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2013年2月28日
薬物違反で無期限の出場停止処分を受けていたDEジョニー・ジョリーに対し、NFLから復帰許可が下りた。彼はコデインの大量所持など度重なる逮捕で禁固6年の実刑判決を受けたものの、わずか半年後の昨年5月に判事の判断で釈放されていた。3年間スターターを務めたといってもこの3年間はフットボールから離れており、30歳となった彼をどう扱うのか、パッカーズの判断が注目される。
DEジョニー・ジョリー Johnny Jolly はヒューストン出身、テキサスA&Mから2006年6巡指名でパッカーズに入団(ILBホークやWRジェニングスと同期)。プロ2年目には早くも先発に昇格して3年間先発DTを務めた。2009年は新しい3-4ディフェンスの先発左DEとして活躍し、ラン守備1位に貢献している。パスラッシュはよくないがスクリメージ上でパスを叩くセンスが素晴らしく、シーズン12回もパスを叩き落として球団記録を作った。(昨年はチーム全体で14回)
無期限出場停止処分が確定した2010年には、制限付きFAとして$$2.521ミリオンのオファーにサインしていたため、解雇しない場合はその契約を再開することになる。3年もブランクのある選手にこの金額を支払うことはまずありえないので、残留させるとしても契約を結び直すことになるだろう。出所後の彼はツイッターでパッカーズ関連のグッドニュースをリツイートするなど、それなりにチームへの忠誠心を示している。
2013年2月26日
インディアナポリスでスカウティング・コンバインが開催され、各球団首脳や選手の代理人たち、多数のメディアが集合している。ドラフト候補については攪乱を狙った意図的な誤情報ばかりで全くアテにならないが、FA市場に関する噂がぼちぼち出始めた。今年のFA解禁は3月12日だが、すでに解雇された選手を獲るぶんには構わない。
- 昨年の2巡指名DEジェレル・ウォージーが大ケガしたこともあり、パッカーズは右DEの補強を考えているようだ。スターターのDE C.J.ウィルソンにはパスラッシュ力がまったくなく、ラン守備も物足りない。
- ジャイアンツから解雇されたDE/DTクリス・キャンティ(30歳)はコンバイン後にパッカーズを訪問する方向で調整中。すでにタイタンズとチーフスの訪問を済ませ、タイタンズからはオファーをもらっているという。他にジャガーズの訪問も予定している。
- パッカーズは3-4ディフェンス導入1年目の2009年春にもDEキャンティの獲得に興味を示したが、訪問の前にジャイアンツと大型契約(6年$42ミリオン)を結んだという経緯がある。昨季はヒザのケガで開幕から6試合を欠場。6-7(201cm)の長身で、パッカーズDE陣に足りないサイズと馬力がある。
- Journal Sentinel紙によると、49ersからFAとなる予定のNT/DEリッキー・ジーン=フランソワ(26歳)にもパッカーズは興味を示しているとのこと。49ersではDL3人の控えを兼ね、DEジャスティン・スミス負傷時には代役DEとして先発した。身長6-3弱(190cm)の体重295ポンド(132kg)。パスラッシュ(3年間で3サック)は弱くラン守備に強いタイプ。バリバリのスターター候補というよりローテーションの一員といった感じか。
- 2010年シーズンまでパッカーズにいたDEカレン・ジェンキンズ(32歳)がイーグルスから解雇された。先発右DEとして2010年の優勝に貢献、FA移籍したイーグルスでは4-3ディフェンス(今年から3-4に移行するが)のDTをプレーし、2年で32試合にフル出場して計9.5サックを記録している。パッカーズが獲得に乗り出すかどうかはまだわらからないが、Journal Sentinel紙によると本人は古巣への復帰に興味を持っているとのこと。2年前は強く残留を望んだのにパッカーズ側が乗り気でなく残念だった、と発言したこともある。
- FA退団が必至と見られていたWRグレッグ・ジェニングスだが、関係筋によればチーム側はまだフランチャイズ指名を検討中とのこと。とはいえ、「もっとも可能性が高いのは依然としてFA退団」という見方で地元記者たちは一致している。
- 本人は12月のインタビューで、「フランチャイズ指名では残留したくない」とはっきり述べていた。フランチャイズ指名で無理に引き留めた場合、不満分子化するリスクを抱えることになる。
- 半年ほど前の交渉ではパッカーズ側のオファーが本人の希望とかけ離れていて、そこで事実上決裂したらしい。Journal Sentinel紙が関係筋に聞いたところでは、1年あたり$13から$14ミリオンを望んでいたとのこと。これはいくらなんでも高望みというものだ。
- 今年のWRのフランチャイズ指名は$10.357ミリオン(高額だが1年契約)。指名の締め切りは3月5日。FA解禁の1週間前となっている。
- チーム側としては、この金額を受け入れてWRジェニングスを1年引き留める気なのか、フランチャイズ指名してからトレードに出すのか、長期契約交渉を進めるための脅しなのか。
- トレードで少しでも代償がもらえればトクかといえば必ずしもそうではない。高額FA退団ならば来年 Compensatory Draft Pick として、最高で3巡指名権がもらえる可能性があるからだ。トレードや解雇ではその恩恵はない。
- 高額サラリーのTEジャーマイケル・フィンリーを残すべきかどうか、球団内でも意見は分かれているとJournal Sentinel紙。それによると、トンプソンGMおよびコーチングスタッフは残留させる方向に傾き、それ以外(GM以外のスカウティング部門か)は解雇に傾いているとのこと。
- 解雇派の根拠はおそらく、サラリー(今年のキャップヒット$8.75ミリオン)の割に実力はたいしたことがなく、ブロッキングに不熱心で、そのくせ余計な発言で波風を立ててばかり、といったあたりだろう。
- 残留派の根拠はおそらく、シーズン後半に大きな精神的成長が見られた(ミスも格段に減った)こと、WRジェニングスのFA退団でレシーバーが手薄になること、後釜のレシービングTEが育っていないこと。
- 本人は先日、「自分としては残留を望んでいるけど現実には50-50だろう」と客観的なコメント。
- ロースターボーナス$3ミリオンは3月27日に設定されているので、解雇するならばそれまでにしなければ意味がない。ベースサラリーは$4.45ミリオン、試合数に応じたロースターボーナスが計$50万ドル、ワークアウトボーナスが$30万ドル。
- 昨年2年契約を結んだ際の契約ボーナスは$1ミリオンだったので、解雇した場合のデッドマネーは$50万ドルのみ。キャップには$8.25ミリオンもの余裕ができる。
- リード・オプション攻撃の対策に、ディフェンスのコーチングスタッフをテキサスA&Mに派遣して学ばせる、とマッカーシーHC。その逆はまだしも、NFLのコーチがカレッジに学ぶのはきわめて珍しい。 「リード・オプション・オフェンスについてはたくさんの話し合いが行われている。579(プレーオフ49ers戦のトータルディフェンス)。オフシーズンを通して、我々はこの数字をずっと忘れない。我々はリード・オプションを学んでいる」
- プレーオフ49ers戦で打つ手なしだったパッカーズの惨状をカレッジのコーチたちが嘲笑いながら観ていた、という意地悪な噂も一部にはあった。マッカーシーHCとしては、ディフェンスのコーチ陣を全員残留させるのはいいが、その代わり二度とあのような醜態は許さない、ということかもしれない。
- WRランドール・コブにはできればリターナーをやらせたくない、とマッカーシーHC。WRジェニングスがFA退団となればオフェンスの中心になるからだ。「数字も示しているように、ランドールはきわめて実り多いプレーヤーであり、オフェンスとスペシャルチームの両方で大きな役割を果たしてきた。我々のスペシャルチームは私の就任以来最高のエリアがいくつもあり、それはランドールの存在によるところも大きい。しかし来年は彼がスペシャルチームでプレーしないことを期待している。そうするのは他のスキル・プレーヤーたちの責任でもある」
2013年2月25日
2012年シーズンのオフェンシブラインの変遷を下表にまとめた。2011年はケガが多かったが、2012年もシーズン半ばにRTブライアン・ブラガが負傷して苦しいシーズンとなった。
大きな出来事は3つあった。第1は、第9週にRTブライアン・ブラガが負傷して戦線離脱したこと。代役の右タックルにはLG T.J.ラングが回り、左ガードにはイヴァン・ディートリック=スミスが昇格。第2は、その代役RTラングが第13週に負傷したのをきっかけに新人ドン・バークレーを先発RTとし、ラングをLGに戻したこと。第3は、衰えの目立つ大ベテランのCジェフ・サタデーを降格させ、第16週からディートリック=スミスを先発センターに据えたこと。第2・第3はどちらも主にランブロッキング向上を意図したもので、シーズン終盤にはそれなりの成果を上げることができた。
- 第8週まで5人全員が全スナップに出場。
