敗因がいろいろあるにせよ、精神面での準備不足が大きかったことは、記者だけでなくコーチや選手も認めている。「僕たちは自信過剰になってしまっていたんだ。このスタジアムに来るだけで、相手のホームで勝てるものだと思ってしまっていた」とWRドナルド・ドライバー。「仮に、試合の最後で勝利を収めることが出来たとしても、我々が勝利に値する、とは思えなかっただろう。そのようなプレーができていなかったからだ」とマイク・シャーマンHC。「我々は4週間にわたってハードに、タフな、激しいフットボールをしてきた。それが5週間にならなかったことが残念だ」
普段はこのような(気合が足りないからだ、というような)議論を相手にしないJS Onlineの Cliff Christl でさえ、「試合の最初から、パンクしたタイヤのように気が抜けていた」と評している。ただ、「どんなチームでも長いシーズンにそういう試合はあるものだし、そのような状態のときでもなんとか勝つ道を見つけるのが良いチームなのだ」と付け加えている。
1Q | 2Q | 3Q | 4Q | Total | |
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Packers (6-6) | 0 | 7 | 7 | 0 | 14 |
Lions (4-8) | 10 | 3 | 0 | 9 | 22 |
前半はライオンズの攻撃をパッカーズが止められずにズルズルと13点を失い、6点リードされてハーフタイム。後半に入ってパッカーズのディフェンスが落ち着きを取り戻し、WRウォーカーへのロングTDパスで逆転。しかしそこからのオフェンスがひどかった。後半だけで5つのターンオーバーを奪われ、3つのフィールドゴールで9点を失って完敗。好調だったパッカーズのOL陣が、ライオンズのDL陣に圧倒されたのが大きな敗因。1stダウンでのランプレーをことごとく止められ、パスプロテクションでも苦しんでQBファーヴは4サックを浴び、痛いファンブルロストもあった。
<第1Q> パッカーズ最初の攻撃は、フォルススタートが響いて1stダウンならず。ライオンズはDET陣44からのフィールドポジションを活かし、RBブライソンのランとWRハキームへのパスなどで着実にボールを進め、最後もブライソンのランで先制のタッチダウン。パッカーズはWRファーガソンへの17ydsパスでDET陣に入るが、スクリーンパスでのロスタックルが響いて結局パント。DET陣12からのライオンズだったが、CBマッケンジーのアンネセサリーラフネスで1stダウンを与え、さらにTEリックスへの38ydsパスでGB陣へ。42ydsのFGが決まってライオンズが10点のリード。
<第2Q> パッカーズはTEウォールズへの29ydsパスと、3回もの相手反則に助けられ、最後はTEフランクスへの5ydsTDパスが決まって3点差に。ライオンズは3rdダウンでのパスをしっかり決めてボールを進め、タッチダウンこそならなかったが、14プレー、7分35秒のドライブで3点追加。パッカーズは3rdダウン1からQBファーヴがサックされて3&アウト。2ミニッツ明け、DET陣49からのライオンズの攻撃だったが1stダウンならず。GB陣10からのパッカーズもRBグリーンの21ydsランなどでGB陣40まで進むが得点圏まで進めず、6点差のままハーフタイムへ。
<第3Q> ライオンズはまたGB陣に攻め込むが、ホールディングの反則が響いて結局パント。パッカーズはパスを4本つないでDET陣32に攻め込むが、CBブライにインターセプトされてしまう。しかしライオンズは、珍しくGB陣に入ることができずパント。GB陣35からのパッカーズは、WRドライバーへの20ydsパスのあと、WRウォーカーに45ydsのロングTDパスが決まり、一気に逆転。次のライオンズはパスが通らず3&アウト。GB陣20からのパッカーズも1stダウンならず。DET陣39からのライオンズだが、ファンブルでの8ydsロスが響いて結局パント。
<第4Q> 最初のプレーでWRウォーカーがファンブルロストし、GB陣31でのピンチに。1stダウンはならなかったが、49ydsのFGが決まって再びライオンズが2点リード。パッカーズは、DET側のアンネセサリーラフネスで1stダウンをもらうが、リバースでの7ydsのロスタックルが響いて結局パント。DET陣30からのライオンズだが、CBマッケンジーがGB陣41でインターセプト。しかしその直後にQBファーヴがサックされ、GB陣36でファンブルロスト。ライオンズは1stダウンを奪えなかったが、46ydsのFGが決まって5点差に。パッカーズはRBダヴェンポートの51ydsリターンでDET陣40からのチャンスだったが、QBファーヴが2つめのインターセプトを喫してチャンスを逃す。DET陣46からのライオンズは、RBゲイリーのランとハキームへのパスでGB陣レッドゾーンに入り、32ydsのFGで8点差に。残り3分27秒。パッカーズは2ミニッツをはさんでDET陣に入るが、最後はCBエヴァンズにインターセプト。残り29秒からのパッカーズの攻撃は、エンドゾーンへのヘイルメリーパスが通らず、試合終了。
"Congratulations on a great game today. It was a fine victory for a great coach, a great team, and a great town."
