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2005年5月31日

ドラフト指名選手紹介 8: DEマイケル・モンゴメリー

6巡6位 DE/DT マイケル・モンゴメリー Mike Montgomery
Texas A&M Senior 6-5(195cm) 276lb(125kg) 40yds/4.94秒 1983年8月18日生

経歴 : テキサス州センター出身。高校時代はバスケでも活躍。おそらく学業成績が足りずにジュニアカレッジで2年過ごし、そこでオールアメリカンに選ばれる活躍を見せて、2003年にテキサスA&Mへ。生まれつきの不整脈を治す手術を受け、体調不十分ながらベンチから常時出場して45タックル。4年生になると先発DEに定着し、78タックル、6サック、12ロスタックルの大活躍で、オール"Big12"カンファレンスの1stチームに選ばれた。

Strengths : やや物足りない直線スピードの割にはクイックネスやアジリティに優れ、アスレチック能力は十分ある。サイズがあり、必要ならばかなりバルクアップできる骨格を持っている。腕が非常に長く、手が大きい。よい嗅覚を備え、注意深さもある。ボールキャリアーを素早く見つけ、"High Motor"でパスートする。オープンフィールドのタックルもよい。

Weakness : バルクが足りず押し負けることがあるので、DTをやるなら体重を増やす必要がある。DEとしては、4.94秒のスピードはやや物足りない。つまり、悪い意味で"Tweener"の恐れあり。からだ全体のパワーが不足気味。姿勢が高すぎることがある。ジュニアカレッジ経由のため先発経験がわずか1シーズンで、トップクラスの経験が不足している。下記のように頭脳面は心配。

メンタル面 : ワンダーリックテストがわずか9点というのは非常に悪い数字。スキームを身に付けるためには多くの練習量をこなす必要がある(つまり覚えが悪い)のでは、と見られている。いっぽうハードワーカーぶりは非常に高く評価されており、試合でも練習でも骨身を惜しまず最後まで頑張るタイプ。向上心が強い。

健康面 : 不整脈の手術から2年が経ち、もう全く心配はないと本人は強調する。「検査してみると、生まれつき余計な心臓の血管があって、そのためプレー中に頻脈になることがあり、ちょっと疲れやすかった。でも手術で治してからは、問題は何もないよ」とモンゴメリー。手術直後の2003年シーズンは体力が完全には戻らず苦しんだが、2004年には大活躍で不安を払拭して見せた。

パッカーズにとって : アウトサイドのスピードパスラッシャーが必要と見られていたが、今年はDL選手は彼1人の指名に留まった。「プロでは、バルクアップしてDTにした方がいい」という声もあるが、大学時と同様にストロングサイドのDEをやらせていく予定。キャンプでは、DEコーリー・ウィリアムズ(昨年の6巡)やDT/DEピーターソン(一昨年の3巡)らとともに、キャンプマンの控えの座を争うことになるだろう。

etc. : 母のロージーはかつてバスケで活躍した選手。大学ではオールアメリカン、プロバスケットボール(WBL)のネブラスカ・ラングラーズでは1981年の全米制覇にも貢献している。

2005年5月30日

6月1日とデッドマネー

毎年6月になると、サラリーキャップ対策のため(用語集参照)、高給取りのベテラン選手が放出されてくることが多い。契約の残っている選手を解雇すると、契約ボーナスの未消化分を一気にキャップに計上しなければならないが、6月1日以降まで待って解雇すれば、2年以上契約の残っていた選手のキャップヒット分を2年に分けて計上することができる。今年はまるでロースターに残っているかのように契約ボーナスの1年分を計上し、来年に残り全額を計上するのだ。

むろん、できることなら翌年に悪影響を残さずにやり繰りできればその方がいい。苦い薬を一気に飲み干すようなものだ。しかし今年のキャップがどうしても苦しければ、来年に回さざるをえない。こうして、前年の夏に解雇した選手の分が、今年のキャップに"Dead Money"(用語集参照)として残ってしまうことになる。

昨年のパッカーズは、6月にDEジョー・ジョンソン、7月にDEジャマール・レイノルズを解雇した。さらに今春解雇したFSシャーパーとOGウォールのデッドマネーが約$6.3ミリオンにも上るため、今季のパッカーズのデッドマネー総額は$11ミリオン超。昨年のデッドマネーはリーグ最低額クラスだったが、今年はそのしわ寄せが来ているとも言える。以下の表では、10万ドル以上の高額デッドマネーを残した選手だけを取り上げた。合計額は、他の細かい選手も含めてのもの。

2005 Packers Dead Money
Pos. Name Dead Money 備考
DE Joe Johnson 3,250,004 2002年に$33ミリオンの6年契約。2004年6月に解雇
DE Jamal Reynolds 1,300,000 2001年ドラフト1巡10位。2004年7月に解雇
OG Mike Wahle 1,125,000 2005年3月に解雇
S Darren Sharper 5,266,666 減俸を拒否し2005年3月に解雇
LB Hannibal Navies 249,168 今春オプションを行使せず、いったん解雇の形に。その後再契約した
    $11,465,611  

最近はどのチームもサラリーキャップ管理に慎重になっているため、以前のように6月1日になったからといってガンガン大物がFA市場に放出されてくることはなさそうだ。今年のパッカーズが大物を解雇するとすれば、DTクリディアス・ハントではないかと見られている。ただし、解雇するとしても、キャンプでの頑張りっぷりを見極めてからのことになるため、6月に入ってすぐということはない。解雇した場合、来年のサラリーキャップには$3.6ミリオンのデッドマネーができる見込み。

2005年5月29日

ドラフト指名選手紹介 7: CBマイク・ホーキンズ

5巡31位 CB マイク・ホーキンズ Mike Hawkins
Oklahoma アリーナ経由 6-1(186cm) 175lb(79kg) 40yds/4.38秒 1983年7月15日生

経歴 : テキサス州ダラス出身。悲惨な家庭環境で育ち、養親の元からようやく高校に通った。そこで全米トップクラスのCBと評価されてオクラホマ大へ。1年目から5試合に出場してインターセプトも決めるが、遅刻常習などトラブルを繰り返し自ら退部した。1年のブランクを経て2004年にはアリーナ・リーグのダラス・デスペラードスに入団したが、ケガに悩まされて出場は5試合に留まった。

Strengths : スピードやクイックネスなど、アスレチック能力は申し分ない。身長も高い。パッカーズのスカウトが「これまで見た中で最高のアスリート」と絶賛し、オクラホマ大のアシスタントコーチも「ストゥープスHC時代では最高のアスリート」と評している。方向転換がクイックで、バックペダルもバランスがよくスムーズ。ボールへの感覚や読みに優れ、キャッチがうまい。

Weakness : 上記の経歴が示すとおり経験が少なく、荒削りな面が多い。線が細くパワー不足。そのためかプレスカバレッジで躊躇することがある。人格面のリスクがある。

メンタル面 : フットボール頭はいい、と見られている。何度もコーチとトラブルを起こしてきただけに人格面での不安は大きく、パッカーズは面接に呼んでチェックをした。オクラホマ時代の反省を率直に語る彼の姿に、コーチ陣はむしろ感心したという。「呼んでみると、彼は成熟した大人だった。彼は人生において、我々よりも多くのことを経験してきた。苦難の時期を経て成熟してきた。もし我々が彼を選手として成長させられれば、大変な拾い物となるだろう」とベイツDC。

ユニークな経歴 : 両親は離婚、母はヤク中、父はアル中。16歳の時には暴力的な父から逃れて、数週間ひとりで路上生活をしたこともある(今は実父とは和解している)。養家から高校に通い、フットボールでようやく自分の道を見出したかに思えたが、オクラホマ大ではコーチとしっくり行かずに結局飛び出すことに。家に近いテキサス・クリスチャン大に移ろうとしたが、オクラホマ大の側が許さず断念。アリーナリーグのダラス・デスペラードスで1年間プレーし、いくつものケガに悩まされたが、そこでは特に問題行動はなかったとのこと。今春、サザン・メソジスト大のPro Dayのワークアウトに参加し、そこでNFLスカウトたちの目にとまった。

パッカーズにとって : 「潜在能力は高いが未熟で荒削り」という若いCBをまた1人増やしたことになる。DB陣としては今年3人目の指名。昨年と合わせると5人。ホーキンズがいきなり即戦力となるのは無理そうだが、いずれはキャロルやトーマスとともに主力となってほしいところ。最初のミニキャンプでは初日・二日目と見事なインターセプトを連発し、注目を浴びた。

etc. : Micheal という彼のファーストネームは、普通のマイケル Michael とは e と a の位置が逆。それがわずらわしいのか、パッカーズは略称の Mike でロースター登録してしまった。

2005年5月28日

Notebook: キャンプ日程決まる

2005年5月27日

Notebook: マッケンジーがテキサンズで面接

ドラフト指名選手紹介 6: C/Gジュニアス・コストン

5巡7位 C/G ジュニアス・コストン Junius Coston
North Carolina A&T Senior 6-3(191cm) 310lb(141kg) 40yds/5.31秒 1983年11月5日生

