グリーンベイ・パッカーズ ニュース

2011年3月30日

シーズン総括と展望 DL編

2年目で先発ノーズタックルに昇格したB.J.ラジが期待以上の成長を見せ、とくにパスラッシュ向上に大きく貢献した。世間一般のノーズタックルとは異なり、パスシチュエーションでもサイドラインに下がらない。DE陣のケガの多さもあってほぼ毎試合で出ずっぱりとなる酷使のされようだった。すでにプロボウルの一歩手前まで来ていて、あとはケガなく伸びていってくれさえすればいい。

いっぽうディフェンシブエンド陣はプレー内容はよかったもののケガ人が多く、やりくりに苦労した。先発右DEのカレン・ジェンキンズはチーム2位タイの7サックを挙げる活躍だったが、シーズン前半は左手骨折、後半はふくらはぎを痛めて5試合欠場。左DEでは無期限出場停止のジョニー・ジョリーに代わって元NTのライアン・ピケットがスターターとなり、安定感のある働きを見せた。

両先発DEを欠きながら第7週MIN戦をなんとか乗り切ると、元NYJの巨漢NTハワード・グリーンを補強し、これがラインの安定につながった。NTラジが元気なため実質DEとしての起用ばかりで、340ポンド級のDL3人を並べる超ヘビー隊形を活用するゲームも何度かあった。残念だったのは、2巡指名のDEマイク・ニールが肩のケガで2試合しか出場できなかったこと。ニッケル隊形(2-4-5)でのパスラッシャーとして期待されていたが、彼の戦線離脱でNTラジへの負担がさらに増えてしまった。

今年はFAとなるDEジェンキンズが移籍確実と見られていたが、先日DEジョリーが再び逮捕されたため、再契約の可能性がわずかながら高くなった。順当ならばDEニールを先発に昇格させたいところだが、リハビリ途上なので計算どおりに行かないかもしれない。ドラフトでは遅くとも3巡か4巡までにDEを指名するのではないか。NTは控えにピケットとグリーンがいるので当面は不要だろう。

B.J.ラジ B.J. Raji | Nose Tackle | Boston College
6-2 (188cm) | 337lbs (153kg) | 3年目 24歳 | 2009年ドラフト1巡9位

1巡9位指名からのルーキーシーズンはケガで出遅れて物足りない内容だったが、先発NTに専念したプロ2年目に大きく飛躍し、リーグのトップNTの仲間入りを果たした。並外れた下半身のバネを武器に鋭いパスラッシュを見せ、6.5サックはNTとしては見事な数字。ニッケル隊形(2DL)でもサイドラインに下がらず、ディフェンス全体の85%のスナップに出場した(パッカーズのDT/NTとしては過去13年間で最多)。DL陣最多タックも記録し、ケガ人の多かったDLを彼のタフネスが支えた。

プロボウル補欠に選ばれたうえNFC決勝ではINTリターンTDを決めて人気者となったが、課題が残るのはラン守備の方。時おりポイントオブアタックでうまく料理されてしまう場面があり、ダブルチーム相手の踏ん張りでは前任者ピケットにまだ劣っている。チームのラン守備が前年より悪化したのはそれも一因かもしれない。酷使に耐えてシーズンを乗り切ったが、今年はもう少し休む時間を増やしてやりたいところだ。

カレン・ジェンキンズ Cullen Jenkins | Defensive End | Central Michigan
6-2 (188cm) | 305lbs (138kg) | 8年目 30歳 | 2004年ドラフト外

左手骨折のためシーズン前半はギプスを着けたままプレーし、治ったと思ったらふくらはぎのケガに苦しんで終盤4試合を欠場した。しかし元気で出ている間のプレー内容は素晴らしいもので、スピードとクイックネスでパスラッシュの主役の1人として活躍。DL陣最多(チーム2位)の7サックを挙げ、出場スナップあたりのサック数は過去5年のうち4年でDL陣最多を記録している。

チーム側が契約延長の動きをいっさい見せないまま、今春はいよいよFAとなる。ケガがちな30歳というのはトンプソンGMに嫌われるパターンだが、3-4でも4-3でも実績を残し、インサイドからのパスラッシュ能力はリーグ中から高く評価されている。ジョリーの二度目の逮捕で再契約の可能性が多少増したとはいえ、けっきょくは他球団からの高額オファーに対抗できない(するつもりはない)のではないか。

ライアン・ピケット Ryan Pickett | Defensive End | Ohio State
6-2 (188cm) | 340lbs (154kg) | 11年目 31歳 | 2006年FA(2001年STL1巡29位)

