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2013年2月28日

DEジョニー・ジョリーに復帰許可

薬物違反で無期限の出場停止処分を受けていたDEジョニー・ジョリーに対し、NFLから復帰許可が下りた。彼はコデインの大量所持など度重なる逮捕で禁固6年の実刑判決を受けたものの、わずか半年後の昨年5月に判事の判断で釈放されていた。3年間スターターを務めたといってもこの3年間はフットボールから離れており、30歳となった彼をどう扱うのか、パッカーズの判断が注目される。

DEジョニー・ジョリー Johnny Jolly はヒューストン出身、テキサスA&Mから2006年6巡指名でパッカーズに入団(ILBホークやWRジェニングスと同期)。プロ2年目には早くも先発に昇格して3年間先発DTを務めた。2009年は新しい3-4ディフェンスの先発左DEとして活躍し、ラン守備1位に貢献している。パスラッシュはよくないがスクリメージ上でパスを叩くセンスが素晴らしく、シーズン12回もパスを叩き落として球団記録を作った。(昨年はチーム全体で14回)

無期限出場停止処分が確定した2010年には、制限付きFAとして$$2.521ミリオンのオファーにサインしていたため、解雇しない場合はその契約を再開することになる。3年もブランクのある選手にこの金額を支払うことはまずありえないので、残留させるとしても契約を結び直すことになるだろう。出所後の彼はツイッターでパッカーズ関連のグッドニュースをリツイートするなど、それなりにチームへの忠誠心を示している。

2013年2月26日

Notebook: DE補強に興味

インディアナポリスでスカウティング・コンバインが開催され、各球団首脳や選手の代理人たち、多数のメディアが集合している。ドラフト候補については攪乱を狙った意図的な誤情報ばかりで全くアテにならないが、FA市場に関する噂がぼちぼち出始めた。今年のFA解禁は3月12日だが、すでに解雇された選手を獲るぶんには構わない。

2013年2月25日

2012年オフェンシブラインの変遷

2012年シーズンのオフェンシブラインの変遷を下表にまとめた。2011年はケガが多かったが、2012年もシーズン半ばにRTブライアン・ブラガが負傷して苦しいシーズンとなった。

大きな出来事は3つあった。第1は、第9週にRTブライアン・ブラガが負傷して戦線離脱したこと。代役の右タックルにはLG T.J.ラングが回り、左ガードにはイヴァン・ディートリック=スミスが昇格。第2は、その代役RTラングが第13週に負傷したのをきっかけに新人ドン・バークレーを先発RTとし、ラングをLGに戻したこと。第3は、衰えの目立つ大ベテランのCジェフ・サタデーを降格させ、第16週からディートリック=スミスを先発センターに据えたこと。第2・第3はどちらも主にランブロッキング向上を意図したもので、シーズン終盤にはそれなりの成果を上げることができた。

シーズン終了時の5人にRTブラガが復帰した顔ぶれが来季の暫定スターターとなるが、どこに補強が必要かは見方が分かれるところ。バークレーが代役として十分使えることを証明したため、OT陣の層はかなり厚くなった。LTデレク・シェロッド(すね骨折)が復帰してLTニューハウスと先発を争ってくれればOT補強は不要かもしれない。となると、Cディートリック=スミスに今後ずっとスターターを任せられるかが今オフの焦点か。

2012 Packers Offensive Linemen
Week Opponent 勝敗 Sack Run LT LG C RG RT
1 San Francisco L 3 45 Newhouse Lang  Saturday  Sitton  Bulaga 
2 Chicago W 5 106 Newhouse Lang Saturday  Sitton  Bulaga
3 Seattle L 8 84 Newhouse Lang Saturday Sitton Bulaga
4 New Orleans W 0 102 Newhouse Lang Saturday Sitton Bulaga
5 Indianapolis L 5 141 Newhouse Lang Saturday Sitton Bulaga
6 Houston W 2 99 Newhouse Lang Saturday Sitton Bulaga
7 St. Louis W 3 70 Newhouse Lang Saturday Sitton Bulaga
8 Jacksonville W 2 66 Newhouse Lang Saturday Sitton Bulaga
9 Arizona W 1 176 Newhouse Lang Saturday  Sitton   Bulaga/
Lang 
10 bye                
11 Detroit W 3 95 Newhouse Dietrich-Smith Saturday Sitton Lang
12 NY Giants L 5 116 Newhouse Dietrich-Smith Saturday Sitton Lang
13 Minnesota W 2 152 Newhouse Dietrich-Smith Saturday Sitton Lang/
Barclay
14 Detroit W 3 140 Newhouse Dietrich-Smith Saturday Sitton Barclay
15 Chicago W 3 113 Newhouse Lang Saturday Sitton Barclay
16 Tennessee W 1 117 Newhouse Lang Dietrich-Smith Sitton Barclay
17 Minnesota L 5 72 Newhouse Lang Dietrich-Smith Sitton Barclay
18 Minnesota W 3 76 Newhouse Lang Dietrich-Smith Sitton Barclay
19 San Francisco L 1 104 Newhouse Lang Dietrich-Smith Sitton Barclay