経歴 : ノースカロライナ州ラレイ出身。ディビジョンI-AAのノースカロライナA&Tに進み、1年目の2001年は左ガードとして4試合に先発。2002年には右タックルに移って全試合に先発出場した。2003年、今度はセンターにコンバートされ、オールMEACの2ndチームに選ばれる活躍。2004年もセンターとして全試合に先発し、オールMEACの1stチームに選出された。3年連続で1試合平均300yds以上という優秀なオフェンスに大きく貢献している。

Strengths : まずまずのサイズがあり、クイックネスやアスレティシズムがある。腕が長く手が大きい。横方向の動きがスムーズで、相手の動きにぴったり追随してパスプロテクションできる。良くバランスを保ち、踏ん張るとなかなか崩されない。上体が強く、パワフルなハンド・パンチがある。アップフィールドに進んでLBを捕まえるのも上手い。複数のOLポジションの経験があり、ヴァーサタイル。

Weakness : スモールカレッジのためにトップレベルでの経験が少なく、テクニックを磨く必要がある。姿勢が高すぎてブロックをしくじることがあるので、ボディコントロールを向上させなければならない。相手DLにもたれるようにして押すことがあり、ランブロッカーとしてはもっと馬力をつけるべき。時おり練習での熱心さが足りず、「試合にとっておく」という感じが見受けられる。モノクロの顔写真しか見つからないのも残念。

メンタル面 : ハードワーカーで、笛が鳴るまで頑張り続ける。ケガを押してもプレーするタイプ。ワンダーリックテスト19点は、OL選手としてはやや物足りないが、まあ普通。 センターとしてラインマンたちに指示を出す能力を疑問視する声もある。

指名の経緯 : ノースカロライナA&Tからは8年ぶりのドラフト指名選手。パッカーズのCBジェイソン・ホートン(ドラフト外入団)も同大学の出身だ。 2巡のSニック・コリンズ(ベスーン・クックマン大)、5巡のC/Gコストン、そして7巡のLBカート・キャンベル(アルバニー大)と、ディビジョンI-AAの選手を3人も指名するのは珍しい。今年のパッカーズは完成度よりも素材重視の指名をしたと見るのが妥当だろう。

パッカーズにとって : センターの経験もあるが、センターの層が厚くガードが薄いチーム事情から、コストンは左ガードとして使っていく予定。

先発両ガードが抜けたパッカーズは、エイドリアン・クレム(元NE)、マット・オドワイヤー(元TB)を獲得し、いったん解雇したグレイ・ルーガマーとも安価で再契約した。いっぽうドラフトでは4巡目までにOLを獲らず、5巡でコストン、7巡でウィティカーを指名。どちらも即戦力とは言えそうもないタイプなのを見ると、パッカーズ首脳は今年はベテラン組でスターター争いをさせるつもりなのだろう。左ガードはクレムでほぼ決まりの情勢、右ガードはルーガマー、オドワイヤー、バリーが争う。バリーを右タックルに入れてタウシャーを右ガードに回す案もある。

etc. : 背番号はOGマルコ・リヴェラが着けていた62番。また、彼は2番手TEのデヴィッド・マーティンの従弟でもある。

2005年5月26日

マイク・シャーマンHCのインタビューから

自身の主催するチャリティ・ゴルフ・トーナメントに際してマイク・シャーマンHCがPress-Gazette紙のインタビューに答え、チームの抱える諸問題について語っている。

Q. ファーヴがWRウォーカーのホールドアウトを批判した発言について

「選手を追い詰めるようなことはしたくないものだが、ブレットはあのコメントで決してそのようなをしたわけではない。彼なりに感じたことを話しているだけだと思う。彼はリーダーだ。彼はキャリアを通じて、長い間、このチームに持てるものを注ぎ込んできた。ジャヴォンにパスを供給した張本人でもある。もし彼がチームのリーダーとして何かを話すべきだと感じたなら、そうすればいい」

Q. HC兼GMではなくなったわけですが、ウォーカーのホールドアウトがヘッドコーチとしてのあなたに与える影響は?

「『マイク・シャーマンは(GM職を解かれたので)もうあのようなことを心配する必要はない』と言われるかもしれない。しかしジャヴォン・ウォーカーは我々のチームでプレーするのだし、彼には本当にキャンプに来てほしい。彼はいいヤツだ。契約問題をどう進めるか、賢明でない情報を元にしているのは残念なことだ。我々はこの問題を乗り越えられると期待している」

Q. RBアーマン・グリーンの大変なオフシーズン(家庭内暴力で逮捕)について

「彼の状態は、2年前と同様に良いと思う。体調は良さそうだ。体重も落としているしね。非常に厳しいトレーニングに取り組んでいるし、今季の彼がすごく楽しみだ。このところ(事件の後、ということだろう)、彼とは何度も話し合っているのだが、彼は人生を前に進めて、物事を立て直そうとしている」

Q. DTクリディアス・ハントのオフシーズンの取り組みについて変化は?

「特にないね。(チームのワークアウトを欠席しているため)ミニキャンプ以外では彼を見ていないし、そこでは彼はケガをしてしまったから。次のミニキャンプで見ることになるだろう」

Q. トランジション・プレーヤーに指名されたTEババ・フランクスの不満について

「パッカーズはビジネス上の決定をし、彼もそこからビジネス上の決断をすることになる。ババは素晴らしい選手だ。彼なしでやっていくなど考えられない。非常に信頼できる選手であり、チームの大きな一部だ」

Q. あなた自身も体幹部のトレーニングを始めたことについて

「少しやっただけでも、非常にきついものだ。やりがいはあるよ。体中のパーツに効いてくるから、少しぐらい手加減してほしいと思うほどだ。1週間もやると、歩けないかと思うほどになる。ファーヴを始めとして、今はたくさんの選手がこれに取り組んでいる。選手に挑戦させるのと同じように、自分自身にも挑戦してみようと思ってね」

Q. HC兼GMでなくなった今年のオフシーズンについて

「ルーキーやフリーエージェントとの交渉に関し、代理人たちと付き合う必要がない、というところが違っているね。そういう面では、テッド(トンプソンGM)が私の負担を軽くしてくれているし、これは良いことだ」

Q. ジム・ベイツ新DCのディフェンスについて

「実際に相手をヒットできるようになる(トレーニングキャンプ)までは、判断は差し控えている」

2005年5月25日

ブレット・ファーヴのトレーニング近況

個人トレーナーと共に始めた新しいトレーニングについて、ブレット・ファーヴが経過を報告している。「この2年ほど、僕はワークアウトをしてシーズンに備えていたけれど、やればもっとできるとは感じていた。僕に武器があるかどうかじゃない。自分の最高の力を出すために、進んでその武器を磨くかどうかなんだ。昔ほどにはトレーニングに向けて自分をモーティベートすることができなくなっていたし、自分ひとりでは無理だと感じていた」

「だから、現役続行を決意した時に、マイク(シャーマンHC)に頼んだんだ。僕をモーティベートし、プッシュしてくれるような個人トレーナーを雇いたいってね。それに、体幹部のトレーニングに力を入れたい、と頼んだ」。 そこでシャーマンHCはトレーニングコーチのバリー・ルービンと相談し、アリゾナにある Athletes' Performance, Inc. のケン・クローナーというコーチを、彼のもとに送り込むことになった。

「トレーニングを始めて5週目に入った。メディシン・ボールやストレッチングやランニングと聞くと大したことないように思われるかもしれないが、これを正しくやると、どれだけ大変かが分かるよ。もう筋肉痛の時期は過ぎた。とても調子がいい」とファーヴは語る。パッカーズはこのトレーナーだけでなく、栄養士や理学療法士も派遣して、ファーヴの体質改善に取り組んでいる。体脂肪率もずいぶん下がった。

「最初に、何を目標とするかとコーチに聞かれて、僕としては試合中の耐久性を向上させたい、と答えた。スクランブルして走って、ちょっと長いプレーで消耗して、次のプレーの準備ができないようでは困るからね。前のプレーでスクランブルしても、必要なら次もスクランブルしなきゃならないし、ただ相手から逃げるだけなんて嫌だ。僕はいいプレーを決めたいんだ」

そこで常に心拍モニタを着けてワークアウトを行っているが、心肺機能の向上は目ざましいという。平静時の心拍数が下がり、運動を終えると早く元に戻るようになった。体幹部のトレーニングは、関節への負担を最小限にしつつ、腹部や腰部の強さや柔軟性を増すもので、ウェイトリフティングや長距離のランニングはしていない。「今やっているトレーニングは、ドロップバックして走り回ってパスをして、次のスナップまでに回復する、ちょうどそのような動きに相当するものだ。1マイルをどれだけ速く走れるかなんて、試合でのプレーとは関係ないから」

