パッカーズはオーストラリア人パンター、ネイサン・チャップマン(28歳)と契約した。名パンターのダレン・ベネットと同じく、オーストラリアン・フットボール・リーグ(以下AFL)の出身だ。チャップマンは、1992年のドラフトでAFLブリスベンに全体2位で指名された期待の若手選手だった。しかしケガに苦しんだ彼は2000年にAFLを引退し、NFLを目指しつつ、オーストラリアのアメリカンフットボールチームでプレーしていた。昨年はクイーンズランド・レイヴンズでパントとキックオフを担当していた。
チャップマンがかつて所属したAFLホーソーン・ホークスが、昨年12月にランボーフィールドを訪れたことがあった。その時にホーソーンのコーチのピーター・シュワブがパッカーズのスカウト部長ジョン・ドーシーらと会談したことがニュースで放送され、それを見たチャップマンが、昨年5月にRay Guy kicking campに参加した時のビデオを編集してパッカーズに送り、自分を売りこんだ。そして先週グリーンベイに呼ばれてワークアウトを行い、契約に至ったのだという。
球団史上、オーストラリア人選手はチャップマンが初めて。
DTラリー・スミス(29歳)と再契約。DTハントの控えに加えて、パワーDEとノーズタックルもこなせる貴重な控え選手だ。パスシチュエーションでインサイドからラッシュするのが昨季の主な役割だった。1999年のドラフト2巡でジャガーズ入りしたDTスミスだが、チームメイトや首脳陣とトラブルを繰り返し、昨夏に解雇。8月半ばにパッカーズと契約し、開幕前にいったん解雇されたが、10月上旬に再契約して10試合に出場している。
昨季までパッカーズのRBコーチを務めたシルヴェスター・クルームは、ミシシッピ州立大のヘッドコーチに就任し、忙しい毎日を過ごしている。グリーンベイで過ごした3年間は今の仕事への準備だったのだと、今になって思うのだと彼は言う。「全てのことは、人生の次のステップへの準備なのだと私は信じている。グリーンベイでコーチすることで、NFLでありながら、カレッジに近い雰囲気を経験することができた」
「グリーンベイでの練習初日のことだ。今でも信じられないのだが・・・。選手やコーチが道路を渡って練習フィールドに向かうとき、私は"自分のことなど誰も知るはずがない"と思っていた。すると突然、ファンたちが近寄ってきて、"コーチ・クルーム、グリーンベイに来てくれて感謝してます。ライオンズからここに来てくれてありがとう"と言ってくれたんだ。まだシーズン前の、練習初日だというのに! グリーンベイでの初日だけで、ライオンズでの5年間よりも多く認められた気がしたよ」
「それに、彼らファンたちが批判するのは、選手やコーチを気にかけていることの表れなのだ。本当の家族のようなものだ。グリーンベイでの3年間は、私のコーチ人生で最高の3年間だったのは間違いない」
優秀なRBニック・ターナーを退部させるなど、まずは規律面からチームの立て直しを始めたクルーム新HC。もう一つの柱は、「基本に忠実に、細部に気を配れ」ということ。「相手チームに、タレントや頭脳で負けるのならあきらめもつく。しかしこちらがコントロールできるはずの部分をしくじって負けたくはない」とクルーム。昨年のRBアーマン・グリーンのファンブル問題で学んだことなのだという。シーズン前半はRBグリーンのファンブルでいくつも試合を落としたが、中盤以降は大幅に改善された。
「なぜもっと早く対策を立てなかったのかと、自分に腹が立ったよ。アーマンが倒れこむ時に脇が開くことに、私は気が付いたのだ。だから、$3ミリオンも稼ぐRBなら普通はやらないようなドリルを繰り返しやらせた。倒れる瞬間にボールをしっかり抱えることを徹底するようにね。そのような類のドリルを、ここでも毎日やることになるだろう」
毎年恒例のNFLオーナー会議が、この日曜日から5日間にわたって、フロリダ州パームビーチで開催される。ヘッドコーチやGMたちで構成される競技委員会によってすでに会議が行われており、オーナーたちはその委員会の提出した勧告を元に、最終的な決定を行う。今回の主要な議題について、競技委員会の見解は以下の通り。
1. 2002年のWRオーウェンスや2003年のWRジョー・ホーンの"携帯事件"など、手の込んできたセレブレーションに歯止めをかけるため、抑止力の弱い罰金ではなく、15ヤードの反則をコールするよう、法制化すべき。
このような派手?なデモンストレーションに、2002年の18回に対し2003年は46回も罰金が科せられたが、効果はあまりなかった。「"No Fun League"などと揶揄しないでほしい。ランボー・リープやスパイクやサック・ダンスなどを規制するのではないのだ。しかしセレブレーションはかつてないほど巧妙に、用意周到になってきている。だから、我々はただの罰金でなく、(その試合の中での)ペナルティに着眼したのだ」と競技委員長のリッチ・マッケイ(ファルコンズ新GM)は説明している。
NCAAや高校の協会の側からも、「悪いお手本とならないよう取り締まってほしい」との要請があったとのこと。出場停止処分についても検討したが、さすがにそれは重すぎるため、さしあたっては、15ヤードのペナルティにしてみて様子を見る。
2. インスタント・リプレー・システムは、1999年に復活して以来、「仮採用」の状態が続いていたが、恒久的なルールにする。これまでは、32チーム中24票の賛成で続行が認められてきたが、正式にルールに組み込めばその必要はなくなり、廃止するには24チームの賛成が必要、ということになる。これは競技委員会で全会一致だったため、オーナー会議でもすんなり承認される見込み。
また、リプレー・システムのマイナーチェンジを、競技委員会は勧告している。これまではチャレンジに成功しようが失敗しようが、1試合で各チーム2回ずつしかチャレンジはできなかったが、2回のチャレンジに成功すれば3回目のチャレンジの機会が与えられる(ただし4回目はなし)ようにする、というのが今回の改正案。これもオーナー会議で承認される見込みだ。
3. プレーオフ出場チーム数を12から14に増やそう、と昨年に続きチーフスが提案しているが、今年もこれは否決の見込み。第1シードのチームだけが1stラウンドを休めるのは、アドバンテージが大きすぎる。第一、今うまくいっていることをわざわざ変える必要なない、というのがリーグ全体の雰囲気。
4. 延長戦のサドンデス方式を、(米カレッジのように)両者最低一回はオフェンスを行えるように、という案を昨年に続きチーフスが提案しているが、今年も否決が確実。延長戦で最初に攻撃権を得たチームが最初のドライブで勝利してしまうのが2002年には36%にも上ったが、2003年は23%に落ち着いた。昨年の会議では大きな問題となったが、今年は賛成者がさらに減りそうだ。
5. いわゆる、タンパリング・ルールの適用範囲ついて。(まだ勝ち残っている)プレーオフ出場チームのアシスタント・コーチが、他チームのヘッドコーチ職の面接を受けるのは制限が厳しく、今年はペイトリオッツのワイスOCとクレネルDCが犠牲になったと言われている。これまではプレーオフ第1週の金曜日までしか面接が許されなかったが、それを日曜日まで、2日間延長する。ただしこれでは第1・第2シードのチームのコーチしか恩恵が受けられないが、「これ以上の大きな変更は支持が得られなかった。この問題には容易な解決策はないのだ。これが妥協案というわけだ」とマッケイGM。
またコーチだけでなく、GMなど高位のフロント関係者もタンパリング・ルール(勝ち残っている間は勧誘ができない)の対象とする案を、競技委員会は推奨している。
CB/Sブライアント・ウェストブルックは、2002年のシーズン半ばでパッカーズに入団。昨オフはコーナーバックからセーフティへのコンバートが順調に行き、先発Sの座を脅かすところまで迫っていたところで、アキレス腱を断裂してしまった。二度目(別の足だが)の断裂のため、もう再起不能という見方も強いが、本人は復帰に向けて意欲的だ。来週にはグリーンベイに来てチーム側の評価を受け、4月末のミニキャンプには参加する予定とのこと。
「もし思うようなペースで回復すれば、必ずスターターを争えると思う。実際のところ、ずいぶんいい感じになってきたし、ものすごく回復してきている。前回断裂した時は、少し慌てて無理してしまった。今回はじっくり時間をかけて治療し、腱が強くなるようにしてる。だから今はよく走れているし、とてもいい感触だ」
FAとなったSアントワン・エドワーズ。今年のFA市場ではセーフティの需要が少ないこともあり、これまでのところ、高額オファーをしてくれるチームはない。FSマーク・ローマンの加入で、パッカーズが彼と再契約する可能性は(いくら安くても)ゼロに近くなったと見られているが、パッカーズ側は再契約の可能性を完全には否定していない。Sエドワーズは来週、バッカニアーズとファルコンズ(元パッカーズのドナテルDCがいる)を訪問する予定になっている。
「FA市場に出てどうなるか見てみたかったんだけど、あまり熱心には誘ってくれないようだ。とても展開がゆっくりで、フラストレーションがたまるよ。グリーンベイが長期契約してくれる、というのがもともと僕の希望だったけれど、そうはならなかった。(ケガなしで)全試合出場できるということを証明しなきゃね。それは自分でもわかってる。再契約してくれないなら、別に構わない、どこか見つかるさ」
Wisconsin State Journal紙によると、パッカーズはCB/Sマイケル・ホーソーンと2年契約を結んだとのこと。契約の詳細は明らかになっていない。FAになるにあたっては、「スターターになりたい」と強気な姿勢だったホーソーンだが、懐のさびしいパッカーズに戻ってきたということは、FA市場の現実は厳しく、あまり高い評価を得られなかった、ということなのかもしれない。
