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2012年3月31日

Notebook: DEトルフソンが訪問

2012年3月30日

DEアンソニー・ハーグローヴと契約

先日グリーンベイを訪問したDEアンソニー・ハーグローヴ(SEA)がパッカーズと契約した。年数も金額もいまのところ不明。いろいろ不祥事があったことを考えると、安価な1年(または2年)契約かもしれない。パスラッシュ向上を目指すパッカーズ側の意図は明らかで、うまくいけば一昨年までのカレン・ジェンキンズのように、ベース隊形ではDE、パスシチュエーションではインサイドからラッシュすることになる。悪くても、伸び悩みの目立つDE陣の競争を活発にする効果は見込めそうだ。

これまでは4-3ディフェンスをプレーしてきたが、一般にDE/DTのトウィーナーは3-4のDEに向いているはず。公称272ポンドとなっているものの、本人によると現在290ポンドであり、その体重でプレーする予定とのこと。やはり通算19.5サックのパスラッシュに魅力があり、ポイントオブアタックでの踏ん張りはあまり得意分野ではなさそう。下記のようにいろいろ懸念はあっても、金額が安いならばパッカーズにとってさほどリスクのない投資、という見方が多い。

本人がツイッターに載せたこの画像は、どうやらFedExで送られてきたパッカーズの契約書類の一部らしい。(彼がサインして返送した)

◆ ◆ ◆

DEアンソニー・ハーグローヴ Anthony Hargrove はニューヨーク出身の28歳。6歳のときにブルックリンのアパートが焼失、母や兄弟とともにホームレスとなってシェルターを転々とする暮らしに。9歳で母を喪い、叔母に引き取られた。ジョージア工科大から2004年の3巡指名でラムズに入団、2年目にはスターターに昇格して6.5サックの活躍を見せた。しかし3年目シーズン序盤にはチームから行方不明になる事件が起き、これが薬物問題の始まりだったのかもしれない。1か月もしないうちに5巡指名権と交換でビルズにトレードされた。

ビルズ2年目の2007年夏、二度目の薬物陽性となって4試合の出場停止に。翌年1月に三度目の陽性反応で1年間の出場停止。けっきょくバッファローでは1年半で22試合出場して2.5サックだった。その後1年以上リハビリ施設に入ってようやく薬物依存を克服し、2009年にセインツと契約。DEからDTにコンバートされ、42タックル・5サックの活躍でスーパーボウル制覇に貢献した。昨年FAとなってイーグルスと契約したが開幕ロースターに残れず、シーホークスへ。ハムストリングの問題にも悩まされて18タックル・3サックに終わった。出場スナップ率は2009年が56.9%、2010年が44.4%、2011年が27.1%と下がってきている。

"BountyGate"事件で彼もセインツ時代のプレーが問題となっており、今後NFLから処分を受ける可能性がある。2009年シーズン、ヴァイキングスとのNFC決勝でQBファーヴをレイトヒット($5000ドルの罰金)して足首を負傷させ、"Favre is out of the game! Favre is done! Favre is done!" と喜んでいたとの証言がある。本人は声明の中で、レイトヒットも喜びのコメントも自分の過ちだったと認めた上で、それらは懸賞金とは何の関係もなかった、と釈明している。

2012年3月29日

Notebook: マッカーシーHCの発言から

2012年3月27日

Notebook: LTベルがGB訪問へ

補償ドラフト指名権は4巡2つ + 7巡2つ

前年にFA流出のあったチームにNFLから配布される補償ドラフト指名権(Compensatory Pick)として、今年のパッカーズには4巡指名権2つと7巡指名権2つが与えられた。15球団に配布された32指名権(リスト)のうち最も高いのはレイダーズの3巡で、4巡は8つ、5巡は3つ、6巡は6つ、7巡は14個。1球団につき上限は4つと決まっていて、この指名権はトレードに出せない。

昨年のパッカーズはDEカレン・ジェンキンズ、LGダリン・カレッジ、RBブランドン・ジャクソン、C/Gジェイソン・スピッツ、FBコーリー・ホールの5人をFAで失い、FA獲得は1人もなかった。