4月のミニキャンプを欠席したファーヴは、6月のミニキャンプへの参加も未定のままだ。「ファーヴもチームの活動に参加すべきだ」という意見については、「おおむね、僕もその通りだと思うよ。でも、言い訳をするわけじゃないが、自分にとっては大変な2年間だったし、人生で一度ぐらいは、こうしてフットボールから離れることも必要なんだ。あまりにも多くのことがあった」

「マイク(シャーマンHC)の気持ちとしては、現役を続けると決めたなら、ドアを蹴破るような勢いで戻ってきてほしい、ということだった。そのためにフットボールから離れて、出来るだけ長く日常の暮らしをさせたい、と言ってくれた。今のところは、すごくうまく行っているよ。離れれば離れるほど、戻ってプレーしたい気持ちが強くなってきているからね」

2005年5月24日

ドラフト指名選手紹介 5: OLBブレイディ・ポピンガ

 4巡24位 LB ブレイディ・ポピンガ Brady Poppinga
Brigham Young Senior 6-3(191cm) 259lb(117kg) 40yds/4.72秒 1979年9月21日生

経歴 : ワイオミング州エヴァンストン出身。高校ではMLBとTEとして活躍し、オールステートにも選ばれた。2年間の海外生活を経て、2001年からブリガムヤング大でプレー。2年目には主に控えDE(先発2試合)ながら8サックを挙げた。3年目に先発右DEに昇格し55タックル、5サックを記録してオールMWCの1stチームに選出。左アウトサイドLBにコンバートされた4年目には79タックル、6サックを挙げ、2年連続でオールMWCの1stチームに選ばれている。

Strengths : スピードやクイックネスはまずまず。"High Energy guy" であり、笛が鳴るまで決して手を抜かない "Non-stop motor"を持っている。タフでアグレッシブ。クイックで捕まえにくいパスラッシャーで、パスートが非常によい。手の使い方がよく、ブロッカーをかわすのが上手い。ラン/パスの判断が良い。横方向の動きがよく、体勢を低くできる。コンバインの時の40yds走は4.72秒だったが、別のワークアウトでは4.60秒を出しているらしい。

Weakness : DEなのかOLBなのかどっちつかずの"Tweener"タイプ。DEとしてはややサイズやパワーに欠け、OLBとしてはややアスレティシズムに欠ける。パスラッシュ能力があるので3-4隊形のOLBに向いているが、そうでないパッカーズで使い道があるのか。守備範囲はあまり広くなく、パス守備での動きが固いこともある。すでに25歳。

メンタル面 : 真面目なハードワーカーであり、規律がしっかりしていてインテリジェント。精神面は申し分ない。海外布教で苦労したことや、妻子を養う責任を果たしてきたことで、ルーキーとしてはかなり成熟している。

指名の経緯 : 特にポピンガとは関係ないが、テッド・トンプソンGMも、カレッジスカウト部長のジョン・ドーシーも、現役時代はLB兼スペシャルチーマーだった。LBを見る目は確かだと期待したいところ。

パッカーズにとって : ストロングサイドLBとして使う予定。コンバインの時は259ポンドだったが、パッカーズ公式サイトではLBらしい247ポンドとなっている。パッカーズの両アウトサイドLBは定まっていないが、先発経験豊富なディッグス、ネイヴィーズ、新加入のトンプソンが争っていて、ルーキーがそこに加わるのは難しそう。手薄なパスラッシュDEとして活用する可能性もある。スペシャルチーマーとしては即戦力だろう。

etc. : 彼はモルモン教徒(ブリガムヤングはモルモンの大学)で、1998年から2年間、ウルグアイで布教活動をしていた(2年間の海外布教はよくあるパターン)。「家族や友人から離れての暮らしで、僕にとって最もつらい経験だった。そこで学んだのは、自分がいかにフットボールを愛しているか、だった。引き離されてみるまでは、自分にとってどれだけの意味を持つのかは理解できないものだ」

父デニスも同じくBYUでTEをプレーし、兄のケイシーもユタ州立大でTE、弟のケリーはBYUでLBをしているフットボール一家。すでに2002年に結婚し、子供が1人いる。

2005年5月23日

2年目のDTドネル・ワシントン

若手ディフェンシブ・ラインマンの中で、最も成長が期待されているのが2年目のDTドネル・ワシントンだ。ある程度即戦力を期待される3巡指名入団でありながら、足のケガのため、開幕前にインジャリー・リザーブ入りして1年目は終了。シーズン半ばには復帰できるケガだったが、「しっかり体を作れ」というチーム首脳の考えだったようだ。その期待通り、11月に全快した彼は、ウェイトルームに通いつめてトレーニングに励んできた。

「自分が期待したような1年目ではなかった。初めからやり直しだ。今年が自分にとってのルーキーシーズンだ」とワシントン。1年間の我慢は無駄ではなく、最近のミニキャンプでは良い動きを披露している。 「去年入団した時、自分では体は出来ていると思っていた。しかし、プロで成功するにはもっとずっと頑張らなければならない、ということにすぐに気が付いた。1年を棒に振ったことで、僕はよりハングリーになった。結果として、よりよい選手になれると思う。この1年でたくさんのことを学び、その経験のおかげで、今年飛躍するための準備ができた」

今年になってから入団したロバート・ナンDTコーチは、「彼はいろいろなことにしっかりと取り組んできた。我々が求めたことは全てこなし、それ以上のこともしてきた。彼よりハードに頑張ってきた者はいないよ。彼は、あのサイズにしては信じられないほどクイックだ」と語っている。ジム・ベイツDCも、「着実に成長してきた。彼はルーキーのようだ。昨年は働けなかったが、今はしっかり体ができている。今後も成長を続け、ポジションを学んでいくことが必要だ」

パッカーズのDT陣は、グレイディ・ジャクソンはヒザに爆弾を抱え、クリディアス・ハントは怠け癖がたたって解雇の危機にある。ワシントンは彼らの先発の座をプッシュし、悪くてもローテーション起用の一角に加わることが期待されている。「自分はきっとローテーションには入れると思っている。スターターになるのが常に目標だ。今年そうなれなくても、チームに貢献はできると思う」

パッドを着けずフルコンタクト練習のないミニキャンプでは、特に攻守ラインマンの真価はなかなか分かるものではない。ナンDTコーチは、ワシントンがスターターとなれるかどうか、まだ話す時期ではないとしながらも、非現実的な話ではないと認めている。「正直言って、パッドを着けた練習を見るまでは何とも言えない。しかし今のところ、彼はできる限りの努力をしている」

2005年5月22日

ドラフト指名選手紹介 4: Sマーヴィール・アンダーウッド

 4巡14位 S マーヴィール・アンダーウッド Marviel Underwood
San Diego State Senior 5-10(178cm) 205lb(93kg) 40yds/4.38秒 1982年2月17日生

経歴 : カリフォルニア州オークランド出身。高校ではRBやQBとして活躍し、シーズン1300ydsラッシング、18TDも記録。サンディエゴ州立大では、1年目はスペシャルチーマーだったが、2年生から先発フリーセーフティとなった。3年間で36試合に先発して222タックル、7INTを記録。Mountain West Conferenceでは最速のDBの1人だった。

Strengths : どこが長所でどこが短所か、メディアによって評価がさまざま。ハムストリングを痛めていたコンバインでは4.65秒という不本意な数字だったが、キャンパスでのPro Dayでは4.38秒と素晴らしいスピードを証明した。背は低いが、ガタイはまずまずで、タフにプレーする。クイックネスがあり守備範囲が広く、レシーバーにぴったりとついていくことができる。嗅覚に優れ、ボール・スキルがある。プレーの読みや、ランサポートも良い。両セーフティの経験に加え、パスシチュエーションではスロットのレシーバーをカバーしたように、ヴァーサタイルな能力がある。

Weakness : サイズが小さく、ブロッカーに飲み込まれやすい。ブロックを払いのけるのに時間がかかるため、スクリメージ近くでのプレーは得意ではない。時おり、やや勝手なプレーがある。プレーの理解に手間取ったり、フェイクに引っかかりやすい面もある。ハードヒットを見舞おうとするあまり、しっかり相手の体をラップアップせず、タックルをミスる時がある。

メンタル面 : ワンダーリックテスト24点はDBとしては良い方だ。即戦力となれるかはパッカーズのディフェンスの習得がスムーズに出来るかにもかかっている。精神面に関しては、全くと言っていいほど情報がない。サンディエゴ州立大では、ディフェンスのクォーターバックのような立場で、仲間に指示を出していたとのこと。

指名の経緯 : 「トンプソンGMはトレードダウンして指名権を増やすのを好む」という前評判の通り、3巡指名権をトレードに出して4巡指名権を2つ受け取った。2巡指名のニック・コリンズはCBとSを行ったりきたりしていたため、こちらのアンダーウッドの方がセーフティ経験は豊富で完成されている、とパッカーズ首脳は考えている様子。「10チームぐらいから、『これは素晴らしい指名だ』と言われた」とトンプソンGMは変な自慢をしている。メディアよりも玄人筋の評価が高いのは確かのようだ。

