NFLから配布される補償ドラフト指名権(Compensatory Pick)として、今年のパッカーズには3巡(全体98位)と5巡(全体176位)が与えられた。これでパッカーズの指名権は以下の9つとなった。 なお、この指名権はトレードできない決まりとなっている。
1巡21位
2巡21位 (全体53位)
3巡21位 (全体85位)
3巡34位 (全体98位) ← Compensatory Pick
4巡21位 (全体121位)
5巡21位 (全体161位)
5巡36位 (全体176位) ← Compensatory Pick
6巡21位 (全体197位)
7巡21位 (全体236位)
Compensatory Pick とは前年のFA市場で流出の方が大きかった球団に配布されるドラフト指名権で、NFLの戦力均衡策の1つといえる。今年は13球団に32指名権が配布された。全リストはこちら(PDF)。計算方法は公開されていないが、おもに契約の大きさと移籍後の出場時間を元に算出される。昨年パッカーズからはWRグレッグ・ジェニングス(5年$45ミリオンでMINへ)とOLBエリック・ウォルデン(4年$16ミリオンでINDへ)が移籍し、FA獲得はゼロだった。
なお、計算対象となるのは「契約切れでFAとなった選手」に限られ、解雇された選手は含まれない。今年パッカーズが獲得したDEジュリアス・ペッパーズ(元CHI)とDTルトロイ・ガイオン(元MIN)はどちらも解雇されてFAとなった選手のため、来年の Compensatory Pick の計算には含まれずに済むというわけだ。
1994年に同制度ができて以来パッカーズは33指名権を受け取っていて、これはレイヴンズに次いで多い。近年では、Cスコット・ウェルズ(2004年7巡)、RGジョシュ・シットン(2008年4巡)、DEマイク・ダニエルズ(2012年4巡)といった中核選手がこの指名権で入団している。また90年代には、CBタイロン・ウィリアムズ(1996年3巡)、OGマルコ・リヴェラ(1996年6巡)、QBマット・ハッセルベック(1998年6巡)、QBアーロン・ブルックス(1999年4巡)といった選手がこの指名権で入団してスターに成長している。
先日再契約したRBジェームズ・スタークスは、下表のとおり約$3.165ミリオンの2年契約と判明した。契約ボーナスはわずか$72万5千ドル。今年のベースサラリーが$75万ドルとなっている。ワークアウトボーナス$7万5千ドルのほかに、1試合出場するごとに$11426ドルのロースターボーナスが発生する。計算すると、今年のキャップナンバーは約$1.37ミリオンとなる。ラン1回平均5.5ydsの控えRBとしては十分にリーズナブルな値段だろう。
James Starks' new contract | |||||||
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Year | 契約ボーナス | ロースターボーナス | ベースサラリー | ワークアウト | 出場ボーナス | キャップナンバー | キャッシュバリュー |
2014 | (362,500) | 750,000 | 75,000 | 182,813 | 1,370,313 | 1,732,813 | |
2015 | (362,500) | 1,175,000 | 75,000 | 182,813 | 1,795,313 | 1,432,813 | |
計 | 725,000 | 3,165,626 |
DTルトロイ・ガイオン(MIN)がパッカーズとの総額$1ミリオンの1年契約に合意した。内訳は、契約ボーナスが$10万ドル、ベースサラリーが$73万ドル。毎週のロースターボーナスが$1万ドルずつで計$17万ドル。ヴァイキングスでは2012年に再契約して以来先発ノーズタックルを務めてきたが、今年はサラリーが$3.9ミリオンになるため解雇されていた。代理人によると、より高額のオファーを蹴ってパッカーズに決めたとのこと。
プロ6年間で出場90試合、サックは通算5回のみ、ラン守備に優れたタイプのロール・プレイヤー。ジョニー・ジョリーやC.J.ウィルソンの後任としてランシチュエーションでDEを務めるのか、ノーズタックルで使うのか。その両方かもしれない。ラジに続いての1年契約(DEペッパーズも実質そうだ)というところも興味深い。開幕ロースターに残れる保証はないが、まだ若い選手なので、今年よければ契約延長があるかもしれない。また、これでNTライアン・ピケットとの再契約は消えたと言えそうだ。
◆ ◆ ◆