これまでパッカーズが補償ドラフト指名権で獲得した中には、CBタイロン・ウィリアムズ(1996年3巡)、OGマルコ・リヴェラ(1996年6巡)、QBマット・ハッセルベック(1998年6巡)、QBアーロン・ブルックス(1999年4巡)、Cスコット・ウェルズ(2004年7巡)、RGジョシュ・シットン(2008年4巡)、LTマーシャル・ニューハウス(2010年5巡)といった選手たちもいる。

昨年夏にOGケイレブ・シュローダロフをジェッツにトレードして7巡指名権を受け取っているので、今年のパッカーズのドラフト指名権は、1巡(28)、2巡(59)、3巡(90)、4巡(123)、4巡(132)、4巡(133)、5巡(163)、6巡(197)、7巡(224)、7巡(235)、7巡(241)、7巡(243)の計12個となった。

2012年3月25日

新加入Cサタデーが抱負を語る

パッカーズと契約したCジェフ・サタデーは、そのニュースを真っ先に自分でQBペイトン・マニングに知らせたという。先発昇格以来ずっと一緒にプレーしてきた友人に対し、そうする義務があると感じたからだ。 「ペイトンは親しい友人だし、僕は彼とプレーするのも、一緒に過ごすのも大好きだった。これは僕にとってこれまでで最もつらい決断だった。だから、グリーンベイに行くことを、他の誰かから聞く前に僕から伝えたんだ」

「ペイトンに言ったんだよ。ブロンコスが君を欲しがるほど僕を欲しがっているとは思えないと。彼らは自分たちのチーム作りに満足していたし、僕が完璧なフィットだとは思えなかった。逆にグリーンベイは、僕を獲ることが彼らにとってのファースト・チョイスであることが、最初からはっきり伝わってきた」

本人の言う通り、パッカーズはサタデー獲得に全力を挙げていた。マイク・マッカーシーHCが彼とレストランで会い、2人は互いによい感触をつかんだ。その後はジェームズ・キャンペンOLコーチが彼をフィルム・ルームに連れ込み、まるでプレーオフ準備のようにしてブロッキングを話し合った。

「コーチ・マッカーシーやコーチ・キャンペンと、すごくいい話し合いができた。彼らが本当に僕を欲しがっていることがわかった。”キャンピー”と僕はフィルムを観て、彼らとコルツのオフェンスの違いを話し合った。それから僕自身のフィルムを観て、僕が彼らにどうフィットするかを話し合った」

2人が互いに助け合い、向上していける可能性についてキャンペンOLコーチが話したことに強く惹かれ、それが入団を決断する大きな要素になったと彼は言う。その後にテネシーとデンバーも訪れたが、グリーンベイ訪問を終えた時点でほぼ心は決まっていた。また、グリーンベイでの暮らしに家族が安心感を抱いていること、中学に通う子供たちのためにもウィスコンシン州(全米トップ5)の学校が優秀であること、距離的にインディアナポリスの家から遠くないことも決断を助けた。

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現役13年の経験があるとはいえ、新しいオフェンスに取り組むこと、違ったプレーの仕方を学ぶことを喜んでいると彼は言う。 「コーチ・キャンペンに言ったんだ。(大ベテランではあるが)僕はコーチされたいと。すべてを理解していて向上の余地がない、なんてことは決してないんだ。パッカーズで見たものに僕は興奮している。すごくいいオフェンシブラインがあり、とても優秀な若手ラインマンたちがいる。彼らは昨年15試合も勝った。僕が付け加えなきゃいけないものなどあまりない。でも僕はリーダーシップを提供できるし、彼らの望むオフェンシブラインに開花するよう、ベテランの1人として助けることができる」

コルツのオーナー、ジム・アーセイからは、現役続行しつつ将来のフロントオフィス入りもオファーされた。しかし(本人ははっきり言わないが)再建期に入ってしまったコルツよりも、いま優勝を狙えるパッカーズを選んだ、という面が大きいようだ。

パッカーズと結んだのは総額$7.75ミリオンの2年契約で、うち$4ミリオンが1年目に支払われる、と報道されている。いっぽう前任者のCスコット・ウェルズはラムズと総額$26ミリオンの4年契約。もともとウェルズはパッカーズとの交渉でも年平均$6ミリオン台を望み、けっきょくそれを手に入れた形だが、パッカーズもウェルズとの交渉でオファーした額よりもやや低い値段でサタデーを手に入れたことになる。

