新トレーニングコーチはデイヴ・レディング Dave Redding に決定した。マッカーシーHCにとって前任者ロック・ガリクソンはセインツ時代の同僚だったが、今度のレディングはチーフス時代の同僚。マッカーシーHCの師匠格であるマーティ・ショッテンハイマーから推薦があったのかもしれない。レディングのトレーニング方針が前任者ロック・ガリクソンと共通しているのは、マシンよりフリーウェイトを重視すること。3年前のガリクソン就任時には大金をかけてトレーニングルームを大改造したパッカーズだったが、今回は大きな方針変更はなさそうだ。
前任者ロック・ガリクソンが解任されたのは、選手たちとの関係が悪化してしまい、選手たちのトレーニングプログラムへの取り組み方にも悪影響が出てしまったからだ、と情報筋は説明している。先日の記者会見でマッカーシーHCは解任理由を明らかにしなかったものの、「今季ケガ人が増えたことが解任の理由ではなく、フリーウェイト vs マシンというトレーニング方針の問題でもない」としている。
デイヴ・レディングはNFLで23年の経験を持つベテランで、ブラウンズ(1982-88)、チーフス(1989-98)、レッドスキンズ(1999)、チャージャーズ(2002-06)と、キャリアのほとんどをマーティ・ショッテンハイマーHCの下で働いてきた。全米トレーニングコーチの殿堂 USA Strength and Conditioning Coaches Hall of Fame に選ばれているほか、いろいろな受賞歴がある。またチャージャーズ時代には、体重制限を守れなかったWRデヴィッド・ボストンが数ヶ月にわたって彼と対立し、罰金処分に怒ったボストンが罵り言葉とともに罰金通告書を彼の顔に投げつけ、チーム(ショッテンハイマーHC)から1試合の出場停止処分を科せられる、という事件も話題になった。
レイダーズのダレン・ペリー前DBコーチが、パッカーズのセーフティ・コーチに決定した。昨日のグリーンOLBコーチと共通するのは現役時代にケイパースDCの下で活躍したことで、違うのは、引退後すでにNFLで7年間のコーチ経験があること。コーチになってからは、ケイパースDCともマッカーシーHCとも接点がなかったようだ。これでディフェンスの残るスポットはCBコーチだけとなったが、クォリティ・コントロールのジョー・ウィットJr.の昇格が有力、と地元2紙は伝えている。
ダレン・ペリー Darren Perry はペン州立大出身の40歳。1992年のドラフト8巡指名でスティーラーズに入団、これがカウアーHCおよびケイパースDCの就任初年度だった。下位指名入団ながらいきなり6INTを挙げるなど、1年目から先発フリーセーフティに定着。CBロッド・ウッドソンやSカーネル・レイクらと強力DB陣を構成し、スーパーボウル出場にも貢献した。在籍7年間で負傷欠場はわずか2試合だった。その後レイヴンズやセインツを経て、2000年かぎりで引退。通算35インターセプト。
引退後の2002年にはディック・ルボウHC(これもスティーラーズ時代の縁)に誘われ、ベンガルズでセーフティ・コーチに就任。その後、古巣スティーラーズで4年、レイダーズで2年DBコーチを務めていた。
かつてサック王として活躍した元OLB/DEケヴィン・グリーン Kevin Greene が、パッカーズのアウトサイドLBコーチに就任することになった。スティーラーズやパンサーズではドム・ケイパースの下でプレーしたので、その縁で誘われたものと思われる。これまでキャンプ中に臨時コーチ(昨夏はスティーラーズ)として教えたことはあるが、シーズンを通してコーチとして契約したことはない。実質パスラッシュ専門家として招いたのかもしれない。
これまではDLコーチが2人でLBコーチが1人だったが、3-4への移行にともなってLBコーチが2人、DLコーチが1人(今後増える可能性はある)となった。ウィンストン・モスの肩書きはインサイドLBコーチとなり、ターゴヴァックDLコーチと3人でフロント7を指導する。
ケヴィン・グリーンはオーバーン大出身の46歳。1985年のドラフト5巡でラムズに入団し(在籍8年)、以後スティーラーズ(3年)、パンサーズ(1年)、49ers(1年)、そしてふたたびパンサーズ(2年)。現役15年間でプロボウル5回、サック王2回、二桁サックが10回。通算160サックは、ブルース・スミス、レジー・ホワイトに次ぐNFL史上3位。激しいプレースタイルに加え、外向的で情熱的な人柄もファンに人気があった。
なおウィキペディアによると、彼は大学時代に予備役将校訓練課程(いわゆるROTC)に入り、陸軍予備役大尉として、オフシーズンになるとフォート・ノックス基地で訓練を受けた。また、戦車や空挺部隊の訓練も受けている。
今回はディフェンスやスペシャルチームを中心にした雑多なスタッツ・記録集。