ルトロイ・ガイオン Letroy Guion はフロリダ州スターク出身の26歳。フロリダ州立大から2008年ドラフト5巡指名でヴァイキングスに入団、3年目あたりからローテーションで重要な働きをするようになった。4年目を終えたところでFAとなり、総額$9ミリオンで再契約して先発ノーズタックルに。しかし期待されたほどの成長を見せられず、今月6日に解雇されていた。身長6フィート4(193cm)、体重315ポンド(143kg)。
先日DEジュリアス・ペッパーズがサインした契約は、下表のとおり総額$26ミリオンと判明した。ベースサラリーもキャップナンバーも2年目・3年目が極端に高くなっており、やはり実質1年契約に見える。その場合、来年$5ミリオンのデッドマネーが残るのは承知の上なのだろう。ただ今季活躍(たとえば2ケタサック)できれば、来年はキャップ枠がさらに増額される見込みでもあるし、残留が絶対ないとは言い切れない。
Julius Peppers' new contract | |||||||
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Year | 契約ボーナス | ロースターボーナス | ベースサラリー | ワークアウト | 出場ボーナス | キャップナンバー | キャッシュバリュー |
2014 | (2,500,000) | 1,000,000 | 3,500,000 | 8,500,000 | |||
2015 | (2,500,000) | 8,500,000 | 500,000 | 500,000 | 12,000,000 | 9,500,000 | |
2016 | (2,500,000) | 7,000,000 | 500,000 | 500,000 | 10,500,000 | 8,000,000 | |
計 | 7,500,000 | 26,000,000 |
FA契約したDEジュリアス・ペッパーズは年齢への懸念について、「僕はまだまだ力が残っている。チームに大きな貢献ができる。まだ高いレベルでプレーできることを世間に証明したい」と自信を示している。「(個人成績は)僕には関係ない。スタッツは僕の中で大きな意味がないんだ。よいスタッツを残さなくてもよいシーズンを過ごすことはできる。目標は高いレベルでプレーすること。僕はパスラッシャーだから、それが大きな部分を占める。ハードにプレーしてどの試合でも大きな貢献をしたい」
「パッカーになれるのはすごくよい気分だ。素晴らしい歴史を持つチームに加われることを喜んでいる。優勝を目指す機会をもらえて、これほど嬉しいことはない。(FA市場では)自分に合った機会を求めていた。優勝する十分なチャンスがあるチーム、優秀な人物たち、勝ち方を知る優れた選手のいるロッカールーム。それに、自分がよりヴァーサタイルで効果的なプレーができるようなユニークなディフェンス・スキームを求めていた」
「よいクォーターバックのいるチームが勝つチームだ。それが僕の決断に影響したのはたしか。アーロン(ロジャース)と一緒にプレーするのを楽しみにしている。彼を追いかけるのは嫌だし、同じチームでやれるのを喜んでいる。大事なのは優勝を目指すことだ。僕はこれまで優勝したことがないから、気持ちはそこに集中している。このチームは優勝を目指す形ができていると思うし、自分ならそれを助けられると思う」
ドム・ケイパースDCは1999年ジャガーズで4-3を使って強力ディフェンス(失点1位)を築いたことがある。OLBペリーやOLBニールに関するマッカーシーHCの発言からしても、昨年までとは違ったディフェンスを目指しているのは間違いない。 「ケイパースDCはヴァーサタイルなことを好み、いろいろ違ったことを仕掛ける。僕がキャリアを通してずっとやりたかったことだ。このチームは、昨年アーロンが倒れた時でさえ素晴らしいオフェンスだった。ディフェンスは何が欠けていたのかわからないけど、エリート・レベルに達するのを自分なら助けられると確信している。すべてがパーフェクト・フィットだと思う」
◆ ◆ ◆
代理人のカール・ケアリーはパッカーズ訪問の様子を振り返る。 「じつは球団施設に足を踏み入れてわずか5分、トンプソンGMやマッカーシーHCやラス・ボール(交渉担当)と会ってすぐ、ジュリアスが球団にしっくりきていることを私は感じた。そしてじっさい彼は、『感触がすごくいい』と私に打ち明けたんだ。先週火曜に解雇されてから計8チームが彼に興味を示し、契約オファーがいくつも来ていた。しかし我々がグリーンベイに着いたとたん、彼は私を見て『ここに決めよう』と言ったんだ」
「解雇はありうると我々には昨年初めの時点で承知していた。そうなることがわかっていても、ジュリアスはベアーズのために契約見直しを受け入れた。その結果として今年のキャップナンバーが跳ね上がる形になる。だからキャップ上の理由で解雇される可能性があると我々は覚悟していた」