- LTマーシャル・ニューハウスはオフェンスで唯一、全試合・全スナップに出場。昨年よりよくなったとはいえ劇的な向上ではなく、とくにランブロッキングは Pro Football Focus でNFLの全OL中最下位と評価された。パスプロテクションは31位。(25%以上出場した80人中)
- RGジョシュ・シットンもプレーオフで靴が脱げて2プレー休んだ他はフル出場。パッカーズOL陣ではラン・パスとも安定感が飛び抜けていて、ついに初プロボウル出場を果たした。
- 3年目のRTブライアン・ブラガは第9週に股関節を負傷してシーズンエンド。第3週SEA戦では新人DEブルース・アーヴィンにコテンパンにやられる(QBハリー8回、サック2回、QBヒット1回)など、負傷前もプレー内容はやや期待外れだった。
- T.J.ラングは第9週ARI戦の途中で左ガードから右タックルへ。しかし第13週MIN戦の途中で負傷退場すると、1試合欠場したあと本職の左ガードに戻った。右タックル時は左右サイドの違いやパスプロテクションの距離感(OTはぶつかり合うまでに時間があり、より受け身になる)の違いで苦戦していた。手首の負傷がもっと大きかったかもしれない。
- ドラフト外ルーキーのドン・バークレーはRTラングの負傷退場で右タックルに入り、とくにランブロッキング向上に貢献。しかしパスプロテクションは問題があり、常にTEなどのヘルプが必要だった。
- 37歳のCジェフ・サタデーはやはり衰えが隠せず、第16週TEN戦から控えに降格。パスプロテクションはよいがランブロッキングはひどいもので、前任者Cスコット・ウェルズからの落差は大きかった。
- イヴァン・ディートリック=スミスは当初、インサイド3ポジションの控えを兼ねていた。RTブラガ負傷で先発左ガードとなったがラングと比べると非力で、「1人の負傷で2ポジションが悪くなった」という印象だった。いったん控えに戻ったあと本職のセンターで先発に昇格。パスプロテクションではCサタデーとほぼ互角、ランブロッキングではたしかに上回っていた。
シーズン終了時の5人にRTブラガが復帰した顔ぶれが来季の暫定スターターとなるが、どこに補強が必要かは見方が分かれるところ。バークレーが代役として十分使えることを証明したため、OT陣の層はかなり厚くなった。LTデレク・シェロッド(すね骨折)が復帰してLTニューハウスと先発を争ってくれればOT補強は不要かもしれない。となると、Cディートリック=スミスに今後ずっとスターターを任せられるかが今オフの焦点か。
2012 Packers Offensive Linemen |
Week |
Opponent |
勝敗 |
Sack |
Run |
LT |
LG |
C |
RG |
RT |
1 |
San Francisco |
L |
3 |
45 |
Newhouse |
Lang |
Saturday |
Sitton |
Bulaga |
2 |
Chicago |
W |
5 |
106 |
Newhouse |
Lang |
Saturday |
Sitton |
Bulaga |
3 |
Seattle |
L |
8 |
84 |
Newhouse |
Lang |
Saturday |
Sitton |
Bulaga |
4 |
New Orleans |
W |
0 |
102 |
Newhouse |
Lang |
Saturday |
Sitton |
Bulaga |
5 |
Indianapolis |
L |
5 |
141 |
Newhouse |
Lang |
Saturday |
Sitton |
Bulaga |
6 |
Houston |
W |
2 |
99 |
Newhouse |
Lang |
Saturday |
Sitton |
Bulaga |
7 |
St. Louis |
W |
3 |
70 |
Newhouse |
Lang |
Saturday |
Sitton |
Bulaga |
8 |
Jacksonville |
W |
2 |
66 |
Newhouse |
Lang |
Saturday |
Sitton |
Bulaga |
9 |
Arizona |
W |
1 |
176 |
Newhouse |
Lang |
Saturday |
Sitton |
Bulaga/ Lang |
10 |
bye |
|
|
|
|
|
|
|
|
11 |
Detroit |
W |
3 |
95 |
Newhouse |
Dietrich-Smith |
Saturday |
Sitton |
Lang |
12 |
NY Giants |
L |
5 |
116 |
Newhouse |
Dietrich-Smith |
Saturday |
Sitton |
Lang |
13 |
Minnesota |
W |
2 |
152 |
Newhouse |
Dietrich-Smith |
Saturday |
Sitton |
Lang/ Barclay |
14 |
Detroit |
W |
3 |
140 |
Newhouse |
Dietrich-Smith |
Saturday |
Sitton |
Barclay |
15 |
Chicago |
W |
3 |
113 |
Newhouse |
Lang |
Saturday |
Sitton |
Barclay |
16 |
Tennessee |
W |
1 |
117 |
Newhouse |
Lang |
Dietrich-Smith |
Sitton |
Barclay |
17 |
Minnesota |
L |
5 |
72 |
Newhouse |
Lang |
Dietrich-Smith |
Sitton |
Barclay |
18 |
Minnesota |
W |
3 |
76 |
Newhouse |
Lang |
Dietrich-Smith |
Sitton |
Barclay |
19 |
San Francisco |
L |
1 |
104 |
Newhouse |
Lang |
Dietrich-Smith |
Sitton |
Barclay |
- 黄色い文字は負傷で途中退場の選手
- その試合の被サックとラッシングヤードも併記した
2013年2月24日
Journal Sentinel紙の集計による雑多なスタッツ集のディフェンス編。但し書きがないかぎりプレーオフを含めた18試合での数字であり、記者が映像を見て判定した主観的なデータが多いことにも注意。
◆ タックリング関連
- チーム全体のミスタックルは18試合で100回ちょうど。1試合平均5.56回は2011年の8.24回(140回/17試合)と比べて大きく改善され、2010年の6.65回よりもよかった。
- 個人のミスタックル数は、Sバーネット(11)、CBウィリアムズ(11)、ILBホーク(9)、ILBジョーンズ(9)、CBヘイワード(8)、Sジェニングス(6)、Sマクミリアン(6)、NTラジ(6)、OLBウォルデン(6)、DEダニエルズ(4)、CBハウス(3)、ILBスミス(3)、DEウォージー(3)、OLBマシューズ(2)、OLBモーゼス(2)、CBブッシュ(2)、NT/DEピケット(1)、DEウィルソン(1)。
- DEニール、OLBペリー、OLBゾンボの3人はミスタックルなし。前年のウッドソンはチーム最多の18ミスタックルだったが、今季はわずか4回。(9試合欠場のため出場時間は全体の49.8%)
- スペシャルチームの個人ミスタックル数は、WRボイキン(3)、Sマクミリアン(3)など。前年のCBブッシュはスペシャルチームで9回もミスタックルしたが、今季は1回だけだった。
- チーム全体で決めたロスタックルは41回で、1試合平均2.27回。2011年の2.47回(42回/17試合)よりすこし悪くなっている。
- 個人のロスタックル数は、ILBホーク(5.5)、NTラジ(5)、OLBマシューズ(4.5)、OLBウォルデン(4.5)、ILBジョーンズ(4.5)、NT/DEピケット(4)、ILBスミス(3)、Sバーネット(2.5)など。
- ロスタックルがなかった選手はDEウィルソン、CBウィリアムズ、CBシールズの3人。
- パッカーズコーチ陣の判定によるタックル数(トータル)は、ILBホーク(157)、Sバーネット(148)、ILBジョーンズ(118)、NT/DEピケット(81)、OLBウォルデン(80)、CBウィリアムズ、(77)、OLBマシューズ(72)、CBヘイワード(57)、Sウッドソン(56)、Sジェニングス(51)、NTラジ(51)、CBシールズ(50)、DEウィルソン(48)、OLBモーゼス(46)、ILBスミス(42)など。
- DEウィルソンは7.4スナップに1回タックル(355スナップ/48タックル)を記録し、DL陣ではトップ。以下、NT/DEピケット(8.0)、DEダニエルズ(11.7)、NTラジ(14.7)、DEニール(15.4)、DEウォージー(19.3)。
- 同じくLB陣では、OLBペリー(6.8)、OLBモーゼス(10.7)、OLBウォルデン(10.8)、OLBゾンボ(11.5)、OLBマシューズ(11.8)。
- 同じくS陣では、Sバーネット(8.3)、Sウッドソン(10.9)、Sジェニングス(11.8)、Sマクミリアン(19.2)。