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パッカーズが高く評価したのは、複雑なプロテクションをセットアップする微妙な能力。史上最高クラスのQBと長年コンビを組んできたが、彼自身がラインのアサインメント変更をコールすることも多かったらしい。

さらにノーハドルオフェンスでの経験は比類なく、最近ノーハドルを多用しているパッカーズにとっては大きな戦力だ。 「キャリアの大部分はこれでやってきたからね。テンポの速いオフェンスのプレーの仕方、選手たちをスクリメージラインに並べ、オフェンシブラインを正しいテンポで動かすやり方を僕は知っている。決めるのはコーチ・マッカーシーであり、僕の意見など必要ない。何であれ得点するために必要なことを彼はするだろう」

NFL選手会ではExecutive Committee(執行委員会)の一員であり、昨年の労使交渉では選手側交渉団の重要なメンバーとして新労使協定の締結に貢献した。厳しい交渉のさなかにマイラ夫人を亡くしたペイトリオッツのオーナー、ボブ・クラフトを抱擁し(写真)、交渉成立の重要な要因として宿敵のオーナーを称えた心温まる一幕もあった。

5年前の力はないとはいえ、現在の体調は申し分ない。チーム側としてもスーパーマンを求めているわけではなく、健康で安定感のある選手であってくれればいい。来年のことはわからないが、まず1年やってみて、それからのことは1年ずつ考えていきたい、と彼は言う。チームはその間に後継者候補をドラフトし、サタデーの存在はその育成を助けることになるだろう。

すでにパッカーズのオフェンシブライン選手たちからは、「ハドルに歓迎する」とたくさんのメールをもらっている。新しい仲間のフィルムをキャンペンOLコーチと観て、彼らと一緒に働けることを大いに楽しみにしているとサタデーは言う。 「体調はすごくいいし、素晴らしいグループの一員になることが僕は本当にうれしい。両隣りの選手(LGラングとRGシットン)の映像を観たけど、彼らはすごく強力だ。両タックルのプレーぶりにもそれが表れている。彼らと一緒なら、ものすごく楽しめると思う」

2012年3月24日

Notebook: DTミューアと契約

Cジェフ・サタデーに加え、元コルツのDTダニエル・ミューア Daniel Muir との契約も発表された。ケント州立大出身の28歳、身長6フィート2(188cm)、体重312ポンド(142kg)。2007年ドラフト外でパッカーズに入団して3試合出場したものの、翌2008年開幕前に解雇されてウェイバーでコルツが獲得。4年間で40試合出場、うち26試合に先発出場した。2011年シーズン半ばで解雇され、その後はフリーのままだった。

パッカーズ側の意図ははっきりしないが、この契約にあまり深い意味はなく、ロースター枠が空いていたから獲ってみただけだろう、という見方がいまのところ一般的。通算でサックは0.5回のみ。4-3経験しかないので、3-4のDEとして試してみる、ということかも。昨年不振だったNT/DEハワード・グリーン(こちらもFAとなっている)よりはマシかもしれない。

以下はその他のFA選手について。

Cジェフ・サタデーが2年契約に合意

元コルツのCジェフ・サタデーがパッカーズとの2年契約に合意した。金額は不明だが、総額$7.5ミリオンから$8ミリオンの間、という噂が一部で流れている。先日FA移籍したCスコット・ウェルズの穴を埋めるため、パッカーズはサタデー1人に的を絞って交渉を続けていた。他にもタイタンズとブロンコスが強い興味を示していたが、こちらがそれだけ積極的なオファーしたということだろう。2000年代を代表するセンターの1人なので、ある程度の金額は致し方ないところ。

パッカーズが他球団の元プロボウラーを獲得するのは、2006年のCBチャールズ・ウッドソン以来じつに6年ぶり。引退に近い年齢の選手をFAで獲得するのは、トンプソンGM就任8年目でこれが初めてのことだ。自らの方針に逆らって異例の人事を敢行したのは、Cウェルズ退団の穴が大きいこと、いま優勝を狙える戦力であること、サタデー自身の衰えがまだ小さいこと、などが挙げられそうだ。センターの緊急補強が済んだことで、ドラフトではディフェンス強化に注力できる。

