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2006年7月31日

Day 2: NTピケットが接触事故

2006年7月30日

Day 1: 8人がPUPからスタート

LB A.J.ホークが6年契約にサイン

注目の1巡指名LB A.J.ホークが金曜日の午後に総額$37.5ミリオンの6年契約に合意、土曜の朝に正式契約にサインした。書類上の手続きが間に合わずトレーニングキャンプ初日の練習には参加できなかったが、1日遅れで参加することになる。6年契約で、そのうち$15ミリオン強が"guaranteed"として契約ボーナス扱いとなるようだ。

プロ1年目の出場時間がディフェンスの35%を超えた場合、6年目のサラリーは$10ミリオンまたはその年の(LBの)フランチャイズプレーヤー額の高い方が保証される。とすると、当然6年目を迎えるまでに新しい契約を結ぶ(または放出)ものと思われ、実際には5年契約といっていいかもしれない。

また、金曜午前にはLBアブドゥル・ホッジも4年契約にサインして初日の練習に参加しており、これでルーキー全員の契約が完了したことになる。

OGトゥーペ・ペコーと契約

元コルツのOGトゥーペ・ペコーと契約。OL陣では今年初めてのFA選手獲得だ。ミシガン州立大から2001年のドラフト7巡でジェッツに指名されたペコーだったが、1年目はジェッツとシーホークスのプラクティス・スクワッド。2002年も開幕前にシーホークスから解雇され、コルツのプラクティス・スクワッドに入ってシーズン途中でロースターに昇格。2003年と2004年にはコルツで27試合に出場、右ガードで9試合に先発。昨年春に解雇されてパンサーズに移るが開幕ロースターに残れず、今春もテキサンズと契約したが1ヶ月も経たずに解雇されている。

身長6フィート4(193cm)で体重は325ポンド(147kg)。スペルは"Tupe Peko"で、発音は"TOO-pay PECK-oh"とのこと。正式なファーストネームは"Siitupe"のようなので、ニックネームを登録名にしているのかもしれない。

2006年7月29日

Notebook: ルーキー4人と契約 Sローマンを解雇

ロースター展望 S編

毎年頼りないプレーぶりのセーフティ陣は選手の入れ替わりが激しい。昨年は、契約見直しで合意できなかったダレン・シャーパーを放出し、アーテュロ・フリーマンやアール・リトルを安価で補強したが全く戦力にならず、かろうじて2巡指名のコリンズがポテンシャルの高さを見せて希望の星となった。今年はFAでマーカンド・マニュエル(SEA)、6巡指名でタイロン・カルヴァーを補強し、この27日にマーク・ローマンを解雇。マニュエルの先発がほぼ確実となると同時に、シャーマンGM時代から残る選手が1人もいなくなった。

ロースター枠はDB全体で通常9人。セーフティは4人。ローマンが解雇されたことで、コリンズ、マニュエル、アンダーウッドまではほぼ決まり、最後のイスをカルヴァーとビグビーとボーガーが争うことになりそうだ。(FAとなったローマンのように)ベテランが手に入りやすいポジションでもあり、アンダーウッドらの成長が期待はずれであればFA補強の可能性もなくはない。

ニック・コリンズ Nick Collins

プロ2年目の22歳。ディビジョンI-AAのベスーン・クックマン大から昨年のドラフト2巡で入団し、開幕から全試合先発して84タックルを挙げた。CB並のスピードで守備範囲が非常に広く、相手の独走を後ろから追いついてTDを防ぐことが何度もあった。タックルもかなりよいものを持っているが、まだ時おりアングルをしくじるシーンも目立つ。経験を積んで伸びてくるのか、このままアスレチック能力に頼ったプレーを続けるのか、中心選手に成長するためにはこの2年目が大事だ。

マーカンド・マニュエル Marquand Manuel

プロ5年目の27歳。フロリダ大から2002年のドラフト6巡でベンガルズ入りし、1年目から8試合に先発出場。しかし3年目の2004年にはマーヴィン・ルイスHCから評価されずに解雇され、シーホークスへ。移籍2年目の昨年はSケン・ハムリンのケガで第7週から先発に昇格し、しっかりと穴を埋めた。NFC決勝ではインターセプトを決めて勝利に貢献したが、スーパーボウルでは第2Qにケガで退場、パス守備に空いた穴が敗因のひとつとなった。

FAとなった今春は、旧知のトンプソンGMがいてスターターの可能性が高いパッカーズを選び、総額$10ミリオンの5年契約を結んだ。上記コリンズとは対照的に、スピードはないが頭がよくポジション取りがしっかりしている。ポイントオブアタックで強く、ストロングセーフティ向きと見られている。非常に地味な個性で我慢強く、しっかりしたリーダーシップの持ち主とのこと。

マーヴィール・アンダーウッド Marviel Underwood

プロ2年目の24歳。サンディエゴ州立大から昨年のドラフト4巡指名で入団。コリンズより即戦力という見方もあったが、フタをあけてみれば2巡と4巡の力の差は歴然で、アンダーウッドはルーキーらしい頼りないプレーぶりが目立った。2年目の今年は、特にボールに対するプレーが向上したと言われている。ローマン解雇により彼が3番手となるが、先発の2人をプッシュできるか。

タイロン・カルヴァー Tyrone Culver

フレズノ州立大からドラフト6巡指名されたルーキー。ルーキー紹介を参照。サイズもスピードもそこそこだが、プレーの見極めやフィールド全体を見る能力が高いらしい。頭がよく、「フィールド上のコーチ」のタイプ。ローマン解雇により4番手に昇格し、下記の2人を蹴落とせば開幕ロースター入りとなりそうだ。

アタリ・ビグビー Atari Bigby

セントラルフロリダ大から昨年のドラフト外でドルフィンズ入りしたが7月下旬に解雇、次のジェッツでも開幕ロースターに残れず、11月初めにパッカーズのプラクティス・スクワッドへ。12月末にロースターに昇格し、1試合だけ出場してスペシャルチームでプレーした。今春はNFLヨーロッパに派遣され、アムステルダムで全試合に出場、チーム最多の61タックルを記録している。

トレイ・ボーガー Tra Boger

テュレーン大出身のドラフト外ルーキー。大学では50試合に出場、30試合に先発し、通算329タックル、9INTを記録している。父ジェロームはNFLで審判をしており、たとえば昨季プレーオフのPIT@INDでもラインジャッジを務めていた。

2006年7月28日

ロースター展望 CB編

過去2年間は若手の不安定なプレーに悩まされてきたが、4年ぶりの大物FAとしてチャールズ・ウッドソンを獲得。毎年プロボウル一歩手前のアル・ハリスに加え、プロボウル4回のウッドソンが本来の力を発揮してくれれば、強力なユニットができそうだ。3番手以降にも伸び盛りの若手が揃っており、デプスは十分ある。ドラフト外でCBを1人も獲らなかったのも、層が厚くなったことの表れだろう。

先発がハリスとウッドソンで決まりとすると3番手兼ニッケルバックはプロ3年目のキャロルで、ダイムバックは2年目のホーキンズと4巡ルーキーのブラックモンの争いになるだろうと見られている。

ロースター枠はDB全体で9人または10人。9人枠の場合CBは5人でSが4人、10人枠に増えた場合にはCBが6人に増えることが多い。選手層の薄かった昨年はドラフト外からロースター入りして出場したCBが何人もいたが、CBが5人枠とすると今回顔写真を載せた5人ですでに埋まってしまっていて、6人枠に増えた場合のみその他の選手にチャンスが出てきそうだ。

アル・ハリス Al Harris

プロ9年目の31歳。一流CBには珍しい、下積みからの叩き上げだ。テキサスA&Mキングズヴィル校から1997年の6巡指名でバッカニアーズ入りしたがロースターに残れず、2年目にイーグルスに移ってチャンスをつかんだ。着実に力をつけて2003年のトレードでパッカーズに移り、ついにスターターとなった。マッケンジー移籍後のこの2年は常に相手エースWRをカバーし、不安定なDB陣の中で唯一頼りになる存在として、文句なしの実績を残している。

6フィート1(185cm)のスリムな長身で、フィジカルなプレスカバレッジを得意とする。この2年はサイドを固定せず相手のエースに付いたが、ウッドソンの加入により得意の右サイドに再び固定されるのではないか。自己管理能力も高い真のプロで、過去8年間一度も欠場をしていないのもすごい。年齢的にはそろそろ衰えが出てきてもおかしくなく、新しい契約を求めているのはそういった焦りのせいかもしれない。

チャールズ・ウッドソン Charles Woodson

プロ9年目の29歳。ミシガン大ではハイズマン賞を受賞し、1998年のドラフト1巡4位でレイダーズへ。リーグ最高のCBの1人として4年連続でプロボウルに選ばれたが、その後の4年間はケガも多く不安定なプレーぶりで評価を下げた。FAとなった今春はレイダーズから引き留められることもなく、かつての名声からすればかなり安い契約ボーナスでグリーンベイにやってきた(契約詳細)。

理想的なサイズとアスレティシズムに加え、パントリターンやレシーバーとしての能力も備えたまさに天才だが、とにかくムラっ気。ここ数年の不振は、身体能力の衰えよりもそうした精神面に起因するという見方が多い。今春の契約でインセンティブを非常に多くしてあるのは、ケガの多さや精神面の不安定さについての保険、という意味合いのものだ。また昨季すでにプレーしていたように、セーフティとしての将来性は高く評価されており、CBとして衰えたらいずれはそちらで起用することになるだろう。

アマド・キャロル Ahmad Carroll

プロ3年目の22歳。アーカンソー大から2004年のドラフト1巡25位でパッカーズに入団したが、当初から懸念されていたとおりかなり粗削りで、コーチ陣の悩みの種であり続けてきた。陸上で活躍した素晴らしいスピードを持つが、抜かれそうになるとすぐに相手のシャツをつかんでホールディングやパスインターフェアをしてしまう。2年目の前半まではそうして反則の山を築いたが、昨季後半は(チームの不振で影に隠れてしまったが)かなり成長を見せたという評価もある。

成長したといっても身長の低さ(5フィート10弱)は補えるものではなく、エンドゾーン内で高さのミスマッチを突かれるパターンも多い。決して不真面目ではなくハードワーカーだが、おそろしく短気で、チームメイトとのいさかいも数え切れないほど。20歳でプロ入りしたためまだ22歳と若いのが救いで、今春のミニキャンプで最も成長した選手と評価する記者も多い。