パッカーズにとって : 両先発セーフティの座が完全にオープンであり、アーテュロ・フリーマン、アール・リトル、マーク・ローマンの3人と、2巡指名のニック・コリンズと4巡のアンダーウッドが2つの椅子を争う。FA加入のフリーマンもリトルも、ドラフト指名のコリンズもアンダーウッドも、どれもフリーセーフティのタイプ。ここまで徹底されてくると、両セーフティを後ろに下げることを好むジム・ベイツDCの意向が人事に反映されているのは間違いない。サイズが似ていることもあり、「アンダーウッドはブロック・マリオンを思い出させる」とベイツDC。

etc. : 背番号はRBドーシー・レヴェンズの25番を着ける。サンディエゴ州立大と言えばRBマーシャル・フォークが有名だが、DTラロイ・グローヴァー(1996年5巡)やDEバジャ=ビアミラ(2000年5巡)といった、下位指名から良いディフェンス選手も輩出している。

2005年5月20日

役員を2人入れ替え

非営利団体グリーンベイ・パッカーズは、株主から選任された45人からなる Board of Directors(理事会?)と、さらにそこから選ばれた7人によるExecutive Committee(経営委員会または執行委員会?)が経営面での意思決定機関となっている。理事会の45人は年に4回ほど集まるだけなので名誉職に近く、実際には経営委員会がパッカーズを動かしていると言ってもよい。なお、ボブ・ハーラン社長を除いては役員・理事の全員が無給である。

このたび、ドナルド・ハーデンジョン・アンダーウッドが70歳の定年を迎えて経営委員会から退くことになったため、ジョン・ベルグストロムカール・キューンの2人を経営委員会に入れることを理事会が決定した。

引退するドナルド・ハーデンは、地元の大病院グループのBellin財団の元理事長。その前は、ウィスコンシン大グリーンベイ校の役員も長年務めた。パッカーズでは"Personnel and Compensation Committee"の委員長として、フットボール部門以外のサラリーを統括してきた。

ジョン・アンダーウッドは元銀行頭取で、過去15年にわたってパッカーズの会計を担当してきた。かつてはリーグ下位の収益しか上げられなかったパッカーズが上位に入るようになり、経営的に非常に順調なのは彼の貢献によるところも大きい。それだけでなく、NFLの"Special Committee on League Economics"にも、11名のNFLオーナーたちと共にパッカーズ代表として参加している。NFLコミッショナーのポール・タグリアブーのたっての希望により、今後もアンダーウッドはこの委員会には出席するとのこと。

アンダーウッドに代わる会計担当は、昨年に経営委員会に加わったラリー・ウェイアーズ(昨年5月の記事)が務める。もともと、2005年にアンダーウッドが引退するのに備え、昨年からアンダーウッドの元で後継者となる準備を進めていた。ウェイアーズはエネルギー関連企業WPS Resources社の社長兼CEO。

新役員のジョン・ベルグストロムは、ウィスコンシン最大のカーディーラー、Bergstrom Automotiveの社長兼CEO。1995年からパッカーズの理事会に入り、"Corporate Marketing Committee"の委員長を務めている。彼はミルウォーキーにあるマーケット大の理事会の会長でもある。最近同大学のニックネームを"Golden Eagles"から"Gold"に変えようとし、反対運動を受け撤回する、という大騒ぎの渦中にあり、学長と共に大きな批判の矢面に立っている。新ニックネームはまだ決まっていない。

同じく新役員のカール・キューン(Kuehne)は、グリーンベイに本拠を置く食品加工会社American Foods Groupの社長兼CEO。1998年にパッカーズの理事会に加わり、"Foundation Committee"の委員長も務めている。1920年前後にパッカーズのオーナーであったAcme Packing Companyの牛肉工場が、今はこの会社のものになっているらしい。

2005年5月19日

ブレット・ファーヴが心境を語る

ブレット・ファーヴが、地元ミシシッピのSun Herald紙によるインタビューで今の心境を語っている。この1年半にさまざまな苦難を経験し、自分はより強くなったと彼は言う。「残念なことだが、誰もが愛する人を失い、悲劇を経験する。それが人生だ。人々は誰もが問題を抱えていて、僕も例外じゃない。大事なのは、それにどう立ち向かうかだ。僕たち家族は、苦難や悲劇を、前向きに変えていくことを学んだ」

2003年12月に父アーヴィンを突然の心臓発作で失った。妻ディアナの弟ケイシーは2004年10月に、ファーヴ家の敷地内で四輪バギーの事故を起こして死亡。そのわずか3日後に、妻ディアナが乳がんと診断され、これまで治療を続けてきた。「弟を亡くした数日後に、ディアナは乳がんと向き合わなければならなかった。がん学会は新たなスポークスパーソンを必要としているわけではなかったが、ディアナは乳がん検診の重要性を訴える運動に参加し、苦難をポジティブに変えてきた」

「 彼女は僕に、『自分は世界を変えられるわけではないけど、それにトライしながら死にたいのだ』と言った。いろいろ悪いことが起きたが、僕らは何故かと(神に?)聞くようなことはしない。なぜ父が死んだのか、なぜディアナが乳がんになったのかを聞くなら、なぜ僕がタッチダウンパスを投げられるのかを聞かなきゃならない。物ごとは理由があって起きる。僕らも他の人たちと変わらないんだ。誰もが悲劇からは逃れられない」

プレーオフで敗れた時には、引退に考えが傾いていたようだ。「引退するとは誰にも言わなかったけどね。誰にもなにも言わなかった」。 そうして妻の闘病の支えとなりながら家族のそばで過ごしたファーヴは、ディアナは(治療のために)髪が抜け落ちてしまったが、家族の絆はより強まったと言う。そして幸いなことに、ディアナは回復してきた。「がんとは不快な言葉だ。再発しないという保証はないが、今は全てがうまく行っている」

「プレーオフのミネソタ戦の後、僕の本音は引退に傾いていた。でも、ディアナは僕が続けるとずっと思っていたようだ。そしてディアナが回復に向かうと、状況は変わった。彼女は、今年こそ悲劇のないシーズンを楽しみたいと言ってくれた。彼女は昨シーズンを楽しめなかったし、僕もそうだったからね。こうして、現役続行の宣言をすることにしたんだ」

「ディアナは僕の心のよりどころだ。もし彼女ががんになるなら、誰でもなる可能性があるということだ。僕たちが(さまざまな活動によって)人々を助けようという気持ちは、真実の、心底からのものだ」とファーヴは言う。「僕は今年のシーズンを楽しみにする気持ちが、今までよりも強くなっている。この2年間は、心から打ち込んでいたとは言えないかもしれない。でも今年は、そうだと言えるよ」

2005年5月18日

5巡指名のC/Gコストンが早くもサイン

ドラフト5巡指名のC/Gジュニアス・コストンが、早くも契約にサインした。ルーキー契約は7月になってからのことが多く、彼は今年のNFL全体で2番目の早さらしい。詳細は不明だが、代理人によると5年契約とのこと。パッカーズは一昨年あたりまでは3巡以下は一律で3年契約(2巡が4年、1巡が5年プラスアルファ)であり、昨年初めて下位指名選手とも4年契約をするようになった。今回のコストンは、パッカーズの下位指名選手としては初めての5年契約かもしれない。

契約ボーナスについては、昨年の同順位の選手が$165,000ドルだったので、おそらくその数パーセント増しとなるはずだ。ベースサラリーは下位指名選手の場合、最低年俸(用語集)を繰り返していくのが普通。

背番号はOGマルコ・リヴェラが着けていた62番。また、彼は2番手TEのデヴィッド・マーティンの従弟でもある。日本の「いとこ」とは違い、英語での "cousin" は「またいとこ」まで含んでしまうのでややこしい。しかし彼らの場合、パッカーズ公式サイトが"first cousin"と明記してくれているので、本当の従兄弟同士で間違いない。

2005年5月17日

WRウォーカー主催のチャリティ・ゲーム

WRジャヴォン・ウォーカー主催のチャリティ・ソフトボール・ゲーム、"Big Hit Celebrity Softball Slam"がミルウォーキーで開催され、13,447人ものファンがミラー・パークに集まった。ウォーカーを含め大物選手たちの契約問題をこじらせてリーグ中の怨嗟の的になっている代理人、ドリュー・ローゼンハウスが打席に立つとものすごいブーイング。彼がショートゴロに倒れると、この日最大の歓声が上がった。でも本人はへっちゃら(写真)。