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Cジェフ・サタデー Jeff Saturday はジョージア州アトランタ出身の36歳。ノースカロライナ大ではFBウィリアム・ヘンダーソンの3年後輩にあたる。1998年ドラフト外でまずレイヴンズに入団、キャンプを待たずに解雇され、シーズン終了後にコルツへ。翌2000年からフルタイムのスターターに昇格し、それ以来欠場はわずか6試合しかない。過去7年間でフル出場が6回。

36歳9か月という年齢が心配なところだが、昨年のプレー内容は高く評価されている。いつ大きな衰えが来てもおかしくないとはいえ、1年か2年やってくれれば後継センターを育てる時間は稼げるだろう。Cウェルズとよく似た小兵ながら、体をうまく使って大型DTにも対処でき、笛が鳴るまでファイトし続けるタフなラインマン。スナップ前の分析力・判断力には定評があり、ノーハドルオフェンスの経験がNFL随一であるのも頼もしい。

プロボウル選出は2005、06、07、09、10年の5回で、オールプロの1stチームにも2回選ばれている。スーパーボウル出場2回、優勝1回。ProFootballFocus.comの2012年パスブロッキング評価では全センター中10位で、Cウェルズ(3位)との差はごくわずかなもの(プレッシャー回数はウェルズ9回、サタデー11回)。全盛期の力はないといっても、昨季コルツOL陣のベストプレーヤーと評価されている。

2012年3月22日

Notebook: Cジェフ・サタデーに興味

ここ数日間のニュースをまとめて紹介。

2012年3月21日

CBジャレット・ブッシュと再契約

パッカーズは4番手CB兼スペシャルチーマーのCBジャレット・ブッシュと再契約した。3年契約ということ以外の内容は不明。代理人は「前回の3年契約よりも良い」とだけ説明しているので、3年総額$4.5ミリオン(契約ボーナス$1ミリオン)よりは上ということ。おそらく吹聴する気にならない金額なのだろう。スペシャルチームのエースでもある彼が残留するのはパッカーズにとって大きく、これでCB陣はさしあたって大きな補強は不要といえそうだ。

パス攻撃/守備の重要性がますます高まるなか控えクラスのCBも需要は大きく、2009年にはRFAだった彼にタイタンズが3年総額$4.5ミリオンをオファー、パッカーズがマッチして引き留めた、という経緯があった。今春FAとなってからはジェッツとカーディナルス訪問を済ませ、今後はカウボーイズ訪問も予定されていた。

代理人は言う。 「彼がパッカーズを去るとしたら、先発の座を与えられ高額のボーナスがある場合だけだった。彼はマイク・マッカーシーとドム・ケイパースと球団を愛している。本当にこれ(移籍先探し)がしたいのかと聞くと、いや僕はパッカーでいたい、と彼は答えた。最初からこれが希望だったんだ。ニューヨークとアリゾナを訪れたが(オファーの)数字は似通ったものだった。ダラス訪問もセットアップしたが、ここも数字はほぼ同じ。結局のところ、(パッカーズからの)最高のオファーを受け入れたということだ」

CBジャレット・ブッシュはユタ州立大から2006年ドラフト外でパンサーズに入団したあと開幕前に解雇され、ウェイバーでパッカーズが獲得。SSペプラーと同日のGB入団だった(当時の記事)。2007年にはいったん3番手CB/ニッケルバックの座をつかんだものの、不振のためCBトラモン・ウィリアムズに追い抜かれた。実戦での弱さをファンから嫌われた時期が長かったが、次第にスペシャルチームのカバレッジで存在感を増し、スーパーボウルではCBウッドソンの代役として重要なインターセプトを決める活躍もあった。

2012年3月19日

QBマット・フリンがシーホークスと契約

注目のQBマット・フリンはシーホークスとの契約に合意した。総額$26ミリオンの3年契約で、うち$10ミリオンが保証されているとのこと。もともと、QBペイトン・マニング争奪戦から脱落した時点からドルフィンズが移籍先の本命と目されていた。しかしその後、「(値切ろうとして)フリンに安値をオファー」と報じられたり、QBアレックス・スミス(SF)やQBデヴィッド・ギャラード(元JAX)の訪問も予定されるなど焦点が定まらず、フリンは失望したのかもしれない。システムへの慣れではジョー・フィルビン新HCのいるドルフィンズが圧倒的に有望だったはず。

