先日パッカーズと契約したFSアンソニー・スミスはドラフト3巡指名からプロ3年目を終えたばかりだったが、スティーラーズからはRFAとしてのオファーがなく、見放された形となった。メンタル面の問題から狂ってしまった歯車をピッツバーグでは元に戻すことができなかったが、新しいスタートに期待は大きい。「新しいスタートを切ってキャリアを再生させるために、僕はここグリーンベイにやって来た。チームに求められることはどんなことでもやるつもりだ」
スティーラーズでのスミスを知っているダレン・ペリー新セーフティコーチ。「誰のキャリアにも、こうした重要な岐路というのはあるものだ。そこで改めて自分に問い直さなければならない。『自分はどのように見られたい? NFLじゅうの選手やコーチから自分はどのように見られている? ただのバックアップ級? ジャーニーマン? スターターになれる力はあるのか? コーチやチームメイトから信頼されるに足る働きをコンスタントにできるのか?』 とね。そういった面からも、彼はこのチームに来て、全く新しい心構えでフレッシュなスタートを切ることが大事だと思う。集中を保ってプレーを続ける。本当に最初から最後まで。それが彼にとってのキーになるだろう」
「セーフティというのは2つの資質がなければならない。スペースでしっかりしたタックルできなければならないし、ボールへのプレーがよくなくてはならない。アンソニーは両方できる。どちらかが欠けている選手は多いものだけどね。彼は嗅覚に優れているし、頭がいい。セカンダリーにタフネスをもたらしてくれるだろう」
3-4ディフェンスの経験があることについて、FSスミス。「その点で仲間を助けることができるだろう。そのことも彼らが僕らを獲った理由の1つだと思う。彼らが新しいディフェンスのテクニックや細かなニュアンスを学ぶのを助ける。いったん感触をつかめば、彼らもすぐに馴染めると思う」
ところで、3巡指名といえばSアーロン・ラウスも同じ。2年目の昨季はビグビーの戦線離脱で出場機会を与えられながら、大きく期待を裏切った。そもそも彼がもっとマシだったら、FSスミスは獲らなかったかもしれない。球団内の情報筋(おそらくスカウト)は、「スクリメージ近くでプレーするにはタックルが悪く、カバレッジに下がると嗅覚や柔軟な動きに欠ける。『優秀なスペシャルチーマーになれる可能性のある控え選手』にすぎないと私は見ている。来季開幕時にはチームからいなくなっていても不思議ではない」と酷評。今年のキャンプはがけっぷちといってよさそうだ。
就任以来3年間苦労して若手OLを育成してきたマイク・マッカーシーHCだが、ポジションをあれこれと入れ替えすぎて、1つのポジションに専念させられなかったことが、順調な育成を妨げてきたと後悔している。「まるでイス取りゲームのようにOLたちのポジションを入れ替え続けた状況から脱しなければならない、と我々は話し合ってきた。ケガが1つの原因だったことは事実だ。しかしウチは若手選手が多く、その彼らがあちこちのポジションをいったりきたりしてばかりいる」
チームが今年もっとも固定させたがっているのはLGダリン・カレッジ。昨年ようやく一人前になったLGカレッジを、さらに一流の左ガードへと成長させたい。「ここで思い切って言ってしまいたい。ダリンが(先発)左ガードをプレーする。彼は右タックルも左タックルもできるし、たしかにラインには競争が大事だ。しかし優れたオフェンシブラインというのは16試合同じメンバーでやるものだ。昨年ダリンが左ガードとしての地位を確立したのは間違いない」
この発言からすると、FAとなっているRTマーク・タウシャーと再契約しない場合(したとしてもリハビリ途上)でも、LGカレッジは右タックルに回さず、左サイドのコンビはとにかく固定させる、という考えなのだろう。しかしそれ以外の3ポジションはかなり流動的だ。センターはウェルズとスピッツの争い。右ガードはシットンとスピッツとバーバーと新加入のプレストン。右タックルはシットンとジャコミニとモールとドラフト指名ルーキー、といったところ。公式ロースター表では、ジェイソン・スピッツのポジション表示がいつのまにかG/CからC/Gに変更されていて、センターに本格的に取り組むことを示唆している。