マイク・ホーキンズ Mike Hawkins

プロ2年目の22歳。オクラホマ大をわずか1年で退部し、アリーナリーグを経て昨年のドラフト5巡で指名された変り種だ。「これほどのアスリートは見たことがない」とスカウトが絶賛したほどの素材だが、経歴が示すとおりかなり粗削り。技術的にはまだまだ未熟だが、(キャロルと違って)ボールスキルはかなり高いとの評判だ。この1年でバルクアップして線の細さは解消されてきたが、高校・大学とコーチとの衝突を繰り返した精神面は依然として不安材料。

ウィル・ブラックモン Will Blackmon

ボストン・カレッジからドラフト4巡指名されたルーキー。ルーキー紹介を参照のこと。大学4年目にWRをプレーしたことは経験面でマイナスだったが、リターナー能力も含めて万能選手であることは証明済みと言える。非常に頭がよく精神面もしっかりしており、上記のキャロルやホーキンズのような心配はしなくてすみそうだ。ホーキンズと4番手の座を争うことが期待されていたが、5月21日に足(第5中足骨)を骨折してしまい、キャンプ初日からプレーするのは無理かもしれない。

ジェイソン・ホートン Jason Horton

プロ3年目の26歳。ノースカロライナA&Tから2003年ドラフトにアーリーエントリーしようとしたが書類の不備でかなわず、CFL(出場なし)を経て2004年にパッカーズへ。開幕ロースター入りを果たして14試合に出場し、主にスペシャルチームでプレーした。しかし昨年春にはサルコイドーシスという病気に苦しみ、復帰はできたものの9試合出場したところで肩を痛めてインジャリーリザーブへ。

アスレチック能力は首脳陣からも高く評価されているが、プレーぶりはあまり賢くないとの評価もある。ロースター枠が5人だとかなり厳しく、6人枠ならチャンスは大きくなる。

ジェロン・ウィショム Jerron Wishom

プロ2年目の24歳。ルイジアナ工科大から昨年のドラフト外でテキサンズに入団、開幕ロースターには残れずパッカーズのプラクティス・スクワッドに入り、上記ホートンの負傷にともなってロースター昇格。スペシャルチームで5試合に出場した。ホートンらとともに最後の枠を争う。

セリアン・フォンテノー Therrian Fontenot

フレズノ州立大から昨年のドラフト外でビルズに入団したが開幕ロースターに残れず、パッカーズのプラクティス・スクワッドへ。ケガ人に代わってロースターに昇格し、最終戦だけスペシャルチームで出場した。大学2年までRBだった経験不足を補うためか今春のNFLヨーロッパに派遣され、ライン・ファイアでスターターとして23タックル、2INTを挙げた。

パトリック・デンディ Patrick Dendy

ライス大から昨年のドラフト外で入団したが開幕前に解雇され、プラクティス・スクワッドへ。11月にロースターに昇格し、ウィショムとともにスペシャルチームでプレーした。

2006年7月27日

ロースター展望 LB編 2

ロースター枠は通常6人。一昨日紹介した4人に加え3巡指名のアブドゥル・ホッジまでは大丈夫そうだが、ロイ・マニングは漏れる可能性もある。マニングが残る場合は空席は1つだけで、ブレイディ・ポピンガ、トレイシー・ホワイト、カート・キャンベルあたりが争うことになる。またドラフト外ルーキーが3人もおり、プラクティス・スクワッドの候補には事欠かない。

ポピンガはヒザの前十字靭帯断裂からの復帰途上であるため、"Physically Unable to Perform List"(PUPリスト)入りするかもしれない。PUPリストにいる間はロースター枠の例外扱いとなるかわり、チーム練習への参加は許されない。キャンプ開始から練習できない選手に限りPUPリストに入れることができるが、キャンプ途中でアクティブ・ロースターに戻すことはいつでもできる。レギュラーシーズンをPUPリストで迎えた場合は大きく異なり、第6週が終わって初めてロースター復帰が可能になる。

アブドゥル・ホッジ Abdul Hodge

アイオワ大出身、今年の3巡指名ルーキー。ルーキー紹介を参照のこと。タフでフィジカルな、いかにも実戦向きのミドルLBだ。1巡でLBホークを指名しLBバーネットもいるのに、さほど必要でないミドルLBに3巡指名権を使ったのは、よほど高く評価したためだろう。すでにバーネットに次ぐ2番手MLBとなっているが、今夏はストロングサイドの先発争いに加えるのか、それともミドル専門でじっくり育てるのか、キャンプでの起用法も注目される。

ブレイディ・ポピンガ Brady Poppinga

プロ2年目の26歳。ブリガム・ヤング大から昨年のドラフト4巡指名で入団、シーズン半ばあたりから次第に成長を見せ、スペシャルチームだけでなくディフェンスでもパートタイム起用されるようになった。しかし、先発起用を検討中との噂も出てきたところで、ヒザの前十字靭帯(ACL)を断裂してしまった。手術後の回復は極めて順調だとトンプソンGMは語っているが、キャンプ最初からの練習参加は無理のようだ。

大学3年までDEをやっていたように、サイズが大きくパスラッシュ能力も兼ね備えたストロングサイドLBで、最新の公式デプスチャートではテイラーに次ぐストロングサイドの2番手と表示されている。

トレイシー・ホワイト Tracy White

プロ4年目の25歳。ハワード大から2003年のドラフト外でシーホークスに入団し、1年目からロースター入りを果たして2年間で21試合に出場。主にスペシャルチームでプレーしていたようだ。昨年開幕前に解雇されてジャガーズに移り、15試合に出場した。今春FAとなって旧知のトンプソンGMのいるパッカーズに移籍し、ポピンガやキャンベルたちとロースター最後の枠を争うことになる。スピードやクイックネスに優れたアウトサイドLBだが、6フィート0(183cm)で236ポンドと小さく、あまり馬力がない。

ハワード大はディビジョンI-AAのMid-Eastern Athletic Conference (MEAC)に属す。同カンファレンスには、Sニック・コリンズの母校ベスーン・クックマン大や、OGジュニアス・コストンやCBジェイソン・ホートンの母校ノースカロライナA&Tも含まれている。

カート・キャンベル Kurt Campbell

プロ2年目の23歳。ディビジョンI-AAのアルバニー大から昨年のドラフト7巡指名で入団。しかしトレーニングキャンプでヒザの前十字靭帯(ACL)を断裂してしまい、ルーキーシーズンをまるまるインジャリー・リザーブで過ごした。しかし上記ポピンガと比べてケガの時期が早かったため、すでに6月のはじめからチーム練習に復帰している。

大学ではCBやSをやっていたように、227ポンドの軽量だが40yds走4.43秒というものすごいスピードがある。ただし、アジリティがケガの前の状態に戻るには時間がかかるかもしれない。最新デプスチャートではウィークサイドの3番手と表示されている。

ケヴィン・シメルマン Kevin Schimmelmann

スタンフォード大出身のドラフト外ルーキー。軽量でスピードもイマイチだが、激しくプレーするタフな白人選手。大学1年では控えストロングセーフティ、2年目にアウトサイドLBに移ってスターターとなり、3年目からインサイドに移った。頭のいい選手で、毎年アカデミック・オール・PAC10に選出されている。

バイロン・サンティアゴ Byron Santiago

ルイジアナ工科大出身のドラフト外ルーキー。アウトサイドLBで3年間スターターを務め、通算276タックル、5.5サック。カンファレンスの1stチームに2回、2ndチームに1回選出されている。

ティム・グッドウェル Tim Goodwell

メンフィス大出身のドラフト外ルーキー。インサイドLBとして過去2年間スターターを務め、どちらもチーム最多タックルを挙げている。出場41試合、先発24試合で通算249タックル、7サック。

2006年7月26日

Notebook: 2巡指名WRジェニングスと契約

2006年7月25日

ロースター展望 LB編 1

パッカーズはこれまでどちらかというとLBを軽視してきたが、今年は1巡5位でA.J.ホーク、さらに3巡でアブドゥル・ホッジを指名し、強力ユニットに変貌する可能性も出てきた。そもそも1巡指名選手が2人いること自体が珍しい。またナイル・ディッグスとの再契約を見送って元ブラウンズのベン・テイラーを獲得、さらにロバート・トーマスもキャンプを待たず解雇し、スターター3人のうち2人が入れ替わることになった。一昨年から残っているLBはバーネットだけだ。

ミドルの先発はバーネット、ウィークサイドはホークで確定。ストロングサイドは新加入のベン・テイラーと2年目のロイ・マニングが争い、3巡ルーキーのホッジ(大学ではミドル専門)も加わるかもしれない。昨年まではパスシチュエーションではバーネットだけを残しダイム隊形(1LB・6DB)にしてしまうことが多かったが、守備範囲の広いホークが加わったことで、ニッケル隊形(2LB・5DB)の比率が増えるという観測もある。

ロースター枠は通常6人。5人のこともある。今日紹介する4人に加え3巡指名のホッジまではほぼ確実で、最後のイスをブレイディ・ポピンガ、カート・キャンベル、トレイシー・ホワイトらが争うか。昨年の4巡指名のポピンガと7巡指名のキャンベルはどちらも昨季ヒザの前十字靭帯(ACL)を断裂しており、先発争いに加わるのは難しいかもしれない。

ニック・バーネット Nick Barnett

プロ4年目の25歳。オレゴン州立大から2002年のドラフト1巡で入団し、1年目から不動の先発ミドルLBを務めてきたディフェンスのリーダー。スピードがあり、パス守備を含めて守備範囲が広い。タックルはしっかりしているが、オーバーパスートも時おり目立ち、中央からのブリッツもあまり効果的ではない。ハードワーカーでケガが少なく、3年間で1試合しか欠場していない。昨年は入団以来のベストシーズンだったが、欲を言えばもう少しビッグプレーがほしいところ。

どうやら今年はこのままミドルで先発することになりそうだが、サイズが小さく馬力がないため、大学時代にやっていたアウトサイドの方が向いているとの見方も根強い。3巡指名のアブドゥル・ホッジがミドル専門なので、ホッジの成長しだいでは将来ミドルを譲ってアウトサイドに回る可能性もある。