パッカーズからは、LBバーネット、RBダヴェンポート、Gルーガマー、DE/DTウィリアムズ、LSロブ・デイヴィスが参加。元ウィスコンシン大からはRBマイケル・ベネット(現MIN)、Cアル・ジョンソン(現DAL)、OGジョー・パノス(元PHI・BUF)。 その他にも、クリス・ウィッティ(女子スピードスケート金メダリスト)、タラ・リード(女優 写真)、テリー・ポーター(NBAミルウォーキー・バックスHC)、サム・キャセール(NBAミネソタ・ティンバーウルヴズ、元バックス)など多数の有名人が参加。試合は、LBバーネット率いる"Hitters"チームがウォーカー率いる"All Stars"を9対8で下した。

契約問題でイメージが低下しているにもかかわらず集まってくれたファンにウォーカーは感謝の念を表し、「素晴らしい数のファンが集まってくれた。チャリティが上手くいってとても嬉しい。大事なのはそこだ。僕がここに来たのは、人々のためだ。僕は逃げ隠れするような人間じゃない。ファンはこうしてチケットを買って集まってくれた」と語っている。彼はイベント終了後も、片付けが進み照明が消されるまで一人残って、ファンへのサインに精を出していた。

チーム側が契約延長を拒んだ場合はトレード要求をするのか、と聞かれると、「そこまで厄介なことにはならないと思うよ。僕はどこへも行きたくない。僕の状況は、(契約でもめている)他の多くの選手たちとは違うんだ。トレード要求のようなひどいことにはならないと思うし、なってほしくない。僕はウィスコンシン州を愛しているから。今日の結果を見ても、人々は僕のためにこのイベントに集まってくれた。僕はどこへも行かず、このイベントを毎年続けていくつもりだ。できればもっと大きくしたいね」

6月のミニキャンプには姿を現すのか、と聞かれ「イエス」と答えたウォーカーだが、ランディ・モス(2001年に$75ミリオンの8年契約)級の契約を望んでいるという報道もあり、まだまだ楽観を許さない。

2005年5月16日

ドラフト指名選手紹介 3: WRテレンス・マーフィ

 2巡26位 WR テレンス・マーフィ Terrence Murphy
Texas A&M Senior 6-1(185cm) 202lb(92kg) 40yds/4.39秒 1982年12月15日生

経歴 : テキサス州タイラー出身。高校まではQBだったが、大学進学時にWRに転向。それまでWRは全くの未経験だったが、1年目からパスキャッチ36回、518ydsの活躍を見せた。大学4年間で45試合に出場、29試合に先発。通算172キャッチ、2,600ydsはどちらもテキサスA&M記録だ。3年時はキックオフリターナー(27.2yds)としてオール"Big 12"に選ばれ、4年時はWRとして同賞に選ばれている。

Strengths : 身長はまずまず、ガタイもまずまず。スピードやジャンプ力(垂直跳び41インチ、立ち幅跳び10フィート8)などアスレチック能力は申し分ない。加速が鋭く、フェイクや鋭いカットを踏んでスクリメージでのジャムを避ける。競り合いに強く、アクロバティックなキャッチを決める。ルート取りがスムーズで、ランアフターキャッチも良い。ブロッキングも進んで行うタイプで、かなり上手くなってきた。

Weakness : 大学に入ってからのWR転向なので、ルート取りなどはまだ磨かれていない面が多い。相手守備の読みや、ゾーンカバレッジ相手にフリーになることは向上の余地がある。素晴らしいキャッチをしたかと思うと、イージーな落球をすることがある。走りながらのキャッチでボールをお手玉することがある。無理にボールを進めようとしてファンブルすることもある(4年時にファンブル3回)。

メンタル面 : チームキャプテンとしてリーダーシップを発揮しており、精神的にはしっかりしている。QBからの転向がスムーズにできたのは、ハードワークのおかげだろう。4年時にはアカデミック・オール・ビッグ12に選ばれているので、学業もしっかりやっていたと言える。ワンダーリックテスト15点はあまり良くない。

指名の経緯 : 彼がこのあたりの順位で指名されたのはほぼ前評判どおり。しかしパッカーズが要補強ポイントでないWRをここで指名したのは驚きだった。1巡で将来のエースQBロジャース、2巡19位でも荒削りなSコリンズと、即戦力とは言えない選手を指名していたので尚更だ。「ロン・ウルフ・フィロソフィーで、その時点で最も高く評価していた選手を獲ったのだ」とシャーマンHC。リターナー実績はかなりアテにしているようだ。WRジャヴォン・ウォーカーの契約問題が影響を与えた可能性もある(首脳陣は認めていないが)。マーフィが即戦力として3番手が務まれば、ウォーカーが欠けても大きな痛手にはならないかもしれない。

パッカーズにとって : この2年間のパッカーズは4番手WR以降の層がかなり薄く、1人でもケガ人が出るととたんに苦しくなった。これでWR陣のデプスは大丈夫。スロットでのプレーが得意のようなので、3番手を争うのにはちょうどいいかもしれない。豊富な実績を誇るキックオフリターンと比べるとパントリターンの経験は少ないが、それは先発WRをケガさせたくないという理由が大きかったようだ。パッカーズとしてはコーチを派遣して彼のパントリターン練習も調べ、十分やっていけると見ている。

etc. : かつてのエース、アントニオ・フリーマンの背番号86を着ける。テキサスA&Mで2巡指名のWRといえば、2001年入団のWRファーガソンと全く同じだ。同大学に1年しか在籍しなかったファーガソンと比べ、マーフィはまる4年間たっぷりと実戦経験を積み、着実に成長してきた。精神的にもルーキー時のファーガソンよりしっかりしていそうだ。ただし、ファーガソンの方がさらにガッチリしており、当たりに強いタイプ。

2005年5月15日

WRウォーカーがホールドアウトを語る

自ら主催するチャリティ・ソフトボール大会のためにミルウォーキーにやってきたWRジャヴォン・ウォーカーが、ホールドアウトについて語っている。「僕の契約は2年残っている。その通り、否定はしないよ。でも、チーム側が5年契約の3年終了時点で選手を解雇するなら、それも契約を尊重していない、ということになるだろう。だから、2年残っている時点で選手が契約延長を求めるのも、理解できるはずだ」

「例えば、5年契約した選手は必ず5年いっぱい(解雇されずに)チームに残る、そんなリーグであれば、選手たちだって契約を尊重するようになるだろう。契約が3年も4年も残ってる選手を解雇し始めたのはどちらだい? NFLチームの側じゃないか。大型契約を結んだ選手の働きが悪ければ、チーム側はサラリーカットを求めるものだ。だから逆に、期待以上の働きを見せた場合は、選手側が昇給を求めるんだよ」

ウォーカーを批判するコメント(記事へ)を出したQBファーヴに対しては、なんのわだかまりもないことを強調している。「実際のところ、彼のコメントを聞いてはいないんだ。友達から伝え聞いただけでね。でも、僕は根に持つようなことは決してない。彼は素晴らしいクォーターバックだし、自分が彼以外のクォーターバックとプレーするなんて想像できない」

契約延長の求めに対する球団側の反応は、「今のところ反応はない」とのこと。次回6月のミニキャンプ参加の可能性を聞かれると、「うーん、わからないね。可能性はある」と言葉を濁した。

2005年5月14日

ドラフト指名選手紹介 2: S/CBニック・コリンズ

 2巡19位 S/CB ニック・コリンズ Nick Collins
Bethune-Cookman Senior 5-11(180cm) 206lb(93kg) 40yds/4.37秒 1983年8月16日生

経歴 : フロリダ州クロス市出身で、高校ではRBとDB、バスケと陸上。ディビジョンI-AAのベスーン・クックマン大は、彼の父親がQBをプレーした大学でもある。学業成績が基準に達しなかったため、大学1年の時は出場資格が得られなかった。2年目シーズンの終盤からストロング・セーフティとしてスターターに定着。2003年と2004年はフリー・セーフティとして先発、合計12INTを決めて2年連続でオールMEACに選ばれた。

Strengths : 40yds走4.37秒は、SだけでなくCBとしても上位クラスのスピード。ジャンプ力(垂直跳び40インチ)もあり、方向転換も素早く、アスレチック能力は申し分ない。身長は低いが、上体はがっちりと発達している。マンカバー能力は高く、CBでもSでも務まる。手が大きくボールスキルに優れていて、高いボールにうまくアジャストしてインターセプトを奪う。タックル能力やランサポートはあまり高く評価されていないが、かなり良くなってきたという見方もある。

Weakness : セーフティとしては身長がやや低い。がっちりしている割には、上体のパワー(225lbベンチプレス11回)は物足りない。ハードヒットを好むが、しっかり腕を回してのタックルは改善の余地あり。プレー判断はイマイチで、フェイクにつられやすい。時おり集中力を欠くことがある。下記のように学習能力に難があるとすれば、一人前になるのに時間がかかるかもしれない。ディビジョンI-AAの競技レベルも懸念材料。

