複数メディアが報じるところによると、パッカーズはブラウンズとのトレードに合意し、先日フランチャイズ指名したDTコーリー・ウィリアムズの代わりにドラフト2巡25位指名権(全体56位)を受け取ることになった。トレード成立のためにはウィリアムズがブラウンズとの長期契約に合意し、ブラウンズ側でフィジカルチェックに合格することが条件。手続き上は、パッカーズのオファーした$6.363ミリオンの1年契約にサインした上でトレードということになる。
先日のフランチャイズ指名には驚きの声が多かったが、下記の「総括と展望」で書いたように戦力的な不安(ジョリーの負傷とハレルの能力)が理由と見られていた。しかしこれで、トンプソンGMが最初からトレード目的だったことが明らかになった。パッカーズは再びサラリーキャップの空きが$24ミリオンほどになり、ドラフト初日(今年から3巡は2日目)に3つ指名できることになった。
飛び抜けた選手はいないが粒が揃い、ディフェンスで最も層の厚いユニット。レベルが高いため大量6人をロースターに入れて開幕を迎えたが、それが結果的に好判断で、2人が大ケガで戦線離脱してもなんとか持ちこたえることができた。
プロ2年目のジョリーの急成長もあって、開幕から9試合のラン守備はNFL8位の平均92.9yds。しかしコールとジョリーが相次いで戦線離脱するとローテーションが苦しくなって次第に疲弊し、プレーオフを含めた9試合では108.1ydsを許した。それでもラン1回平均3.88ydsはパッカーズとしては2000年以来ベストの成績だった。いっぽうパスラッシュも2人の戦線離脱により悪影響が出て、特にウィリアムズは出ずっぱりに近くなってパフォーマンスがダウンした。
ウィリアムズをフランチャイズ指名したことによりデプスは十分で、今年は大きな補強はなさそうだ。むしろハレルやムーアなど2年目選手たちがこのオフシーズンに成長することで底上げを図りたいところ。
不動の先発左DT。頼りになるランストッパーとしてライン中央をしっかり持ちこたえてくれた。押されないだけでなくボールのありかを素早く見つける判断がよく、タックル数はDEキャンプマンに次いでDL中2位。移籍2年で1サックしか挙げておらず、パスシチュエーションではサイドラインに下がる。2006年春に結んだ総額$14ミリオンの4年契約をかなり上回る働きをしており、今年あたり契約アップグレードの可能性のある選手の1人。
今年FAとなる予定だったが、先日フランチャイズ指名されて残留が確実となった。2年連続7サックはDTとしては素晴らしい数字で、昨年はラン守備も改善して穴のないDTに成長してきた。ジョリーとコールの戦線離脱で出番が増え、出場スナップ数は前年の569スナップから777スナップに急増。開幕から10試合で6サックしたものの、その後の8試合で1サックしか挙げられなかった。
フランチャイズ指名で引き留めた後に長期契約交渉をすることも多いが、今年のパッカーズは今のところその動きはない。ビッグマネーを手にすると慢心してしまいそうなタイプだけに、$6.363ミリオンの高額サラリーを我慢しても1年契約のまま残し、(選手が必死で頑張る)コントラクト・イヤーにしておきたいのかもしれない。(管理人注 半日後にトレードが決定)
ドラフト6巡指名から2年目に急成長を見せて開幕スターターを勝ち取り、第11週パンサーズ戦で肩を負傷するまで、ウィリアムズと交互にスターターを務めた。エネルギッシュなラン守備を得意とするタイプでパスラッシュはそれほどでもないが、スクリーンパスへの反応やパスディフレクトなどセンスのよい動きをする。彼の不在がプレーオフでは大きく響き、また彼の大ケガがなければウィリアムズのフランチャイズ指名はなかったかもしれない。
12月11日に肩の回旋腱板の手術を受け、7月末のトレーニングキャンプには間に合わない可能性もある。予定どおりなら開幕戦出場は問題ないはずだが、伸び盛りの時期に十分なトレーニングを積めないことが残念。
驚きのドラフト1巡指名だったが、ファンの不満を払拭するルーキーシーズンではなかった。大学4年目に上腕二頭筋を部分断裂した影響もあって、まだプロの体ができておらず、最初の11試合で9回インアクティブ。12月に入るとプレーぶりが改善され、簡単には倒されなくなった。タックル数を出場スナップで割った比率ではDL中トップで、6.3スナップに1回タックルを決めている。しかしパスラッシュでは、今季一度もプレッシャーをかけられなかった。
彼のルーキーシーズンが期待はずれだったことは、上記ウィリアムズのフランチャイズ指名にも影響したはず。しかしDTは一人前になるまでに2年か3年はかかるのが普通(ピケットもプロ1年目は先発ゼロ)なのでまだ見限るのは早い、という見方が一般的だ。
ハレルと4番手争いをしたが、第12週ライオンズ戦で前腕を骨折してシーズンエンド。2003年のドラフト外なので実質プロ5年目を終えたことになるが、出場試合数の関係で正式にはまだ3年目終了扱いで、今春制限つきフリーエージェントとなる。重心の低い堅実なランストッパー。そろそろ伸びシロもなさそうなので、パッカーズ側はオファーしない可能性もある。
ケント州立大から昨年のドラフト外で入団し、ロースター入りを果たした。出場はわずか3試合だったが、ピケットが欠場したレギュラーシーズン最後の2試合は出番が多く、光るものを見せたようだ。馬力もあるが大学ではDEとしてもプレーしていて、パスラッシュもいいらしい。異例のDT6人枠にまでして彼をロースターに残しておいたのは、首脳陣の期待の大きさの表れだろう。
メリーランド大から昨年のドラフト外でヴァイキングスに入団。プラクティス・スクワッドから昇格して1試合に出たところで解雇され、ケガ人で手薄になっていたパッカーズが獲得した。レギュラーシーズン最終戦で出番をもらったがプレー内容はイマイチ。横幅のあるランスタッファーで、パスラッシュは不得手なタイプらしい。
キャンプマンが2年連続でプロボウルに選ばれ、2006年終盤からパスラッシュスペシャリストに降格されたバジャ=ビアミラも9.5サックと活躍し、まずまず期待通りの働きをしたユニット。わずか33%(NFL3位)に押さえ込んだ3rdダウンディフェンスへの貢献は特に大きい。
しかしジェンキンズとバジャ=ビアミラがケガで苦しむようになるとパスラッシュが鈍り、シーズン終盤はブリッツを増やさざるをえなかった。チーム全体のサック数は最初の11試合で32回(平均2.9)、その後の7試合(プレーオフ含む)はわずか8回(平均1.1)だけだった。
左DEキャンプマン、右DEジェンキンズ、それにパスラッシュスペシャリストのバジャ=ビアミラ、という陣容に今年も変更はないようだ。現有戦力でさしあたって問題はなさそうだが、上位3人をプッシュする若手がいないのはたしか。バジャ=ビアミラがすでに30歳でサラリーが高額ということを考えると、昨年のDTハレルのようにドラフト上位指名があってもおかしくない。
この2年間で27.5サックを挙げ、NFL屈指のDEという評価を確固たるものにした。プレッシャー58.5回は過去20年間のパッカーズで最高、91タックルも例年通りDL陣最多。チーム1、2を争うハードワーカーで、頭脳面もリーダーシップも申し分ない。2006年春に4年総額$21ミリオンの契約延長をしているが、その評価を大幅に上回る活躍のため、シーズン開幕までに契約のアップグレードがあるかもしれない。
2006年終盤に右DEのスターターに昇格し、昨年2月には総額$16ミリオンの4年契約にサイン。期待された2007年シーズンだったが、ヒザ、足首、わき腹とケガに悩まされ続け、プレーオフを含めて計2.5サックにとどまった。パスシチュエーションではDTの位置からラッシュするのが重要な役目で、彼の不調がシーズン後半のパスラッシュ不振に直結してしまった。しかしパスディフレクトはチーム最多の8回をかぞえ、ロスタックルも最多タイの4.5回。
2006年終盤に降格されたパスラッシュスペシャリストの役割で、2007年は9.5サックを挙げた。13.2スナップに1回プレッシャー、という数字は前年の20.8スナップから大幅に向上し、キャンプマンを上回ってチーム最高。軽量スピード型だけに、しっかり休養してキレを保つことが重要のようだ。11週に足首を負傷してからは調子が落ちたものの、プレーオフ2試合で計1.5サックを挙げている。
今年のベースサラリー$6.15ミリオンはスターターでない選手にしては高すぎるが、(先日解雇したTEフランクスとは違い)パスラッシャーはやはり貴重なので仕方ない、と首脳陣は判断しているのだろう。
プレシーズンでヒザを負傷してシーズン前半を棒に振り、復帰後も本来の動きができず、失望のシーズンだった。スピードはあまりないが6フィート5(195cm)の身長があり、主に左サイドでキャンプマンの控えを務めている。ドラフト6巡指名から今年で4年目を迎えるが、前年の6巡指名DTウィリアムズのようには成長できず、このままでは今年がパッカーズ最後のシーズンになるかもしれない。
ディビジョンI-AAのアパラチアン州立大から2006年のドラフト外で入団し、2年連続でロースター入り。NFL2年目はスペシャルチームの中核的存在に成長し、ST最多の30タックルを記録している。体重260ポンドの軽量で40yds走4.6秒のスピードがある。パスラッシャーとして期待されてはいるが、プレーぶりはかなり不安定。86スナップに出場してわずか1回しかプレッシャーをかけられなかった。