「ジュリアスにとって重要だったのは、ヴァーサタイルな能力、自分の特別な才能を証明できる機会だった。彼は長年、3-4とかハイブリッドのディフェンスでプレーすることを望んでいた。パンサーズ時代からのことだ。ついにその機会が手に入り、彼はとても喜んでいる」
「4年にわたって映像を研究し、彼への対策をしてきた同地区ライバルから入団を誘われるというのは、選手にとって最高の賛辞だと思う。彼を知り尽くし、どれだけ働けるかをよくわかった球団が、こちらのサイドに来ないかと言ってくれるのだから、それだけ彼を買ってくれているということだ」
元ベアーズのDEジュリアス・ペッパーズがパッカーズと3年契約を結んだ。前触れはまったくなかったが、すでにランボーフィールドを訪れて契約書にサインしている(写真1・写真2)。プロボウル8回を誇る名パスラッシャーも昨季はパフォーマンスが落ち、今年はキャップナンバーが$18ミリオン以上になるため解雇。今春パッカーズはさまざまなDL選手に興味を示していたが、FA解禁から4日が過ぎ、「やはりトンプソンGMが大物FA狙いに行くはずなかった」という声が圧倒的になった矢先のことだった。パッカーズらしからぬ高齢ベテランの獲得ではあるが、過去6年連続フル出場中というケガの少なさはトンプソンGM好み。
契約については、最大$30ミリオン、うち$7.5ミリオン保証、1年目に受け取るのが計$8.5ミリオン、という数字が代理人から伝わっている。仮に契約ボーナス$7.5ミリオン、今年のベースサラリーが$1ミリオンだとすれば、今年のキャップヒットはわずか$3.5ミリオンとなる。「実質は1年契約」という見方も多く、比較的ローリスクな契約契約となっているはず。(今年ベアーズのサラリーキャップには彼の$8.3ミリオンのデッドマネーが残っている)
3-4ディフェンス未経験のペッパーズだが、パンサーズ時代末期は3-4のチームでプレーしたがっていたらしい。パッカーズでのポジションはDEとOLBの両方、という話もある。OLBニールやOLBペリーに関してマッカーシーHCが語っていたように、相手にとってより予想しにくいマルチプル・フロントを活用する考えなのだろう。問題はそれよりも、34歳の彼にどれだけの力が残っているかだろう。多少衰えがあるとしても長身で腕の長い彼はラン守備にも優れ、左右どちらからでもラッシュできる。試合中のエフォートに波がある(つまり本気を出さないプレーがある)という定評がつきまとうだけに、出場スナップ数を絞るのはプラスに働くかもしれない。
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ジュリアス・ペッパーズ Julius Peppers はノースカロライナ州ウィルソン市出身の34歳。地元ノースカロライナ大では全米最多の15サックを挙げたほか、バスケでも(こちらは超名門)2年間プレーし、NCAAトーナメントで1試合18点・10リバウンドを挙げたことがある。大学最終年はフットボールに専念し、コンバインでは6フィート7の長身ながら40yds走を4.68秒。2002年1巡2位でパンサーズに入団すると、いきなり12サックを挙げてディフェンス新人王にも選ばれ、翌年はスーパーボウル進出にも貢献。2008年までの7年間はマイク・ターゴヴァックDLコーチ(当時パンサーズDC)の下でプレーしている。2010年には総額$91.5ミリオンの6年契約でベアーズに移り、4年間で38サックを記録している。
業績は枚挙にいとまがない。通算サック119回(現役3位)、ファンブルフォース40回、インターセプト7回。ディフェンス新人王、プロボウル選出8回、オールプロ1stチーム3回、2ndチーム3回、月間MVP4回。2000年代の All-Decade Team にも選ばれている。プロ12年間で欠場わずか6試合。(うち4試合はルーキーシーズン)
B.J.ラジがパッカーズとの再契約にサインした。$4ミリオンの1年契約とみられ、インセンティブの条件を満たせば最大$6.5ミリオンほどになる、という情報もある。シーズン半ばに球団側は年平均$8ミリオン($20ミリオン保証)の大型契約をオファーしており、ラジはそれを蹴ったばかりに大損をしたことになる。ただ、彼がもっとも活躍(2010年)したノーズタックルのポジションに戻す、というチーム側のプランは本人にとって魅力的だったはず。今年汚名返上に成功すれば来年またFA市場でビッグマネーが狙える。
B.J.ラジ B.J. Raji はニュージャージー州ウェストウッド出身の27歳。ボストン・カレッジから2009年1巡9位指名で入団、2年目にフルタイムのスターターとなってスーパーボウル制覇におおいに貢献した。とくにNFC決勝ベアーズ戦でのINTリターンTDは球団史上に残るビッグプレー。ここ2年間はパフォーマンスが落ち、とくに昨季後半の気の抜けたプレーぶりで評価が急落した。他に興味を示していたのはチーフスとレイダーズ(ともに元パッカーズがGMを務める)だったらしい。