2013年2月24日

Packers Statistics Notebook 2

Journal Sentinel紙の集計による雑多なスタッツ集のディフェンス編。但し書きがないかぎりプレーオフを含めた18試合での数字であり、記者が映像を見て判定した主観的なデータが多いことにも注意。

◆ タックリング関連

◆ パスラッシュ関連 (プレッシャーとはサック + ノックダウン + ハリー)

◆ ビッグプレー関連

◆ テイクアウェイ関連 (インターセプト + ファンブルリカバー)

2013年2月23日

Packers Statistics Notebook 1

Journal Sentinel紙が集計したさまざまなスタッツをおくればせながら紹介。但し書きがないかぎりプレーオフを含めた18試合での数字となっている(ボブ・マッギン記者が判定した主観的なデータが多いことも注意)。今回は主にオフェンスについて。

◆ クォーターバック関連

◆ レシービング関連

◆ パスプロテクションおよびランブロッキング

◆ ファンブル

◆ 反則

2013年2月20日

Notebook: 今年もチケット値上げ

2013年2月16日

Sチャールズ・ウッドソンを解雇

パッカーズがSチャールズ・ウッドソンを解雇した。NFLディフェンス最優秀選手などあらゆる栄誉を手にしてきたスーパースターもここ数年はカバレッジ能力が衰え、昨年のセーフティ転向もさほど大きな成果を上げることはできなかった。いまチームにとってセーフティ陣のレベルアップが必要なのはたしかだが、その解答は36歳のウッドソンではない、とチーム側は判断したのだろう。

最大のネックとなったのはやはり、今季キャップヒットが約$9.5ミリオンとなる高額サラリー。ベースサラリーが$6.5ミリオン、キャンプ初日に設定されたロースターボーナスが$2.5ミリオン、その他試合に出場するたびにロースターボーナス(シーズン合計$1ミリオンか)を受け取ることになっている。関係筋によるとウッドソン側は他球団との契約に自信を持っていて、減俸交渉はまったく行われなかったとのこと。本人は優勝を狙えるチームでの現役続行を望んでいる。

テッド・トンプソンGMは声明で次のように述べている。 「彼の過去7年間にわたるグリーンベイ・パッカーズへの貢献に我々は心から感謝している。彼はチームの成功に不可欠な存在であり、2010年のスーパーボウル制覇も彼の貢献なしではありえなかった。選手としては一世代に1人の存在であり、偉大なリーダーであり、フィールド外でもチームのよき代表だった。チャールズは今後もパッカーズ・ファミリーの一員であり続けるし、いずれプロフットボールの殿堂入りをする日を我々は楽しみにしている。彼と家族の幸せを願っている」

◆ ◆ ◆

チャールズ・ウッドソン Charles Woodson はオハイオ州フリーモント出身の36歳。高校ではRB兼DBとして州の最優秀選手に選ばれた。名門ミシガン大学では入学1年目にはやくも先発CBの座をつかみ、3年間フル出場。リターナーやWRとしてもプレーし、1997年には無敗の全米王座にくわえてハイズマン賞も受賞した(ディフェンス選手としては史上唯1人)。1998年ドラフト1巡4位でレイダーズに入団すると、ディフェンス新人王を皮切りに4年連続プロボウルに選ばれる活躍を見せ、NFLを代表するコーナーバックとなった。