シーホークスといえば元パッカーズのQBマット・ハッセルベックがスーパーボウル進出など長く活躍した。Pジョン・ライアンも2008年以来シアトルで活躍を続けている。ホルムグレンHCがスタッフを引き連れて移籍したため、選手・コーチ・フロント関係者の行き来が多く、テッド・トンプソンGMやマイク・シャーマン元HCもいったんシーホークスに移ってからパッカーズに復帰した。パッカーズ人事部長だったジョン・シュナイダーが一昨年にシーホークスGMに就任し、Sアタリ・ビグビー(先日FAでSDへ)、OTブレノ・ジャコミニ、T/Gアレン・バーバーといった馴染みの元GB選手を獲得している。

なお、今年のパッカーズはNFC西地区との対戦があるため、シーホークスに移ったQBマット・フリン、ラムズに移ったCスコット・ウェルズと直接戦うことになる。

2012年3月17日

Cスコット・ウェルズがラムズと契約

初プロボウルに出場したばかりのCスコット・ウェルズがラムズとの契約に合意した。契約延長交渉がまとまらずFAとなった彼は、最初は故郷のタイタンズを訪問、次にラムズを訪れ、そこで素晴らしい高額オファーを手に入れた。第一報(不確かなことも多い)によると4年総額$24ミリオン、そのうち$13ミリオンが保証されているとのこと。「決してオーバーペイしない」というチーム方針を守ったとはいえ、控えのインサイドOL陣が手薄であるパッカーズにとって、このFA流出はやはり痛い。

たとえば一昨年のLTクリフトンの場合、おなじくFA解禁までに契約延長はまとまらなかったものの、レッドスキンズでオファーを聞いてすぐにグリーンベイに戻り契約にサインしていた。今回のCウェルズは球団からのオファーに失望し、FA解禁の時点で退団の意思は固まっていたものと思われる。生え抜きとはいえルーキー時にはいったん解雇、一昨年もジェイソン・スピッツに先発の座を奪われ、昨年もシーズン中に球団からの交渉はなかった。パッカーズから正当に評価されていないという不満がずっとあり、ディスカウントに応じる気持ちはなくなっていたようだ。

残っているセンターは、頼りないC/Gイヴァン・ディートリック=スミスと、プラクティス・スクワッドにいたC/Gサンプソン・ジーナスぐらいなので、なんらかのFA補強をせざるをえないだろう、というのが大方の見方。ドラフトで即戦力を獲るには上位指名が必要だが、上位指名権はディフェンスに使いたいからだ。ただ、T.J.ラングを左ガードからセンターに回す選択肢もなくはない。

今年のFA市場には実績あるセンターが比較的多い。

2012年3月14日

両ベテランの決断はもっと先か

高額サラリーのために解雇または減俸交渉が予想されているLTチャド・クリフトンとWRドナルド・ドライバーだが、彼らへのロースターボーナスの支払いはもうしばらく先のことであり、球団としては慌てて決断しなくても済むことがわかった。

WRドナルド・ドライバーは今年のベースサラリーが$2.6ミリオン。ロースターボーナス$2.2ミリオンは2つに分かれている。最初の$1.5ミリオンはトレーニングキャンプ初日に発生し、残り$70万ドルは1試合出場(アクティブ登録)するごとに$43,750ドルずつ支払われる。ただ、ワークアウトボーナスが$20万ドル(オフシーズン練習の何%以上に参加した場合、という条件が普通)設定されている。

LTチャド・クリフトンは今年のベースサラリーが$5.25ミリオン。ロースターボーナスは$25万ドルだけで、1試合出場(アクティブ登録)するごとに$15,625ドルずつ支払われる。こちらもワークアウトボーナスとして25万ドルを受け取ることになっている。

また、CBチャールズ・ウッドソンの今年のサラリーは$11.5ミリオンとなっていて、そのうち$4ミリオンのロースターボーナスを4月半ばに受け取ることになっている。できればこれを減額したいところだが、来年以降にキャップ負担が大きくなるような「契約見直し」ではあまり意味がない。