マイケル・ホーソーンはパデュー大出身の27歳。2000年のドラフト6巡でセインツに指名され、3年間で6試合に先発した。昨年の開幕戦の後で解雇されてパッカーズと契約し、プレーオフを含む16試合に出場した。シーズン終盤には不振のCBバウ・ジューに代わって3番手CB/ニッケルバックに昇格し、ケガのCBマッケンジーに代わって2試合に先発出場した。身長6フィート3(191cm)の高さがあり、スピードやクイックネスはやや不足しているが、フィジカルなプレスカバレッジを得意とし、ランサポートも悪くない。
先日のFSマーク・ローマンの新加入とホーソーンの再契約で、少なくとも昨年並の陣容は確保できたことになり、期待通りにFSローマンがSエドワーズよりも良ければ、アップグレードになる。昨季のままホーソーンが3番手では物足りないが、ドラフトでDBを上位指名することも予想され、CBクリス・ジョンソンもケガから復帰してくれば、DB陣のデプスとしては悪くない。
Cleveland Plain Dealer紙によると、QBティム・カウチとシャーマンHCとのディナーは、非常に上手くいった、とのこと。「ティムはコーチ・シャーマンのことがとても気に入ったし、パッカーズは自分にとって良いかもしれないと考えている。スーパーボウルを争う可能性が十分あり、それはティムにとって非常に魅力的だ」と関係筋は説明している。
ブラウンズのスポークスマンは、QBティム・カウチと交渉する許可をパッカーズに与えたことを、公式に認めた。カウチはブラウンスの契約下にあるため、他チームがカウチや代理人と話し合うには、NFLのルール上、そのような手続きが必要となるらしい。すでにカウチ側には、2週間ほど前に「自由にトレード先を探してよい」との許可をブラウンズが与えている。
Akron Beacon Journal 紙によると、ブラウンズ側の許可を受け、すでに水曜日にシャーマンHCがカウチと話し合いを行ったとのこと。
噂では、カウチの代理人、トム・コンドンがパッカーズに最初に話を持ちかけた、というのが事の発端のようだ。パッカーズとしても、トレード条件とサラリーが安くすむならば、話を聞いてみる価値はある。昨年のQBアキリ・スミスとは違い、1位指名の期待には応えられなかったとはいえ、カウチの評価はガタ落ちになったわけではない。オフェンスラインやシステムしだいでは、まだまだ才能が開花する可能性はある、という見方が多い。
トレード話が進展するには、安いサラリーで、(いつ引退するかわからない)QBファーヴの控えを務める気があるかどうか、パッカーズが本人に確かめる必要がある。
パッカーズは二人目の若いパンター、トラヴィス・ヘイルと契約した。ライス大出身の23歳。ヒザの手術のために、4年生シーズンを棒に振ってしまい、昨年はNFL入りできず、フットボールから離れていた。そのため、今年が実質ルーキーシーズンとなる。ライス大での通算成績は165回平均40.6yds。
現在ロースターにはPトラヴィス・ドーシュとPトラヴィス・ヘイルの2人のパンターがいることになった。先日パッカーズを訪問したトビー・ゴーウィン(元DAL)のような、実績あるベテランを今後獲るつもりがあるかどうかは不明だ。
ブラウンズがトレード先を探しているQBティム・カウチに関して、パッカーズが興味を示していると、クリーヴランドの地元メディアが報じている。
本来ブラウンズとしては、大幅サラリーカットさえ受け入れればカウチを来季のエースQBに、という方針だった。しかしカウチが超高額サラリー(2004年は$7.6ミリオン)のカットをどうしても受け入れないため、ブラウンズはQBガルシアと契約し、カウチの放出は確実になった。ブラウンズとしてはただ解雇するのではつまらないので、なんとかトレードで少しでも見返りを手に入れたいところ。しかし各チームの先発QBはほぼ固まっており、今のところ有力なトレード先は現れていない。いちど噂に上ったスティーラーズも、公式に否定している。どのチームも、カウチが解雇されるのを待って動き出すつもりのようだ。
パッカーズが本当に興味を示しているとしても、実際に獲得するには、ブラウンズへのトレード条件で合意するだけでなく、安いサラリーで契約を結び直すことが必要になる。
一昨年はラムズから、昨年はパッカーズから引退した、元ハイズマンQBのエリック・クラウチ。今度はDBとして、パッカーズに復帰することになった。オフシーズンのワークアウト・プログラムや、来月末のミニキャンプに参加する予定。
今年の夏のプレシーズンゲームの対戦相手が決まった。第2週のセインツ戦と第3週のジャガーズ戦については、正式な日時は決まっていない。全球団の予定はこちら。
8月16日(月) | Seattle Seahawks | |
8月19日?23日 | New Orleans Saints | |
8月26日?30日 | @ | Jacksonville Jaguars |
9月3日(金) | @ | Tennessee Titans |
パッカーズは、ベンガルズのSマーク・ローマンと契約した。Wisconsin State Journal紙によると、3年契約で契約ボーナスは$750,000ドル、今年のベースサラリーは$535,000ドル。大物FAではないが、昨年までのSエドワーズやSアンダーソンと比べれば、「ちゃんとタックルする能力さえあれば、それだけで十分アップグレードになる」との見方が一般的。代理人によると、パッカーズとベンガルズと、他にも1チームが彼にオファーをしていたとのこと。
CBとしても先発経験があるように、スピードがありカバー能力の高いフリー・セーフティ。タックルの確かさにも定評がある。「ヴァーサタイル、というのが自分の特徴だと思う。コーナーができるセーフティであり、セーフティができるコーナーでもある。ニッケルもできる。シンシナティでは、セーフティもやり、コーナーもやり、ニッケルもやった」とローマンは説明する。彼は、ダフナーLBコーチがベンガルズのDCだった時の教え子でもある。
Sマーク・ローマンはルイジアナ州立大出身の27歳。身長5フィート11(180cm)、体重200ポンド(91kg)。大学では4年間スターターを務め、主にセーフティだったが、4年生の途中でCBにコンバート。2000年のドラフト2巡(全体34位)で指名されたが、CBとSのどちらが向いているかは見方が分かれていたらしい。ベンガルズでは最初の2シーズンはCBをプレーし、2001年は8試合に先発。2002年にFSに移ったがケガにも悩まされ1試合しか先発出場できず。2003年にようやくフルタイムのスターターとなり、73タックル、1INTを記録した。
バトラーの引退以後、Sシャーパーの相棒が安定しないのがパッカーズの悩みの種。パッカーズはロン・ウルフ元GM時代から、ハードヒッタータイプのオーソドックスなストロングセーフティよりも、CBもこなせるようなカバー能力の高いタイプを好んできた。今年もSSマイク・ローガン(PITと再契約)よりもこのSマーク・ローマンを上位候補としており、またSSジョン・リンチ(TB→DEN)を無理して獲りに行くことは全く考えていなかったようだ。
ドナテル元DCと同様にスロウィック新DCも、2人のセーフティをFS・SSとあまり固定せず、臨機応変に使う方針らしい。安定感のあるローマンの加入により、バトラー時代末期のように、シャーパーのビッグプレー能力をより活かせるようになるかもしれない。「シャーパーと一緒にやることで、僕の能力も上がると思う。彼だけじゃない、セカンダリー全体に優れたDBが揃っている。彼らのようなレベルの選手から尊敬を勝ち取るには、自分の能力全てを出し切らなくてはいけない」とローマンは語っている。
「まさに一生に一度の体験だったね。今でも胸がドキドキしてるよ」と語るのは、ウィスコンシン西部のモンロー郡に住むマッコイ夫妻。パッカーズファンにとって、ブレット・ファーヴに会うだけでも夢のようなことだが、そのブレット・ファーヴが自分の家にやってきたのだ。
農場を営むマッコイ夫妻の所有する森に、アーチェリー用品の会社のジョン・ダドリーが、何度か狩りに来たことがあった。ある日ダドリーに、「有名人を狩りに連れてきていいか」と聞かれ、アル・マッコイは、「その人に会わせてくれさえすればいいよ」と答えておいた。そして昨年10月17日の午後4時ごろ、男たちの乗ったトラックが敷地に入ってくるのが見えた。6時半ごろアルが乳絞りを済ますと、ひと仕事終えた男たちがトラックで家にやってきた。
アルとナンシーのマッコイ夫妻にとっては、まさにびっくり仰天だった。あのブレット・ファーヴがQBダグ・ピダーソンとTEウェスリー・ウォールズを連れて、キッチンに入ってくるではないか。彼ら南部出身の男たちは、シーズン真っただ中にもかかわらず、金曜日の空いた時間を利用して好きなハンティングを楽しみに来たのだった。
「ごく普通の男たちのように見えたよ。フットボールの話は全くしなかった。私も彼らをハンターとして扱ったんだ」とアル・マッコイ。この日、ピダーソンは8ポイントの大きさの牡鹿を仕留めた。ウォールズにもそのチャンスがあったが、矢は鹿の後ろに逸れたらしい。そのためにウォールズは、ファーヴとピダーソンに冷やかされていた。
ファーヴがこの辺りの丘の素晴らしさを褒めると、「しかし歳のせいで、年々、坂がきつくなる」とアルは答えた。するとファーヴも、「僕も年々、フィールドが広くなっていくんだ」と笑った。 ファーヴの連れてきたパイロットが、左上の写真をカメラに収めた。しかし、マッコイ夫妻の記念品はこの写真だけではない。「3人で、ウチのキッチンテーブルにサインしてくれたんだよ」