しかし5年目からは次第にケガが増えるとともに、パーティ三昧の私生活や首脳陣との軋轢など、NFL中から問題児のレッテルを張られることに。2年連続フランチャイズ指名のあと2006年にFAとなったものの、獲得に名乗りを上げたのはパッカーズだけだった。しぶしぶグリーンベイに来たあとの更生・復活ぶりは2010年の記事を参照のこと。CBアル・ハリスとの名コンビでインターセプトを量産し、2009年にはNFL最優秀ディフェンス選手に。翌2010年には念願のスーパーボウルリングも手に入れた。

アスレチック能力もさることながら、なんといってもフットボールセンスが並外れている。パスルートを巧みに読みつつ相手QBにはカバレッジを読ませず、レシーバーにボールが届く瞬間にパスコースに飛び込む嗅覚がある。インターセプト55回はSエド・リードに次ぐ現役2位。INTリターンTD11回はNFL史上2位となっている(1位はロッド・ウッドソンの12回)。常にボールを狙う姿勢はランサポートでも変わらず、ファンブルフォースは通算24回を記録。プロボウルには計8回選ばれ(途中でまる6年空いているのがユニーク)、将来の殿堂入りはほぼ確実となっている。

かつての一匹狼もGB移籍後はしだいにリーダーシップを発揮するようになり、彼の研究熱心さはFSニック・コリンズやCBトラモン・ウィリアムズなど後輩DBたちのよきお手本となった。また、2010年NFC決勝で勝利したあとの楽しいペップトークも記憶に新しい(ビデオ)。パッカーズ史上のFA成功例といえば彼と故レジー・ホワイトが双璧だが、FA市場で不人気だったところがレジーとは大きく異なる。

◆ ◆ ◆

WRドライバー(38歳)、Cサタデー(37歳)、そしてウッドソン(36歳)の退団により、チーム最高齢はNT/DEライアン・ピケットの33歳。パッカーズ在籍期間でいえば、QBロジャース(今年9年目)がもっとも古株となる。セーフティ陣ではモーガン・バーネットがスターター確定だが、問題はその相棒。今年2年目のSジェロン・マクミリアン、M.D.ジェニングス、それに新人が先発を争うのではないか。ドラフトでは過去2年とくらべてセーフティが豊作らしく、成り行きによっては上位指名もありうる。

ウッドソンの契約内容はほとんどがベースサラリーとロースターボーナスだったので、解雇によってデッドマネーはほとんど残らないはず。これでパッカーズには$9ミリオン以上のキャップスペースが生まれるが、来月FAとなるWRグレッグ・ジェニングスが残留する可能性は依然として低いと地元記者たちは見ている。優先課題はOLBマシューズ、NTラジ、QBロジャースとの契約延長であり、そのためにTEジャーマイケル・フィンリーやILB A.J.ホークを解雇するかどうかが今後の焦点となりそうだ。

2013年2月 9日

2012年スタッツ集 オフェンス・ターンオーバー編

レギュラーシーズンスタッツのまとめ、今回はオフェンス、ターンオーバー、反則について。今季前半終了時2011年2010年のスタッツも参照のこと。

オフェンス
Total 得点 ラン ランavg ランTD Fum Lost パス パス% パスavg パスTD INT Rate サック 3rd% Red TOP
359.4 27.1 106.4 3.9 9回 16回 8回 253.1 67.0% 7.8 40回 8回 108.3 51回 42.3 68.6% 30:29
13位 5位 20位 22位 25位T 7位T 9位T 9位 3位 6位 2位 1位T 1位 31位 9位 2位 16位

昨季は数々の球団記録を打ち立てたオフェンス力が大幅にダウンした。トータルオフェンスでトップ10から外れたのは7年ぶり。マッカーシーHCが就任して以来初めてのことだ。

トータルヤーデージの割に得点が多く、5位をキープしたのは立派。自軍ディフェンスによるテイクアウェイが昨季の38回から23回へとダウンし、しかもFG失敗が多かったことを考えると、この得点効率はほぼオフェンス独力によるものだ。レッドゾーンTD率は昨季より向上して2位となり、インターセプトによる逸機がきわめて少ない。

総タッチダウン数は昨季の70回(1位)から53回(4位)へと減少したが、それでも一昨年の優勝シーズン(46回で8位)よりも多い。タッチダウンの内訳はパス40回(2位)、ラン9回(25位タイ)、ディフェンス2回(INT1回・Fum1回)、スペシャルチーム2回(パントリターン1回・パントブロック1回)。