昨春パッカーズはデヴィッド・マーティンを引き留めず(FAでドルフィンズへ)、レシーバーとしてポテンシャルのあるドナルド・リーをスターターに据え、ババ・フランクスを控えに下げる方針を早めに決定。キャンプやプレシーズンでは成果が出せず、コーチ陣は地元メディアから批判を浴びたが、シーズンが始まるとリーは優れたレシービングTEとして活躍し、強力パスオフェンスに貢献した。
いっぽう2番手のフランクスは8試合欠場し、代役としてプラクティス・スクワッドから昇格のライアン・クラウスはほとんどランブロッカーでしか起用されなかった。2006年にはダブルTEセットの使用が多かったが、昨年は豊富なWR陣を活かす4WRや5WRセットを多用したため、控えTE陣の影は薄かった。
リーが立派なスターターに成長したため、今年の課題は控えTE陣をレベルアップすること。もともとマッカーシーHCはタイトエンドを重視するタイプで、昨年のようなTE2人体制は本意でないはず。すでに先日フランクスを解雇したこともあり、今オフは重要な補強ポイントになりそうだ。1995年にTEキース・ジャクソンを獲ってTEマーク・チュムラとコンビを組ませたような補強があるのかどうか。ドラフト上位指名の可能性も取り沙汰されている。
2006年にはわずか10キャッチと伸び悩んだが、昨年は春先からスターター扱いでみっちり鍛えられ、48キャッチ・575yds・6TDの活躍で期待に応えた。かつてエースだったフランクスは500yds以上を一度も記録していない。リーの平均12.0yds(フランクスは通算9.0yds)は全TE中でも上位の成績で、13ydsを超えたのはケレン・ウィンズロウ(CLE)とアントニオ・ゲイツ(SD)だけだった。
11月には早くも4年総額$11ミリオンの契約延長にサイン。フィールドをストレッチするスピードがあり、LBを振り切ってロングゲインするシーンも目立った。大きなミスは第4週ヴァイキングス戦のファンブルロストぐらいで、シーズンを通してコンスタントな働きをしたことも評価できる。あまり得意でなかったブロッキングも次第に向上し、ミスは減っている。
2004年チャージャーズのドラフト6巡指名で、昨夏ブラウンズから解雇されてパッカーズのプラクティス・スクワッドに入り、10月半ばにフランクスが負傷するとロースターに昇格した。レシービングTEのタイプというふれこみだったが実際はほとんどブロッカーとしてしか使われず、パスキャッチは2回11yds。明らかに3番手クラスの選手で、彼が2番手では物足りない。今週末にFAとなるが、再契約しない可能性も。
2005年はドラフト外入団からプラクティス・スクワッド。2006年には4番手TEとしてロースター入りを果たし、昨年はさらなる成長が期待されたがトレーニングキャンプ初日に足首を骨折してシーズンエンド。6フィート2(188cm)と小さいがアスレチック能力が高く、コーチ陣の期待は大きいようだ。すでに12月からランニングを再開しており、3月からのオフシーズンプログラムには間に合う見込み。
このシーズン最も成長したユニットで、QBファーヴとともにチーム躍進の原動力となった。過去2年はドライバーの孤軍奮闘ばかりが目立ち、彼が止められたらそこで終わり、という印象だった。しかし昨年は大幅な底上げに成功し、好調ファーヴがマルチWRセットを自在に使いこなして相手ディフェンスを翻弄した。NFL1位の2294ydsをランアフターキャッチで稼ぎ出しており、5人合わせたユニットとしてはNFL屈指、という声も少なくない。
2年連続でドライバーがプロボウルに選ばれたものの、TD数やビッグプレー能力からしてジェニングスが実質エースに成長したと言ってよさそうだ。契約最終年を迎えるのはコーレン・ロビンソンだけで、契約の面でも将来的な心配はあまないなく、大物FAやドラフト上位指名は今年はなさそう。ただ、ジョーンズ、マーティン、ロビンソン、ホリデイとポゼッション型ばかりでバカッ速い選手がいないので、リターナーを兼ねられるような選手を下位指名か。
4年連続5回目の1000ydsを記録し、2年連続3回目のプロボウルに選出された。しかし82キャッチ・1048yds・2TDはどれもこの4年間で最低で、1キャッチ平均も例年の14yds台から12.8ydsにダウン。力が落ちたというよりも、ここぞという場面でQBファーヴが彼よりもジェニングスを頼りにするようになってきたというべきか。
134回パスが来たうち落球は2回だけで、落球率1.49%は自己ベストでチームベスト。体作りは万全なので33歳となっても衰えは感じられず、あったとしてもかなり緩やかだ。そのことはNFC決勝での90ydsタッチダウンにも表れている。昨夏には2010年までの契約延長にサインしている。
プロ2年目は(3試合欠場したので)1000ydsには届かなかったものの12TDはダントツのチーム1位で、すでにドライバーをしのいでエースになったという声が多い。ショートパスをロングゲインにしてしまうランアフターキャッチのキレとセンスが素晴らしく、1回平均17.4ydsはNFL3位。戦術眼もQBファーヴとの呼吸も申し分ない。ただシーズン後半には、捕った後のことを考えるのかイージーな落球がやや目立った。
これといった欠点が見当たらず、来季の目標はとうぜんプロボウル。4年契約の3年目に入るところだが、今年中に契約延長をするかもしれない。
ドラフト3巡指名入団し、期待どおり3番手を務めた。47キャッチ676ydsはどちらもルーキーWR3位だが、シーズン後半には明らかに「ルーキーの壁」にぶち当たって成績がダウンした。4WRや5WR隊形を多用するなか、ロビンソンやマーティンが頼りになるので、信頼しきれない新人WRにわざわざ投げることはないとファーヴから軽視された面もありそうだ。
パスキャッチが非常に上手く、体から遠いボールでも難なく引き寄せる技術が最大の武器。212ポンドのガタイがあってミドルでの競り合いに強い。まだ未熟な点は多いが、経験を積めば改善するだろう。とはいえ、スピードがなくクイックネスも並なので、将来1200yds級のレシーバーに成長するような器ではないかもしれない。
シアトルからミネソタ時代はアルコールやドラッグがらみの不祥事が続いたが、昨夏刑期を終えて出所してからはしっかりやっているようだ。1年間の出場停止処分を終えて第9週から出場し、パスキャッチ21回241yds、キックオフリターンは25回平均23.8ydsとまずまず。相手ディフェンスの読みなど戦術眼は頼りになるものの、もともと40yds走は4.6秒クラスでビッグプレー能力はあまりない。
もう伸びシロがないうえヒザに問題を抱えているので、ホリデイたちの成長しだいでは来季の開幕ロースターに残れない可能性も十分ある。
2006年後半は3番手を務めたが、ジョーンズ入団とロビンソン復帰で割を食い、わずか16キャッチに終わった。それでもマルチプルWRセットの一角として242yds・4TDを挙げ、特にレッドゾーンでは6フィート4(193cm)の高さが活きる。ランブロッキング能力はWR陣ナンバーワンで、RBグラントのロングゲインに貢献するシーンが何度もあった。ロビンソンもそうだが、チームによっては3番手が楽に務まるはず。
6番手WR兼リターナーとして9月末に再契約。しかし上位5人にケガが少なかったため出場6試合のほとんどがスペシャルチームで、シーズン最終戦にようやくプロ初キャッチを挙げることができた。5フィート11(180cm)の小兵で飛び抜けたスピードがあるわけでもなく、リターナーとしてよほど頑張らないと来季のロースター入りは難しいかもしれない。
2006年終盤はマーティンに次ぐ4番手WRを務め、昨夏もロバート・ファーガソンを退けて開幕ロースターを果たしたが、開幕戦でヒザを負傷してインジャリーリザーブに。3番手争いをしていただけに残念なシーズンだった。スピードはそこそこだが6フィート2(188cm)のサイズがあってセンスがいい。ノートルダム大では3年まで先発QB(ブレイディ・クインの前任者)だったためWR経験が浅く、まだ伸び盛りといっていい。
ドラフト候補生の見本市のようなスカウティング・コンバインのため、全球団の関係者、それに代理人たちがインディアナポリスに集まっている。
長年スターターを務めたウィリアム・ヘンダーソンを昨年春に解雇し、ブランドン・マイリーも開幕ロースターに残さず、FB陣を総入れ替え。6巡指名ルーキーのコーリー・ホールはLBからの転向1年目でスターターとなり、開幕直前にFBジョン・クーンを獲得して2番手とした。
マルチプルWR隊形を多用するとFBたちの出番がなくなってしまうが、シーズン後半になるとダブルFB隊形 "ファルコン"が頻繁に使われるようになり、ホールとクーンの2人が同時にフィールドに出る機会が増えた。2人合わせて10キャッチ56ydsとレシーバーとしてはあまり使われなかったかわり、スペシャルチームでは2人とも中核選手としてよく働いた。
