グリーンベイ・パッカーズ ニュース

2011年3月17日

今年のルール改正案

NFL競技委員会(competition committee)は今年のルール改正案をまとめ、来週のオーナー会議において勧告を行うことになった。32球団中24球団の賛成があれば可決される。ベテランHCやGMで作る同委員会の権威は大きいが、オーナー会議で否決されることはけっして珍しくない。改正案の内容はおおよそ以下のとおり。

  1. キックオフ位置を30ydsラインから35ydsラインへと前進させ、そのかわりタッチバック後の攻撃開始地点を25ydsラインとする。キックオフチームの選手は30ydsラインより後からスタートすることはできない(助走距離が5yds未満へと短縮)。リターンチームのウェッジ・ブロック(現在は2人までならOK)もすべて禁止とする。
  2. 悪質なヒットを繰り返す選手に対し、出場停止を含めて処分をより厳しくする。昨年10月ごろから常習者への罰金の高額化を進めたが、出場停止処分については脅し止まりで、まだ実際に出場停止となった選手はいない。OLBジェームズ・ハリソン(PIT)のような反省の色の見られない選手への抑止力とするための措置なのは言うまでもない。
  3. インスタント・リプレーのチャレンジ権限を変更。これまでは前後半2ミニッツのリプレー・チャレンジだけはオフィシャルが行っていたが、それに加えて新たに、得点プレー(TD、FG、エクストラポイント、セーフティ)もすべてオフィシャルの権限とする。そのかわり、これまで「2回チャレンジ成功すれば3回目のチャレンジ可能」だったのを、「いくら成功してもチャレンジは2回まで」と変更する。
  4. 開幕戦DET@CHIではWRカルヴィン・ジョンソンのTDパスキャッチ不成立(ビデオ)が大きな話題となったが、そのパスキャッチ判定基準は変更しない。たとえボールを確保して両足が残っても、その後の倒れ込む過程でボールをこぼしたら不成立となる。
  5. プレーオフのシード順決定法は現状のまま据え置き。

1番のキックオフ位置/タッチバック位置の変更は選手の安全を向上させるためのもの。キックオフリターンはとくにケガの多いプレーだからだ。リッチ・マッケイ委員長(ファルコンズ社長)は、「キックオフ後の平均オフェンス開始地点は27.6か27.7yds地点だから、(新ルール下で)タッチバックを多く蹴っても大きなプラスにはならないだろう。最大の眼目はフィールドを短くしてしまうこと。(激突までの助走距離を短くすることで)ケガを減らし、それでいてオフェンス開始地点が変わらないことを我々は望んでいる」と語っている。

キックオフ位置のルール改正が正式決定された場合、最もトクをするのはパッカーズかもしれない。WRデヴィン・ヘスターやWRパーシー・ハーヴィンといった有力リターナーを地区内に抱えて「40ydsまでリターンされなければ御の字」であるうえ、こちらのキックオフリターナーはヘナチョコだからだ。当然ベアーズのようにスペシャルチームの優れたチームからは反発が予想される。タッチバックが増えればより安全に、そしてより退屈になるのはたしか。

2番は昨年途中に強化した罰則を明文化しただけ。違反回数は1年単位でリセットされるのではなく、過去2年を対象とするようだ。

3番の、得点プレーのチャレンジをすべてオフィシャル権限とするのは、ヘッドコーチの責任を軽減し、誤審の多いゲームでチャレンジ権を使い切ってしまう不公平をなくすため。

4番のパスキャッチ基準は大きな批判を受けて今年は変更されるかと期待されていただけに、変更なしとの決定に失望の声が上がっている。「たとえば両腕を前に伸ばしてエンドゾーンに突っ込むような場合、エンドゾーンに(ボールの先が)入ったあとでボールをこぼしてもタッチダウンが認められるのに、なぜパスキャッチだとダメなのか。もっと単純にできるものをなぜしないのか」といった批判だ。

カテゴリ : NFL