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2007年6月30日

NFLヨーロッパが終了

NFLヨーロッパの運営を終了することをNFLスポークスマンが発表した。1991年にワールドリーグ(北米チームを含んでいた)としてスタートしたNFLの育成リーグは、2年間の中断を経て1995年に再開され、合わせて16年にわたって運営されてきた。かつてはQBカート・ワーナーやQBジェイク・デロームを輩出したNFLヨーロッパだが収益の方は振るわず、毎年の赤字は$30ミリオンに上ったと言われている。

ドイツ向け公式ウェブサイトでNFLコミッショナーのロジャー・グッデルは、ファンの支持に感謝の言葉を述べたあと、「今後われわれはレギュラーシーズンゲームを国外で行うことに重点を置き、NFLを世界でよりポピュラーなものにするための新しい戦略を用いていきたい」と説明している。

パッカーズはこれまで積極的にNFLヨーロッパを活用してきたチーム。OGマルコ・リヴェラ(一昨年DALに移籍)はNFLヨーロッパ派遣からのちにプロボウラーにまで成長した。昨季パッカーズのロースター入りした選手の中では、先発DEカレン・ジェンキンズを筆頭に、WRルヴェル・マーティン、FBブランドン・マイリー、TEトリー・ハンフリー、Sアタリ・ビグビーがNFLヨーロッパでプレーした経験を持っている。

2007年6月28日

ドラフト指名選手紹介 9: Kメイソン・クロスビー

6巡19位 K メイソン・クロスビー Mason Crosby
Colorado Senior 6-1(185cm) 212lb(96kg) 40yds/5.2秒 1984年9月3日生

経歴 : テキサス州ジョージタウン出身。高校ではキッカー(最長59yds)とパンター(最長64yds)の他にフリーセーフティとしても活躍した。全米トップクラスのキッカーと評価されてコロラド大に進むと、レッドシャツを経ず1年目からスターターに。2年目から3年連続してBig12カンファレンスの1stチームに選出、3年目にはオールアメリカンの1stチームにも選ばれた。通算307得点、FG成功66回など同大史上最多記録をいくつも樹立している。

昨年FG成功率が下がったのは、60yds級のロングFGトライが多かった(50yds超を9回)ためで、無理をさせたヘッドコーチに責任があるという指摘も。50yds以内に限ると4年通算で84.4%、昨季も89.4%の好成績を残している。キックオフは通算203回蹴ってタッチバック138回。

Strengths : 非常に強い脚力があり、長い飛距離を誇る。キックが正確で40yds以内を滅多に失敗しない。キックオフの飛距離と滞空時間は素晴らしいものがある。雨など悪天候にも強い。PATは過去2年間失敗していない。 昨年は正パンターの座も争ったように、代理でパントを蹴ることもできる。ゴルファーとしてもシングルの腕前で、その点はKライアン・ロングウェル(現MIN)と同じ。

Weakness : コロラドがホームだけに、その飛距離は標高の高さ(標高1655m)に助けられているという声もある。昨年はブロックされるキックが目立ったので、ブロックされないよう弾道を高くする必要がある。「ロングFGやキックオフでオーバーキック(無理に強く蹴るの意か?)しがちだ」という指摘もある。キッカーの中でも足は遅い方。

メンタル面 : 勝負強く、第4Qで真価を発揮するメンタルタフネスがある。ワンダーリックテスト25点は平均以上。すでに昨年12月に学位を取得して卒業済み。

指名の経緯 : 今ドラフト最高のキッカーという前評判が多かったが、コンバインでの出来がよくなかったせいか、けっきょく3番目。指名順位も予想よりはやや低かった。「6巡で指名されるのは、正直ぼくが夢見たようなことではなかったけれど・・・」と本人も語っている。パッカーズとしては、キッカー補強をするつもりはあまりなかったが、指名権がふんだんにあり、あまりに優秀なキッカーが残っていたため指名した、という事情のようだ。

パッカーズにとって : 先発1年目のKデイヴ・レイナーが合格点の成績だったのにクロスビーを指名した理由を聞かれたマイク・ストックSTコーチは、「競争だ」とひとこと。トンプソンGMは、「クロスビーは(ニーズ・ピックではなく)バリュー・ピックだと感じたからだ。彼があそこで残っているとは思わなかった。競争を持ち込む1つの方法だし、キッカーなどスペシャリスト・ポジションには特に大事なことだと思う」と語っている。

クロスビーを指名したパッカーズに対し、ジャイアンツからKデイヴ・レイナーのトレードの打診があったらしい。しかしパッカーズが断ったため、ジャイアンツはチーフスからKローレンス・タインズを獲得した、という事情のようだ。今夏のトレーニングキャンプでは、クロスビーとレイナーのキッカー争いが注目を集めることになる。

標高のおかげ? : 標高の高いコロラド大(標高1655mのボルダー市)でプレーしていただけに、「飛距離は薄い空気のおかげでは?」という疑問がつきまとう。「去年の僕はアウェーでのFGトライが多かったし、3年生のときには50yds超を5本蹴ったうちホームは1本だけだった。通算では、50yds以上成功のうち半分ほどがアウェーでのものだったはずだ。薄い空気のおかげでロングキックを成功させていたとは思わない。(たとえ飛距離が出ても)成功させるにはバーの間を通さなければならないのだし、海抜0mで30ydsしか決められないヤツがコロラドに行ったって60ydsは決められない。標高などたいしたことはないと思う」

コロラド大 : 同大からのドラフト指名はパッカーズ史上16人目。60年代黄金期のエースレシーバー、ボイド・ダウラーが1959年の3巡指名でコロラド大からパッカーズ入りしている。また、WRとして活躍したあと長年ランボーフィールドの場内アナウンサー(一昨年引退)を務めたゲイリー・ノーフェル(Knafelc)もコロラド大の出身。

2007年6月27日

Notebook: LBバーネットに同情的な証言

2007年6月26日

ドラフト指名選手紹介 8: LBデズモンド・ビショップ

6巡18位 LB デズモンド・ビショップ Desmond Bishop
California Senior 6-2(188cm) 239lb(108kg) 40yds/4.77秒 1984年7月24日生

経歴 : ベイエリアに近いカリフォルニア州フェアフィールド出身。高校では同州のオール・ステート2ndチームに選ばれた。(おそらく学業成績の問題で)サンフランシスコの短大に進むと、13勝無敗の全米王座に貢献し、カリフォルニア州ジュニアカレッジ最優秀ディフェンス選手にも選出された。2年間そこで目覚しい活躍をしてからカリフォルニア大に移り、いきなり1年目から先発ミドルLBとしてディフェンスの中心となった。

カリフォルニア大に移って1年目の2005年には全試合に先発出場し、チーム最多の89タックルを挙げてPac-10カンファレンスの2ndチームに選出。翌2006年も着実に進歩を続けてカンファレンス最多の126タックルを挙げ、カンファレンスの1stチームにも選出された。