「みんなほんとうに体がデカかったなあ。この写真を見ればわかるだろう。ブレットと握手した時には、あの大きな手と比べると私の手なんかとてもちっぽけだった」とアル・マッコイは振り返る。
この日帰り旅行がまずかったわけでもなかろうが、2日後のラムズ戦でパッカーズは敗れ、しかもファーヴは大事な親指を骨折してしまう。「でも私はチームが負けたことも、ブレットが骨折したことも、責任を取るつもりはないよ」とアル・マッコイは嬉しそうに話すのだった。
今年の正月、60歳のジョニー・ローランドは、カーディナルスから解雇されたのを機に、そろそろコーチ稼業を引退し、ラジオの仕事に戻ろうとしていた。そこへ懐かしのグリーンベイから声がかかった。NFLのランニングバックとして8年間活躍して引退した彼が、パッカーズのダン・デヴァインHC(ミズーリ大での恩師でもあった)から声をかけられて初めてコーチとなったのは、1974年のことだった。30年かけて、彼は出発点に戻ったのだ。
「一時的にコーチ業を離れていた1980年から1984年まで、私はラジオ局をやっていたんだ。この1月にはそこへ戻ることを、ほぼ決めたところだった。しかし幸運にもそれを少し遅らせていたところへ、パッカーズからお呼びがかかった」
今でもグリーンベイは、NFLの中ではスモールタウンとして知られているが、ローランドがこの街を去った1975年と比べると、大きな発展を遂げたと言える。「いろいろなことがずいぶんと変わった。今でも小さなコミュニティだが、それでもあの頃と比べれば、飛躍的に発展したよ。その中でも新スタジアムは美しい殿堂のようだ。しかし、変わらないものが一つある。この街の人々がいかに深くパッカーズを愛しているか、ということだ」
「2003年にはパッカーズとの対戦があったし、シーホークスにドラフトされたり、パッカーズにトレードされた時にも、アーマン・グリーンのことは調べる機会があった。プライムタイムにプレーすることが多いから、テレビでもじっくり見てきた。遠くからだが、彼のタレントを賞賛してきた。彼がNFL最高のオールラウンドRBというのも、あながち無理な議論ではないだろう。アーマンはタフでフィジカルなランナーだ。それに素晴らしいスピードで、エンドゾーンまで走り去ることができる」
アーマン・グリーンのようなトップクラスの選手を担当することには、ローランドは慣れている。伝説の名RBウォルター・ペイトンと5年間一緒に過ごしたが、その頃のペイトンはすでに超一流のキャリアを築いた晩年だった。「彼はまさに最高の中の最高だったね。彼には巨大な才能と実績があるにもかかわらず、コーチされることをとても望む選手だった。私たちは幾度も理性的な議論を重ねたし、常にゲームから真摯に学ぶ姿勢が彼にはあった。8年のプロ経験を持ち、コーチの客観的な目で彼を助けようとする私を、尊敬してくれていた」
昨年はアリゾナで、そのウォルター・ペイトンの記録を破ったRBエミット・スミスを指導する機会に恵まれた。「ペイトンの時ととてもよく似た経験だった。彼らのようなフットボール史上最高の選手たちが、常にコーチされることを望む、というのも驚くべきことだ。非常な才能に恵まれただけでなく、常に少しでも相手より優位に立とうと、ゲームから学ぼうとする。常に研究を怠らなければ、生まれ持った才能だけでプレーするよりも、ずっと長くキャリアを続けることができるものだ」
Sports Illustrated誌の50周年企画が面白い。全米各州の人々が、スポーツに関してどのような特徴を持っているかをアンケートの結果で示している。ためしにNFL Northの各チームの州を見てみると・・・。
Greatest Athletes はスピードスケート金メダリストのエリック・ハイデン。Favorite NFL team は83%がパッカーズ。Favorite sports to watch on TV は86%がフットボール。2位は冬季オリンピックというのがいかにも寒冷地らしい。State's biggest rivalry は "Packers-Bears" が32%、"Packers-Vikings" が27%と割れている。Enemy of the state は、クリフトン事件の影響でDTウォーレン・サップが28%で1位、WRランディ・モスが20%で2位。
また、昨年9月のBest College Sports Townsという記事では、ウィスコンシン州マディソンが1位に選ばれている。
Enemy of the state は48%の高い得票率でQBブレット・ファーヴが1位に輝いている。 State's biggest rivalry は "Vikings-Packers" が66%で1位。More a fan of college or pro sports? は70%がカレッジの方が好きと答えている。
Favorite pro team はNHLレッドウィングスが48%で1位。Enemy of the state はファーヴが1位かと思いきや、1987年に亡くなったオハイオ州立大HCの故ウッディ・ヘイズ。State's biggest rivalry は ミシガン大-ミシガン州立大がなんと83%で圧倒的な1位。Favorite NFL team は50%がライオンズとやや支持率が低いが、Favorite sports to watch on TVは79%がFootballと答えている。
まだアンケートが未完成のようだ。 Greatest Athletes は女子陸上のジャッキー・ジョイナー・カーシー。2位がシカゴ・ベアーズ創立者・選手・初代HCのジョージ・ハラス。3位がLBディック・バトカス。
UPIの記事によると、ブレット・ファーヴはアメリカのスポーツ・スターの中で3番目に人気のある選手とのこと。1位は、引退したものの依然としてマイケル・ジョーダン。2位はゴルフのタイガー・ウッズ。調査を行ったHarris Interactive社による詳しいレポートはこちら。
トム・ロスリーOCが、先週水曜日にミシシッピ州ハティスバーグのブレット・ファーヴの自宅を訪問した。460エーカーの、緑に覆われた敷地をファーヴが案内して回り、午後はゴルフ。12時間ほどじっくり2人で過ごしたあと、ロスリーはQBイーライ・マニングとJ.P.ロスマンのワークアウトを見るため、ニューオーリンズへと向かった。
「彼は排水溝を作ったり、家に続く道を作ったりしていた。ビーバーや蛇を追いかけていた。そうして自分の世界を楽しんだあと、天気がよければ午後はゴルフ。まさにミシシッピにどっぷり浸かっている。彼にはそれが必要なのだ」
ロスリーOCによると、骨折から5ヶ月経ったファーヴの親指は、付け根の関節は正常だが、爪に近い側の関節が、ごくわずかにしか曲がらない状態になってしまっている。「少し動くのは見てとれる。"もう、この状態でやっていくことが身に付いた"と言っていた。彼はそのままでも一向に構わないようだ」
時おり2人の考えが異なることがあったのは、ロスリーOCも認めている。しかし、全体的には2人の関係はしっかりしたものだと言う。「みんながそうは思わないだろうが、私たち2人は本当に上手く行っているんだ。彼の前に付き合ったQBたちと比べて、意見が合わないことは少ないと思う。もう5年も一緒にやっているしね、お互いのことがとてもよくわかっている」
滞在中、話し合うのはフットボールのことばかりだったと、ファーヴの意欲が衰えていないことをロスリーOCは強調。 「彼はプレーを続ける。あと何年やるかは、彼自身にもわからないが、今はいい感じなのを自分でわかっている。彼はチームにとても自信を持っている。自分に何が出来るか、どうやって一緒に仕事をしていくかをよくわかっている。チャド(クリフトン)と再契約したことも喜んでいた」
プレーオフでの敗戦を決定付けたあのインターセプトについて、ロスリーOCはファーヴに、「責めを負うのは私だ。自分ひとりで背負い込むようなことはするな」と話したという。
昨年5月にマリファナ所持で逮捕されたDEジョー・ジョンソンが、その審理を無断で欠席したため、法廷侮辱罪で告発され、逮捕された。その後、$3375ドルの保釈金を払って釈放されている。「彼の父親が亡くなり、告別式が金曜日にクリーヴランドで行われた。火曜日にミズーリで埋葬を行う予定。これらのことを弁護士に連絡していなかった」というのがジョンソン側の説明だったと、検察官は語っている。今後の審理の日程は未定。
Pittsburgh Post-Gazette紙によると、先週火曜日にパッカーズを訪問したSSマイク・ローガン(PIT)が、今週中に再びグリーンベイを訪れ、今度は奥さんも同行するとのこと。パッカーズからのオファーを真剣に検討しているのは確かなようだが、スティーラーズ側も再契約を望んでおり、まだまだ予断を許さない。
FA解禁から2週間近くが経過し、多くの大物FAたちは移籍先が決まった。ここでNFC Northのライバルチームたちの状況を整理してみよう。
Minnesota Vikings | |||
---|---|---|---|
Player signed | |||
CB | Antoine Winfield | BUF | 今年のFA市場で最も注目を集めたCB。6年$34.8ミリオン。身長以外は全てよし |
WR | Marcus Robinson | BAL | 4年$9.4ミリオン。先発WR候補 |
DT | Steve Martin | HOU | 控えDT |