A.J. ホーク A.J. Hawk

オハイオ州立大から今年のドラフト1巡5位で入団した期待の星で、ウィークサイドで先発の予定。詳しくはルーキー紹介を参照のこと。恵まれた身体能力だけでなく嗅覚・判断力にも優れた欠点の少ない選手で、ブリッツ能力も高い。練習の虫でケガにも強く、メンタル面は申し分ない。まるで古きよき60年代のパッカーズを彷彿とさせるようなタフガイだと大きな期待を集めている。

ベン・テイラー Ben Taylor

プロ5年目の27歳。ヴァージニア工科大から2002年のドラフト4巡指名でブラウンズに入団したが、ハムストリング、背中、ヒジ、胸筋とケガが多く、4年間で25試合に欠場している。今春パッカーズと1年契約し、今のところストロングサイドの先発争いで下記のマニングを一歩リードしている。直線スピードはないがアジリティに優れ、フットボールセンスがよい。タフなラン守備と比べるとパスカバレッジには難があるらしい。

昨年1月の就任以来、トンプソンGMのこういった安価なFA補強は無残な失敗を続けてきた。OGマット・オドワイヤー、G/Tエイドリアン・クレム、LBレイ・トンプソン、Sアーテュロ・フリーマン、Sアール・リトル。かろうじてエイドリアン・クレムだけが控えOTとして残っているだけで、それ以外の選手は解雇どころか他チームのロースターにさえ残れていない。今年のLBベン・テイラー、Sマーカンド・マニュエル、WRマーク・ボーリクターあたりがどうなのか、GMの実績からすると心配なところだ。

ロイ・マニング Roy Manning

プロ2年目の24歳。ミシガン大からドラフト入団ながら開幕ロースター入りを果たし、15試合に出場。ケガ人に代わってアウトサイドで2試合先発している。しかしプレー内容の評判はあまり芳しいものではなく、今春のミニキャンプでもテイラーに見劣るだけでなく、トレーシー・ホワイトの方がよく見えた、との声もある。これからの先発争いに敗れれば、以前のパリス・レノンのような便利屋的な控えとなりそうだが、他の若手しだいでは解雇もある。

なお、彼は2004年にミシガン大学内のベストLBに与えられる「ロジャー・ザトコフ賞」を受賞しているが、このザトコフはミシガン大で活躍しパッカーズで1950年代にプレーしたLBとのこと。

2006年7月24日

ロースター展望 DT編

グレイディ・ジャクソンを若いライアン・ピケットで置き換え、全員が27歳以下の若いユニットとなった。DEと同様に飛び抜けたプレーメーカーはいないがそこそこ使える選手が揃っており、少なくともデプスの心配はなさそうだ。ロースター枠はDL全体で9人、多い年で10人。9人枠の場合おそらくDEから4人、今日紹介するDTから5人になる可能性が高い。ピケットの先発は確実だがもう片方は確固たるスターターがおらず、状況に応じてローテーション起用することに今年もなりそうだ。

昨年のこの時期と比べると、グレイディ・ジャクソン、クリディアス・ハント、ドネル・ワシントンの名前が消えており、ケガがち系、問題児系、ナマケモノ系の選手が一掃された印象がある。いっぽうでカレン・ジェンキンズとコリン・コールの2人がドラフト外から成長してチームに貢献している。1巡指名のピケットを除くと、あとは6巡指名やドラフト外ばかりというのも面白い。

FA加入のケンドリック・アレン、ドラフト6巡のジョニー・ジョリーも、重心が低くラン守備に優れたノーズタックルタイプ。中央に大型DTを並べるジム・ベイツ前DCの本来のスタイルにさらに近づきつつあるのだろうか。

ライアン・ピケット Ryan Pickett

プロ5年目の26歳。オハイオ州立大から2001年のドラフト1巡29位でラムズに入団、2年目からスターターとなった。最初のうちはやや期待はずれだったが、この2年ほどでかなりの成長を見せ、総額$14ミリオンの4年契約で今春パッカーズにやってきた。横幅のあるランスタッファーであるいっぽう、ペネトレートしてのパスラッシュはあまり得意ではないが、ブルラッシュでポケットごと押し込む。

スタミナには難があるが、過去4年間は全試合に出場している。ヒザに爆弾を抱えて十分に練習もできなかったDTグレイディ・ジャクソンと比べれば、起用法や練習量の調整にコーチが頭を悩ますことはなさそうだ。

カレン・ジェンキンズ Cullen Jenkins

プロ3年目の25歳。セントラル・ミシガン大から2003年にドラフト外入団、1年目は解雇されたが、翌春NFLヨーロッパを経てロースター入りを果たした。着実に成長し、DTハントの抜けた昨季はスターターの座をつかんだ。いわゆる"3テクニック"のポジションで、DEも兼任する。290ポンドの軽量でもう少し馬力がほしいところだが、クイックネスを活かしたパスラッシュが魅力。パスシチュエーションでは必ずフィールドに入るいっぽう、ラン守備では退くことが多い。

コーリー・ウィリアムズ Corey Williams

プロ3年目の25歳。アーカンソー州立大から2004年のドラフト6巡で入団し、1年目からDEでローテーションの一角に加わった。しかしDT主体でプレーした昨季は、上記ジェンキンズに抜かれるなど期待されたほどの成長を見せられなかった。身体能力に恵まれたオールラウンドな選手だがライバルは多く、開幕ロースター入りは確定ではない。

コリン・コール Colin Cole

プロ4年目の26歳。最初の2年はわずかしか出場していないのでカウントされず、登録上はプロ2年目となる。アイオワ大から2003年のドラフト外でヴァイキングスに入団し、プラクティス・スクワッドから昇格したが出場はなし。2004年の途中でパッカーズのプラクティス・スクワッドから昇格して3試合に出場。昨年は初めて全試合に出場して40タックル、2サックを挙げる活躍を見せた。真面目なハードワーカーで、徐々に力をつけてきた。

身長はないが横幅が広いランスタッファーで、重心の低い当たりでがっちりと受け止める。今季はピケットの控えをFA加入のアレンやルーキーのジョリーと争う。

ケンドリック・アレン Kenderick Allen

プロ4年目の27歳。ルイジアナ州立大から2003年のドラフト外でセインツに入団し、1年目から10試合に出場した。しかし2年目はロースターに残れず、ジャイアンツに移って2年で19試合40タックル。今春パッカーズにFA移籍してきた。典型的な大型ランスタッファーで、パスラッシュの方はあまり期待できない。身長6フィート5(196cm)の長身だけに、ときおり腰高になるとの指摘もある。

ジョニー・ジョリー Johnny Jolly

テキサスA&Mからドラフト6巡指名されたルーキー。ルーキー紹介を参照のこと。どちらかというとランスタッファーのタイプのようだ。ドラフト時に心配された足の手術は必要ないようで、ミニキャンプには元気に参加していた。DTが5人枠とすると、開幕ロースター入りのためには上記の5人から1人蹴落とさなければならない。

ジェローム・ニコルズ Jerome Nichols

ウェイクフォレスト大から昨年のドラフト外でレッドスキンズに入団するが開幕前に解雇され、1月にパッカーズと契約してNFLヨーロッパへ派遣。リーグ最多の7サックを挙げる活躍でフランクフルトのワールドボウル制覇に貢献し、オールNFLヨーロッパにも選出されている。

2006年7月23日

ロースター展望 DE編

7巡指名のDEトルフソンが加わっただけで、今年も大きな補強はなかった。DL全体に常にダブルチームされるような飛び抜けた選手はおらず、フレッシュな選手をローテーションして力を出し切らせる方針が今年も続きそうだ。バジャ=ビアミラは2ケタサックの常連とはいえパスラッシュスペシャリストでしかなく、キャンプマンは今春大型契約を手にしたといってもそれはDEの相場そのものが高いからだろう。2人とも成績表でいえばBまたはB+といったあたり。

ロースター枠はDL全体で9人、たまに10人の年もある。先発の2人に加え、成長株のモンゴメリーのロースター入りはほぼ確実で、そのあとはピーターソンとルーキー3人の争いか。プロ3年目のコーリー・ウィリアムズは以前はDT/DE表示となっていたが、今ではDTのみ。カレン・ジェンキンズは引き続きDT/DEとなっている。

カビーア・バジャ=ビアミラ Kabeer Gbaja-Biamila

プロ7年目の28歳。チームNo.1のパスラッシャーで、右サイドにセットすることが多い。サンディエゴ州立大から2000年の5巡指名で入団し、プロ2年目に13.5サックを挙げてブレーク。4年連続で2ケタサックを挙げていたが、昨年は8サックに終わった。ジム・ベイツDCのシステムなら能力が最大限活かせると期待されただけに、不本意なシーズンだった。

250ポンド級の軽量でラン守備には難があり、オールラウンドな能力となるとキャンプマンに分がある。けっきょくパスラッシュスペシャリストであってエヴリダウン・プレーヤーではない、という批判は根強い。食生活を含め自己管理はしっかりしていて、プロ6年間でケガによる欠場が1試合しかないのは心強い。

アーロン・キャンプマン Aaron Kampman

プロ5年目の26歳。バジャ=ビアミラの逆の左サイドにセットする。アイオワ大から2002年のドラフト5巡指名で入団、毎年着実に成長を続けてきた。読みや判断力に優れたハードワーカーで、ラン守備を含めたオールラウンドな能力は玄人筋に評価が高い。パスラッシュでも昨年はキャリア最多の6.5サックを挙げ、今春は総額$21ミリオンの契約延長を手にした。

体作りに加え、プレー分析での研究熱心さは素晴らしいものがある。地味なチームプレーヤーの典型だが、最近はディフェンスを代表してコメントする機会も増えてきた。

マイケル・モンゴメリー Michael Montgomery

プロ2年目の22歳。テキサスA&Mから昨年のドラフト6巡指名で入団し、バジャ=ビアミラに次ぐ右サイド(ウィークサイド)の2番手を務めた。1年目はわずか1サックだったが、2年目の今年は非常に成長したとコーチ陣は評価し、大きな期待を寄せている。パスラッシャーとしてはややスピード不足だが、6フィート5(195cm)の素晴らしいサイズがある。母親はかつてプロで活躍したバスケ選手。