Strengths : 十分なサイズがあり、ぶ厚い体つきをしている。速いというよりクイック。頭とセンスがいい。嗅覚に優れ、常にスナップ後最初に動く選手。パスートのアングルが良い。ブロッカーを受け止められるサイズとパワーがあり、インサイドのランに対してしっかり穴を埋められる。タフでハードノーズなハードヒッター。コンバインでのベンチプレス33回はLBとしては最多。

Weakness : プロで先発LBとなるにはスピードやクイックネスがなく、速いRBについていけるかどうか。ブロックを振り払う手の使い方があまり上手くない。パスカバレッジに不安があり、ボールスキルもイマイチ。ランストップ系の控えミドルLBぐらいが精一杯ではないかという声もある。

メンタル面 : 常に全力を出し切るハードワーカー。ワンダーリックテストは15点で平均をやや下回るものの、フットボール頭はよく、ディフェンスの司令塔として的確に指示を出す。

指名の経緯 : ミドルラインバッカーは先発のニック・バーネットが契約延長も済ませて磐石、控えも昨年の3巡指名LBアブドゥル・ホッジがいるため、ミドルしかできそうにないビショップの指名には首をかしげる向きが多かった。スペシャルチーマーとしての能力も期待されての指名だろう。

パッカーズにとって : LBブレイディ・ポピンガの務めるストロングサイドが一番弱いというチーム事情のため、本来のミドルだけでなくストロングサイドでも試されることになる。スピード不足によるパスカバレッジ不安についてビショップ本人は、「パス攻撃の多いPac-10カンファレンスでは、ヴァーサタイルでなければやっていけない。パスカバレッジで苦労したとは自分では思っていない。どこからそんな評価が出てきたのかさえわからない」

LB陣のロースター枠は通常6人。ここまでのミニキャンプやOTAでは、ドラフト外のロリー・ジョンソン(ミシシッピ大)やジュワン・シンプソン(アラバマ大)の方が、ビショップよりも評判がいいようだ。スペシャルチーム能力が期待されているといっても、そのためにはまずロースターに残らねばならず、キャンプでの熾烈な控えLB争いを勝ち抜かねばならない。

スピード不足 : ビショップのスピード不足についてウィンストン・モスLBコーチ。「十分速くない、などと言う時は、気をつけた方がいい。4.5秒台のラインバッカーとか、世間はそういった選手に夢中になってしまうものだ。デズモンドが4.6秒や4.7秒であっても、フットボールプレーヤーとして速いプレーができるなら、私にとってはそれで十分なのだ。フットボールフィールドでいいプレーができるか? 相手を倒すのに十分速く走れるか? スペシャルチームでマイク・ストック(STコーチ)の助けになるか? ということが問題なのだ」

父もプレーヤー : 父デニス・ビショップはイリノイ大でDBとして活躍し、1983年にはUSFLからドラフト指名されてシカゴ・ブリッツでプレーしたことがある。この年のシカゴ・ブリッツでは名将ジョージ・アレンがヘッドコーチを務めていた。

カリフォルニア大 : 同大から指名されたのはパッカーズ史上9人目。一昨年の1巡指名QBアーロン・ロジャースも、同じようにジュニアカレッジ経由でカリフォルニア大に入っている。

2007年6月25日

昨年度の利益は$22ミリオン

定例株主総会を1ヵ月後に控え、昨会計年度(3月まで)のグリーンベイ・パッカーズ収支報告が発表され、昨年もパッカーズの収支は非常に順調だったことが明らかになった。以下はその要約。 

2007年6月24日

ドラフト指名選手紹介 7: FBコーリー・ホール

6巡17位 FB コーリー・ホール Korey Hall
Boise State Senior 6-1(185cm) 236lb(107kg) 40yds/4.73秒 1983年8月5日生

経歴 : 人口1600人のアイダホ州グレンズ・フェリー出身。高校ではRB兼LBとして活躍し、通算2,802ydsラッシング、359タックルを記録。レスリングでも州大会で準優勝した。地元ボイジー州立大に進むと、レッドシャツを経た1年目から先発ミドルLBに定着し、4年間ディフェンスの中心として活躍した。チームキャプテンとなった4年時も、スペシャルチームの中核としてもプレーを続けた。

105タックル、3.5サック、6INTと素晴らしい成績を残した昨年は、カンファレンス(WAC)のディフェンシブ・プレーヤー・オブ・ザ・イヤーやオールアメリカンの2ndチームにも選出されている。カンファレンスの1stチームは3年連続。

パッカーズにとって : 大学ではミドルLB専門だったが、パッカーズはフルバックへの転向を前提に指名した。スペシャルチーマーとしての評価が極めて高く、むしろそちらを期待されての指名のようだ。通常フルバックは2人枠なので、先発のブランドン・マイリーに加え、ルーキーの中から1人が開幕ロースターに勝ち残ることになる。ただし、彼ならLBとしてもロースター入りが狙える、と評価するスカウトもいる。

Strengths : 未経験のフルバックとしての長所や短所は知りようがない。スペシャルチームではオープンフィールドのブロックが非常に良い。アグレッシブで嗅覚に優れた、フットボールセンスのよいプレーヤー。LBとしては異例の通算11INTを記録しており、パスキャッチ力があると見てよさそう。直線スピードはないが、3コーンドリルだけはインサイドLBの中でトップクラスのタイムを記録し、FBとしてならトップ。

「ラインバッカーとしては小さいが、フルバックとして、スペシャルチームでも使える。よいタックラーであり、ヘッドハンターであり、よいブロッカーだ。よいモーターを持っている」とストックSTコーチ。

Weakness : LBとしてプロで先発するにはサイズが小さく、スピードも物足りない(FBとしては標準クラス)。フルバックは高校時代に少し経験があるだけで、1年目から戦力となるにはかなりの努力が必要。これ以上サイズを大きくする余地はあまりなさそう。

メンタル面 : ハードワーカー。ワンダーリック・テストは平均以上の25点で、メンタル面も頭脳面も申し分ない。高校でも大学でもキャプテンを務め、優れたリーダーシップを発揮してきた。タフなプレーぶりに加えて地元出身選手ということもあり、大学では非常に人気があった。学業は優秀で、すでに昨年12月に学位を取得して卒業済み。

指名の経緯 : トレードダウンを繰り返したことにより、パッカーズは6巡17位から3人連続指名。最初のコーリー・ホール、2番目のLBデズモンド・ビショップ、3番目のKメイソン・クロスビーと、全てスペシャルチーム強化を意識した指名となった。

2番手FB争い : 今年2番手FBを争う3人は全員がルーキー。しかも全員が他のポジションからの転向組で、18ヶ月前には誰もFBの経験がなかった。FBコーリー・ホワイト(アラバマ大バーミンガム)は大学ではRBとして活躍し、RB/FB兼用で使えそうなのが魅力。FBライアン・パウドレル(USC)は昨年春にLBからFBに転向し開幕スターターとして4キャッチ72yds1TDを挙げたが、第2戦で足首を骨折してシーズンエンド。3人の中でFBとして大学で出場したのは、このパウドレルの2試合だけだ。

