グリーンベイ・パッカーズ ニュース

2008年2月 6日

グリーンベイ・パッカーズと信仰

ほとんどのNFL球団に牧師が1人はいて、選手や球団をサポートしている。パッカーズの場合、プロテスタントの牧師とカトリックの神父が1人ずつ付いている。

ジェームズ・バラニアク(41歳)はセント・ノーバート大学の教会で神父を務め、パッカーズの他に地元の刑務所でも受刑者のために仕事をしている。彼によると、チームの勝利のために祈るものではなく、「神はどちらか一方の味方をするものではないと思います」と神父は言う。

いっぽうプロテスタント側としては、グリーンベイ・コミュニティ・チャーチのジョー・アーカヴィッチ牧師(59歳)がパッカーズに来ていて、勝利についての考え方がカトリック側とは多少違っている。「勝利のために祈るのはべつに悪いことではありません。しかしチーム付きの牧師として、私はもっと大きな問題に取り組んでいます」

ある調査によると、全NFL選手の87%をプロテスタント諸派が占めていて、それはパッカーズ選手もほぼ同じはず。しかしグリーンベイがユニークなのは、街の人口の71.5%をカトリックが占め、プロテスタントが少数派であること。プロテスタントが圧倒的多数を占めてきた合衆国だが、グリーンベイはその逆なのだ。

アイルランド系のマイク・マッカーシーHCは熱心なカトリックで、前任者のマイク・シャーマン(ドイツ系)もカトリック。イタリア系のヴィンス・ロンバルディはバリバリのカトリックとして有名だった。初代カーリー・ランボーはベルギー系なので、はっきりはしないがこちらもカトリックの可能性が高い。マイク・ホルムグレンはプロテスタント(福音派の1つ Evangelical Covenant Church)らしい。ヘッドコーチ選びの材料にされているとは思えないが、パッカーズで通算成績が勝ち越しているヘッドコーチ5人のうち4人がカトリックというのは興味深い。

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カトリックのバラニアク神父は、各ホームゲームの4時間半前にランボーフィールドのディフェンスの大教室で、30分ほどのミサを行っている。QBファーヴとTEリーなど数人のカトリックの選手とコーチ、そしてパッカーズ役員の大部分が出席し、参列者は25人ほどになる。バラニアク神父はアウェーゲームでも試合当日にホテルでミサを行い、40人ほどが出席する。ふだんは選手たちのカウンセリングもしていて、カトリックでない選手の相談に乗ることも珍しくない。(ブログも運営)

プロテスタントのアーカヴィッチ牧師はホームゲームの前夜に礼拝を行っていて、選手十数人を含め、出席者は25人から30人ほど。外部から人を招いて講演をしてもらうこともある。アーカヴィッチ牧師自身は多忙のため遠征には帯同しないが、別の牧師をアレンジして遠征先で礼拝を行っている。選手やコーチのための聖書勉強会も行っていて、カトリックを含め、毎回熱心に出席する選手・コーチが十数人いるという。

かつてヴィンス・ロンバルディHCはポケットにしのばせたロザリオを指で触るのが癖で、グリーンベイのダウンタウンにある聖ウィルブロード教会のミサに毎朝通っていた。セント・ノーバート大(パッカーズのキャンプの宿泊所でもある)に立ち寄って神父たちと話をすることもしばしばだったという。マッカーシーHCもオフシーズンには同大を訪れて日曜のミサに参列したり、神父や学生たちと話をすることが多いとバラニアク神父は言う。(同大との50年の付き合いについての記事

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聖職者でさえナーバスになっていたプレーオフのシーホークス戦当日、マイク・マッカーシーHCがミサに顔を出して、普段と同じようにおしゃべりをしていた様子にバラニアク神父は驚いたという。「なぜ彼はあのようにできるのか。私はこれまでパッカーズのあらゆる場面を見てきましたが、彼は自分自身が平静だっただけでなく、チーム全体を驚くほど平静に保っていた」

アーカヴィッチ牧師もマッカーシーHCを絶賛している。「マイクはほんとうに素晴らしい。彼は(うわついたところのない)ほんものの人間で、私はそこに惚れ込んでいるのです。彼が選手たちを心から大事に思い、彼らの幸せを願っていることを、みながよくわかっている。ヘッドコーチとしては若いのに、そういった雰囲気を作り出していることに驚かされる」

かれら聖職者たちは、選手に頼まれて結婚式や洗礼式をとりおこなうこともある。選手から相談を受けるのは、解雇されることの恐怖、実際に解雇されてしまった場合の精神面のケア。貧しい地区で生まれ育っていまは裕福になった自分が、危険を避けつつどのように旧友と付き合うか。

若く裕福でスポットライトのあたる生活ではあっても、本質的な問題は一般人となんら変わるところはないとバラニアク神父は言う。「あの年代の若者たちが直面する問題と共通していると言えるでしょう。妻やフィアンセとどのようにやっていくか。そして親や兄弟の死・・・。あれほどお金があれば悩みとは無縁だろう、と普通の人々は思ってしまいがちですが、決してそうではないのです」

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