S | Tyrone Carter | NYJ | NYJを解雇され、古巣に出戻り |
TE | Jim Kleinsasser | 再契約 | 先発TE。5年$15ミリオン |
OG | Lewis Kelly | 再契約 | 控えOL |
Player lost | |||
DT | Fred Robbins | NYG | シーズン終盤にスターターの座を失った |
DE | Talance Sawyer | 解雇 | ここ2年はヒザのケガでほとんど出場できず |
Free Agents | |||
OT | Everett Lindsay | ベテランの控えOL | |
C | Cory Withrow | 控えセンター | |
P | Leo Araguz | RFAだがオファーせず | |
RB | John Avery | RFAだがオファーせず | |
DB | Eric Kelly | RFA | 元先発CB |
Chicago Bears | |||
---|---|---|---|
Player signed | |||
OT | John Tait | KC | 今年の補強の目玉。トランジション指名選手だったが強力オファーでKCもマッチできず。6年$34ミリオン。 |
RB | Thomas Jones | TB | RBアンソニー・トーマスと先発争いか |
QB | Jonathan Quinn | KC | 控えQB |
FB | Stanley Pritchett | 再契約 | 先発FB |
CB | Todd McMillon | 再契約 | 4番手あたりの控えCB |
Player lost | |||
OG | Chris Villarrial | BUF | よい先発RGだっただけにちょっと痛い |
QB | Kordell Stewart | 解雇 | もう先発させてくれるチームはなさそう |
DE | Phillip Daniels | 解雇 | レッドスキンズへ |
LB | Warrick Holdman | 解雇 | 若手の台頭でスターターの座を失った |
Free Agents | |||
WR | Dez White | 先発WR | |
OG | Corbin Lacina | 昨季開幕前にNEを解雇されてCHIへ | |
DT | Keith Traylor | ベテランDT | |
OT | Mike Gandy | RFA | 先発LTなので当然引き留め |
DE | Joe Tafoya | RFA | 控えDT |
Detroit Lions | |||
---|---|---|---|
Player signed | |||
WR | Tai Streets | SF | 先発WRに |
C/G | Damien Woody | NE | 今年の補強の目玉。優勝経験に加えてプロボウル経験もあり。6年$31ミリオン |
CB | Fernando Bryant | JAC | 実績ある優秀なCB |
CB | Dainon Sidney | BUF | 控えCB |
DE | James Hall | 再契約 | 先発DE |
DT | Kelvin Pritchett | 再契約 | 控えDT |
WR | Eddie Drummond | 再契約 | 控えWR。リターナー兼任 |
Player lost | |||
LB | Barrett Green | NYG | よい先発LBだったが |
LB | Jeff Gooch | TB | 控えLB |
OG | Eric Beverly | ATL | ベテランの先発LG |
RB | James Stewart | 解雇 | 先発RB。安いサラリーで再契約も |
DT | Luther Elliss | 解雇 | ベテランの先発DT |
QB | Bill Schroeder | 解雇 | 現役続行を希望するが移籍先が見つかるか |
OG | Corey Harris | 解雇 | 先発Sだったがもう34歳 |
Free Agents | |||
OT | Kerlin Blaise | 控えOT | |
OG | Ray Brown | 41歳の大ベテランRG | |
RB | Shawn Bryson | ベテランDT | |
WR | Shawn Jefferson | 控えWR | |
QB | Ty Detmer | ベテランの控えQB | |
CB | Doug Evans | こちらも元パッカーズ。33歳のベテランCB | |
CB | Otis Smith | 38歳の大ベテランCB | |
LB | Brian Williams | こちらも元パッカーズ。ケガが多い | |
P | John Jett | 昨季なかばでIR入り | |
QB | Mike McMahon | RFA | 若手の控えQB |
WR | Scotty Anderson | RFA | 3番手か4番手WR |
WR | Reggie Swinton | RFA | リターナー |
FB | Stephen Trejo | RFA | 控えフルバック |
LB | Donte' Curry | RFA | 控えLB |
CB | Leonard Myers | RFA | 控えQB |
P | Nick Harris | RFA | 昨季途中で加入し、ケガのPジェットをリリーフ |
1964年。ポーランド共産党員の父は、昼食のために家に帰ってくると寝室に行き、銃を自分の頭に向けて引き金を引いた。Czeslaw Boleslaw Marcol はそのとき15歳。母アンナは4人の子供を育てるため、家族を連れてアメリカに渡ることを決意した。アンナの両親と兄が、ミシガン州イマレー・シティの近くの農場で働いていたからだ。
アメリカに渡った少年は、孤独で、困惑し、つらい思いをしていた。彼には英語が全く話せなかった。父を失い、友人を失い、故郷を失った。夏の焼けるような日差しの下で、肥料にまみれながらキュウリやレタスの収穫をするのが、たまらなく嫌だった。高校の宿題の文章を読むことができず、苛立ちのあまり泣き叫ぶこともあった。
ある日、体育の授業が雨のために体育館に移され、サッカーをすることになった。マーコルはここで初めて笑顔を見せた。このスポーツなら知っている。知っているどころか、彼はポーランドのジュニア・ナショナル・チームのゴールキーパーだったのだ。彼はしなやかで、猫のようにすばしっこかった。ペナルティ・キックの機会に彼が選ばれて蹴ることになり、ジョン・ローワン先生が相手キーパーだった。マーコルはボールをセットすると、何ヶ月もの鬱憤を込めて、思いっきり脚を振り抜いた。ボールは先生の耳のすぐそばを通り抜け、手を上げる暇もないほどだった。かろうじて振り向くと、壁から跳ね返ってきたボールを顔面に受け、先生の鼻から血が吹き出した。
翌日、ローワン先生がマーコルを学校の裏のフィールドに連れ出し、へんな形をしたボールを取り出した。ラグビー・ボールだとマーコルは思った。先生はボールをティーの上に置き、ゴールポストを指差した。マーコルは理解した。30ヤードのフィールドゴールを、サッカースタイルの蹴り方で成功させた。先生が40ヤード地点にセットすると、それも成功。50ヤード。55ヤード。ローワン先生と他の男たちが興奮して話し合っている。マーコルの従姉妹が、「アメリカンフットボールをプレーしてほしいんだって」 と通訳した。「アメリカンフットボール? 頭がおかしいんじゃないか?」
◆ ◆ ◆
スポーツだけが彼の鬱憤のはけ口だった。キック力だけでなく運動能力全般に優れた彼は、すぐに頭角を現した。デビュー戦でイマレー・シティ高校を9-7の勝利に導き、ワイドレシーバーやリターナーも兼ねるようになった。祖父はこの馬鹿げたスポーツを全く理解しなかったが、チームの仲間が、彼を農場から連れ出してくれた。しかし練習のあと、祖父の命令で家族の誰も迎えに来てくれず、何マイルも、時には雪の中を歩いて帰らなければならなかった。しかしマーコルは気にしなかった。いまだに英語がわからないポーランド移民でも、彼には神から授かった脚があるのだ。
ヒルズデール大に進んだ彼は、4年続けてNAIAのオール・アメリカンに選ばれた。1969年のフェアマウント大戦では、62ヤードのFGを成功させた。ある試合では、77ヤードのFGを蹴ることをコーチが指示した。しかしボールはわずかにクロスバーの下。「審判は、"これが73か75ヤードなら成功だったろう"と言ってくれた」
過去4年間でFG成功率が44.5%と、キッカーに悩まされていたグリーンベイ・パッカーズが、1972年のドラフト2巡でマーコルを指名した。彼は大学のころから、(移民によくあるように)名前をシンプルにし、Chester Marcol と名乗るようになっていた。ルーキーシーズン、チェスターは自分が特別なキッカーであることを次々と証明していった。開幕戦で4本のFGを決めて26-0でブラウンズを破ったのを皮切りに、シーズン合計で33回のFG成功。これはいまでもチーム記録だ。キックオフ75回のうちタッチバックが29回。残り46回のリターン平均はわずか20.2ヤード。
「1935年のドン・ハトソン(殿堂入りレシーバー)が一年目から大きなインパクトを与えたと言っても、マーコルと比べたらどうかわからないね」とパッカーズの"Team Historian"のリー・レメルは語る。マーコルはNFL1位の128得点を記録し、ルーキー・オブ・ザ・イヤーとオール・プロにも選ばれた。パッカーズは前年の4勝8敗2分から躍進して10勝4敗で地区優勝を飾った。チェスター・マーコルのファンクラブができ、ミルウォーキーのポーランド系移民のコミュニティの人気者になった。わずか7年前に初めてアメリカンフットボールに触れた23歳のポーランド青年が、ウィスコンシン全体から愛されるようになった。