先発のブランドン・マイリーも大学ではRBだったように、他ポジションからFBへの転向組が多いのは、ゾーンブロッキングのスキームではパワー型よりも軽量クイックネス型が求められ、「大学でフルバックしかさせてもらえないような選手では務まらない」という事情があるようだ。

スペシャルチーム : 「率直に言って、彼の最大の価値はスペシャルチームプレーヤーだと思っている。彼は最高のスペシャルチームプレーヤーで、ウチのスタッフはいくら褒めても褒め足りない様子だった。キャッチも非常に上手いし、信じられないほどタフだ」とトンプソンGMは賞賛している。ホール本人も、「僕の目標はNFLのロースターに入ることで、そのためにできることは何でもするつもりだ。オフェンスでもディフェンスでもスペシャルチームでも。とても気持ちが興奮しているし、オープンマインドで一生懸命頑張るつもりだ」

今年のパッカーズはスペシャルチームに重点を置いており、6巡指名の3人を筆頭に、11人中8人ほどがスペシャルチームで貢献できる可能性がある。マイク・ストックSTコーチは、「Mr.トンプソンの考えを代弁することはできないが、もといた若手選手に加えて今回のドラフトの質で、ウチのスペシャルチームをよくしてくれるだろう」と語っている。ドラフト後のミニキャンプやOTAでも、今年のマッカーシーHCはスペシャルチーム練習に多くの時間を割いている。

ボイジー州立大 : 同大からパッカーズにドラフト指名されたのは昨年2巡のLGダリン・カレッジが初めてだったが、すぐ翌年に2人目の指名となった。13戦全勝、全米ランク5位だっただけあって、今年のボイジー州立大からは同大史上最多の4人がドラフト指名された。なお、同大出身のFBブライアン・ジョンソン(現ベアーズ)もLBからFBへの転向に成功している。同大のクリス・ピーターセンHCとパッカーズのマッカーシーHCとは、15年前にピッツバーグ大のアシスタントコーチとして同僚だった。

2007年6月22日

Notebook: 7巡のRBウィンとTEハリスが契約

2007年6月21日

トレーニングキャンプ情報

7月28日からスタートするパッカーズのトレーニングキャンプの詳細な日程(公式サイト)が発表された。今回は、新たに休養日を設けたことが話題となっている。

2007年6月20日

OTA Notebook: WRホリデイが3番手争いをリード?

2007年6月19日

LBニック・バーネットが逮捕

日曜午前2時ごろ、LBニック・バーネットがアップルトン市のナイトクラブでケンカ沙汰に関わって逮捕された。収監から1時間後に$500ドルの保釈金を支払って釈放され、同市のフォックス・シティーズ・スタジアムで開催されたファーヴ主催チャリティ・ソフトボール・ゲームにも出席している。警察側は事件の詳細を把握していないようで、情報提供を呼びかけている。

今回の事件が今オフのパッカーズでは最初の逮捕。入団以来バーネットは私生活で問題を起こしたことはなく、優れたチームリーダーの彼がこのような事件を起こしたのは意外だ。深夜の逮捕にもかかわらず、逮捕写真では素敵な笑顔を披露してくれている。

Brett Favre Celebrity Softball Game

ブレット・ファーヴ主催チャリティ・ソフトボール・ゲームは今年で8回目。今回は父の日に行われ、過去最高の8,597人を集める大盛況となった。

2007年6月18日

QBファーヴをもっと動かそう

昨季はポケットの中で動かないことの多かったQBブレット・ファーヴだったが、今年はもっとポケットを動かそう、とマッカーシーHCと話し合っていることを明らかにした。ロールアウト、ブーツレグ、キープパスといったムーヴメント・プレーはQBファーヴの得意とするところだ。「思うに、去年のウチは僕を十分に動かさなかった。僕が最も得意とするプレーだと思うんだよね」

「マイク(マッカーシーHC)と今年ずいぶん話し合っているんだけど、彼は去年よりもQBを動かすつもりだ。だから僕もそれに備えなきゃならない。以前と比べて、疲れやすくなっているのは確かだからね。1つのプレーを終えて次のプレーでまた動けるよう、(心肺能力など)体を作っておかなきゃならない」

「ブレットをもっと動かすべきだったのでは、というのが私の反省のひとつだ。自分としては、懸念があったためそうしたのだが、今はその懸念も解消されているし、今後は増やす方向で考えている。ブレットは今でも、動きながらのプレーが非常に効果的だと思う。だから、ブレットをよく知っているチームは、ディフェンシブエンドをワイドにセットして、彼の動きを封じようとすることも多いのだ」とマッカーシーHC。懸念が何だったかはコメントを避けたが、OLにルーキーが3人、ドライバー以外のWRが全員ルーキーだったりしたため、プレーをシンプルにせざるをえなかったものと見られている。

今年もファーヴは(ミシシッピにいるときは)トレーナーを雇って体幹部の強化に力を入れているが、それ以外にもクォーターバックのプレーに即したトレーニング内容を工夫している。バンジー・コードを体に結び付けて負荷をかけながら、ドロップバックやロールアウトをする。心拍計をつけて、全力で動いたあとの回復の早さを重視する。

「トレーニングってのは自分のポジション次第で変わってくるからね。僕がやっているのは、自分のプレースタイルに合わせたトレーニング内容だ。ポケットでの動き、(パスラッシュしてくる)最初の1人をかわす動き、最初の一歩を速くすること。40yds走を速くすることではなく、ポケットで動き回ったり、体勢を崩しながら投げられるように、ということだ」

2007年6月17日

Notebook: 引退するWRフリーマンと1日契約

2007年6月16日

OTA Notebook: QBファーヴが右肩痛

2007年6月15日

RBヴァーナンド・モレンシーの先発争い

移籍2年目のRBヴァーナンド・モレンシーは、エース不在のRB陣で仮のスターターとなっている。しかしフルタイムのエースRBが務まるのか疑問視する声は多く、じっさいチームはドラフト2巡でRBブランドン・ジャクソンを指名し、彼と先発争いをさせる構えだ。それでも、プロ入り3年目にして最大のチャンスが彼に訪れていることに変わりはなく、今オフは毎朝6時半に出勤するハードワークぶりでコーチの賞賛を集めている。

「彼はこのチームで最もハードワーカーの1人だ。驚くべきハードワークぶりだよ。人より先に来て、人より後に帰っていく。"モー"はそういうタイプだ。時間の許す限りここにいてトレーニングを続けている。仕事が大好きなんだな。よく学び成長を続けたいと願う情熱を持った若い選手を見るのは素晴らしいことだ」とエドガー・ベネットRBコーチ。

RBサムコン・ガドーとの1対1トレードが決まったのは昨年9月13日のこと。テキサンズの練習フィールドでキュービアックHCからトレード決定を知らされ、ロッカールームに下がると急いでシャワーを浴び、身の回りのものをひっつかんで家に帰って荷造りを始めた。「飛行機に乗り遅れたくなかったんだ。新天地でのスタートに遅刻はふさわしくないからね」とモレンシーは振り返る。プロ入り2年目にして3つ目のオフェンス習得を強いられることになり、しかもテキサンズより強力なスターターがいた。「それでも、少なくとも僕を欲しがってくれるチームなのは確かだった」