- スペシャルチームでのタックル数は、CBブッシュ(18)、ILBフランソワ(13)、Sジェニングス(10)、ILBラティモア(10)、TEテイラー(9)、CBヘイワード(7)、Sマクミリアン(6)、WRボイキン(5)、OLBモーゼス(5)、OLBゾンボ(5)、ILBマニング(5)など。
◆ パスラッシュ関連 (プレッシャーとはサック + ノックダウン + ハリー)
- チーム全体のサックは51回で、1試合あたり2.83回に。大不振だった2011年の1.76回(30回/17試合)から劇的な回復を見せた。
- 個人サック数は、OLBマシューズ(16)、DEニール(4.5)、OLBモーゼス(4)、OLBウォルデン(4)、ILBホーク(3)、DEウィルソン(2.5)、DEウォージー(2.5)など。
- NTラジとNT/DEピケットはサックがゼロだった。
- OLBマシューズは前年に6サック(それでもチーム最多)だったが、今季は16サックを記録。4.5試合欠場して全スナップの69.3%しか出場していないのに16サックは立派だ。ただしプレッシャーは2011年の53.5回から48回へとダウンしている。サックもプレッシャーも入団以来4年連続でチーム最多。
- 個人のプレッシャー回数は、OLBマシューズ(48)、OLBウォルデン(26.5)、OLBモーゼス(19)、DEニール(19)、NTラジ(19)、DEダニエルズ(12)、ILBジョーンズ(8)、ILBホーク(7)、DEウォージー(6)、OLBペリー(5)、Sバーネット(4)、CBヘイワード(4)、NT/DEピケット(4)、DEウィルソン(3.5)、Sウッドソン(3)、OLBゾンボ(2)など。
- DL陣によるプレッシャー回数は64.5回にのぼり、大不振だった2011年の37回から大幅増。新人2人の加入よりもDEニールの成長が大きかった。
- DL陣のプレッシャー率はDEニールが最高で、16.2スナップに1回プレッシャーをかけた。以下、DEダニエルズ(22.4)、NTラジ(39.4)、DEウォージー(73.8)、DEウィルソン(101.4)、NT/DEピケット(161.3)。
- プレッシャー率が示すように、新人DL2人では4巡指名のDEダニエルズが2巡指名のDEウォージーよりも質の高いプレーをした。
- ブリッツ(5人以上ラッシュ)は相手ドロップバックの35.4%で、2011年の42.2%より下がった。2011年はパスラッシュ不振によりブリッツを増やさざるをえず、1998年の集計開始以来最高のブリッツ率だった。
- 6人以上のラッシュは3.3%で、2011年の6.7%から半減している。ケイパースDCが2009年に就任して以来もっとも低かった。
- インサイドLB陣によるブリッツは188回で、2011年の348回から46%も減った。逆にセーフティ陣によるブリッツは2011年の28回から98回へと激増している。コーナーバック陣によるブリッツは2011年の154回から63回へと激減している。
- ブリッツァーの変化は戦術的な意図よりも、メンバー構成の変化によるものだろう。ILBビショップ(過去2年連続で最も有効なブリッツァーだった)がシーズン全休し、ウッドソンをセーフティへコンバートしたことが大きいはず。
- 今季最も効果的なブリッツァーはSバーネットで、パスラッシュ4.3回に1回プレッシャーをかけている。以下、ILBスミス(7)、ILBホーク(7.6)、CBヘイワード(9.8)、ILBジョーンズ(10.8)、Sウッドソン(14.3)、Sマクミリアン(25)。
- パスを叩き落とした回数はチーム全体で14回で、2011年(17試合で13回)とほぼ同じだった。個人の最多はOLBマシューズ(4)で、以下NTラジ(2)、OLBモーゼス(2)など。
◆ ビッグプレー関連
- (ラン・パス合わせて)20yds以上のゲインを許したプレーは71回で、2011年の85回(1994年の集計開始以来最多)からは改善が見られた。それでも2005-2010年のどの年よりも多い。
- 20yds以上のゲイン71回の内訳は、ランが16回、パスが55回。レギュラーシーズンでは、ランでの13回はNFL22位、パスでの50回はNFL18位。プレーオフで敗れた49ers戦では20yds以上を6回も許し(ラン3・パス3)、最大の敗因となった。
- 20yds以上のランが2011年の11回から16回に増えたのは、RBエイドリアン・ピーターソン1人に計6回もやられたことが響いている。(プレーオフでの対戦ではゼロ)
- 20yds以上のランに責任のあった個人は、ILBジョーンズ(3)、ILBホーク(2)、OLBマシューズ(2)、OLBウォルデン(1.5)、CBシールズ(1)、Sバーネット(1)、Sジェニングス(1)、OLBペリー(1)、DEニール(1)、CBウィリアムズ(0.5)、CBハウス(0.5)、Sウッドソン(0.5)、NT/DEピケット(0.5)、OLBゾンボ(0.5)。
- 20yds以上のパスに責任のあった個人は、CBウィリアムズ(9)。Sバーネット(6.5)、Sウッドソン(6.5)、CBハウス(5)、CBシールズ(4.5)、Sマクミリアン(4.5)、CBヘイワード(4)、ILBジョーンズ(3.5)、ILBスミス(3)、OLBウォルデン(1.5)など。1回以下の選手が9人。
- 20yds以上のパスでチーム最多のCBトラモン・ウィリアムズだが、2011年の16回(パッカーズでは1995年以来最多だった)からはかなり減らすことができた。WRカルヴィン・ジョンソン(DET)やWRブランドン・マーシャル(CHI)といった、相手QBがパスを集中させるレシーバーとマッチアップするため、どうしても数字は悪くなる。
- TDパスを許した回数は2011年の32回から27回へと改善。
- TDパスに責任のあった個人は、CBハウス(4)、Sジェニングス(3.5)、CBウィリアムズ(3)、Sバーネット(3)、CBシールズ(2.5)、ILBスミス(2)、CBヘイワード(1.5)、ILBホーク(1.5)、Sウッドソン(1)、OLBウォルデン(1)、OLBマシューズ(1)、OLBモーゼス(1)、CBブッシュ(0.5)、Sマクミリアン(0.5)、ILBジョーンズ(0.5)。
- パスディフェンドでは、CBハウスが23.9スナップに1回パスをブレークアップしてチームベスト。以下、CBヘイワード(30)、CBシールズ(34.4)、CBウィリアムズ(43.3)、Sマクミリアン(45.7)、Sジェニングス(75.5)、Sバーネット(81.9)、Sウッドソン(101.8)。
◆ テイクアウェイ関連 (インターセプト + ファンブルリカバー)
- レギュラーシーズンのテイクアウェイ23回は2011年の38回(NFL1位タイ)から大幅ダウン。オフェンスのギブアウェイは今季も2位タイと少なかったが、ターンオーバーレシオは2011年の+24(2位)から+10(10位)に後退した。
- ターンオーバープレー(INT、ファンブルフォース、ファンブルリカバー)は多い方から、CBヘイワード(7)、CBシールズ(5)、Sバーネット(5)、OLBマシューズ(3)、DEダニエルズ(2)、OLBウォルデン(2)、CBウィリアムズ(2)、Sウッドソン(2)、Sマクミリアン(2)、ILBジョーンズ(1)、Sジェニングス(1)、OLBモーゼス(1)、DEウォージー(1)。
- ターンオーバープレーがゼロだったのは、ILBホーク、NTラジ、NT/DEピケット、DEニール、DEウィルソン、CBハウス。DL陣は仕方がないが、ILBホークの2年連続ゼロはひどい。
- Sウッドソンのターンオーバープレーは2011年の9回から2回へと激減し、キャリア最低の数字。2011年までのパッカーズ在籍6年間で計57回あり、チーム最多のシーズンが4回あった。
- プレーオフを含め、マッカーシーHC就任以来のターンオーバーレシオ合計は+77。マイナスになったシーズンが一度もない。
2013年2月23日
Journal Sentinel紙が集計したさまざまなスタッツをおくればせながら紹介。但し書きがないかぎりプレーオフを含めた18試合での数字となっている(ボブ・マッギン記者が判定した主観的なデータが多いことも注意)。今回は主にオフェンスについて。
◆ クォーターバック関連
- QBロジャースのTDパス42回の平均の長さは17yds。2011年の平均は23yds、2010年も23yds、2009年は24yds、2008年は15.6ydsだった。QBロジャースが先発昇格して以来2番目に悪く、破壊力の低下はあきらか。
- 35yds以上のパス成功はわずか12回で、マッカーシーHCの就任以来もっとも少なかった。2011年は17試合で20回、2010年は20試合で17回だった。
- 相手のブリッツ(5人以上ラッシュ)は全ドロップバックの19.9%で、2011年の23.7%、2010年の30.6%とくらべて大幅にダウン。同紙が1998年に集計を始めて以来最低の率だったとのこと。6人以上のラッシュはわずか4.3%で、2011年の8.5%からほぼ半減している。「パッカーズを止めるにはブリッツよりカバレッジを手厚く」という対策が徹底されてきた。
