1Q | 2Q | 3Q | 4Q | Total | |
---|---|---|---|---|---|
Titans | 0 | 0 | 7 | 13 | 20 |
Packers | 0 | 3 | 3 | 15 | 21 |
天気は晴れ。気温25℃。両チームとも2番手QBまではオフェンスが進まず、パッカーズはFG2本だけ、タイタンズはキックオフリターンTDだけで、6-7の貧攻戦。3番手QBが出てきたところから得点が動き始め、QBノールが2TDを挙げる活躍で7点リード。終了間際にタイタンズがタッチダウンを決めるが、同点でなく2ポイントで逆転を狙って失敗。かろうじてパッカーズが逃げ切った。本番なら延長戦になっていたところ。
多くのポジションが固まりつつあるが、ロースター枠を争う選手たちはタイタンズ戦に最後の望みを賭ける。良いところをアピールすれば、仮にパッカーズに残れなくても、他チームから声がかかったり、プラクティス・スクワッドに残る可能性も出てくる。
ファンに公開される練習としてはこれが最終日。開幕近し。
6月はじめにヒザの関節鏡手術を受けて以来、チーム練習には一度も参加できていなかったOTアール・ドットソンがようやく復帰した。こんな時期まで一度もプレーできない選手を待っているのは異例なことだが、やはりそこは実績。90年代後半にずっと先発RTを務めたドットソンの能力なら、わざわざプレシーズンでテストする必要はない。それよりも、少しでも無理をしたために開幕に間に合わなくなることがないよう、首脳陣も細心の注意を払って、ようやく復帰にこぎつけた。
金曜日のタイタンズ戦には本人は「出ないと思う」と言い、シャーマンHCは「出るだろう」と言い、どうも噛み合っていないが、要するに、出るとしてもほんの試運転程度、ということだろう。これまでも、室内練習場での別メニューながらかなりの練習量をこなしており、いきなりの出場でもそれほど問題はなさそうだ。「キャンプのはじめにフィジカルテストをパスしなかった時は引退も考えたけど、コーチやドクターの説得を受けいれて、ここまでやってきてよかった」とドットソン。
それよりも今大事なことは、極めて手薄な左タックルの控えをドットソンにやらせてみるということなのだ。デプスチャート上では、ドラフト6巡ルーキーのホウトンが先発クリフトンの控えだが、キャンプでもプレシーズンゲームでも大苦戦。また、ドラフト外ルーキーのケヴィン・バリーはホウトンより頼りになりそうだが、本職は右タックルで、プロ入りしていきなりコンバートでは荷が重い。右タックル以外での出場経験のないドットソンとはいえ、能力的にはこなせるはず、というのが首脳陣の考え。「彼にそれだけの柔軟性があればいいと期待している」とシャーマンHC。
先発LTクリフトンが負傷した場合のシナリオはいくつか考えられる。
LGウォールは一昨年にLT失格の烙印を押されているし、2年目のフェラリオはまだ頼りないので、(3)の案は避けたい。というわけで(1)(2)の両案が現実的。他をいじらなくてもいい、という点で(1)が理想的なのは言うまでもない。 「新しい目標に向けて挑戦するっていうのはいいね。今年が僕の最後のシーズンになるかもしれないけど、今はこのチャレンジをがんばろうと思う」
解雇されたと勘違いしたRBジェイソン・ブルッキンズが、勝手にグリーンベイを去ってミズーリ州の自宅に帰ってしまい、大騒ぎとなった。どうやら、その顛末は以下の通りのようだ。
火曜日、プレーブックの提出を命じる選手名のリスト(スターターも含まれていた)がロッカールーム内のモニター画面に表示された。次の試合用のプレーをプレーブックに書き加えるためだ。ところが、そのリストに名前のあったブルッキンズが、てっきり自分が解雇されるためにプレーブックを返却させられるのだ、と思い込み、返却を済ますとさっさと車でミズーリに帰ってしまった。気が付いたパッカーズ側が連絡を取ろうとしても、彼は携帯の電源を切っていたので、代理人を通しても、どうしようもない。ようやく連絡のついたのが水曜日の昼。
現状では、RBブルッキンズは、次回9月1日の最終ロースターカットで解雇されるのはほぼ確定的。しかしまだ保有権はパッカーズにあるし、金曜日のタイタンズ戦でケガ人が出れば残留の可能性も出てくる。代理人は彼をグリーンベイに戻す気はないようで、「もう可能性がないのなら、他でチャンスを得るためにも早くカットを」と発言しているが、パッカーズ側は彼を"reserve/left squad list"に入れた。こうすることによって、彼の保有権を残したまま、ロースターに空きが作れる、ということらしい。
ロースター枠を80人から65人に絞り込む第1次ロースターカット期限がやってきた。なお今回のロースター枠65人だが、NFLヨーロッパ派遣選手はまだ例外扱いされている。次回の最終ロースターカット(9月1日)ではその優遇措置も消え、容赦なく53人にカットされることになる。
Marcus Brady | QB | 第4QBでは、キャンプで投げる機会そのものが少なかった |
Ki-Jana Carter | RB | コンディショニング不足のせいか精彩を欠いた |
Bill Seymour | TE/FB | FBダヴェンポートの復帰で可能性が消滅か |
Javon Green | WR | |
Andy McCullough | WR | |
Brian Haugabrook | WR | |
Chris Watton | OG | |
Aaron Fields | DE | |
Ken Kocher | DT | 契約ボーナス1万ドルも支払ったが、ノーズタックルの層が厚かった |
Algie Atkinson | LB | 有望なルーキーFAだが、精神面の問題も大きく、LBウィルキンズに敗れた |
Kenny Harney | LB | |
Anthony Sessions | LB | |
Gana Joseph | DB | |
Seneca McMillan | CB | |
Louie Aguiar | P | 大ベテランパンター、最初からあまり期待されてなかった |
