長かったプレーオフのおかげで、例年より1か月遅れでポジション分析のスタート。ネタ探しに悩むオフシーズンが1か月も短いのは、管理人にとって涙が出るほどありがたい。
アーロン・ロジャースが先発3年目にしてチームを優勝に導き、エリートQBとしての地位を確固たるものに。ファーヴ騒動を完全に忘れさせる見事な活躍だった。いまや心技体どこをとっても超一流で、「優勝数でなくプレーの質だけを見れば、彼がいまNFLナンバーワン」という声さえある。あとは大ケガなく続けてくれさえすればいい。
昨季まで低レベルと言われてきた控えQB陣も、今季は大きな進歩が見られた。2番手QBマット・フリンがプロ3年目の成長をプレシーズンでアピールし、ロジャースの欠場したNE戦でも3TD・27得点を挙げる活躍。今オフは先発QBを探す球団からトレードのオファーがあるのではないかと言われるほどになった。
QB2人体制で開幕を迎えたものの、終盤にロジャースが欠場した際にグレアム・ハレルをプラクティス・スクワッドから昇格させ、そのままシーズン終了までロースターに留めた。あまり期待されていない選手だったが、プレシーズン後半で進歩を見せていたので、他球団にさらわれるのを恐れたのではないか。
せっかくフリンが立派な2番手に成長したので、今年もQB陣に変化はなさそう。好条件のオファーがあればフリンを手放す手もあるが、ロジャースに脳震盪歴があるだけに、2番手QBを軽視するのは得策でないはず。ドラフト下位で魅力的なQBがいれば、来年のフリン移籍(4年契約が終了してFAとなる)に備えて指名する手はあるが、優先度は高くない。
順調に進歩を続けてきた若きエースが先発3年目にして早くも優勝の立役者となり、スーパーボウルMVPに輝いた。きわめて正確なコントロールを誇り、とくに動きながらのパスのコントロールはおそらくNFL随一。強肩とクイックリリース、ロングパスの精度、勝負強さ、相手ディフェンスの読み、ポケットでの落ち着きと巧みな身のこなし、効果的なスクランブル、リーダーシップ、タフネス、ハードワークなど、すべて申し分ない。
昨季唯一の課題だった被サックも50回から31回へと激減した。RTブラガの加入もさることながら、相手ブリッツの読みが進歩し、平均リリースタイムが大幅に短縮されたことが大きい(3.89秒→3.18秒)。今季に限らないが、間一髪のところでプレッシャーをかわしてパスを通す場面が目立ち、ディビジョナル・プレーオフではファルコンズ守備がまさにお手上げ状態となった。
TEフィンリーの戦線離脱でシーズン前半はもたついたものの、しだいにWRジェニングス中心のパス攻撃が軌道に乗り、シーズン後半(1試合欠場)とプレーオフの計11試合中8試合でレーティング110超を記録した。インターセプト数は昨季の7回から11回へと増えたものの、シーズン前半が9回、後半が2回(さらにプレーオフ4試合で2回)なので、あまり心配する必要はない。WRジョーンズがFA流出するとしても、TEフィンリーが帰ってくればプラスの方が大きい。
心配なのはケガだけ。シーズンで2回も脳震盪を起こしてしまい、しかも今のNFLは脳震盪判定が格段に厳しくなっている(今の基準が20年前から存在していたら、ファーヴの連続試合出場も不可能だったはず)。無茶なスクランブルに気をつけてスライディングすること、そして頼れる控えQBを確保しておくことが、長いシーズンを戦い抜く上で重要になりそうだ。
名門ルイジアナ州立大で全米王座に貢献し、2008年ドラフト7巡指名で入団して3年目。着実な成長をプレシーズンでアピールし、ロジャースの欠場したNE戦では敗れたものの3TD・1INT・レーティング100.2の活躍を見せた。プレッシャー下でも落ち着いて的確なパスを通すことができ、動きながらのパスやスクランブルなど機動力も魅力。弱肩タイプだが、トレーニングやフットワーク向上の成果か、球速も増してきた。ただ高い弾道のパスはコントロールが不安定な印象がある。
今春は先発QBを探す球団にとって選択肢の1つと見られているが、FA市場やトレード市場に有力QBが何人もいるので、本当に興味を示す球団があるのかどうか。どちらにせよ、前述のように控えQBの重要性が増しているので、今年のパッカーズはおそらく手放さないだろう。しかし来年は契約が切れてFAとなる。ハッセルベックやブルネル(どちらもトレードだったが)のように新天地で成功するのか、ダグ・ピダーソンのように失敗して出戻りとなるのか。
テキサス工科大ではシーズン5111ydsの大活躍でハイズマン投票4位だったが、一般にスプレッド・オフェンス一辺倒で活躍したQBは評価が低く、2009年ドラフトでは指名されず。CFLサスカチュワンからも昨年4月に解雇され、オクラホマ州立大のアシスタントとして働き始めた5月、パッカーズのトライアウトを受けて入団が決まった。トレーニングキャンプ後半に成長を見せたため、開幕からプラクティス・スクワッドに入り、ロジャース欠場時にめでたくロースター昇格。そのままシーズン終了までロースターに残ることができた。
上記マット・フリンと同様、スケールの大きさは感じられないが、順調に伸びていけばNFLで控えQBとしてやっていけそうな選手に見える。今年のキャンプで2番手フリンを脅かすのはまだ難しそうだが、「フリン後の2番手候補」と認められれば、今年は開幕ロースター入りが叶うかもしれない。もしドラフト下位でQBが入ってくれば、その選手と3番手を争う。