- QBロジャースはレギュラーシーズンのレーティング108.0を記録し、2年連続でNFL首位。通算レーティング104.9でNFL史上トップの座を堅持している。(リスト)
- (ラン・パス合わせて)20yds以上のロングゲインは70回(1試合あたり3.89回)。2011年は78回(4.59回)、2010年は20試合で83回(4.15回)だったので、ここも破壊力ダウンを示している。
- QBロジャースのインターセプト9回で計41失点。2011年はINT7回でわずか14失点だった。
- QBロジャースのインターセプト9回のうち彼自身の責任によるものは7回と判定。9回のうち8回が自陣20ydsからハーフラインの間。自陣でのINTが失点増につながったのだろう。9回のうち5回がショットガン。
- QBロジャースによるインターセプト9回の際の平均リリースタイムは3.11秒。2011年は2.60秒、2010年は3.18秒だった。
- 今季もINTリターンTDを喰らわなかった。QBロジャースがINTリターンTDを喰らったのはキャリアわずか1回。(2009年TB戦)
◆ レシービング関連
- チーム全体の落球は1試合あたり2.11回で、2007年以来もっとも低かった。2011年が2.65回、2010年が2.30回だった。
- WR陣の落球率は5.81%で、2011年の6.43%、2010年の7.3%から2年連続で改善。個人では、WRボイキン(0%、ターゲット6回のみ)、WRジェニングス(1.33%)、WRジョーンズ(2.78%)、WRネルソン(7.14%)、WRコブ(9%)、WRドライバー(23.1%)。
- WRジェニングスはターゲット75回で落球わずか1回だけ(最終週MIN戦、エンドゾーンにて。2プレー後にTDで汚名返上)。落球率1.33%は彼のキャリアベスト。これまでのベストは2010年の3.77%だった。過去20年間のパッカーズのスターターで落球ゼロだったWRはおらず、落球1回だったWRは1998年のロバート・ブルックス(ターゲット66回)、2003年のロバート・ファーガソン(66回)、1993年のマーク・クレイトン(56回)、2008年のジョーディ・ネルソン(53回)など。
- WRジョーンズは108回ターゲットで落球わずか3回。落球率2.78%は言うまでもなくキャリアベストの数字で、2011年の10.53%から劇的に向上した。
- TE陣の落球率は、TEテイラー(0%、ターゲット2回のみ)、TEフィンリー(6.3%)、TEウィリアムズ(7.1%)、TEクラブトリー(15.4%)。
- TEフィンリーはシーズン最初の2試合で落球率21.43%と大不振だったが、シーズン後半に盛り返して6.3%でシーズンを終えた。2011年のスランプ(12.62%)から立ち直り、入団最初の3年間の平均6%とほぼ同じ数字。
- RB/FB陣の落球率は、FBクーン(0%)、RBグラント(0%、ターゲット3回のみ)、RBベンソン(6.7%)、RBグリーン(6.9%)、RBハリス(9.1%)、RBスタークス(33.3%、ターゲット6回のみ)。
- FBクーンは22回ターゲットになって落球ゼロは立派。
◆ パスプロテクションおよびランブロッキング
- 1試合あたりの被サックは3.06回(55回/18試合)で、2011年の2.65回、2010年の2.3回より増えてしまった。
- レギュラーシーズンの被サック率は8.4%(NFL28位)となり、2011年の6.8%(22位)、2010年の6.6%(20位)とくらべて大幅に悪化。QBロジャース時代のベストが2008年の5.9%(18位)で、上位半分に入ったことがない。
- 被サック責任は多い方から、QBロジャース(14)、LTニューハウス(11)、RTブラガ(6)、LG/RTラング(5.5)、RTバークレー(4)、RGシットン(3.5)、C/Gディートリック=スミス(3)、Cサタデー(2)。RB陣は合計で1.5回、TE陣は合計で1回だった。
- プレッシャー(サック、ノックダウン、ハリーの合計)の責任は、LTニューハウス(42.5)、LG/RTラング(21.5)、QBロジャース(20)、RTバークレー(19)、RTブラガ(16.5)、RGシットン(12)、Cサタデー(12)、C/Gディートリック=スミス(10.5)、RBグリーン(2.5)など。
- LTニューハウスは「被サック責任」が2011年より0.5回多く、「プレッシャー責任」も1回多かった。ただし先発数が2011年よりも3試合増えている。被サック責任11回は1990年のOTトニー・マンダリッチ(12.5回)以来最多。プレッシャー責任42.5回は同紙が1999年に集計を始めて以来最多。
- RTブラガは2011年に被サックわずか1.5回(ルーキーシーズンは6.5回)と大きな成長を見せたが、今季は先発9試合で6回とおもわぬ不振だった。
- "Bad Run"(ショートヤーデージ状況を除く1yds以下のラン)は今季116回あり、ラン全体の24.2%。2011年(24.4%)とほぼ同じだった。
- "Bad Run"に責任のあった回数は、Cサタデー(18)、LG/RTラング(14.5)、LTニューハウス(13.5)、TEフィンリー(9.5)、C/Gディートリック=スミス(8.5)、RTブラガ(7)、TEクラブトリー(7)、RGシットン(6.5)、RTバークレー(4)、RBグリーン(3.5)、FBクーン(3.5)、TEテイラー(3.5)、RBベンソン(3)など。
- RGシットンは2011年(チーム最多の17回)から6割も減らし、復調を裏付けている。
- Cサタデーはとくにランブロッキングの不振が目立ち、これでは先発降格もやむなしといったところ。「プレッシャー責任」が12回、「"Bad Run"責任」が18回。前任者のCスコット・ウェルズ(現STL)は2011年のプレッシャー責任が8.5回、"Bad Run"責任が8回だった。
◆ ファンブル
- レギュラーシーズンのギブアウェイ16回(被インターセプト8回+ファンブルロスト8回)は2年連続のNFL2位。
- プレーオフを含めたチーム全体のファンブルは19回、ロスト9回。ファンブルロストからの失点は2011年と同じ48点。
- ファンブルを複数回した選手はQBロジャース(ファンブル6回/ロスト4回)、WRコブ(5回/1回)の2人だけ。その他、TEフィンリー、QBハレル、RBグラント、WRロスが1回ずつロストしている。
- QBロジャースはファンブル6回、ロスト4回と2011年(5回/1回)より増えてしまった。ファンブル6回のうちサックによるものが5回、スクランブル中が1回。
- CサタデーとCディートリック=スミスはショットガン・スナップでのファンブルがゼロ。Cウェルズ時代から3年連続でゼロをキープしている。
◆ 反則
- 過去2年間非常に少なかった反則が急増し、2007-2009年の状態に逆戻り。レギュラーシーズンの反則103回は19位、反則923ydsは24位。
- 反則増加の元凶はディフェンスで、2011年のわずか19回から48回へと約2.5倍に増えてしまった。ディフェンスとしては2007年(64回)以来の多さ。
- 2011年のDL陣は反則がゼロだったが、今季は13回。内訳は、NTラジ(4)、DEウォージー(3)、DEニール(3)など。
- その他のポジションで3回以上反則を犯したディフェンス選手は、CBウィリアムズ(5)、CBシールズ(5)、OLBウォルデン(4)、OLBマシューズ(3)、OLBモーゼス(3)、Sウッドソン(3)。
- CBヘイワードとS M.D.ジェニングスとDEウィルソンは反則がゼロだった。
- いっぽうオフェンスの反則は43回で2007年以来最少。
- OL陣の反則は、RGシットン(6)、C/Gディートリック=スミス(5)、LTニューハウス(4)、LG/RTラング(4)、RTブラガ(4)、RTバークレー(3)、Cサタデー(1)。
- スキルポジションの反則は、QBロジャース(4)、TEフィンリー(4)、TEクラブトリー(3)、WRジョーンズ(2)、FBクーン(2)。
- ジョーンズ以外のWR陣とRB陣は反則ゼロ。RBスタークスは入団3年間で反則が一度もない。
- スペシャルチームの反則は19回。CBブッシュ(6)、FBクーン(2)など。
2013年2月20日
- プロボウル前に引退表明していたCジェフ・サタデーを解雇。契約があと1年残っていたが、古巣コルツと「1日契約してコルツで引退」できるようにするための配慮と思われる。現役復帰したときに他球団に獲られないよう、解雇せず保有権を確保しておく方が普通だが、その必要はないと球団側は判断したのだろう。
- SウッドソンとCサタデーの退団(解雇しなくても引退なら同じこと)により、パッカーズは$13.75ミリオン分のサラリーが節約できたことになる。サラリーキャップの余裕は$20ミリオン前後になったようだ。
- OLBクレイ・マシューズは2009年に結んだルーキー契約のエスカレーター条項(先発試合数やプロボウル出場など条件はさまざま)を満たしたため、来季のサラリーは本来の$1.492ミリオンから$3.73ミリオンへとジャンプアップ。5年契約の最終年を迎え、これから契約延長交渉が本格化することになりそう。