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成功の影で、彼の心には大きな穴がぽっかり空いたままだった。父を失った悲しみを自分の内側に閉じ込めた彼は、気難しく、常に身構えていて、とても怒りっぽかった。完全主義者で、常により完璧なものを自分に求めた。「3本、4本とFGを決めても、1本外してしまうと、家に帰ってから4時か5時まで眠れないんだ。キッチンのテーブルに座って、ゲーム全体を何度も何度も思い返した」
今でも語り草となっている試合は、1980年9月7日のベアーズ戦だ。6-6の同点で迎えた延長戦、QBリン・ディッキーからWRジェームズ・ロフトンへの32ヤードパスで、35ヤードのFGが用意された。しかしベアーズのDTペイジがジャンプし、マーコルが蹴ったボールはペイジのフェイスマスクにヒットしてしまった。次の瞬間、ランボーフィールドの54,381人の観客は目を疑った。真正面に跳ね返ってきたボールをマーコルがキャッチし、ゴール左隅に向かって突っ走ったのだ。中央に密集していたベアーズ選手は彼に触れることもできず、タッチダウン。12-6。彼は歓喜の渦に包まれ、英雄になった。彼にとって人生最高の時だったかもしれない。
この試合の数週間前から、マーコルはコカインを常用するようになっていた。すでにアルコール依存の問題を抱えていた彼が、コカインに溺れるのに時間はかからなかった。「コカインを使い始めると、全てが砕け散ってしまった。自分ではちょっとした気晴らしでやっているつもりだったが、少し経つうちに大量に欲しがるようになってしまった」とマーコルは振り返る。彼は自分が大きなトラブルに落ち込んでいくのを認識していたが、それを認めて助けを求めるのが怖かった。
最初の妻バーバラとは、大喧嘩を繰り返したあげく離婚した。「あなたはお父さんとまるで同じよ!」とバーバラは叫んだ。アルコール依存症だった父が自殺した時には涙も流さず、感情を押さえ込んできたマーコルだったが、妻のその言葉に、グラスを暖炉に投げつけた。「私は全てを内側に閉じ込めてきた。だってどうやって人に話せる? 私にできるのは身を守ることだった。私は全ての人に対して腹を立てていた」
劇的な勝利のしばらくあと、マーコルの牧師が、彼の家庭の問題や薬物の問題を知っているのか、とパッカーズのコーチに尋ねた。10月8日、バート・スターHCはマーコルを解雇し、別のキッカーと契約した。表向きの解雇理由は、キックオフの距離に不満があるから、ということだった。本当の理由は、彼の生活が完全に制御不能になっていたからだ。
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フットボールをやめてから、彼は何度もクスリや酒をやめようとし、その度にぶり返した。リハビリ施設にも入り、いったんはきれいな体になったが、それも長くは続かなかった。「恥や罪悪感、内側から腐っていくような感覚、完全に失敗してしまったような気持ち。それでも自分を止められない」 「これは病気なのだ。いまだにそれを理解できない人がいる。彼らの多くが、"全ては意思の力だ"と言う。私は彼らに、"次に下痢になったとき、自分の意思の力がいかに無力かがわかるさ"と言ってやるんだ」
そして、1986年が彼にとってどん底の年になった。酔ったマーコルは、バッテリー液を飲んで自殺を図ったのだ。これで食道をひどく傷めた彼は、今でも年に3回は、病院で食道を広げる処置を受けなければならない。少しずつ広がるチューブを、喉に押し込んでいく不快な作業だ。
現在マーコルは54歳。薬物はやめることができたが、アルコールの方はなかなか上手く行かないようだ。今は12ステップの禁酒プログラムの中にいるが、これまで酒を絶った最長期間は26ヶ月。「上がったり下がったりの苦しみが続いてる。フットボールをやめてからずいぶんになるな・・・もう22年だ。もうたくさんだよ」
薬や酒の問題が解決できたとしても、人生の全てのダメージを回復できるわけではない。最初の妻との間にできた娘ジュリーは、もう長いこと彼に口をきいてもくれない。ジュリーはいま27歳で、結婚し、ヴァージニアで暮らしている、はずだ。
今は亡きパッカーズのトレーナー、ドメニック・ジェンティルは、「体を大事にしていれば、マーコルは1990年代に入ってもキッカーを続けられただろう」と語ったことがある。マーコル自身も否定はしない。ほんの数年前、近くの高校のコーチを手伝った時も、彼は45ヤードぐらいはテニスシューズで蹴っていたという。
「全ては起こるべくして起こるのだと、今では信じるようになった。しかし不幸にも、私がいろいろなことを引き起こしてしまった。自分をいくらだまそうと、自分で選んだことなのだから」 「ときどき神に問いかけることがある。いったい目的は何なのですか、と。 私がしたことや私のいた状況を考えると、生きていること自体が、科学的にも人間的にも信じられない、と医者である弟が言っていた。たぶん(神が自分を生かしている)目的は、鎖を断ち切って子供たちを育てろ、ということじゃないかな」
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球団史上6位の521得点を記録したマーコルは、今でもパッカーズの熱烈なファンだ。「Kライアン・ロングウェルと握手して、二人でいい写真がたくさん撮れたんだ。僕らには共通の友人がいてね。だから、次に会った時には、この写真を持っていってサインしてもらおう。そう、私もサインするよ。きっと子供たちも喜ぶだろう」
マーコルはいま、妻キャロルと3人の子供たちとともに、アッパー・ミシガンの西北部に位置するダラー・ベイ(地図)の二階家に住んでいる。美しい自然に囲まれたこの田舎町に越してきたのは11年前のことだ。「都会には飽き飽きした。自分を知っている全ての人から逃れたかった」 妻キャロルと結婚した時、彼は42歳、キャロルは25歳だった。
1986年の自殺未遂で体を壊してから、彼は生活保護を受けるようになった。また、NFLからの年金も受け取っている。一時的な仕事はいろいろとしたが、今は定職には就いていない。月に$300ドルも$400ドルも医療費がかかるため、生活は楽ではない。1980年代の輸血によってC型肝炎にも感染してしまった。ヒジの手術を3回も受けた。手首を痛め、腱を移植する手術を勧められたが、$820ドルもかかるために断念。昨年には心室性頻脈と診断され、除細動器を胸に埋め込む手術を受けた。
アウトドア好きの彼は、ハンティングやフィッシングに出かけることが多い。病気のため激しい運動は避けているが、友人と船でスペリオル湖でマス釣りをしたり、家の裏庭では、鹿を解体したり魚をさばいたりする。しかし、彼の情熱はなんといってもグリーンベイ・パッカーズだ。テレビ観戦は一度も欠かしたことがない。
「今でもパッカーズの応援をしてるとナーバスになるね。自分がコントロールできなくなる。試合の前なんか、胃が痛くなりそうになるよ。自分があの入場トンネルを歩いているような気がしてくる」 パッカーズが勝ったときに、飛び上がったはずみでアンティークのランプを割ってしまったこともある。だから今は、妻キャロルの言いつけで、二階の寝室でひとりテレビ観戦だ。「妻は静かに観戦したいらしいんだよ。家族も友人も、パッカーズのことになると私が夢中になってしまうのをよく知ってる」
アルコールの問題を抱え、クスリで体がボロボロになった、ポーランド移民の元NFLのキッカー。生きていくのがつらい日もある。しかしフットボール・サンデーになれば、寝室のテレビにかじりつき、パッカーズのプレーを飛び上がって応援する。悪いことばかりではない。
パッカーズとバッカニアーズからのオファーを検討していたPジョシュ・ビドウェルは、まる2日間迷ったあと、バッカニアーズへの移籍を選んだ。JS Onlineの記事によると、契約ボーナス$150,000を含む総額$1.87ミリオンの3年契約とのこと。パッカーズの側は少しだけ高い額を提示したようだが、寒く飛距離の出にくいグリーンベイでプレーするよりも、温暖なタンパベイで優れた数字を残せば、次に30歳でFAとなった時には大きな契約が期待できる、ということのようだ。
パッカーズが今のままPトラヴィス・ドーシュだけで行くことは考えられず、FAまたはドラフトで補強することは確実。現在、FA市場に出ているパンターは、ジョシュ・ミラー(33歳・PIT)、トム・ルーエン(35歳・SEA)、ダレン・ベネット(39歳・SD)、ジョン・ジェット(35歳・DET)あたり。若手ではジェイソン・ベイカー(25歳・KC)がいるが、制限付きフリーエージェント。
金曜日、オハイオ州立大の"Pro Day"には、ヘイトリー副社長に加えてボナメイゴSTコーチも参加し、今年のドラフト組では3本の指に入ると言われる、B.J. サンダーのワークアウトを見守った。
QBイーライ・マニング(ミシシッピ大)とQB J.P.ロスマン(テュレーン大)は所属大学での"Pro Day"には参加せず、セインツの屋内練習場を使っての個人ワークアウトを公開した。2人同時ではなく、時間を空けて2人別々に行なわれ、十数チームの代表がそれを見守った。ヘッドコーチで参加したのはシャーマンHCと、ジャイアンツのトム・コフリン新HC。 イーライ・マニングの兄ペイトンや父アーチーも駆けつけた。2人ともなかなか良い内容だったようで、少なくともドラフト指名順位を下げるような出来ではなかったらしい。