昨オフはFAの有力フルバック数人に興味を示したパッカーズだが、経験の浅い若手ばかりでシーズンを乗り切ることができたので、今年は若手FB育成の方針を続行する可能性が高いように思われる。ホールとクーンだけでなく、昨年ドラフト外入団したホワイトとパウドレルも含め4人全員が他ポジションからのコンバート組。伸び盛りの若手どうしでロースター争いをすることになりそうだ。
LBからFBへのコンバートを前提にドラフト6巡指名され、転向1年目でスターターが務まったのは、センスのよさとハードワークのたまもの。新人としてはアサインメントミスが少なく、クイックネスを活かしてランブロッキングは次第によくなってきた。しかし "Bad Run" (1yds以下のラン)を招いたブロックミスが計10回あり、パッカーズのFBとしては2002年以来最多。
パスキャッチは8回49yds、TDなし。落球が一度もなかったのは立派だが、レシーバーとしてはまだナチュラルな動きができず、ぎごちないところがある。大学時代からスペシャルチーマーとして高く評価されパッカーズでも活躍しているが、アグレッシブになりすぎるのか時おりミスタックルがある。
大学時代はRBで、2005年にドラフト外でスティーラーズに入団、昨年開幕前に解雇されてパッカーズにやってきた。ホールよりも14ポンド重い250ポンドのサイズがあり、シーズンが深まるごとに好ブロックをぶちかますシーンが目立つようになり出番も増えた。ホールの374スナップに対して188スナップ出場。パスキャッチは2回7ydsのみ。今年はホールと先発の座を争う。
USCからドラフト外で入団してロースター枠を争ったが、キャンプ半ばでヒザを負傷してインジャリーリザーブへ。大学4年目にLBからFBにコンバートされた選手で、こちらも発展途上。FB陣で最も重い254ポンド。
アラバマ大バーミンガム校から昨年のドラフト外でパッカーズに入団、そこでRBからFBにコンバートされ、1年目はプラクティス・スクワッドで過ごした。大学ではパワーRBとして通算1925ydsラッシング、25TDを記録しており、FB/RB兼用の選手。RB陣にケガ人の多かった昨夏のプレシーズンには、34回108yds(平均3.2yds)を走っている。
パッカーズはもうじきFAとなる予定のDTコーリー・ウィリアムズをフランチャイズプレーヤーに指名した。1年契約で、今年の場合DTのフランチャイズ選手のサラリーは$6.363ミリオンとなる。ここまで長期契約の交渉で合意に至らず、今月末にFAとなれば他球団から高額オファーが予想されるため引き留めはほぼ不可能。高額FAに慎重なトンプソンGMの性向からして再契約はないものと見られていたが、後述のようなリスクを考えて安全策を取ったのかもしれない。
多少無理をしてDTウィリアムズを引き留めたのは、現在のDT陣の状況が影響したものと思われる。デプスはかなり充実しているとはいえ、インサイドからのパスラッシャーとして彼に勝る選手がいない。スターターに成長したDTジョニー・ジョリーは肩のケガの回復に夏ごろまでかかると予想され、期待はずれのルーキーシーズンを送った1巡指名DTジャスティン・ハレルが2年目に急成長してくれる保証はない。ディフェンスの好成績の原動力だったディフェンシブラインが戦力ダウンしてしまうリスクと、高額サラリーのリスクをはかりにかけ、今年はサラリーキャップに余裕があるので大丈夫と判断したのだろう。
今年のNFLではすでに11人もフランチャイズ指名されていて、例年よりもかなり多い(昨年7人、一昨年3人)。ここ数年のサラリーキャップ枠の急激な拡大により、キャップに余裕のある球団が多い、という事情もありそうだ。
フランチャイズ指名選手(用語集参照)は他球団からのオファーにサインすることができるが、パッカーズはその契約内容にマッチすることによって強制的に引き留めることができる。そうせずに移籍を許す場合、移籍先球団はパッカーズに1巡指名権を2つ譲渡しなければならない。DTウィリアムズにそのような代償を支払う球団があるはずはないので、事実上移籍はなくなったと言っていい。フランチャイズ指名で引き留めた上でトレードに出す手もなくはないが、今回は可能性は低いと見られている。
先日TEダラス・クラーク(IND)が、フランチャイズ指名のすぐ翌日に6年契約にサインしたように、いったんフランチャイズ指名で引き留めておいて長期契約交渉を続ける例も少なくない。しかし今回のDTウィリアムズの場合、実力証明済みの有力選手というわけではなく、むしろ長期契約で慢心してしまうリスクが懸念されているタイプなので、彼やジョリーやハレルの来季の働きを見てから、ということになるのではないか。
かねてからの噂どおり、TEババ・フランクスがパッカーズから解雇された。今年のベースサラリーが$3ミリオンのうえ3月に$50万ドルのロースターボーナスが設定されていたため、すでにスターターの座を失った彼の実力とは見合わないことがその理由。2005年に総額$28ミリオンの大型契約を結んで以来、ケガもあってパフォーマンスは下がる一方だった。
マイアミ大から2000年のドラフト1巡14位でパッカーズに入団したTEババ・フランクスは、プロ2年目に9TDを挙げてブレークし、3年連続でプロボウル出場。ブロッカーとしても着実に成長したが、レシーバーとしてフィールドをストレッチするスピードがなく、相手LBを振り切ることができなかった。最近はケガが増えてきたうえ、昨年はTEドナルド・リーがスターターとして立派な成績を残したため、2番手は安価な若手でよいと判断されたのだろう。
通算114試合に出場して256キャッチ1300yds。32TDレセプションは球団史上10位で、タイトエンドとしてはTEポール・コフマンに次いで球団史上2位。フランクスのキャリア最長のレシービングがわずか31ydsなのに対し、ドナルド・リーは昨年だけで40yds以上が3回もあった。フランクスは通算パスキャッチ256回のうち20yds以上が20回(7.8%)、リーは111回のうち16回(14.4%)。
フランクス解雇によってデッドマネー(用語集参照)が$1ミリオンほど発生するものの、$3.5ミリオンのサラリーがなくなるため、今年のサラリーキャップは$2.5ミリオン節約できたことになる。Journal Sentinel紙によると、前日の時点でパッカーズのサラリーキャップの空きは約$24ミリオン。それにTEフランクス解雇の分を足してDTウィリアムズの$6.363ミリオンを引くと、現時点で約$20ミリオンほど余裕が残っていることになる。
シーズン前半と後半でこれほど成績の変わることも珍しい。前半は1試合あたり72.1yds(NFL最下位)、平均3.3yds(30位)と不振を極めたラッシングオフェンスが、終わってみればNFL12位の4.1yds。ブロッキングがよくなったというより、やはりRBライアン・グラントの台頭のおかげだろう。
長年エースを務めたRBアーマン・グリーンとは再契約せず、3年目のRBヴァーナンド・モレンシーと2巡ルーキーのRBブランドン・ジャクソンに先発争いをさせる、というのが昨年春の状況だった。しかしトレーニングキャンプ初日でモレンシーがヒザを負傷、7巡ルーキーのRBデショーン・ウィンも太ももの負傷で3週間休み、ジャクソンも期待したような動きを見せてくれず、開幕直前にジャイアンツとのトレードでグラントを補強するハメになった。
開幕3試合先発したジャクソンが平均2.1ydsの大不振で先発降格されると、ウィンは平均4.1ydsとまずまずのプレーを見せたものの、トレーニング不足のせいかケガばかり。ついに第8週ブロンコス戦でグラントが104ydsの大活躍を見せ、そこからの快進撃は2007年NFLのシンデレラストーリーの1つだった。
一昨年のサムコン・ガドーとは違って、グラントなら来季も先発を任せられると見られている。シーズン前半には「来春はFAでRBマイケル・ターナー(SD)を獲るか1巡指名するか、とにかく大きな補強が必要」という評判だったが、今は「もう少し頼れる2番手が必要」といった論調がほとんど。ジャクソン、モレンシー、ヘロンはどれも3rdダウンバックのタイプで、グラントが何試合も欠場した場合に代役の務まるRBがいない。そこそこの実績あるFA選手を補強するか、ドラフトなら3巡以降か。
第8週以降、プレーオフを含めた12試合で1186yds(平均5.2yds)と目覚しい働きを見せ、RB陣の救世主となった。ビジョンが非常によく、ゾーンブロッキングのスキーム(決められた穴でなく自分で瞬時に選ぶ)に合っている。一瞬の加速が鋭く、第一線を突破したあとに効果的なカットバックを踏むのでロングゲインが多い。(プレーオフでは2回ファンブルしたものの)ボールセキュリティもまずまずで、走ることに関してはもう課題は多くない。
いっぽうパス攻撃では未熟な点が多く、パスキャッチは1回平均わずか4.1ydsで、スクリーンパスでの動きもよくない。ブロッキングが不安定なので、パスシチュエーションではまだ安心して使えない。本当のエヴリダウンバックに成長するために、そういった細かい部分を磨いていくことが今年の課題だろう。精神的にはしっかりしていて、天狗になるタイプではなさそうだ。