ドム・ケイパース新DCが入団記者会見を行った。HC経験豊富だけに場慣れした様子で、リラックスしながらも慎重な話しぶり。
マッカーシーHCが会見を開き、ドム・ケイパースのDC就任を正式に発表した。彼は2週間前のコーチ陣大量解雇の際にも記者の前に姿を現しておらず、新スペシャルチームコーチ発表、ケイパース新DC決定を経て、これが初めての会見となる。あまりに長かった沈黙に、地元記者たちから批判の声が上がり始めていたところだった。なお、ケイパース新DCは今回の会見には顔を出しておらず(NEで残務処理か)、今日グリーンベイで記者会見を行う。
会見の目玉は、ヘッドコーチ自ら3-4ディフェンスへの移行を明言したこと。新スキームとはいえ、現在の戦力でかなりのピースが揃っていることを強調。また、アーロン・キャンプマンを(3-4では「縁の下の力持ち」的存在になりかねない)DEではなく、アウトサイドLBで起用する可能性も示唆している。
そのほか、ウィンストン・モスLBコーチ(兼アシスタントHC)の留任、ショーン・スローカム新STコーチを選んだ理由、トレーニングコーチの候補など。
新ディフェンシブ・コーディネーター、ドム・ケイパースの経歴を紹介。
オハイオ州東部のケンブリッジで生まれたケイパースは、故郷に近いマウント・ユニオン大でLBやSとしてプレー。卒業後にケント州立大(これもオハイオ州)で修士号を取得しつつ、コーチのキャリアを始めた。めずらしいほど一貫してDBコーチばかり続けながら、有力大学へとステップアップした。名門オハイオ州立大のあと、新興USFLのフィラデルフィア・スターズがプロフットボールの入り口に。2年連続USFL制覇、ディフェンスも2年連続1位という実績を残し、ジム・モーラHCとともにNFLのセインツに移った。
セインツではドーム・パトロールとよばれた強力ディフェンスに貢献し、1992年にスティーラーズで初めてのコーディネーター職に。ビル・カウアーHCの初年度だった。前年22位だったディフェンスを立て直し、在任3年間のディフェンス成績は13位、3位、2位。3年連続プレーオフ出場に貢献し、新設パンサーズの初代HCに選ばれた。パンサーズではQBケリー・コリンズ率いる若いオフェンスと、LBサム・ミルズなどベテラン中心のディフェンスの組み合わせで、創立2年目でNFC決勝に進出する快挙(パッカーズに敗れる)。しかしその後2年間は成績が低迷し、1998年かぎりで解任となった。
その後ジャガーズでコーディネーターに戻り、1999年にはNFL4位(失点1位)のディフェンスでAFC決勝進出に貢献した。2001年にはまたもエクスパンション・チームのテキサンズ初代HCに就任したが、計18勝しか挙げることができず、今度も4シーズンで解任となった。翌年には$2.6ミリオンの超高額サラリーでドルフィンズに入団、ニック・セイバンHCの下で(スペシャルアシスタントの肩書きだが実質はDC)ディフェンス4位の好成績を残した。翌年もキャム・キャメロンHCの下でDCを務めたが、ディフェンス成績は23位に下がり、他のコーチ陣と一緒に解任。今季はペイトリオッツに招かれ、スペシャルアシスタント兼DBコーチを務めていた。
彼のNFL経歴のうち、主に3-4隊形を使っていたのがセインツ、スティーラーズ、パンサーズ、テキサンズ。主に4-3だったのはジャガーズ。ドルフィンズは3-4/4-3のハイブリッド。
Dom Capers Coaching Career | |||
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Year | Team | Position | Head Coach |
1972 - 1974 | Kent State University | Graduate Assistant | Don James |
1975 | University of Washington | Graduate Assistant | Don James |
1975 - 1976 | University of Hawaii | Defensive Backs Coach | Larry Price |
1977 | San Jose State University | Defensive Backs Coach | Lynn Stiles |
1978 - 1979 | University of California | Defensive Backs Coach | Roger Theder |
1980 - 1981 | University of Tennessee | Defensive Backs Coach | Johnny Majors |
1982 - 1983 | Ohio State University | Defensive Backs Coach | Earle Bruce |
