パスプロテクション崩壊の2009年シーズンから立ち直り、安定したプロテクションで優勝に貢献した。ブライアン・ブラガをドラフト1巡指名したおかげでRTマーク・タウシャー(肩)の戦線離脱に難なく対応でき、序盤に不振だったLTチャド・クリフトンもやがて調子を上げ、2回目のプロボウル選出を果たした。
OL陣が許したプレッシャーは'09年は1試合平均9.0回、'10年は6.9回と大幅に改善された。新人ブラガは不慣れな右タックルだったため、時おりぎごちない動きもある。しかしやられるときでも'09年のRTアレン・バーバーのように一瞬で抜かれるのではなく、なんとか外に押し出すことでQBロジャースにスクランブルのチャンスを作ることができた。
昨年春に3年契約を結んだLTクリフトンはプレーオフでの働きも非常によく、34歳となった今年も先発LTとして開幕を迎える見込み。急激な衰えがあればブラガが予定どおり後継者となるだろう。いっぽう右タックルではタウシャー不在中にブラガが先発の座を固めてしまい、33歳のタウシャーの立場は非常に厳しい。2年契約の2年目を迎える今年はサラリーが$4.1ミリオンとなり、減俸を受け入れなければ解雇となるかもしれない。
昨年のブラガ1巡指名である程度見通しの立った「両OT世代交代作戦」だが、ポジションの重要さを考えれば、今年もドラフト上位指名があってもおかしくない。昨年肩のケガで伸び悩んだT.J.ラングが成長し、将来はLTブラガ&RTラングという組み合わせが可能なのかもしれないが、ラングはLGダリン・カレッジ(FA移籍の見込み)の抜ける左ガードで先発を争うかもしれない。
LGカレッジの単純な後釜としてガードをドラフト指名する予想もあるが、ブラガやラングの器用さを考えれば、タックルを指名しておいて誰か1人をガードに回す方針の方がよいのではないか。トンプソンGMは2005年の就任以来、大学でガード専任だった選手を指名したことは一度しかない('06年のジェイソン・スピッツ)。ブラガは昨年プレシーズンでLGとしてダリン・カレッジを上回るポテンシャルを見せており、T.J.ラングもカレッジの負傷退場時に無難に代役をこなしている。
大学ではペイトン・マニング、NFLではファーヴとロジャースの背後を守り続ける一流左タックル。シーズン序盤は持病のヒザのせいで絶不調、ついに世代交代かと思われたが、復調して全試合出場を果たし、2回目のプロボウル選出となった。最後の6連勝の間も、ユメニオーラ(NYG)、ペッパーズ(CHI・2戦)、トレント・コール(PHI)、ジョン・エイブラハム(ATL)、ジェームズ・ハリソン(PIT)といった名だたるパスラッシャー相手に見事な働き。プレーオフ4戦で1サック(エイブラハム)しか許さず、スーパーボウル制覇の陰の立役者となった。
ランブロッキングでは相変わらず頼りにならない。それでもプレーオフでこれだけパスプロが良ければ、まだ今年のキャンプでは世代交代させるわけにはいかず、来季の働きを見てからだろう。今年は3年契約の2年目。ブラガに先発LTの座を奪われないよう必死で頑張ってくれるのはよいことだ。
クリフトンの後継候補として1巡23位指名で入団。最初は左タックルオンリー、キャンプ途中から左ガードを兼任してLGカレッジを上回るパフォーマンスも見せた。股関節を痛めたためにけっきょく控えLT/LGとして開幕を迎えたが、10月初めにRTタウシャーが戦線離脱すると代役右タックルに。プロの長いシーズンで終盤はガス欠気味だったが、プレーオフに入ると被サックも反則も激減し、スーパーボウル制覇に貢献することができた。経験不足だった右サイドにも次第に慣れ、考えずに体が動くようになってきたようだ。
上記のような都合により、将来のポジションがどうなるかはまだわからない。先発右タックルのまま開幕を迎える可能性が最も高いが、クリフトンの衰え次第では左タックルに落ち着くかもしれず、「タウシャーまたはラングまたは新人」が先発RTとなってブラガが左ガードに回る可能性もなくはない。
同期クリフトンとともに2000年から先発RTを務めてきたが、このところ大きなケガに苦しみ、いよいよキャリアの終わりが近づいてきたかもしれない。2008年末には前十字靭帯断裂、そして昨年10月には肩を負傷し、5試合欠場した後にけっきょく手術を受けてシーズンエンドとなった。元気でさえあればあと1年か2年スターターを務めることはできそうだが、もう一流RTとしての力はなく、ブラガから先発の座を奪い返すのは難しそうだ。
昨年春に2年契約を結んだのでまだ契約が残っているが、今年はベースサラリーが$4.1ミリオンとなるので、控え選手としては高額すぎる。「近くトンプソンGMとともに代理人と話し合う必要がある」とマッカーシーHCが2月末に語ったのは、もうタウシャーをスターターと考えていない証拠ではないか。控えクラスへの減俸を受け入れれば残留(故郷ウィスコンシンを離れずにキャリアを終えることもできる)、拒否すればキャンプでの新人・若手のプレーを見極めた上で解雇となるかもしれない。
ルーキーだった'09年シーズンは左右両タックルの代役としてパスプロテクション復調に貢献。期待された2年目シーズンだったが、オフシーズンの手首の手術でトレーニング不足となり、大いに伸び悩んだ。キャンプでは右タックル争いに加わることさえできず、シーズンでは左ガードと左タックルの代役を数シリーズ務めただけに終わった。DL不足の時期にはゴールラインディフェンスなどでエクストラDLとして出場したことも。
彼のベストなポジションがガードなのか右タックルなのか依然としてはっきりせず、コーチ陣でも意見が分かれるらしい。マッカーシーHCは先日、「彼は左右ガードが向いていると私はずっと思ってきたが、アウトサイド(つまりOT)も非常に自然にこなしている。器用貧乏な選手にしてしまってはいけないので、我々が最適な場所を見つけなければ」と語っている。今年はLGカレッジの後継候補と見られているが、このヘッドコーチのコメントからすると、右タックルを争う可能性もありそうだ。