スターター候補と期待されて2巡指名入団し、昨夏はたっぷりプレー機会をもらったが、エースにふさわしい活躍を見せることができなかった。いったん3番手まで下がったものの、シーズン終盤には再び2番手に昇格し、最終戦で113ydsラッシングを記録するなどまずまずの形でシーズンを終えた。クイックネスに加え、時にはタックラーを引きずるような馬力も見せるが、なぜか穴に突っ込むときにスピードやトルクが下がってしまう。
課題のブロッキングは次第によくなりレシーバーとしてもなかなかいいが、先発RBとしてはやはり物足りない。小技を磨いて3rdダウンバックとして生きていく他ないかもしれない。
先発昇格の大チャンスだったが、キャンプ初日でヒザを負傷して回復に手間取り、若手3選手の後塵を拝する結果となった。先発出場はけっきょくゼロ。RB陣ではブロッキングが一番マシなので3rdダウンバックに定着し、グラントに並ぶ30キャッチを記録した。制限つきFAとして再契約する可能性は高いが、もう28歳なので伸びシロはほとんどなさそう。開幕ロースターに残るためには、若手との争いに勝つ必要がある。
7巡指名ルーキー。体作りに不熱心なせいかケガが多く、異例の長時間説教付きでかろうじて開幕ロースターに残ったが、それもRB陣の駒不足のためだった。不振のジャクソンに代わって4試合に先発し、232ポンドのガタイを活かしたパワフルな走りで、平均4.1ydsのまずまずの成績を挙げた。しかしグラントが台頭すると即インジャリーリザーブへ。長期欠場を要するようなケガではなかったはずなので、「今年はしっかり体を作れ」という意図かもしれない。
「才能はドラフト4巡だがハートはドラフト外」と地元メディアからは酷評されている。精神的に成長して今オフにしっかり頑張れば2番手争いに加われるかもしれないが、トレーニングキャンプ前に解雇されるかも、という噂もある。
プレシーズン最終戦でヒザを負傷してしまい、そこでシーズンエンド。内側側副靭帯(MCL)断裂と半月板損傷なので、すでに回復してオフシーズンプログラムにもバリバリ参加できるはず。スピードはあまりないがセンスが非常によく、コーチ陣から信頼されている。オールラウンドな能力のある3rdダウンバックで、2006年には29キャッチ211ydsを記録している。今年も3rdダウンバックとしてロースター入りを目指すことになりそう。
2006年は新人3人でシーズンを乗り切ったため昨年は両ガードのさらなる成長が期待されたが、特にランブロッキングに関しては完全に期待はずれ。シーズン後半にはRBグラントがロングゲインを連発したため平均ydsが大幅にアップしたものの、3rdダウン1などの場面で相手にランを読まれたら1stダウンを取ることができない。優勝を目指すためには、ここが最大の課題なのは間違いない。
いっぽうパスプロテクションは一昨年の24回(5回)から19回(3位)に向上。5メンプロテクションを多用しながらこの成績は立派だが、早いタイミングのショートパス主体の攻撃とQBファーヴの判断力によるところが大きい。ファーヴが退いてQBロジャースやQBノールが出場すると、わずかな時間で4サックを許している。
実績あるベテラン両タックルに加え、先発2年目のCウェルズは申し分なかったが、問題はやはりガード。特に左ガードは、このままダリン・カレッジやジュニアス・コストンの成長待ちでいいのかどうか。けっきょくプレーオフでの敗因もランブロッキングユニットの不振であり、FA補強をするのならここだろう。例年どおり今年も1人はOLをドラフト指名するはずで、上位指名の可能性も十分ある。
リーグ有数のパスラッシャーたちを相手に相変わらず安定したパスプロテクションを見せ、繰上げで念願のプロボウル初出場を果たした。しかし彼にとって決してベストシーズンだったわけではなく、プレッシャーを許した回数は前年の14回から20.5回に。ランプレーのバックサイドでのカットブロックは不安定なところがあるものの "Bad Run "の原因となった回数は減らすことができた。反則もわずか3回に大幅減。
ヒザの慢性的な腱炎を抱えて毎週水曜は練習を休むパターンだが、過去5年間で欠場は1試合だけ。31歳なのでそろそろ世代交代の準備を、という声も出てきているが、プロボウル級の左タックルの後継者が簡単に手に入れば苦労はない。
プロ8年間で6回目の全試合出場。シーズン後半は足首の捻挫のせいでパフォーマンスがややダウンしたものの、捻挫が治ったプレーオフではDEパトリック・カーニー(SEA)やDEマイケル・ストレイハン(NYG)を寄せ付けなかった。プレッシャーはOL陣最多の29.5回も許したが、逆にランブロックでは"Bad Run"が最少の7.5回。控えのトニー・モールやジュニアス・コストンとの実力差が縮まる気配は全くない。今年が契約最終年なので、開幕前に契約延長があるかもしれない。
先発昇格2年目はさらに成長を見せ、プレー内容が非常に安定している。オーバーパワーされることはあってもバランスを崩して抜かれることがなく、スクリメージでのアジャストメントを含め、頭脳的で効果的なプレーを見せる。プレッシャー回数はOL陣最少の8回だったが、"Bad Run" の原因になった回数では19.5回と最も多い。左右ガードがだらしないので損をしている面はある。
右ガードで7試合、センターで3試合、左ガードで2試合に先発出場した。期待ほどではないが一応の成長は見せ、被サックわずか0.5回の安定性を評価されて先発右ガードの座を確保した。プレッシャーは前年の19.5回から12回に減らし、 "Bad Run" も17.5回から12.5回と減らしている。タフで嫌らしいプレーができるタイプ。サイズもパワーも際立ったところがないため、一流選手になるにはセンターの方がよいのでは、という見方も依然としてある。
成長を期待された2年目だったが、完全に伸び悩んで(または退化)期待はずれのシーズンだった。馬力や瞬発力の不足は相変わらずで、テクニックが不安定でフットワークが雑になりがちのため、持ち前のアスレチック能力が活かせない。非常に出来の悪いゲームが6回あったようだ。先発と控えを行ったりきたりのシーズンとなり、コストンの戦線離脱がなければプレーオフでは先発の座を失っていた可能性が高い。
プロ3年目あたりで大きな成長を見せるパターンも多いが、もうガードとしては見切りをつけて補強すべき、との声も少なくない。立派なスターターに成長するのか、左タックルもこなせる器用な控え選手で終わるのか、今年が正念場になりそうだ。
5巡入団から3年目でようやく成長を見せ、左右ガードで計7試合に先発出場。レギュラーシーズン最終戦でふくらはぎを負傷し、プレーオフには出場できなかった。身体能力に恵まれ、アグレッシブなプレーも出るようになってきたが、まだ荒削りで不安定。わずか7試合で "Bad Run" が16.5回は多すぎる。シーズン途中までは左右両ガードで先発争いをしていたが、途中からはカレッジとの左ガード争いに焦点が絞られた。来季はカレッジよりも彼の方がスターターの座に近いかもしれない。
同期のダリン・カレッジに負けない伸び悩みっぷりで、RTタウシャーを追い上げることなど全くできなかった。キャンプで首を負傷して腕にしびれが残ったのが長引き、精神的にもかなり弱気になったらしい。CウェルズとRGコストンが欠場した中盤3試合に右ガードで先発出場。プレッシャー5.5回に加え "Bad Run" も5回あった。最も得意なのは右タックルだが、スターターの器ではない、という見方が強くなってきた。
ドラフト4巡入団1年目は未経験の左ガードで修業したが、わずかな出場機会で "Bad Run" を7.5回も献上している。オフェンス理解に手間取ったため先発起用は怖くてできなかったが、シーズン終盤にはカレッジやコストンとの差をかなり縮めたようで、来季は先発争いに加わる見込み。キャンプで見せたクイックネスやセンスのよさは高く評価されている。将来的に左タックルなのか左ガードなのかはまだはっきりしない。
2006年ラムズの7巡指名選手で、その年の開幕前に解雇されてパッカーズにやってきた。パワフルなドライブブロックはOL陣では一番だが、第2週に首の小さな骨を骨折してシーズン終了。その試合では、彼を右ガードに入れてコストンをエキストラTEに入れるショートヤーデージ用のヘビーなパッケージを試したところだった。手術を受けた首の状態しだいでは、キャリア終了の可能性もあるらしい。
無制限FA選手は昨日紹介したので、それ以外に契約問題を抱える5人の選手について今回は考えてみる。
今年はベースサラリーが$3ミリオンに跳ね上がるうえ、3月には$50万ドルのロースターボーナスが設定されているため、解雇の危機にある。ランブロッキングはTE陣で最もよいが、パス攻撃でフィールドをストレッチするスピードがまったくなく、ランアフターキャッチも期待できない。落球の多かった2006年のスランプからは脱して3TDを挙げたものの、もうスターター級のタイトエンドでないのは誰の目にも明らかだ。
TEドナルド・リーがエースTEとして一本立ちしたこともあり、フランクスが大きなサラリーカットを受け入れない限り、解雇は避けられないのではないかと見られている。
9.5サックを挙げたとはいえ、スターターでない選手に$6.15ミリオンものベースサラリーは高額すぎる、という見方も少なくない。しかしFA市場に出てしまえば有力パスラッシャーにはとんでもない値がつくもので、代わりになる若手DEがいないパッカーズとしてはあまり強気には出られないだろう。契約見直しをするかもしれないが、結局このサラリーのまま我慢するかもしれない。