ケニー・ピーターソン Kenny Peterson

プロ4年目の27歳。オハイオ州立大から2003年の3巡指名で入団したが、ここまでは期待はずれ。入団時に不安視されたとおり、DTとしてはサイズや馬力も足りず、DEとしてはスピードやクイックネスも足りない。ただ彼なりの成長は見せており、かろうじてロースターに残った昨年は初めて全試合出場して23タックル、3サックを挙げた。DEキャンプマンに次ぐストロングサイドの2番手で、DTとのかけもち。

モンゴメリーとはほぼ同格だが、伸びシロを考えればロースター争いではピーターソンがやや不利ではないか。となると下記のルーキー3人との争いとなる。

デイヴ・トルフソン Dave Tollefson

ディビジョンIIのノースウェスト・ミズーリ大から7巡指名入団したルーキー。彼のユニークな経歴はルーキー紹介を参照のこと。ミニキャンプ練習を見た記者たちからは、「足を止めず走り続けるハードワーカーぶりはキャンプマンに似ているが、まだ線が細く非力な印象」という評価があった。開幕ロースター入りできなければプラクティス・スクワッドで鍛えることになるだろう。

ジェイソン・ハンター Jason Hunter

ディビジョンI-AAのアパラチアン州立大出身のドラフト外ルーキー。まるでLBのような243ポンドの軽量パスラッシャーで、40yds走4.5秒前後の素晴らしいスピードとクイックネスがある。13サック、101タックルを挙げた昨年は、5巡指名のQBイングル・マーティン率いるファーマン大を29-23で破り、同校初のNCAAディビジョンI-AA優勝を果たしている。

モンテス・マーフィ Montez Murphy

ベイラー大出身のドラフト外ルーキー。6フィート6(198cm)はDLの最長身だが、それで体重256ポンドというのはかなり細い。40yds走は4.89とまずまずでクイックネスもある。上記ハンターと同様、プラクティス・スクワッドの候補になるだろう。

2006年7月22日

ロースター展望 C編

5年間スターターを務めたマイク・フラナガンがFA移籍し、プロ3年目のスコット・ウェルズがスターターに昇格する。ウェルズはまだ若いとはいえ、2年間でセンターとして4試合、ガードとして8試合先発した経験があり、昇格する準備はできている。また、フラナガンがこの2年間ケガがちで十分な力を発揮できていなかったことを考えれば、伸び盛りのウェルズに代わってもさほどのレベルダウンはないかもしれない。

2番手はプロ2年目のクリス・ホワイトで、その他にもスピッツ(3巡指名)、ルシア、トレイナーの3人がガード/センター兼任となっている。ロースター枠はOL全体で通常9人なので、センターとガードを合わせて控えが2人というのが普通だ。

スコット・ウェルズ Scott Wells

プロ3年目の25歳。LTクリフトンと同じテネシー大から、2004年のドラフト7巡指名で入団した。1年目は開幕ロースターに残れずプラクティス・スクワッドだったがフラナガンの戦線離脱とともにロースター昇格、ルーガマーも負傷欠場した2試合に先発出場して十分な働きを見せた。2番手センターとなった昨年は左ガードとしても起用され、シーズン半ばから不振のクレムに代わって8試合に先発出場した。またフラナガンの欠場した2試合にセンターで先発している。

身長は6フィート2弱(187cm)と小さいが馬力がある。レスリングで全米チャンピオン経験があるように、ボディバランスがよく手の使い方が上手い。フラナガンはスラリとしてアスレチック能力が高い洗練されたタイプだったが、こちらはモコモコした体型の泥臭いタフガイ。大学4年間で49試合連続先発、プロ入り後も欠場はない。これまではややおとなしかったが、今後はOLのリーダーとしての役割も求められる。

クリス・ホワイト Chris White

プロ2年目の23歳。QBファーヴと同じサザンミシシッピ大からドラフト外入団し、昨年の開幕からロースター入りを果たした。今年は2番手に昇格することになる。大学時代には左タックルを主にプレーしていたが、285ポンドという小型サイズのため入団後は主にセンターを修業。アスレチック能力が非常に高い彼にとって、ゾーンブロッキングの導入は素晴らしいニュースだろう。ゾーンブロッキングなら300ポンド以下が当たり前で、軽量も問題ではなくなる。

下記のスピッツはセンター兼任とはいえセンターを試合でプレーした経験がないため、今年に関してはホワイトが2番手の座を確保する可能性が高い。

ジェイソン・スピッツ / ウェイン・ルシア / ピート・トレイナー

一昨日紹介したガード兼任の3人が、2番手のクリス・ホワイトを追うことになる。スピッツはセンター経験が乏しく、しかも今年は先発右ガードの有力候補なのでセンターを練習させる余裕があるかどうか。ルシアはジャイアンツ時代に8試合にセンターで先発した経験があるが、昨年はケガもあってプレーしておらず、現状がどうなのかよくわからない。トレイナーは今春のNFLヨーロッパで先発センターだった。

2006年7月21日

グリーンベイ・パッカーズ株主総会

毎年恒例の株主総会がランボーフィールドで開催され、今年はなんと20000人以上の株主たちが出席した。グリーンベイ・パッカーズは111,967人(4,750,925株)のファン株主の所有であるため、その「オーナー」たちの前で役員やGMが年次報告をするのだ。

Notebook: CBハリスはホールドアウトせず

2006年7月20日

ロースター展望 OG編

昨年はプロボウル級の両ガードが抜けた穴を埋められず、オフェンス不振の元凶となったポジション。意外なことに、キャップの空きがあった今年もベテランをFAで獲らず、ドラフトでOLを3人指名した。ダリン・カレッジ(2巡)とジェイソン・スピッツ(3巡)はここまで期待どおりの動きを見せており、このまま行けば2人のルーキーが先発両ガードで開幕を迎えることになる。彼らと先発を争うのも若手ばかりで、昨年の二の舞にならないのか、不安はぬぐえない。

ロースター枠はOL全体で9人、多い年で10人。9人枠の場合、タックルの控えが2人なら、ガードとセンターの控えが2人となる。ただ実際は複数ポジションを兼ねる選手がいるので、どのポジションの控えが何人とは言いにくい。

現在のオフェンシブラインには複数ポジションをこなせる選手が多く、ロースター編成上は有利と言える。先発センターのウェルズと控えタックルのクレムは、昨年左ガードで8試合ずつに先発。今年はタックルをやっているウィティカーは本来右ガードで昨年は14試合に先発。先発右タックルのタウシャーも右ガードは十分こなせる。左ガードのカレッジは大学では左タックル専門で、そちらの控えも兼ねることになりそう。右ガードのスピッツはセンターもこなせる。5巡指名のトニー・モールはタックルしかOL経験がないが、ロースター表ではT/Gと表示されているので、ガードとしてもテストされる見込み。

ダリン・カレッジ Daryn Colledge

アラスカ出身、ボイジー州立大から今年のドラフト2巡指名。ルーキー紹介を参照のこと。大学では4年間先発左タックルを務めたが、パッカーズでは左ガードで即先発となる予定で、入団直後から一貫して1stチームに入っている。軽量だがガードにはもったいないほどのアスレチック能力の持ち主で、新コーチ陣の導入するランブロッキングスキームには理想的な人材。

ガードは初体験とはいえ、ゾーンブロッキングは大学でずっとやってきたことでもあり、ミニキャンプでの動きは評判がよかった。ランブロッキングは比較的容易に馴染めている様子で、つまずくとしたらパスプロテクションの方かもしれない。また将来的には、左タックルでクリフトンの後釜となる可能性もある。

ジェイソン・スピッツ Jason Spitz

ルイヴィル大出身、今年のドラフト3巡指名。ルーキー紹介を参照のこと。先発4年間のうち3年までは右ガード、4年の春にはセンターに移る予定で練習していたが、チーム事情により左ガードで全試合先発した。プロではセンターの方がよいとの見方もあり、いずれはウェルズと先発センターを争うのかもしれないが、少なくとも今年はガードに専念することになりそうだ。

今春は下記のコストンが先発右ガードの扱いだったが、6月半ばになってスピッツが1stチームに昇格している。アスレチック能力ではコストンに劣るものの、手の使い方が非常にうまく実戦向きのタイプ。キャンプでも両者の先発争いが続くが、もしスターターの座を確保できれば、左右両ガードでルーキーが先発を務めることになる。

ジュニアス・コストン Junius Coston

ノースカロライナA&M出身、昨年のドラフト5巡指名選手。1年目はぎりぎりロースターに残ったものの先発争いには遠く及ばず、アクティブ登録されたのは2試合だけ。もともと、アスレチック能力は高いが荒削りで時間がかかりそうだと言われていた。今年はゾーンブロッキングスキームへの変更が有利に働いて1stチームの右ガードに入っていたが、6月のOTA途中から上記のスピッツにその座を奪われている。

スピッツとは逆に、コストンは大学時代はセンターの経験が最も豊富だった。昨季中は試験的にタックルを練習させた時期もあったが、今年はガードに専念させる様子だ。今夏はスピッツと先発右ガードの座を争う。

ウェイン・ルシア Wayne Lucier

プロ3年目の26歳。ノースウェスタン大とコロラド大で2年ずつプレーし、2003年のドラフト7巡でジャイアンツに入団。2年間で20試合に先発した(センター8試合、左ガード7試合、右ガード5試合)が、昨夏はふくらはぎのケガで十分にプレーできず開幕前に解雇。そのまま昨季はどことも契約せず、2月にパッカーズと契約した。今春のミニキャンプではセンターもプレーしたようだ。実績からすれば先発争いに加わってもおかしくないが、どうにも情報が少なく、どのポジションが有望なのかよくわからない。

ピート・トレイナー Pete Traynor

アイオワ大出身の26歳。昨年はアリーナ・リーグでプレーしていた。今春はNFLヨーロッパのライン・ファイアに派遣され、センターでスターターを務めた。帰国後のパッカーズではG/Cと表示されている。

2006年7月19日

ロースター展望 OT編

オフェンスでは最も安定しているポジションのひとつ。左タックルのクリフトンと右タックルのタウシャーはプロボウルの一歩か二歩手前の実力者で、控えの層もまずまず。5月のミニキャンプでバリーが大腿四頭筋腱を断裂してしまい今季はプレーできないことになったが、ドラフトでOLを3人(タックル経験者は2人)指名したことを考えれば、かえって若手にチャンスを与える結果になるかもしれない。