そうしてパッカーズ移籍後は、鋭いステップで何度もロングゲインを稼ぎ出し、グリーンを上回る平均4.6ydsを記録した。チェンジオブペースの3rdダウンバックとしての能力は証明したが、先発RBの重荷を背負っていけるタフネスがあるのかどうか。「僕はエヴリダウン・バックだ。生涯を通じてエブリダウン・バックだったと強く信じている。批判されることは僕にとって問題じゃない。批評をやめさせることなどできないからね。彼らが間違っていることを証明するだけだ」

彼はキャリアを通じて有力RBの影に隠れることが多く、高校では自分の兄、大学ではテイタム・ベル、テキサンズではドマニック・デイヴィス、パッカーズではアーマン・グリーンがいた。「僕の人生は全て同じことの繰り返しだ。そういうことになってるんだよ。何ひとつむこうから与えてはくれないのだから、自力で勝ち取るしかない。それだけのことだ。だから、僕は1日も欠かさずハードワークを続けているのだし、自分がハングリーに頑張っていることをコーチにも見せているんだ」

スターターとしての能力についてジョー・フィルビン新OCは慎重で、「彼が本当にできると証明するまでは、すべて憶測にすぎない。我々にもよく分かっていないことがたくさんあるのだ」と語っている。しかし、かつてパッカーズのエースRBを務めたベネットRBコーチは、「彼ならできると思うよ。私よりも優れたランナーだ。自分も彼ぐらい捕まえにくいRBならよかったのにと思う。彼ほどの能力を持つRBはあまり見たことがない」

2007年6月14日

ドラフト指名選手紹介 6: デヴィッド・クラウニー

5巡20位 WR デヴィッド・クラウニー David Clowney
Virginia Tech Senior 6-0 (184cm) 188lb(85kg) 40yds/4.36秒 1985年7月7日生

経歴 : フロリダ州デルレイ・ビーチ出身。高校ではWR兼Sとして活躍し、シーズン10TDを挙げて無敗シーズンにも貢献。陸上では200mで州大会決勝に進出し、またバスケでもガードとしてプレーした。ヴァージニア工科大に進むと、レッドシャツを経ず1年目から12試合に出場。3年目にスターターとなって34キャッチ619yds、平均18.2ydsの好成績を残したが、4年目は肩のケガや盲腸の手術などで十分に力が出せず、424yds、0TDにとどまった。

Strengths : 優れたスピードとクイックネスを持つアスリート。スリム型だがバルクを増やせる骨格はある。トップスピードへの加速が速く、縦にフィールドをストレッチできる。難しいボールもキャッチできる。体重移動がスムーズで、スピードを落とさずにカットできる。ミドルへのルートを恐れず、ヒットされてもしっかりボールを守れる。細いわりにはブロッキングを頑張る。

Weakness : 華奢で馬力がないため、スクリメージでのリリースで相手DBに押されるとルート取りが乱れやすい。時おり(手でなく)体でボールを受けてしまう悪い癖があり、キャッチ力を疑問視する声もある。ジャンプボールへの対応が不安定。相手のカバレッジのソフトスポットを探すのがまだうまくない。ややケガが多い。大学でのリターナー経験はキックオフリターンが5回(平均23.8yds)あるだけ。

メンタル面 : 練習熱心で、陸上競技の方も大学4年間続けていた。昨年9月には盲腸で緊急手術を受けながら、9日後には試合に出場してタフなところを見せた。体調不十分なのに自ら志願してスペシャルチームのガンナーもプレー。学業優秀な選手の少ないWRというポジションだが、彼はすでに1学期早く卒業を済ませている。

指名の経緯 : 昨季34回424ydsしか稼げなかったのは、ケガに盲腸の手術そしてQBがヘボかったためだと同情する見方もある。シニア・ボウルの練習ではナイスキャッチを連発してアピールできた。コンバインでは、ハムストリングを少し痛めていたが4.36秒を出し、大学での"Pro Day"では4.29秒。各球団スカウトのコメントを聞くと、世間の評判よりもプロの評価が低いといった印象。

周囲も本人も3巡後半あたりを予想しており、5巡指名に不満な様子。「ドラフト初日はとてもがっかりした。待っても待っても他のレシーバーが指名されるばかりで、聞いたこともないような選手がいっぱいいた。4巡を見ているときもイライラが募ったよ。でも今の状況にはとても喜んでいる。グリーンベイに行けて、史上最高のQBの1人である殿堂入りクォーターバックがいて、そこで僕の能力を示すことができる」

パッカーズにとって : あらゆる面で3巡のWRジェームズ・ジョーンズとは対照的なタイプのようだ。素晴らしいスピードはあるが、ミドルへのパスを密集で競り勝つタイプではなさそう。入団後のミニキャンプでも前評判どおり、時おりビッグプレーは見せるが荒削りなところがあり、ジョーンズの方が明らかに評判がいい。スペシャルチームでは、クラウニーはパントリターンはせず(大学でも未経験)、キックオフリターナーの候補となっている。

WR陣では、両先発に加えて3巡のWRジョーンズまではロースター入りが確実。5人枠とすると、残り2つの枠を、このクラウニー、ファーガソン、ルヴェル・マーティン、カーライル・ホリデイ、ショーン・ボディフォードらで激しく争うことになる。昨年は4巡指名のWR/KRコーリー・ロジャースが開幕ロースター入りを逃している。

ヴァージニア工科大 : 同大からは3巡のSアーロン・ラウスに続いて今年2人目の指名。かつてのエース、アントニオ・フリーマン(1995年3巡)が同大の出身で、クラウニーとは以前から連絡を取り合っていたらしい。「僕と彼はメールとかで時々連絡を取り合っていた。僕の働きぶりを常にチェックしてくれてたんだ。ドラフトされたときも、お祝いの電話をくれたよ」

32名の犠牲者を出した同大銃撃事件では、彼はすでに卒業していたため校舎にはいなかったが、ニアミスに近い状況だったようだ。「事件現場からわずか道一本へだてたところがトレーニング施設で、いつもなら僕らはプロ入り準備のために、朝8時ごろから集まって鍛えていたところだった。あの日はたまたま仲間の1人の都合で時間を変更し、事件の時にはあそこにいなくて済んだ」

「僕の出身地のフロリダ州パームビーチ郡は殺人事件発生率が全米3位なんだ。だから、そんなところから家族を連れ出したい、というのが僕の夢だった。ヴァージニア工科大を選んだ理由の1つも、あそこならあんな事件など起きないと思ったからなのに」

陸上競技 : 大学でも4年間続けた陸上競技(60mや200mで活躍)の経験について、「僕は自分のことを『陸上もやるフットボール選手』だと考えている。陸上はフォームやスピードを作る役に立ったし、(フットボールの)オフシーズンにも体を作っておく助けになった」と本人。

2007年6月12日

ドラフト指名選手紹介 5: T/Gアレン・バーバー

4巡20位 T/G アレン・バーバー Allen Barbre
Missouri Southern State Senior 6-4(193cm) 300lb(136kg) 40yds/4.88秒 1984年6月22日生