体作りは万全のタイプでケガも非常に少なく、欠場は過去7年間で2試合のみ。30歳となったが、年齢的な衰えの心配はあまりしなくてよさそうだ。
先発争いを期待されたが、キャンプ序盤のヒザの負傷がシーズンまで悪影響を残し、わずか29回108yds(平均3.7)と期待はずれの成績に終わった。もうじき制限つきFAとなるが、最低額オファーをしておけば引き留められる。もともと3巡指名選手なので、わざわざ3巡指名権を出して横取りするチームが現れるわけはないからだ。ブロッキングを含めたパス攻撃ではそれなりに頼りになるので、RBジャクソンなど若手たちと2番手・3番手を争うことになりそう。
ジョリーにあっさりと追い抜かれ、ハレルも1巡指名入団したため、層の厚いDT陣の中で5番手に甘んじた。わずか7試合しかアクティブ登録されず、11月末に前腕を骨折してシーズンエンドとなってしまった。正式にはこれでNFL3年目終了だが、大学を出てもう5年になるので、もうあまり成長は期待できないかもしれない。モレンシーと同じく最低額オファーで1年契約し、ロースター枠ぎりぎりを争うか。
開幕直前にドラフト6巡指名権と交換でジャイアンツからトレードされ、第8週にスターター昇格してからは、プレーオフを含めた12試合で1189ydsラッシング(平均5.4)の大活躍をしてくれた。2005年にドラフト外入団して以来2年間は公式戦出場がなかったため、これでようやくNFL1年目終了。NFL3年未満で契約が切れた選手は Exclusive-Rights Free Agent (EFA)となるが、所属チームは最低額をオファーするだけで自動的に引き止めることができる。
安いサラリーでこき使えるEFA選手とはいえ、来季もエースRBを任せるつもりなら、$37万ドル(2年目選手の最低額)では気の毒すぎるし、代理人も話し合いを希望しているようだ。似たようなケースとしては、ドラフト外入団だったRBウィリー・パーカー(PIT)がNFL2年目を終えた2006年夏に総額$13.6ミリオンの4年契約を結んだ例がある。選手寿命の短いポジションだけに、FA市場の相場より多少安くても、大ケガをする前に何ミリオンかのボーナスを手に入れたいと思うのも無理からぬところ。
2005年の就任時にはWRジャヴォン・ウォーカーに対し強硬な態度を取って失敗したトンプソンGMだが、最近は(WRドライバーやCBハリスのように)給料以上の活躍をしている選手には比較的柔軟にサラリーアップで報いるようになってきている。もしRBグラントが長期にわたってスターターとして期待できると思えば大型契約の可能性もあるし、そうでなくてもそれなりの昇給はあるのではないか。
今年パッカーズから無制限フリーエージェントになる選手たちの状況を紹介。
2007年はDTジョリーと交互にスターターを務め、2年連続7サックを記録。パスラッシュだけでなくラン守備もよくなってきたが、ジョリーやコールの戦線離脱でローテーションが苦しくなると明らかにパフォーマンスが落ちた。やや精神面に甘さがあり、ビッグマネーを手にしたとたんに成績が下がるタイプに見えるので、かつてのDTクリディアス・ハントを連想してしまう。
その一方で、彼が抜けた場合にインサイドからのパスラッシュに不安があるのも事実。ピケット、ジョリー、ハレルの3人はどれもランスタッファーのタイプで、鋭くペネトレートしてのパスラッシュは得意でないからだ。球団側とウィリアムズ側はいちおう話し合いを続けているが、FA市場に出た場合にはかなりの高額オファーが来ることがほぼ確実で、FA解禁までに長期契約で合意に至る見込みは薄い。
残留の可能性があるとしたら、むしろフランチャイズ指名かもしれない。$6.363ミリオンのサラリーは相当な高額だが、フランチャイズ指名なら1年契約なので、今年のサラリーさえ我慢すれば長期的ななリスクは小さいからだ。今年のパッカーズのサラリーキャップ状況なら$6.363ミリオンでも吸収する余裕がある。フランチャイズ/トランジションプレーヤー指名の締め切りは2月21日。
控えLBとして先発陣を脅かす力はないが、スペシャルチームの中核としてはすでに十分な実績を残している。今季は足首の重い捻挫に苦しんだが、それでもスペシャルチーム2位の16タックルを挙げた。本人も残留を希望しており、今年もベテラン最低額の1年契約でロースター枠ぎりぎりを争うことになりそう。
ジャイアンツでは芽が出ず昨年春にパッカーズにFA移籍したものの、3番手どころか4番手も確保できず、トラモン・ウィリアムズやブラックモンの後塵を拝した。最も大事なNFC決勝で、ケガもしていないのにアクティブ登録を外れたのだから、それがコーチ陣の最終的な評価なのだろう。再契約するとしてもベテラン最低額クラスと思われる。
チーム最年長の39歳で、ロッカールームのリーダーの1人。若手選手たちのよき兄貴分で、すでに昨年から Director of player development のアシスタントを務めている。非常に安定したロングスナッパーとして長らく活躍を続けているが、今季は初めてタックルなしに終わった。今年もまた1年契約で残留の見込みだが、球団側は例年よりも高レベルの競争相手を用意してキャンプで競わせるかもしれない。
2002年ドラフト5巡指名でパッカーズに入り、2006年にビルズにFA移籍したものの出場機会は全くなく、昨年12月初めにグリーンベイに戻ってきた。ファーヴが早く退いた最終戦では3年ぶりのタッチダウンを挙げ、レーティング87.6とまずまずの働きだった。パッカーズでは先発争いどころか2番手争いもできそうにないため、本人は移籍を希望している。チーム側としても、ドラフト指名のルーキーを3番手QBに置きたいかも。
ババ・フランクスの負傷欠場により10月下旬にプラクティス・スクワッドから昇格、10試合に出場した。レシービングTEという評判だったが、ほとんどブロッカーとしてしか使われず、計2キャッチ11ydsのみ。2番手TEとしてはかなり物足りないものの、高額サラリーのフランクスが解雇されるかもしれないので、再契約の可能性はある。
カウボーイズ、テキサンズ、レッドスキンズを経て2006年11月にパッカーズに。OLすべてこなせる控えだが、今季は開幕直前にインジャリーリザーブに入ってシーズンを終えている。若手OLの人数が多いので、再契約はなさそう。
今年パッカーズからフリーエージェントになる選手は下表のとおり。用語集やオフシーズンの流れも参考のこと。
無制限フリーエージェント(UFA)とは、どことでも好きに契約できる通常のフリーエージェントのこと。いっぽう制限つきフリーエージェント(RFA)はNFL3年目を終えて契約が切れた選手で、制約があって移籍実現は難しく、所属チームの提示した1年契約にサインして残留し、翌年UFAとなるのが一般的なパターン。Exclusive-rights free agents (EFA)はNFL経験が3年に満たず契約が切れる選手のことで、ドラフト外入団(そのため長期契約していない)の選手がほとんど。球団側は最低額オファーをするだけで自動的に引き止めることができ、選手側としてはまだ年季奉公の期間中といった感じ。
今年のパッカーズは昨年よりもさらに有力UFA選手が少なく、先発クラスはDTコーリー・ウィリアムズだけ。金額的にも、DTウィリアムズを除けばベテラン最低額で確保できるような選手ばかりで、RFA選手にも高額オファーの必要な選手はいない。戦力をキープするだけなら、これ以上ないほど今年は恵まれているといってよさそうだ。個々の選手についてはまた次回。
Packers 2008 Unrestricted Free Agents | ||||
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Name | Pos | 種類 | Age | 備考 |
Craig Nall | QB | UFA | 28 | パッカーズでは2番手にさえなれないので先発争いできる球団を希望 |
Ryan Krause | TE | UFA | 26 | フランクスの代役として10試合に出場。レシービングTEとのふれこみだったが2キャッチ11ydsのみ |
Tyson Walter | OG | UFA | 29 | OLすべてこなせる便利な控えだが、成長の余地がなさそう |
Corey Williams | DT | UFA | 27 | ジョリーと交互に先発。過去2年で14サックに加えラン守備もよくなったが、高額で引き留める価値があるのかどうか |
Tracy White | LB | UFA | 26 | スペシャルチームの中核として来季もロースター枠ぎりぎりを争うのでは |
Frank Walker | CB | UFA | 26 | 昨年唯一のFA補強だったがけっきょく4番手にさえ入れず、移籍の方向 |
Rob Davis | LS | UFA | 39 | チーム最年長でロッカールームのリーダー。本人は現役でやる気だがチーム側は世代交代を望むかも |
Packers 2008 Restricted Free Agents | ||||