OLBニールとあわせ、TEアンドリュー・クウォレスとの再契約が発表された。第一報が球団発表というのは今どき珍しい。総額$3ミリオンの2年契約で、契約ボーナスはわずか$35万ドル。ベースサラリーは今年が$80万ドル、来年が$1.3ミリオン。ワークアウトボーナスが両年とも$7万5千ドル、出場ボーナスが1試合あたり$12500ドル(全試合出場で年$20万ドル)となっている。かなりのバーゲン価格で、パッカーズとしては仮に今季開幕前に解雇しても痛手はほとんどない。本人としては2年後に27歳の若さでまたFAになれるという張り合いはあるだろう。
アンドリュー・クウォレス Andrew Quarless はニューヨーク州ロングアイランドのユニオンデール出身の25歳。2010年5巡指名でパッカーズに入団した。2年目シーズンの12月にヒザ前十字靭帯を断裂し、3年目シーズンを全休。昨季ようやく復帰してTEフィンリーの代役スターターを10試合務め、とくに第14週ATL戦、第15週DAL戦ではともにパスキャッチ6回66yds・1TDの活躍で逆転勝利に貢献した。ヒザ負傷前はブロッキングがかなり向上しており(クラブトリーより力強かったとの声あり)、いまもコーチ陣は当時のクウォレスに戻ることをあてにしているフシがある。数日前には「6球団ほどが興味」という噂だったが、いざFA解禁されてからは動きがまったくなかった。
無制限FAとなっていたOLBマイク・ニールがパッカーズとの2年契約に合意。本人のツイートが第一報だった。金額が伝わってこないが、代理人が自慢できるような契約でないのかもしれない。彼についてはカーディナルズとベアーズ(こちらはDEとして)も興味を示していた。来季はマシューズとペリーの控えでローテーションに加わる見込みだが、OLB専門というわけでもないらしい。先日マッカーシーHCは「ケガ人の関係で多彩な使い方ができなくて残念だった」と語っており、DEやDTを含めた柔軟な起用法を示唆している。
OLBマイク・ニール Mike Neal はインディアナ州ゲイリー(シカゴのすぐ東)出身の26歳。パデュー大から2010年2巡指名でパッカーズに入団、最初の2年間はケガに苦しんでほとんど貢献できなかったが、3年目の2012年にインサイドラッシャーとして4.5サックを記録。昨年OLBにコンバートされると、先発陣の代役として10試合に先発。シーズン後半は腹部のケガでろくに練習できない状態だったが、頑張って初の全試合出場を果たした。
3月11日の夕方、NFLは新年度に突入。フリーエージェントおよびトレードが解禁となった。いまは3日間の事前交渉期間が設けられているとあって、米東部4時を過ぎた瞬間から数え切れないほどの契約合意が伝えられている。もちろんパッカーズはまったく動きがない。FA解禁直前の契約延長もなかった。
先日CBサム・シールズがサインした契約は、下表のとおり総額$39ミリオンの5年契約と判明。先日代理人がリークした数字は嘘偽りのないものだった。契約ボーナスは$12.5ミリオン。今年のベースサラリーは$1.5ミリオンでキャップナンバーは$5.625ミリオン(チームで5番目)。出場ボーナスとワークアウトボーナスを毎年合計$1ミリオン受け取ることになっている。
Sam Shields' new contract | |||||||
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Year | 契約ボーナス | ロースターボーナス | ベースサラリー | ワークアウト | 出場ボーナス | キャップナンバー | キャッシュバリュー |
2014 | (3,125,000) | 1,500,000 | 500,000 | 500,000 | 5,625,000 | 15,000,000 | |
2015 | (3,125,000) | 2,500,000 | 2,500,000 | 500,000 | 500,000 | 9,125,000 | 6,000,000 |
2016 | (3,125,000) | 8,000,000 | 500,000 | 500,000 | 12,125,000 | 9,000,000 | |
2017 | (3,125,000) | 8,000,000 | 500,000 | 500,000 | 12,125,000 | 9,000,000 | |
計 | 12,500,000 | 39,000,000 |