経歴 : ミズーリ州グランビー出身。カンザスやオクラホマやアーカンソーとの州境に近い人口2000人ほどの街だ。高校ではフットボールとバスケの両方で活躍したがディビジョンI-Aからの奨学金オファーはなく、実家に近いディビジョンIIのミズーリ・サザン州立大へ。1年目の半ばから先発左タックルとなり、時おりDTとしてプレーしたり、スペシャルチームでも活躍した。

4年間で通算33試合に先発出場。通算254ノックダウンを挙げるなど圧倒的な力を発揮し、ディビジョンIIのオールアメリカン1stチームにも選出された。

Strengths : OLとしては最高クラスのスピードを持つアスリート。パスプロテクションではしっかりヒザを曲げる柔軟さがあり、パスセットも速い。ランプレーでは素早いファーストステップで優位に立つことができる。横へのモビリティもあり、プルブロックや自分のアウトサイドへのリードブロックも速い。相手のスタントやブリッツにアジャストするセンスもいい。軽量アスレチックでゾーンブロッキング向き。

Weakness : まだ粗削りで安定感に欠ける。アグレッシブになりすぎて、腰高になったりフットワークが乱れることがある。左タックルとしては、横方向へのクイックネスが理想的ではない。バルクに欠ける。下半身のパワーはやや物足りず、ランブロックで相手を押し込めないところがある。ディビジョンIIのスモールスクール出身で、NFLへの適応に不安が残る。

メンタル面 : 練習熱心で、ハードかつアグレッシブにプレーする。学習の早い方ではないが、そのぶん居残りでフィルム・スタディをしっかりやって補っている。ワンダーリックテストで11点しか取れず、今年ドラフト指名されたOL選手25人の中で最下位タイだった。そのためコンバインでは面接に呼んで、パッカーズのコーチたちが彼のフットボール理解力などをチェックしたが、結果は非常によかったとのこと。

指名の経緯 : 無名校出身ながら、ディビジョンIIのオールアメリカンに選ばれる活躍が認められてコンバインに招待された。コンバインでは各種目で優秀な数字を記録し、特に40yds走では全OL中最速タイムを出して注目の的となった。4巡指名は大方の予想通りのようだ。パッカーズとしてもドラフト中位でOL指名は予想されていたところ。

パッカーズにとって : ややパワーに不安のあるアスレチックなOT、という点で昨年の2巡指名のダリン・カレッジと全く同じで、ゾーンブロッキングにぴったりのタイプ。大学では3年半にわたって先発左タックルを務めたが、パッカーズに入団してからは、これまで全く経験のない左ガードを専門にプレーしている。センター以外の全てをこなせる能力がある、とコーチ陣は見ており、これから次第に複数ポジションを試していくことになりそうだ。

パッカーズOL陣はLTクリフトンの控えに不安があるが、バーバーに左ガードをやらせているということは、クリフトンが負傷の場合はLGダリン・カレッジを左タックルに回すつもりのようだ。その場合RGスピッツを左ガードに回してトニー・モールを右ガードに入れるか、トニー・モールを左ガードに入れるか、このバーバーを左ガードに入れるか、トレーニングキャンプでのプレー内容しだいとなる。将来的には、ダリン・カレッジかバーバーのどちらかがクリフトンの後継者となってくれれば理想的。

スモールカレッジ出身 : ミズーリ・サザン州立大からドラフト指名されるのは史上3人目で、今回のOTバーバーが最も高い順位。ただしドラフト外では、名WRロッド・スミス(DEN)やWRジェームズ・スラッシュ(WAS)を輩出している。「アスレチック的に非常に優れているし、強さもある。スモールスクールでプレーしていたのでアジャストメントは必要だろうが、コンバインでも有力校の選手に混じって全く物怖じしていなかった」とトンプソンGM。キャンペンOLコーチによると、「彼のビデオを見たら1試合で16回もパンケーキ・ブロックをした試合があった」

スペシャルチーム : 彼のスタッツで興味深いのは、スペシャルチームで7タックルを記録していること。300ポンドのOL選手なのに、なんとパントチームで(通常もっとも速い選手が担当する)ガンナーを務めていた。「やれと言われた時は、ジョークか何かだと思ったよ。でもやってみたらすごく上手くできることがわかった。去年は1年通してガンナーをやって、いいプレーがたくさんできた。とても楽しかったね」

2007年6月11日

Pジョン・ライアンのフォーム改造

カナダ人パンターのジョン・ライアンは過去18年間おなじステップでパントを蹴ってきたが、安定性を増すため、3ステップから2ステップへの変更に取り組んでいる。「僕は7歳のときから3ステップ・パンターだった。いまはまだ改造中だけど、これまでのところうまく行っていると思うよ」とライアン。CFL記録を作ったように飛距離が特長のライアンだが、昨季はハングタイムが不安定で、低いパントからロングリターンを許すことがしばしばあった。

2ステップへの変更は、シーズン終了直後にマイク・ストックSTコーチが提案したものだ。グロスで44.5ydsはNFL9位なのに、相手リターンを差し引いたネット(つまり正味)はわずか35.7ydsでNFL26位だった。「コーチ・ストックの考えなんだけど、自分でももっと安定させるべきと感じたことが何度もあった。フィルムで見ると、僕のステップは長すぎ、それに乱れがちだった。最初の1歩目をなくして2ステップにすれば、全てがコンパクトにまとまって安定する、と僕らは考えたんだ」 

シーズン終了直後、カナダに戻ってすぐから彼は改造に取り組んできた。「大きな変更であるのは確かだけど、僕は十分に時間をかけていると思う。練習を積めば積むほど、しっくりと馴染んでくる。いまは90%馴染んだという感じだ。この改造でハングタイムが増すだろう。パワーが問題だとは思っていないからね。少しだけパワーを制限することで、より安定性を増すことが狙いなんだ」

とはいえ、パンターにとってステップ改造は難しい課題だ。2004年3巡指名のB.J.サンダーも、ルーキーシーズンにステップを少し短くしようとして非常に苦しんだ。しかしそのような心配はないとライアンは自信を示している。「3ステップだった去年の今頃よりも、いま現在の方が、すでに落ち着いて蹴れているぐらいだよ。トレーニングキャンプやシーズンで、成果が表れればいいと願っている。大事なのは何よりもメンタル面。短いストライドでも同じだけのパワーを出せると信じることなんだ。そういった精神的なハードルを乗り越えることが一番難しい。それさえできてしまえば、あとは大丈夫だ」

2007年6月10日

OTバリーとOTバークを解雇

OTケヴィン・バリーOTケヴィン・バリーとOTジョシュ・バークの解雇が発表された。バリーは2002年にアリゾナ大からドラフト外で入団して以来おもに右タックルの控えを務め、先発出場も8試合。ウィスコンシン出身とあって地元ファンに親しまれ、特にシャーマン前HCの時代には、彼をブロッキングTEとして投入する"U-71"パッケージでもおなじみだった。(71は彼の背番号)