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Name | Pos | 種類 | Age | 備考 |
Vernand Morency | RB | RFA | 28 | ヒザのケガの影響で不本意なシーズン。残留しても若手と3rdダウンバックを争う程度か |
Colin Cole | DT | RFA | 27 | 地味だがラン守備に優れ、ローテーションの一角。ウィリアムズ移籍なら開幕ロースター入りのチャンス大きい |
Packers 2008 Exclusive-rights Free Agents | ||||
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Name | Pos | 種類 | Age | 備考 |
Ryan Grant | RB | EFA | 25 | 最低額は酷なので、なんらかの形で昇給が予想される |
John Kuhn | FB | EFA | 25 | 来季はホールと先発を争うか |
Ruvell Martin | WR | EFA | 25 | サイズを活かして優れたポゼッションレシーバーに成長しつつある |
Carlyle Holiday | WR | EFA | 26 | 3番手WR候補だったが開幕戦でヒザを負傷しシーズン終了 |
Tory Humphrey | TE | EFA | 25 | 3番手TE候補だったがキャンプ序盤で足首骨折しシーズン終了 |
Atari Bigby | S | EFA | 26 | RBグラントと同じくドラフト外入団3年目でついにスターター。不安定だがビッグプレー能力がある |
先日から噂されていたとおり、セインツのフットボール部門担当副社長だったラス・ボールがパッカーズの同じく副社長に就任することが決まった。アンドリュー・ブラントの後任として、トンプソンGMの下でサラリーキャップ管理や選手との交渉を担当することになる。ブラントが突然の退団だっただけに後任探しが心配されたが、わずか2週間ほどで経験な豊富な人物を確保できた。
ラス・ボール Russ Ball はミズーリ州出身の48歳。セントラル・ミズーリ大でセンターをプレーしたあと、卒業後はミズーリ大でトレーニングコーチを務めながら修士号を取得。1989年から8年間はチーフスのアシスタントトレーニングコーチ、その後フロントに入ってマーティ・ショッテンハイマーHCのアシスタントを2年務めた。1999年から2年間はヴァイキングス、2001年にはレッドスキンズに移ってフットボール管理部長。ショッテンハイマーHCが1年かぎりで辞任すると彼も退団してセインツに移り、2006年に副社長に昇格していた。
Journal Sentinel紙によると、セインツ側も熱心に引きとめたが、もともと中西部の出身ということもあり、安全な子育て環境も考えて移籍を選んだようだ。セインツのミッキー・ルーミスGMは声明の中で、「ラスにとっては昇進であり、スタッフのこのような機会にはサポートするのが我々の方針だ」と説明している。パッカーズのトンプソンGMは、「こちらは球団の構造が少し異なっている。ミッキーはGMであるだけでなく、契約交渉やサラリーキャップ管理の専門知識もある。こちらの球団では、交渉担当者の権限がより大きい」とのこと。セインツでは選手の代理人によって、ルーミスGMとボール副社長のどちらが交渉を担当するか使い分けていたらしい。
かつてセインツでヘッドコーチを務めていたジム・ハスレット(現ラムズDC)はラス・ボールについて、「彼はフットボール面も、コーチング面も、運営面も、ビジネス面もよく知っている。優れたフットボール・ガイだ。ぜひ言っておきたいが、あれ以上の人物は見つからないだろう。グリーンベイ・パッカーズにとって素晴らしい選択だ。彼らは正しい選択をした」と絶賛している。
4人の候補の中からラス・ボールを選んだ、とトンプソンGMは言う。「彼を知る人々から話を聞いたが、異口同音に彼を褒めていた。コーチングスタッフとの関係もいいし、人事部門でもうまくやっている。そういった人付き合いのうまさが気に入った。最終的には、私が直感で決めなければならなかった。理想的なやり方とは言えないだろうけどね。現時点では(新任の彼にとって)差し迫った仕事があるわけではない。しかしこれで、その仕事をよく知った人物がいてくれる、と安心感を持つことができる。彼ならウチにぴったりフィットすると思う」
42点取って試合に勝つことができ、見ていても楽しかった。ロースターには能力の高い選手ばかりだから、プレーコールを出すのも大変ではなかった。どちらを向いても魅力的な選手ばかりで、ランをしようと思えばとてもよい選択肢があるし、パスを投げようと思えばこれまたよい選択肢がある。ご覧のようにランニングバック(RBピーターソン)は見事な出来だった。
こちらのQB3人はどれもよい仕事をしたと思う。ティップされたのを含め2つINTがあったものの、本当によいプレーをしてくれた。QBジェフ・ガルシアは真のプロだ。身体的にはさほど恵まれてはいないが、仕事への取り組み方には感心させられた。日曜のプレー内容は非常によかったし、彼と話ができてよかった。
オフェンシブラインはプロテクションがよく、またヴァイキングスからの2人、LGスティーヴ・ハッチンソンとCマット・バークは、毎日のミーティングに必ず一番乗りする熱心さだった。やるべきことをしっかりこなすプロフェッショナルで、ミーティングでもフィールド上でも連携が取れていた。人間として立派で、彼らがあらゆる点でよい仕事をすることは驚くに値しない。
得点がよく入ったのは、私たちのプレーコーリングとは関係がない。あれだけ武器が豊富ならプレーコールも楽だ。どんなプレーを選んでもチャンスがある。我々NFCは一度しかパント隊形になることがなく、そのパントでもコーチ・ストック(マイク・ストックSTコーチ)が見事なフェイクでパスを成功させた。2つのターンオーバー以外では全ドライブでエンドゾーンまでボールを運ぶことができ、満足している。最後のTDドライブまではどちらに転ぶかわからない展開だったが、残り3分でダメ押しをすることができた。大きなドライブだった。
ウチの選手、LTチャド・クリフトンとWRドナルド・ドライバーもよくやった。チャドは慣れない右タックルをしなければならなかったが、よい右タックルであることがわかったので、今後からかうネタができたというものだ。第4Q終盤のドライバーのダイビングキャッチも素晴らしかった。いつでも頼りになる、安定感のあるプレーヤーだ。
家族は出発ぎりぎりまでたっぷりと楽しんだ。日曜夜に現地を出発する前にもノースショアに行ってサーフィンを見た。木曜にも行ったのだが、その時は波があまりなかったからだ。サーフィンする連中を見ながら海辺の素敵なレストランで夕食をとり、楽しい旅行を締めくくった。本当に素晴らしい家族旅行だった。
この年になると自分のベッドが恋しいもので、華氏0度(-18℃)以下のウィスコンシンに戻ってもさほどショックはない。いつになっても慣れることができないのは時差の方で、午前3時半か4時になっても寝付くことができない。たぶん子供たちにとっては、これから学校に行かなければならないという点でショックがあることだろう。
サラリーキャップ管理と選手交渉を担当していたアンドリュー・ブラント副社長の突然の退団により、後任探しが必要となった。FA期間のスタートに間に合うよう今月中に決定したい、というのがパッカーズ側の考え。Journal Sentinel紙によるとすでに数人と電話による話し合いをすませ、今週にはグリーンベイで面談を行う予定となっている。同紙によると、候補として判明しているのは以下の3人。どれも業界では高く評価されている人物らしい。
ブライアン・ザンダーズ(36歳)はファルコンズのフットボール管理部長兼選手人事アナリストという長い肩書きで、サラリーキャップ管理だけでなくFA選手のスカウティングにも関わっている。人事部門に加わるまでは5年間にわたってディフェンスのアシスタントコーチをしていた。フロリダ州立大ではミドルLBをプレー。
ラス・ボール(48歳)はセインツのフットボール部門担当副社長。1990年から8年間チーフスのアシスタントトレーニングコーチを務め、1998年からフロント入りした。1999年から2年間はヴァイキングス、2001年にはショッテンハイマーHCとの縁でレッドスキンズへ。2002年にセインツに加わった。パッカーズのマッカーシーHCとはチーフスとセインツで付き合いがあり、ジョン・シュナイダー人事アナリストもチーフスとレッドスキンズで同僚だった。ボールはディビジョンIIのセントラル・ミズーリ大でセンターをプレーしていた。
サミール・スレイマン(32歳)はラムズのフットボール管理部長。ディビジョンI-AAのジェームズ・マディソン大でWRをプレーしたあと、1997年にはNFL本部で働いた。ジャガーズでの2年間を経て2000年からラムズに所属している。