メンタル面 : ワンダーリックテスト14点は良くない。CBならこのぐらいはゴロゴロいるが、セーフティとしては最低クラスだ。パッカーズ側の懸念も当然そこにあり、ジョー・ベイカー・セカンダリーコーチを派遣してマンツーマンで綿密にチェックを行った上で、「学習能力は十分」と判断しての指名となった。コリンズを面接に呼んだ他チームの首脳も、「ディフェンスを黒板に書いても、理解力に全く問題はなかった。彼を低く評価する人々は、実際に彼を呼んでボードを使っての話し合いをしていないのだ。小さい学校の選手はいつもこのように不当に扱われるものだ」と証言している。

性格やリーダーシップなど精神面は、情報が少ないせいもあって、よくわからない。最初のミニキャンプでは、上記のような学習能力の問題を質問されても、非常に謙虚な姿勢で受け答えをしていた。うぬぼれの強いタイプではなさそう。大学のコーチは、「苦しい時にみんなが頼りにする、優れたリーダーだ」と語っている。

指名の経緯 : 一般には知られていない選手で、2巡中位での指名には誰もが驚いた。メディアの「専門家」も実際の彼のプレーをよく知らず、また聞きで評価記事を追加しているような状況なので、どれほどアテにしてよいものか。しっかりとした調査をして確信を得た上での指名であることは疑いないが、1年目のトンプソンGMの評価にも関わってくる重要な指名となりそうだ。セーフティ補強が急務である現状で、即戦力タイプではなく荒削りな選手を獲ったことは、契約最終年を迎えるシャーマンHCに少し気の毒でもある。

パッカーズにとって : 「プロではCBをやらせた方が無難」と見る向きも多いが、パッカーズではFSとして育てる予定。経歴からして、1年目からスターターになるのは期待しない方がいいかもしれない。あらかじめFA市場で安価なベテランを2人獲得しておいたのは、このような素材重視の指名に備えるためでもあった。コリンズが即戦力となれるかどうかは、ディフェンスの理解や判断力を磨くことなど、フィジカル以外の面にかかっている。カバー能力を活かしてニッケルバックとして使う手もあるが、チーム首脳は、セーフティ修業と両方では負担が大きすぎる、と乗り気ではないようだ。

etc. : ディビジョンI-AA出身で2巡指名のFSといえば、移籍したダレン・シャーパー(ウィリアム&メリー大)と全く同じだ。コリンズはシャーパーよりスピードがあり、背が低く、勉強が苦手といったところ。シャーパーは1年目はスペシャルチームでプレーしながら、しだいにダイム守備で出番を増やしていった。2年目にスターターとなったがまだ足手まとい。3年目から一人前のスターターとなり、4年目に9INTを記録してプロボウラーとなった。シャーパーの大学時代よりも、コリンズの方が周囲の競技レベルは高かった、とチーム首脳は見ている。ベスーン・クックマン大からは2003年にもDBラショーン・マティスがジャガーズから2巡指名され、ルーキー年から全試合に先発出場している。

2005年5月13日

RBアーマン・グリーンが罪状を否認

4月25日の家庭内暴力事件に関して、RBアーマン・グリーンは治安紊乱行為の罪状で起訴された。この日はグリーン本人の代わりに(必ずしも本人でなくともよい)、2人の弁護人が出廷し、罪状を否認した。グリーンは8月29日の予審に出廷し、8月31日から公判が始まる予定だ。有罪となった場合、最大$1000ドルの罰金もしくは最大90日間の拘留となる。

次回ミニキャンプの日程が決定

次回のミニキャンプの日程は、6月1日(水)から9日(木)と発表された。土日の2日間は練習は休み(日程表)。練習はレイ・ニチキ・フィールドで行われ、ファンに無料公開される。雨天やフィールド状態の悪い日は室内練習場ドン・ハトソン・センター内で行われ、非公開となる。

3日(金)の夜には、エドガー・ベネットRBコーチ主催のチャリティ・ボーリング大会、5日午後にはファーヴ主催のチャリティ・ソフトボール大会が行われる。その他にも、選手同士の親睦を深めるため、何らかのレクリエーションをシャーマンHCが用意することが多い。

2005年5月12日

今夏の"Packers Family Night"はビルズと

毎年、プレシーズンゲームの前週に行われる"Packers Family Night"は、これまでは紅白戦のような、チーム内でのスクリメージ練習がメインだったが、今年は8月5日(金)にバッファロー・ビルズをランボーフィールドに迎え、合同スクリメージを行うことになった。

選手が着たばかりのジャージのプレゼントや最後の花火など、その他のアトラクションは例年通りのようだ。イベントの詳細は後日発表するとのこと。ウィスコンシン州内ではテレビ放映される。チケットは$8ドルで、6月4日から発売。収益の一部は慈善事業に寄付される。なお、昨年はボックス席を除くボウル部分は全て売り切れ、60,217人の観客を集めた。

このようにキャンプ中に他チームとスクリメージを行うのは、リンディ・インファンテHC時代の1991年にペイトリオッツを迎えて以来、14年ぶり。せっかく来てもらうので、金曜夜のスクリメージだけでなく、前日の午後と当日朝の練習も、ビルズと合同で行う予定とのこと。また、すぐ2週間後の8月20日にはパッカーズがバッファローを訪れてプレシーズンゲームを行う予定になっている。

発案者のシャーマンHCは、「他のチームが来てくれることは、いろいろな面で我々のためになる。第一に、今年はトレーニングキャンプの進め方をこれまでとは変えたかった。それに、違った色のジャージを相手にすることで、よりコンペティティヴなキャンプにすることができる。ウチは若手の多いポジションもあるので、プレシーズン4試合に加えて、本番に近いことをもう1回経験できるのもいい。ファンにとっても、木曜午後と金曜朝にも練習フィールドで2チームの争いを見られるというのは、ファミリーナイトの楽しみを広げることにもなる」と語っている。

2005年5月11日

Notebook: RBグリーンを起訴へ

2005年5月10日

ヴァイキングスのオーナーシップについて

レッド・マコームズ現オーナーから、アリゾナの実業家レジー・ファウラー(率いる投資家グループ)へのヴァイキングス売却($625ミリオンと言われる)が2月に発表されてから、NFLの承認待ちの状態がこれまで続いてきた。黒人初のオーナーということもNFLとしては世間体への絶好のアピールになり、売却は順調に進むはずだった。

しかし最大の問題はファウラーの資金力がぎりぎりであることで、筆頭オーナーとなるには全体の3割を出資しなければならない、というNFL側の規定がクリアできないらしい。そこでファウラーの事業の一つ、飛行機操縦シミュレーターの会社を売却して資金を確保する、という話だったが、売却先とされた会社をStar Tribune紙が調べてみるとどうやら実態のない幽霊会社のようで、ややうさんくさい話だった。

そこで最近になって、ファウラーに代わって、ニュージャージーの不動産ディベロッパーのジグムント・ウィルフが浮上してきた。もともとこの投資家グループの一員だったったウィルフが筆頭オーナーに進み、ファウラーはマイノリティ・パートナーに退くことになったのだ。ウィルフ本人はまだ否定しているが、複数の情報筋が確認済みとしている。この交代によって、5月24日からのNFLオーナー会議で、売却が正式に承認されるものと予想されている。これももちろん、ウィルフの資産状況をリーグ側がチェックしてからの話だ。

ジグムント・ウィルフは、「ホロコーストの生き残りの息子」とのことなので、ユダヤ人。フットボールを非常に愛していて、30年にわたってNYジャイアンツのシーズンチケットホルダーだったとのこと。

いっぽう、新スタジアム建設の問題が、球団移転と絡んで注目されるところ。結論から言うと、今のところロサンゼルス等へ移転する心配はない。ウィルフ自身もこのほど、移転の可能性を強く否定したところだ。移転という言葉を口にすることがあっても、それはあくまで、自治体の側に圧力をかけるための手段にすぎないはずだ。

建設地の最有力候補として、1年半ほど前から、ミネアポリス北方のアノカ郡が誘致計画を推進してきた。アノカ郡ブレイン市の400エーカー(約1.6平方キロ)の土地に、ドーム球場、ホテル、医療施設、オフィススペース、マンションなどを建設しようという総額$1,600ミリオン(1.6ビリオン)の大プロジェクトだ。

ところが最近になって、新オーナーとなるジグムント・ウィルフが2回ほどミネソタを視察し、アノカ郡の東方(ミネアポリス東北方)にある「リノ・レイクスがいい」とか、「屋根なしスタジアムの方がいい」と言い出して、アノカ郡当局を当惑させている。建設予定地の地権者たちと用地買収交渉をする上での駆け引きとして言っているという見方もある。とにかく巨額の建設資金を誰がどのように負担するのかが焦点で、このスタジアム問題はまだまだ曲折が予想される。

2005年5月 9日

ドラフト指名選手紹介 1: QBアーロン・ロジャース

 1巡24位 QB アーロン・ロジャース Aaron Rodgers
California Junior 6-2 (188cm) 223lb(101kg) 40yds/4.71秒 1983年12月2日生