ゾーンブロッキングのスキームでは軽量アスレチック型のOLを求めるが、今年はLGカレッジ(308ポンド)やC/Gスピッツ(302ポンド)にさらなるバルクアップを求めているらしい。「彼ら4年目の選手たちは、いい感じの体が出来つつある。とくにインサイドの選手はそれが大事だ。ディフェンシブラインが最も強力な対戦相手はどこだい? 我々は年に2回ミネソタとやらなければならないんだから。スピッツとはキャンペンOLコーチのオフィスで先日話し合ったが、彼はより大きくなってきている。ダリンも同様だ」
先週グリーンベイを訪問したビルズのC/Gデューク・プレストンがパッカーズとの契約に合意した。代理人によると2年契約とのことで、それ以外は明らかにしなかった。DEモンゴメリーの代理人と同様、金額を明かさないのは自慢にならない数字だからだろう。スターター級でなく控えクラスの契約と思われ、金額的にもDEモンゴメリー(2年総額$2.85ミリオン)と似たようなものか。
C/Gデューク・プレストンはサンディエゴ出身の26歳で、イリノイ大から2005年のドラフト4巡指名でビルズに入団、以来4年間で59試合に出場、20試合に先発している。身長6フィート5(196cm)、体重326ポンド(148kg)と現在のパッカーズOLでは最も重い。2年目にはOGヴィラリアルの代役として右ガードで8試合に先発、4年目の昨季はCファウラーの代役としてセンターで11試合に先発した。なお、父のレイモンドはかつてラインバッカーとして活躍し、チャージャーズで9年間(1976-84)プレーしている。
パッカーズはプレストンを成長途上の選手と見ていて、(右タックルの経験もあるが)インサイド3ポジションでデプス向上に役立つと考えている。契約前のインタビューでマッカーシーHCは、「たしかに体格はいいが、それよりもアスレチックなところを気に入っている。まだ若いし、明るい未来がある」と述べている。昨季は代役センターとして、DTクリス・ジェンキンズ(NYJ)やDTヴィンス・ウィルフォーク(NE)らを相手に苦戦続きだったプレストンだが、ゾーンブロッキングのスキームでならまだ伸びると見ているのかもしれない。
先日補償ドラフト指名権"Compensatory Draft Pick"が発表されたことで全ドラフト順位が確定し、今年のパッカーズは以下の9つの指名権となった。昨季のNFLはパッカーズの他に6勝10敗の球団がなかったため、全ての巡でパッカーズが9位にすっきり固定されている。なお、全指名順のリストはこちら。
1巡 | 9位 | ||
2巡 | 9位 | (全体41位) | |
3巡 | 9位 | (全体73位) | |
3巡 | 19位 | (全体83位) | QBファーヴのトレードによりジェッツから譲渡 |
4巡 | 9位 | (全体109位) | |
5巡 | 9位 | (全体145位) | |
6巡 | 9位 | (全体182位) | |
6巡 | 14位 | (全体187位) | 昨年ドラフト中のトレードによりセインツから譲渡 |
7巡 | 9位 | (全体218位) |
NFLとESPN Sports Pollが共同で昨年行った調査によると、アメリカのプロスポーツの中で、パッカーズは2番目にファンの多いチームであることが明らかになった。MLBのヤンキースやNBAのレイカーズを抑えて、NFL球団がトップ4を占めている。「NFL人気の大きさと、我々パッカーズのファンからの支持の強さについては私なりに理解していたが、こうして数字で表されると、なおさらそれを実感できるね」とマーク・マーフィ社長。
前年にFA獲得よりもFA流出の方が多かったチームにはリーグから補償ドラフト指名権(Compensatory Draft Pick)が与えられるが(用語集へ)、今年のパッカーズは全くもらえないことになった。昨年の主なFA流出(解雇した選手は含めない)はCBフランク・ウォーカー(BALで5試合先発)だけで、FA獲得したLBブランドン・チラーと相殺されるため、今年はもらえないだろうと予想されていた。
NFLは開幕週と感謝祭の日の全米放送プライムタイムゲームの組み合わせを発表し、パッカーズはその両方でプレーすることが明らかになった。開幕週の9月13日(日)にはベアーズをホームに迎えてサンデーナイトゲーム(NBC)、11月26日(木)の感謝祭ゲーム(FOX)には@デトロイトでプレーする。なお、それ以外の試合日程は来月発表される予定。