OL陣の弱体化、WR陣の相次ぐケガ、相手に研究されたことなどでパス攻撃は9位へとダウン。こうした状況でレーティング1位を守ったのはQBロジャースのたいへんな功績であり、昨季(NFL史上最高レーティング)よりも価値が高い、という声もある。少なくなったチャンスを着実にタッチダウンに結びつけ、それでいて無理投げをしないクォーターバッキングが11勝の原動力となった。

悪化した中でも、パス1回平均ヤーデージが9.3ydsから7.8ydsへと下がったのが目立つ。40yds以上のパス成功が昨季の16回(2位タイ)から9回(12位タイ)へ、20yds以上のパス成功も昨季の70回(2位)から55回(9位タイ)へと大幅に減り、破壊力の低下を裏付けている。Pro Football Focus によるとQBロジャースのロングパスの精度(53.2)は今季もNFL1位だが、昨季(ダントツの60.7)よりはかなり下がった。パス全般の正確性(80.2)は昨季(80.6)とほぼ同じでNFL1位を守っている。

もともと多かった被サックはNFL31位へとさらにダウン。Cウェルズの退団やRTブラガの戦線離脱でOL陣の戦力が低下したのはたしかだが、問題はパスプロテクションだけではなかった。Journal Sentinel紙の判定ではQBロジャースに原因のあるサックが14回もあり(昨季は6.5回)、2009年(16.5回)に次ぐ多さ。昨季と比べてレシーバーがダウンフィールドでフリーになれず、通してもらえるのはショートパスばかり。そうした状況が長く続き、打開の兆しが見えてきたところでシーズンが終わってしまった。

ラン攻撃は昨年や一昨年とほぼ同じ低空飛行。シーズン序盤の攻撃不振の後はパス一辺倒を改めてバランスド・オフェンスを志向した。1試合あたりのラン回数は昨季の23.9回から26.1回に。「逃げ切りモード」の時間が昨季より少なかったことを考えると、実質はもっとランの比重が増えている。こちらからそう仕掛けたというよりも、両セーフティを深く下げてパスを警戒する相手に、ランを増やすよう仕向けられたという意味合いが強い。つまり、パスだけで攻め切る破壊力が今季はなかった。

ランブロッキングはCウェルズのFA移籍でインサイドが弱くなり、頼みの右サイドでもRTブラガが戦線離脱して苦しいやり繰りを強いられた。ランの比重を増やそうという矢先にRBセドリック・ベンソンが負傷。代役スターターのRBアレックス・グリーンは1回平均わずか3.4yds、先発した4試合では平均2.8ydsと悲惨な成績だった。終盤にようやくRBドゥワン・ハリスが台頭して平均4.6ydsとよく頑張ってくれた。

タイムオブポゼッションでなんとか30分以上をキープできたのは、オフェンス力の低下をディフェンスの改善で補ったということだろう。

ターンオーバー 反則
Takeaways Giveaways DIFF 回数 ヤード
Total Int FumRec Total Int FumLos      
23回 18回 5回 16回 8回 8回 +7 103回 923yds
18位T 8位T 28位T 2位T 1位T 9位T 10位 18位T 23位

過去3年連続でトップ5をキープしていたターンオーバーレシオが10位にダウン。オフェンスの被インターセプトとファンブルロストが少なく、ディフェンスのファンブルリカバーが少ない、という傾向は今季も変わらない(QBロジャース時代に入ってからは常にそうだ)。ただ、昨季1位だったインターセプトが13も減ってしまった。

オフェンスの被インターセプトが1位タイなのは素晴らしいのひと言。昨季(おなじく8INT)はQBフリンによるインターセプトが2つあり、レシーバーの弾いたミスが3つあったことを考えれば、今季はQBロジャースのミスがそれだけ増えたということだ。昨季が素晴らしすぎたのだが。QBロジャースがINTリターンTDを喰らったのはキャリアわずか1回(2009年TB戦)。QBファーヴは1997年からの11シーズン、年平均2.1回あったらしい。