先日は元ヘビー級チャンピオンのジョー・フレイジャーをミーティングに招いたシャーマンHC。この日曜日の晩は、元NBAの偉大なセンター、ビル・ラッセルを招待し、選手・コーチ一同がその話に耳を傾けた。ラッセルは1950年代から60年代にかけてボストン・セルティックスの中心選手として13年間活躍し、8連覇を含む11度の優勝を経験、5回のMVPに輝いている。また、4大プロスポーツ史上初の黒人ヘッドコーチでもあった。ラッセルは翌日のブラウンズ戦もパッカーズのサイドラインに立ち応援をしていた。
1Q | 2Q | 3Q | 4Q | Total | |
---|---|---|---|---|---|
Browns | 14 | 0 | 3 | 3 | 20 |
Packers | 0 | 10 | 10 | 7 | 27 |
ランボーフィールドの工事をオフの間にできる限り進めるため、これまでのプレシーズンゲームはアウェーで行われ、第3戦にしてこれが今季初のホームゲーム。これまで全米トップクラスの暗さだった照明が付け替えられたため、かなりの明るさになっている。
前日にはごついニー・ブレースを付けていたWRテリー・グレンだが、この日はそれを外し、厳重なテーピングだけ。最後にはQBノールと居残りで練習し、いくつかのパターンを走った。手応えは上々のようで、前日と比べてブラウンズ戦の出場にも前向きの発言。「今日はずいぶん多くのルートを走ったから、腫れ上がったりしないか明日の朝チェックすることになる。明日の試合の出場は"game-time decision"だね」とグレン。しかしシャーマンHCは全くそれについてはコメントしておらず、おそらく自重させることになるのではないか。
ケガに弱くないことを証明しようと焦るWRグレンについて、QBファーヴがかばっている。「彼があのひどい倒れ方をした時、正直言って今年はもうダメなんじゃないかと思ったぐらいだ。そのくらいヤバかったし、今週出場の可能性があるだけでも驚きだよ。確かに僕らのタイミングを合わせることは必要だけど、一番大事なのは彼に元気でいてもらうことだ。練習させすぎないような注意が必要な選手っていうのはいるものなんだ。だからといって、その選手が「ケガしやすい」ってことじゃない。例えばRBアーマン・グリーンみたいなもんだよ。僕らはグリーンが試合でどれくらい出来るか、十分わかっているからこそ、練習でケガさせたくないんだ」
WRテリー・グレンが復帰し、軽く練習を行った。まだヒザに大きなニー・ブレースを付けた状態で、次のブラウンズ戦の出場はまずない。また、プレシーズン最後のタイタンズ戦も、ブラウンズ戦から中三日しかないことを考えれば、出場の可能性は低い。「今のところ、いい感じだよ。来週のタイタンズ戦は、まだ様子を見ないことにはわからない」とグレン。
「確かに腹立たしいけど、起きてしまったことは仕方がない。でも、最初にビビったほど悪くなくて、僕もチームも本当に幸運だった。僕は去年、ろくにキャンプに参加しなかった。しかも4試合の出場停止を喰らって、たいした練習もせずに第5週のチャージャーズ戦に出て、すごいゲームが出来た(7キャッチ、110ヤード)。ここでもきっと出来ると思う」と開き直り気味。
6月はじめにパッカーズからカットされたWRアントニオ・フリーマンがイーグルスと一年契約し、RBレヴェンズとともにプレーすることになった。ベースサラリーは$1ミリオンほどで、インセンティブを含めると$1.7ミリオンほどになるらしい。イーグルスのWRはピンクストンとスラッシュがスターターで、フリーマンは仮に3番手となるが、先発に昇格するチャンスも大きい。
SSアントワン・エドワーズがようやく練習に復帰。昨季第3週のパンサーズ戦でヒザの靭帯を断裂してから、ヒザの回復は順調だったものの、8/6には鼠蹊部を痛めて再びサイドラインへ。8/13には練習に復帰しようとしたが、再び途中退場。今日になってようやく16日ぶりの復帰にこぎつけた。「ヒザの方は彼も100%の自信を持っているようだ。鼠蹊部の方も、もう大丈夫だろう」とスロウィックDBコーチ。プレー内容も上々で、うまくいけば月曜のブラウンズ戦にも出場できるかもしれない。
昨秋の大ケガから、ここに来るまでいろいろなことがあった。4月にはドラフト3巡でアンダーソンが指名され、7月にはバトラーが突然の引退で、エドワーズが棚ボタ的にスターター昇格。しかしそれもつかのま、鼠蹊部を痛めて休んでいる間に、伏兵のマット・ボウエンが活躍してスターターの座を確保する勢いだ。エドワーズが再びスターターになれるかどうか、あと2試合のプレシーズンゲームで結果を出さなければならない。
元パッカーズのLBウェイン・シモンズが交通事故のため死亡した。ミズーリ州インディペンデンス郊外の、高速道路での単独事故の模様。目撃者によると、彼(一人だった)の乗ったメルセデスがスピードの出しすぎのためかコントロールを失い、何度も横転した末に道路脇の溝に転落したらしい。車は炎上し、そばにいた人が彼を助け出そうとしたがシートベルトを外すことが出来ず、消防士が火を消し止めた時にはすでに手遅れだった。享年32歳。
シモンズは1993年に、クレムゾン大からドラフト1巡指名でパッカーズ入り。'96年のスーパーボウル制覇にも貢献した。その後'97年にチーフスにトレードされたが'98年のシーズン中に解雇されている。チーフスでシモンズがコンビを組み、私生活での親しい友人でもあった名LBデリック・トーマスも、交通事故が元で命を落としている。
前日に腰を痛めたばかりのFSダレン・シャーパーが早くも練習に復帰。朝のシャーマンHCのコメントでは、今日は休むとのことだっただけに、これは意外。「別にみんなの手本になろうとか、ヒーローになろうとか、そういうわけじゃないんだ。僕がフィールドにいないと、失われるものが多いと思って」とシャーパー。 しかし、チームメイトも同じようにしてほしいかと聞かれたシャーパーは、「特に誰かのハートやケガを疑うわけじゃないけど、実際練習できるのに、しないようなヤツはいる」とキツイ一言。(おそらくこれは、毎年キャンプになるとあちこちを痛がって休んでばかりいるCBタイロン・ウィリアムズのことを指したのだろう) もちろん首脳陣は、今日のシャーパーの行動を、リーダーシップの現れとして大歓迎している。