ヴィンス・ロンバルディHCのオフィスの壁には、'61年にNFLチャンピオンになった時の、ケネディ大統領からの祝電が、誇らしげに飾られてあった。そのオフィスで、次のゲームの準備をしていたロンバルディの元に、「大統領が暗殺された」という悲報が飛び込んできたのは1963年11月22日金曜日のことだ。
ミーティングを終えて帰途についていた選手たちが、このニュースを聞いてヘッドコーチの元に戻ってきた。打ちひしがれたロンバルディは選手たちに向かって話をし終えると、2マイルほど離れた聖ウィルブロード教会へ向かい、その午後はそこで祈って過ごした。1960年、若き大統領候補と気鋭のヘッドコーチが出会ったのは、その聖ウィルブロード教会でのことだったのだ。
出会って以来、2人は友情で結ばれるようになっていた。アイルランド系のジョン・F・ケネディが、カトリックでは初めて大統領に選ばれたことを、同じくカトリック(イタリア系なので当然だ)のロンバルディが大喜びしたことは言うまでもない。ケネディは、ホワイトハウスの私用の電話番号をロンバルディに教え、時おり2人で話しこむこともあった。陸軍予備役だったスターHBポール・ホーナングが召集された時、彼がNFL決勝でプレーできるよう、大統領が取りはからったというエピソードもある。
「このような悲劇の中でもプレーを続けるのがスポーツの伝統だ」というピート・ロゼール・コミッショナーの決断で、2日後のNFLのゲームは予定通り行われることになった (しかしロゼールはこの決定を生涯悔やんでいたという)。国じゅうが悲しみに沈むなか、パッカーズは試合の行われるミルウォーキーへの列車に乗り込んだ。なんとかフットボールに集中しようとするロンバルディは、列車の中でコーチを集め、翌春のドラフトについて話し合った。
そして49ers戦。テレビ中継はなく、先発選手の紹介もなし。ハーフタイムのバンド演奏もなく、この日流れた音楽は国歌だけだった。DEウィリー・デイヴィスは、「チーム全体に元気がなかった。自分にとってもキャリア最悪の出来だった」と振り返っている。しかしそれでも、パッカーズは最下位の49ersに対して28-10で勝利を収めた。
精彩を欠いた試合内容にもかかわらず、この日のロンバルディは試合後にひとことも言葉を発しなかった。不甲斐ない選手たちに説教することも、無気力なプレーぶりを叱責することもなかった。
あの祝勝電報と、大統領とともに招待された'62年のミルウォーキーでの晩餐会のプログラムが、大事な形見となった。そしてロンバルディは、あの日教会で捧げた祈りのカードを聖書にはさみ、生涯手放すことはなかったという。
QBブレット・ファーヴは火曜日の練習で全てのスナップに参加。親指をケガして以来、最もよい出来だったようだ。問題のLBバーネットとSシャーパーは火曜日も練習に参加できず。LBバーネットは順調に回復しているようで、出場への可能性もちらつかせているが、対戦相手へのブラフかも。Sシャーパーは、肋骨でなく肺が傷ついてしまったようで、まだドクターの許可が下りない。
パッカーズ | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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ライオンズ | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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月曜日はごく軽い練習。昼に集合し、数時間のビデオ反省会のあと、"walk-through"と言われるフォーメーションチェックを45分間。もちろんパッドはなし。今回は文字通り、歩くだけだったようだ。試合が3日後にもかかわらず、ここまで練習を軽くしたのは、疲労回復を最優先したため。今回の練習方針には、一昨年の苦い経験が活かされている。
一昨年の感謝祭ゲームの前は、ファルコンズ戦に敗れた直後ということもあって、月・火と多めの練習を課してしまった。その結果、ライオンズ戦では試合の最後にディフェンス陣の足が上がってしまい、ルーキーQBマクマーンに16点差を2点差まで追い上げられ、2ポイントコンバージョンが成功したら延長にもつれこむところだった。「あの試合の最後は、特にディフェンス陣がバテてしまったように感じた。そのために、今回は試合への準備を慎重に考えたのだ。十分に休養しつつ、ゲームへの準備ができたらと思う」とマイク・シャーマンHC。