昨年春に総額$2.8ミリオンの2年契約を結んだバリーだったが、ミニキャンプで大腿四頭筋腱を断裂してしまい全く出場できなかった。ゾーンブロッキングのスキームに合わない巨漢タイプで、しかも右タックルしかできない不器用な選手のため、今年のロースター入りは難しいと見られていた。チーム側はバリーのトレードも画策したが、買い手がつかなかったらしい。どうせ解雇するなら、再就職先を見つけやすいよう早めに自由にしてやる、という意図なのかもしれない。

OTジョシュ・バークはカナダのオンタリオ州ウィンザー出身。ディビジョンIIのグランドヴァレー大(ミシガン州)から昨年のドラフト外で入団し、キャンプでの動きは評判がよかったが、ケガ(詳細不明)のため1年目はインジャリー・リザーブ。2年目の今年はロースター入りのチャンスもあると見られていただけに、このような早い時期での解雇はやや意外だ。昨年5巡指名入団から経験を積んだT/Gトニー・モールや今年の4巡指名のT/Gアレン・バーバーなど、控えOL陣の層が厚くなった表れか。

3巡指名のSアーロン・ラウスと契約

先日のWRクラウニーに続いて、3巡指名のSアーロン・ラウスも正式に契約にサインした。詳細は不明だが、4年契約であることは間違いない。セーフティは通常4人枠だが、開幕ロースター入りが確定しているのは先発フリーセーフティのニック・コリンズだけ。ラウスも3巡指名なので開幕ロースター入りはほぼ安泰だが、アンダーウッドやアタリ・ビグビーらとともに、先発ストロング・セーフティのマニュエルをプッシュできるかどうか。

ドラフト指名ルーキーは、未契約の時点ではロースター枠にカウントされない例外扱いとなっているが、正式契約の時点からロースター枠にカウントされる。そのため、80人枠いっぱいを使っていた場合、1人契約するごとに1人を解雇しなければならないことになる。

2007年6月 9日

OTA Notebook: ハリーアップオフェンス練習

Organized Team Activities(OTA)に入って公開されたのはこの日が2日目。

2007年6月 8日

元WRテレンス・マーフィがコーチのインターンに

首のケガのためわずか1年で引退したWRテレンス・マーフィが、コーチのインターンとしてパッカーズに帰ってきている。彼は2005年のドラフト2巡指名ながら、第4週パンサーズ戦で頭から落下して首を痛め、けっきょく脊柱管狭窄症のため昨年春に引退を余儀なくされた。今週月曜日、彼は1年ぶりにランボーフィールドのロッカールームに戻り、仲間から暖かい歓迎を受けている。

この1年間は大学院に通ったり、不動産開発の会社で働いたり、牧師になるための神学校も考えた。「ただフットボールから離れたかったんだ。フットボールは全く見なかったし、話もしなかった。だから友達も話題にはしなかった。新しい趣味を見つけ、ゴルフクラブを買った。それでもハッピーじゃなかった」とマーフィは言う。やはり自分はフットボールに関わっていたいと考え、コーチの道に進むことに決めた。この春から、テキサスの自宅に近いトリニティ・ヴァレー短大でWRとリターナーを教え始めたところだ。

そんな彼に古巣のパッカーズから、インターンシップに参加してみないかと連絡があった。選手としてだけでなく、人間的にも優れていると我々は知っていたからだ、とマッカーシーHCは言う。最初にトンプソンGMから連絡があったときにはコーチの道に進む決心がついていなかったが、先日マッカーシーHCからも誘われて参加を決めた。久々のロッカールームで紹介されると、仲間から"T-Murph"!と歓呼の声が上がった。「フットボールに戻って来られたことが嬉しいよ。一番救われたのは、最初にみんながハグしてくれたことだ。同窓会のようだった」

退団時にマッカーシーHCから言われた「君はいつまでもパッカーだからな」という言葉は嘘ではなかった。「1年も会っていなかったのに、みんなが僕のことを心配し、どうしているかと今も気にかけてくれているのがすごく嬉しい。"T-Murph"と呼ばれるのは久しぶりだよ。僕は引退してただのテレンスに戻っていたけど、フットボールに復帰してまた"T-Murph"だ」

マーフィはQBをプレーしていた高校時代からフィルム・スタディが好きで、コーチの資質はあった。7on7チームでは夜遅くまで母のPCを使ってプレーをデザインした。彼はオフェンス全てのプレーを考え、そのおかげでチームは7on7の州大会まで勝ち進んだ。「どの高校もウチを止められず、ウチのスキームを勉強するために試合を見に来たほどだったよ」とマーフィは嬉しそうに思い出を語っている。

QBとWRの経験のあるマーフィだが、今回パッカーズではエドガー・ベネットRBコーチの下でRB指導を手伝う。将来のため、多くのポジションに精通していることが必要だからだ。「最終的には、オフェンシブコーディネーターになりたい。ディビジョンIの大学とかでね。今回のインターンシップは僕のキャリアにとってすごく大きなプラスになると思っている。選手全員の仕事を知ることができる。EB(エドガー・ベネット)には、知識を吸い取らせてもらうよ、と言ってある」

今週始めからパッカーズのOTAに参加しているマーフィは、トレーニングキャンプも3週間参加し、8月半ばにトリニティー・ヴァレー短大に戻ることになっている。

2007年6月 6日

5巡指名のWRデヴィッド・クラウニーと契約

パッカーズは5巡指名のWRデヴィッド・クラウニー(ヴァージニア工科大)との4年契約を発表した。今年の11人の指名選手の中では彼が一番手で、残る10人も7月下旬のトレーニングキャンプ開幕までに契約を進めていくことになる。現行の労使協約では3巡以下の選手は4年契約が最長と定められている。以前は下位指名選手とは3年契約が普通だったが、4年目の春に制限つきFAとなる面倒を避けるため、パッカーズでは2004年以降ほとんど4年契約(以上)を結んでいる。

WR陣は通常5人枠。ドライバーとジェニングスの両先発は確定として、3巡指名のジェームズ・ジョーンズ、ロバート・ファーガソン、ルヴェル・マーティン、カーライル・ホリデイ、ショーン・ボディフォード、そしてこのクラウニーが残り3つの枠を争うことになる。3巡指名のジョーンズはパントリターナーの候補、クラウニーはキックオフリターナーの候補となっている。

2007年6月 5日

ドラフト指名選手紹介 4: Sアーロン・ラウス

 3巡25位 S アーロン・ラウス Aaron Rouse
Virginia Tech Senior 6-4(193cm) 223lb(101kg) 40yds/4.55秒 1984年1月8日生

経歴 : ヴァージニア州ヴァージニア・ビーチ出身。高校ではWR、RB、S、LB、CBで活躍し、地区の優秀選手の賞を多数。ヴァージニア工科大に進むと、レッドシャツを経て最初の2年間は控えアウトサイドLB兼スペシャルチーマー。3年目の2005年にはローバーとして全試合に先発し、カンファレンスの1stチームにも選出された。

1巡指名候補と期待された4年目だったがプレー内容が不安定で、13試合のうち3試合でベンチに下げられてしまった。2試合で3回ものパーソナル・ファウルを犯し、コーチの怒りを買ったということもあるようだ。