DEヴォニー・ホリデイの契約延長交渉がようやく合意に近づいてきた。これまでは双方の隔たりはかなり大きかったのだが、両者のコメントのトーンが明らかに変わってきた。「昨日か一昨日、こちら側から提案をしたんだ。その後、代理人とはよく話し合ってないんだけど、向こうからの反応は良かったみたいなんだ」とホリデイ。「合意するまでは確かに大変だし、交渉の行方がどうなるかはまだわからない。でも前回代理人に確認した時は、もっとはるかに大きい隔たりがあったからね」
以前は「開幕までにぜひ契約を」と主張していたホリデイが、今は「開幕戦までにまとまらなくても、心配はしていない。むしろそれを発奮材料にしてフットボールに集中するつもり」と変化してきたのは、むしろ交渉成立に手ごたえを感じている証拠だろう。パッカーズの交渉担当アンドリュー・ブラントのコメントも、"cautiously optimistic"(注意深く楽観している?)という表現に変わってきた。
引退を発表してから一ヶ月がたつリロイ・バトラー。ESPNなどのオーディションも受けたのだが、引退の時期が遅かったために、TVアナリストになるにもタイミングが悪かったのか、今のところどの局からもオファーがない。「彼らは来年バトラーを考えているのだろう」と代理人のジーン・バロウ。もしこのままオファーがなければこの秋冬は、バトラーは代理人のバロウを手伝って、学生の勧誘に全米を旅することになるかもしれない。
「彼の本当にしたいことがはっきりするまでは、一緒にやってみたいね」とバロウ。「彼がこの仕事を本当にしたくなるかもしれないしね。エージェントっていうのは、誰でもなれるわけじゃないが、彼ならいいエージェントになれると思う。プロ選手が急に引退することになると、将来何をやりたいか、決めるのには時間がかかるものなんだ。どうせ代理人で認可されるにも時間がかかるし、それまでには彼の気持ちは決まるだろう」
Permalink午前の練習の途中から激しい雷雨になり、室内練習場へ。しかし昨年から、"Field Turf"という最新の、自然芝に近い人工芝になっているため、スパイクのクリーツを付け替える必要はなし。すぐさま練習が再開された。
ロング・スナッパーのロブ・デイヴィスは、1997シーズンの半ばにパッカーズと契約して以来全試合に出場し、安定性の象徴とも言える存在になっている。とにかくミスらしいミスをほとんどしないのだ。その恩恵を受けているのは、もちろんKロングウェルとPビドウェルだ。「今、僕やビドウェルが、とても良い調子で蹴れているのは、彼によるところが大きいんだ。彼がスナップしてくれれば、リズムはいつも一定だから」とロングウェル。
ロブ・デイヴィスは全くのロング・スナッパー専門であり、控えセンターとか控えタイトエンドを兼ねられるわけではない。だから毎年、ロースターカットの時期になると、彼のような選手に貴重なロースター枠を割くべきかどうか、議論が起きる。しかしKロングウェルはその価値があると信じている。「他にもロングスナップが出来る選手がいる、と思うかもしれないけど、彼が一定のリズムでスナップしてくれるおかげで、僕らの仕事はすごく楽になるんだ」
「もしロブ・デイヴィスがいなくなったら、大変なことになる。彼は最高のロングスナッパーであるだけでなく、ロングスナッパーとしては最高のブロッカーだからだ。ロッカールームでも素晴らしいし」とロングウェル。デイヴィスの控えロングスナッパーはCウィンタースとCエビーだ。「ウィンタースとも何度か試したよ。まあまあだった。アジャストは出来ると思う。でも彼はロブ・デイヴィスじゃない。ロブはリーグ最高なんだ。彼を交代させることは、QBファーヴを誰か他のQBと代えるようなもんだよ」
2試合続けて不甲斐ない内容だったルーキーQBクレイグ・ノール。コントロールミスが非常に目立ち、2試合合わせて8回の攻撃シリーズで、6/24、86yds。首脳陣の信頼をかなり失ったのは間違いない。QBノールの最終ロースター入りは決まったのか?と聞かれたシャーマンHCは即座に否定している。
だからQBノールは、あと2試合である程度の進歩を見せなければならない。もしダメだった場合、昨年のように第3QBをプラクティス・スクワッドに入れて、ロースター上はQB2人だけで行く可能性もある。似たようなパターンだったのが現シアトルのQBハッセルベック。'98年のドラフト6巡で指名されたハッセルベックもプレシーズンで大苦戦し、最初の年はプラクティス・スクワッドで過ごしている。(その後2年続けてプレシーズンで活躍し、トレードでシアトルへ)
月曜日の練習は、午前中は若手だけでスペシャルチーム練習。午後の練習は、夕方からのランボーフィールドを使ってのナイター練習。こちらも主力のベテラン選手は休みを与えられたため、ベテラン選手たちは2日続けての休息となった。その理由は2つ。まず、来週の試合はマンデーナイトのために試合間隔が中8日もあり、普通に練習していては疲労がたまりすぎること。もう一つは、ロースターカットぎりぎりの若手たちに絞ることで、成長具合を見極めることができること。
もう一つの大きなニュースは、ケガのために練習を休んでいたWRグレン、WRファーガソン、Sアンダーソンらが復帰したこと。
長いこと休んでいるルーキーFBナジェ・ダヴェンポートはもうじき復帰の見込みだが、シーズンを戦えるほど足が良くなっているのか、まだはっきりしない状態。しかも、もう1人のFBクリス・ゴールもケガのため休んでいて、フルバックの層が非常に薄い。そのため、カーディナルス戦ではTEビル・シーモアをフルバックに起用して、最後の6シリーズでテストを行った。結果をまずまずで、コーチたちもシーモアの働きを評価している。「驚かされたよ。まだほんの少ししか経験がないのに、いい仕事をしていた。柔軟性があって、アスレチックで、ブロックも良かった。今後もしばらくFBの練習を続けさせるのに十分な内容だった」とロスリーOC。