DEマイク・ニールが4試合出場停止に

プロ3年目を迎えるDEマイク・ニールが、ステロイド等禁止薬物違反でNFLから開幕4試合の出場停止処分を言い渡された。こうした場合の規定により、処分中は無給となり、チーム施設に立ち入ることやコーチとの接触も許されない。オフシーズン練習やキャンプやプレシーズンゲームには参加でき、開幕戦の直前からチームを離れることになる。

2009年のドラフト2巡指名入団以来ケガに苦しんできたDEマイク・ニールだが、右DEの強化を目指すパッカーズにとって痛手なのはたしか。今オフの補強戦略にも影響を与えるかもしれない。

2012年3月13日

キャップスペースは$7ミリオン弱

月曜にようやく発表があり、2012年度のサラリーキャップ枠は昨年とほぼ同じ$120.6ミリオンとなった。昨年締結された新労使協定で運用がやや柔軟になり、前年サラリーキャップに空きを残した球団は、簡単な手続きをするだけで前年のキャップスペースを翌年に繰り越せるように変更されている。

パッカーズは2011年に使い残した$5,283,109ドル分を2012年に繰り越し、それを加味した2012年のキャップスペースは$5,346,471ドルとなった。NFL32球団のうち23位とのこと。

その後NFLから新たな発表があり、キャップのなかった2010年の違反行為により、レッドスキンズから$36ミリオン、カウボーイズから$10ミリオン分をそれぞれのキャップスペースから没収することに。それだけでは選手側が損をすることになるので、計$48ミリオンを30球団で割った$1.6ミリオンずつが各球団のキャップスペースに再配分される。

上記の2つを合計し、今年のパッカーズはサラリーキャップに$6,946,471ドルの余裕がある。

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日本時間14日早朝にいよいよFA解禁となるが、パッカーズが積極補強に動く可能性は低いと見られている。もともとトンプソンGMはFA補強に熱心でないうえ、今後パッカーズは中核選手たちとの契約延長が目白押しだからだ。WRジェニングスが今年契約最終年を迎え、OLBマシューズ(2013年まで)やDE B.J.ラジ(2013年まで)とも早めに契約延長交渉を進めたい。QBロジャースは2014年まで契約が残っているものの、トップQBとしては破格の安値(今年のベースサラリーが$8ミリオン)で働いており、いつまでもこのまま放っておくわけにもいかないはず。

といったわけで、チームの将来的な安定を考えれば、目先のキャップスペースを使ってしまうわけにはいかないのが現状だ。LTクリフトンやWRドライバーのような高額ベテランを解雇または減俸したり、CBウッドソンなどの高額ロースターボーナスを組み替えるといった取り組みも必要かもしれない。

2012年3月12日

シーズン総括と展望 QB編

遅ればせながら各ポジション分析のスタート。

アーロン・ロジャースがスーパーボウルMVPに続いてシーズンMVPを獲得し、NFL史上に残る素晴らしいシーズンを過ごした。ヤーデージ、TD数とも球団記録ながらインターセプトがわずか6回しかなく、NFL新のレーティング122.5を記録した。完璧に近いコントロールと肩の強さ、ディフェンスの読みと判断の速さ、リーダーシップとすべてが揃い、もう何も注文をつけるところがない。

2010年に大きな成長を見せたマット・フリンが最終週DET戦で6TD(球団新)の大活躍を見せ、来たるFA市場に向けて大きくアピール。フランチャイズ指名を利用してのトレードを球団側が諦めたため、いよいよ今週フリーエージェントとなる。じっさい他球団からどの程度評価されているかはフタを開けてみなければわからないが、少なくともメディアからは大きく取り上げられる今春の注目選手となった。

3番手のグレアム・ハレルは2010年と同じく、プラクティス・スクワッドでシーズンをスタートして12月にロースター昇格する、というシーズンを過ごした。それなりに成長してきてはいるものの、プレシーズンでは合計5クォーター半出場してレーティング75.7。才能の限界は感じられ、NFLで代役スターターが務まる器かどうか疑問が残る。