CBサム・シールズがパッカーズとの4年契約に合意した。ProFootballTalk によると契約ボーナス$12.5ミリオンを含む総額39ミリオンとのこと。先日は「交渉を打ち切ってFA市場に出る」と報じられたが、その後パッカーズ側が金額を上げたのだろう。1年平均$9.75ミリオンはかなり高いが、まだ26歳でケガも少なく、伸びシロも残っている。それに、これでCBウィリアムズの年齢やCBハイドのセーフティ挑戦にも対応できる。今年$10ミリオン増えたサラリーキャップ枠は、来年・再来年はさらに大幅に伸びるとの予想もある。こうした時期は、「そのとき高く思えた契約が何年か経ってみるとそうでもない」という現象がしばしば起きるもの。
同サイトによれば、「1年目に総額$15ミリオンを受け取り、最初の2年間で総額$21ミリオン、最初の3年間で総額$30ミリオン」とのこと。とすると、今年のサラリーとワークアウトボーナスが$2.5ミリオン、2015年が$6ミリオン、2016年と2017年がそれぞれ$9ミリオンという計算になる。おそらく実際はこれほど単純な内容ではなく、試合出場ごとのロースターボーナスがかなり含まれていそうだ。報道が正しければ今年のキャップヒットは$5.625ミリオンとなり、パッカーズのキャップスペースは$29ミリオンほど残っている。
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FA解禁直前の3日間は「他球団のFA予定選手と正式契約はできないが交渉はできる」という期間が設定されている。パッカーズが誰か他球団のFA予定選手と交渉したという情報はまだない。自前のFA予定選手については以下のとおり。
今回はディフェンスのFA予定選手について考えてみる。最後に挙げるILBラティモアとSジェニングスは制限つきフリーエージェント。なお、今年のFAおよびトレード解禁は3月11日(米東部時間16時)となっている。
ディフェンスの最重要FAはCBサム・シールズだったが、報道によると、金額面で折り合わないためいったん交渉を打ち切ってFA市場に出ていくようだ。DLは4人がFAとなるので予想が難しいが、高望みをしなさそうなNTライアン・ピケットは残留するかもしれない。DE B.J.ラジは無理に引き留めないだろう。OLBマイク・ニールは再契約の可能性あり。DEジョニー・ジョリー(頸椎)とILBロバート・フランソワ(アキレス腱)はケガの回復しだい。
なおリンクを張った「FAリスト」はCBS Sportsによるポジション別のランキング。その他、Yahoo!(オフェンス/ディフェンス)と Rotoworld(オフェンス/ディフェンス)も参考に。
プロ2年目に6.5サックを挙げてスーパーボウル制覇に大貢献した後は下り坂。ここ2シーズンはサックゼロが続いている。以前はほとんど出ずっぱりだったのに今はパスラッシャーとしての出番が激減し、昨年は全スナップの58.6%しか出場していない。ラン守備でもシーズン後半はだらしない試合が目立った。ケガをしたわけではない。契約最終年ということを考えると信じられない話だが、問題はセルフモティベーションなのか。プロ入り前、「尻を叩かれないと必死でやらない面がある」と心配されたことが現実になったように見える。
昨年春の時点では最重要FAの1人と思われたが、そういったわけで評価はガタ落ち。シーズン半ばに「パッカーズからの年$8ミリオンのオファーを蹴った」と一部報道があったが、本当にそうしたとすればトンプソンGMらしからぬ馬鹿げた過大評価だし、ラジ側はよほどの自信過剰、あるいは移籍したくて仕方がないのか。いまは「引き留める必要なし」というのが世間の雰囲気になっている。
DEではダニエルズ(6.5サック)が立派なパスラッシャーに育ち、デイトン・ジョーンズ(昨年1巡)とジェレル・ウォージー(一昨年2巡)の伸びシロも期待できる。ノーズタックルではジョシュ・ボイド(昨年5巡)が使えそうで、NTライアン・ピケットと再契約できれば大きな穴が開く心配はないのでは。ラジに大金をつぎ込むぐらいなら他で使うべきだろう。
ライン中央で踏ん張るランスタッファー。シーズン後半はヒザのケガを抱えながらのプレーでパフォーマンスが落ちたが(欠場しなかったのは立派)、元気な時のプレー内容は決して悪くない。ただし34歳という年齢はやはりネック。ここ2週間ほどの間にも、「チームは残留させない考え(NFL.com)」 「控えめな金額であれば再契約の意図あり(Journal Sentinel紙)」と相反する報道がなされている。本人は無茶な要求をするタイプではなく、安定志向のように見える。
そろそろ世代交代したいと首脳陣が考えるのは無理もないが、楽しみな若手が多いDE陣と違い、ノーズタックルは後任候補がジョシュ・ボイドぐらいしかいない。インセンティブを多くした2年契約あたりでピケットを引き留めつつ、若手を育てるのが安全策に思われる。あるいは、2006年にピケットを獲ったときのように、ミドルクラスのFAを外部から獲得することがあるだろうか。