ドラフト外ルーキーのTEシーモアは、ミシガン大時代にもゴールライン前で何度かフルバックにセットしたことがあるだけ。しかし現在タイトエンドとしては4番手に過ぎず、最終ロースターに残るにはどんなチャンスも逃せない。「ロースター入りするためなら、何だってやるよ。相手ラインに突っ込んで行くのは素晴らしかった。ここで新しいことを学ぶのは楽しいことだ」とシーモア。
層の薄くなったオフェンシブラインの中で、ドラフト外ルーキーのOTケヴィン・バリーの評価が高く、開幕ロースター入りまであと一歩のところまで来ている。彼は地元ウィスコンシンのラシーン市出身。"gentle giant"と呼ばれた心優しい少年が、パッカーズの開幕ロースター入りできるかどうか、という話題で、ミルウォーキーの南にあるこの小さな街はもちきりなのだ。
彼は子供の頃から体が大きすぎて、"Pop Warner"リーグに参加することを許されなかった。だからフットボールを始めたのは高校に進んでからだ。ラシーン・パーク高校での彼のコーチ、チャック・エリスは「あいつが入ってきた時、すでに275ポンド(124kg)あったはずだ。まるで子供に歩き方を教えるようなものだったよ」と語る。バリーがオフェンシブラインを理解するまで、2年かかったと言う。「しかし一度覚えたことは、決して忘れなかった。彼は勉強熱心で、出来る限りのことを身に付けようとしていた。自分が他の子よりも遅れていることをわかっていたからね」
その苦労が実って、高校3年の時には彼の実力は知れ渡り、ウィスコンシン州の"Player of the Year"にも選出された。エリスコーチの息子で、バリーのOL仲間でもあったコーリー・エリスは、「彼は本当にいい奴で、トラブルなんか起こしたこと一度もない。でもフィールドに立つと全くの別人で、対戦相手のディフェンスラインマンが気の毒になるほどだったよ」回想する。ただ残念ながら4年制大学に進むには学業が芳しくなく、エリスコーチの尽力によって、カンザス州のジュニア・カレッジに進むことになった。
進学したHutchinson Community Collegeでの2年間、バリーはその素晴らしいパワーを活かして、フットボールだけでなく砲丸投げでも大活躍する。多くの大学から編入の誘いがあったが、コーチの勧めもあってアリゾナ大へ。アリゾナ大でも、勉強熱心さによってOLコーチに愛されたようだ。 しかし4年時にジョン・マコヴィックが新ヘッドコーチに就任すると、バリーの苦戦が始まる。物覚えが早いとは言えないバリーは、新コーチが導入したプロ・スタイルのスキームを把握するのに手間取り、シーズン途中で先発を降ろされてしまう(おそらくそのためにドラフトされなかったのだろう)。しかしその後、スターターの座を取り戻したバリーは、二度とそれを手放すことはなかった。
今年4月のドラフトの最中、結局バリーの電話が鳴ることはなかった。しかしドラフトが終わった瞬間、およそ20チームから電話が殺到した。「僕の携帯も家の電話も鳴りっぱなしで、3時間ぐらいそれにかかりっきりだったよ」とバリー。ロースター入りできる可能性などを考慮し、結局パッカーズを選んだ。もちろん故郷に帰りたい、という希望があったのは言うまでもない。そうすれば、病気をしている父親のロジャーを頻繁に見舞うこともできる。
バリーの高校・ジュニアカレッジ・カレッジでの友人みんながバリーを応援している。上記の旧友、コーリー・エリスは「みんな喜んでるんだ。あいつは本当にすごい奴だ。彼がここまで来ただけでも、僕は誇りに思ってるよ。彼が最初どんなだったか、僕は良く知ってるからね。どれだけ勝ち目の薄い戦いを彼が戦ってきたか」と胸を張る。
夢がかなってパッカーズのキャンプに参加しているケヴィン・バリー。ベクトルOLコーチががなりたてた言葉を、彼はあわててノートを取り出して必死にメモを取る。キャンプ中の合宿所となっている St. Norbert's College の部屋で、仲間がテレビを見たりゲームで遊んだりしているとき、彼はひとりノートを取り出して、走り書きをキレイに清書していくのだ。不器用な彼は、コーチの教えをそうやって何度も何度も繰り返して覚えるのだ。
1Q | 2Q | 3Q | 4Q | Total | |
---|---|---|---|---|---|
Packers | 10 | 3 | 16 | 0 | 29 |
Cardinals | 7 | 0 | 0 | 14 | 21 |
WR陣は、テリー・グレンとファーガソンが休んでいる状態なので、ドライバー、リー、ウォーカー、ベイリーの4人のプレー機会が大幅に増えている。特にウォーカーは、4月のドラフト指名以来、練習を一度も休んでいないのではないか。「僕の自信のレベルは急上昇している。練習に参加すればするほど、良いプレーができるようになってきている。オフェンス全体がかみ合うようになってきているし、コーチたちもそう感じているはずだ」と自信をのぞかせる。
Sマット・ボウエンの評判が非常にいい。スターターになるはずのエドワーズはヒザが良くなったと思ったら鼠蹊部を痛め、ルーキーのアンダーソンはハムストリングを痛めている。一時的な代役だけでなく、ボウエンが開幕時にはスターターの座を奪っている可能性もある。「これまで見てきた限り、ボウエンには素晴らしいワーク・エシックがある。彼はタフで、速く、守備範囲も広い。今のようなコンスタントなプレーを続けていれば、あとはシステムの理解だけだ」とスロウィックDBコーチは高く評価する。
ボウエンは身長6フィート1インチ(185cm)、体重210ポンド(95kg)。2000年のドラフト6巡でラムズに指名され、2試合に先発。ラムズの"Rookie of the Year"にも選ばれた。しかし2001年の開幕戦で足を骨折してしまい、結局11月始めに解雇されてしまった。そして、ちょうどバトラーをケガで失ったパッカーズと11月30日に契約。スペシャルチーム以外での出場はほとんどなかった。
同じアイオワ大出身ということで、ルーキーのDEアーロン・キャンプマンとは親しい。キャンプマンはすでに大学時代に結婚しているが、その妻の妹の結婚相手がボウエンの親友で、ボウエンはその結婚式で花婿の介添人だった。それで2人は親しくなったらしい。アイオワ大出身という他にも共通点はある。2人とも極めて勤勉で、常に全力を出し切ってプレーするハードワーカーなのだ。