スタッツだけを見ればランオフェンスの勝利だが、最初のドライブで先制の66ydsのTDパスを決めたことが試合の流れを決めた。モメンタムをつかんだだけでなく、ランを止めに来ていた相手ディフェンスにショックを与えられたからだ。「今季これまで、こんな速攻はオレ達はしたことがなかった。相手ディフェンスの士気をくじいたと思う」とLGウォール。TEウォールズは、「オレ達オフェンスはこんなビッグプレーに飢えていた。たしかにランニングゲームでゲインしまくってるが、爆発的なパスプレーも必要なんだ。ジャヴォンは素晴らしいキャッチだったよ」
自陣34での3rdダウン5、ショットガンから、QBブレット・ファーヴはブリッツを察知して7人でのプロテクトを指示。セーフティがブリッツに入ったため、左サイドのWRジャヴォン・ウォーカーはCBウェブスターとの1on1に。15ヤードのアウトパターンを走るはずだったウォーカーは、CBウェブスターを抜いて縦に走り、それを見たQBファーヴがロングパス。ほんのわずかに短かめだった(ファーヴにしては上出来だが)パスを、SF陣27で競り勝ってキャッチしたウォーカーが、サイドラインぎりぎりをエンドゾーンまで駆け抜けた。
このようなパスの練習はいつもしていることだが、先週木曜日にQBファーヴがWRウォーカーに投げたパスは2本とも失敗。しかし本番で実を結んだ。チームにとって今季最長のパス成功であるだけでなく、WRウォーカーにとってもキャリア最長だ。
1Q | 2Q | 3Q | 4Q | Total | |
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49ers (5-6) | 0 | 3 | 7 | 0 | 10 |
Packers (6-5) | 7 | 10 | 0 | 3 | 20 |
プレーオフを含めれば9年連続での対戦。朝のうちはかなり強く降っていた雨も、試合開始の頃には弱くなって霧雨に。気温は3℃で、ほぼ例年なみ。照明灯には灯がともっている。
第1Q。49ersの攻撃を3&アウトで止めたパッカーズは、WRウォーカーへの64ydsTDパスが通ってあっさり先制。次の49ersの攻撃もパントに終わらせたパッカーズだが、ファーヴが自陣でSブロンソンにインターセプトされてしまい、GB陣20でのピンチ。しかし相手反則やDEバジャ=ビアミラのサックでタッチダウンを許さず、28ydsのFGも失敗に終わる。
第2Q。最初のプレーでQBファーヴがいきなりインターセプトされてしまい、再びGB陣22でのピンチ。しかし49ersは2つの反則でGB陣34まで下がり、結局パント。GB陣17からのパッカーズは、RBグリーンとRBダヴェンポートのランを中心にじわじわとボールを進め、最後はWRファーガソンへの16ydsTDパスが成功して14-0。SF陣40からの49ersは、QBラテイがしぶとくパスをつないでGB陣レッドゾーンへ。しかしタッチダウンはならず、24ydsのFGでようやく3点。2ミニッツ明け、パッカーズはRBグリーンの24ydsランなどでSF陣に進み、前半終了と同時に38ydsのFGが成功。
第3Q。RBダヴェンポートのナイスリターンでGB陣37から。RBグリーンの21ydsランでSF陣35に進んだパッカーズだが、次の1stダウンは奪えず、49ydsのFGは失敗に終わる。両者3&アウトのあと、パッカーズはRBグリーンのランで再びSF陣28に攻め込むが、QBファーヴが3つめのインターセプトを喫してまたもや得点ならず。49ersはパッカーズのアンネセサリーラフネスとRBハーストの22ydsランなどでGB陣に進み、最後は4thダウン3でギャンブルを敢行、WRオーウェンスへの24ydsのTDパスが決まって7点差に。
第4Q。両者パントのあと、パッカーズは相手反則で得た有利なフィールドポジションから、RBダヴェンポートのランなどで敵陣深くに進み、37ydsのFGで3点追加。10点差を追う49ersだが、QBラテイのパスをSSエドワーズがインターセプト。残り6分08秒。パッカーズは3rdダウンを3回更新し、RB3人のランを中心に、12プレーで残り時間を使い切って逃げ切り。
今季のパッカーズの強力なラン・オフェンスを象徴するのが、"Heavy"パッケージ。OTケヴィン・バリーをエクストラ・タイトエンドとして使うフォーメーションだ。ほとんどの場合、RTタウシャーの右側にバリーがセットする。第3週のアリゾナ戦に敗れた直後、ベクトルOLコーチの進言を容れて、バリーをこのように使うようになったのだという。"71番がエリジブル・レシーバー"と審判がコールするため、テレビだけでなく、ラジオを聴いていてもすぐにそれとわかる。
