オフェンスとディフェンスに分けてパッカーズの主なFA予定選手について考えてみる。今年のFAおよびトレード解禁は3月11日(米東部時間16時)。サラリーキャップ枠はけっきょく$133ミリオンに確定し、昨年より$10ミリオンもの上昇となった。パッカーズのキャップスペースは約$35ミリオンとなっている。あわせて確定したポジションごとのフランチャイズ/トランジション指名選手のサラリーはこちら。
先に結論をまとめると、パッカーズのオフェンス選手で再契約がありそうなのは、Cディートリック=スミス、FBクーン、TEクウォレスあたり。RBスタークスは安ければ可能性あり。WRジェームズ・ジョーンズとTEフィンリーは見送りの方向。OTニューハウスはほぼゼロ。今年のパッカーズはフランチャイズ指名はなさそう。
なおリンクを張った「FAリスト」はCBS Sportsによるポジション別のランキング。その他、Yahoo!(オフェンス/ディフェンス)と Rotoworld(オフェンス/ディフェンス)も参考に。
2012年春にFA移籍したシーホークスで先発争いに敗れ、その後レイダーズ、ビルズでも成功せず。1年8か月間で$14.5ミリオンを稼ぎながら先発出場は1試合のみ。QBロジャースを欠くパッカーズは代役セネカ・ウォレスも負傷のため、ビルズから解雇されていた彼と11月半ばに再契約した。2週後のヴァイキングス戦、チームは不振のQBトルジーンをハーフタイムで下げてフリンを投入。第4Qに16点を挙げる活躍で引き分けに持ち込んだ。感謝祭@デトロイトでは惨敗したものの、ファルコンズ、カウボーイズときわどい逆転勝ちを収めてプレーオフ争いに踏みとどまることができた。
パッカーズは長らく控えQBをケチってきた。コーチ陣は才能のないQBグレアム・ハレルに3年以上も無駄な労力を費やし、トンプソンGMはキャンプ半ばでQBヴィンス・ヤングに手を出して混乱に拍車をかけた。もし最終週の逆転勝利がなかったら、「控えQBの差でプレーオフを逃したシーズン」と非難されていただろう。今年はその教訓を生かさなければならないはず。十分なポテンシャルを見せたQBトルジーンは残留(2年契約なので)が決まっていて、それだけでも昨年のハレル&B.J.コールマンよりマシ。マッカーシーHCはQBフリンとの再契約を望むとコメントしているが、そこは本人の希望額しだいか。他球団で先発が務まらないことを証明済みだけに、かつてのQBダグ・ピダーソンのようにグリーンベイで余生を送ってほしいところ。
プロ4年目の昨季は2番手RBとしてラン493yds(平均5.5)・3TDの活躍を見せた。走る姿勢が高くケガの多い選手だけに、RBレイシーの影でキャリー数を絞られたのもプラスに働いたのだろう。ただ今年は、4巡指名のRBジョナサン・フランクリン、ケガで1年を棒に振ったRBドゥワン・ハリスがいるので、チームにとって再契約の優先度は高くない。パスプロテクションやパスキャッチが決して上手くないのもマイナス材料。戻ってくるとすれば、ベテラン最低額付近の1年契約だろう。
カルト的人気を誇るベテランフルバック兼スペシャルチームのリーダー。高いパスプロテクション能力を活かし、パスシチュエーションでは1バックとしてもプレーする。最終週ベアーズ戦ではDEペッパーズを止めて歴史的なビッグプレー(ビデオ)をサポートしてさらに名を上げた。年齢的な衰えが感じられないどころか、ProFootballFocusの評価(+9.6)はキャリアベストだった。RBレイシー加入のため、ラン機会(ほとんどがショートヤーデージ状況)は2012年の23回から10回へと大幅に減っている。
後継候補がチーム内に見当たらないので、チームとしては再契約の方向だろう。2011年には総額$7.5ミリオンの3年契約を結んだが、絶滅危惧種のフルバック(出場スナップ数はオフェンス全体の27%)としてはかなり高い。今回はいくらか安くして再契約に至るのでは。代理人によると、「双方が再契約に興味を持っている」とのこと。