現在ロースター枠は各チームとも80人プラスNFLヨーロッパに派遣した選手。これを2週間後の8月27日には65人に減らさなければならず、最終的に、9月1日には53人に絞り込まなければならない。(Press-Gazette紙による最新のロースター予想はこちら)
60年代から70年代にかけて、ボクシングのヘビー級で活躍し、モハメド・アリの最大のライバルでもあったジョー・フレイジャー。シャーマンHCは、イーグルス戦を控えた先週金曜の晩、58歳の元チャンピオン、フレイジャーをチームのミーティングに招いた。もちろん翌日の試合に備えるためではない。優勝に向けて、タフなシーズンを戦い抜くためのモーティベーションを高めるためだ。フレイジャーはフィラデルフィアに住んでいる。
フィラデルフィアのホテルでのミーティングで、シャーマンHCはジョー・フレイジャーの物語を選手たちに話し、用意したビデオを見せた。1971年に無敗のアリを破った"Fight of the Century"と言われる伝説的な試合だ。フレイジャー本人は、ビデオ上映のために部屋を暗くしてから、そっと最後列に滑り込んだ。ビデオが終わり、電気をつけたシャーマンHCが、「それじゃあジョー・フレイジャー、こちらへどうぞ」と紹介すると、仰天した選手たちは立ち上がり、3分以上ものスタンディング・オベーションで偉大な元チャンピオンを迎えた。
選手やコーチの前でフレイジャーはしばらく話をし、さまざまな質問に答えた。「彼に対して『我々は、チャンピオンシップを勝ち取るとはどういうことか、話してほしい』と頼んでおいたんだ。みんな彼に畏敬の念を抱いたし、彼は質問攻めにあったみたいだね」とシャーマンHC。質疑応答が終わると、選手たちはカメラを持ち出して元チャンピオンと写真を撮ったり、サインをもらったりした。「選手たちがまるで子供みたいにサインをもらっているのは、見ていて面白かったよ。彼は本当によくやってくれた」
フレイジャーは東京オリンピックで金メダルを獲得し、プロでは通算37戦32勝。アリとフォアマンにそれぞれ2敗を喫し、1981年にフロイド・カミングスと引き分けたのを最後にリングを去った。ヘビー級にしては小柄だった彼は、常に低い体勢から前に出て、パンチを繰り出し続けて相手を圧倒した。これから逆境に立ち向かうパッカーズの選手たちの心に、フレイジャーの不屈の魂が、少しでも乗り移ってくれればいいとシャーマンHCは願っている。
試合翌日ということで、この日は練習がお休み。
これまでのケガ人についてシャーマンHCが説明してくれているので、ここでまとめて。
昨日のイーグルス戦について3つの話題。
NFLでの初めての試合となったQBクレイグ・ノール。第3Q途中から試合終了までをまかされた彼だが、5/16、 62ydsと満足の行くものではなかった。「良くても『並』といったところだったね。もっといいプレーができたはずのところがいくつもあった。あちこちで悪いパスを投げてしまって、結局試合も落としてしまった。全体的には良い判断を下すこと出来たと思うけど、やっぱりミスが多かった」とQBノール。シャーマンHCは「全般的には良い判断が出来ていた。パスミスもいくつかあったが、判断は悪くない。彼への期待は大きいだけに、『完璧だった』なんて言うつもりはないが」と認める。
イーグルスに移ったRBレヴェンズが大活躍。「彼は本当に良かった。体もスリムだったし、鋭いカットを切って、加速も良かったし。パッカーズのユニフォームならもっと良かったんだけど」とダレン・シャーパー。レヴェンズは移籍後も古巣への不満を一言も口にしていない。FBヘンダーソンは「そんなこと話しあったこともないし、話すべきでもない。彼は自分にとって最善の判断をしただけだ。レヴェンズが何をするにせよ、彼の幸運を願うよ。ただそれがウチ相手でなければいいけど」
5人で2つの椅子を争う控えRBたち。イーグルス戦で出場した順番が今の序列を表しているのかも。つまり、ミーリー、フィッシャー、グッドマン、ブルッキンズの順。ラッシング回数でもその順番だった。
1Q | 2Q | 3Q | 4Q | Total | |
---|---|---|---|---|---|
Packers | 0 | 10 | 0 | 3 | 13 |
Eagles | 0 | 10 | 3 | 7 | 20 |
土曜日に試合を控えているため、金曜日の練習は、フォーメーション確認のためのいわゆる"ウォークスルー"。ランボーフィールド内で行われたため、非公開。練習が終わり次第、飛行機でフィラデルフィアへ向かった。
MRI検査の結果、WRテリー・グレンのケガは左ヒザ側副靭帯(MCL)の軽い捻挫とわかった。しばらくは練習を休むことになりそうだが、シャーマンHCはむしろホッとした様子で、これを良いニュースととらえているようだ。「たいしたことがないとわかって安心した。彼の倒れ方を見ていたが、どこかが断裂したのではないかと思ったからね。そうではなくて本当にうれしい」とシャーマンHC。
シャーマンHCは復帰の時期についてはまだ未定、としているが、通常、彼のようなMCLのケガは2、3週間かかるのが普通らしい。シャーマンHCは、「グレンはケガに弱い」という悪評を気にしているようで、「まだ2日ほど練習を休んだだけだ。彼よりもっと休んでいる選手がいくらでもいる」とグレンをかばっている。今週末のイーグルス戦への出場は"questionable"ということだが、グレンとQBファーヴのコンビネーションはすでにかなりのところまで出来てきており、無理して欠場させる必要はなさそうだ。
パッカーズは、ベテランパンターのルイ・アギアーと契約した。アギアーは今年でNFL11年目。ジェッツで3年、チーフスで5年間活躍した後、1999年にパッカーズと契約。ルーキーだったビドウェルが病気で一年休んだシーズンに穴を埋めた。2000年にベアーズでプレーした後、昨年はどことも契約していなかった。パッカーズが彼と契約した意図はよくわからないが、FGも蹴ったことがあるせいか、公式ページではアギアーを"P/K"と表示しているので、PビドウェルとKロングウェルの練習での負担を減らそう、ということなのだろうか。
