んでいる」

SSチャーリー・ペプラーと2年契約

パッカーズはSSチャーリー・ペプラーとの契約延長を発表した。総額$2.3ミリオンの2年契約と伝えられているので、スターター候補としてはリーズナブルなお値段だろう。彼は前十字靭帯を断裂したSSモーガン・バーネットに代わって第5週から先発に昇格、とくにランサポートでは前任者より安定感のあるプレーぶりでスーパーボウル制覇に貢献。今年も先発確定ではないが、ライバルのSSバーネットは大ケガからの復帰途上なので、彼が仮スターターとしてキャンプを迎えるのではないか。

今のパッカーズは正式に契約するまで発表をしないので、すでに「合意」ではなく正式サインが済んでいるはず。労使交渉24時間延長の間は契約ができないと報道されていたが、単に旧年度が1日延長されて契約延長が可能だったのかもしれない。

SSチャーリー・ペプラーはテキサス州フォートワース出身の28歳。一家が祖国ガーナ共和国から移住した経緯は昨年10月の記事参照のこと。名門アラバマ大から'06年の5巡指名でジャイアンツに入団、開幕前に解雇されてパッカーズにやってきた。3年間控えを務め、'09年のファルコンズを経て再び昨年春にパッカーズへ。ただのスペシャルチーマーと見られていたが、シーズンが始まるとILBビショップとよく似た成り行きで、万年バックアップからの脱出に成功した。なお、弟のジョシュもウィスコンシン大でDBをプレーしている。

交渉期限をさらに7日間延長

前日に24時間延長した交渉期限をさらに7日間延長、3月11日までとすることで労使双方が合意し、新協定締結・ロックアウト回避への見通しはこれまでになく明るくなった。土日と休んで月曜から交渉が再開される。延長された交渉期間の間、FA契約や契約延長や解雇などの選手人事を行うことはできない。ただし、自分のところの選手やその代理人と(契約延長について)話し合うのは可能とのこと。

先月半ばから加わった連邦調停人ジョージ・コーエンの貢献は大きく、前日木曜に大きな進展があったと報道されている。先日下された不利な裁定(ロックアウト中にオーナー側がTV放映権料を受け取るのは協定違反に)や厳しい世論に押されてか、どちらかというとオーナー側が態度を軟化させてきた模様だ。選手会のデモーリス・スミス事務局長は(政界への野心を疑われるなど)これまでオーナー側から信頼を得られていなかったが、「本気で交渉をまとめる気がある」と認められ、とくにロジャー・グッデル・コミッショナーとの間で交渉相手としての相互信頼が増しているとか。

2011年3月 4日

Notebook: ILBバーネット放出か

労使交渉を24時間延長

労使協定の失効が数時間後に迫った3日夜(現地)、労使双方は交渉期間の24時間延長で合意し、翌4日も交渉が続けられることになった。断片的な情報しか伝わってこないが、旧年度がそのまま1日延びるわけではなく、今できるのは労使交渉だけ、という変則的な内容らしい。つまり、2010年度が3日いっぱいで終わったのに2011年度には入らない。FA市場も開かず、FA契約や契約交渉もいっさい行うことができず、すべてが凍結されている。

情報筋によると、この24時間延長はさらなる交渉期間延長の是非を話し合うためのものらしい。連邦調停人のジョージ・コーエン(この2週間交渉に参加)が選手会側に「7日から10日間延長すべき」と説得を行い、あとはオーナー側の同意を待っているところ、とESPNのクリス・モーテンセンは伝えている。(箝口令を破ってこの情報をリークしたのは、選手会によるオーナー側への圧力と見られる)

昨日までは交渉期間延長さえ絶望的とする記者も多く、「延長されたとしたら、それは新協定締結まで遠くない証拠」という見方は少なくなかった。両者とも「まだ大きな隔たりがある」と語っているとはいえ、ロックアウトに突入せず交渉が続くこと自体がポジティブな展開と言える。