- その他にもエスカレーター条項により、2010年組のSバーネットとLTニューハウスとTEクウォレスがそれぞれ$575,000から$1,323,000への大幅昇給を手に入れた。NTラジは$4.09ミリオンから4.49ミリオンへ小幅昇給。
- フランチャイズ選手の指名期間が月曜から始まったが、パッカーズはWRグレッグ・ジェニングスを指名しないものと見られている。WRのフランチャイズ額(今年は約$10ミリオンらしい)を支払うぐらいならば早くから契約延長交渉をしていたはずで、WRジェニングスの言動からは球団側が交渉をしていないことが明らかだからだ。本人は先日グリーンベイ地域の自宅を売りに出している。
- RBセドリック・ベンソンはスピード違反と運転免許不携帯と犬の放し飼い(2回)で出頭を命じられていたが、4件とも罰金(合計$1054ドル)を支払うことで裁判所に出頭せずに済んだ。
- パッカーズはチケット価格の値上げを発表。セクションによって$2ドルから$5ドルの小幅値上げだが、これで4年連続の値上げとなってしまった。
- セクションごとの新価格はこちらを参照。とはいっても、毎年パッカーズは一般席すべてがシーズンチケットで売り切れており、この額面価格で買えるのはシーズチケットホルダーだけ。我々一般ファンはその数倍の市場価格でブローカーを通して買うしかない。
- 今回は平均4.5%の値上げで平均$83.54ドルとなる。昨年は$79.54ドルでNFL17位だった。
- マーク・マーフィ社長。 「この値上げによって我々はリーグの平均レベルについていくことができる。(毎年言っていることだが)それが我々の目標だ。我々はビジター分の収入をシェアすることにおいてフェアでありつつ、みなさんが購入しやすい価格に保ちたいからだ」
- NFLでは一般チケット収入の3分の2をホームチームが取り、残る3分の1をNFL全体でプールして32球団に均等分配する仕組み。上記のマーフィ社長のコメントはそれを指している。
- 現在進行中の改築工事費用は別の方法で調達できており、今回の値上げは関係ないとのこと。
- 今夏完成予定の南側大スタンド(約7000席)では、低いレベルが$89ドル、高いレベルが$82ドルに設定された。
2013年2月16日
パッカーズがSチャールズ・ウッドソンを解雇した。NFLディフェンス最優秀選手などあらゆる栄誉を手にしてきたスーパースターもここ数年はカバレッジ能力が衰え、昨年のセーフティ転向もさほど大きな成果を上げることはできなかった。いまチームにとってセーフティ陣のレベルアップが必要なのはたしかだが、その解答は36歳のウッドソンではない、とチーム側は判断したのだろう。
最大のネックとなったのはやはり、今季キャップヒットが約$9.5ミリオンとなる高額サラリー。ベースサラリーが$6.5ミリオン、キャンプ初日に設定されたロースターボーナスが$2.5ミリオン、その他試合に出場するたびにロースターボーナス(シーズン合計$1ミリオンか)を受け取ることになっている。関係筋によるとウッドソン側は他球団との契約に自信を持っていて、減俸交渉はまったく行われなかったとのこと。本人は優勝を狙えるチームでの現役続行を望んでいる。
テッド・トンプソンGMは声明で次のように述べている。 「彼の過去7年間にわたるグリーンベイ・パッカーズへの貢献に我々は心から感謝している。彼はチームの成功に不可欠な存在であり、2010年のスーパーボウル制覇も彼の貢献なしではありえなかった。選手としては一世代に1人の存在であり、偉大なリーダーであり、フィールド外でもチームのよき代表だった。チャールズは今後もパッカーズ・ファミリーの一員であり続けるし、いずれプロフットボールの殿堂入りをする日を我々は楽しみにしている。彼と家族の幸せを願っている」
◆ ◆ ◆
チャールズ・ウッドソン Charles Woodson はオハイオ州フリーモント出身の36歳。高校ではRB兼DBとして州の最優秀選手に選ばれた。名門ミシガン大学では入学1年目にはやくも先発CBの座をつかみ、3年間フル出場。リターナーやWRとしてもプレーし、1997年には無敗の全米王座にくわえてハイズマン賞も受賞した(ディフェンス選手としては史上唯1人)。1998年ドラフト1巡4位でレイダーズに入団すると、ディフェンス新人王を皮切りに4年連続プロボウルに選ばれる活躍を見せ、NFLを代表するコーナーバックとなった。
しかし5年目からは次第にケガが増えるとともに、パーティ三昧の私生活や首脳陣との軋轢など、NFL中から問題児のレッテルを張られることに。2年連続フランチャイズ指名のあと2006年にFAとなったものの、獲得に名乗りを上げたのはパッカーズだけだった。しぶしぶグリーンベイに来たあとの更生・復活ぶりは2010年の記事を参照のこと。CBアル・ハリスとの名コンビでインターセプトを量産し、2009年にはNFL最優秀ディフェンス選手に。翌2010年には念願のスーパーボウルリングも手に入れた。
アスレチック能力もさることながら、なんといってもフットボールセンスが並外れている。パスルートを巧みに読みつつ相手QBにはカバレッジを読ませず、レシーバーにボールが届く瞬間にパスコースに飛び込む嗅覚がある。インターセプト55回はSエド・リードに次ぐ現役2位。INTリターンTD11回はNFL史上2位となっている(1位はロッド・ウッドソンの12回)。常にボールを狙う姿勢はランサポートでも変わらず、ファンブルフォースは通算24回を記録。プロボウルには計8回選ばれ(途中でまる6年空いているのがユニーク)、将来の殿堂入りはほぼ確実となっている。
かつての一匹狼もGB移籍後はしだいにリーダーシップを発揮するようになり、彼の研究熱心さはFSニック・コリンズやCBトラモン・ウィリアムズなど後輩DBたちのよきお手本となった。また、2010年NFC決勝で勝利したあとの楽しいペップトークも記憶に新しい(ビデオ)。パッカーズ史上のFA成功例といえば彼と故レジー・ホワイトが双璧だが、FA市場で不人気だったところがレジーとは大きく異なる。
◆ ◆ ◆
WRドライバー(38歳)、Cサタデー(37歳)、そしてウッドソン(36歳)の退団により、チーム最高齢はNT/DEライアン・ピケットの33歳。パッカーズ在籍期間でいえば、QBロジャース(今年9年目)がもっとも古株となる。セーフティ陣ではモーガン・バーネットがスターター確定だが、問題はその相棒。今年2年目のSジェロン・マクミリアン、M.D.ジェニングス、それに新人が先発を争うのではないか。ドラフトでは過去2年とくらべてセーフティが豊作らしく、成り行きによっては上位指名もありうる。
ウッドソンの契約内容はほとんどがベースサラリーとロースターボーナスだったので、解雇によってデッドマネーはほとんど残らないはず。これでパッカーズには$9ミリオン以上のキャップスペースが生まれるが、来月FAとなるWRグレッグ・ジェニングスが残留する可能性は依然として低いと地元記者たちは見ている。優先課題はOLBマシューズ、NTラジ、QBロジャースとの契約延長であり、そのためにTEジャーマイケル・フィンリーやILB A.J.ホークを解雇するかどうかが今後の焦点となりそうだ。
2013年2月 9日
レギュラーシーズンスタッツのまとめ、今回はオフェンス、ターンオーバー、反則について。今季前半終了時・2011年・2010年のスタッツも参照のこと。
オフェンス |
Total |
得点 |
ラン |
ランavg |
ランTD |
Fum |
Lost |
パス |
パス% |
パスavg |
パスTD |
INT |
Rate |
サック |
3rd% |
Red |
TOP |
359.4 |
27.1 |
106.4 |
3.9 |
9回 |
16回 |
8回 |
253.1 |
67.0% |
7.8 |
40回 |
8回 |
108.3 |
51回 |
42.3 |
68.6% |
30:29 |
13位 |
5位 |
20位 |
22位 |
25位T |
7位T |
9位T |
9位 |
3位 |
6位 |
2位 |
1位T |
1位 |
31位 |
9位 |
2位 |
16位 |
昨季は数々の球団記録を打ち立てたオフェンス力が大幅にダウンした。トータルオフェンスでトップ10から外れたのは7年ぶり。マッカーシーHCが就任して以来初めてのことだ。
トータルヤーデージの割に得点が多く、5位をキープしたのは立派。自軍ディフェンスによるテイクアウェイが昨季の38回から23回へとダウンし、しかもFG失敗が多かったことを考えると、この得点効率はほぼオフェンス独力によるものだ。レッドゾーンTD率は昨季より向上して2位となり、インターセプトによる逸機がきわめて少ない。
総タッチダウン数は昨季の70回(1位)から53回(4位)へと減少したが、それでも一昨年の優勝シーズン(46回で8位)よりも多い。タッチダウンの内訳はパス40回(2位)、ラン9回(25位タイ)、ディフェンス2回(INT1回・Fum1回)、スペシャルチーム2回(パントリターン1回・パントブロック1回)。
OL陣の弱体化、WR陣の相次ぐケガ、相手に研究されたことなどでパス攻撃は9位へとダウン。こうした状況でレーティング1位を守ったのはQBロジャースのたいへんな功績であり、昨季(NFL史上最高レーティング)よりも価値が高い、という声もある。少なくなったチャンスを着実にタッチダウンに結びつけ、それでいて無理投げをしないクォーターバッキングが11勝の原動力となった。