たいていのチームが似たようなパッケージを用意しているが、普通は敵陣ゴール前でたまに使う程度。しかし最近のパッカーズは、フィールドのどこからでもこれを使う。だいたい1試合に10プレー、先日のバッカニアーズ戦ではなんと21プレーもこの"Heavy"パッケージを活用し、これだけで115ydsもゲインした。98ヤードの決勝TDドライブでは、17プレーのうち9プレーがこれだった。彼が出てくれば、相手ディフェンスも、たいていはランプレーだと予想がつくはずだ。しかし、セーフティを上げて8メンフロントで守っても、結局はパワーで圧倒されてしまう。
試合翌日のビデオ反省会で、仲間の選手たちが歓声を上げるのは、バリーのパンケーキ・ブロックだ。「まるでモンスターだよ。見てて楽しいね」とTEウォールズ。しかもバリーはプレーが非常に安定していて、ランプレー失敗(1yds以下のゲイン、またはロス)の原因になるようなブロックミスが、ここまで一つもないとのこと。
アリゾナ大からのドラフト外でパッカーズ入りして今年が2年目。RTタウシャーが元気である限り、本職の右タックルとしての出番はとうぶん望めそうにない。しかしベクトルOLコーチは、彼ならどこに行ってもスターターが務まる、と太鼓判を押している。「しかも、あいつはチームで最も人気のある選手の一人だ。すごく可愛げがあるんだな。それに、選手たちはみなあいつのフィールドでのプレーをちゃんと見てるよ」
パッカーズ | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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49ers | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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開幕直後にパッカーズにやってきたCB/Sマイケル・ホーソーンが、ついに3番手CBの座を確保。水曜日の練習では、足を痛めているCBアル・ハリスに代わって、1stチームでプレーした。「彼はその座を争っている一人だが、今日の時点では彼が3番手だ。ただし、これはいつでも変わりうる」 とスロウィックDBコーチも認めている。
加入直後から堅実なプレーを見せて評価の高かったホーソーンだが、CBバウ・ジューの不振がなんといっても大きい。今年は期待の大きかった3年目のジューだが、チーフス戦などで試合を決めるような大きなミスを繰り返し、パス守備不振の一因となってしまっている。すでにチーフス戦直後からダイム隊形での出番を失い、ダイムでは先発の4DBにSアンダーソンとホーソーンが加わるのが基本パターンになっている。
ホーソーンの魅力はヴァーサタイルなこと。学生時代を通しての経験はセーフティよりもCBの方が豊富だが、6フィート3(191cm)と長身で、大型WRとも容易にマッチアップできる。ややスピードには欠けるが、チェンジ・オブ・ディレクションもスムーズで、しっかりとしたパスカバレッジを見せてきた。シーズンに入ってからの補強で、ホーソーンとDTグレイディ・ジャクソン(どちらも元セインツ)が獲得できたことはパッカーズにとっては大きい。
心配されたQBブレット・ファーヴの親指の状態について、シャーマンHCが説明した。試合中にぶつけた時の痛みはかなりのものだったが、それによって新たにケガをしたわけではなく、骨折の回復が後戻りしたわけでもない、とのこと。「骨折してから3週間が経ち、回復はしている。もちろん、ぶつけてしまった時には痛むだろう。しかし痛みがあっても、回復は続いているのだ」とシャーマンHC。
Press-Gazette紙では、専門の整形外科医の話を聞いて、シャーマンHCの説明を裏付けている。そのドクター(ファーヴを直接診断したわけではない)によると、「骨折後に何度もぶつけるようなことがあっても、それでも治り続けているものだ。今の彼の痛みは、ぶつけたことによる炎症などによる痛みなのだろう」とのこと。ドアに指をはさんだ時、ひどい痛みはあるものの、数日経てば、腫れも痛みも治まっていくのと同じことのようだ。