Strengths : かなりの長身セーフティで、6フィート4にしては素晴らしいスピードとフィジカル能力がある。元LBだけあってランサポートがいい。とんでもないビッグヒットはしないが、しっかりしたタックラー。ボールスキルに優れ、ビッグプレー能力がある。ディープを守るよりもボックス近くを守る方が向いている。

Weakness : まだセーフティ経験が浅く、粗削り。昨年はフルタイムのスターターではなかった。恵まれたアスレチック能力をフットボールで活かしきれていない。やや動きが硬く、プロのレシーバーを1on1でカバーする能力には不安が残る。ときおり抑制のきかないプレーが見受けられる。ラインバッカーとしてアグレッシブさやタフさが足りず、セーフティとしてカバレッジのミスが多すぎる、との評も。

メンタル面 : ワンダーリックテストは17点で、DBとしてなら平均クラスか。リーダーシップに優れたチームプレーヤーで、ウェイトルームのトレーニングも熱心。プレーぶりはあまり賢くないとの評判もある。

指名の経緯 : パッカーズは2巡15位から31位にトレードダウンして、この3巡25位指名権をジェッツから手に入れた。ディフェンスではセーフティが最も大きな穴と見られており、3巡指名権を使ったことは自然な流れ。ただ、3年終了時には1巡指名候補とも目されていたラウスだが、昨季の不振で評価が大幅ダウンしており、他チームのスカウトの評判もあまり芳しくない。3巡を使ったのはギャンブルとみなされており、LBとして起用した方がよいとの見方も。

パッカーズにとって : パッカーズはFSニック・コリンズの相棒となるストロング・セーフティが問題で、昨年はマーカンド・マニュエルをFAで獲って大失敗した。今春はFA補強がなく、大ケガから復帰してくるマーヴィール・アンダーウッドや、このアーロン・ラウスがマニュエルをプッシュしてほしいところ。しかしラウスの評判を聞くと「素材はすごいが荒削り」といった印象で、一人前になるのに時間のかかりそうなタイプではないか。

今年のパッカーズ指名選手は、3巡以降にスペシャルチームで期待できそうな選手が多く、このラウスも例外ではない。「アーロンについては、我々はずいぶん研究をした。ヴァージニア工科大の選手に多いが、彼は非常にダイナミックなスペシャルチーマーで、ヘビーヒッターだ。(課題とされる)パスカバレッジも問題ないとコーチたちは考えている」とトンプソンGM。

ヴァージニア工科大 : 同大からのパッカーズ指名は、1995年3巡のWRアントニオ・フリーマン以来12年ぶり5人目。同大のフランク・ビーマーHCは、2000年1月にマイク・シャーマンがパッカーズの新ヘッドコーチに選ばれたとき、惜しくも(事実上の)次点だった。

ラウスは同大での4月16日の乱射事件の際にはキャンパスにいなかった。「僕の知り合いは犠牲者にはいなかったけれど、ヴァージニア・テックは結束の固いコミュニティだ。ブラックスバーグの者にあのようなことが起きれば、全員が影響を受ける。僕はクラスメートを失ったわけじゃないが、同じような気持ちだ。心の中はとてもつらい。人生の全ての時を大切にし、与えられた全ての機会を大事にしようという気持ちにさせられる」

家族 : 彼にはすでに3歳の息子がいる。父ルーズヴェルトとは会ったことがない。彼が生まれる前年に父は兄弟を殺して服役。1999年に出所するとまた殺人を犯し、50年の刑に服しているからだ。

2007年6月 4日

ドラフト指名選手紹介 3: WRジェームズ・ジョーンズ

 3巡14位 WR ジェームズ・ジョーンズ James Jones
San Jose State Senior 6-1(185cm) 207lb(94kg) 40yds/4.59秒 1984年3月31日生

経歴 : カリフォルニア州サンノゼ出身。フットボールのほかバスケと陸上でも活躍し、走り高跳びでは2m03cmを記録。西海岸の多くの大学から誘いが来たが、家族のそばにいるため地元サンノゼ州立大へ。2年目・3年目はスターターを出たり入ったりしていたが、4年目の昨季は70キャッチ893yds・10TDを挙げる大活躍でブレークし、一気にドラフト候補となった。

シーズン最後のボウルゲームでもニューメキシコ大相手に6キャッチ106yds2TDを挙げ、ゲームのオフェンスMVP。昨季のチームMVPとなり、カンファレンスの2ndチームにも選出された。

Strengths : 身長が高くしっかりしたガタイがある。クイックでスムースなルートランナー。腕が長く手が大きく、パスキャッチが上手い。ミドルに走り込むのを恐れず、競り合いに強い。ランアフターキャッチでのカットが鋭く、ショートパスをロングゲインにする。跳び上がるタイミングが良く、ジャンプボールに強みを発揮する。ベンチプレス(225ポンド)22回はWRとしてはトップクラスのパワー。ブロッキングがしっかりしている。パントのキャッチが上手く、昨年はパントリターン平均11.0ydsの好成績を残している。

Weakness : トップスピードがイマイチなので、ディフェンスをストレッチできない。ランアフターキャッチでディフェンダーをかわすのは上手いが、その後でぶっちぎることはできない。最も活躍した昨年も1キャッチ平均12.8ydsで、上位指名選手の成績としては物足りない。大活躍したのは昨年だけで、その前の3年間を合わせて先発9試合、計56キャッチ603ydsしか稼いでいない。

メンタル面 : 真面目なチームプレーヤーで、人柄は非常によいという評判。しかしワンダーリックテストはわずか9点で、今年コンバインで同テストを受けた中では下から4番目。

指名の経緯 : 昨季のパッカーズはレシーバー不足に苦しみ、両先発を除くとドラフト外入団の選手ばかり。今年はWR補強が必須と見られていたが、FAにはほとんど興味を示さず、WRランディ・モスのトレード交渉に集中していた印象。トレード条件は4巡指名権あたりだったため、3巡でのジョーンズ指名の後もおそらくトンプソンGMはモス獲得のつもりだったものと思われる。

ジョーンズはスピードやアシレティシズム不足のため4巡か5巡指名が予想されており、パッカーズの3巡指名はサプライズだったようだ。「非常に強く、とてもフィジカルなプレーヤーだ。身長は約6フィート1だが、プレーぶりはそれよりさらに大きい。彼が高いボールに飛びつこうとするとき、相手ディフェンダーはまるで崩れ落ちるかのように見える。トラフィックでもキャッチができ、ランアフターキャッチがいい。リターナー能力もある」とトンプソンGM。

パッカーズにとって : ランディ・モス獲得が不発に終わったため、今年の新戦力WRは3巡のジョーンズと5巡のデヴィッド・クラウニーだけ。あとは昨季出場経験を積んだルヴェル・マーティンやカーライル・ホリデイ、ショーン・ボディフォードの成長に期待するしかない。先発2人は確定しているため、ジョーンズは3番手争いをすることになる。パントリターン経験が豊富なのも魅力で、すでにミニキャンプではパントリターナー候補の1人に加わって練習をしている。