ファンブルの少なさは今年も健在だが、QBロジャースのファンブルロストが昨季のゼロから4回へと増えた(キャリア最多タイ)のはよくない傾向だ。ファンブル5回のうち4回はRTブラガが戦線離脱したバイウィーク以降のもの。その他のファンブルロストはRBグラント1回、TEフィンリー1回、WRコブ1回(パントリターン)、QBハレル1回。そのほか、RBベンソン、RBグリーン、RBスタークスの3人はゼロだった。

ディフェンスの奪ったインターセプト18回の内訳は、CBヘイワード6回(NFL5位タイ)、CBシールズ3回、CBトラモン・ウィリアムズ2回、OLBウォルデン2回、Sバーネット2回、Sジェニングス1回、Sマクミリアン1回、Sウッドソン1回(GB移籍以来最少)。

ディフェンスのファンブルリカバーは例年よりさらに少ない8回。ランプレーでのファンブルフォース3回はNFL最少だった。ただでさえボールを奪える人材が少ないところへ、ハードヒッターのILBビショップがシーズン全休、Sウッドソンが9試合欠場したのも痛かった。ILBホークはなんと5年連続でファンブルフォースがゼロ。リカバーやインターセプトを合わせた彼の「ターンオーバー・プレー」は2年連続でゼロだった。

過去2年間よかった反則が103回923ydsへと大幅に増え、チームの足を引っ張った。とくに悪化したのはディフェンスで、昨季の19回から48回へと約2.5倍に。ディフェンスとしては2007年(64回)以来最悪だった。DL陣は昨季ゼロと素晴らしいシーズンだったが、今季は13回。オフサイド(エンクローチメント含む)がチーム全体で16回もあった(NFL平均は7.9回)。

DB陣の反則はCBウィリアムズとCBシールズのそれぞれ5回が最多。シーズン前半には毎週のように誤審気味のインターフェアを取られてしまい、回数よりヤードが多いのもそのせいだろう。

オフェンスの反則48回は2007年以来最少。フォルススタートは昨季の29回から17回へと大幅に減った(NFL平均は19.3回)。代役選手の出場が多かったことを考えればよくやった方か。また、相手チームの反則は123回1055yds(どちらも多い方から2番目)もあり、パッカーズ側の反則より20回132yds多い。今季は神経質な審判団に当たってしまったのかもしれない。

2013年2月 8日

2012年スタッツ集 ディフェンス・スペシャルチーム編

おくればせながら2012年を振り返って、レギュラーシーズンのチームスタッツのまとめ。今季前半終了時2011年2010年も参照のこと。

ディフェンス
Total 失点 ラン ラン(1回) ランTD Fum FumRec パス パス% パスavg パスTD INT Rating サック 3rd% Red
336.8 21.0 118.5 4.5 12回 18回 5回 218.2 55.1% 6.7 24回 18回 76.8 47回 37.9% 60.4%
11位 11位 17位 26位 16位T 20位T 28位T 11位 4位 7位T 16位 8位T 4位 4位 15位 27位

昨季NFL最下位まで落ちたトータルディフェンスが11位へとV字回復し、オフェンス成績のダウンをかなり補った。失点も11位と上出来。MIN2戦とプレーオフ49ers戦でラン守備が崩壊したので印象はよくないものの、ドラフト5巡まで6人すべてディフェンスで固めた補強策が成果を上げたのはたしかだ。過去2年間はヤーデージとくらべて失点が少なかったが、今季が同順位だったのはインターセプト(1位→8位タイ)が減ったからだろうか。

ラン守備は昨季の14位から17位へとすこし下がったが、1回平均ヤードは4.7ydsから4.5ydsへと改善している。今季前半のラン守備12位(平均は18位)からダウンしたのは、12月のMIN2戦でRBエイドリアン・ピーターソンに計409ydsも走られたためだ。平均ヤードが改善したといっても4.5ydsはとても褒められた数字ではない。打つ手なしだったリード・オプション対策も来季の重要な課題。

例年どおりよくないのはファンブルフォース&リカバーの部分。とくに相手ランプレーではファンブルフォース3回(最下位タイ)、リカバー1回(27位タイ)と非常に悪い。ハードヒッター不在(とくにILB陣)はあきらかで、ファンブルフォースを得意とするウッドソンの9試合欠場も響いた。

パス守備は昨季の最下位から11位へとジャンプアップした。パス1回あたりのゲインは昨季の7.8ydsから6.7ydsへと大幅に改善し、相手レーティングも76.8と申し分ない。