Journal Sentinel紙によると、選手交渉/サラリーキャップ担当者のサラリーは普通$20万ドルから$50万ドルの範囲で、退団したアンドリュー・ブラントはその中でも最高クラスの$50万ドルだったらしい。あるNFC球団の交渉担当によると、「リーグで5人選ぶなら、ブラントは間違いなくその中に入っていた。パッカーズがサラリー相場を崩すような(高額契約をしてしまう)ことは一度もなかった」
こちらの天候は本当に素晴らしい。木曜に我々はドール・プランテーション(パイナップルなど果物で有名なDoleの農場)に出かけたり、ノースショアにサーフィンを見に行ったりした。今日はこれからシュノーケリングだ。ここの海岸から30分ぐらい沖に行ったところで、この島で最高の場所らしい。
子供たちは昨日はヴァイキングスのCマット・バークと釣りに出かけた。バークは10年前にハーヴァード大で私の教え子だったからだ。夕食のために釣果を持って帰ってくれて、シェフに料理してもらって食べることができた。マグロを17匹とマヒマヒをいくつか。
ホテルは美しいラグーンにあり、我々の多くはこの周辺で過ごしている。DEアーロン・キャンプマンは奥さんと子供たちとご両親を連れてきているし、CBアル・ハリスはビーチに出ている。LTチャド・クリフトンやWRドナルド・ドライバーもいる。ホテル周辺のビーチやプールサイドでのんびりしたり、ここを離れて観光したり、みな両方のバランスを工夫している。
火曜の夜には大きなディナーがあって、家族を連れてパッカーズ関係者全員が集まった。水曜夜には、NFL主催によるルアウ(ハワイ式宴会)もあった。私は部族風の即席タトゥーを入れてもらったり、やりを投げたりもして、本当に楽しい時を過ごした。今日のシュノーケリングがおそらく最後の遠出になるだろう。土曜にはホノルルのダウンタウンで買い物をするかもしれないが、子供たちはあまり喜ばないかもしれない。
練習はてきぱきと能率的に行われている。我々は短い期間にたくさんの仕事をこなし、選手たちもスキームを非常によく理解しているようだ。他チームの選手たちがどのように仕事をするのか見るのも、私にとっては興味深い。ミネソタのOGスティーヴ・ハッチンソンやCマット・バークとは、ラインマンのテクニックについて話し合った。QBたちとは、違ったフォーメーションでの違ったプレーについて話し合っている。QBトニー・ロモからは質問があるはずだし、QBマット・ハッセルベックも、かつてグリーンベイにいた頃と比べてオフェンスがどのように変化したか興味があるようだ。我々が彼らの知恵を借りることもあるし、よいギブアンドテイクといったところだ。
オフェンスには武器が豊富だから、しっかりボールを進めて得点を挙げなければならない。素晴らしい選手たちが揃っているので、全員がプレーに絡むことができるようにしたいと思っている。みなが素晴らしいプレーメーカーなのだから、彼ら全員の手にボールが渡るようにしなければ。全員がチームに貢献できるようにして、日曜には勝利を手に入れたいものだ。
YouTubeから、ブレット・ファーヴ時代の始まった1992年のテレビ映像を4つ紹介。画質が悪いのはご容赦を。
映像1 パッカーズに移籍して初めて出場した1992年9月13日の@バッカニアーズ戦を振り返る、グリーンベイ地元番組"Packer Sunday"の"Ask the Pack"コーナー。今でもラジオ解説や地元番組の司会でおなじみの元センター、ラリー・マッカレンがインタビュアーを務め、控えでいることの大変さをファーヴが語っている。テスタバーディ率いるバッカニアーズに大量リードされたので敗戦処理で出場、NFL初めてのパス成功の相手が自分だったのは有名なトリヴィアだ。
映像2 1992年9月20日のベンガルズ戦で、負傷退場のQBマコウスキーに代わってファーヴが途中出場し、劇的な逆転TDで初勝利を挙げた。この映像は試合残り1分07分(タイムアウトなし)から始まった決勝ドライブ。キックオフリターナーを務めた新人WRロバート・ブルックスのポカで、自陣8ydsからの攻撃開始だった。素晴らしい42ydsキャッチを見せたエースWRスターリング・シャープがわき腹を痛めて退場した直後、矢のような35ydsTDパスが飛び出した。
この日がファーヴ伝説のスタートであり、マイク・ホルムグレンHCの初勝利でもある。パッカーズ史にとってまさに運命の試合で、ファンにとってはもはや神話の一部といっていい。歓喜に沸くランボーフィールドのボックス席から見下ろすロン・ウルフGMの姿も見える。逆転35ydsTDパスをキャッチしたWRキトリック・テイラーにとって、NFL6年間でこれが唯一のタッチダウンだった(2005年10月の記事参照)。
映像3 そのベンガルズ戦終了直後のスタジオ解説で、司会ボブ・コスタス、解説はあのO.J.シンプソン!でゲストがバディ・ライアン。フィールドに残ってインタビューを受けるファーヴだが、今よりも南部訛りが強い。バディ・ライアンは(ベンガルズ側の敗因となった)プリベント・ディフェンスが大嫌いだと語り、ボブ・コスタスはFAVREの発音を説明。O.J.シンプソンは高校時代にQBマイク・ホルムグレンと対戦したことがある、と意外なエピソードを披露し、ヘッドコーチ就任初勝利を祝福している。
映像4 さらにその翌週の1992年9月27日、ファーヴが初先発してスティーラーズを破った試合のハイライトを紹介する"NFL Primetime"。司会はクリス・バーマンで解説トム・ジャクソン。激怒したり大喜びしたりしているホルムグレンの体つきがずいぶん細い。スティーラーズの名CBロッド・ウッドソンが、パントリターンとパスカバレッジの両方で手痛いミスをしたようだ。「マコウスキーが欠場中ですが、よいQBが2人になりましたね」とバーマンがまとめているが、この試合からこんにちに至るまで、253試合連続でファーヴが先発出場を続けているのはご存知のとおり。
今年のプロボウルではパッカーズのコーチ陣がNFCチームを指揮することになり、ジョー・フィルビンOCがパッカーズ公式サイトにプロボウルウィークの手記を書いている。
ここハワイに来るまで長い道のりだった。土曜の朝5時に車でグリーンベイからシカゴに向かい、シカゴを飛び立って午後2時ごろL.A.に着いた。4時発のはずがメカニカル・トラブルかなにかでけっきょく8時ごろ出発。ハワイの空港に着いたのが深夜1時ごろだったと思う。長い1日だったが、その甲斐はあった。妻と、6人の子供のうち5人(17歳から6歳まで)を連れた大行列で、誰ひとり欠けることなく到着できたのだから。
日曜はちょっとした観光に出かけた。オアフ島のランドマークであるダイヤモンドヘッド。クレーターの頂上まではちょっとした登山だったが、島ぜんたいが見渡せて、とても楽しかった。
スーパーボウルを全部見ることはなく、ハイライトで何度か見ただけだ。スーパースターが多くはないジャイアンツが、互いを信じて必死で戦って大きなことを成し遂げた、素晴らしい手本を示したと思う。スポーツの世界では、こういったチームの物語を読みたいものだ。優勝チームからプロボウルに1人(DEユメニオーラ)しか来ていないという事実が、かえってあのチームの優れた特徴を示している。
月曜にはパールハーバーに出かけて戦艦アリゾナ(真珠湾攻撃で沈んだ大型艦)を見た。第二次大戦の最後に降伏調印式の行われた戦艦ミズーリや、潜水艦も見ることができた。大きな意味のある場所だし、とても楽しかった。パールハーバー見学は子供たちにとっては少し長すぎたようだが、初日のダイヤモンドヘッドなどはとても気に入ったようだ。他のコーチングスタッフの子供たちと知り合いになって一緒に遊ぶようになり、楽しく過ごしている。まあ学校がないというだけで十分楽しいのかもしれないが。
火曜には初めての練習が行われた。選手全員と話ができたかどうか、とにかく歩き回ってたくさん握手をした。多くの選手とは初対面だったが、とてもよい男たちのようだ。日曜の試合で行うオフェンスについて、選手たちには早いペースで慣れさせなければならない。
この日はノーマルなダウン&ディスタンスをたくさんやった。我々のベースになるオフェンスだ。ゲームプランに関してはかなりボリュームを減らし、できうる限り短い時間で行ったが、初日としてはよい内容だったと思う。実際に相手ディフェンスを置いての練習もできた。選手たちは、どのようにラインアップしてどのようにプレーがコールされるかを学ばなければならないし、我々は全員の呼吸が合うよう努力しているところだ。
ハワイに来る時間がまちまちだったので、他のコーチや選手たちと一緒に過ごす時間はまだあまりない。まだ本当のビーチ・ウェザーではないけれど、だんだん日が照って雲が消え始めたので、もうじきみなでプールサイドに出るチャンスもあるだろう。
今週は短い期間でチームを進歩させるのがとても楽しみだ。みな極めて才能ゆたかな選手たちだ。彼らとともに仕事をして、あと4回の練習でどこまでやれるか見るのは楽しみだし、日曜によいゲームができるよう準備したいと思っている。彼らとフィールドで、そしてフィールド外で知り合えるのも、きっと楽しいに違いない。
なおマッカーシーHCによると、普段と違ってプレーコールはフィルビンOCに任せるとのこと。プレーブックの編纂やゲームプランの作成もフィルビンOCとクレメンツQBコーチなどアシスタントコーチたちに任せたが、出来上がったプレーブックの分量の多さを見て仰天した、とマッカーシーHCは笑っている。