1984 - 1985 | Philadelphia/Baltimore Stars | Defensive Backs Coach | Jim Mora |
1986 - 1991 | New Orleans Saints | Defensive Backs Coach | Jim Mora |
1992 - 1994 | Pittsburgh Steelers | Defensive Coordinator | Bill Cowher |
1995 - 1998 | Carolina Panthers | Head Coach | - |
1999 - 2000 | Jacksonville Jaguars | Defensive Coordinator | Tom Coughlin |
2001 - 2005 | Houston Texans | Head Coach | - |
2006 | Miami Dolphins | Special Assistant to HC | Nick Saban |
2007 | Miami Dolphins | Defensive Coordinator | Cam Cameron |
2008 | New England Patriots | Special Assistant/DB Coach | Bill Belichick |
元テキサンズHCのドム・ケイパースが、パッカーズのディフェンシブ・コーディネーター就任に合意した。まだ正式発表はないものの、地元2紙がそれぞれ情報筋から確認しているので、間違いはなさそう。サンダース前DCを解任して以来13日間にわたって新DC探しを続けてきたマッカーシーHCだが、面談した4人はヘッドコーチ経験もある大物ばかり。DC経験のない若手とも面談したい、と言っていたのはおそらく大物候補に断られた場合の予防線で、自分がオフェンス専門だけに全面的にディフェンスを任せられるよう、実績を重視したのだろう。
ケイパースは金・土とパッカーズを訪れて面談を行ったいっぽう、スパグノーロDCを失ったジャイアンツが新DCの最有力候補として狙っている、ともっぱらの噂だった。ジム・ハスレットよりも明らかに優れた実績(比較表)を残してきたケイパースが新たな本命と見られていたが、パッカーズはすでに2人に逃げられているので、結局また断られるのでは、と悲観的な見方が広がっていたところだった。
今回は主にオフェンスを中心にした雑多なスタッツ・記録集。
今季パッカーズのスタッツ集。今季前半終了時・2007年・2006年・2005年 のスタッツも参照のこと。
オフェンス | ||||||||||||||
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Total | 得点 | ラン | ラン(1回) | ランTD | FumLos | パス | パス% | パスavg | パスTD | INT | Rate | サック | 3rd% | Red |
351.1 | 26.2 | 112.8 | 4.1 | 11回 | 8回 | 238.3 | 63.4% | 6.63 | 28回 | 13回 | 93.3 | 34回 | 44.2% | 60.4% |
8位 | 5位 | 17位 | 18位 | 24位 | 6位T | 8位 | 10位 | 10位 | 5位 | 12位T | 6位 | 19位 | 5位 | 6位 |
NFL2位だった昨年と比べればおとなしくなったものの、QB交代を考えればトータルヤーデージ8位は上出来だろう。得点力が5位なのはレッドゾーンTD率が高くなったことに加え、ディフェンスの7TD(NFL最多)も大いに貢献している。今季の最低得点は16点(3試合)で、最低得点がこれほど高かったのはファーヴ時代の16年間に一度もなかった。勝ちきれないかわり、強敵相手でもそれなりの接戦に持ち込んだことがここにも表れている。
ラン攻撃はシーズン後半になってRBグラントが復調したため、前半の平均3.7ydsから4.1ydsへ改善された。今季はRBグラントのビッグゲインが影を潜め、20yds以上のランは昨年の15回(7位)から10回(19位タイ)に減り、40yds以上のランも4回(4位タイ)から2回(14位タイ)に。QBロジャースのスクランブル(207yds)に助けられてはいるものの、爆発力のダウンは明らかだ。ランによる1stダウン率は昨季の17.8%(28位)から22.7%(17位)とアップ。QBスニークの成功率の高さもあって、ショートヤーデージのランは悲惨だった昨年よりマシになった。
パス攻撃はNFL8位で、QBファーヴにとってキャリア最高クラスだった昨季より下がるのは仕方がない。シーズン後半は前半よりも少し数字がアップ。毎年パッカーズは厳寒期になればQB成績が下がるが、QBロジャースは安定した成績を残した。ランで1stダウンが取れないなか、3rdダウン成功率が昨年より上がっているのも立派だ。インターセプトは後半やや増えて12位タイとなったが、今季INTリターンTDを一度もされなかった7チームのうちの1つだった。INT数が少ないのはQBファーヴとのプレースタイルの違い。