入れ替わりに、OTケヴィン・ジョーダンが解雇された。昨年、ヒザの靭帯を断裂して1年を棒に振った彼は、LTクリフトンの控えとなることを期待されていたが、ヒザの状態が思わしくなく、このところはずっと練習を休んでいた。
今年の5月ごろまで、パッカーズの一番の弱点といえばLB陣だったはずだ。ミドルLBには未知数のマーシャルが昇格し、両OLBのウェインとディッグスは昨年、細かいケガに悩まされてきた。しかも控えの層は非常に薄く、ドラフトでもLBを指名することができなかった。
しかし6月にハーディ・ニッカーソンと契約してから、LBのデプスを心配する声は急速に消えていった。ひとつにはマーシャルの急成長がある。昨季終了時点から6月のミニキャンプまで、先発MLBに昇格するつもりで猛勉強を続けてきた彼をいったん控えに下げることで、世代交代のリスクを減らすことができる。しかも、化け物のような身体能力を持つマーシャルを、3つのLBすべての控えとすることができれば、デプスについての懸念は大幅に減ることになる。
もうひとつ、ドラフト外ルーキーとしてアルジー・アトキンソンとマーカス・ウィルキンスを獲得できたことも大きい。特にアトキンソンはサイズ(身長195cm)が非常に大きく、ストロングサイドにはうってつけ。運動能力も高い。ただし私生活でいろいろと問題(婦女暴行事件に関わったとか)があり、そのためにドラフトされなかった。まだ粗削りだとか、ムラっ気で集中力に問題があるとか言われているが、そのあたりを克服できればポテンシャルは大きい。
昨年と違い、今年はパッカーズにとってドラフト外ルーキーの当たり年と言えそうで、2人の他にもOTケヴィン・バリー、RBフィッシャー、CBスウィニーなどは評価が高く、ロースター入りはダメでもプラクティス・スクワッドには残れそうな選手がひしめいている。「これほどの選手たちをドラフト外で集めてきてくれるなんて、スカウトたちに感謝しなければ」とペリーニLBコーチ。LBのロースター枠はおそらく6人。ニッカーソン、ウェイン、ディッグス、マーシャルの4人は確定。安定感のある31歳のホルムバーグもおそらく大丈夫。最後の一つの椅子を、ドラフト外の選手たちが争うことになる。
午前の練習終了後、毎年恒例となった、今夜の門限延長を賭けたオフェンス対ディフェンスの勝負が行われた。昨年はゴルフのニアピンコンテストだったが、今年は攻守ラインマンのパントキャッチ対決。マシンによって打ち出される2本のパントを2人がキャッチできるか、という勝負だ。オフェンス陣の代表はOTタウシャーで、ディフェンス陣の代表はDTギルバート・ブラウン。OTタウシャーがキレイに2本キャッチ(しかもフェアキャッチのシグナル付き)したのに対し、DTブラウンは2本ともキャッチできず。今年はオフェンス陣が昨年の雪辱を果たし、今晩の門限延長を勝ち取った。
6月に受けたヒザの関節鏡手術からの復帰途上のOTアール・ドットソン。今回のキャンプではまだ一度もパッドを付けることができず、独自メニューでトレーニングを続ける毎日。しかしシャーマンHCは特に焦ってはいない。プレシーズンゲームに出場させることにはこだわらず、開幕前に練習に参加できるようになるだけで十分だと考えているようだ。「彼が来週か再来週に戻ってきてくれるだけで有難いよ。彼に関しては無理させる必要なんてないんだ。実績あるベテランだけに、復帰過程には細心の注意を払わなければ」
また首脳陣は、ドットソンに左タックルをプレーさせることも検討しているようだ。プロ入り以来、右タックル以外で試合に出た経験が全くないドットソンだが、チーム事情では左タックルの控えが絶対的に不足している。もし彼が左右タックルの控えを兼任できれば、これほど有難いことはない。「彼は、自分でやろうという気になれば何でもできるはずだ。去年のストークスはLTクリフトンの代役として良い仕事をしてくれたが、ドットソンはより優れたアスリートだし、よりパワフルだ」とシャーマンHC。
火曜日、ファーヴとグリーンの両エースがシャーマンHCから休養を与えられた。RBグリーンの方は少し足に痛みがあるようだが、QBファーヴの方は全くどこも悪いところはない。「明日は、土曜日の試合の準備のためにスクリメージを予定しているから、あの2人を休ませるには今日が一番良いと思ってね。2人ともこれまでかなりの練習量をこなしてきた。今日の休養は良い効果を生むと思うよ」とシャーマンHC。2人とも水曜日には練習に復帰し、土曜日のイーグルス戦には(少しずつだが)もちろん出場の予定。
新入団のベテランOGジェフ・ブラックシア。来た当初はブランクのせいかパッとしなかったが、この数日はプレーの評価も上がっている。身長6フィート5、体重330ポンドで、特に手が非常に長く、パワフルだ。ただ上体に比べると下半身がやや弱く、重心が高い。「ネガティブなことを言えば、彼はプル・ブロックが苦手だ。彼がこれまでプレーしたのは"パワー・ゾーン"ブロックのチームで、彼はそれには長けている。短い距離の動きはいい。パス・ブロックも上手いし」とベクトルOLコーチ。
OLのロースター枠はおそらく9人で、つまり控えは4人。現時点ではブラックシアはビル・フェラリオとともに3番手OGの座を争う、とベクトルOLコーチは見ている。ドラフト6巡のホウトンとドラフト外のケヴィン・バリーはタックルとガードの両方ができるし、センターのウィンタースも、今回のキャンプでは久しぶりにガードの練習をしている。つまり、ガードに関してはデプスの問題は少ない。
ヒザの関節鏡手術で出遅れたベテランOTアール・ドットソンだが、このところ大分良くなり、今週中にはなんらかの練習を始められる見通し。バリーもなかなか評価が良く、ドットソン次第では最終ロースター入りする可能性もある。問題は、左タックルの控えだ。ドラフト6巡のホウトンは、どのDE相手の1on1でも(特にバジャ=ビアミラだが)子ども扱いされており、今年はまだ使い物にはなりそうもない。期待された2年目のケヴィン・ジョーダンはヒザの調子が悪く、1週間ほど練習を休んでいて、まだ復帰へのメドが立っていない。
