グリーンベイ・パッカーズ ニュース

2011年3月28日

シーズン総括と展望 G/C編

先発3人が全試合先発を果たし、安定したパスプロテクションでスーパーボウル制覇に貢献した。OL陣の許したプレッシャーが前年の1試合9.0回から6.9回へと改善されたのは、インサイド3人のコミュニケーションが向上したことも大きい。ランブロッキングでは相変わらずLGカレッジが足を引っ張っているが、右サイドでRGシットンとCウェルズのコンビがよく走路を切り開いている。

RGジョシュ・シットンは先発2年目でNFL屈指のガードという評価を固め、ケガさえなければ近いうちに初プロボウルに選出されるはず。Cウェルズも非常に頭のよいプレーぶりで、オフェンシブラインの要として重要な貢献をしている。この2人の先発の座は当分安泰だろう。

いっぽうOL陣最弱のLGダリン・カレッジはもう伸びシロもなく、FAとなる今年は再契約しないものと見られている。同期入団のC/Gジェイソン・スピッツも'09年の腰のケガ以来精彩を欠き、同じくFAとなって出ていくことになりそう。インサイド3ポジションをこなせる器用さがあるとはいえ、左ガードとして途中出場したゲームで不振のため下げられており、実質控えセンターだけの存在になっていた。彼ら2人が再契約するとしたら、よほど安いサラリーを受け入れた場合だけだろう。

というわけで、今年は先発左ガードと2番手センターが交代する年となりそうだ。現時点での有力LG候補はプロ3年目のT.J.ラングだが、ブライアン・ブラガや新人がスターターになる可能性もある。昨日書いたように、ガード専門の選手をドラフト指名するよりも、タックルを獲っておいて誰か1人を左ガードに回すのがパッカーズらしいやり方に見える。

スコット・ウェルズ Scott Wells | Center | Tennessee
6-2 (188cm) | 300lbs (136kg) | 8年目 30歳 | 2004年ドラフト7巡

ジェイソン・スピッツを完全に蹴落とし、不動の先発センターとしてキャリア最高のシーズンを過ごした。頭脳明晰で学習能力が高く、OL陣やQBとのコミュニケーションがしっかりしている。プレッシャーを許したのはプレーオフを含めて16回でOL陣最少。反則はわずか2回(過去5年間で12回)、ショットガンスナップのミスは1回もなかった。OL陣最年長とはいえまだ30歳で、このポジションの傾向からいって、当分は世代交代の必要はなさそう。

ジョシュ・シットン Josh Sitton | Right Guard | Central Florida
6-3 (191cm) | 318lbs (144kg) | 4年目 24歳 | 2008年ドラフト4巡

スターターとなって2年目、パッカーズ最強のOLとしての評価を確固たるものにした。プロボウル投票では知名度不足のせいで補欠に留まったものの、NFLのOB会"NFL Alumni Association"からオフェンシブラインマン・オブ・ザ・イヤーに選ばれた。ランブロッキングはパワフルかつ機動力も高く、パスプロテクションでもアサインメントが確かでミスが少ない。2年間で1スナップも休んでいない。すでにエリート級のガードであり、いずれプロボウルの常連になるものと期待されている。

プロ4年目の今年は契約最終年なので、早めの契約延長がチームの重要課題となるだろう。TEフィンリーも同様だが、順調ならばシーズン終了までに契約がまとまるはず。

ダリン・カレッジ Daryn Colledge | Left Guard | Boise State
6-4 (193cm) | 308lbs (140kg) | 6年目 29歳 | 2006年ドラフト2巡

相変わらず頼りないプレー内容で、先発OL5人の中では明らかに最低の選手。プロ5年間で一度も欠場しないタフさはあるが、ブロッキングではタフさには欠ける。大スランプだった'09年(プレッシャー40.5回)からは立ち直り(23.5回)、スピードラッシュには対応できるものの、ブルラッシュやスタントのピックアップがよくない。"Bad Run"(ショートヤーデージ状況を除く1yds以下のラン)の原因を作ったのも2年連続チーム最多の25回。

もう年齢的に伸びシロがないため、契約最終年にもかかわらず契約延長交渉はまったく行われず。労使交渉がまとまりしだいFA市場に出ていくが、よほどの妥協がなければ再契約はないだろう。緊急時に代役LTが務まらないことも'09年に自分で証明してしまっている。

ジェイソン・スピッツ Jason Spitz | Center/Guard |  Louisville
6-3 (191cm) | 305lbs (138kg) | 6年目 28歳 | 2006年ドラフト3巡

プロ1年目から先発ガードを務め、'09年にいったんはウェルズから先発センターの座を奪った。しかし腰のケガの間にウェルズが大活躍してしまい、'10年に入ってもスターターの座は遠ざかるばかり。LGカレッジが途中退場した第14週DET戦で代役LGに入ったものの、プレー内容が酷かったためにT.J.ラングと再交代させられ、その後は控えセンターだけの存在となってしまった。不振はふくらはぎの問題もあったらしい。

LGカレッジ同様に今年はFAとなるが、いまのところ再契約はないものと見られている。ただ、下記の控えセンター候補たちが頼りなければ、安価に再契約する可能性はある。

ニック・マクドナルド Nick McDonald | Guard/Center | Grand Valley State
6-4 (193cm) | 316lbs (143kg) | 2年目 23歳 | 2010年ドラフト外

ディビジョンIIの無名校からドラフト外入団。キャンプ後半に多少評価を上げたとはいえ、開幕ロースター入りは昨夏最大のサプライズだった。大学では左タックルだったが、プロ入り後はガードとセンターの修業。けっきょくプレーオフを含めて20試合すべてインアクティブだった。「シーズン終盤に復帰できそうな選手をあっさりインジャリーリザーブに入れてG/Cマクドナルドを残すのか」といった批判も少なくなかったが、コーチ陣はポテンシャルをよほど買っているのだろう。今年は左ガード争いと控えセンター争いのどちらをメインにするのか、まだはっきりしない。

イヴァン・ディートリック=スミス Evan Dietrich-Smith | Guard/Center | Idaho State
6-2 (188cm) | 308lbs (140kg) | 3年目 24歳 | 2009年ドラフト外

こちらもディビジョンI-AAのマイナー校出身。'09年にドラフト外入団からロースター入りを果たし、スピッツの戦線離脱で2番手センターを務めた。しかし昨年夏は期待されたほどの成長がなかったのか、新人のニック・マクドナルドに敗れて開幕前に解雇。ウェイバーで拾われたシアトルでも出場機会がないまま解雇され、12月末になってパッカーズと再契約した。今年は控えセンター争いか。

マーシャル・ニューハウス Marshall Newhouse | Guard/Tackle |  Texas Christian
6-4 (193cm) | 319lbs (145kg) | 2年目 22歳 | 2010年ドラフト5巡

テキサス・クリスチャン大からドラフト5巡指名で入団。キャンプ前半は左ガードをプレーしたが、その後は大学時代と同じ左タックルに戻り、プレシーズン後半は3番手・4番手LTとして良い働きを見せた。15試合すべてインアクティブとなったあと、12月末に背中を負傷してインジャリーリザーブへ。横方向のフットワークは良いがまだ線が細く、左ガード争いに加わるにはかなりの馬力向上が必要だろう。

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