ロースター枠はOL全体で通常9人で、10人になることもある。OTは控えが2人ずつで計4人になるのが普通だが、ガードとのかけもちもいるので流動的。2巡ルーキーのダリン・カレッジは大学では左タックルだったがパッカーズ入り後は先発左ガードなので、ガードの項で紹介する。バリーが今季終了となったことで、左右両方の経験があるクレムのロースター入りがほぼ確実になり、最後のイスをウィティカーとモールとバークが争うか。

チャド・クリフトン Chad Clifton

プロ7年目の30歳。テネシー大から2000年のドラフト2巡で入団し、ルーキーシーズン半ばでスターターに昇格して以来、不動の先発左タックルとなっている。理想的なサイズとアスレチック能力を併せ持ち、特にパスプロテクションに優れる。ここ2年連続でプロボウルの補欠に選ばれているように、ウォルター・ジョーンズ(SEA)やオーランド・ペイス(STL)といった超一流どころと比べれば明らかに劣るものの、スターターとしてまず申し分のない能力を発揮している。

今オフはヒザと足首の手術を受けてミニキャンプ練習を全休しているが、トレーニングキャンプ開始には間に合うものと見られている。2004年春に6年契約を結んだため、2009年まで契約は残っている。今年の2巡指名でダリン・カレッジ(今はLGだが大学ではLT専門)を獲ったのは、30歳になったクリフトンの将来の後釜ということも考えてのことだろうか。

マーク・タウシャー Mark Tauscher

プロ7年目の29歳。クリフトンと同期で地元ウィスコンシン大からドラフト7巡で入団。1年目からケガのアール・ドットソンに代わってスターターとなり、それ以来不動の右タックルとなっているのもクリフトンと同じ。プロボウルは左タックル選手ばかり選ばれるので縁がないが、リーグ屈指の右タックルとの評価も多い。見た目は地味だが非常に器用で、手の使い方や角度、ボディバランスがよい。崩されることが滅多になく、ホールディングもOL陣で最も少ない。

その気になれば右ガードも左タックルもこなせる器用さがあるが、できるだけ右タックルから動かしたくないのは新首脳陣に代わっても同じだろう。

エイドリアン・クレム Adrian Klemm

プロ7年目の29歳。ハワイ大から2000年の2巡指名でペイトリオッツに入団したものの、ケガが多いためにスターターに定着できず、昨年春に新天地を求めてFAでグリーンベイへ。左ガードとして期待されたが振るわず、シーズン途中でウェルズに先発の座を譲った。今年は表示がガードからT/Gに変更されているように、先発ガード候補から外れ(そのぶんドラフトで補強)、本来のタックルに戻っているようだ。

ペイトリオッツでの5年間で最も経験豊富なのは右タックルだが、昨年はクリフトンが途中退場した試合で左タックルを大過なく務めたように、重要な左タックルの控えとして期待されている様子。そのうえ右タックルのバリーが今季終了となってしまったため、実質的には両タックルの2番手を兼ねることになるかもしれない。

ケヴィン・バリー Kevin Barry

地元ウィスコンシン出身、アリゾナ大から2002年のドラフト外で入団して以来、ずっと右タックルの控えを務めてきた。スターター級の能力があると言われながら、タウシャーが磐石なため逆転のチャンスはなかなか来ないまま、5月のミニキャンプで大腿四頭筋腱を断裂してしまい今季終了となった。今春には2年の契約延長をしており、来年も契約は残っている。

ウィリアム・ウィティカー William Whitticker

昨年のドラフト7巡指名。FA流出のリヴェラに代わって先発右ガードとなり14試合に先発出場したが、出来は芳しくなかった。しかも今年はゾーンブロッキング・スキームへの変更により、巨漢ガードの彼は先発右ガード候補から外れ、クリフトンとクレム不在の左タックルをミニキャンプではプレーしている。昨年のスターターから一転して、今年はロースター入りさえ危うくなっているわけだが、ミニキャンプでの左タックルの出来はまずまず悪くなく、またバリーの戦線離脱でチャンスも出てきた。今夏のキャンプが正念場となる。

トニー・モール Tony Moll

ネヴァダ大出身、今年の5巡指名ルーキー。ルーキー紹介のページを参照のこと。タイトエンドから転向わずか1年でOL経験が乏しいが、アスレチック能力の高さを買われての指名だった。ミニキャンプ練習ではプロのレベルの高さに苦労している様子で、左タックルから右タックルに移されたりしていた。開幕ロースター入り争いに敗れたらプラクティス・スクワッドの有力候補。

ジョシュ・バーク Josh Bourke

ディビジョンIIのグランドヴァレー大(ミシガン州)出身のドラフト外ルーキーで、昨年はディビジョンIIのオールアメリカン1stチームに選ばれている。チーム最長身の6フィート7(200cm)だが40yds走5.21秒と十分なスピードがある。ミニキャンプでは上記トニー・モールよりもむしろ評判がよかったようだ。右タックルで1年、左タックルで2年の先発経験がある。カナダ・オンタリオ州出身で、2004年にはCFLから全体23位指名されたこともある。

2006年7月18日

ロースター展望 TE編

よくも悪くも変わり映えがしないポジション。今年もFA補強がなく、ドラフトでは1巡5位でTEヴァーノン・デイヴィス(メリーランド大)を指名するという予想もあったが結局LBホーク指名となり、下位での指名もなかった。ただ昨年はケガで半分しか出場できなかったフランクスが復帰することを考えれば、多少の上積みはある。新コーチ陣に代わって起用法がどうなるのか、ゾーンブロッキングに変更されることもひとつの要素となりそうだ。

TE陣全体のパスキャッチ成績は2003年が63回542yds、2004年は43回491ydsだったが、昨年はWR陣のケガ人続出が影響して85回725ydsと大幅に数字を伸ばした。フランクスの欠場はあったがドナルド・リーが活躍できたことも大きいようだ。ロースター枠は通常3人。フランクスのスターターは確定で、2番手をマーティンとリーが争う。NFLヨーロッパ帰りのハンフリーがそれを追うが、上位3人を脅かすまではどうか。

ババ・フランクス Bubba Franks

プロ7年目の28歳。3年連続でプロボウルに選出されたこともあるが、主にNFCのスターTE不足によるもの。身長6フィート6(198cm)の高さと非常に安定したパスキャッチ能力で通算29TDを記録しているが、彼の能力の限界は年度別スタッツに表れている。明らかなスピード不足、加えてランアフターキャッチ能力がないために平均ydsが低く、1回平均10ydsを超えたことが2シーズンしかない。NFL全体のTEのスタッツを見ると、平均12yds以上がゴロゴロいる。

サイズとパスキャッチの上手さに加えて、彼の魅力はその安定性にある。地味で目立たない個性だが非常に真面目で、体調管理も万全。昨年は序盤にヒザ、終盤に首と背中を痛めて8試合しか先発できなかったが、それまでの5年間は全試合出場しており、完全復活にさほどの問題はないと見られている。ただランブロッキング・スキームの変更は不利に働く可能性がある。

デヴィッド・マーティン David Martin

2001年のドラフト6巡指名、プロ6年目の27歳。全てにおいてフランクスとは対照的で、元WRらしいスピードはあるがプレーぶりが不安定で、イージーなキャッチミスがなかなか減らない。ぬるま湯体質なのか自己管理能力に問題があり、毎年ケガが多い。フランクスが負傷した昨年は8試合に先発してキャリア最高の27回224ydsを記録したが、33回294ydsのドナルド・リーには劣っていた。

今夏はドナルド・リーとの2番手争いとなる。2人のどちらを上と見るかは記者によって異なっているようだ。

ドナルド・リー Donald Lee

プロ4年目の25歳。ミシシッピ州立大から2003年のドラフト5巡でドルフィンズに入団、2年間で全試合に出場したが不安定なプレーぶりで伸び悩み、3年目の昨季開幕前に解雇。直後にパッカーズと契約した。しだいにQBファーヴから信頼されるようになり、フランクスの欠場時にはマーティンを上回る活躍でレシーバー不足を補った。248ポンドと軽量でクイックネスがあるだけに、ゾーンブロッキングへの変更はプラスかもしれない。

トリー・ハンフリー Tory Humphrey

セントラル・ミシガン大から昨年のドラフト外でコルツに入団したが6月半ばに解雇され、8月初めにパッカーズと契約した。開幕ロースターには残れなかったがシーズン半ばにプラクティス・スクワッドに加わり、マーティンの負傷した終盤にロースターへ昇格。最終戦だけ出場してスタッツなし。今春はNFLヨーロッパに派遣されてアムステルダムでスターターとなり、パスキャッチ19回206ydsを記録している。

ギャレット・クロス Garrett Cross

QBアーロン・ロジャースのカリフォルニア大での同僚で、それ以前のジュニアカレッジ時代から2人は一緒だった。昨年のドラフト外でパッカーズに入団したが、7月のキャンプ入り直前に「どうしても気持ちが入らない」としてチームを離れた。今春には再び気が変わってパッカーズに復帰している。ロースター入りは望み薄だが、プラクティス・スクワッドなら可能性はある。

ザク・アルコーン Zac Alcorn

NAIAに属するブラックヒルズ州立大(サウスダコタ州)出身のドラフト外ルーキー。身長6フィート4(193cm)、体重260ポンド(118kg)の標準的なサイズで、40yds走4.62秒とスピードもある。昨季は43回689yds、7TDの活躍で、NAIAのオールアメリカン1stチームに選出されている。これまでのミニキャンプではパスキャッチの上手さを見せており、プラクティス・スクワッドの有力候補か。

2006年7月17日

Notebook: 4巡指名CBブラックモンと契約

2006年7月16日

ロースター展望 WR編 2

先日紹介した先発候補4人を除く8人を紹介。ロースター枠は6人または5人で、順当ならボーリクターとロジャースがぎりぎりロースター入りしそうだが、ドラフト外やNFLヨーロッパ組の逆転はあるのかどうか。

マーク・ボーリクター Marc Boerigter

プロ5年目の28歳。NAIAに属するヘイスティングス大(ネブラスカ州)からCFLカルガリに入団、2年で2,023yds、19TDの活躍が認められ、2002年にチーフスと契約した。1年目から先発2試合を含む全試合に出場して420ydsを記録したが、2年目にはWR/KRダンテ・ホールなどに出場機会を奪われ、11回158ydsに終わった。3年目の2004年にはプレシーズンゲームで前十字副靭帯断裂の大ケガを負って全休。昨年も完全復活はできず、わずか8回119ydsに留まっている。