イーライ・マニングはトップ3指名が確実視され、パッカーズの手の届かない選手だが、QBロスマンは今年のQBの中で4番目(または3番手)あたりの評価が一般的で、1巡下位または2巡上位指名が予想されている。パッカーズ首脳は、ワークアウト終了後、ロスマンを招いてディナーを共にした。彼は少し傲慢なタイプでリーダーシップやチームメイトとの関係に問題がある、と言われている(ただしフィールド外での問題は起こしたことがない)だけに、人格面でのチェックをするための面接だろう。
注目のQBドリュー・ヘンソンは、テキサンズからカウボーイズへのトレードで合意した模様だ。トレード条件は、来年の3巡指名権ということで(予想通り)比較的リーズナブルだが、ヘンソンとの契約が、$3.5ミリオンをギャランティーするということなので、1巡下位指名選手並か。
フリーエージェントとなっているPジョシュ・ビドウェル。JS Onlineによると、彼の現在の選択肢はパッカーズとバッカニアーズであり、木曜日の夜にも決断をする、とのこと。彼は先日ドルフィンズを訪問したが、その後ドルフィンズはPマット・タークとの再契約に集中している様子。その代わりに、Pトム・テューパ(WASへ)を失ったバッカニアーズが浮上してきた。
交渉に近い筋の情報によると、パッカーズがビドウェルにオファーしているのは、契約ボーナス$375,000ドルを含む5年契約とのこと。バッカニアーズのオファーは不明だが、あちらもサラリーキャップ的に余裕がないことを考えると、大差ない金額と思われる。「明日の今ごろまでには、進む先が決まるよう結論を出したい。自分にとっては難しいときだ」とPビドウェルは語っている。ボナメイゴSTコーチがこの水曜日にPビドウェルと話をした時には、彼は再契約に前向きだった、とのこと。
いっぽうパッカーズはもう一つの選択肢として、プレーオフのイーグルス戦の直前にP/Kトラヴィス・ドーシュと契約している。パデュー大出身、身長198cmの超大型パンターだ。大学時代は主にキッカーで、パンターとしての経験は1年半しかなかったらしい。飛距離を買われて2002年のドラフト4巡でベンガルズ入りしたが、あまりにも粗削りで、けっきょく正キッカー・正パンターの座をつかめないまま、昨年夏に解雇された。
パッカーズがドーシュに魅力を感じる理由の一つは、Kロングウェルの代わりにキックオフを任せられることだ。プレースキッカーとしては、悪天候に強いKロングウェルを手放すつもりは全くなく、ドーシュはやはりパンター。彼はここ数週間、ボナメイゴSTコーチとともにグリーンベイで練習を続けている。「トラヴィスのことは気に入っているし、彼は大きな潜在能力を秘めているが、それだけでは正パンターとして認めるわけにはいかない。彼はたいへん良いアスリートだが、安定性に欠けるのが問題だ。しかし、うまくヒットした時には、ものすごいのを蹴るんだよね」 とボナメイゴSTコーチ。
たいした実績のない無名のCBだったクリス・ジョンソンがドラフト7巡指名されたのは、ルイヴィル大の"Pro Day"でのワークアウトで、40yds走を4.2秒前後という驚異的なタイムを記録したのがきっかけだった。「あの40ヤードは、僕にとってものすごく大きかったね。スカウトたちは、速く走る選手がいると驚いて注目するものだけど、それが自分の身に起こったんだ。正直言うと、自分でもあの時のタイムには驚いた。スピード・コーチとトレーニングを積んで、急に全てがかみ合うようになったんだ」
7巡指名ながら、彼は最初のミニキャンプから高いカバー能力をアピールし、2003年組の中の最大の掘り出し物という評価は、地元のすべての記者が認めるようになった。 夏のトレーニングキャンプ、プレシーズンゲームでもその評判は下がることなく、4番手CBどころか3番手もうかがう勢い。 ところがキャンプ終盤の練習中、WRと交錯した際にヒザを痛めてしまった。当初はさほど長引くとは思われなかったが、詳しい検査が進むと膝蓋腱の部分断裂と分かり、そこで彼のルーキーシーズンは終わりになってしまった。
「あのケガには打ちのめされたよ。最初はそれほどひどいとは思わなかった。でもシーズンを棒に振るとわかって、僕は本当に打ちひしがれた。仲間の選手たちのそばにいながら、日曜日にプレーできないんだ。とても不愉快だったし、あんな思いは二度としたくない。僕はフィールドに出たいんだ」とジョンソンは語る。
ケガの程度が重かったため、彼の完全復活を疑問視する声もあった。しかし今のところ、リハビリは順調のようだ。この2ヶ月はダラスでリハビリを進め、あと数週間たてばグリーンベイに戻って、オフシーズンのコンディショニング・プログラムに参加することになっている。すでにランニングを再開し、本人によると、元の85%まで回復したとのこと。しかし1年前に出した、4.2秒前後のタイムで走れるのはまだ先のことだ。
それに完全に回復したとしても、それだけでは不十分。プロ入り時には多くの面でまだ粗削りだったCBとしてのプレーを、彼は磨かなくてはならない。ルーキー年に経験を積めなかったことは、やはり大きな痛手なのだ。 「ケガをするまで、彼は良いプレシーズンを過ごしていた。フィジカル的には、コーナーバックに必要な、全てのものを備えている。健康体に戻っても、まだ改善しなければならない点は多い。しかし、彼には間違いなく大きな可能性がある」とレジー・マッケンジー・プロ人事部長。
「次のシーズン、僕は大きなインパクトを与えたい。スターターの座を争う気持ちで、トレーニングキャンプに入るつもりだ。それが昨年の目標だったし、ケガで台無しになるまでは、その目標のためにがんばっていたんだから」 とクリス・ジョンソン。CB陣の層の薄さに悩むチームの側も、彼の復帰を待ち望んでいるのは言うまでもない。
パッカーズを訪問したQBビリー・ヴォレック(TEN)。パッカーズ側は、「今年だけでなく、来年以降もQBファーヴが現役続行してくれるのが希望」ということを包み隠さずに話し、その上で控えQBとして誘ったようだ。つまり、「来年にはスターターになれるから」と甘い言葉で誘っておいて、一方でQBファーヴに現役続行を説得する、というような二枚舌は使わなかった。ブラント交渉担当によると、今回は正式なオファーも、具体的な金額面での話し合いもなかったとのこと。
「じっさい彼には、"ブレットの控えになってもらう"と言わなければならなかった。"ブレットには出来るだけ長くプレーしてほしいのだ"と話した。隠しだてはしない。クレイグ・ノールも信頼しているしね。我々はビリー・ヴォレックを獲得したいと願っている。しかし成り行きを見守ることにするよ。彼は本当にグリーンベイ・パッカーズに敬意を払ってくれている。もし獲得が上手くいけば、我々にとって大きなプラスだ」とロスリーOCは語っている。
ヴォレックにしてみれば、少なくとも「今年スターターを争うチャンスがあるチーム」を希望するのは当然のこと。しかし現時点で彼に強い興味を示しているチームは、TEN、GB、ATL、DENと確固たる先発QBのいるチームばかり。パッカーズが彼にまだ金額面でのオファーをしなかったのも、人気が高まっている今飛びついたら、かえって高くつくと判断したのかもしれない。また、ブラウンズとの契約に合意したQBガルシア(SF)と入れ替わりにQBカウチの解雇が確実視されており、そうなればヴォレックの市場価値がさらに下がることも考えられる。
いっぽう、ドラフトでQBを指名することもパッカーズの有力な選択肢の一つ。今年はQBが豊作だと言われており、1巡指名候補に限らず優れたQBは多いとパッカーズ首脳は見ているようだ。「今年はとてもよいQBが何人もいるね。今はまだ評価のプロセスの最中だ。各選手のワークアウトに出かけて行って、最終的にはできれば一人に絞り込みたい」とロスリーOC。
パッカーズ首脳は、後継QB探しを進めつつ、ブレット・ファーヴができるだけ長く現役を続けてくれるよう、彼の精神面に最大限の配慮をしている。ロスリーOCは、大学選手のスカウト旅行の合間にファーヴの住むミシシッピ州ハティスバーグに立ち寄る予定。 「彼には、あと4年でも5年でもプレーを続けてほしい。ゴルフでもして話し合って、彼の気持ちを確かにしたいと思っている。シーズンの間は、相手のカバレッジだのブリッツの話ばかりしているからね。落ち着いて、ゆっくり話がしたいんだ。今われわれが(後継QB探しについて)していること。いいことにせよ悪いことにせよ、チームがどのような方向へ変化しようとしているか。リラックスしてゴルフしながらね」
6日と7日にランボーフィールドで行われるはずだったスノーモービルの大会"Snocross"。しかし最近の暖かい気候のために、スノーマシンでいくら雪を作っても片っ端から解けてしまう始末。仕方がないので、2日間ともランボーフィールドの駐車場スペースで大会が行われた。(地元ニュース映像)
「聖なるランボーフィールドでフットボール以外のことなどやってはイカン」というお告げに違いない、とファンやコラムニストは主張している。
毎年この時期になると盛り上がってくるのが評論家やファンによるMock Draft(仮想ドラフト)。チームごとのFAでの補強なども考慮に入れつつ、これからまだまだ変更が加えられていくはず。数え切れないほどあるので、大手メディアだけを取り上げた。
Mock Draft | ||||
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メディア | 担当者 | Player | Pos. | College |