悪化した中でも、パス1回平均ヤーデージが9.3ydsから7.8ydsへと下がったのが目立つ。40yds以上のパス成功が昨季の16回(2位タイ)から9回(12位タイ)へ、20yds以上のパス成功も昨季の70回(2位)から55回(9位タイ)へと大幅に減り、破壊力の低下を裏付けている。Pro Football Focus によるとQBロジャースのロングパスの精度(53.2)は今季もNFL1位だが、昨季(ダントツの60.7)よりはかなり下がった。パス全般の正確性(80.2)は昨季(80.6)とほぼ同じでNFL1位を守っている。
もともと多かった被サックはNFL31位へとさらにダウン。Cウェルズの退団やRTブラガの戦線離脱でOL陣の戦力が低下したのはたしかだが、問題はパスプロテクションだけではなかった。Journal Sentinel紙の判定ではQBロジャースに原因のあるサックが14回もあり(昨季は6.5回)、2009年(16.5回)に次ぐ多さ。昨季と比べてレシーバーがダウンフィールドでフリーになれず、通してもらえるのはショートパスばかり。そうした状況が長く続き、打開の兆しが見えてきたところでシーズンが終わってしまった。
ラン攻撃は昨年や一昨年とほぼ同じ低空飛行。シーズン序盤の攻撃不振の後はパス一辺倒を改めてバランスド・オフェンスを志向した。1試合あたりのラン回数は昨季の23.9回から26.1回に。「逃げ切りモード」の時間が昨季より少なかったことを考えると、実質はもっとランの比重が増えている。こちらからそう仕掛けたというよりも、両セーフティを深く下げてパスを警戒する相手に、ランを増やすよう仕向けられたという意味合いが強い。つまり、パスだけで攻め切る破壊力が今季はなかった。
ランブロッキングはCウェルズのFA移籍でインサイドが弱くなり、頼みの右サイドでもRTブラガが戦線離脱して苦しいやり繰りを強いられた。ランの比重を増やそうという矢先にRBセドリック・ベンソンが負傷。代役スターターのRBアレックス・グリーンは1回平均わずか3.4yds、先発した4試合では平均2.8ydsと悲惨な成績だった。終盤にようやくRBドゥワン・ハリスが台頭して平均4.6ydsとよく頑張ってくれた。
タイムオブポゼッションでなんとか30分以上をキープできたのは、オフェンス力の低下をディフェンスの改善で補ったということだろう。
ターンオーバー |
反則 |
Takeaways |
Giveaways |
DIFF |
回数 |
ヤード |
Total |
Int |
FumRec |
Total |
Int |
FumLos |
|
|
|
23回 |
18回 |
5回 |
16回 |
8回 |
8回 |
+7 |
103回 |
923yds |
18位T |
8位T |
28位T |
2位T |
1位T |
9位T |
10位 |
18位T |
23位 |
過去3年連続でトップ5をキープしていたターンオーバーレシオが10位にダウン。オフェンスの被インターセプトとファンブルロストが少なく、ディフェンスのファンブルリカバーが少ない、という傾向は今季も変わらない(QBロジャース時代に入ってからは常にそうだ)。ただ、昨季1位だったインターセプトが13も減ってしまった。
オフェンスの被インターセプトが1位タイなのは素晴らしいのひと言。昨季(おなじく8INT)はQBフリンによるインターセプトが2つあり、レシーバーの弾いたミスが3つあったことを考えれば、今季はQBロジャースのミスがそれだけ増えたということだ。昨季が素晴らしすぎたのだが。QBロジャースがINTリターンTDを喰らったのはキャリアわずか1回(2009年TB戦)。QBファーヴは1997年からの11シーズン、年平均2.1回あったらしい。
ファンブルの少なさは今年も健在だが、QBロジャースのファンブルロストが昨季のゼロから4回へと増えた(キャリア最多タイ)のはよくない傾向だ。ファンブル5回のうち4回はRTブラガが戦線離脱したバイウィーク以降のもの。その他のファンブルロストはRBグラント1回、TEフィンリー1回、WRコブ1回(パントリターン)、QBハレル1回。そのほか、RBベンソン、RBグリーン、RBスタークスの3人はゼロだった。
ディフェンスの奪ったインターセプト18回の内訳は、CBヘイワード6回(NFL5位タイ)、CBシールズ3回、CBトラモン・ウィリアムズ2回、OLBウォルデン2回、Sバーネット2回、Sジェニングス1回、Sマクミリアン1回、Sウッドソン1回(GB移籍以来最少)。
ディフェンスのファンブルリカバーは例年よりさらに少ない8回。ランプレーでのファンブルフォース3回はNFL最少だった。ただでさえボールを奪える人材が少ないところへ、ハードヒッターのILBビショップがシーズン全休、Sウッドソンが9試合欠場したのも痛かった。ILBホークはなんと5年連続でファンブルフォースがゼロ。リカバーやインターセプトを合わせた彼の「ターンオーバー・プレー」は2年連続でゼロだった。
過去2年間よかった反則が103回923ydsへと大幅に増え、チームの足を引っ張った。とくに悪化したのはディフェンスで、昨季の19回から48回へと約2.5倍に。ディフェンスとしては2007年(64回)以来最悪だった。DL陣は昨季ゼロと素晴らしいシーズンだったが、今季は13回。オフサイド(エンクローチメント含む)がチーム全体で16回もあった(NFL平均は7.9回)。
DB陣の反則はCBウィリアムズとCBシールズのそれぞれ5回が最多。シーズン前半には毎週のように誤審気味のインターフェアを取られてしまい、回数よりヤードが多いのもそのせいだろう。
オフェンスの反則48回は2007年以来最少。フォルススタートは昨季の29回から17回へと大幅に減った(NFL平均は19.3回)。代役選手の出場が多かったことを考えればよくやった方か。また、相手チームの反則は123回1055yds(どちらも多い方から2番目)もあり、パッカーズ側の反則より20回132yds多い。今季は神経質な審判団に当たってしまったのかもしれない。
2013年2月 8日
おくればせながら2012年を振り返って、レギュラーシーズンのチームスタッツのまとめ。今季前半終了時・2011年・2010年も参照のこと。
ディフェンス |
Total |
失点 |
ラン |
ラン(1回) |
ランTD |
Fum |
FumRec |
パス |
パス% |
パスavg |
パスTD |
INT |
Rating |
サック |
3rd% |
Red |
336.8 |
21.0 |
118.5 |
4.5 |
12回 |
18回 |
5回 |
218.2 |
55.1% |
6.7 |
24回 |
18回 |
76.8 |
47回 |
37.9% |
60.4% |
11位 |
11位 |
17位 |
26位 |
16位T |
20位T |
28位T |
11位 |
4位 |
7位T |
16位 |
8位T |
4位 |
4位 |
15位 |
27位 |
昨季NFL最下位まで落ちたトータルディフェンスが11位へとV字回復し、オフェンス成績のダウンをかなり補った。失点も11位と上出来。MIN2戦とプレーオフ49ers戦でラン守備が崩壊したので印象はよくないものの、ドラフト5巡まで6人すべてディフェンスで固めた補強策が成果を上げたのはたしかだ。過去2年間はヤーデージとくらべて失点が少なかったが、今季が同順位だったのはインターセプト(1位→8位タイ)が減ったからだろうか。
ラン守備は昨季の14位から17位へとすこし下がったが、1回平均ヤードは4.7ydsから4.5ydsへと改善している。今季前半のラン守備12位(平均は18位)からダウンしたのは、12月のMIN2戦でRBエイドリアン・ピーターソンに計409ydsも走られたためだ。平均ヤードが改善したといっても4.5ydsはとても褒められた数字ではない。打つ手なしだったリード・オプション対策も来季の重要な課題。
例年どおりよくないのはファンブルフォース&リカバーの部分。とくに相手ランプレーではファンブルフォース3回(最下位タイ)、リカバー1回(27位タイ)と非常に悪い。ハードヒッター不在(とくにILB陣)はあきらかで、ファンブルフォースを得意とするウッドソンの9試合欠場も響いた。
パス守備は昨季の最下位から11位へとジャンプアップした。パス1回あたりのゲインは昨季の7.8ydsから6.7ydsへと大幅に改善し、相手レーティングも76.8と申し分ない。
新人CBヘイワードの加入、CBシールズとCBウィリアムズの復調によるパスカバレッジの向上が非常に大きな力になった。OLBマシューズが4試合欠場したにもかかわらずサック(29回→47回)が大幅に増えたのは、純粋なパスラッシュ力の向上よりもカバレッジの向上によるところが大きいのでは。インターセプトのチャンスを逃すプレーが多く昨季よりも数字が下がったが、昨季は追い上げを狙う相手の無理投げが多かったかもしれない。
残念なのはレッドゾーンTD率が27位へと下がったこと。自陣深くに攻め込まれると踏ん張り切れない脆さがあった。
スペシャルチーム |
Kickoff |
Punt |
Kickoff Ret. |
Punt Ret. |
Field Goals |
Avg. |