身長6-3(190cm)、体重220ポンド(100kg)の大型レシーバーで、(ケガする前には)40yds走を4.47秒で走ったように十分なスピードもある。ショートからミドルのパスでガタイを活かしたいところだが、素早くフリーになることができないという指摘もある。パッカーズ移籍後のミニキャンプでは難しいパスを捕れないシーンも時折あり、持ち前のフィジカルさをアピールできるか、トレーニングキャンプが正念場となりそうだ。

コーリー・ロジャース Cory Rodgers

テキサス・クリスチャン大から4巡指名入団。ルーキー紹介のページを参照のこと。ドラフト指名後の5月に乱闘事件に関わって逮捕され、司法取引がまとまって一応のカタがついたところだ(事件謝罪コメント司法取引)。6-0(183cm)と身長はまずまずだが、パッカーズのWR陣では最軽量の186ポンド(84kg)とまだ線が細い。スピードよりもクイックネスに優れ、ディフェンダーを振り切るのが上手いとの評判。

現時点での最大の売りはリターナーとしての能力で、2巡でWRジェニングスを獲ったパッカーズがわざわざ4巡指名権を使ったのもそれが理由だ。2000年には同じようにリターンスペシャリストとしてWRジョーイ・ジェイミソンを指名したことがあったが、肝心のパントでキャッチミスを連発して早くも8月上旬に解雇されたことがあった。ロジャースの場合はそこまでひどくないにしても、ここまでのミニキャンプではキャッチが不安定で、2巡のWRジェニングスと比べて不安を感じさせるスタートとなっている。

ルヴェル・マーティン Ruvell Martin

サギノーヴァレー州立大から2004年のドラフト外でチャージャーズに入団するが、開幕ロースターに残れずに解雇。昨年春にはNFLヨーロッパに派遣され、NFLE記録のシーズン12TD(679ydsも1位)の大活躍を見せた。チャージャーズに戻った昨年夏も開幕ロースターには残れず、シーズン半ばにパッカーズのプラクティス・スクワッドに入った。身長6フィート4(193cm)の長身WRでパスキャッチが非常に上手く、今春のミニキャンプでは好プレーを連発していた。ドラフト外からロースター入りする可能性が最も高いのは彼かもしれない。

チャド・ルーカス Chad Lucas

トロイ州立大で2年、アラバマ州立大で2年プレーし、2004年のドラフト外でタイタンズに入団したがロースターには残れず、アリーナリーグへ。昨年6月にはパッカーズと契約して開幕からプラクティス・スクワッドに入っていたが、WR陣にケガ人が続出したため11月にロースターに昇格。1試合だけスペシャルチームで出場したものの、2週間後には解雇された。今春はNFLヨーロッパに派遣され、リーグ最多の8TD(440ydsは4位)を挙げる活躍でオールNFLEチームに選出されている。

ヴィンス・バトラー Vince Butler

ノースウェスタン・オクラホマ州立大から昨年のドラフト外でパッカーズへ。ミニキャンプの頃はすこぶる評判がよかったが、その後は尻すぼみとなって開幕前には解雇され、シーズン半ばにプラクティス・スクワッドへ。今春は上記チャド・ルーカスと同じくNFLヨーロッパのアムステルダムでプレーしたが、パスキャッチ13回174ydsにとどまった。

レオ・ブックマン Leo Bookman

カンザス大では3回もNCAAの200mチャンピオンに輝いた世界レベルのスプリンターで、この4月にパッカーズと契約した。ただしフットボールの方は、大学1年・2年と主にスペシャルチームをプレーしただけで、2002年以来プレーしていない。スピード(一説では4.19秒)に加えサイズも6フィート2(188cm)と申し分ないが、ミニキャンプでは落球が目立ち、「WR陣で最もパスキャッチが下手かも」という評判。ルート取りもまだまだ未熟のようだ。

カルヴィン・ラッセル Calvin Russell

ディビジョンIIのタスケギー大(アラバマ州)出身のドラフト外ルーキー。身長6-0(183cm)、体重190ポンド(86kg)で、昨年はパスキャッチ42回668yds、5TDを記録。ここまでのミニキャンプでは未熟さを露呈することが多かったようだ。

クリス・フランシス Chris Francies

テキサス大エルパソ校(UTEP)出身のドラフト外ルーキー。身長6-1(185cm)、体重193ポンド(88kg)。先発3年間でパスキャッチ128回2022yds(平均15.8yds)、12TDという実績を残している。

2006年7月15日

Notebook: 第1回テイルゲート・ツアー

2006年7月14日

Notebook: 第1回テイルゲート・ツアー始まる

2006年7月12日

Supplemental Draft 近づく

NFLのSupplemental Draft(補足ドラフト)が今月13日に行われる。4月の本ドラフトにエントリーしなかったもののNFL入りを希望する選手のためのものだ。犯罪や薬物違反や学業成績などの問題で、大学での出場資格を失った選手がエントリーしてくることが多い。球団としては全く指名しないことも自由で、NFL全体で1人も指名されない年も珍しくない。もし指名した場合、その球団は同じ巡の指名権を翌年のドラフトで失う。

1977年の制度スタート以来、指名されたのは34名(リスト)で、QBバーニー・コーザーやWRクリス・カーターの名前も見える。パッカーズがこの制度を利用したのは1998年のT/Gマイク・ウォールだけだ。ステロイド使用が発覚した彼は大学4年目の出場資格を失なったため、この補足ドラフトにエントリーし、パッカーズが2巡指名。それによりパッカーズは翌1999年の2巡指名権を失った。(しかしホルムグレンHCのシーホークス移籍を認める代わりに2巡指名権を受け取り、CBフレッド・ヴィンソンを指名。翌年ヴィンソンとの交換でシーホークスからRBアーマン・グリーンを獲得している)

NFL.comのGil Brandtによる今年のエントリー選手紹介はこちら。最も注目されているヴァージニア大のLBアマド・ブルックスは4月の本ドラフトにエントリーしても1巡上位候補と言われた有力選手だが、度重なる規律違反により退部処分を受けた。マリファナなど薬物違反が複数回あったらしく、実力はすごいが素行面でのリスクはハンパじゃないともっぱらの評判だ。先月下旬のワークアウトにはほとんどの球団が顔を出したと言われ、パッカーズからもプロ人事部長とカレッジ・スカウト部長の2人が訪れて本人と面談を行った。

2006年7月11日

ロースター展望 WR編 1

一昨年には1200ydsレシーバーを2人輩出した強力ユニットだったが、ウォーカーの放出によって一気に弱体化してしまった。ドライバーの実績は文句なしだが、その相棒が頼りない。ファーガソンは結局のところ期待はずれで、昨季終盤に契約したロッド・ガードナーと再契約し、チーフスからFAのボーリクターを獲得。昨年の2巡指名テレンス・マーフィは首の大ケガで現役を続行できないことになり、今年も2巡でジェニングスを指名せざるをえなかった。

ファーガソン、ガードナー、ボーリクター、それに2巡ルーキーのジェニングスがスターターを争うことになるが、ルーキーWRが1年目から活躍するのはかなり難しい。ただ、アントニオ・チャットマンがチーム2位の49回549ydsを記録した昨年と比べれば、WR陣全体のレベルはまずまず向上したと言えそうだ。

ロースター枠は6人または5人。今日取り上げる上位4人は開幕ロースター入りしそうだが、本当に確実なのはドライバーとジェニングスだけで、それ以外は何の保証もない。

ドナルド・ドライバー Donald Driver

プロ8年目の31歳。7巡指名入団から努力で這い上がり、1000ydsシーズン3回、うち1200ydsが2回、プロボウル出場も果たした。開幕戦でウォーカーが大ケガした昨年は自己最高の86キャッチ1221ydsの大活躍で貧弱なレシーバー陣を支え、ウォーカーがいなくなった今年は完全なエースWRとなる。ただしダブルチームされても仕事ができる超一流どころと比べると能力に限界があるのは明らかで、「2番手としてなら優秀なのだが」という見方はなかなか消えない。

ルート取りの精度はチームNo.1で、互いに信頼の篤いQBファーヴからのショートパスは3rdダウンでの定番プレー。ディープスレットとしてはウォーカーほどのスピードはないが、オリンピック級のジャンプ力を持っている。常に謙虚でポジティブな態度を崩さないメンタル面の強さはチームでも屈指のもので、チームメイトからもファンからも愛されている。すでに28歳くらいから(慢心のためか)衰えを見せた元WRアントニオ・フリーマンとは対照的に体作りは万全で、5月に契約延長をしたのもそのあたりの信頼のたまものだろう。

ロバート・ファーガソン Robert Ferguson

プロ6年目の26歳。2巡指名入団から5年、「今年こそ飛躍を」と言われ続けながら、ケガが多いこともあって伸び悩んでいる。昨季はウォーカーがいない絶好のチャンスだったにもかかわらず結果が出せず、株は下がるばかりだった。ガタイがよくミドルでのパスに強いはずだが、競り負けからインターセプトを許すことがあり、またジャンプボールで競り負けてインターセプトされるシーンも昨年は目立った。

今のところ一応はスターター扱いだが、キャンプではガードナーたちとの自由競争となる。可愛がってくれたシャーマン前HCもチームを去り、キャンプでの出来しだいでは解雇の可能性もなくはない。スペシャルチームでの実力は証明済みで、「スペシャルチームでの激しいタックルが彼の一番の取り柄」という厳しい見方もある。

ロッド・ガードナー Rod Gardner

元レッドスキンズの1巡指名選手で、昨夏には下位指名権とのトレードでパンサーズに移ったが、3番手の座さえ奪えず12月半ばに解雇。ケガ人だらけのパッカーズと契約して2試合に出場し、パスキャッチ4回67ydsと準備不足を考えればまずまずの出来だった。大型WRを好むマッカーシー新HCということもあってすんなり再契約(1年)もまとまった。プロ2年目には1000ydsを記録しているだけに、ファーガソンらと高いレベルでスターターを争ってほしいところだ。

しかし今春のOTA練習はずいぶん欠席して首脳陣の期待を裏切り、出席した練習でもあまりキレはよくなかったらしい。けっきょくこういった甘さが伸び悩みの原因なのかもしれず、どの程度期待していいものか。