マイク・マッカーシーHCがパッカーズとの契約延長に正式にサインした。先月から報じられていたとおり、2012年までの5年契約で1年あたり約$4ミリオン。これまでの$2ミリオンからは倍増となる。最近はヘッドコーチの相場が急上昇しているため、これは球団史上最高額だ。マイク・シャーマンの最終年(2005)が$3.2ミリオン、マイク・ホルムグレンの最終年(1998)は$2ミリオンだった。現役HC(平均$3.4ミリオン)の中では、8番目から12番目の間になるらしい。
マーク・マーフィ新社長。「彼をしっかり確保しておきたい、というのが我々の考えだった。彼に対する選手たちの尊敬の念の強さは、まさに歴然としている。わずかの期間に、彼はこのチームを将来に向けて非常によいポジションに持ってきてくれた。テッド(トンプソンGM)と彼は、とてもよい関係を保って仕事をしている。チームの将来について自信を持たせてくれる」
マッカーシーHCはプロボウルのためハワイ滞在中なので、パッカーズの記者団とは電話会議を使っての記者会見。「パッカーズの将来の一部となれることを心から喜んでいる。5年契約というのは、チームが現在向かっている方向についての信頼の表れだと私は思っている。我々は2シーズンの間に多くの目標を達成することができたが、まだやるべきことはたくさん残っている」
代理人を使わず、弁護士である兄弟の助けを得ながら自分で交渉にあたったことについて。「ここがグリーンベイ・パッカーズだから、自分で交渉をする方が安心できると感じていた。ファンが所有する球団で、ブルーカラー的メンタリティがある。だから私もブルーカラー的アプローチをとりたかった。代理人のプロセスが嫌だったのは、時として交渉が長引いたときに余計なことが起きてしまうからだ。契約内容については、すでに共通の理解が出来上がっていたし」
将来GMを兼任したくなることはないのか? 「現時点でそういった欲求はない。チーム構造や役割分担は、その事業が成功するために非常に重要なものだからね。テッドと私の相性のよさやチーム運営の仕組みは、極めてヘルシーなものだと思っている。長期にわたって自分はその一部であり続けたい」
ほとんどのNFL球団に牧師が1人はいて、選手や球団をサポートしている。パッカーズの場合、プロテスタントの牧師とカトリックの神父が1人ずつ付いている。
ジェームズ・バラニアク(41歳)はセント・ノーバート大学の教会で神父を務め、パッカーズの他に地元の刑務所でも受刑者のために仕事をしている。彼によると、チームの勝利のために祈るものではなく、「神はどちらか一方の味方をするものではないと思います」と神父は言う。
いっぽうプロテスタント側としては、グリーンベイ・コミュニティ・チャーチのジョー・アーカヴィッチ牧師(59歳)がパッカーズに来ていて、勝利についての考え方がカトリック側とは多少違っている。「勝利のために祈るのはべつに悪いことではありません。しかしチーム付きの牧師として、私はもっと大きな問題に取り組んでいます」
ある調査によると、全NFL選手の87%をプロテスタント諸派が占めていて、それはパッカーズ選手もほぼ同じはず。しかしグリーンベイがユニークなのは、街の人口の71.5%をカトリックが占め、プロテスタントが少数派であること。プロテスタントが圧倒的多数を占めてきた合衆国だが、グリーンベイはその逆なのだ。
アイルランド系のマイク・マッカーシーHCは熱心なカトリックで、前任者のマイク・シャーマン(ドイツ系)もカトリック。イタリア系のヴィンス・ロンバルディはバリバリのカトリックとして有名だった。初代カーリー・ランボーはベルギー系なので、はっきりはしないがこちらもカトリックの可能性が高い。マイク・ホルムグレンはプロテスタント(福音派の1つ Evangelical Covenant Church)らしい。ヘッドコーチ選びの材料にされているとは思えないが、パッカーズで通算成績が勝ち越しているヘッドコーチ5人のうち4人がカトリックというのは興味深い。
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カトリックのバラニアク神父は、各ホームゲームの4時間半前にランボーフィールドのディフェンスの大教室で、30分ほどのミサを行っている。QBファーヴとTEリーなど数人のカトリックの選手とコーチ、そしてパッカーズ役員の大部分が出席し、参列者は25人ほどになる。バラニアク神父はアウェーゲームでも試合当日にホテルでミサを行い、40人ほどが出席する。ふだんは選手たちのカウンセリングもしていて、カトリックでない選手の相談に乗ることも珍しくない。(ブログも運営)
プロテスタントのアーカヴィッチ牧師はホームゲームの前夜に礼拝を行っていて、選手十数人を含め、出席者は25人から30人ほど。外部から人を招いて講演をしてもらうこともある。アーカヴィッチ牧師自身は多忙のため遠征には帯同しないが、別の牧師をアレンジして遠征先で礼拝を行っている。選手やコーチのための聖書勉強会も行っていて、カトリックを含め、毎回熱心に出席する選手・コーチが十数人いるという。
かつてヴィンス・ロンバルディHCはポケットにしのばせたロザリオを指で触るのが癖で、グリーンベイのダウンタウンにある聖ウィルブロード教会のミサに毎朝通っていた。セント・ノーバート大(パッカーズのキャンプの宿泊所でもある)に立ち寄って神父たちと話をすることもしばしばだったという。マッカーシーHCもオフシーズンには同大を訪れて日曜のミサに参列したり、神父や学生たちと話をすることが多いとバラニアク神父は言う。(同大との50年の付き合いについての記事)
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聖職者でさえナーバスになっていたプレーオフのシーホークス戦当日、マイク・マッカーシーHCがミサに顔を出して、普段と同じようにおしゃべりをしていた様子にバラニアク神父は驚いたという。「なぜ彼はあのようにできるのか。私はこれまでパッカーズのあらゆる場面を見てきましたが、彼は自分自身が平静だっただけでなく、チーム全体を驚くほど平静に保っていた」
アーカヴィッチ牧師もマッカーシーHCを絶賛している。「マイクはほんとうに素晴らしい。彼は(うわついたところのない)ほんものの人間で、私はそこに惚れ込んでいるのです。彼が選手たちを心から大事に思い、彼らの幸せを願っていることを、みながよくわかっている。ヘッドコーチとしては若いのに、そういった雰囲気を作り出していることに驚かされる」
かれら聖職者たちは、選手に頼まれて結婚式や洗礼式をとりおこなうこともある。選手から相談を受けるのは、解雇されることの恐怖、実際に解雇されてしまった場合の精神面のケア。貧しい地区で生まれ育っていまは裕福になった自分が、危険を避けつつどのように旧友と付き合うか。
若く裕福でスポットライトのあたる生活ではあっても、本質的な問題は一般人となんら変わるところはないとバラニアク神父は言う。「あの年代の若者たちが直面する問題と共通していると言えるでしょう。妻やフィアンセとどのようにやっていくか。そして親や兄弟の死・・・。あれほどお金があれば悩みとは無縁だろう、と普通の人々は思ってしまいがちですが、決してそうではないのです」
今回は主にディフェンスとスペシャルチームに関するスタッツ集。
地元紙の調べによるさまざまなスタッツ集。今回は主にオフェンスについて。Journal Sentinel紙の記事はプレーオフを含めた18試合が対象だったので少々わかりにくいが、特に明記しない限りはレギュラーシーズンのみの数字。
QBブレット・ファーヴがスーパーボウル・ウィークのフェニックスを訪れて"FedEx air player of the year"の表彰を受け、引退問題についても話をした。「まだ決めてはいない。試合が終わってまだ1週間ちょっとしかたっていないし、あと2、3週ほど時間をかけるつもりだ。コーチングスタッフは来週プロボウルに行くから、それが終わって帰ってきたら、またマイク(マッカーシーHC)と話し合う」
「先日のゲーム(NFC決勝)の結果がこの決断に影響を与えることはない。どちらに決めるにせよ、たった1試合のことで決めてしまうつもりはない。それよりも問題は、もう一度シーズンの道のりを繰り返し、さまざまなアップダウンを経験する覚悟ができているかということなんだ。4勝0敗のスタートが切れたら? それはすごい。じゃあ0勝4敗だったら?そのとき自分はどう反応する? あのように時間をかけてオフシーズンの準備を自分はしたいのか? 判断材料になるのは、何よりもそういった事柄だ」
「ほんとうは、ミシシッピの自宅で家族とリラックスするより、今週はスーパーボウルの準備をしていたかった。しかし現実はこのとおりだ。選手としてここに来られたらよかったけど、世界の終わりってわけじゃない」
恩師スティーヴ・マリウッチを含めた解説陣からのインタビューに答えるファーヴの映像はこちら。1991年にファルコンズでチームメイトだった元CBディオン・サンダースとの昔話にも花が咲いている。
いっぽう、マイク・マッカーシーHCもNFL.comのファン投票でMotorola Coach of the Yearに選ばれたため、スーパーボウルウィークの表彰式に出席している。(インタビュー映像)