ポスト・ファーヴ時代を迎えたパッカーズが注目度の低下を心配していたのは事実で、マーク・マーフィ社長も今回の決定を喜んでいる。「ファンのためにも非常に嬉しいね。あのような(負け越し)シーズンだったので、ある意味では少々驚いている。しかし2年連続で全米放送の開幕戦を迎えられるのは、パッカーズにとってもファンにとっても素晴らしい。ランボーとその施設を紹介するチャンスでもあるし、ベアーズとのライバル関係はリーグで最高のものの1つだ」
「我々は非常に強力なブランドだ。パッカーズといえば、その歴史と伝統、ロンバルディとランボーフィールド。しかし過去17年にわたってブレット・ファーヴが球団の顔だったのは間違いない事実だ。球団の将来のためにも、(注目度が下がっていない証拠として)今回のことは非常に勇気づけられる」
いっぽうマイク・マッカーシーHCは、とくに開幕戦の相手がベアーズであることを喜んでいる様子。というのも、毎年オフシーズン練習やトレーニングキャンプの中で、同地区3球団および開幕戦の対戦相手を想定して準備を進めていくが、今回は開幕戦が同地区球団となったからだ。「ふたつの準備が一度に済む、と。それが私の第一印象だった」
パッカーズは2001年、2003年、2007年にも感謝祭ゲームに呼ばれていて、完全に常連といっていい。@ダラスを含めると通算32試合の感謝祭ゲームに出場し、12勝18敗2分け。最大の問題は、前週の試合から中3日というところ。「2年前にやったばかりなので、その経験も活かせるだろう。前週がホームゲーム(昨年の3球団は全てそうだった)であることが大事で、できれば正午開始がいいね。最大のチャレンジは、選手たちの体調を回復させ、時間を賢く使うことだ。さいわいデトロイトは距離的に近く、わずか1時間15分のフライト、というところはいい」
新任のトレーニングコーチ、デイヴ・レディングはNFLだけで23年の経験を持ち、トレーニングコーチの殿堂入りも果たしている優秀なベテランだ。先週からオフシーズンプログラムがスタートし、彼はその主役。これまでとくらべ、耐久性と瞬発力に重点を置いた方針になるとレディングは言う。「私は、『ヘッドコーチ、ウチにはパワークリーンで500ポンド上げられる選手が9人もいるよ!』 などとは言わない。私にとってそんなものは何の意味もない。大事なのは、開幕戦の最初のプレーと最終戦の最後のプレーで、同じような調子で動けることだ」
前任者のロック・ガリクソンと同様レディングもフリーウェイト主義で、"triple extension, ground-based activity" に力を入れるという。"triple extension" とは、足首・ヒザ・ヒップが同時に動くことを示す。そうしたスポーツは多いが、フットボールはとくにそうだという。"ground-based" とは、フリーウェイトを用い、片足か両足が常に地面に着いて、体幹の筋力強化を助けること。ウェイトは制限し、耐久力を養うためハイテンポのトレーニングを行う。互いをモーティベートするため、選手たちは2人1組で行う。それでもうまくいかない選手には、彼の長年の経験に基づいたやり方で、なんとかして選手のやる気を引き出す努力をする。
「これはボディビルディングでもパワーリフティングでもなく、フットボールのためのウェイトトレーニング・プログラムだ。よりよいフットボール選手になるためなら、あらゆる手段を活用していく。耐久力も重要だ。自分自身(名門ネブラスカ大でDEとして)プレーし、長年選手たちを教えてきた経験から、私はそれを理解するようになった。ベンチプレスで何ポンド上げられるかじゃない。(サイドラインで休まず)どれだけプレーを続けられるか、どれだけ耐久力があるかだ」
労使協約の規定により、オフシーズンプログラムは週4日に限られ、選手が球団施設にいられるのは1日4時間まで。昨年までは金・土・日を3連休としていたが、レディングは水曜にウェイトルームをシャットアウトし、月・火・木・金とトレーニングを行う。休養を非常に重視しているからだ。「体に大きな負荷をかけたなら、それだけ回復期間を取らなければならない。選手がトレーニングをやり過ぎてしまう、ということがしばしば起きる。まるで毎日やらなければならないと強迫観念を植え付けられているかのように。まったく不要なことだ」
「ネブラスカでプレーしていた頃、私は週6日やっていた。日数を減らした方がいいんじゃないか、と誰かに提案されるまでね。減らしたとたん、強さも耐久力も目に見えて向上したんだ。(トレーニング中毒と言われる)A.J.ホークかい? 彼とはもう話をしたよ。まず最初の4週間、私のやり方でやってみれば、彼も納得してくれると思う。私の指示以上にやりたければ、(ここでは許さないので)自分でやるしかない。選手たちがマッサージや風呂に行くよう、私がウェイトルームから追い出すよ。彼らにとっては大きな変化だろう。トレーニングというのは中毒になりやすい。心理学的なものだ。週に5日、6日やらないと罪悪感を感じてしまう。私もそれを経験した」
