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けんちゃんの第32回スーパーボウル観戦記 (その10)

クリックすると拡大しますそして、とうとう、ついに、やっと、いよいよ、始まりました。Packersのファーストドライブ。『あっ』と言う間にフリーマンへの22ヤードのタッチダウンパス。隣のお姉ちゃん、大喜び。思わず私とハイタッチ。
『あれまあ、あんたもPackersファンかいな。それならそうと早う言いんしゃい。』
それはともかく、ま、こらあもう楽勝やね。退屈な試合にならなきゃあええが・・カンラ、カンラ(笑い声)。と、思ったのも束の間。フィールドのあっちゃの方で何やらやっとります。あれ、審判が両手揚げとるがね。『あっ』と言う間もあらばこそ、瞬く間に同点。波瀾の展開の予感。

ファーヴからチュムラへのフィールド中央へのパス失敗。『あっ』と言う間に試合は終わってしまいました。ブロンコス予想外の勝利です。ブロンコスファンの皆様おめでとうございます。Packersファンの皆様、残念でした。それではこれで「スーパーボウル観戦記」を終わります。皆様、長い間ありがとうございました。では、さようなら。

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冗談です。
でも、試合そのものはあまり思い出したくないんですわ、やっぱ。(あんた、これ、「観戦記」なんじゃがね)。私は勿論、最後の最後までPackersの勝利を疑いませんでしたが、第3Qでしたか、エルウエイのダイブを見た時、虫の知らせとでも言うんでしょうか、何だか「危い(ヤバイ)」という気がしました。大型スクリーンに映ったその時のバトラーの表情も印象的で、何故か今でもはっきり覚えています。

クリックすると拡大しますそして、大方の戦前の予想とは違って、結果は私の危惧通りになってしまったんですが、でも、考えてみれば、そうなる要素、そうなってもおかしくない要素は戦力的にはともかく、情緒的には実はいっぱいあったのです。ご存じのように、Packersは前年スーパーを制し29年ぶりに世界チャンピオンになりました。エルウエイは三度柳に飛びついては敗れ、もうこれがラストチャンスかもしれないと言われて、全米の同情は彼に集まっていました。つまり、第32回スーパーボウルはPackersにとっては積年の宿願を達成した次のスーパーであり、ブロンコス(少なくともエルウエイ)にとってはもう後がないであろうスーパーだった訳です。

言ってみればこの年のスーパーはPackersにとっては「もうひとつ」であり、ブロンコス、エルウエイにとっては「最後のひとつ」であろうだった訳です。勿論、だからと言ってPackersが負けて、ブロンコスが勝つ、なんて誰にも言えやしません。負けたことの言い訳にもなりゃあしません。でもね、そうした事をあれやこれや考えれば、少なくともファーヴのようなQBが力を発揮しそうにない条件はしっかり揃っていた訳です。

ファーヴはどんなQBか?試合前のインタヴューに答えてファーヴはこう言っています。
『エルウエイには同情しない。目一杯やる』
クリックすると拡大しますこんな事、言ってちゃダメです。わざわざ『同情しない』なんて言うのは、もう平常心でない何よりの証拠ですからね。本当の勝負師は決してこんなことは言いません。本物の勝負師は黙ってきっちり仕事をする。勝負事においては勝つ事しか、それ以外の余計な事は一切彼の頭にはないのです。そして、本物の勝負師は兎を倒すにも全力をつくすのです。ファーヴ君はウサギを倒すのに全力を出せるような人じゃありません。血も涙もある熱き血潮の男ですからね。だから、駄目なんだけど。でもね、だから、いいんだけど。

私が注意深く、もう後がない「であろう」と申し上げた点に御注目下さい。そう、ご承知のようにエルウエイは、ブロンコスの野郎達は次の年も勝っちまうんですよ。こんなことなら負けてやらなくて?も良かった。でも、思えばこの試合を機にスーパーボウルは面白くなった、と思っています。それまでのスーパーは例外もありますが、大体1タッチダウン以上の差がついて、おまけにNFCが十何連勝だかしていて、試合としてはつまらない試合が多かった。でも、この年を境にNFCとAFCはどっちゃが勝つのかわからなくなったし、試合そのものもすごくスリリングなものになりました。