シャーマンHCが強調したのは、連続出場記録のためにファーヴがプレーしているのではない、ということ。「ブレット・ファーヴにとって、試合に勝つことが全てなのだ。彼が自分の連続出場記録に誇りを持っているか?といえばイエスだ。我々全員がそうだ。しかし、彼はそのために勝利を犠牲にするようなことは決してない。もし自分がチームの勝利にとって邪魔になると感じたら、必ず彼自身がそう告げに来るだろう。約束してもいい」
昨年の@タンパベイで、DTサップのヒットで骨盤に大ケガを負わされて以来、長く厳しいリハビリを積み重ねて、復帰を果たしたLTチャド・クリフトン。今週は、遺恨試合と騒ぎ立てるメディアの声に耳を貸さず、目の前の仕事に集中した。現在11サックのDEシメオン・ライスを相手に、パスプロテクションでは完封し、QBファーヴへのプレッシャーさえほとんど許さなかった。そしてDEライスの苦手なランプレーでは、当然のように圧倒した。
試合前、DTギルバート・ブラウンが立ち上がり、チームメイトの前で"ペップトーク"をした。昨年ここで敗れた悔しさ、LTクリフトンを失った悔しさを強調したスピーチだったのは言うまでもない。「彼は、"俺たちはクリフトンのために勝つんだ"という内容のことを言ってくれたんだ。僕には必要のないことだったけど、そんなことを聞くのは嬉しいことだよ」とLTクリフトンは振り返る。そして、ラインマンたちの気持ちはただ一つ、「汚いプレーじゃなく、試合内容で復讐する」というもの。
そして、まさにその通りの結果になった。「チャドは今きっと、すごくいい気分に違いないよ。今日はDEシメオン・ライス相手に完勝したんだからね。僕らは素晴らしいランニング・ゲームができた。向こうが送り込むブリッツァーも全てピックアップした。セイフティをブリッツに入れたり、スラントを仕掛けたりしてきたけど、こちらは全てを止めることができた」 とLGウォール。
試合前はやはりナーバスになったというクリフトンだが、2つ目のドライブでランが出始めると、彼もライン全体も落ち着くことができた。DTサップとは、試合中に軽い挨拶を交わしただけだったようだ。サップに、"調子はどうだ?"ぐらいの挨拶をされたクリフトンは、"Good. Obviously, real good."
1Q | 2Q | 3Q | 4Q | Total | |
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Packers (5-5) | 7 | 6 | 0 | 7 | 20 |
Buccaneers (4-6) | 0 | 6 | 7 | 0 | 13 |
気温は26℃。先週のグリーンベイとはとは30℃近い差がある。
前半は、ディフェンスとスペシャルチームの頑張りで得たフィールドポジションを活かし、なんとか7点リードしたパッカーズ。後半最初のドライブでWRマッカーデルへのTDパスが決まり、あっさり同点に追いつかれ、しかもQBファーヴがINTを喫してピンチに陥るが、ディフェンスの頑張りでしのぎ、自陣2ヤードからラン中心に10分近く使って値千金の勝ち越しTDドライブ。両者ともプレーオフへの生き残りをかけた大事な一戦を、パッカーズがかろうじて制した。
前半。両者3&アウトのあと、パッカーズはRBグリーンのランで敵陣ゴール前に迫り、最後はRBフィッシャーへのショベルパスで先制のTD。その後は両者パントの蹴り合いとなるが、フィールドポジションを有利に進めたパッカーズが、第2Qのはじめに31ydsのFGで3点追加。バッカニアーズはRBジョーンズの61ydsランでGB陣9に迫るが、こちらも3点どまり。その後は再び両者ディフェンスの頑張りでパント合戦。パッカーズオフェンスが3&アウトを繰り返すうち、前半終了間際にバッカニアーズはわずか14秒で3点を追加し、7点差に追い上げてハーフタイムへ。
後半最初のバッカニアーズの攻撃で、WRマッカーデルへのTDパスが決まり、あっさり同点。その後もQBファーヴがインターセプトを喰らうなど、パッカーズは苦しい展開に追い込まれる。しかし自陣2ヤードからの攻撃を、17プレー、10分近く使ってRBグリーンのTDランに結びつけて勝ち越し。その後は再びパッカーズディフェンスが勢いを取り戻して1stダウンを与えず、オフェンスはRBダヴェンポートのランを中心に1stダウンを重ね、時間を使った。最後はロングパスをSシャーパーがインターセプトして試合終了。