トレーニングをやり過ぎると、筋肉の回復を助けるための組織に余計な負荷がかかる。免疫システムが影響を受けるため、けっきょく肉離れや腱炎になりやすくなる、とレディングは言う。「私としては、トレーニングし過ぎの選手よりも、わずかに足りない選手の方が好ましい。ケガのリスクが小さいからね。トレーニングの量が多すぎ、頻繁すぎ、ハードすぎる。誰だって、4日か5日働いたら、1日は休息が必要だろう。フットボールも同じことだ。月曜・火曜とトレーニングしたら、水曜はゴルフにでも行って、充電すればいい。木曜になったら私がまた尻をひっぱたいてやるんだから。そして土曜・日曜とリラックスして、体を完全に回復させる。すると、リフトできる重量がアップし、テンポもアップし、より激しく動けるようになる。驚くべきことだよ」
初プロボウルに出場したFSニック・コリンズが契約への不満を示し、16日に始まったオフシーズンプログラムを欠席している。パッカーズ・ファン・フェストでは「もちろん参加する」と語ったばかりなのに、わずか数日で気が変わったのか。Journal Sentinel紙は「間近に迫った第三子の出産を見守るため」という理由も挙げているが、その他2紙は契約問題のみを理由としている。
オフシーズンプログラムの大まかな内容は、2時間のトレーニングのあと、2時間ほどコーチとフィルムスタディ。ディフェンスの司令塔として重要な役割を担うフリーセーフティなのに、新ディフェンスへの習熟が遅れるのは好ましくない。このまま欠席を続けて5月のOTAも休むのか、途中でどちらかが折れるのか、成り行きが注目される。
コリンズは5年契約の最終年。パッカーズはまずWRグレッグ・ジェニングスとの契約延長を最優先事項としているが、その他にもOLBキャンプマンやLTクリフトンなど、2009年で契約が切れる主力選手が目白押し。パッカーズがコリンズとの再契約をもし渋っているとしたら、その理由としては、チームの将来に欠かせない中核選手と見なしていないか、新しい3-4ディフェンスへの適応を見定めてから契約延長に応じようと考えているか。
コリンズは成績に応じたエスカレーター条項を満たしたため、今年のサラリーは本来の$545,000ドルから$3.04ミリオンに跳ね上がっていて、セーフティとしては決して安くない。来春までに新契約がまとまらなかったとしても、フランチャイズ指名で1年引き留める手は残っている。フランチャイズ選手のサラリーはWRは(今年の場合)$9.8ミリオンだが、セーフティなら$6.34ミリオン。
いっぽうEFA契約にサインしない考えを表明(記事へ)したばかりのCBトラモン・ウィリアムズは、グリーンベイに来てオフシーズンプログラムに参加している。それでも、実際にフィールドで体を動かすOTAが5月に始まればケガのリスクが高まるため、未契約の状態で練習に参加することはできないはず。昨年のRBライアン・グラントと同じようにホールドアウトに突入するのかどうか。
今年最初ののモックドラフト集。ポジション名をDE/OLBと表記したのは、大学ではDEをプレーしていてパッカーズではアウトサイドLBとなる見込みの選手。1巡指名予想18件のうち10件をこうしたDE/OLB選手が占めていて、以下DT(どれもB.J.ラジ)予想が3つ、OT(どれもアンドレ・スミス)予想が3つ、CB(どれもマルコム・ジェンキンズ)予想が2つとなっている。
FAとなっていたDEマイケル・モンゴメリーがパッカーズと再契約した。代理人によると2年契約とのことだが、金額は不明。ふつう、代理人サイドが真っ先に契約内容をリークするものだが、今回そうでなかったのは、代理人にとって自慢できる金額ではなかったからだろう。モンゴメリーは昨季末に契約延長目前まで交渉が進んだものの、その後の3-4転換決定で交渉は棚上げに。FA解禁後はテキサンズを訪問したがオファーはなく、けっきょくパッカーズからの安価なオファーを受け入れることを選んだ。
「テキサンズのあと、デトロイトも興味を示して、訪問してほしいと言ってはくれた。でも待つのには飽き飽きしたんだ。グリーンベイは僕によくしてくれた。もう4年もここでプレーしてるし、僕がどんな選手か理解してくれている。今後も僕の立場に変化はない。デプスチャート上は(右DEジェンキンズに次ぐ)2番手だけど、フィールドに出たらスターターのつもりでハードにプレーする」