薬物による長期出場停止(と服役)から復活。まる3年間のブランクをものともせず、ロースター入りどころかスターターの座まで取り返した。3-4のベース隊形で325ポンドの彼をDEに入れ、ラジ、ピケットと巨漢トリオを形成するのが首脳陣の考え。独特の嗅覚を評価されての先発復帰だったが、プレー内容はさほどよかったわけではなく、DL陣(ダニエルズを除く)の競争レベルが低かったのだろう。首を痛めて12月半ばにIR入り。それまでは腕に力が入りにくい状態で2試合ほどプレーしていた。
第五・第六頸椎の接合手術を1月10日に受けたが、これはSショーン・リチャードソンの場合と同じで復帰は比較的容易らしい。代理人によると回復は順調とのこと。ただSリチャードソンは昨年1月に手術を受けて復帰は10月下旬だった。パッカーズとしてはしばらく回復を見守ることになるだろうが、他のDLたちが抜けてラン守備が手薄になるようならベテラン最低額で再契約も。
2012年はスターターを務めたウィルソンだが、大事なコントラクト・イヤーは上記ジョリーに先発の座を奪われただけでなく、8試合でアクティブ登録から外れる屈辱的なシーズンとなった。限られた出番でのプレー内容は悪くなく、DEジョリーとさほど差があったわけではない。最低額クラスなら再契約の可能性はなくもないが、それほど評価していたらシーズン中にあのように冷遇はしないだろう。
最初の2年はケガに泣き、3年目の2012年にようやくインサイドラッシャー(4.5サック)としてチームに貢献した。ところが昨年はコーチの指示でOLB転向。ローテーション要員として徐々に慣らすはずが、マシューズ(プレーオフ含め6試合)とペリー(5試合)の負傷欠場のため、先発でフル回転するハメになってしまった。LB経験が浅いために、とくにラン守備で判断の悪さ・遅さ、フェイクへの引っかかりやすが目立った。パスシチュエーションでは前年までと同じくDLとしてラッシュする場面も多い。
OLBとしては伸びシロがまだまだ残っており、マシューズやペリーがケガがちであることを考えると、再契約してローテーションの一角にくわえたい、とパッカーズ側が考える可能性は十分ある。あとは条件しだい。カーディナルズが興味を示しているとの報道もある。
スペシャルチームの中核選手の1人で、控えILBとしてもそつがない。昨年は第5週DET戦で負傷したILBジョーンズの代役として入ったが、わずか13スナップ目でアキレス腱を断裂してしまった。OTAやミニキャンプの頃には回復していそうだが、ILBの控えにはラティモア(昨季272スナップに出場して光るものを見せた)にくわえてバーリントン(昨年7巡指名)もいて、チームとしては慌てて再契約する必要がない。検討するとしてもアキレス腱の回復を見守ってからだろう。
ドラフト外入団からいきなりスターターとなり、アウトサイドを守り続けてきた。上背こそないものの、どんなレシーバーにも走り負けないスピードは一級品で、キャッチ寸前で防ぐボールスキルも高い。昨年はキャリア最多タイの4インターセプトを奪ったものの、2012年に大きく改善されたランサポートはすこし再悪化した印象もある。チームとしては最重要フリーエージェントと位置付けて交渉を続けてきた。
トラモン・ウィリアムズ(昨年のプレー内容がよく再び評価を上げた)がもうじき31歳となるため、他のポジションの強化のためにもシールズと再契約してCB陣を安定させておきたいのはやまやま。ただ、仮に彼を引き留められなくても、2012年に新人王を争ったケイシー・ヘイワード(ハムストリング負傷で出場3試合)、昨年ニッケルバックとして光るプレーを見せたマイカ・ハイド(5巡指名)、ダイムバックで予想以上の頑張りを見せたジャレット・ブッシュ、契約最終年を迎えるデヴォン・ハウスがいて、それなりに駒が揃ってはいる。
先週は「締結は遠くない」との楽観論が流れたが、土曜になって「交渉を打ち切ってFA市場へ出る」と関係筋からリークがあった。サラリーキャップ枠が最初の予想から$7ミリオンも増えたのを見て希望金額を上げたのだろうか。ただ、これで再契約の目が消えたわけではまったくない。最近だけでも、ILBブラッド・ジョーンズ(2013)、WRジェームズ・ジョーンズ(2011)、FBクーン(2011)、LTクリフトン(2010)、RTタウシャー(2010)といった選手たちが、いったんFA市場に出たあと再契約している。FA市場に出さないために選手側の要求を飲むのではなく、市場に値段を決めさせる、といった冷静なやり方だ。