ESPN | Mel Kiper | Matt Ware | CB | UCLA |
「パッカーズはセカンダリーに不安があり、CBとSの両方の経験があるウェアを獲るのは意味がある。彼は大きく(191cm)、アスレチックな選手で、チームに必要なフレキシビリティと、即戦力としてのインパクトの両方が期待できる」 | ||||
CBS SportsLine | Pete Prisco | J.P. Losman | QB | Tulane |
「パッカーズはどこかで将来のQBを獲らなければならない。ロスマンは強肩パサーで、育てるには時間が要るだろう。QBファーヴがあと2年プレーすれば、ロスマンは跡を継ぐ用意ができる」 | ||||
The SportingNews (1巡) |
The War Room | Lee Evans | WR | Wisconsin |
「われわれの情報によると、パッカーズは必要なDL、CB、Sの補強をFAで済ますと言われており、ドラフトで必要なのはWRを残すのみ。エヴァンスはコンバインで40ydsを4.37秒で走っており、(2年前の)ヒザのケガの前の状態に戻っているようだ」 | ||||
The SportingNews (2巡) | The War Room | Bob Sanders | S | Iowa |
「エドワーズがケガからの復帰、アンダーソンが2年目の壁に当たっているパッカーズは、ドラフト初日にセーフティを獲るだろう。DEも必要だが、ここでサンダースが獲れれば非常にお買い得だ」 | ||||
Sports Illustrated | B. Duane Cross | Marquise Hill | DE | LSU |
「理想を言えば、パッカーズはここでDEヒルを獲ってから、2巡+3巡でトレードアップして2巡のはじめの方でQBロスマンが獲れればいい。しかし何事も理想どおりにはいかないものだ」 | ||||
MSNBC | DraftInsidersDigest | J.P. Losman | QB | Tulane |
「パッカーズはブレット・ファーヴの真の後継者を探すべき時だ」 |
◆ 7巡までの全てのドラフト指名順位はこちらから。
今オフはセーフティの補強が最優先課題なのは言うまでもないが、CB陣の層の薄さもかなりヤバい。バウ・ジューは伸び悩み、期待のクリス・ジョンソンは、ヒザのケガから復帰できるか不透明。ウェストブルックがアキレス腱断裂から復活できる可能性はさらに低い。そして来年には先発アル・ハリスとの契約が切れる。今年のパッカーズは、スター級の高額CBを狙う余裕はないが、3番手CB、そしてハリスと先発の座を争うぐらいの、お買い得なCBを狙っているようだ。
そんな条件に見合う候補が、チーフスのウィリアム・バーティ(Bartee)。オクラホマ大出身、2000年のドラフト2巡指名。2002年には13試合に先発出場したが、2003年はスターターの座を失いニッケルバックとなり、先発はわずか1試合。身長185cmとサイズに恵まれ、身体能力は非常に高いが、嗅覚やセンスにやや難があるとか。
CBバーティは来週にもパッカーズを訪問の予定。ショッテンハイマー新DBコーチは、かつての彼のディフェンシブ・コーディネーターだった。
また、昨日取り上げたQBビリー・ヴォレックはここ数日のうちにパッカーズを訪問の見込み。
「我々は(クリフトンの契約延長だけに留まらず)まだアクティブに動く。ディフェンス面での補強のため、FA選手の訪問を予定している」とシャーマンHC。やはりセーフティを中心に、何人かのFA選手がグリーンベイを訪問する予定になっているようだ。
LTチャド・クリフトンとの契約は、本当に期限ぎりぎりでの成立だったらしい。交渉担当アンドリュー・ブラントによると、NFLのリーグ・オフィスに必要書類をFAXしたのは、東部時間の11時59分だったとのこと。0時01分から新年度に入る決まりになっている。「リーグ・オフィスの皆さんには、一晩中起きていてもらって申し訳なかった。でも、我々はちゃんと時間内にやりとげた」とブラントは振り返っている。「OL全員をキープするのは、大変な仕事だ。5人ともすでに(安価な)ルーキー契約でないが、我々は困難を克服して全員をキープできている。今後どうなるかはわからないが」
クリフトン本人は、「今回のオファーは、フェアなオファー以上のものだと思う。素晴らしいオファーで、僕としてはすぐに飛びついたよ」と語っている。あるリーグ関係者によると、もし彼が契約延長せずにFA市場に出ていたら、これ以上の額をオファーされていたのは間違いない、とのこと。
シャーマンHCは、「左タックルというのは、オフェンスでは非常に大切なポジションだ。背番号4(ファーヴ)がQBであればなおさらだ。数年前は、ファーヴは頻繁にヒットされていたが、ここ数年はあまりヒットを受けていない。それは我々のオフェンスライン、左タックルのおかげなのだ。大きな投資をしたポジション(ファーヴのこと)を守るのは非常に重要なことだ。だから今回の金は、とてもうまく使われたと思う」
クリフトンの隣でプレーするLGウォールは、「彼と奥さんにとって、素晴らしい契約だよ。我々オフェンスラインマンは彼が戻ってきてくれることを喜んでるのは言うまでもない。(彼と高額契約したことの)将来的な影響はわからない。僕が心配するのは次のシーズンのことだけだ」
Press-Gazette紙の記事によると、LTクリフトンの契約は以下のようになっている。契約ボーナスは$11ミリオンではなく$10ミリオンで、今年のロースターボーナスが$1ミリオン。今年のキャップ額はおよそ$3.2ミリオンで、来年は$2.96ミリオンとなる。
ベースサラリー | ロースターボーナス | |||
2004年 | $ 535,000 | $ 1,000,000 | ||
2005年 | $ 540,000 | $ 750,000 | ||
2006年 | $ 2.425,000 | $ 1,000,000 | ||
2007年 | $ 3.367,500 | $ 1,000,000 | ||
2008年 | $ 3.326,000 | $ 2,000,000 | ||
2009年 | $ 4.367,500 | $ 2,000,000 |
先日、ヒザの手術を受けたばかりのDTギルバート・ブラウンが、火曜日の朝に治療を受けていると、シャーマンHCから呼び出しがあった。松葉杖をついて階段を上る彼には、これから何が起きるのか、だいたい予想がついていた。そしてその予想は当たり、シャーマンHCは、LTクリフトンとの契約のこともあり、君を解雇せざるをえない、と告げた。
最初のショックが収まり、シャーマンHCに別れの挨拶をして、自分のトラックに乗り込んだ。ランボーフィールドの駐車場を出たところで、もう一度近くの駐車場に車を停め、デトロイトの母のところに電話をかけた。さりげなく近況を聞いたところで、切り出した。 「ママ、俺はもうパッカーじゃないんだ」 胸が一杯になって、言葉が出なくなった。母は、なんとか慰めようと言葉をかけてくれた。
家に着くと、彼はソファーにへたり込み、ヒザのバンデージを見つめた。パッカーズでのキャリアが終わったのだという現実を、なんとかして受け入れようと悪戦苦闘した。それから24時間がたってインタビューを受けている今も、痛みは容易には消えてくれない。
他のチームとのFA契約について聞かれると、ギルバート・ブラウンは肩をすくめた。「どこか他でプレーするなんて、うんざりするね。僕はグリーン&ゴールドで、93番を背中に着けて育った。僕はここで成長し、男になったんだ。他の場所では、自分にそんなことができるなんて知らずに終わったようなことも、ここで教わった。ウィスコンシンで暮らすことで、僕は別の人間になった。思いやりのある人間に、人の気持ちのわかる人間になった。よき父親に、よき息子になった」
解雇というつらい経験と、グリーンベイでのよき思い出のどちらが大きいか聞かれると、ギルバート・ブラウンは笑みを浮かべ、思い出を語った。「ランボーフィールドだよ・・・。地球上に、あれほど素晴らしい場所は他にない。あそこに足を踏み入れてから、僕は11年間もあそこに出たり入ったりした。どんなにイカれていても、どんなに年をとっても、あそこに足を踏み入れると、必ず髪の毛が逆立つような感じがするんだ。デトロイトを出て、カンザス大に行って、グリーンベイに来て、こんな素晴らしい場所に落ち着くことができた。他とは比べようがない」
1993年のトレーニングキャンプでヴァイキングスから解雇された幸運に、彼は今でも感謝せずにはいられない。デニス・グリーンHCのオフィスで解雇通告を受けて、ホテルの部屋に戻ると、もうすでにパッカーズのホルムグレンHCのアシスタントから、連絡を取るようにとのメッセージが入っていたのだ。電話をすると、もう君はパッカーだと告げられ、いつグリーンベイに来られるかと訊かれた。「僕は"トラックに荷物を積み込んで、あと2分で出発します"って答えたんだ。そしてハイウェイ29号線を、出来る限りぶっ飛ばした。それ以来、あの道が大好きだな」
そうしてグリーンベイに着いた彼のその後の活躍は、ご存知の通りだ。125試合に出場し、優勝も経験した。チームきっての人気者になった。プレーオフに15試合先発出場したのは、チーム史上QBファーヴに次ぐ2番目の記録だ。
体重の問題と度重なるケガのために、将来の健康への不安はあると彼は言う。しかしだからといって何も変えるつもりはない。「体を酷使してきたことの代償を払わなければならないのはわかってる。でも引退後に、自分の成し遂げたことを振り返ってみれば、(健康を害することになっても)それだけの価値はあったと思うだろう。プレーすることで、家族の面倒を見ることができた。優勝リングも手に入れた。20年後に車椅子生活になったとしても、それだけの価値はある。そのような結果になったとしても、僕は嘆き悲しんだりしないだろう。楽しかった思い出をただ振り返るよ」