ワシントンD.C.での交渉に向かうマーク・マーフィ社長の写真はこちら

2011年3月 3日

A.J.ホークをいったん解雇し5年契約

今年$10ミリオンの超高額サラリーとなるILB A.J.ホークの処遇に注目が集まっていたが、パッカーズはいったん解雇したあと交渉を続け、5時間ほど後に新しい5年契約に合意した。契約内容の詳細は不明。同時に解雇したTEリーやFSマーティンとは違い、「A.J.を解雇したのはビジネス上の理由による。今後もチームの将来の一部として、ともに働けることを我々は希望している」とトンプソンGMは説明していた。

めでたく残留の決まったホークだが、昨年の開幕戦では(カバレッジ能力重視のため)ILBバーネットとILBチラーがフル出場し、彼はディフェンスでの出番がゼロ。こんな扱いでは今季限りの退団は確実、と見られていた。ところが第4週DET戦で戦線離脱したILBバーネットに代わってプレイコーラー役を引き継ぐと、落ち着いた的確な指示でディフェンスの安定に貢献。開幕戦で出番のなかった彼とビショップがプレーオフを戦い抜き、いまや大型契約を手に入れたのだから、なんとも不思議なシーズンの成り行きだった。

これで微妙な立場となったのがILBニック・バーネット。「ビショップの先発は確定」とマッカーシーHCが数日前に話しており、今回の契約でホークも同じ扱いになるものと考えるのが自然だろう。今年$5.5ミリオンのバーネットを控えからスターターに挑戦させるのか、やはり解雇となってしまうのか。解雇するならタイミングはいつになるのか。今オフは大きな注目を集めそうだ。

TEリーとFSマーティンを解雇

パッカーズはTEドナルド・リーおよびFSデリック・マーティンの解雇を発表した。(同時にILBホークも解雇されたが、直後に再契約したのでここでは省く)

現在30歳のTEドナルド・リーは、ミシシッピ州立大から'03年ドラフト5巡でドルフィンズに入団。'05年開幕前に解雇されてパッカーズへ移り、'07年にスターターに昇格した。しかし次第にスピードが衰えてブロッカー役だけの存在に。'09年にはフィンリーに先発の座を奪われ、昨年フィンリーが戦線離脱してもスターターは新人クウォレスだった。結局キャリア最低のパスキャッチ11回73yds、プレーオフではキャッチゼロ。しかし最終週CHI戦ではプレーオフ進出につながる決勝TDを挙げている。

契約はあと1年残っていたものの、レシーバー能力の高いフィンリーとクウォレス、ブロッキングに優れたクラブトリー、LB兼任のヘイヴナーと若手TEが4人揃っているため、いずれ放出は避けられないと見られていた。トンプソンGMは声明の中で、「パッカーズへの大きな貢献と、キャリアを通じて良きチームメイトであり続けたドナルドに、我々は感謝の意を伝えたい。優れたプロフェッショナルである彼の今後の成功を、我々は心から願っている」と語っている。

FSデリック・マーティンは、6巡指名入団したレイヴンズで主にCBとしてプレーしたあと、'09年開幕直前にT/Gトニー・モールとのトレードでパッカーズへ。昨年10月にヒザのケガでインジャリーリザーブに入るまで、スペシャルチームの中核の1人として働いていた。まだ25歳と若く、契約はあと1年残っていたが、(レイヴンズ末期にコンバートされた)セーフティでの進歩が物足りずに見切りをつけられた、ということだろうか。

CBアンダーウッドが買春を認め罰金刑確定

昨年6月に性的暴行容疑で取り調べを受けたCBブランドン・アンダーウッドが、このたび買春行為で有罪答弁をし、$379ドルの罰金が確定した(合衆国では有罪答弁の場合は公判にならない)。州内ゴルフリゾートで起きた事件について、こちらこちらの記事を参照のこと。彼を告発した女性たちの供述はかなり疑わしく、CBアンダーウッドは逮捕もされていないが、チームメイトとのパーティに娼婦を招き入れた責任があるのはたしか。チーム内でもすこし白眼視される結果となり、数日後のミーティングで神妙に謝罪をしている。

2011年3月 1日

Notebook: 来季ILBの組み合わせは