グレッグ・ジェニングス Greg Jennings

ウェスタンミシガン大出身の2巡指名ルーキー。プロフィールについてはルーキー紹介のページを参照のこと。サイズは現WR陣で最も小さい5-11(180cm)だが、ディフェンスを振り切るクイックネスに優れ、パスキャッチも非常に上手いようだ。入団後の練習での評判もかなりよく、スターター争いの一角に加わることが期待されている。また、キックオフ/パント両リターナーの有力候補でもある。

2006年7月10日

ロースター展望 FB編

伝統的に充実しているユニットだが、ヘンダーソンの衰えとともに実力低下がうかがえる。昨年はルーチーに代わってリーチがロースター入りを果たし、ランブロックならリーチ、パスオフェンスではヘンダーソンという使い分けだった。試合最初のオフェンス構成しだいで、パワーラン隊形ならリーチが先発するという風に、どちらがスターターとは言えない状況で、ヘンダーソンが1試合平均19.2スナップ、リーチが16.8スナップに出場した。

ロースター枠は2人。ヘンダーソンとリーチで無風区とも思えるが、ヘンダーソンの衰えやリーチの伸び悩みを新首脳陣がどう判断するか。キャンプの出来しだいでは世代交代もありうる。今年ドラフト外でFBを2人も獲った(RBは1人だけ)のもそうした意図の表れかもしれない。

ウィリアム・ヘンダーソン William Henderson

プロ12年目の35歳。在籍年数ではファーヴに次ぐ2番目の大ベテランで、入団以来2試合しか欠場していない。ランブロッキングは少しずつパワーダウンし、出場機会は減ってきているが、若手が追いつけないのはパスキャッチの方だ。昨季はケガ人続出のWRやRB陣を補うように、勝負どころでのランアフターキャッチで1stダウンを稼ぐシーンが目立った。この2年間パス落球がないらしい。

実績に驕ることがなく一年を通しての体調管理が理想的で、キャンプには完璧な体で登場して若手の追い上げを毎年退けてきた。いまだにスペシャルチームでも頑張る若手のよきお手本であり、リーダーシップも素晴らしいものがある。ただはっきりと衰えがあるのも事実で、若手の追い上げしだいでは開幕前に放出の可能性もある。

ヴォンテ・リーチ Vonta Leach

プロ3年目の24歳。大学3年目の途中でLBからFBに転向、一昨年のドラフト外入団からプラクティス・スクワッドに入り、シーズン半ばでロースターに昇格した。昨夏にはニック・ルーチーに競り勝って2番手FBとなり、ブロッキングFBとして起用された。しかし肝心のランブロックもまだミスが多く、「早くも慢心があるのでは」という厳しい見方も。またパスキャッチではヘンダーソンに遠く及ばない5回19ydsで、大事な場面でのイージーな落球も目立った。

フルタイムのスターターとなるには、ラン・パス全般での成長が必要。元LBということもあってスペシャルチームでの使い勝手はいい方だろう。

ベン・ブラウン Ben Brown

NAIAのテイバー大(カンザス州)出身のドラフト外ルーキー。昨季はラッシング77回507yds(6.6yds)、3TD。パスキャッチ24回304yds、2TDを記録している。FB表示となっているがミニキャンプではRBもプレーし、なかなかよい動きを見せたらしい。かつてのエドガー・ベネット(現RBコーチ)やドーシー・レヴェンズも入団当初はFBだったが、後にエースRBとなっている。

A.J. クーパー A.J. Cooper

ディビジョンI-AAのノースダコタ州立大出身のドラフト外ルーキー。大学ではTEだったが、パッカーズ入団後はFBをプレーしている。身長6-1(185cm)、体重240ポンド(109kg)。40yds走は4.74秒と十分なスピードがあるが、225ポンドベンチプレスは19回とやや物足りない。

2006年7月 9日

Notebook: 6巡指名DTジョリーと契約

2006年7月 8日

ロースター展望 RB編

昨年はケガ人だらけのチームの中でも最も多くのケガに見舞われたポジションで、唯一の収穫はシンデレラボーイとなったサムコン・ガドーだった。グリーンとダヴェンポートは今春フリーエージェントだったが、どちらも大ケガのため安価な1年契約を結ぶことができた。彼らとしては、今季復活をアピールして来春ビッグマネーを手に入れたいところだろう。

FAの2人を引き留めたところまではよかったが、ドラフトで1人も指名しなかったのは意外。もしこのままFA補強なしで開幕を迎えるとすればかなりリスキーな選択だ、という見方が強い。こうする以上、チーム側はグリーンの回復具合によほど自信があるのかとも思えるが、彼のケガは前例から言って完全復活できる保証はない。

ロースター枠は通常3人。FBを減らすなどして4人にすることもある。実績だけならグリーン、ダヴェンポート、ガドーの3人で当確だが、全ては体調しだいとなる。グリーンもダヴェンポートも契約が安かったので、場合によっては解雇も可能だ(キャップへの打撃が小さい)。

アーマン・グリーン Ahman Green

プロ9年目の29歳。パッカーズ移籍以来5年連続で1,100yds以上、4年連続でプロボウル出場を果たしたが、ついに6年目で大ケガに見舞われた。ヒザと大腿を結ぶ大腿四頭筋腱の断裂では、以前の力を取り戻せるかどうかも疑わしい。彼のオフシーズンの体調管理は素晴らしいものがあり、「リハビリは極めて順調」という報道を今は信じる他ない。

コーチたちの話によると、トレーニングキャンプのどこかでチーム練習に合流する見込み。順調に復帰に成功して開幕に間に合ったとしても、いきなり大エースに戻るのはおそらく無理で、キャリー数を分散することになるだろう。

ナジェ・ダヴェンポート Najeh Davenport

プロ5年目の27歳。250ポンド級の巨体で突っ込むパワーランは迫力満点で、いずれはスターターが務まる能力の持ち主と言われながら、相変わらずケガが多い。グリーンとは対照的に自己管理能力に問題があり、決して不運だけではない。今春FA移籍を選ばずあっさり再契約したのは、グリーンのケガの重さからして今年はブレークのチャンスと見たのかも。

足首骨折は決して軽いケガではないが、グリーンと比べれば完全復活は容易のはず。すでに5月から「自分はもう復帰できる」と主張しながら練習参加を許されないのは、ケガの多い実績があるからかもしれない。

サムコン・ガドー Samkon Gado

リバティ大出身のプロ2年目。昨季中盤にプラクティス・スクワッドから昇格してRB陣の主役となり、5試合に先発して582yds、(レシーブ含め)7TD、3回の100ydsラッシングを記録した。ナイジェリア生まれという経歴、極めてマジメで優秀な学業成績、医師になって故郷の人々を助けたいという希望(記事へ)、信仰心の強さなど好感度が高く、地元ファンの気持ちをしっかりとつかんだ。

ファンブル問題やパスキャッチやブロッキングなど荒削りな点も多いが、昨年の活躍から、2番手や代役スターターなら十分務まることは証明済みと言える。上記2人が参加できないためミニキャンプでのプレー機会が非常に多かったのもプラスだ。

ノア・ヘロン Noah Herron

ノースウェスタン大出身のプロ2年目。昨年スティーラーズから7巡指名されて開幕ロースターに残ったが、RBベティスやRBステイリーがケガから復帰すると解雇されてプラクティス・スクワッドへ。11月末にパッカーズと契約した。フルバック兼用のパワーランナーだが、穴に飛び込むスピードがないためか、かなり出番をもらった昨季終盤も48回128yds(平均2.6yds)と振るわなかった。

今春のミニキャンプではガドーに匹敵するプレー機会を与えられており、ケガの2人を含めると4番手となる。コーチ陣は彼のヴァーサタイルな能力を賞賛しているが、記者たちの間には懐疑的な見方が多い。開幕ロースター入りのためにはフルバックやスペシャルチームでの貢献が重要になりそうだ。

チャズ・ウィリアムズ Chaz Williams

ディビジョンI-AAのジョージア・サザン大出身の23歳。大学ではオプションQBとして活躍したが、40yds走4.47秒前後のスピードを認められ、昨年ドラフト外でRBとしてパッカーズへ。しかしトレーニングキャンプで足首を骨折してしまい、インジャリーリザーブでシーズンを終えた。今年はすでに6月1日からチーム練習に復帰している。

アーリス・ビーチ Arliss Beach

ケンタッキー大出身のドラフト外ルーキー。40yds走4.45秒のスピードの持ち主だが、大学ではほとんど控えだった。4年間でラン226回1010yds(平均4.5yds)、14TDを記録している。

2006年7月 7日

LBニック・バーネットの店の営業続行が可能に

LBニック・バーネット経営の"FiveSix"は市の委員会から酒類販売許可の更新を拒否されていたが、市長からの要請を受けた再審議で更新が認められ、営業を続けられることになった。先月の委員会で否決されたあと、バーネットのきつめの発言(記事へ)、警察とのトラブル、市長からの審議やり直し要請(記事へ)、スプレーペイントでのイタズラなど、1ヶ月にわたってすったもんだがあった。

今回は8-3での承認だった。2時間半にわたった話し合いの中で"FiveSix"側と委員会はトラブルを減らすための改善案に合意。バーでないことを周辺住民に示すためにもアルコール類以外の収益を増やすよう「誠実な努力」をし、また警備も強化する。

ホッとした様子のバーネット。「ようやく解決できて、とても喜んでいる。(あれほどこじれたので)解決できたことに正直驚いている。今日はもちろん期待して出席したけれど、何があるかは分からないからね。僕はグリーンベイ市についての考えを変えたことはない。今回はいろいろな出来事を経るなかで少し落ち込んだけど、ここに住むことは大好きだし、ここでプレーするのが大好きだ」

2006年7月 6日

ロースター展望 QB編

ファーヴの現役続行により、スターターと2番手は確定。3番手も5巡指名ルーキーのマーティンでほぼ決まり。ロースター枠は通常3人なので、プレシーズンでよほどマーティンの出来がひどくなければこの3人で決まりそうだ。5人体制ではプレー機会を十分与えられないため、アースとローベルのどちらかを解雇してトレーニングキャンプを迎えるかもしれない。

ブレット・ファーヴ Brett Favre

プロ16年目の36歳。レギュラーシーズン221試合連続先発中。昨季は29インターセプトを喫したキャリア最悪のシーズンで引退の見方が強まったが、またフィールドに帰ってきたのは結局のところフットボールへの愛情からだ。今年はマッカーシーHCの下で新オフェンスに取り組んでいるが、気持ちがフレッシュになってかえってよいかもしれない。