TB |
TB率 |
Coverage |
Avg. |
In20 |
TB |
Coverage |
Net |
Avg. |
Long |
Avg. |
Long |
成功率 |
回数 |
65.2 |
35回 |
39.8% |
23.4 |
42.9 |
30回 |
5回 |
7.5 |
38.9 |
25.0 |
46 |
11.0 |
75 |
63.6% |
21回 |
11位T |
16位 |
19位 |
15位 |
26位 |
7位T |
12位T |
5位 |
22位 |
10位 |
24位 |
8位 |
9位T |
32位 |
28位T |
昨季躍進したスペシャルチームは今年もほぼその成績をキープした。Dallas Morning News紙のリック・ゴセリン記者によるスペシャルチームランキング(22部門のスタッツを総合)では昨季の13位から1つ上げて12位に。FG成功率が最下位なので、その他の部門が昨季より成績を上げたということだろう。 Football Outsiders によるスペシャルチーム総合ランキングでは昨季の8位から18位へと下がっている。
Kメイソン・クロスビーのキックオフは少しだけ飛距離が伸びたが、タッチバック率がダウン。フィールドゴールでスランプの時期は練習過多のせいかタッチバックの飛距離も下がっていた。
問題はなんといってもKクロスビーのフィールドゴール。昨季は自己ベストの85.7%だったのに今季はNFLダントツ最下位の63.6%(21/33)に。ただ失敗12回のうち7回は50yds以上で(2/9の22.2%)、40yds未満は83.3%(10/12)、40yds台は75%(9/12)。50yds以上を5回以上トライしたのは11チームしかない。それでも大スランプだったのは明らかで、クビにならなかったのが不思議なほどだ。
ここ数年はNFL全体のパント成績がぐんぐん上がっていて、寒冷地球団がそれについていくのは容易ではない。以前はネットで40yds超といえば夢のような数字だったのに、今季はなんと15チームも40ydsを越えている。5年前は2チーム、10年前はゼロ。ネット38.9ydsは10年前ならNFLトップだった。
今季のPティム・マステイのパントはあきらかに飛距離よりハングタイム重視。相手のフェアキャッチ数は昨季の10回(28位タイ)から26回(3位タイ)へと躍進し、パントカバレッジ(相手のリターン)も12.7ydsから7.5ydsへとよくなり、許した最長が25ydsどまり(3位タイ)だった(昨季は75ydsのリターンTDあり)。その結果、Pマステイは昨年作ったネット38.6ydsの球団記録をさらに更新。”インサイド20”30回も球団記録タイ。第6週HOU戦でパントブロック&リカバーTDを許したのはプロテクションチームのミスだった。
カバレッジチームはパントが5位へと大幅に向上。前述のようにPマステイのハングタイムも貢献している。キックオフカバレッジは昨季とまったく変化なし。チーム全体にケガ人が多く、代役スターターとなってスペシャルチームから外れる選手もいる中で、頻繁にメンバーを入れ替えながらカバレッジチームはよくやったと言えるのでは。第7週JAX戦ではパントブロック(CBハウス)&リカバータッチダウン(OLBモーゼス)も成功させている。
リターンではキックオフ、パントの両部門ともNFLのトップ10に入った。WRランドール・コブが両リターンともよく頑張ったが、贅沢を言えばキックオフリターンの最長が46ydsというのはやや物足りない。来夏のキャンプでは、レシーバーとして大活躍のコブをWRに専念させるかどうかが1つの焦点となりそうだ。コブ負傷で代役を務めたWRジェレミー・ロスはパントリターン4回平均25.8ydsと成績向上に貢献したが、第15週CHI戦ではラテラルをキャッチミスしてファンブルロスト、プレーオフの49ers戦でもパントをマフしてファンブルロストしている。
今季目立ったのはトリックプレーを5回も敢行したこと。成功3回、失敗2回。なぜか5試合とも勝利している。こうした決断はSTコーチではなくヘッドコーチが下すもので、「勝利にはスペシャルチームのビッグプレーが必要」というマッカーシーHCの気持ちから出たものだろうか。いつもスペシャルチームで苦しめられてきたベアーズ相手に2回やったことも興味深い。
- 第2週CHI戦ではFG隊形からホルダーがTEクラブトリーにショベルパスをして27ydsのタッチダウン(ビデオ)。4thダウン26の場面なのだからかなり無茶なコールだった。
- 第4週NO戦では自陣17ydsでの4thダウンインチズで、パント隊形からダイレクトスナップを受けたFBクーンが走って1stダウン(ビデオ)。
- 第7週STL戦では、第1Qに7-3とリードした直後にサプライズオンサイドキックを成功(ビデオ)。Kクロスビーはこうしたキックが非常に上手い。
- 第8週JAX戦ではパント隊形からPマステイがロングパスを投げるが失敗。(ビデオ)
- 第15週CHI戦ではパントリターナーのWRコブからWRロスへのラテラルが失敗してターンオーバーに(ビデオ)。11点リードした第4Qにするようなコールではなかった。
2013年2月 7日
ランボーフィールドのアトリウムにて、WRドナルド・ドライバーの引退セレモニーが開催された。ファン参加の引退イベントは球団史上初めてのことだ。今月1日の無料チケット配布の際は、わずか15分ほどでチケットが品切れとなった。スコット・ウォーカー知事は、「全州にわたってこの日をドナルド・ドライバーの日とする」と宣言。イベントは午前11時(現地)から、会場は午前9時半だったが、-17℃の寒さをものともせず、列の先頭の女性は前夜10時から並んでいたという。
セレモニーでは壇上でドライバー夫妻が見守るなか、司会のラリー・マッカレンに続いてマーク・マーフィ社長、テッド・トンプソンGM、マイク・マッカーシーHCがそれぞれスピーチ。1999年の入団当時、トンプソンは人事部長、マッカーシーはQBコーチとしてパッカーズに在籍していたため、それぞれ思い出話があった。マッカーシーHCは「私は泣かない」と宣言して話し始めたが、終わり間際についに涙がこみ上げ続けられなくなり、「あと少しだったんだが・・・」と会場を笑わせた。
- 「私見を言わせていただければ、彼があきらかに史上最高のランボー・リーパーだ。ドナルドほどやすやすとやってのけた選手は他にいない」とマッカーシーHC。 「このチームにおけるドナルド・ドライバーを象徴するシーンを挙げるなら、2010年49ers戦での61ydsタッチダウン(ビデオ)だろう」
- 3首脳のスピーチに続くビデオ・メッセージでは、ボブ・ハーラン名誉会長、元WRジェームズ・ロフトン(同じ背番号をつけられたことを光栄に思うとのこと)、ダンス番組の共演者たち、元QBバート・スターなどが登場。
- 続いてドライバーの偉大なキャリアを紹介する美しいビデオ・トリビュート。1999年12月12日の初タッチダウン(ファーヴ時代を象徴するようなスラント)を皮切りに、偉大なキャリアを彩るビッグプレーの数々、チャリティ活動の数々がスクリーンに映し出された。"Thank you Donald" で締めくくった。(ビデオ)
- スペシャル・プレゼンテーションとして、スコット・ウォーカー知事とジム・シュミット市長がおざなりな拍手に迎えられて壇上に。「ドナルド・ドライバーの日」を宣言する表彰額を知事から贈呈。(写真)
- ジム・シュミット市長は、市内の街路を "Donald Driver Way" と名付けると発表。フォックス川の西岸 Titletown Brewing のすぐ西側の道のようだ(地図)。リバーフロントは市が再開発に力を入れている地域でもあり、またここには ”The Receiver”像が設置されているので彼にふさわしいかもしれない。このレシーバー像は88番で背中の名前は"Receiver"なっているが、これをドライバーに似せてお色直しし、背番号80番の"Driver"に変更する、と市長。
政治家2人のあと、大歓声に迎えられてドライバー本人がポディウムに登場。いきなり涙が込み上げて言葉が出てこない。
- ファンへの愛と感謝と称賛を述べたあと本題に。 「今日ここに、僕はNFLから引退することを決断した。難しい決断ではあったが、家族も僕も、人生の次の章へと進むべき時だと感じた。引退して最初の仕事は、物置のリスを退治することだと妻に言い渡されている(笑)」 「その時が来た。僕はグリーンベイ・パッカーとして引退しなければならない。つねに言ってきたことだが、僕は他のユニフォームを着たくはないし、常にグリーン&ゴールドであり続ける」
- 世話になった人々への感謝の言葉。自分をここに呼んでくれたロン・ウルフ元GM、父のような存在だったボブ・ハーラン名誉会長、マイク・マッカーシーHC、テッド・トンプソンGM、マーク・マーフィ社長。これまでのヘッドコーチやWRコーチたち、自分を見出してくれたスカウトのアロンゾ・ハイスミス。
- 母フェイなど家族の話になると涙がこらえきれない。父は肺がんの闘病中とのこと。最後は妻ベティーナについて。大学時代に出会って16年、結婚13年とのこと。 "The love of my life ... Baby, I love you."