被サックは昨年の19回(3位T)から34回(19位)と悪化し、サックydsも127yds(3位)から231yds(21位)と急増してオフェンスの足を引っ張っている。OL全体の力が(衰える選手と成長する選手で)ほぼ横這いと仮定すると、サック急増はやはりQBファーヴとQBロジャースの経験、嗅覚、分析力、クイックリリースといった部分の差だろう。QBロジャースの個人成績が1試合あたり252.4yds(NFL6位)なのに、チームのパス成績が238.3yds(8位)なのは、被サック分が差し引かれるからだ。
3rdダウン成功率はNFL5位の44.2%と素晴らしく、レッドゾーンでのTD率もNFL6位の60.4%と申し分なかった(2007年はNFL14位の54%)。ただ、4thダウン成功率ではNFL23位の44.4%しか成功できていない。
ターンオーバー | 反則 | 相手反則 | ||||||||
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Takeaways | Giveaways | DIFF | 回数 | ヤード | 回数 | ヤード | ||||
Total | Int | FumRec | Total | Int | FumLos | |||||
28 | 22 | 6 | 21 | 13 | 8 | +7 | 110回 | 984yd | 89回 | 721yd |
12位 | 3位T | 28位T | 8位T | 12位T | 6位T | 6位 | 31位 | 32位 | 18位T | 18位 |
ターンオーバーレシオは今季も+7の好成績を収めることができた。ディフェンス陣のインターセプトが多くファンブルリカバーが少ないのは昨季と同じ。CBウッドソン(2位の7INT)に加えて、FSコリンズ(2位の7INT)とCBトラモン・ウィリアムズ(6位の6INT)が大きく成長し、大量のインターセプトでチームを助けた。ただしLB陣のインターセプトが1つもなかったのはどういうわけか。ファンブルリカバーは28位タイのわずか6回で、これも普通に考えればLB陣の不振のせいだろう。
オフェンスのインターセプトは昨年の15回から13回に減り、ファンブルロストも9回から8回に減っているのでまずまず。ファンブルはRBグラントとQBロジャースにほぼ集中している。QBロジャースのファンブル9回は全QB中10番目に多い。被サックが多かったのと同じで、慎重になりすぎてボールを持ち過ぎる傾向があった。
今季も反則が非常に多く、ヤーデージでは堂々の最下位。2年連続での失態に、コーチ陣の指導力を批判する声も大きくなってきた。シーズン後半はOL陣の反則がやや減ったが、ディフェンスやスペシャルチームでレイトヒット等の馬鹿げた15ydsを献上する場面が目立った。昨季は相手チームも反則が多かったので相殺されていたが、今年は差し引き263ydsもこちらの反則が多い。
今季パッカーズのスタッツ集。今季前半終了時・2007年・2006年・2005年 のスタッツも参照のこと。
ディフェンス | ||||||||||||||
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Total | 失点 | ラン | ラン(1回) | ランTD | FumRec | パス | パス% | パスavg | パスTD | INT | Rating | サック | 3rd% | Red |
334.3 | 23.8 | 131.6 | 4.6 | 20回 | 6回 | 202.8 | 55.4% | 5.95 | 22回 | 22回 | 71.9 | 27回 | 38.1% | 56.9% |
20位 | 22位 | 26位 | 26位 | 27位 | 28位T | 12位 | 3位 | 11位T | 21位T | 3位T | 4位 | 25位T | 14位 | 23位 |
今季前半と比べると多くの部門で成績がダウン、とくにパス守備とレッドゾーン成功率が悪化し、総TD数が大幅に増えた。シーズン前半はラン・パス合わせて17TDだったのが、後半は25TD。
ラン守備は前半終了時からは多少持ち直したものの、やはりNFL底辺クラス。ラン守備の要となるDE/DTジェンキンズ、LBバーネット、SSビグビーの戦線離脱が大きく響いた。苦手意識からLB陣がオーバーパスートし、カットバックされると簡単にロングゲインとなってしまう。