多少の衰えがあるとはいえフィジカル的には問題ない。制御が利かず一人相撲になってしまった昨年のファーヴを、新コーチ陣はウェストコーストオフェンスの本道に戻すつもりのようだ。そのためにはオフェンシブラインを強化し、低迷したランオフェンスを立て直すことがやはり重要になる。レシーバー陣も、WRドライバー頼みになってしまった昨季の失敗を繰り返さないために全体を底上げしたいところ。

アーロン・ロジャース Aaron Rodgers

昨年の1巡指名QBだが、ファーヴの現役続行により、もう1年はサイドラインで修行することになった。昨年と比べればはっきりと成長を見せているが、ではファーヴの後継者にふさわしいか、いずれフランチャイズQBになれるかというと、まだそこまで証明したわけではない。今夏のプレシーズンゲームでのプレー内容が注目される。

ドラフト時に指摘されたような、構える時にボールを右耳の横まで持ち上げるロボティックなフォームは治った。しかしミニキャンプではディープアウトなど長めのパスでのコントロールミスが目立つなど、まだファーヴの先発の座を脅かすには程遠い。

イングル・マーティン Ingle Martin

今春のドラフトで5巡指名されたルーキー。プロフィールについてはルーキー紹介のページを参照のこと。ミニキャンプでは複雑なウェストコーストオフェンスへの戸惑いが目立ち、まだ落ち着いたプレーができていない。これから順調に慣れて身体能力の高さを活かせるようになれば、すんなり3番手を確保できるだろう。またファーヴが引退してロジャースがスターターとなったとき、ベテランの控えが必要になるかどうかも、彼の成長にかかっている。

トム・アース Tom Arth

ディビジョンIIIのジョン・キャロル大出身の25歳。2003年は肩のケガのためコルツのインジャリー・リザーブで過ごし、2004年には開幕ロースターに残れなかった。2005年にはNFLヨーロッパに派遣されたがわずかしかプレーできず、開幕前に解雇されてプラクティス・スクワッドへ。今年はコルツと再契約せず、3月にパッカーズと契約した。どのようなQBなのか情報がほとんどないが、後述のローベルよりは有力と思われる。なお、ジョン・キャロル大はオハイオ州にあり、名将ドン・シュラやLBロンドン・フレッチャー(BUF)の母校でもある。

ブライアン・ローベル Brian Wrobel

ディビジョンIIのウィノナ州立大(ミネソタ州)出身の24歳。昨年春にドラフト外でシーホークスに入団したが、キャンプ半ばで解雇された。今年1月にパッカーズと契約しNFLヨーロッパのベルリン・サンダーに派遣されたがスターターにはなれず、6試合に出場してQBレーティング46.3と振るわなかった。

2006年7月 5日

WRコーリー・ロジャースが司法取引

4巡指名ルーキーのWR/KRコーリー・ロジャースは5月にバーでの集団乱闘事件で逮捕されたが(記事へ)、このほど検察側との司法取引が成立した。銃の不許可携帯の罪を認めて15ヶ月の保護観察処分と$500ドルの罰金を受け入れるかわり、空に向けて発砲した罪は問われないことになった。また全米を旅するNFL選手という事情を考慮して、定期的に保護監察官と面会する義務は免除され、その代わりとしてシーズン終了後に80時間の公共奉仕を行う。

事件が起きたのは、ドラフトから1ヶ月経った5月26日のこと。彼の母校テキサスクリスチャン大のあるテキサス州フォートワースのバーで、ギャングとフットボール選手のトラブルからおよそ60人による大乱闘が起こり、駐車場で大学のチームメイト2人と車にいたロジャースは空に向けて発砲した。軽い刑罰で済ませた理由について、「(弁護側の主張どおり人に向けた発砲ではなく)彼が自分を守るためにしたことだという証拠があった」と検事は説明し、「これは初犯者に対するごく標準的なものだ」としている。

事件直後のミニキャンプに登場したロジャースは、神妙に謝罪の言葉を述べている。(記事へ

2006年7月 4日

テッド・トンプソンGMの人となり

GM就任から1年半経つものの、テッド・トンプソンGMは表に出ることを好まず、たとえ喋ったとしても素っ気ないコメントばかりのため、謎の人物、またなんとなく冷淡な人柄と誤解されがちだ。チーム運営の手腕は数年経たなければわからないとして、彼の生まれ育ちや人柄について、親しい友人のコメントを交えて紹介する。

2006年7月 3日

ドラフト指名選手紹介 12: DEデイヴ・トルフソン

 7巡45位 DEデイヴ・トルフソン Dave Tollefson
NW Missouri State Senior 6-4 (193cm) 255lb(116kg) 40yds/4.72秒 1981年5月19日生

経歴 : カリフォルニア州コンコード出身。高校ではLBとして活躍し、市のオールスターなどに選ばれる。しかし学業成績が足りず、1999年に短大に進んで2年間LBとしてプレー。そこで有力校へ移るのが一般的なパターンだが、彼は肩をひどく痛めてしまった。奨学金なしでいったんフレズノ州立大に入るが、練習中に再び肩を痛めて二度目の手術。そこでフットボールを諦め、大工修行を1年以上した。

しかし短大時代のチームメイトに強く誘われて、ディビジョンIIのノースウェスト・ミズーリ州立大でフットボールのキャリアを再開することを決意。体が小さくなってしまっていたので、専門のトレーナーに3ヶ月$600ドルを支払って体作りをした。奨学金なしで入学した1年目は足の骨折で全くプレーできなかったが、2年目の2004年からようやく奨学金を得た。

2004年は8.5サックでカンファレンスの2ndチームに選ばれ、2005年は12.5サックの大活躍でカンファレンス1stチームやディフェンスMVP、オールアメリカンにも選出された。2年間で106タックル、21サック。オールスター戦のひとつ、フラ・ボウルにも出場した。

Strengths : 十分なサイズとかなりのスピード、アジリティがある。3コーンドリル6.95秒は全DE中でもトップクラス。優れたパスラッシャー。ボディバランスがよく重心が低く、崩されることが少ない。プレーの読みがよい。ハードワーカーで、ホイッスルが鳴るまで頑張り続けるタイプ。

Weakness : 軽量でランディフェンダーとしては弱い。うまくブロッカーを振り切ることができないことも多い。ディビジョンIIではトップクラスのOTを相手にしてきていない。何度も大きなケガをしていることも不安要素。

メンタル面 : ワンダーリックテスト31点はかなり優秀。非常なハードワーカーで精神面はしっかりしている。母親は高校で障害者クラスを受け持っているが、彼はその生徒たちを試合に招待したり、里帰りしたときにはかならずクラスに顔を出して1日過ごすのだという。

指名の経緯 : ディビジョンIIだけにほとんど知られていなかったが、オールスターゲームの "フラ・ボウル" に一部校の選手に混じって招待され、全米中継された2月1日の試合では両軍最多の6タックルを挙げる活躍を見せた。

どうせドラフト外だろうと覚悟していた本人はドラフト当日にオオクチバスのフィッシング大会に出場していて、そこでパッカーズからの指名を知った。釣りを終えて検量に向かうところでトンプソンGMからの電話を受けたが、そばにいた親友(カリフォルニア大のコーチ)はなかなか信じず、知り合いに電話してようやく納得したのだという。

パッカーズにとって : 1巡でDE指名の噂もあったが、DEマリオ・ウィリアムズが1位で指名されたため、その可能性も消えた。パッカーズ守備のの弱点のひとつは、パスラッシュスペシャリストがDEバジャ=ビアミラしかいないということだったが、7巡になってようやく1人指名。FAでもDEを補強しておらず、ルーキーを含めた若手の中から台頭するのを待つようだ。

今年のDL陣はデプスだけは十分あり、トルフソンが開幕ロースター入りするのは容易ではない。DEバジャ=ビアミラがそうだったように、1年目はプラクティス・スクワッドで鍛えることになるかもしれない。

なぜ刑務所 : フラ・ボウルでの活躍などでようやく注目されるようになったが、なぜか各球団のスカウトたちには、彼の3年間のブランクは「刑務所にいたからだ」という俗説が広まってしまっていた。「特にニューイングランドは完全にそう信じていたよね。『本当に刑務所にいなかったのか?』って何度も聞かれたもん」

ノースウェスト・ミズーリ州立大 : 同大からドラフト指名されるのは史上4人目、パッカーズはもちろん初めて。2003年にはOTセス・ワンドがテキサンズに3巡指名され、今年は先発左タックルとなるようだ。

2006年7月 2日

LBニック・バーネットの店に市長が助け舟

6月27日の記事でお伝えしたLBニック・バーネットの店"FiveSix"の酒類販売許可の更新について、グリーンベイ市長ジム・シュミットが木曜日に記者会見を開き、「彼にセカンドチャンスを与えるよう再検討すべき」と委員会に求めた。バーネットに更新を許可しなかった委員会がその後同じような状況の店に更新を許可したことが広く報道されたこともあり、人種問題に関する市のイメージダウンを避けようとしたものと思われる。

今後は、トラブルを減らすためのバーネット側の改善策を含め、委員会は許可証の更新について再検討していくようだ。委員の1人は、「市長の発言は決して『命令』ではないが『要請』より強い」と語っており、前回は8対4で更新許可を否決された票が今度は逆転するだろうとの見通しを示している。

ところで市長発言の前の6月27日、この件についてインタビュー中のバーネットと地元テレビ局のクルーが"FiveSix"の前の道路を渡ったところ、それが交通違反だとして警官から文書による注意を受けるという事件があった。その注意をしたのは、委員会でバーネットに不利な証言をしたのと同じ警官であり、怒ったバーネットは「グリーンベイ警察から不当な扱いを受けている」と非難。翌日になって警察側は注意を撤回し、「彼はよい警官だがこの件に関してはやや熱心すぎた」とコメントしている。

また市長発言翌日の6月30日朝、バーネットの店の壁にスプレーペイントで大きなイタズラ書きがされるという事件もあった。すぐにペイントで消されているが、内容はカギ十字と人種的な中傷だったようだ。インタビューに応じたジム・シュミット市長はあらためて「グリーンベイは差別的なコミュニティではない」と述べ、市のイメージダウンについての懸念を語っている。