『だから、どーした?』って言われても困るし、Packersファンの本音としては、どんな凡戦でもいい、Packersに勝ってほしかったけれど・・。仕方がない。勝負は運否天賦、勝つ者があれば負ける者があるのはこれまた世の習い。とりあえずはブロンコスに脱帽、Packersに乾杯です(ああ、悔しい)。

試合そのものは思い出したくないけれど、せっかくですから、ちょこっとだけ観戦記の真似事を、スーパーボウルそのものについて一言、御報告を。スーパーボウルって本当にスーパーです。7万人の大歓声って想像できますか?3万5千人のブーイング(ブーイングはどちらか半分ですから)って凄いです。スーパーボウルはその雰囲気も試合も選手達も観客も、そして、おじさんには何もわからないけれど(おしっこ、行ってた)、多分ハーフタイムショーも素晴らしい。

でもね、私は、もしまた今度スーパーを見に行く機会があったとしたら、スタジアムではなく現地のスポーツバーで一杯のPackersファンと一緒に声を枯らして声援を送ります。だって、スタジアムの中はたとえ私のように特等席で見たって反対側のエンドゾーンは遥か彼方ですよ。私が見たのはファーヴの顔色までもわかるぐらいの良い席でしたけれど、テレビなら顔色どころか、表情の変化までもわかります。いくら近くで見る、と言ったってその点ではとてもテレビには適わない。無論、スタジアムにも大型スクリーンはあります。でも、そんなもん見るくらいならスポーツバーで見ればいいじゃありませんか。

勿論、スタジアムで生で見るのは素晴らしいですよ。テレビでは決して味わえないものが数多くあるのも事実です。でも、物事は何事もコストパフォーマンス。1回スーパーを見るお金でエクスペリエンス、100回行けます。私なら1回だけスーパーを見るより、何回もエクスペリエンス行って、スポーツバーでビールでも飲みながら『ウオーッ』、『アレーッ』、『クッソー』、『死ねえー、このー』・・(以下、自粛)って言う方を選びます。

こうして、楽しい、愉しいスーパーボウルも終わりました。以前、私はある人に『日本人は勝ち負けに拘泥しすぎる。アメリカ人は勝負事でも精一杯楽しむんだ』と言われた事がありました。それを聞いた私は「ホンマかいな。勝負事で勝ち負けを気にしなくて何が楽しいんやろ?」と思ったものでした。そして、上記の言は半分は本当で半分は間違いでした。たしかにアメリカ人は勝負事を目一杯楽しみます。でも、同時に勝ち負けにも目一杯こだわるんです。負けても恬淡としてるPackersファンなんて一人もいません。それが証拠に・・

試合終了後のPackersファンの早い事、疾い事。まさに「疾き事風の如し」で、ファーヴの最後のパス失敗から無料の送迎トラムがグリーンとゴールドの一団で超満員になるまで、恐らくものの3分とはかかっていなかったでしょう(無論、私もその中の一人だったのですが)。ブロンコスファンはまず一人もいないでしょう。彼等は表彰式もあるし、今頃勝利の余韻に浸っていることでしょうから。(勝手にやっとれ!)

車内放送が『御観戦ありがとさん。今日はとっても良い試合(very good)で・・』とやったら、トラム中に一斉に『too bad』の声とともにブーイングが響き渡りましたから。私も隣のお姉ちゃんの事も忘れ、ふらふらとトラムに乗り、どこかテキトーな駅でふらふらとトラムを降りると、どうやってホテルに帰ったのか、賢い私がまるで覚えていません。気がつくともう次の日の朝になっていました。
次回はいよいよ、最終回で〜す。

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updated : 2002/08/06