ケイパース新DCと話し合ったところ、とくに目標体重の指示はなかったという。相手OTに正対することもあるが、ツーギャップの仕事はごくわずかで、たいていは相手OTのインサイドかアウトサイドのワンギャップを守ることになると言われた、とのこと。
DEマイケル・モンゴメリーはテキサスA&M出身の25歳。2005年のドラフト6巡指名でパッカーズに入団し、プロ4年間で46試合に出場して計5サックを記録している。昨季は戦線離脱したジェンキンズに代わって8試合に先発出場した。アスレチック能力でサックを量産するタイプではないが、それなりに成長はしてきている。公称273ポンドでは3-4のDEには不向きと見られているが、6フィート5の長身で腕も長く、バルクアップできれば3-4のDEとして一人前になれるかもしれない。
パッカーズから無制限フリーエージェントとなっていた3選手のうち、DTコリン・コールはシーホークスと契約し、今回モンゴメリーが再契約したため、残るはヒザのリハビリ中のRTマーク・タウシャーだけとなった。
制限付きFAのCBジャレット・ブッシュはタイタンズからのオファーシートにサインしていたが、パッカーズはそのオファーにマッチし、チーム残留が決まった。総額$4.5ミリオンの3年契約で、契約ボーナスが$1ミリオン、ベースサラリーが$1ミリオン(2009)、$1.1ミリオン(2010)、$1.4ミリオン(2011)で、出場時間に応じたインセンティブ付き。代理人によると、予想よりも多い6球団が興味を示し、中でも最も熱心なのがタイタンズだったとのこと。控えCBを兼ねた優れたスペシャルチーマーであることが評価され、今春のRFA市場ではちょっとした人気になっていた。
ユタ州立大から2006年にドラフト外入団したCBジャレット・ブッシュは、2007年にいったんは3番手CB/ニッケルバックに昇格したものの、不振のためCBトラモン・ウィリアムズにその座を奪われ、昨年はウィリアムズ、ブラックモンに次ぐ5番手CBあたりに後退。シーズン終盤にはセーフティ転向の可能性も模索したが、そちらも不発に終わったようだ。
CB陣の下位に落ちていた選手だけに、パッカーズはマッチしないのでは、という見方が強かったが、この金額であれば受け入れられる、と判断したのか。CBトラモン・ウィリアムズが安サラリーに不満を示し、EFAオファーにサインしない構えを見せていることも(記事へ)、ひょっとしたら影響しているかもしれない。つまり、ある程度の陣容を確保しておけば、ウィリアムズ側の要求に屈せず、「サインしたくなければ好きにしろ」と強気を貫けるからだ。
今回も"Packers Fan Fest"2日目(最終日)のコメントから。
パッカーズは今オフシーズンのスケジュールを以下のように発表した。ドラフト直後にルーキーだけでミニキャンプを行うのはこれで3年連続。全員参加のミニキャンプが6月23日からと、かなり遅い時期に設定されているのは、ディフェンスの新スキームのインストールのためか。新スキームにできるだけ習熟してから、ミニキャンプの全体練習を行おうということなのだろう。2007年のミニキャンプは5月18日から、2008年は6月17日からだった。
なお、トレーニングキャンプの開始日が未定なのは、「最初のプレシーズンゲームの2週間前にならないと開始できない」という規定があるため、試合日程が決まるまでは確定できないのだろう。
2009 Packers Off-Season Calendar | ||||
---|---|---|---|---|
Date | Event | |||
3月 | 16日 | ? | Offseason Program | |
4月 | 25日 | ? | 26日 | NFL Draft |
5月 | 1日 | ? | 3日 | Rookie Orientation (Rookie Mini-Camp) |
5月 | 11日 | ? | 14日 | Packers Tailgate Tour (詳細) |
5月 | 26日 | ? | 6月18日 | Organized Team Activities (OTAs) |
6月 | 23日 | ? | 25日 | Full-Squad Mini-Camp (mandatory) |