シーズン中盤まで有力QBとの対戦が少なかったせいかNFL5位のパス守備が自慢だったが、第12週@NOで崩壊して51点を許し、そのセインツ・ショックが泥沼の5連敗につながった。第14週には4ターンオーバーを奪いながら、QBマット・ショウブにパス414yds、テキサンズ記録のトータル549ydsを許す大失態。シーズン前半の相手QBレーティングは59.9(NFL1位)だったが、後半は83.9でNFL17位あたりに相当する。カバレッジが必死で頑張っても、パスラッシュが届かないため相手QBに時間を与えて結局パスを通されるおなじみのシーンばかり。
昨年はレッドゾーンTD率が48.8%でNFL9位だったが、今年はNFL23位の56.9%と大幅に悪化。今季前半終了時点ではNFL8位の40.7%とよく踏ん張っていたことを考えると、シーズン後半のディフェンス崩壊ぶりがよくわかる。トータルヤーデージでは今季前後半でほぼ同じだったのに失点が増えたのはそのせいで、「もろくなった」という表現がぴったり。
スペシャルチーム | ||||||||||
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Kickoff | Punt | Kickoff Ret | Punt Ret | Field Goals | ||||||
Avg. | TB | Coverage | Avg. | TB | Coverage | Net | 成功率 | 回数 | ||
64.3 | 17回 | 23.4 | 41.4 | 6回 | 7.5 | 35.7 | 20.1 | 10.8 | 79.4% | 27回 |
15位T | 6位 | 20位 | 27位 | 15位T | 10位 | 24位 | 32位 | 6位 | 27位 | 15位T |
パントカバレッジNFL10位は立派だが、パントがシャンクしてアウトオブバウンズに出たり、低く転がって相手リターナーが見送ることが多かったせいかもしれない。キックオフカバレッジはシーズン後半に悪化、とくに試合終盤の勝負どころで相手に有利なフィールドポジションを与える場面が多く、STコーチの責任問題になった。
リターナーはキックオフもパントもCBウィル・ブラックモンがシーズンを通して担当。パントリターンはNFL6位の好成績(TDも2回)だったものの、キックオフリターンは昨年より悪化してついにNFL最下位となってしまった。ケガ人続出でブロッキングチームが悪くなったせいもあるのだろうが、縦一直線に突っ込みたがらないブラックモンのスタイルにも問題がありそう。ファンブルが4回(ロストはしていない)があったように、ボールハンドリングでやや雑なところも。
Kメイソン・クロスビーのフィールドゴールは、第16週ベアーズ戦で2つ失敗して80%を割り込んだ。前後半終了間際のFG失敗がそれぞれ2試合ずつあり、終了間際にFGを決めて勝った試合が一度もなく、勝負強さに疑問の残るシーズンだった。FGアテンプト数は昨年の39回(NFL1位)から34回(10位T)に減り、オフェンス力がややダウンしたことを示している。キックオフがシーズン後半に飛ばなくなるのは寒冷地なので致し方なく、平均ydsが15タイ、タッチバック数6位ならば文句なしだろう。
先日引退したマイク・ストックの後任として、これまでアシスタントだったショーン・スローカムがスペシャルチームコーチに昇格することになった。マッカーシーHCは他にもチーフスのマイク・プリーファーや元49ersのラリー・マック・ダフと面談し、レイダーズのブライアン・シュナイダー(USC入りが決定)にも興味を示していたが、スローカム昇格の機は熟したと判断したのだろう。なお、今季のスペシャルチーム不振のためチーム側がストックに退団決定を通告したところ、69歳のストックは自ら引退する道を選んだ、というのが真相らしい。
ショーン・スローカム Shawn Slocum はテキサスA&M出身の43歳。同大最多勝ヘッドコーチ(在任1989-2002)の父、R.C.スローカムの下でコーチ修業を始め、1990年にはマッカーシーとともにピッツバーグ大の院生助手だったことがある。その後USCのLBコーチ兼STコーチ、ミシシッピ大のアシスタントHC兼LBコーチなどを経験し、スペシャルコーチを兼ねることが多かった。2006年に初めてNFL入りし、パッカーズのマイク・ストックでアシスタント・スペシャルチームコーチを務めてきた。Journal Sentinel紙によると、今回マッカーシーHCは、彼をディフェンスのスタッフに加えることも真剣に検討したとのこと。
ボブ・サンダースDC、カール・ヘアストンDEコーチ、ロバート・ナンDTコーチ、カート・ショッテンハイマーDBコーチ、ライオネル・ワシントンCBコーチ、そしてトレーニングコーチのロック・ガリクソンの解任が正式に発表された。チーム不振といっても1年だけのため、ここまで思い切ったことをするとは、と驚きの声が上がっている。