パッカーズ | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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バッカニアーズ | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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パッカーズは、LBのT.J.スローターと契約したと発表した。LBスローターは10月26日に銃によるトラブルを起こして逮捕され、その直後にジャガーズから解雇されたばかり。その後フロリダ州の司法当局は、「銃を引き渡し、慈善に$500ドル寄付する」との条件で、起訴を取り下げている。シャーマンHCは、「彼はフィジカルなLBで、ミドルもウィークサイドもできる。スペシャルチームでは、すぐにインパクトを与えてくれると期待している」とのこと。
LBスローターは今年でNFL4年目となる26歳。サザンミシシッピ大から、2000年のドラフト3巡でジャガーズ入り。3年半で42試合に出場、29試合に先発。しかし昨年は、(ステロイドに似た)薬物違反で4試合の出場停止処分を受けている。彼のトラブル歴について、「彼の人格が疑問視されたこともあったが、私は彼のことを詳細に調査し、全てのリポートはポジティブなものだった。グリーンベイでフレッシュスタートをする機会を、彼には活かしてほしいと願っている」 とシャーマンHC。
なお、フルネームは Tavaris Jermell Slaughter だが、登録名は T.J. Slaughter となっている。
彼に代わり、DTターデル・サンズが解雇された。DTグレイディ・ジャクソンが加わってDT陣、特にノーズタックルが充実したためと思われる。
1Q | 2Q | 3Q | 4Q | Total | |
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Eagles (6-3) | 0 | 0 | 3 | 14 | 17 |
Packers (4-5) | 0 | 7 | 0 | 7 | 14 |
雨風ともに強く、試合開始時の気温は4℃。悪条件の中、前半は両チームともオフェンスがまるで進まず、パンターが大忙し。トータルヤードでリードしながら、2つのターンオーバーでドライブをムダにしたパッカーズは、前半終了間際にようやく7点先制。後半に入って、イーグルスのオフェンスが息を吹き返す。パッカーズが3rdダウンを1回しか成功させられず、イーグルスが常に有利なフィールドポジションでゲームを進める。QBマクナブのTDランで逆転したイーグルスに対し、パッカーズもいったんはRBグリーンのロングTDランで再逆転するが、残り3分でとどめの1stダウンが奪えず、イーグルスに逆転のドライブを許してしまった。大きなミスを犯さなかったイーグルスの我慢が、最後に実を結んだ。
前半。パッカーズはRBグリーンのランが好調(前半だけで122yds)で優位に試合を進めるが、彼のファンブルロストとインターセプトでドライブが続かない。イーグルスは47ydsのFGを外し、無得点。パッカーズは2ミニッツに入ってRBグリーンへのスクリーンパスが24ydsのタッチダウンに。ようやく7点を先制。
後半最初のイーグルスは、RBステイリーへのパスが34ydsのロングゲイン。かろうじてTDは逃れるが、21ydsのFGでイーグルスも初得点。パッカーズは徹底したランでPHI陣21まで進むが、連続ロスタックルと45ydsのFG失敗で追加点ならず。第4Qに入り、フィールドポジションを有利に進めるイーグルスは、WRスラッシュへの51ydsパスのあと、QBマクナブの1ydsTDランでついに逆転。しかしパッカーズは、PHI陣45での4thダウン1でギャンブルし、RBグリーンの45ydsのTDランが飛び出してまた逆転。次のイーグルスはGB陣32での4thダウン5でギャンブル失敗するが、パッカーズが3&アウトのあと、WRピンクストンへのTDパス成功で逆転。残り21秒、最後のパッカーズ攻撃はFG圏内にまで届かず、万事休す。