新人CBヘイワードの加入、CBシールズとCBウィリアムズの復調によるパスカバレッジの向上が非常に大きな力になった。OLBマシューズが4試合欠場したにもかかわらずサック(29回→47回)が大幅に増えたのは、純粋なパスラッシュ力の向上よりもカバレッジの向上によるところが大きいのでは。インターセプトのチャンスを逃すプレーが多く昨季よりも数字が下がったが、昨季は追い上げを狙う相手の無理投げが多かったかもしれない。

残念なのはレッドゾーンTD率が27位へと下がったこと。自陣深くに攻め込まれると踏ん張り切れない脆さがあった。

スペシャルチーム
Kickoff Punt Kickoff Ret. Punt Ret. Field Goals
Avg. TB TB率 Coverage Avg. In20 TB Coverage Net Avg. Long Avg. Long 成功率 回数
65.2 35回 39.8% 23.4 42.9 30回 5回 7.5 38.9 25.0 46 11.0 75 63.6% 21回
11位T 16位 19位 15位 26位 7位T 12位T 5位 22位 10位 24位 8位 9位T 32位 28位T

昨季躍進したスペシャルチームは今年もほぼその成績をキープした。Dallas Morning News紙のリック・ゴセリン記者によるスペシャルチームランキング(22部門のスタッツを総合)では昨季の13位から1つ上げて12位に。FG成功率が最下位なので、その他の部門が昨季より成績を上げたということだろう。 Football Outsiders によるスペシャルチーム総合ランキングでは昨季の8位から18位へと下がっている。

Kメイソン・クロスビーのキックオフは少しだけ飛距離が伸びたが、タッチバック率がダウン。フィールドゴールでスランプの時期は練習過多のせいかタッチバックの飛距離も下がっていた。

問題はなんといってもKクロスビーのフィールドゴール。昨季は自己ベストの85.7%だったのに今季はNFLダントツ最下位の63.6%(21/33)に。ただ失敗12回のうち7回は50yds以上で(2/9の22.2%)、40yds未満は83.3%(10/12)、40yds台は75%(9/12)。50yds以上を5回以上トライしたのは11チームしかない。それでも大スランプだったのは明らかで、クビにならなかったのが不思議なほどだ。

ここ数年はNFL全体のパント成績がぐんぐん上がっていて、寒冷地球団がそれについていくのは容易ではない。以前はネットで40yds超といえば夢のような数字だったのに、今季はなんと15チームも40ydsを越えている。5年前は2チーム、10年前はゼロ。ネット38.9ydsは10年前ならNFLトップだった。

今季のPティム・マステイのパントはあきらかに飛距離よりハングタイム重視。相手のフェアキャッチ数は昨季の10回(28位タイ)から26回(3位タイ)へと躍進し、パントカバレッジ(相手のリターン)も12.7ydsから7.5ydsへとよくなり、許した最長が25ydsどまり(3位タイ)だった(昨季は75ydsのリターンTDあり)。その結果、Pマステイは昨年作ったネット38.6ydsの球団記録をさらに更新。”インサイド20”30回も球団記録タイ。第6週HOU戦でパントブロック&リカバーTDを許したのはプロテクションチームのミスだった。

カバレッジチームはパントが5位へと大幅に向上。前述のようにPマステイのハングタイムも貢献している。キックオフカバレッジは昨季とまったく変化なし。チーム全体にケガ人が多く、代役スターターとなってスペシャルチームから外れる選手もいる中で、頻繁にメンバーを入れ替えながらカバレッジチームはよくやったと言えるのでは。第7週JAX戦ではパントブロック(CBハウス)&リカバータッチダウン(OLBモーゼス)も成功させている。

リターンではキックオフ、パントの両部門ともNFLのトップ10に入った。WRランドール・コブが両リターンともよく頑張ったが、贅沢を言えばキックオフリターンの最長が46ydsというのはやや物足りない。来夏のキャンプでは、レシーバーとして大活躍のコブをWRに専念させるかどうかが1つの焦点となりそうだ。コブ負傷で代役を務めたWRジェレミー・ロスはパントリターン4回平均25.8ydsと成績向上に貢献したが、第15週CHI戦ではラテラルをキャッチミスしてファンブルロスト、プレーオフの49ers戦でもパントをマフしてファンブルロストしている。