先発ノーズタックルの座をラジに譲り、ジョリーの欠けた先発左DEへ。派手さはないが相手ブロッキングの読みがよく、ボールのありかを見つけるのが素早い。出場スナップあたりのタックル数は2年連続DL陣最多かつ自己最高。昨年春に大型契約(記事へ)を与えてくれたチームの期待に応えた。パスラッシュ力はないのでニッケル隊形ではサイドラインに退く。今年も起用法は同じだろう。年齢のせいか、ややケガが増えてきたのは気になる。

ハワード・グリーン Howard Green | Defensive End/Nose Tackle |  Louisiana State
6-2 (188cm) | 340lbs (154kg) | 7年目 32歳 | 2010年FA(2002年HOU6巡)

9年間で10回の解雇を経験したジャーニーマンで、公称340ポンドだが実際は360ポンドあたり。375ポンドにふくれ上がったのがジェッツ解雇の理由らしい。先発両DEが負傷した10月末にFA加入し、いきなりの古巣NYJ戦で34スナップに出場してラン守備向上に貢献。シーズン終盤は彼がベース守備の右DEに入り、DEジェンキンズの負担を減らすことができた。彼とNTラジとDEピケットを並べる1030ポンド級の超重量級パッケージはケイパースDCのレパートリーの1つとなり、4-4-3隊形では右DTに入る。

基本的にはラン守備要員だが、スーパーボウルでFSコリンズのINTリターンTDを導いたブルラッシュは球団史上に残る好プレーとなった。体重問題を抱えるだけに、ロックアウトのせいでチームがオフシーズン練習を管理できないのが痛い。

C.J.ウィルソン C.J. Wilson | Defensive End | East Carolina
6-3 (191cm) | 285lbs (129kg) | 2年目 23歳 | 2010年ドラフト7巡

7巡指名ルーキーながらロースター入りを果たし、開幕戦を除く全試合に出場した。ケガ人続出でチャンスをつかみ、とくに先発両DEを欠いた第7週MIN戦では8タックルの活躍で勝利に貢献。DEジェンキンズがふくらはぎを痛めたシーズン終盤はニッケル隊形での出番が増え、シーズン全スナップの22.9%に出場した。同期のDEニールほどの身体能力はないが、精神的にしっかりしていて常に激しくプレーする。体ができてくれば大きく伸びる可能性もある。

ジャリアス・ウィン Jarius Wynn | Defensive End | Georgia
6-3 (191cm) | 285lbs (129kg) | 3年目 24歳 | 2009年ドラフト6巡

プロ1年目は光るものを見せたが、2年目シーズンは新人ウィルソンの後塵を拝した。開幕直前に解雇されたがハレルの戦線離脱ですぐに再契約。もっとも出番が多かったのが第7週MIN戦というところはウィルソンと同じだ。NFC決勝ではアクティブ登録から外れ、スーパーボウルでもプレー機会がなかった。DL陣では最も線が細く、今年はもう少しバルクアップしたい。今年も伸び悩みが続くようならば見切りをつけられてしまうだろう。

マイク・ニール  Mike Neal | Defensive End |  Purdue
6-3 (191cm) | 294lbs (143kg) | 2年目 23歳 | 2010年ドラフト2巡

2巡指名にふさわしいポテンシャルの高さを見せていたが、8月末に肩回旋腱板(rotator cuff)を損傷し、けっきょく10月末に手術を受けてシーズンを終えることになった。インサイドの新人選手にしては素晴らしい馬力があり、鋭くペネトレートするパスラッシュも魅力。順調ならば十分ジェンキンズの後釜が務まりそうな器だが、(たとえロックアウトがなかったとしても)春のOTAやミニキャンプを全休するクラスの手術なので、伸び悩みのシーズンとなる可能性もある。

ジャスティン・ハレル  Justin Harrell | Defensive End |  Tennessee
6-4 (193cm) | 315lbs (143kg) | 5年目 27歳 | 2007年ドラフト1巡16位

毎年腰のケガに苦しみ、今度こそトレーニングキャンプを乗り切ったと思ったら開幕戦の序盤でヒザの前十字靭帯を断裂してシーズンエンドとなった。元1巡16位指名入団ながら、4年間で出場わずか14試合・欠場50試合。たとえ元気な時でもさほど目立つ働きをするわけではなく、「控えならロースター入りできる」程度でしかない。トンプソンGMにとって6年間で最大のドラフト指名失敗。今度こそパッカーズでのキャリア終了ではないか。

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