- 最後に再びファンへの感謝の言葉を述べて会場を盛り上げ、記者からの質問コーナーに移った。
- QBファーヴとQBロジャースの存在の大きさについて。入団当時からファーヴの世話になり、ケガを押してプレーするタフネスを教わった。ロジャースからはフットボールへの愛の深さ、信じ続ければ必ずできることを学んだ。怒りを胸にプレーし、今や史上最高のQBの1人だ。
- 最高の瞬間はスーパーボウルに勝利してトンネルから退場したとき。
- 末娘チャリティ(1歳)を腕に抱いて話す場面もあった。
記者会見が終わると、WRドライバーは集まったファンの周囲を回りながら握手したりハグしたりして1時間強のイベントが終了。地元TV各局が正午からのニュースで一斉に報じるなど、まさにドライバー一色の一日となった。パッカーズ・プロショップではドライバー関連の特設ページを設置している。
よい場所を取ろうと早朝から長蛇の列 前夜10時からのファンも
アトリウムに集まった1000人以上のファン
壇上で関係者スピーチを聞くドライバー夫妻
けっきょく泣いてしまった マイク・マッカーシーHC
スコット・ウォーカー知事から顕彰盾の贈呈
街路をドナルド・ドライバー・ウェイと命名するとジム・シュミット市長
涙ながらの引退スピーチ
イベント終了後にファンと
熱烈なハグ
2013年2月 3日
60年代黄金期に活躍した元LBデイヴ・ロビンソンがついにプロフットボールの殿堂入りを果たした。毎年恒例のスーパーボウル前日、ベテラン記者46人による8時間20分のマラソン討議だった(7人のリスト)。ケヴィン・グリーンOLBコーチは最終候補17人に選ばれていたが、10人に絞る最初の投票で落選したと伝えられている。殿堂入り式典は8月上旬にオハイオ州カントンで開催される。
◆ ◆ ◆
デイヴ・ロビンソンは1941年ニュージャージー生まれの71歳。ペン州立大では土木工学の学位を取得し、フットボールではDEとしてオールアメリカンに選ばれる活躍で、カレッジ・ホール・オブ・フェイム入りも果たしている。1963年のドラフト1巡指名でパッカーズに入団すると、アウトサイドLBにコンバート。プロ2年目にスターター昇格を果たし、強力ディフェンスの中核選手として大活躍が始まった。
LBながら通算27インターセプトを記録し(サックはカウントされない時代)、MLBレイ・ニチキ、OLBリー・ロイ・キャフィーとのトリオでNFL最強のLB陣を構成した。なかでも1966年NFLチャンピオンシップのカウボーイズ戦で終了間際に自陣ゴール前2ydsまで攻め込まれたとき、彼が相手QBメレディスにプレッシャーをかけ、インターセプトにつなげたのは、パッカーズ史上に残るビッグプレーだった。
オフェンスが老朽化したロンバルディ時代後半、彼やCBハーブ・アデリー、Sウィリー・ウッドといった若くアスレチックな黒人選手たちがチームの成功を支え、1965年からのNFL3連覇に大いに貢献した。オールプロ1stチームに3回選ばれ、 1960年代のAll-Decade Team にも選出。1973年にレッドスキンズにトレードされた後もスターターとして活躍を続け、1974年を最後に引退した。いまもパッカーズOBの重鎮の一人、ロンバルディ時代の生き証人として、さまざまなイベントに出席することが多い。
ヴィンス・ロンバルディ時代の選手としては、QBバート・スター、RBポール・ホーナング、FBジム・テイラー、RTフォレスト・グレッグ、Cジム・リンゴ、DEウィリー・デイヴィス、DTヘンリー・ジョーダン、MLBレイ・ニチキ、CB/KRハーブ・アデリー、S/PRウィリー・ウッドがすでに殿堂入りしており、今回のLBロビンソンでなんと11人目。選考委員たちの中に「もう十分すぎるほど殿堂入りした」という雰囲気がある中での選出なのだからなおさら立派だ。パッカーズからの殿堂入りはこれで22人となった。(キャリアの多くをパッカーズで過ごした人物のみ)
プロボウルのユニフォームか
この瞬間にエンドゾーンでSトム・ブラウンがインターセプト、1966年のNFL制覇が決まった
一昨年のスーパーボウル関連イベントにて
2013年2月 1日
WRドナルド・ドライバーが現役続行を断念し、正式に引退を表明した。2月6日午前11時(現地時間)からランボーフィールドのアトリウムで引退セレモニーを行い、そこにはマッカーシーHC、トンプソンGM、マーフィ社長の3首脳も出席する。メディアだけでなく、ファンも無料で参加できるのがこれまでにない試み。早い者勝ちのチケットはパッカーズのチケットオフィスにて、2月1日午前9時から配布するとのこと。
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いまドライバーはチャリティ・イベント出席のため、スーパーボウルウィークのニューオーリンズに滞在している。彼によると、来季は再契約しないとの通告を球団から受けたとのこと。彼のコメントからは、パッカーズでキャリアを終えることに強くこだわった様子が伝わってくる。
「妻や子供たちとじっくり話し合って決めたことだ。これまで言い続けてきたように、僕は他のユニフォームを着たくない。パッカーとして引退することはファンへの恩返しでもある。僕はまだプレーできると感じているが、この球団でプレーできないのなら、プレーできないのと同じことだ。この決断に僕は満足している。妻と子供たちも支持してくれて、決断が容易になった。いまは落ち着こうと努力しているけど、6日のセレモニーでは感情的になってしまうだろう」
「僕は引退を撤回することはない。自分のチームから声がかからないかぎりね。パッカーズが望んでくれるならよろこんで復帰する。興味を持ってくれるチームは他にもあるだろうけど、僕はグリーン&ゴールドにしか興味がない。他のチームでプレーすることになったら? ファンにストレスを与えてしまうことになるし、そんなのは間違ってる。ファンは長年にわたって僕を支持してくれた。その彼らにそのような仕打ちはしたくない。僕にこんなによくしてくれたのだから、僕もそのお返しをしなければ」
引退セレモニーにファンも参加できるようにしたことについては、「僕はファンにオープンな形にしたかった。球団もそれを許可してくれた」と説明している。
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WRドナルド・ドライバーはテキサス州ヒューストン出身の37歳。極貧の少年時代は事実上ホームレスで、ドラッグ売人の使い走りをして家族を支えたこともある(2002年記事へ)。やがて祖母の助けもあって学校に戻ると、いくつものスポーツで頭角を現してアルコーン州立大へ。フットボールで活躍するかたわら、走り高跳びでオリンピック級の記録を出した。
1999年のドラフト7巡(全体213位)でパッカーズに入団したが、3年目まではスペシャルチーマーとしてチームに喰らい付いていたにすぎなかった。たゆまぬ努力が実ったのはプロ4年目の2002年。QBブレット・ファーヴのメインターゲットとなり初めての1000ydsレセプションとプロボウル出場を果たし、高額の契約延長を手に入れて涙を流した。ケガを恐れぬプレースタイル、苦労人で並外れた努力家、心を溶かすようなビッグスマイルといった魅力的な要素にも富み、ファン・フェイバリットの地位を確固たるものに。また、下積み時代からチャリティへの参加回数は群を抜いていた。
フィールドでの実績は以下のとおり。
- プロボウル4回(2002、2006、2007、2010)
- 1000ydsシーズン7回、6年連続はどちらも球団史上1位。
- 通算10137ydsレシービングは球団史上1位。(2位はWRジェームズ・ロフトンの9656yds)
- 通算パスキャッチ743回は球団史上1位。(2位はWRスターリング・シャープの595回)
- レシービングTD61回は球団史上3位。(1位はWRドン・ハトソンの99回)
- 133試合連続パスキャッチは球団史上1位。(2位はWRシャープの103試合)
- シーズン50キャッチを9回は球団史上1位。(2位はWRロフトンの7回)
- ランボーフィールドでのパスキャッチ363回、5000ydsはどちらも球団史上1位。27TDは2位。
- 1試合100ydsレセプション22回は球団史上5位。
- 通算ヤード・フロム・スクリメージ10354ydsは球団史上2位。(1位はRBアーマン・グリーンの11048yds)
- 通算204試合出場(レギュラーシーズン)はQBブレット・ファーヴ(255)に次ぐ球団史上2位。