グリーンベイ・パッカーズ ニュース

2008年2月21日

シーズン総括と展望 RB編

シーズン前半と後半でこれほど成績の変わることも珍しい。前半は1試合あたり72.1yds(NFL最下位)、平均3.3yds(30位)と不振を極めたラッシングオフェンスが、終わってみればNFL12位の4.1yds。ブロッキングがよくなったというより、やはりRBライアン・グラントの台頭のおかげだろう。

長年エースを務めたRBアーマン・グリーンとは再契約せず、3年目のRBヴァーナンド・モレンシーと2巡ルーキーのRBブランドン・ジャクソンに先発争いをさせる、というのが昨年春の状況だった。しかしトレーニングキャンプ初日でモレンシーがヒザを負傷、7巡ルーキーのRBデショーン・ウィンも太ももの負傷で3週間休み、ジャクソンも期待したような動きを見せてくれず、開幕直前にジャイアンツとのトレードでグラントを補強するハメになった。

開幕3試合先発したジャクソンが平均2.1ydsの大不振で先発降格されると、ウィンは平均4.1ydsとまずまずのプレーを見せたものの、トレーニング不足のせいかケガばかり。ついに第8週ブロンコス戦でグラントが104ydsの大活躍を見せ、そこからの快進撃は2007年NFLのシンデレラストーリーの1つだった。

一昨年のサムコン・ガドーとは違って、グラントなら来季も先発を任せられると見られている。シーズン前半には「来春はFAでRBマイケル・ターナー(SD)を獲るか1巡指名するか、とにかく大きな補強が必要」という評判だったが、今は「もう少し頼れる2番手が必要」といった論調がほとんど。ジャクソン、モレンシー、ヘロンはどれも3rdダウンバックのタイプで、グラントが何試合も欠場した場合に代役の務まるRBがいない。そこそこの実績あるFA選手を補強するか、ドラフトなら3巡以降か。

ライアン・グラント Ryan Grant

第8週以降、プレーオフを含めた12試合で1186yds(平均5.2yds)と目覚しい働きを見せ、RB陣の救世主となった。ビジョンが非常によく、ゾーンブロッキングのスキーム(決められた穴でなく自分で瞬時に選ぶ)に合っている。一瞬の加速が鋭く、第一線を突破したあとに効果的なカットバックを踏むのでロングゲインが多い。(プレーオフでは2回ファンブルしたものの)ボールセキュリティもまずまずで、走ることに関してはもう課題は多くない。

いっぽうパス攻撃では未熟な点が多く、パスキャッチは1回平均わずか4.1ydsで、スクリーンパスでの動きもよくない。ブロッキングが不安定なので、パスシチュエーションではまだ安心して使えない。本当のエヴリダウンバックに成長するために、そういった細かい部分を磨いていくことが今年の課題だろう。精神的にはしっかりしていて、天狗になるタイプではなさそうだ。

ブランドン・ジャクソン Brandon Jackson

スターター候補と期待されて2巡指名入団し、昨夏はたっぷりプレー機会をもらったが、エースにふさわしい活躍を見せることができなかった。いったん3番手まで下がったものの、シーズン終盤には再び2番手に昇格し、最終戦で113ydsラッシングを記録するなどまずまずの形でシーズンを終えた。クイックネスに加え、時にはタックラーを引きずるような馬力も見せるが、なぜか穴に突っ込むときにスピードやトルクが下がってしまう。

課題のブロッキングは次第によくなりレシーバーとしてもなかなかいいが、先発RBとしてはやはり物足りない。小技を磨いて3rdダウンバックとして生きていく他ないかもしれない。

ヴァーナンド・モレンシー Vernand Morency

先発昇格の大チャンスだったが、キャンプ初日でヒザを負傷して回復に手間取り、若手3選手の後塵を拝する結果となった。先発出場はけっきょくゼロ。RB陣ではブロッキングが一番マシなので3rdダウンバックに定着し、グラントに並ぶ30キャッチを記録した。制限つきFAとして再契約する可能性は高いが、もう28歳なので伸びシロはほとんどなさそう。開幕ロースターに残るためには、若手との争いに勝つ必要がある。

デショーン・ウィン DeShawn Wynn

7巡指名ルーキー。体作りに不熱心なせいかケガが多く、異例の長時間説教付きでかろうじて開幕ロースターに残ったが、それもRB陣の駒不足のためだった。不振のジャクソンに代わって4試合に先発し、232ポンドのガタイを活かしたパワフルな走りで、平均4.1ydsのまずまずの成績を挙げた。しかしグラントが台頭すると即インジャリーリザーブへ。長期欠場を要するようなケガではなかったはずなので、「今年はしっかり体を作れ」という意図かもしれない。

「才能はドラフト4巡だがハートはドラフト外」と地元メディアからは酷評されている。精神的に成長して今オフにしっかり頑張れば2番手争いに加われるかもしれないが、トレーニングキャンプ前に解雇されるかも、という噂もある。

ノア・ヘロン Noah Herron

プレシーズン最終戦でヒザを負傷してしまい、そこでシーズンエンド。内側側副靭帯(MCL)断裂と半月板損傷なので、すでに回復してオフシーズンプログラムにもバリバリ参加できるはず。スピードはあまりないがセンスが非常によく、コーチ陣から信頼されている。オールラウンドな能力のある3rdダウンバックで、2006年には29キャッチ211ydsを記録している。今年も3rdダウンバックとしてロースター入りを目指すことになりそう。

カテゴリ : Player