今の状態が続くようだと、左タックルの控えとして誰か売れ残っているベテラン選手を探すか。それとも先発LTクリフトンがケガした場合にはLGウォールをLTに移し、LGにフェラリオかブラックシアを投入するか。
金曜日あたりから、WRドナルド・ドライバーがテリー・グレンとともに1stユニットに加わり、スプリット・エンドをプレーすることが増えて注目を集めている。日曜日の練習でもドライバーが1stユニットに入った。ロスリーOCは、来週のイーグルス戦に彼を先発させるかどうかについては"ノーコメント"としながらも、「彼は非常に良いプレーを続けていて、彼にもっとプレーさせなければいけない、ということは間違いない」と説明している。
スプリット・エンドの先発は、4月のミニキャンプ以来ずっとファーガソンが務めてきたが、2人の評価が逆転した、と見ていいのだろうか。「できればフィジカルで、大きいパスターゲットが欲しい。ファーガソンはフィジカルなタイプだ」とロスリーOC。逆サイドのグレンが小型WRだけに、85kgしかないドライバーよりも、サイズのあるファーガソンの方が望ましい、ということだろう。「まだ何もコメントしたくない。何試合かプレシーズンゲームが済むまではね。プレシーズンでのプレーを見てから決めるのだ。我々はまだファーガソンを支持している」
ロスリーOCは、「ドライバーのプレー機会が増えたのは、ドライバーの出来が良いからであって、決してファーガソンに失望したからではない」と強調するが、ファーガソン本人はやはり動揺を隠せない。「どういうことなのか、僕だって知りたいよ。君たちと同じようにね。僕はまだ何も説明を受けていないし、フィールドに出てプレーするだけ。決めるのはコーチたちだから。できれば誰かが説明してくれるといいんだけど」。キャンプ開始当初は、ウィルス性の胃炎で体調が悪かったが、ここ数日のファーガソンの動きはだいぶ良くなってきているようだ。
ドライバーは99年のドラフト7巡指名で、今年でNFL4年目となる。35試合に出場し、先発は4試合。パスキャッチ37回、520yds(平均14.1yds)、3TD。今春には制限付きFAとなり、チーフスから3年$3ミリオンほどのオファーがあったが、今年は安いサラリーで残留して、来春FAになることを選んだ。WRには珍しいほどの?ナイスガイで、控えめで謙虚なハードワーカー。スペシャルチームの中心選手の1人でもある。
日曜日の練習は、午前中は休み。午後はスペシャルチーム練習だけ。そして夜には、今年初めてランボーフィールドを使っての練習を行った。目的は、気分転換、そして大幅に明るくなった照明に慣れること。気分転換の効果あってか、選手たちは昨日のスクリメージ練習の疲れも見せず、熱のこもった練習を行い、シャーマンHCも満足顔。
例年は"Packers Family Night"のイベントがこの週末に行われるが、今年と来年はランポーフィールド工事中のため中止。その代わりということで、いつもの練習フィールドではあるが、試合形式に近いスクリメージ練習が、3500人の観客の前で行われた。
昨年の今ごろ、ライアン・ロングウェルはNFL史上最も正確なキッカー(通算84.7%)だった。キッカーとしては高額な$7.5ミリオンの5年契約を手にし、全てが順調に思われた。しかし昨季中盤にスランプに見舞われ、シーズンが終わってみれば、NFL史上5番目まで順位を下げてしまった。ただでさえ距離の出ないキックオフはさらに短くなり、滞空時間はわずか3.6秒。「彼はどこかリズムがおかしくなっていた。どういうわけか」とノヴァックSTコーチ。
しかし理由は昨季の終盤になって、はっきりしてきた。飛距離を伸ばそうとトレーニングし過ぎたのがたたり、疲労を残した状態で試合に臨んでいたのだ。それを直した結果、シーズン最後は12回蹴って10回成功。プレーオフでは3回全てを成功させた。「去年は練習でキックオフを蹴りすぎたせいで、試合当日にはガソリンが残っていないような感じだった」とロングウェル。
昨年の反省に立って、今年のロングウェルはトレーニング方法を大幅に変えている。重いウェイトを少ない回数挙げるのではなく、軽いウェイトを多い回数、とすることによって、筋肉はややスリムになりながらも、脚の振りは鋭さを取り戻した。「去年は牛だって持ち上げられそうな感じだったけど、そんなのフットボールを蹴るには役に立たないんだ。かえって逆効果」。またランニングを大幅に増やし、シーズンを乗り切るスタミナを蓄えている。
コーチの他に彼が相談するのは、故郷オレゴンに住む父親だ。父ポールは、元PGAゴルフ・プロなのだ。スウィングを分析する、という点ではキッカーとプロゴルファーは似た点が多い。このオフ、父と一緒に試合のビデオをチェックすることによって、得るものは大きかった。さらに彼は今年からヨガも取り入れ、練習前に筋肉をほぐし、そして精神的にもリラックスすることを心がけている。その甲斐あってか、この日のスクリメージ練習でも、38yds、38yds、26ydsの3本全てを難なく成功させている。
先発センターのマイク・フラナガンが右手親指を骨折してしまった。幸い、周辺の腱などには損傷はなく、手術は必要ないとのこと。昨季には同じような個所をRGリヴェラが骨折したが、ギプスで固めて全試合に出場した。しかしフラナガンの場合はポジションがセンター。ボールをスナップする大事な右手のため、ギプスで固めた状態ではスナップは無理だ。ドクターのパトリック・マッケンジーの診断は「2週間から6週間」と幅広い。
すでに前腕部をすっぽりとギプスで覆ったフラナガンは、月曜日から練習に復帰する予定。幸いにも開幕まで一ヶ月強あるため、なんとか開幕戦には間に合いそうだが、長びくようだと開幕戦は欠場することもありうる。それまでは大ベテランのウィンタースが代役を務めることになる。その間、フラナガンは左手でスナップすることを練習していくらしい。
「いつだってケガ人が出るのは心配だが、幸いこのポジションには経験豊富なウィンタースがいてくれる。これは本当に助かる。もしこれが別のポジションだったら、もっと困ったことになっていただろう」とシャーマンHC。久しぶりに先発組に戻るウィンタースは、「まあ自転車に乗るようなものでね。しばらく離れていても、乗り方を忘れたりはしないものさ」と余裕たっぷり。「先発組でプレーするのはいい気分だったよ。でもな、フットボールってのはこういうものだ。いつ自分の名前が呼ばれてもいいように、常に準備していなきゃいけない」