サンノゼ州立大 : 同大からのパッカーズ指名は球団史上わずか5人目で、33年ぶり。

極貧 : 子供のころは母と姉と従妹(その母は刑務所)の4人でホームレス暮らしをしていた。「僕の家族にとっては本当に大変だった。小さい頃は、僕らはホームレス向けののシェルターで寝泊りし、次はこのシェルター、次はあちらのシェルターという感じだった。食事にありつけない日もあった。僕はただハードに頑張り続け、それと神への信仰のおかげで、ここまで来ることができた」

ホームレスの境遇に堕ちたのはドラッグのせい。どちらもクスリ漬けだった両親は、彼が1歳半のとき離婚していた。母ジャネットはドラッグで逮捕されたせいで、10年以上勤めたヒューレット・パッカードの工場をクビになってしまい、やがて一家はホームレスに。彼は家計を助けようと路上でキャンディを売ったりした。「ママ、もうクスリはやめなきゃダメだ」と母に言ったのは彼が8歳のとき。しかし一家が安定した暮らしを手に入れるまでさらに4年ほどかかった。各シェルターは3ヶ月までしかいられないので、転校ばかりの彼は4つか5つの小学校に通ったという。

2007年6月 3日

Notebook: ジョーンズ社長解任の経緯

2007年6月 2日

OTA Notebook: RBジャクソンが合流

自由参加のOrganized Team Activities(OTA)が始まった。

2007年6月 1日

ドラフト指名選手紹介 2: RBブランドン・ジャクソン

 2巡31位 RB ブランドン・ジャクソン Brandon Jackson
Nebraska Junior 5-10(178cm) 212lb(96kg) 40yds/4.41秒 1985年10月2日生

経歴 : シカゴに生まれ、11歳でミシシッピ州ホーン・レイクに移った。同市は州の最北部にあり、むしろテネシー州メンフィスの南郊と言った方がいい。RBとして活躍し、州の優秀選手として多くの賞を受賞。陸上の100m走では州大会6位、ベスト記録は10秒6。ネブラスカ大に進むとレッドシャツを経ずに1年目から390yds(平均4.6)、6TDを挙げる活躍を見せたが、2年目は肩のケガでプレー機会はほとんどなかった。

エースRBだったコーリー・ロス(現BAL)が昨年春に抜けると、ジャクソンを含め3人のRBが交代でプレーする体制となった。序盤は3rdダウンバック的な使われ方だったが、第6週からスターターに定着して万能バックとしてブレークアウト。14試合のうち9試合に先発してラッシング989yds(平均5.3)、パスキャッチ33回313yds、計10TDを挙げた。4年目は大学に残らず、アーリーエントリーする道を選んだ。

Strengths : 身長は高くないが、全体的にガッチリした体型で、肩まわり、太もも、ふくらはぎとよく発達している。アジリティに優れ、バランスがいい。インサイドを突くタフネスも、アウトサイドを駆け抜けるスピードもある。嗅覚に優れビジョンがよく、素早く穴を見つけてカットバックする、ゾーンブロッキング向きの鋭い加速がある。捕まえにくく、ビッグヒットを受けにくい。

今のネブラスカ大はウェストコーストオフェンスかつゾーンブロッキング・スキームを採用していて、パッカーズと全く同じ。パスキャッチ(チーム3位の33キャッチ)がうまく、ランアフターキャッチがよい。先発経験わずか1年のため、よく言えば使い減りしていない。レッドシャツを経ず3年間プレーしただけなので、まだ21歳と若い。

Weakness : スピードもパワーもエリート級ではない。コンバインでの40yds走は4.54秒で、"Pro Day"での4.41秒はかなり速いサーフェスに恵まれた。サイズが小さく、脚が短め。先発経験が1年しかなく、エースとしてキャリー数をこなせるか未知数のところがある。ボールの持ち方が雑になるときがあり、ボールセキュリティを改善する必要がある。パスプロテクションでのテクニックが磨かれておらず、簡単に押し込まれやすい。2005年春には肩関節の大きなケガで手術を受けた。

メンタル面 : 7巡指名のRBデショーン・ウィンと比べると問題児タイプではなく、メンタルはしっかりした選手のようだ。同大のランディー・ジョーダンRBコーチ(元OAK)によると、「自分の好きなことしかやりたがらない選手は多いが彼は違う。最初のころはパスプロテクションが好きじゃなかったが、『使ってもらいたければパスプロテクトだ。見せてみろ』と課題に挑戦させた。すると彼は居残り練習をして頑張った。(ブリッツしてくる)ラインバッカーのフィルムも居残り勉強して、とてもよいブロッカーになった」

指名の経緯 : パッカーズは1巡16位でRBマーショーン・リンチが残っていれば指名するつもりだったらしい。2巡15位(全体47位)の時点では、RBケニー・アイアンズ(17位でCIN)やRBクリス・ヘンリー(18位でTEN)が残っていたが、パッカーズはトレードダウンして3巡と6巡指名権を増やし、2巡31位(全体63位)でジャクソンを指名した。パッカーズ向きのジャクソンを高く評価し、彼なら2巡末でも残っていると予想したためかもしれない。他球団スカウトのコメントを見ると、かなり惚れ込んでいる者も一部にはいるが、3巡から4巡クラスとの評価が多い。

パッカーズにとって : RBアーマン・グリーンがFA移籍し、RBヴァーナンド・モレンシーは昨季代役スターターとして活躍したものの、シーズンを通して先発を務めた経験がない。そのため、少なくとも共同でスターターの重責を担えるRBが必要だった。RBジャクソンならウェストコースト経験が豊富なため、パスオフェンスでも期待できる。RBモレンシーも先発の座を狙ってバルクアップしており、今夏のトレーニングキャンプでは2人のスターター争いが注目の的となりそうだ。

ネブラスカ大 : パッカーズでネブラスカといえばやはりRBアーマン・グリーン(98年3巡でSEA)で、その他には1996年3巡指名のCBタイロン・ウィリアムズがいる。オプション攻撃の牙城だったかつてのネブラスカとは違い、今はビル・キャラハン(元レイダーズ)のもとでウェストコーストオフェンスをしており、同じくレイダーズで活躍したランディー・ジョーダンがRBコーチをしている。パッカーズのオフェンスにぴったりのタイプで、パスキャッチやブロッキングを含めた総合力でいえば、RBアーマン・グリーンのプロ入り時より即戦力タイプの可能性もある。

「ネブラスカはブロッキングにすごく力を入れてる。『ウチのシステムでは、ブロックできなければ出番はない』とコーチたちが言うんだ。1回の練習で二度もブロッキング・ドリルがある」とRBジャクソン。

アーリーエントリー : 先発経験がわずか1年、それもシーズン途中からエースとなったのに、4年目をパスしてアーリーエントリーする道を選んだ。「理由は2つある。いいシーズンを送れたのでそれを最大限に活かしたかった。もう1つは経済的な理由。母は糖尿病があって、それでも正看護婦として老人ホームで大変な仕事をしている。僕に全てを与えてくれた母を、今度は助けてやりたかった」