7月 | 18日 | Packers Hall of Fame Induction Banquet (詳細) | ||
7月 | 下旬 | ? | Training Camp |
CBトラモン・ウィリアムズはExclusive-rights Free Agent(用語集へ)となっていて、先日パッカーズは$46万ドルの最低年俸をオファーした。しかし代理人は彼にふさわしい契約を求め、ホールドアウトも辞さない姿勢を示している。「私が自分の選手のところへ行って、『このままプレーし続けろ。何も心配はない』 などと言うことはありえない。彼の現状にふさわしい評価を示す契約がまとまれば、と願っている。我々が求めているのはそれだけだ」
ドラフト外入団のトラモン・ウィリアムズは、昨年ハリスの代役として9試合に先発し、やや不安定なプレーぶりながら5インターセプトも記録している。最低額テンダーをオファーをされたEFA選手に移籍の自由はなく、サインしてプレーするか、サインを拒否するしかない。サインしないうちは契約下にないわけで、キャンプ等に参加する義務もない。昨年はRBライアン・グラントが全く同じ形でトレーニングキャンプ開始から7日間ホールドアウトし、総額$18ミリオンの4年契約を手にしている。今回のCBウィリアムズはRBグラントと比べると「なくてはならない」存在ではないとはいえ、CBのサラリー相場は非常に高い。
代理人は先月のコンバインの際にラス・ボール交渉担当と話をしたが、何も約束は得られなかった、とのこと。「3月16日のオフシーズン・プログラム開幕には、トラモンはグリーンベイに来ているものと予想する。彼はあそこにいたいからだ。しかし契約がなければ、参加はできない。我々としては他に選択肢はない。最低額契約にサインさせて早くから練習に参加させても契約延長の候補たちの最後列に並ぶだけで、何のトクもない。来年になればRFAだし、移籍はすごく大変だ。私の心配するところではないが、球団側にとって難しいのは、来年無制限FAとなる(有力)選手が何人もいることだ。だから、球団にとっての優先順位はトラモンよりそちらの選手たちなのかもしれない」
先日グリーンベイを訪問したスティーラーズのFSアンソニー・スミスがパッカーズと契約した。詳細は不明だが、Wisconsin State Journal紙によると、契約ボーナスわずか$10万ドルの2年契約らしい。このところ3-4経験のある若いセーフティをパッカーズが物色していたのは、セーフティ陣のデプスを増す必要があり、また2009年で契約が切れる両スターターのどちらかが退団する事態にも備えてのこと。精神面に不安の残る選手だけに、ダレン・ペリー新セーフティコーチを通して調査した結果、(未熟だが)トラブルメーカーではないと判断したようだ。
アンソニー・スミス Anthony Smith はオハイオ州出身の25歳。身長6フィート0(183cm)、200ポンド(91kg)。シラキュース大から2006年のドラフト3巡指名で入団し、主にFSライアン・クラークの控えを務めてきた。2年目の2007年はクラーク欠場の穴を埋めて10試合に先発出場したが、2008年は完全に干された形でわずか9タックルに終わった。これまで彼の成功を妨げてきた精神的未熟さについては、昨日とりあげたので省略。
プロ人事部長のレジー・マッケンジー。「能力がなければ獲ったりはしない。新しいスタッフと新しいディフェンスという環境に彼を置いて、どうフィットするかを見てみたい。(2006年にFAで獲った)Sマーカンド・マニュエルと比べて? こちらの方が若くて使い減りしていない。彼は爆発力があり、クイックだ。よいアスリートだ。アスレティシズムは問題じゃない。プロ入りの時から我々が気に入っていた選手だし、ピッツバーグでのプレーぶりもよかった。大コケの可能性はある。しかし我々としては、もともと気に入っていた選手を獲ってみて、チャンスを与えてみよう、ということだ」
Journal Sentinel紙が複数の情報筋から聞いたところによると、FSニック・コリンズは自分の契約(プロ入り時の5年契約最終年を迎える)に不満で、契約延長せず来年FA市場に出ようとするかもしれない、とのこと。初プロボウルに出場したので(先月のコラム参照)、むしろ当然の流れかもしれない。来春FAとなるFSコリンズとSSビグビーのどちらかが退団する場合、後任のスターターが必要になる。今回のFSスミスはその候補でもあるのだろう。