経歴 : カリフォルニア州北部のチコ市出身。高校卒業時には一部校から奨学金のオファーを貰えず(学業成績の問題ではない)、ジュニアカレッジへ。そこで全米2位にランクされる活躍を見せ、わずか1年でカリフォルニア大に転入を許された。その直後の2003年シーズン途中からスターターに昇格し、2年間でパス5,469yds、成功率63.8%、43TD、13INTの大活躍。同大にとって久しぶりの2年連続勝ち越し、2年連続のボウルゲーム出場に導いた。

Strengths : 今年のQBの中では最も強い肩を持つ1人で、NFLで要求される全てのパスをこなすことができる。基礎やメカニックが非常にしっかりしており、かなりのクイックリリースで、タッチやタイミングも良い。手も大きい。ポケットでの落ち着きがあり、ヒットを恐れずにぎりぎりまで待つことができる。ポケットで素早くセットし、フィールド全体を見渡すことができる。レシーバーを探すプログレッション・リードもトップクラスになるまでに向上してきた。無理な場所に投げ込むことが少なく、それはINT率の低さに表れている。

大学でもウェストコーストオフェンスをプレーしてきたのは強み。また、レシーバー陣に恵まれないチーム状態でこれだけの数字を残したのも高く評価できる。ポケットでの(ラッシュを感じ取る)感覚が非常に良く、自分の足でセカンドチャンスを生み出すことができる。40yds走4.71秒のスピードは、いわゆる「モバイル系」でないQBとしては最速クラス。タフでリーダーシップに優れる。人格面や熱心さでもコーチからの評判は非常に良い。

Weakness : 身長がやや低い(ファーヴと同じ)。短大経由でカリフォルニア大に入り、しかもアーリーエントリー(3年終了時点でのプロ入り)のため、一部校での先発経験が多くない。スターターとなったのは2003年シーズンの半ばから。ショートパス中心のオフェンスでプレーしており、ミドルからロングのパスの精度については未知数な点もある。足はあるが、ランの脅威は少ない。

ジェフ・テッドフォードHCは、フレズノ州立大、オレゴン大、カリフォルニア大で、トレント・ディルファー、アキリ・スミス、ジョーイ・ハリントン、デヴィッド・カー、カイル・ボラーとドラフト1巡指名QBを育ててきたが、まだ1人も「フランチャイズQB」にはなっていない。どれもしょせんは「システムQB」にすぎず、カレッジではすごい数字は残せてもプロで伸びないのではないか、という漠然とした経験論が専門家の中にもあるようだ。ロジャース自身もテッドフォードの教えに忠実に、高い位置でボールを持つが、そのフォームが「ロボティックだ」という声もある。

メンタル面 : 落ち着いていて自信にあふれ、リーダーシップもあり、精神面は申し分なさそう。謙虚で、無意味な鼻っ柱の強さはないタイプ。ドラフト当日、1位指名候補から指名順がどんどん落ちて4時間半も待たされるという試練を経たが、それでもポジティブにパッカーズ入団を喜ぶ姿勢を崩さなかったことで、ジュニアカレッジから這い上がった苦労は伊達ではないことを証明して見せた。学業成績は良く、ワンダーリックテスト35点も優秀。

指名の経緯 : 49ersは1巡1位でアレックス・スミスかロジャースのどちらを指名するか、直前まで迷った末にスミスを選んだ。10位は外れないだろうと予想されていたが、さまざまな展開のアヤが重なって、あれよあれよという間にロジャースが24位まで落ちてきてしまった。パッカーズにとっては想定外に近かったが、滅多にないチャンスであり、思い切って指名しないわけにはいかない。待ちくたびれたロジャースの一家に対する同情がドラフト会場には満ち満ちており、パッカーズの指名と同時に大歓声が上がった。

もともとパッカーズは2巡指名権が2つあったため、そのどちらかでQBを獲る可能性が高かった。トンプソンGMはロジャースが落ちてくることなどないと最初はやや準備不足だったが、直前の週にその可能性を示唆する情報を得て、あらためてロジャースのテープを入念にチェックしたのだという。

パッカーズにとって : チーム首脳は2002年ごろから、「ファーヴの後継者探し」が大きなテーマだと公言してさまざまな道を探ってきたが、これでようやく本格候補を手に入れた。ファーヴの現役生活はあと1年か2年という見方が主流で、ロジャースはその間ファーヴの下でじっくり修業を積むことになる。しかし、「ファーヴにはあと何年でもやってもらいたい」というのが今でもパッカーズ首脳の公式見解であり、引退への道筋を固めたばかりにファーヴの気力が萎えるようなことは避けたい、という意図がよくわかる。

etc. : 北カリフォルニア出身とあって、彼のかつてのアイドルはジョー・モンタナ。彼の引退後はファーヴが好きだったとのこと。モンタナが去った直後にQBスティーヴ・ヤングが49ersを率いてスーパーボウルを制覇したように、ファーヴの後にグリーンベイに再び栄光をもたらすことを彼は夢見ている。なお、ファーヴがスーパーボウルを制覇した時、彼はまだ13歳だった。

2005年5月 8日

ケガしない体を目指すRBダヴェンポート

RBナジェ・ダヴェンポートは通算で平均5.1ydsラッシングという素晴らしい数字を誇りながら、いかんせんケガが多い。今オフも左肩の手術を受けた彼は、ロサンゼルスの "Athletes Performance Institute" でリハビリに取り組んでいる。ただリハビリするのではなく、食生活の改善やコンディショニングなどを学び、飛躍へのきっかけにしようと努力しているところだ。

その施設で教えられたのは、良くない食生活が自分のケガの多さにもつながっている、ということだった。「僕は健康を保つためにいろいろなことをしてきたが、やり方が間違っていたんだ。ワークアウトをして体重を絞りに絞り、腹はぺこぺこだった。シーズン中は食事は1日1回か2回。体重は抑えられても、全体として健康じゃなかった。栄養が切れると、そこからは次第に筋肉を食いつぶしていってしまう」

今はトレーナーの勧めで、1日に5回から8回の食事を摂っている。十分なトレーニングができないので体重は8ポンドほど増えているが、 体脂肪は減っていて、トレーニングをフルに再開できれば、体重も落とせるという。肩の手術が3月11日だったため、今回のミニキャンプは大事を取るようドクターに言われたが、次回6月のミニキャンプは大丈夫そうだ。

「ナジェにとって良いことは、シーズン中やオフシーズンにどうやって体の手入れをするか、アーマン(グリーン)が最高のお手本となってくれることだ。目の前にいるんだよ」とエドガー・ベネットRBコーチ。ダヴェンポートは、今年はラッシング500yds、パスレセプション200ydsが目標だと言う。「自分の力はもう立証済みだと僕は思っている。あとはたくさんフィールドに出て、機会を貰うだけだ」

2005年5月 7日

マイク・シャーマンHCの現在

ロン・ウルフの引退以来、4年にわたってパッカーズのHC兼GMという重職を担ってきたマイク・シャーマン。全ての問題に対処し、全ての決断を下し、全ての質問に答えなければならない。そんな日常が知らず知らずのうちに彼のバランスを狂わせていたのは確かだ。本人の望んだことでないとはいえ、ハーラン社長がGM職を剥奪してテッド・トンプソンに与えたのは、ちょうど良いタイミングだったのかもしれない。

「ファーヴの父上の葬儀に出かけた。いとこをガンでなくした。ご近所で2人も心臓発作に見舞われた。ヘイトリー副社長の急死には打ちのめされた。ロスリーOCも、(心臓発作で)あやうく失うところだった。そしてレジー・ホワイト・・・」とシャーマンHCはこの1年ほどの事件を振り返っている。

特にマーク・ヘイトリー副社長を失ったのは痛手だった。「私たちは正反対の人間でありながら互いの長所を引き出していた。私は東部出身のヤンキーで彼は南部人。ときどき彼の話が理解できなかったし、向こうも私の言うことが理解できなかったりした。私は几帳面で、組織だったことを好む方だ。しかし彼の机ときたら・・・私が『選手のリポートはどこにある?』と聞くと彼が机の上をかきまぜるのが常だった」

「私は相手を緊張させ、彼はそれを緩めてやるという風に、2人は良いブレンドだった。付き合い始めはいろいろあったが、とてもよい友人になった。彼がいなくなったのは本当につらい。彼がシーズン直前に亡くなり、シーズンに入るとロスリーOCを心臓発作で失いそうになった。私は仕事上だけでなく、人生の上でも彼らに頼っていたから、とても大きな打撃だった」

「私は仕事に来るのが嫌だと感じたことはない。毎日、仕事に来てさまざまな問題を正すのが待ちきれないほどだ。しかし同時に、次第に燃え尽きてしまうということも起こりうる。いろいろな事件が起こり、仕事のことを見直したいと思っていた。私は50歳になった。葬儀場に座ったり、追悼ミサに出たりすれば、いろいろなことを考えるものだ。自分にとっては、『物事を見つめ直せ』という "wake-up call" のようなものだった。大事なのは、自分が接する人々との関係だ、ということがわかった。本当に大事なのは、それをより良くしていくことなのだ」