Cフラナガンの他にも、軽いケガのため練習を半日ほど休む主力選手が増えてきた。キャンプ開始から1週間たち、疲れがたまらないように、というコーチ陣の配慮もあるのだろう。
審判たちがグリーンベイを訪問して選手たちに説明した、今年のルール改正は下記の通り。なお、プレーオフのOAK@NE戦で問題になった"タック・ルール"は結局変更なし。つまり、たとえボールを抱え込もうとする動きの中であっても、ボールが前に動いている最中に落としたのであれば、ファンブルとは見なされない。
数人のNFL審判たちがグリーンベイを訪れ、練習で笛を吹いた。シャーマンHCは「このところディフェンスのホールディングが目立っていたから、見てもらうのにちょうどいい」と喜んでいる。また審判たちは、今年から変更されるルールについても、選手たちにレクチャーを行った。
昼休みには、毎年恒例の"Welcome Back Luncheon"がグリーンベイ地区の商工会議所によって開催され、パッカーズの選手・コーチたちが、地元の人々と昼食をともにした。そのイベントの中でDEバジャ=ビアミラが、日ごろの地域への貢献によって、今年の"Community Service Award"として表彰された(昼食会の様子はこちら)。
QBブレット・ファーヴの週一度の定例記者会見。昨年のキャンプでは「ファーヴ本人が2年間の不振から復活できるか」ということに注目が集まったが、今年のテーマはもちろん「新しいWRたちはどうか」ということ。若いWRたちの能力の高さに非常に満足しているようだ。長いので要点だけ。
今年33歳のOGジェフ・ブラックシアが昨年春にチーフスから解雇されたのは、体重がなんと370ポンド(167kg)もあったことを新HCのヴァーミールに嫌われたから。「確かにその時はオーバーウェイトだったけど、僕は毎年はじめはそうなんだ。でも新コーチが来る時に、オーバーウェイトでいちゃいけない。それは勉強になったよ(笑)」。ちなみに今は330ポンド前後。
左右両方のガードとして96試合もの先発経験のある彼と契約したのは、「単にキャンプの人数合わせではない」とプロ人事部長のレジー・マッケンジー。先週にワークアウトを行った時には、パッカーズは彼に興味を示さなかったのだが、このところの控えOL陣の層の薄さが目立ってきたために方針転換せざるをえなかった、ということらしい。ブラックシェアにとってひさびさの練習初日の出来はあまり芳しくなく、1on1のドリルでDTハントにあっさりやられてしまった。今後の練習で、以前の動きを取り戻せるかどうか。
ドーシー・レヴェンズの抜けた2番手RB問題は、キジャナ・カーターとブルッキンズの獲得で問題ないかに思われた。しかし2人とも体重オーバーで動きが鈍く、周囲には失望感が広がっている。さらにNFLヨーロッパ帰りのグッドマンは心身両面で疲労の影響か元気がなく、ミーリーも期待されたようなプレーをしていない。 「彼らは、まだコンスタントに良いプレーが出来ていない。たまに良いプレーを見せてくれはするけれど、まだ私は安心して眠ることができない」とシャーマンHCも心配を口にする。
実際のところ、上記の候補4人よりも、ドラフト外ルーキーのトニー・フィッシャーやドラフト4巡のFBナジェ・ダヴェンポートの方が良い、という見方も出ているほどだ。 フィッシャーは昨年、ノートルダム大の控えRBとして平均4.9ydsを記録。188cm/102kgとサイズもあり、ブロッキングドリルも上手くこなし、パスキャッチも良いらしい。「まだ勉強することはたくさんある」とプロ人事担当部長のレジー・マッケンジーは慎重だが、ひょっとすると3番手RBとしてロースター入り、だめでもプラクティス・スクワッドに残る可能性はある。
この日は再び気温が上がり、最高気温は32℃。午前中はレッドゾーン内での練習が主体で、午後はスペシャルチーム練習が行われた。QBファーヴがオーバーワークにならないよう、一日につき投球数が70球程度になるように、コーチたちはコントロールしている。しかしWR陣の大改造のため、コンビネーションを確固たるものにするのは至上命題。そのため、QBファーヴが投げる時は、上位4、5人のWRに投げるよう、練習が組み立てられている。
ドラフト1巡ルーキー、WRジャヴォン・ウォーカーの評判がこのところうなぎ上りだ。普通、ルーキーWRたちは、ミニキャンプでは良い動きを見せても、より実戦に近いトレーニングキャンプになると、いろいろな問題で足踏みすることが多い。昨年のファーガソンがその典型だった。しかしウォーカーはキレのいい動きや、パスキャッチ能力に加え、ゲームへの理解もかなり進んでいて、ルート取りのミスも少ない。「彼はまったく期待した通り、いやそれ以上だ。我々は極めて満足している」とロスリーOC。
ただでさえルーキーWRには難しいウェストコーストオフェンス、その上、彼はドラフト前に「"Wonderlic test"に9点しかとれないようでは、学習能力に問題があるのでは?」と心配されていた。しかしその問題は全くの杞憂に終わったようだ。むしろ、野球のマイナーリーグで2年間苦労した経験のおかげで、人間的に成熟しているというのがシャーマンHCの評価。「ルーキーに起きうる様々な事柄に対処するには、成熟していることが必要だ。彼はその点でも非常によくやっている。彼を最も助けているのが、その"成熟"だ」
現在、ウォーカーはフランカーのポジションに専念し、テリー・グレンの後でプレーしている。ロスリーOCは「たぶん彼にはひとつのポジションに専念させる。自信をもって良いプレーができるようになってきたところだからね。ルート取りのことを考えることもなくなり、リラックスして走れている」 と説明する。しかしそれでは、逆サイドのスプリットエンドでプレーするファーガソンをウォーカーが追い越しても、彼はスターターにはなれないのではないか? 「まだキャンプは始まったところだよ。とりあえず、ポジションの入れ替えはしない」とロスリーOC。