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といったわけで、今年のテーマは2番手QB探し。最近のNFLでは脳震盪ポリシーが厳しいこともあり、長いシーズンを乗り切るために控えQBの存在がより重要になっている。普通の球団ならば安いベテランQBをFAで狙うところだろうが、たぶんパッカーズはしないだろう。オフシーズン練習でハレルが順調に伸びてくれればよいが、そうならなかったとき、ベアーズの悪夢のシナリオ(7勝3敗時点でQBカトラー負傷、代役QBヘイニーが散々な出来で8勝8敗に)はけっして他人事ではない。

今オフのパッカーズはすでにアリーナリーグのQBニック・ヒルと契約し(記事へ)、ドラフトでもQB指名が予想されている。下位指名、早ければ4巡あたりで指名があってもおかしくはない。キャンプではハレルとヒル(もっと早く脱落する可能性も)と新人が2番手QBを争うことになりそう。下位指名ルーキーを2番手QBにするのはなんとなく恐ろしいが、マッカーシーHCとトンプソンGMは2008年にもそれを敢行している。

アーロン・ロジャース Aaron Rodgers | Quarterback | California
6-2 (188cm) | 225lbs (102kg) | 8年目 28歳 | 2005年ドラフト1巡

プロ入り7年目、先発4年目のシーズンはきわめて充実したものになった。スーパーボウル制覇の立役者がさらに進歩し、NFL史上最高のレーティング122.5を記録してシーズンMVPに。それぞれキャリア最高クラスの成績だったドリュー・ブリーズ(5476yds)やトム・ブレイディ(5235yds)を退けての受賞だけに、なおさら価値が高い。パス主要部門の球団シーズン記録をあらかた塗り替え、ケガによる欠場もゼロだった。

判断力と正確なコントロール、強肩、完璧なメカニックによるクイックリリース、ポケットでの落ち着きと身のこなし、動いて時間を稼いでからのパスの脅威、ディフェンスの読み、オーディブルやノーハドルでのプレーコール能力、リーダーシップとすべて兼ね備えている。豊富なレシーバー陣にどうパスを配分するのかと心配されたが、パイを大きくする(45TD)ことで無理やり解決してしまった。(WRネルソンに12TD、WRジェニングスに9TD、TEフィンリーに7TD、WRジョーンズに7TD、WRドライバーに5TD)

相変わらず被サックだけは多く、被サック率6.7%はNFL21位。ただ前年(6.1%)より悪化したのは、純粋にOL陣のケガが多かったことによるものだろう(代役LTニューハウスだけで10.5サックを献上)。彼のの場合、無理投げ(6INTはNFL2位)せずにビッグプレーが多いことは、被サックの多さとセットになっている。サックを減らすに越したことはないが、ある程度は仕方がない。

モンタナ-ヤング以来の2代連続殿堂入りへ、きわめて順調なキャリアを築いている彼にとって、怖いのは大きなケガだけ。強力レシーバー陣は今季も健在だが、Cウェルズ(契約延長交渉が難航中)やLTクリフトン(サラリーキャップの犠牲候補)の去就がはっきりしないOL陣は不安要素だ。

マット・フリン Matt Flynn | Quarterback | Louisiana State
6-2 (188cm) | 225lbs (102kg) | 5年目 26歳 | 2008年ドラフト7巡

名門ルイジアナ州立大で全米王座に貢献し、2008年ドラフト7巡指名で入団して4年目。2010年は代役出場のペイトリオッツ戦で活躍して注目を集めたが、2011年は最終戦でライオンズ相手になんと480yds・6TD(球団新)を投げまくって週間MVPを獲得。今春のFA市場の目玉の1人と目される存在になってしまった。新天地での活躍をぜひ期待したい。

彼の良いところはポケットでの落ち着きと判断力とガッツ。肩は強くないがトレーニングによってそれなりに強化されてきた。ロングボールのコントロールも同様。スクランブル能力もあるが、左に流れながら強いパスを決めるような身体能力には欠けるようだ。

フランチャイズ指名を利用してのトレードを球団側が諦めたため、晴れて今週フリーエージェントとなる。コルツがドラフト1位でアンドリュー・ラック(スタンフォード大)、レッドスキンズが2位でロバート・グリフィン3世(ベイラー大)を指名するのが確実になったため、この2人とペイトン・マニングを獲得できなかった球団のどこか、ということになるだろう。