パッカーズ | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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イーグルス | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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シーズン後半になるとあちこちで話題になるのがプロボウル。昨季はRGリヴェラがパッカーズOLとしては久々のプロボウル出場を果たしたが、今年はどうなのか。今季パッカーズは、ラン攻撃3位、1回あたりのラン5.3ydsはNFL1位、被サック数は2位。昨年よりもさらにOL陣の評価は上がり、ケガ人さえ出なければどれだけやれるかを実証している。
現在のパッカーズOLの特徴は"粒ぞろい"であること。飛び抜けた有名選手はいないが、水準以上の選手が揃い、その選手たちが何年も同じメンバーでプレーすることでケミストリーを高めている。もう一つの特徴は、アスレチックであること。ガードやセンターの機動力を活かしたプルブロックを使ったパワープレーが、パッカーズオフェンスのトレードマークになっている。
ESPNのパスカレリはシーズン前半のオールNFCにRTタウシャーを選んでくれているが、化け物のような有名選手が多いタックルでは、実際に選出されるのは大変だ。しかし、ガードとセンターなら可能性はかなりある。「選ばれるかどうかは、これからのチーム成績にかかってるね。インサイドの3人は、他のどのチームよりもいいプレーをしてる。3人全員は無理だろうけど、それに値すると思うよ」 とRTタウシャー。特に、最近評価がうなぎ上りのLGマイク・ウォールはチャンスだ。NFCの有名どころのガードを見渡すと、PHIのGメイベリーは大ケガでシーズン終了。DALのGラリー・アレンもケガに苦しんでいる。
LGウォールの次に評価が高いのがCマイク・フラナガン。昨季は左タックルでの奮闘が話題になったが、今年はさいわいセンターに集中できている。しかし、プロボウルに選ばれるセンターはNFCから2人だけ。MINのバーク、49ersのメイベリー、CHIのクルーツなど有名な選手がおり、プロボウル投票で彼らをしのぐのは至難のわざ。しかし、先週のサンデーナイトに続き、今週もマンデーナイトの全国放送で活躍して注目度を上げられれば、プロボウル投票にもプラスになるのは間違いない。
バイウィークの間に、パッカーズのオフェンス陣が取り組んだのは、ノーハドルほどではないが、オフェンスのテンポを少し上げること。コーチは早くプレーコールを出し、選手たちは早めにハドルに戻り、早めにハドルを解く。ヴァイキングス戦では、スクリメージにセットした時にプレークロックが20秒も残っていることが何度もあった。
この効果は、やはりノーハドルオフェンスの効果に似ている。こちらの布陣に合わせて守備側がメンバーを変えるのを妨げること。QBがプレーを変えるにも時間的余裕があること。そして、ドームでのクラウド・ノイズが最高潮に達する前にプレーが始められること。
パッカーズは、セインツから解雇されたばかりのDTグレイディ・ジャクソンを獲得した。330ポンド(150kg)と、DTギルバート・ブラウンに似たサイズの大型ラン・ストッパーだが、パスラッシュ能力にも定評がある。パンサーズもジャクソンを獲得したい希望があったが、waiver選手をclaimするのは、その時点で成績の悪いチームに優先権がある。そのためパンサーズより成績の悪いパッカーズがジャクソンを手に入れることになった。
グレイディ・ジャクソンは、今年でNFL7年目となる30歳。ノックスヴィル大から1997年のドラフト6巡指名でレイダーズ入りした。4年目の2000年シーズンからスターターに昇格し、66タックル、8サックを記録。翌2001年にも69タックル、4サックを挙げる活躍を見せ、フリーエージェントでセインツに移籍した。今季も7試合ですでに25タックル、3.5サックを挙げ、少なくとも数字上はよくやっているように見える。オーバーウェイトの今季でさえ、リーグトップクラスのDTだという評価もある、とESPNのパスカレリ記者は紹介している。
プレー内容そのものよりも、解雇された理由は別にある。自己管理ができず(する気がない?)常にオーバーウェイトで、毎週セインツに罰金を払い続けてきた。体重は公称330ポンドだが、実際には368ポンド(167kg)ぐらいではないかと見られている。他にも首脳陣を無視するような行動を取り続けた。10月26日のパンサーズ戦(小指の腱を手術したため、もともと欠場予定だった)の前夜には、決められた時間にホテルに戻らなかったため、翌週のバッカニアーズ戦を出場停止にされている。つまり、今回はついにチームから愛想を尽かされての解雇と言える。