制限つきフリーエージェント(RFA)は、あらかじめ所属チームが"Qualifying Offer"をしておくことによって移籍を阻止できる仕組み。そうしておけば、選手が他球団からのオファーシートにサインしても、それにマッチするオファーをすれば引き留めることができる。 ただ、以前とくらべてRFA選手への "Qualifying Offer" が値上がりした結果、最低保証額(4年目選手)の2倍以上の高額サラリーになった。そのため、オファーをせず無制限FAにしたうえで安価で再契約するパターンが増えている。昨年のILBフランソワがそうだった。
先発ILBブラッド・ジョーンズ負傷のため、4試合にわたって代役スターターを務め、全体としてまずまずの働きを見せた(2サック)。嗅覚に優れビッグプレー能力もありそう。今年はフルタイムのスターターに挑戦させるべきとの声も一部にはある。それはともかく、控えとしては十分なレベルと言える。代理人が先週語ったところによると、「パッカーズがRFAテンダーをオファーする可能性はゼロに近い」とのこと。RFA最低テンダーの$1.389ミリオンよりも、4年目選手の最低額である$65万ドルに近い線をチームは考えているのだろう。
16試合すべてに先発したが、プレー内容は2012年(先発10試合)よりも大幅に悪化。パス守備で大きなミスを繰り返し、ディフェンス低迷の元凶となった。パスで5TDを許し、インターセプトはゼロ。彼のエリアに投げたときのQBレーティングは148.8、成功率88.9%。地元両紙がスターター中の最低点(どちらもDマイナス)をつけている。「パッカーズは彼にRFAテンダーをオファーしない」との一部報道もあり。再契約するとしても控えだろう。
オフェンスとディフェンスに分けてパッカーズの主なFA予定選手について考えてみる。今年のFAおよびトレード解禁は3月11日(米東部時間16時)。サラリーキャップ枠はけっきょく$133ミリオンに確定し、昨年より$10ミリオンもの上昇となった。パッカーズのキャップスペースは約$35ミリオンとなっている。あわせて確定したポジションごとのフランチャイズ/トランジション指名選手のサラリーはこちら。
先に結論をまとめると、パッカーズのオフェンス選手で再契約がありそうなのは、Cディートリック=スミス、FBクーン、TEクウォレスあたり。RBスタークスは安ければ可能性あり。WRジェームズ・ジョーンズとTEフィンリーは見送りの方向。OTニューハウスはほぼゼロ。今年のパッカーズはフランチャイズ指名はなさそう。
なおリンクを張った「FAリスト」はCBS Sportsによるポジション別のランキング。その他、Yahoo!(オフェンス/ディフェンス)と Rotoworld(オフェンス/ディフェンス)も参考に。
2012年春にFA移籍したシーホークスで先発争いに敗れ、その後レイダーズ、ビルズでも成功せず。1年8か月間で$14.5ミリオンを稼ぎながら先発出場は1試合のみ。QBロジャースを欠くパッカーズは代役セネカ・ウォレスも負傷のため、ビルズから解雇されていた彼と11月半ばに再契約した。2週後のヴァイキングス戦、チームは不振のQBトルジーンをハーフタイムで下げてフリンを投入。第4Qに16点を挙げる活躍で引き分けに持ち込んだ。感謝祭@デトロイトでは惨敗したものの、ファルコンズ、カウボーイズときわどい逆転勝ちを収めてプレーオフ争いに踏みとどまることができた。
パッカーズは長らく控えQBをケチってきた。コーチ陣は才能のないQBグレアム・ハレルに3年以上も無駄な労力を費やし、トンプソンGMはキャンプ半ばでQBヴィンス・ヤングに手を出して混乱に拍車をかけた。もし最終週の逆転勝利がなかったら、「控えQBの差でプレーオフを逃したシーズン」と非難されていただろう。今年はその教訓を生かさなければならないはず。十分なポテンシャルを見せたQBトルジーンは残留(2年契約なので)が決まっていて、それだけでも昨年のハレル&B.J.コールマンよりマシ。マッカーシーHCはQBフリンとの再契約を望むとコメントしているが、そこは本人の希望額しだいか。他球団で先発が務まらないことを証明済みだけに、かつてのQBダグ・ピダーソンのようにグリーンベイで余生を送ってほしいところ。
プロ4年目の昨季は2番手RBとしてラン493yds(平均5.5)・3TDの活躍を見せた。走る姿勢が高くケガの多い選手だけに、RBレイシーの影でキャリー数を絞られたのもプラスに働いたのだろう。ただ今年は、4巡指名のRBジョナサン・フランクリン、ケガで1年を棒に振ったRBドゥワン・ハリスがいるので、チームにとって再契約の優先度は高くない。パスプロテクションやパスキャッチが決して上手くないのもマイナス材料。戻ってくるとすれば、ベテラン最低額付近の1年契約だろう。
カルト的人気を誇るベテランフルバック兼スペシャルチームのリーダー。高いパスプロテクション能力を活かし、パスシチュエーションでは1バックとしてもプレーする。最終週ベアーズ戦ではDEペッパーズを止めて歴史的なビッグプレー(ビデオ)をサポートしてさらに名を上げた。年齢的な衰えが感じられないどころか、ProFootballFocusの評価(+9.6)はキャリアベストだった。RBレイシー加入のため、ラン機会(ほとんどがショートヤーデージ状況)は2012年の23回から10回へと大幅に減っている。
