シーズン序盤はTEフィンリーに押されて地味な働きだったが、TEフィンリー戦線離脱後はとくにグレッグ・ジェニングスが素晴らしい働きを見せ、パスオフェンス復調に大いに貢献した。スーパーボウルでのピンポイントなパス成功の数々は、長くファンの記憶に残ることになるだろう。
ジェニングスが初プロボウルに選ばれたいっぽう、大ベテランのドナルド・ドライバーはケガもあってチーム4位の51回565ydsにとどまった。ジェームズ・ジョーンズは右サイドでディープスレットとして起用される機会が増えてキャリアベストの679ydsを記録したものの、手痛い落球など不安定なプレー内容。プレーオフではジョーディ・ネルソンに活躍の場を奪われ、ネルソンの約半分の数字しか残せなかった。
この3年間はトップ4人を固定することができたが、どうやら今年は変化の年になりそうだ。ジョーンズは無制限FAとなり、ここまでの流れからすると再契約はなさそう。とすると、ケガの増えてきたドライバーに代わって、ついにネルソンが先発に昇格するのではないか。ただTEフィンリーが復帰してきたらボールがどれだけ回ってくるかはわからないが。
ジョーンズ退団、ネルソンが契約最終年、ドライバーの衰え(もうしばらく持ちこたえたとしても)、それに育成に時間のかかるポジションということを考えれば、今年はドラフト指名があるはず。これまでトンプソンGMはかなりWR重視のドラフト指名を繰り返しており(在籍6年間で2巡3人・3巡1人)、今年は思い切った上位指名があってもおかしくない。できればリターナー能力のある選手が望ましい。
エースWRとなって3年目、1265yds・12TDの大活躍でついに初プロボウルに選ばれた。TEフィンリーが健在だった第5週まではわずか14回183ydsだったが、第6週以降は62回1082ydsと躍進し、QBロジャースとのホットラインがオフェンスの中心となった。試合序盤に集中力を欠く悪い癖も改善され、落球率はWR陣で最も低い3.77%(キャリアベスト)。TEフィンリーの存在やチームオフェンスの傾向を考えると、1400や1500といったオールプロ級の数字を残すことは考えにくいが、あとは今のような質の高いプレーを続けてさえくれればいい。
故郷のミシガン州カラマズー市ではデレク・ジーター(MLBヤンキース)と並ぶ地元の英雄。同市はこの3月14日を「グレッグ・ジェニングスの日」と宣言してスーパーボウルを祝っている(現地記事と写真)。ジェニングスはこの街にあるウェスタン・ミシガン大で学び、妻もこの街の出身で、両親もまだこの街に住み、頻繁に里帰りして地元の慈善活動に力を入れている。全国的知名度ではジーターに遠く及ばないにしても、地元密着度を考えれば、愛され方ではジェニングスが追いつきつつある、というコラムも。
6年連続1000ydsレセプションを続けてきた人気者も'10年は太もものケガに悩まされ、先発昇格以来最低の51回565yds。スーパーボウルも途中退場するなど個人成績では失望のシーズンだったが、キャリア12年目でついにトロフィーを手に入れた喜びは想像するに余りある。落球率は、キャリア最悪だった前年の9.4%から6.9%へと回復した。最大のハイライトは第13週49ers戦、次々とタックルを破った61ydsタッチダウン(ビデオ)。
ケガさえなければまだやれるのか、それともついに急速な衰えが始まったのか、来季が来てみなければわからないが、チームとしては世代交代の準備を進めるべきだろう。今年は3年契約の2年目。'10年のようなシーズンが続くようなら、来春のロースターボーナス発生($2.2ミリオン)の前に球団は決断を迫られることになる。
これまでどおりネルソンと3番手WRの座を分け合い、キャリア最高の50回679yds・5TD。ドライバーがケガで苦しんだこともあって、恵まれたガタイを活かして彼が右サイドのディープを攻める役割が増えた。プレーの精度は向上し、素晴らしいプレーも数多くあったものの、試合ごとの波が大きい。第3週CHI戦では最後のドライブでファンブルロスト(ビデオ)を犯して敗因となり、プレーオフでも完璧なロングパスを落球する場面が何度もあった。
今後長くスターターの座を任せられる器かというと不安は大きく、契約最終年にもかかわらず球団側は契約延長交渉の動きがまったくなかった。本人は先発できるチームを望んでいるが、今年はFA市場に有力WRが何人も出てくるので難しいかもしない。思うようなオファーが来なければ、パッカーズと再契約する可能性が出てくる。
キャリアベストの45回582ydsにくわえ、プレーオフ4戦で21回286yds・2TDと実質2番手WRの活躍。スーパーボウルでは落球するたびにすぐ挽回し、9回140ydsの大活躍で勝利に貢献した。多くの面で順調に進歩し、ランブロッキングもWR陣では一番。ただ、ルーキーイヤーにわずか1回しか落球しなかったのが、この2年は10%前後ととやや落球が目立っている。キックオフリターンはシーズン序盤こそ好調だったが、第4週DET戦で2回もファンブルロストする大失態。その後も機会はもらったが精彩を欠いた。
今年は大ベテランのドライバーから先発の座を完全に奪わなければならない。それができればシーズン中にも契約延長、できなければ来春FAとなって出ていく可能性もある。
7巡指名から2年目の'09年に初ロースター入り、シーズン半ばにACL断裂の大ケガを負ったが、昨年は復活に成功して全試合出場を果たした。スペシャルチームでは中核選手の1人として頑張っている。WRとしての出番は5WR隊形かケガ人が出たときだけで、上位4人との実力差は大きい(プレーオフ4戦でわずか1回6yds)。スピードもサイズもそこそこで、ここからのし上がるにはルート取りなどプレーの精度を上げていかなければならない。今年はルーキーとのロースター争いか。