今季目立ったのはトリックプレーを5回も敢行したこと。成功3回、失敗2回。なぜか5試合とも勝利している。こうした決断はSTコーチではなくヘッドコーチが下すもので、「勝利にはスペシャルチームのビッグプレーが必要」というマッカーシーHCの気持ちから出たものだろうか。いつもスペシャルチームで苦しめられてきたベアーズ相手に2回やったことも興味深い。

2013年2月 7日

WRドナルド・ドライバーの引退セレモニー

ランボーフィールドのアトリウムにて、WRドナルド・ドライバーの引退セレモニーが開催された。ファン参加の引退イベントは球団史上初めてのことだ。今月1日の無料チケット配布の際は、わずか15分ほどでチケットが品切れとなった。スコット・ウォーカー知事は、「全州にわたってこの日をドナルド・ドライバーの日とする」と宣言。イベントは午前11時(現地)から、会場は午前9時半だったが、-17℃の寒さをものともせず、列の先頭の女性は前夜10時から並んでいたという。

セレモニーでは壇上でドライバー夫妻が見守るなか、司会のラリー・マッカレンに続いてマーク・マーフィ社長、テッド・トンプソンGM、マイク・マッカーシーHCがそれぞれスピーチ。1999年の入団当時、トンプソンは人事部長、マッカーシーはQBコーチとしてパッカーズに在籍していたため、それぞれ思い出話があった。マッカーシーHCは「私は泣かない」と宣言して話し始めたが、終わり間際についに涙がこみ上げ続けられなくなり、「あと少しだったんだが・・・」と会場を笑わせた。

政治家2人のあと、大歓声に迎えられてドライバー本人がポディウムに登場。いきなり涙が込み上げて言葉が出てこない。

記者会見が終わると、WRドライバーは集まったファンの周囲を回りながら握手したりハグしたりして1時間強のイベントが終了。地元TV各局が正午からのニュースで一斉に報じるなど、まさにドライバー一色の一日となった。パッカーズ・プロショップではドライバー関連の特設ページを設置している。

よい場所を取ろうと早朝から長蛇の列 前夜10時からのファンも

アトリウムに集まった1000人以上のファン

壇上で関係者スピーチを聞くドライバー夫妻

けっきょく泣いてしまった マイク・マッカーシーHC

スコット・ウォーカー知事から顕彰盾の贈呈

街路をドナルド・ドライバー・ウェイと命名するとジム・シュミット市長

涙ながらの引退スピーチ

イベント終了後にファンと

熱烈なハグ

2013年2月 3日

デイヴ・ロビンソンが殿堂入り

60年代黄金期に活躍した元LBデイヴ・ロビンソンがついにプロフットボールの殿堂入りを果たした。毎年恒例のスーパーボウル前日、ベテラン記者46人による8時間20分のマラソン討議だった(7人のリスト)。ケヴィン・グリーンOLBコーチは最終候補17人に選ばれていたが、10人に絞る最初の投票で落選したと伝えられている。殿堂入り式典は8月上旬にオハイオ州カントンで開催される。

◆ ◆ ◆

デイヴ・ロビンソンは1941年ニュージャージー生まれの71歳。ペン州立大では土木工学の学位を取得し、フットボールではDEとしてオールアメリカンに選ばれる活躍で、カレッジ・ホール・オブ・フェイム入りも果たしている。1963年のドラフト1巡指名でパッカーズに入団すると、アウトサイドLBにコンバート。プロ2年目にスターター昇格を果たし、強力ディフェンスの中核選手として大活躍が始まった。

LBながら通算27インターセプトを記録し(サックはカウントされない時代)、MLBレイ・ニチキ、OLBリー・ロイ・キャフィーとのトリオでNFL最強のLB陣を構成した。なかでも1966年NFLチャンピオンシップのカウボーイズ戦で終了間際に自陣ゴール前2ydsまで攻め込まれたとき、彼が相手QBメレディスにプレッシャーをかけ、インターセプトにつなげたのは、パッカーズ史上に残るビッグプレーだった。