後継候補がチーム内に見当たらないので、チームとしては再契約の方向だろう。2011年には総額$7.5ミリオンの3年契約を結んだが、絶滅危惧種のフルバック(出場スナップ数はオフェンス全体の27%)としてはかなり高い。今回はいくらか安くして再契約に至るのでは。代理人によると、「双方が再契約に興味を持っている」とのこと。
プロ7年目はヒザのケガ(後十字靭帯捻挫)に苦しんだシーズンだったが、WRコブ長期欠場のなかで、2試合欠場しなかったタフネスはチームを助けた。ヒザ負傷で本来の状態でないなか、WRジャレット・ボイキンが台頭して存在感が低下したのは事実。ロジャース不在時の成績ではボイキンをわずかに下回っている。プロ7年目にしてキャリアベストの817ydsを記録したいっぽう、タッチダウンは前年の14回から3回へと激減した(過去5年で最少)。
パス攻撃の重要な脇役として活躍してきた彼も来月で30歳。チーム側は彼との再契約を見送ってWRボイキンに3番手WRを任せる考えのようだ。初めてFAとなった2011年には、ロックアウト終了後の短いFA市場で満足なオファーがなく、パッカーズとの3年総額$9.6ミリオンを受け入れた経緯がある。今年も同じような展開になれば再契約の可能性はなくもない。
第7週CLE戦で頸椎打撲の大ケガを負ってシーズンエンド。11月に頸椎の手術を受け、現役続行さえ危ぶまれる状況になってしまった。本人にとっては2012年春の契約延長を2年契約($14ミリオン)にとどめた戦略が裏目に出た形だ。落球の目立った前年とくらべて堅実なプレー内容ではあったが、レシービングTEとして相手セーフティをビビらせるような活躍は2009年プレーオフ以来一度もできていない。今春はFA解禁前にパッカーズでフィジカルチェックを受けると報じられている。
自己評価のわりに貢献度が高くないため、負傷前から再契約はないものと見なされていた。再契約があるとすれば、ケガの懸念から買い手がつかない場合だろう。まだやれることを証明したうえで来年またFA市場に出る、という考えで1年契約を受け入れる可能性はある。ただ、第三頸椎と第四頸椎の接合手術を受けた選手にパッカーズが復帰許可を出したことはないらしい(第四と第五ならある)。
プロ4年目の昨季はTEフィンリーの代役として10試合に先発したが、プレーぶりは期待を上回るものとは言えなかった。ランブロックが弱いうえ、パスレシービングでもTEフィンリーほどのスピードがない。落球率4.9%はTE陣でもっともよかった。フィンリーと彼の2人が抜けると、残るTE陣はライアン・テイラー、ボスティック、ストーンバーナーと頼りない。そのためクウォレスと再契約する可能性は十分あるが、金額は安いものになるはず。誰にせよ中堅どころのTEを1人獲っておいてドラフトではチャンスがあれば上位指名、という構えになるのでは。
2012年終盤に先発昇格、昨年は全試合先発してまずまずの働きを見せた。しかし彼の評価は難しく、ProFootballFocusが全センター中8位の点をつけたいっぽう、「並以下」とする向きもすくなくない。パスプロテクションの評価がよくランブロックの評価が低い、という点では一致している。また、左右ガードに恵まれたおかげで安定したプレーができる、という面もありそうだ。
ノーハドルを多用するオフェンスではセンターの頭脳が重要で、しかもパッカーズには公式戦経験のある控えセンターがいないので、彼と再契約したうえで後任を育てていくのが安全策だろう。後任候補は昨年4巡指名のJ.C.トレッターだが、いきなり彼に賭けてしまうのはリスクが大きすぎる。ドラフトで即戦力センターを獲ろうと思えば(ディフェンスを犠牲にして)1~3巡指名権を使わざるをえない。そのため、今回紹介するオフェンス8人の中では彼が最重要FA選手のように思われる。ただ、チームが本当に高く評価しているならシーズン中に交渉が始まっていたはず。本人の希望額とかけ離れているならば、話がこじれてもおかしくはない。
2011・2012年には左タックルで計29試合先発したが、十分な成長が見られなかった。昨年夏のキャンプでは若いLTバクティアリとRTバークレーの後塵を拝し、両タックルの控えを務めることに。右タックルで代役先発した2試合もパスプロテクションでミスを連発し、チームの足をおおいに引っ張った。4年目でこれでは伸びシロももうなさそう。今年のパッカーズはタックルにブラガ、バクティアリ、バークレー、シェロッドと4人揃っているので再契約はないだろう。
QBセネカ・ウォレス、RBカリル・ベルについては割愛。