このような規律上のリスクにもかかわらずDTジャクソンを獲得したのは、もちろんパッカーズのディフェンシブ・ラインが弱いため。DTギルバート・ブラウンはほとんど片腕が効かない状態でプレーしており、本来の力を出し切っているとはとても言えない。パスラッシュも大不振で、相手オフェンスにしてみれば、DEバジャ=ビアミラだけダブルチームしておけばいい、という状態に陥っている。能力的には申し分のないジャクソンが、チームのケミストリーを乱すことなくプレーしてくれれば、NFL30位のディフェンス陣にとって大きなプラスになることは間違いない。
なおサラリーは、彼がセインツと結んだ契約をパッカーズが引き継ぐことになる。今年のサラリーは$1ミリオン。ここまで9週分の $529,412 はセインツが支払ったわけで、パッカーズは残り8週分の$470,588 だけを負担すればよい。もちろん契約ボーナスはなし。今年がセインツとの契約最終年だったため、どちらにせよ来春にはフリーエージェントとなる。
いっぽう、このところヒザを痛めて欠場が続いていたDTロッド・ウォーカーは、DTジャクソンを獲得するため、インジャリー・リザーブに入れられることになった。今季はもう出場できない。
1Q | 2Q | 3Q | 4Q | Total | |
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Packers (4-4) | 6 | 14 | 0 | 10 | 30 |
Vikings (6-2) | 7 | 7 | 6 | 7 | 27 |
パッカーズのラン攻撃が261ydsと絶好調、QBファーヴも要所でパスを決め、ヴァイキングスとの厳しいシーソーゲームをなんとかものにした。通算85回目の対戦で、これで42勝42敗1分けと全くのタイに。
第1Q。RBグリーンのランを中心にMIN陣2に迫ったパッカーズだが、TDが奪えずFGどまり。いっぽうヴァイキングスは、3rdダウンインチズからエンドゾーンのWRモスへのロングパスが炸裂し、あっという間にタッチダウン。パッカーズはWRドライバーのリバースなどで再びMIN陣に攻め込むが、またもやTDはならず、FGで1点差に。
第2Q。WRドライバーへの26ydsパスやRBダヴェンポートの22ydsランなどでMIN陣5に迫り、最後はRBグリーンへのショートパスがTDとなり逆転。第2Qなかば、QBファーヴがインターセプトを喫すると、GBのディフェンスはMINのラン攻撃を全く止められず、簡単にタッチダウンを許す。前半残り2分01秒、RBグリーンへの27ydsパスなどでMIN陣レッドゾーンに入り、最後はWRウォーカーが、ランアフターキャッチでエンドゾーンに持ち込んでタッチダウン。GBの6点リードでハーフタイムへ。
第3Q。MINはラン中心に1stダウンを重ね、47ydsのFGが決まって3点差に追い上げる。GBはパント時の反則でMINに良いフィールドポジションを与えてしまい、再びFGを許して同点に。TDこそなかったが、このクォーターは完全にMINが支配。
第4Q。GBはRBグリーンのランでMIN陣に入ると、相手反則にも助けられてレッドゾーンへ。MIN陣12での3rdダウン11、QBファーヴがWRウォーカーに矢のようなパスを通し、勝ち越しのタッチダウン。MINはWRバールソンへのパスなどでGB陣に入るが、そこで1stダウンを奪えずにパント。GBはRB陣3人のランを徹底的に使い、6分40秒を費やしてFGを追加し、10点差に。残り2分29秒、QBカルペッパーはショートパスを丁寧に通し、最後は自らのQBスニークでTDを挙げて3点差。しかし最後はオンサイドキックをSシャーパーががっちりキャッチして試合終了。
パッカーズで出られないのはDTロッド・ウォーカーだけ。彼に代わって、DTラリー・スミスがDTギルバート・ブラウンの控えを務める。バイウィークのおかげでケガ人たちが回復したのは喜ばしいが、試合当日のアクティブ・ロースター45人をどう選ぶかが問題だ。いっぽうヴァイキングスも、ケガ人が一人だけという素晴らしい状態。
パッカーズ | ||||||||||||||||||||||
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ヴァイキングス | ||||||||||||||||||||||
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