いつか高校の校長になりたいが、プロレスに顔を出すのも面白そうだとギルバート・ブラウンは笑う。しかし彼が一番望んでいるのは、ファンに感謝の言葉を述べることだ。「引退する時には、ぜひフィールドに出て、 "Bye !" と言いたいと思う。そうできたらいいね。そしてもし少しスピーチでもさせてもらえれば、こんなに名誉なことはない。僕は根に持つような人間じゃない。僕は僕だ。もしパッカーズがそのようなチャンスを与えてくれたら、キャリアのハイライトになることだろう。そのようにしてキャリアを終えるのは、僕にとってこの上なく大事なことなんだ」
JS Onlineによると、FA解禁のおよそ1時間前である3月2日の深夜11時、パッカーズとLTチャド・クリフトンは長期契約に合意したとのこと。契約ボーナス$11ミリオンを含む総額$32.4ミリオンの6年契約。詳細な契約内容は不明だが、フランチャイズ指名が解除されるため、今季の彼のサラリーキャップ額はおよそ$7ミリオンから$2.5ミリオンほどに減額されることになりそうだ。
交渉の過程で、LTクリフトン側は$12.5ミリオンから$13ミリオンの契約ボーナスを要求していると伝えられていたことを考えれば、(11ミリオンでも目玉が飛び出るほど高いが)この金額ならパッカーズ側が粘り勝ったと言えるかもしれない。これでパッカーズの先発OL陣は、4年続けて同じメンバーで戦うことになる。
Press-Gazette紙だけは「合意に近づいているが、交渉は水曜日以降に持ち越された」と報じていますが、ようやくチーム公式サイトからも発表がありましたから、決まりです。よかったよかった。
Wisconsin State Journal紙によると、DTギルバート・ブラウンは火曜日にシャーマンHCと話し合いを行い、引退を勧められたが、本人は他チームでの現役続行を望んだために、解雇せざるをえなくなったらしい。「ギルバートはグリーンベイそのものだ。しかし彼の心の中では、もう一年プレーできるのかどうか、欲しがってくれるチームがあるかどうか、見極めたいと考えている。今はまだ引退を決めたくはなかったのだ」とレジー・マッケンジー・プロ人事部長。パッカーズは今後、DTブラウンを(安いサラリーであっても)呼び戻す可能性はなさそう。
パッカーズはDTギルバート・ブラウンの解雇を発表した。度重なるケガと能力の衰えから、チームとしてはDTグレイディ・ジャクソンに切り替える方針なのは以前から明らかで、キャップの空きを作る必要からも、今の時期の解雇となった。実質パッカーズ一筋でプレーしてきたブラウンは、ファンの人気も絶大なものがある。誰もが予想していた解雇とはいえ、つらい別れであることに変わりはない。
「ギルバート・ブラウンは10シーズンにわたって、フィールド上でも、フィールドの外でも、パッカーズに多大な貢献をしてくれた。彼とチームメイトとの、コーチとの結び付きは特別なものだった。ファンとの結び付きもそうだ。彼は練習のあと、最後までロッカールームに残っている選手で、パッカーズの選手でいることをとても楽しんでいた。コーチからも、選手からも、ファンからも、惜しまれることだろう。コーチとして、彼がチームの一員であったことを非常に誇りに思う。彼がいなくなるのがとても寂しい」とシャーマンHC。
DTギルバート・ブラウンはカンザス大出身の33歳。1993年のドラフト3巡でヴァイキングスに指名されるが開幕前に解雇され、グリーンベイにやってきた。翌94年から頭角を現し、95年にはスターターに定着。51タックルを記録した96年が彼にとってのベストシーズンで、スーパーボウル制覇に大きく貢献した。その後はケガが増えるとともに体重問題にも悩まされ、2000年シーズンはフットボールから離れていた。しかし一念発起して減量に打ち込み、2001年にはパッカーズに復帰し、先発の座を取り戻した。昨年夏のプレシーズンゲームで上腕二頭筋を断裂しシーズンエンドかと思われたが、手術を受けずに気合でプレーを続けた。パッカーズで10シーズン以上プレーしたディフェンスラインマンは、チーム史上、彼を含めて4人だけとのこと。
巨体に似合わぬ鋭い立会いで、常にダブルチームを引き受ける、ランディフェンスの要だった。ロッカールームのリーダーの一人であり、大事な試合の前にはペップトークでチームメイトを鼓舞することも多かった。ケガのリスクのためか高額サラリーには恵まれないキャリアだったが、パッカーズへの忠誠心はとても強かった。おなじみの"Grave Digger"セレブレーションが、もう見られなくなる。
パッカーズは、制限付きフリーエージェント(RFA)となる3選手に"Qualifying Offer"をした。RFAの仕組みについては契約用語集を参照のこと。今回はどれも2001年ドラフト組で、CBバウ・ジュー(3巡指名)、LBトランス・マーシャル(3巡指名)、TEデヴィッド・マーティン(6巡指名)の3人。"Qualifying Offer"には特上・上・並と3段階あるが、今回の3人は「並」の$628,000ドルのオファーだった。
彼らRFA選手は4月16日までに、他チームからのオファーシートにサインすることができるが、パッカーズはその額と同等のオファーをすることによって移籍を阻止できる(昨年のLBディッグスがそうだった) 。もしパッカーズが同等のオファーをせず、移籍を許す場合、パッカーズは移籍先のチームから、その選手がプロ入り時に指名されたのと同じ巡のドラフト指名権を受け取ることができる(昨年はSマット・ボウエンがWASに移籍したため、6巡指名権を受け取った)。
例えばCBバウ・ジューを獲得をしようとするチームは、ドラフト3巡指名権をパッカーズに譲渡しなければならない。パッカーズが3選手に最低限のオファーしかしなかったのは、そのような犠牲を払って彼らのような選手を獲りに来るチームなどない、と判断したことになる。
DTロッド・ウォーカーには、"Qualifying Offer"がされなかった。このままオファーされないまま3月3日になれば、彼は無制限フリーエージェントとなる。この2年間肩のケガで苦しんできたDTウォーカーは、このオフにも肩とヒザの手術をしており、再契約するとしても、リハビリの行方を見守ってから、ということになりそうだ。
LTチャド・クリフトンとパッカーズは、長期契約の締結に向けて精力的な話し合いを続けている。3月2日いっぱいに契約が締結されない場合、3月3日にはフランチャイズ指名の$7ミリオンが、新年度のサラリーキャップにヒットしてしまう。そうなると、パッカーズとしては(ベテランの解雇など)無理やりに数ミリオンの余裕を作るか、フランチャイズ指名を解除してクリフトンをFA市場に放り出すしかない。
世の中は大統領選の節目、"Super Tuesday"で盛り上がっていますが、アンドリュー・ブラント交渉担当にとっては、一年で最も長い一日です。
パッカーズの会計担当ジョン・アンダーウッドが明らかにしたところによると、パッカーズの2003-2004年の収益は好調で、今年はチケット値上げはしない、とのこと。売り上げが増えている理由はやはり、スタジアムが完成して、1年365日ランボーフィールドに観光客が集められるようになったこと。パッカーズ・ホール・オブ・フェイム、プロショップ、レストラン、スタジアム・ツアー、そして様々なイベントなどだ。アンダーウッドによると、収入はNFL32球団のうち10位あたりになる、とのこと。
2003年度の始めにはおよそ$58ミリオンだったパッカーズの手持ちの準備金が、今では$100ミリオン近くに増えている。目標額は年間予算と同額の$112ミリオンだが、それも来年度中には達成できそうだ。「これを達成するのが、我々の責任だと考えている。(大金持ちのオーナーのいないパッカーズには)財政上の安全保証が必要なのだ。$58ミリオンから一気に$112ミリオンとはいかないが、その目標に向けて前進を続けていく」とアンダーウッド会計担当は説明している。
その他の財政面での話題。
今年1月のプレーオフのシーホークス戦の直前の4日間で、2002年シーズンのプレーオフ直前の5週間よりも多くのグッズを売り上げた。
昨年9月に新ホール・オブ・フェイムが完成して以来半年の入場者数は67,000人。2002年にはまる一年で72,500人だった。
昨年9月以来、スタジアム・ツアーの参加者はおよそ21,500人。2001年にはまる一年で18,600人だった。(2002年にはツアーは休止していた)
パッカーズのフロント入りが決まっていたロン・ウルフ元GMの息子、エリオット・ウルフの肩書きが"Personnel Assistant"と決まった。プロ、カレッジを問わず人事部門全体について、おもにヘイトリー副社長の下で働くとのこと。ヘイトリー副社長はパッカーズのフロントで唯一といっていいほどの、ロン・ウルフ門下生でない人物。
エリオット・ウルフはマイアミ大を卒業したばかりの21歳。早くからこの道に進むことを希望していた彼は、子供の頃から父について、選手を見る目を磨き、すでに過去8年間もパッカーズやファルコンズ、シーホークスの人事部門でインターンとして働いた経験がある。「私は、エリオット・ウルフがこの仕事に向けて成長するのを、文字通りそばで見守ってきた。彼はタレントを見分ける目と、それを伝達する声を持っている。彼の存在はチームにとって貴重な存在となるだろう」とシャーマンHC。