代役スターターで活躍してFA移籍したQBは失敗例も数多いが、高額FA移籍してさえくれれば、少なくとも来年パッカーズには Compensatory Draft Pick (用語集参照)が手に入る。おそらく3巡、悪くても4巡になるはず。もしフランチャイズ指名してトレードできた場合でも相場は2巡指名権なので、その差はあまり大きくないと言えるかもしれない。

グレアム・ハレル Graham Harrell | Quarterback | Texas Tech
6-2 (188cm) | 215lbs (98kg) | 3年目 26歳 | 2010年FA

スプレッドオフェンスのテキサス工科大でシーズン5111ydsを投げまくってハイズマン投票4位となったが、2009年ドラフトでは指名なし。CFLサスカチュワンからも解雇され、オクラホマ州立大のアシスタントとして働き始めた2010年5月、パッカーズのトライアウトを受けて入団となった。開幕ロースターには残れなかったものの実質3番手QBとしてプラクティス・スクワッドに残り、12月にロースター昇格。2011年もまったく同じパターンを繰り返した。

プレーぶりは率直にいってスケールが小さい。肩の強さはなく、緻密なコントロールもない。ウェストコーストオフェンス向きの器用を持っているのかもしれないが、少なくともプレシーズン(計5クォーター半出場してレーティング75.7)の実戦では示すことができないでいる。

昨年はロックアウトのためオフシーズン・ワークアウトも中止となり、マッカーシーHCらにによる”クォーターバック・スクール”に参加できなかったのが残念なところ。プレシーズンではそれなりに成長したところを見せたが、開幕前に解雇してもどこも獲りに来ないのだから他球団からの評価はその程度なのだろう。フリンがいた間はそれでもよかったが、彼が抜ける今年は2番手争いをしてもらわなければならない。

2012年3月 3日

ストックセールが成功裡に終了

昨年12月6日に始まった球団史上5回目の株式発売が2月末をもって終了した。当初の予定(25万株)を上回る26万8000株以上が売れ、球団は約$67ミリオンの調達に成功した。この資金はすべて、進行中のランボーフィールド改修に利用される。総工費$143ミリオンのうち、今回の株式だけで約47%が確保できたことになる。

前回1997年の株式発行は29年ぶりの優勝直後だったが、売れたのは12万株(1株$200ドルで計$24ミリオン)。今回はその2倍以上となった。 「最大の違いはオンライン販売の力だ。今回は90%以上がオンライン購入だった。我々は当初、$20ミリオンから$25ミリオンと控えめな数字を予想していたのだが」とマーク・マーフィ社長は振り返る。

ウィスコンシン大グリーンベイ校のフィリップ・クランピット教授は、球団のブランド力と社会意識と購入の容易さが完璧に融合し、今回の成功につながったと分析する。 「オンラインで購入できるのは大きかったと思う。それに我々の社会はモバイル文化へと移行してきた。ウィスコンシンで購入できるならどこででも購入できるようになったのだから」

クリスマスシーズン(家族へのプレゼントにする需要も多い)に合せての発売、しかも優勝直後の全勝街道真っただ中だったこともあり、最初の2日間でなんと18万5000株(全体の69%)が売れた。終了直前には法的問題のクリアされたカナダでも発売され、約2000株が売れたという。

球団によると、ウィスコンシン州民による購入は全体の半分にすぎず、前回1997年よりも比率が大幅に下がったとのこと。イリノイとカリフォルニアが8.5%ずつで続き、ミネソタとテキサスが5%ずつ。

これまでパッカーズの株主は約11万2000人だったが、今回25万人以上が新株主となったことで、合計した株主は36万人を超えることになった。7月の株主総会への出席も、今夏は史上最多となることが確実。例年は1万人から2万人の間だったが、スタジアムに収容しきれるのか懸念する声も出てきている。 「何人が出席を希望するかにもよるが、球団としてはどのように開催するか、さまざまな要素を検討しているところだ」とマーフィ社長。

「このオーナーシップ構造のために、我々のファンは忠誠心が非常に強く、球団と強いつながりを持っている。株主数が3倍になることで、より多くのファンがパッカーズとつながりを持つことになる。球団の未来にとって今回の成功は、ファンからの将来的なサポートという点で非常に重要なことだ」