パッカーズがボブ・サンダースDCを解任したと National Football Post が報じている。同サイトは昨年パッカーズを退団したアンドリュー・ブラント元副社長が設立・運営しているもの。ブラントは今も球団内に友人は多いので、情報の確度は高いものと思われる。
パッカーズの来季16戦の対戦相手が全て決定した。来季のNFC北地区チームはNFC西およびAFC北と対戦する順番。それに加えてパッカーズは、残りNFC2地区の3位同士、つまりカウボーイズおよびバッカニアーズと対戦する仕組みになっている。ホームorアウェーについては下表の通り。
対戦相手の2008年成績は合計109勝146敗1分で勝率.428とかなり恵まれているが、来季になれば強弱は全く違ってくるのでアテにならない。たとえばNFC南の2007年成績は27勝37敗の.421だったが、実際の2008年成績は40勝24敗の勝率.625だった。今回はライオンズが0-32と下に引っ張っていることが大きく、勝ち越しチームが9つ、負け越しチームは7つとなっている。
なお、具体的な日程は毎年4月ごろに発表される。
Packers 2009 Regular Season Opponents | |||||||
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Opponent | Division | 2008 | 前回の対戦 | ||||
San Francisco 49ers | NFC西 | 7 | 9 | W | 30-19 | '06 | |
Seattle Seahawks | NFC西 | 4 | 12 | W | 27-17 | '08 | |
Dallas Cowboys | NFC東3位 | 9 | 7 | L | 16-27 | '08 | |
Baltimore Ravens | AFC北 | 11 | 5 | L | 3-48 | '05 | |
Cincinnati Bengals | AFC北 | 4 | 11 | L | 14-21 | '05 | |
Minnesota Vikings | 同地区 | 10 | 6 | 1勝1敗 | |||
Chicago Bears | 同地区 | 9 | 7 | 1勝1敗 | |||
Detroit Lions | 同地区 | 0 | 16 | 2勝 | |||
@ | Arizona Cardinals | NFC西 | 9 | 7 | W | 31-14 | '06 |
@ | St. Louis Rams | NFC西 | 2 | 14 | W | 33-14 | '07 |
@ | Tampa Bay Buccaneers | NFC南3位 | 9 | 7 | L | 20-23 | '06 |
@ | Pittsburgh Steelers | AFC北 | 12 | 4 | L | 10-20 | '05 |
@ | Cleveland Browns | AFC北 | 4 | 12 | L | 24-26 | '05 |
@ | Minnesota Vikings | 同地区 | 10 | 6 | 1勝1敗 | ||
@ | Chicago Bears | 同地区 | 9 | 7 | 1勝1敗 | ||
@ | Detroit Lions | 同地区 | 0 | 16 | 2勝 | ||
計 | 109 | 146 | (.428) |
解任の可能性が取り沙汰されていたマイク・ストックSTコーチが引退を発表した。最終戦前には「すべてヘッドコーチしだい」と語っていたことからすると、自ら退いたというより、引退に追い込まれたのかもしれない。ストックはコーチ陣最年長の69歳で、そのコーチ歴はじつに44年に及ぶ。母校ノースウェスタン大を皮切りにノートルダム大などカレッジ界で26年間を過ごしたあと、ベンガルズ(5年)、チーフス(6年)、レッドスキンズ(3年)、ラムズ(1年)、パッカーズ(3年)とNFLのスペシャルチームコーチを歴任した。
「フットボールへの情熱は最後の試合まで非情に強かったが、来季のため必要なコミットメントについて考え、家族とも話し合った結果、引退するのが我々にとって最善であると判断した。フットボールの選手、コーチとして、私は生涯を通じてとても恵まれていた。最後の素晴らしい3年間をここで過ごせたことを、グリーンベイ・パッカーズに感謝している。これからもフットボールを恋しく思い、この世界の友人たちを懐かしく思うだろう。しかし同時に、私は自分の時間を妻と、3人の子供たち、5人の孫たちと一緒に過ごせることを楽しみにしている」
今後注目されるのはボブ・サンダースDCを解任するかどうかだが、その他にもジェームズ・キャンペンOLコーチ、カール・ヘアストンDEコーチのクビが飛ぶのではないか、という噂も出てきている。
今オフシーズン序盤の重要なテーマを以下にまとめてみる。