オフェンスが老朽化したロンバルディ時代後半、彼やCBハーブ・アデリー、Sウィリー・ウッドといった若くアスレチックな黒人選手たちがチームの成功を支え、1965年からのNFL3連覇に大いに貢献した。オールプロ1stチームに3回選ばれ、 1960年代のAll-Decade Team にも選出。1973年にレッドスキンズにトレードされた後もスターターとして活躍を続け、1974年を最後に引退した。いまもパッカーズOBの重鎮の一人、ロンバルディ時代の生き証人として、さまざまなイベントに出席することが多い。

ヴィンス・ロンバルディ時代の選手としては、QBバート・スターRBポール・ホーナングFBジム・テイラーRTフォレスト・グレッグCジム・リンゴDEウィリー・デイヴィスDTヘンリー・ジョーダンMLBレイ・ニチキCB/KRハーブ・アデリーS/PRウィリー・ウッドがすでに殿堂入りしており、今回のLBロビンソンでなんと11人目。選考委員たちの中に「もう十分すぎるほど殿堂入りした」という雰囲気がある中での選出なのだからなおさら立派だ。パッカーズからの殿堂入りはこれで22人となった。(キャリアの多くをパッカーズで過ごした人物のみ)

プロボウルのユニフォームか

この瞬間にエンドゾーンでSトム・ブラウンがインターセプト、1966年のNFL制覇が決まった

一昨年のスーパーボウル関連イベントにて

2013年2月 1日

WRドナルド・ドライバーが引退

WRドナルド・ドライバーが現役続行を断念し、正式に引退を表明した。2月6日午前11時(現地時間)からランボーフィールドのアトリウムで引退セレモニーを行い、そこにはマッカーシーHC、トンプソンGM、マーフィ社長の3首脳も出席する。メディアだけでなく、ファンも無料で参加できるのがこれまでにない試み。早い者勝ちのチケットはパッカーズのチケットオフィスにて、2月1日午前9時から配布するとのこと。

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いまドライバーはチャリティ・イベント出席のため、スーパーボウルウィークのニューオーリンズに滞在している。彼によると、来季は再契約しないとの通告を球団から受けたとのこと。彼のコメントからは、パッカーズでキャリアを終えることに強くこだわった様子が伝わってくる。

「妻や子供たちとじっくり話し合って決めたことだ。これまで言い続けてきたように、僕は他のユニフォームを着たくない。パッカーとして引退することはファンへの恩返しでもある。僕はまだプレーできると感じているが、この球団でプレーできないのなら、プレーできないのと同じことだ。この決断に僕は満足している。妻と子供たちも支持してくれて、決断が容易になった。いまは落ち着こうと努力しているけど、6日のセレモニーでは感情的になってしまうだろう」

「僕は引退を撤回することはない。自分のチームから声がかからないかぎりね。パッカーズが望んでくれるならよろこんで復帰する。興味を持ってくれるチームは他にもあるだろうけど、僕はグリーン&ゴールドにしか興味がない。他のチームでプレーすることになったら? ファンにストレスを与えてしまうことになるし、そんなのは間違ってる。ファンは長年にわたって僕を支持してくれた。その彼らにそのような仕打ちはしたくない。僕にこんなによくしてくれたのだから、僕もそのお返しをしなければ」

引退セレモニーにファンも参加できるようにしたことについては、「僕はファンにオープンな形にしたかった。球団もそれを許可してくれた」と説明している。

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WRドナルド・ドライバーはテキサス州ヒューストン出身の37歳。極貧の少年時代は事実上ホームレスで、ドラッグ売人の使い走りをして家族を支えたこともある(2002年記事へ)。やがて祖母の助けもあって学校に戻ると、いくつものスポーツで頭角を現してアルコーン州立大へ。フットボールで活躍するかたわら、走り高跳びでオリンピック級の記録を出した。

1999年のドラフト7巡(全体213位)でパッカーズに入団したが、3年目まではスペシャルチーマーとしてチームに喰らい付いていたにすぎなかった。たゆまぬ努力が実ったのはプロ4年目の2002年。QBブレット・ファーヴのメインターゲットとなり初めての1000ydsレセプションとプロボウル出場を果たし、高額の契約延長を手に入れて涙を流した。ケガを恐れぬプレースタイル、苦労人で並外れた努力家、心を溶かすようなビッグスマイルといった魅力的な要素にも富み、ファン・フェイバリットの地位を確固たるものに。また、下積み時代からチャリティへの参加回数は群を抜いていた。

フィールドでの実績は以下のとおり。