プロ7年目はヒザのケガ(後十字靭帯捻挫)に苦しんだシーズンだったが、WRコブ長期欠場のなかで、2試合欠場しなかったタフネスはチームを助けた。ヒザ負傷で本来の状態でないなか、WRジャレット・ボイキンが台頭して存在感が低下したのは事実。ロジャース不在時の成績ではボイキンをわずかに下回っている。プロ7年目にしてキャリアベストの817ydsを記録したいっぽう、タッチダウンは前年の14回から3回へと激減した(過去5年で最少)。
パス攻撃の重要な脇役として活躍してきた彼も来月で30歳。チーム側は彼との再契約を見送ってWRボイキンに3番手WRを任せる考えのようだ。初めてFAとなった2011年には、ロックアウト終了後の短いFA市場で満足なオファーがなく、パッカーズとの3年総額$9.6ミリオンを受け入れた経緯がある。今年も同じような展開になれば再契約の可能性はなくもない。
第7週CLE戦で頸椎打撲の大ケガを負ってシーズンエンド。11月に頸椎の手術を受け、現役続行さえ危ぶまれる状況になってしまった。本人にとっては2012年春の契約延長を2年契約($14ミリオン)にとどめた戦略が裏目に出た形だ。落球の目立った前年とくらべて堅実なプレー内容ではあったが、レシービングTEとして相手セーフティをビビらせるような活躍は2009年プレーオフ以来一度もできていない。今春はFA解禁前にパッカーズでフィジカルチェックを受けると報じられている。
自己評価のわりに貢献度が高くないため、負傷前から再契約はないものと見なされていた。再契約があるとすれば、ケガの懸念から買い手がつかない場合だろう。まだやれることを証明したうえで来年またFA市場に出る、という考えで1年契約を受け入れる可能性はある。ただ、第三頸椎と第四頸椎の接合手術を受けた選手にパッカーズが復帰許可を出したことはないらしい(第四と第五ならある)。
プロ4年目の昨季はTEフィンリーの代役として10試合に先発したが、プレーぶりは期待を上回るものとは言えなかった。ランブロックが弱いうえ、パスレシービングでもTEフィンリーほどのスピードがない。落球率4.9%はTE陣でもっともよかった。フィンリーと彼の2人が抜けると、残るTE陣はライアン・テイラー、ボスティック、ストーンバーナーと頼りない。そのためクウォレスと再契約する可能性は十分あるが、金額は安いものになるはず。誰にせよ中堅どころのTEを1人獲っておいてドラフトではチャンスがあれば上位指名、という構えになるのでは。
2012年終盤に先発昇格、昨年は全試合先発してまずまずの働きを見せた。しかし彼の評価は難しく、ProFootballFocusが全センター中8位の点をつけたいっぽう、「並以下」とする向きもすくなくない。パスプロテクションの評価がよくランブロックの評価が低い、という点では一致している。また、左右ガードに恵まれたおかげで安定したプレーができる、という面もありそうだ。
ノーハドルを多用するオフェンスではセンターの頭脳が重要で、しかもパッカーズには公式戦経験のある控えセンターがいないので、彼と再契約したうえで後任を育てていくのが安全策だろう。後任候補は昨年4巡指名のJ.C.トレッターだが、いきなり彼に賭けてしまうのはリスクが大きすぎる。ドラフトで即戦力センターを獲ろうと思えば(ディフェンスを犠牲にして)1~3巡指名権を使わざるをえない。そのため、今回紹介するオフェンス8人の中では彼が最重要FA選手のように思われる。ただ、チームが本当に高く評価しているならシーズン中に交渉が始まっていたはず。本人の希望額とかけ離れているならば、話がこじれてもおかしくはない。
2011・2012年には左タックルで計29試合先発したが、十分な成長が見られなかった。昨年夏のキャンプでは若いLTバクティアリとRTバークレーの後塵を拝し、両タックルの控えを務めることに。右タックルで代役先発した2試合もパスプロテクションでミスを連発し、チームの足をおおいに引っ張った。4年目でこれでは伸びシロももうなさそう。今年のパッカーズはタックルにブラガ、バクティアリ、バークレー、シェロッドと4人揃っているので再契約はないだろう。
QBセネカ・ウォレス、RBカリル・ベルについては割愛。