最初はショックも感じたが、シャーマンHCはGM職を手放したことを前向きに活かそうとしている。「GMとして練習を観察するとき、能力を見極めようという目で選手を見るものだ。コーチとしての練習では、自分のスキームにおけるその選手、スキームそのもの、自分のしたコール、そのプレーでその選手がどのように機能するか、ということを観察する。それにコミュニケーションが取りやすくなる傾向もある。GMだった時には、チームの能力やタレントのレベルを測ろうとしていた。少し引いた位置で、あまりのめり込み過ぎないようにしなければならなかった。今は個々の選手と積極的に関わっていくことができるし、プレーを教えることに没頭できる。だから、選手たちとのコミュニケーションが取りやすくなるのだ」

昨季が終了してからは食生活も改善し、朝はチームのトレーニングコーチについてワークアウトをしている。5人の子供たちと過ごす時間も増えた。ウォーパカ湖でアイスフィッシングをしている人に食事をおごられたりもした。人気取りをしようというのではなく、本当に自分やパッカーズを愛してくれる人たちと話すことで、自分を測り直したいのだと彼は言う。

「昨年いろいろなことがあり、自分自身の何かが理解できたような気がする。もし16歳の時の自分(パッカーズのヘッドコーチになるのが夢だった)に、キミは将来グリーンベイ・パッカーズのヘッドコーチになるのだ、と言ったら、きっとすごく驚くだろう。ハードワークを続けて、ついにここまで来た。ところが、ここにい続けるために燃え尽きそうになり、せっかくの仕事を楽しめていない。自分を見つけて気が付いたのは、一つはそういうことだ。今年はもっと自分の仕事を楽しもう、その先のことはそれからだ、と私は心に決めている」

2005年5月 5日

Minicamp Notebook

これまでに書き漏らした、今回のミニキャンプでの話題や評判をざっと。

2005年5月 4日

ファーヴがWRウォーカーのホールドアウトに苦言

昨年も、ホールドアウトのCBマッケンジーに対して苦言を呈したQBブレット・ファーヴだが、今年もチームメイトを代表してWRジャヴォン・ウォーカーにメッセージを送っている。「もし、自分のQBがどう思っているか彼が知りたいなら、ジャヴォンは間違った方向に進もうとしていると思っている、と伝えるよ。 『チームメイトの思うことなど気にするな』とエージェントは言うだろう。僕は長いことやっているから分かるが、こういったことは必ず自分にはね返ってくるものだ」

「ジャヴォンがそのような選手だと思ったことはない。このビジネスでは何が起こっても不思議じゃない。特に、その選手がちょっと成功を収めた時にはね。自分の成功に正しく対処できる選手もいるし、できない選手もいる。最近では、このような手(ホールドアウトによって高額契約を求め、ダメならトレードに出せ、というような手段)を使う選手がどんどん増えてきている。このようなことがまかり通るようになると、フットボールそのものがダメになってしまうと僕は思う。今回のジャヴォンの件への僕の反応は、『またかよ』という感じだ」

「ジャヴォンはものすごく大きな能力を持っていて、昨年それが表れた。無限の才能を秘めているし、真っ先に僕がかばってやりたいところだ。しかし彼は間違った方向へ行こうとしている。僕は古いのかもしれないが、契約は尊重すべきだと常に考えてきた。確かに、自分より高い額を貰う選手がいることもあるし、それが自分より劣る選手であることもある。しかし全ては球団がその選手にどれだけの価値を認めたかだ」

「パッカーズには、彼の要求に屈してほしくない。僕はオフィスに乗り込んで首脳と話し合うことはしないよ。誰をドラフトすべきだとかすべきじゃないとかね。そのようなことは求められていないし、自分の仕事ではない。僕の仕事は、パスを投げること、リーダーであることだ。だからこそ、今回こうして話をすることにした。僕はリーダーでなければならないし、たとえこういったことが好きでなくても、自分が言わなければならないと思ったんだ」

「チーム優先の考え方はどうなったのだろう? 彼はプロボウルに出るぐらいのサラリーは貰っている。2年前には何の不満も持っていなかったし、昨季プロボウルに出るまでは、自分のサラリーのことなど振り返ったこともなかっただろう。こういったやり方が、よい結果を生むとは思えない。トレーニングキャンプが始まっても欠席が続けば、次第に彼も心配になって、きっと戻ってくることだろう。しかしやはり、何が起きるかはわからない」

「ウチには素晴らしい努力を続ける選手たちがいる。スター選手とはそうして生まれるものだ。スターリング(シャープ 1994年にホールドアウト)がチームを離れた時に何が起きたか見てみるといい。ロバート・ブルックスが台頭したんだ。僕たちは彼なしでも勝つことはできる」

2005年5月 3日

Minicamp - Day 5: OLの右サイドは流動的

2005年5月 2日

ファーヴは自宅でトレーニング中

昨季終了後に首脳陣とブレット・ファーヴは、これまでで最高の体調で2005年シーズンに臨もう、と話し合った。その方針に沿って、ファーヴをミシシッピの自宅に置いてリラックスさせながら、個人トレーナーについてトレーニングに取り組ませることに決めたのだシャーマンHCは言う。すでに先週火曜日から、そのワークアウトプログラムはスタートしている。「彼を最高の体に整える必要がある。若くなることはないわけだからね」

「ミシシッピで今ごろ彼は、歩くこともできん、と泣いているよ。木曜にダレル(ベヴェルQBコーチ)が連絡を取ったら、そう言っていたそうだ。かつてなかったような筋肉痛を感じている。これは良いことだ」とシャーマンHCは笑っている。「彼はいままであまりストレッチング・エクササイズや体幹部のトレーニングはしてこなかった。だからこうすることで、長い目で見れば彼のキャリアをより長くすることになると期待している」

若い頃はオフも熱心にトレーニングを積んだファーヴだが、ベテランになってからはマウンテンバイクなどによるコンディショニングに重点を置いてきた。今回のプログラムでは、腹部・腰・骨盤といった体幹部の強化に力を入れている。「しかし、ドリルからドリルへノンストップで移っていくので、結果として心肺機能も強化されることになる」とベヴェルQBコーチは説明する。「彼の体が緩んでいる、というわけではない。しかしこの強化によって、彼のプレー能力もアップさせると思う。昔のように、ヒットを恐れずにランでヤードを稼げたり」

「ボールを投げる時の体の回転力や、ヒットを受ける時の、体幹部の各パーツの強さを増すことができる。どこか弱いところがあると特定の場所に負担がかかって筋肉を傷めやすい、そんな年齢に彼もさしかかっているからね」とシャーマンHC。5月途中からファーヴは軽いパスを投げ始める予定だが、6月のミニキャンプに彼を参加させるかは未定とのこと。

今回のミニキャンプを欠席させた決断について、ジョー・モンタナの経験を伝え聞いたことが理由の一つだ、とシャーマンHCは明かしている。「モンタナが引退を選んだ理由の一つはミーティングや練習のことだ、という話を聞いたのだ。私はファーヴに飽きてしまってほしくない。常にやりがいを感じていてほしい。決まりきったこと、と感じてほしくない。彼は、まるで初めての試合のように(活き活きと)プレーする。ミニキャンプのために、その新鮮さを奪いたくないのだ」

Minicamp - Day 4: 新人CBホーキンス好評

2005年5月 1日

Minicamp - Day 3: ルーキー合流

10人のドラフト外ルーキーと契約

10人のドラフト外ルーキーとの契約が発表された。なお、その他にも「パッカーズと契約」と報じられながら今回発表されなかった選手もいる。ケガのためにフィジカルテストに受からなかったのか、まだ正式契約に至っていないだけなのか。

2005 Packers Rookie Free Agents
Pos. Name College ht./wt. 備考
WR Vince Butler Northwestern Oklahoma State 6-0/195lbs 3年間全試合に出場
WR Chris Samp Winona State 6-3/224lbs 地元ウィスコンシン出身。昨年はディヴィジョンII最高の1587yds
RB Chaz Williams Georgia Southern 5-9/213lbs RBだけでなくKRも。大学ではオプションQBだった
TE Garrett Cross California 6-4/245lbs QBロジャースの短大時代からの同僚
OG Chris White Southern Mississippi 6-2/294lbs 背が低い。大学ではタックルだったがパッカーズではガード
DT A.J. Lindsay Temple 6-3/323lbs 大型幅広のNTタイプ
LB Roy Manning Michigan 6-2/252lbs 多くのチームから誘われた。契約ボーナス$15,000ドル
LB Zac Woodfin Alabama-Birmingham 6-1/239lbs 4年間で46試合全てに出場
CB Leigh Torrence Stanford 5-11/185lbs 昨年は4INT
P Bryce Benekos UTEP 6-5/227lbs 身長196cmの大型パンター。契約ボーナス$5,000ドル