契約などに関する用語集


 
 
管理人にわかる範囲で翻訳して書いてありますので、微妙に間違っている点があるかもしれませんし、「よくわからないからまだ取り上げていない」項目もいくつかあります。おかしい点などありましたらメール、掲示板などで指摘していただければ幸いです。

Salary Cap サラリーキャップ

管理人注: 2006年の改定により、この項は情報が古くなっているのでご注意ください。

各チームの選手のサラリー総額の制限。全チームが平等です。労使協約によって、毎年自動的に額が決まる仕組みになっています。2004年は$80.5ミリオン、2005年は$85.5ミリオン、2006年には新労使協約が妥結して$102ミリオンと大幅増額されました。

各チームの入場料収入とテレビ放映権料はNFLが一括して管理していて、"Defined Gross Revenues" 略して DGR と呼ばれますが、DGRの('06年の場合)64.5%をチーム数で割ったものがサラリーキャップ総額となります。(このパーセンテージは労使協約によって決められていて、毎年少しずつ割合が高くなってきました)

オフの間は全選手のサラリーがカウントされるわけではなく、開幕前日までは、高額サラリー上位51名のサラリーの合計です。しかしシーズンが開幕すると、53人のロースター全員のサラリーをカウントしなくてはなりません。また、金額は段違いに安いですがプラクティス・スクワッドの選手のサラリーもカウントされます。

フライチャイズ・プレーヤートランジション・プレーヤー、それに制限つきフリーエージェント選手については球団側からオファーがなされた時点で、たとえ選手がサインしていなくてもサラリーキャップに加算されます。いっぽうドラフト指名選手については、(通常7月あたりに)選手が正式にサインしたところでキャップに加算されます。

2005年のデータでは、NBA選手の平均サラリーは$4.92ミリオンですが、NFL選手の平均は4分の1強の$1.25ミリオン。MLBはちょうどNFLの2倍の$2.5ミリオンです。NFLはこの厳しいサラリーキャップのおかげでサラリーの高騰を防ぐことができ、各チームとも比較的健全な財政が保たれています。グリーンベイのような小さなマーケットでも競争力を維持することができるのは、このシステムのおかげだといっても過言ではありません。

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契約は保証されない

NBAやMLBと違いNFLでは、たとえ複数年契約を結んでも契約は保証されません。契約期間中であっても球団側はいつでも選手を解雇でき、その点は選手側に非常に不利な仕組みになっています。NFLではこうして比較的自由に解雇が行えるため、30歳の選手がたとえ10年契約を結んだとしても、「このチームでキャリアを終えることがこれで確実になった」などという表現はうそっぱちなのです。

そのため、契約を結ぶ際には契約ボーナス(または1年目のロースターボーナス)の額が最も重視されます。ベースサラリーインセンティブがいくら巨額でも、シーズン前に解雇されれば消えてなくなってしまいますが、契約ボーナスはサインした時に貰えるからです。

ただし、たとえば2年目のベースサラリーなどを"Guarantee"つまり保証する、といった契約もよくあります。解雇しても必ずこのお金は払うよ、という約束です。2002年にジャガーズからパッカーズに移籍してきたLBハーディ・ニッカーソンは、前年の契約により2002年のベースサラリー$1ミリオンを保証されていたため、パッカーズからの$1ミリオンのサラリーと合わせてジャガーズからも$1ミリオンを受け取っていました。

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さまざまなサラリー

選手のサラリーは、契約の内容によってさまざま。大きく分けて、ベースサラリー(基本給)、契約ボーナス、インセンティヴの3つの柱があります。先に結論を言ってしまうと、ある選手のサラリーのうち、サラリーキャップに加算されるのは、下記のようになります。

ベースサラリー + (契約ボーナスを契約年数で割った額) + LTBE(達成可能ボーナス)

◆ ベースサラリー ◆

基本給。サラリーキャップには全額計上されますが、解雇してしまえば、全く計上せずにすみます。だから常に解雇の危険があるNFL選手にとっては、この金額は全くアテにならず、後述の契約ボーナスこそが契約交渉の焦点になることが多いのです。

複数年契約の場合、目先のキャップ額を低く抑えるため、その年と翌年ぐらいは低く抑えておいて、それ以降は急激にベースサラリーが高くなるような「バックロード式」というスタイルが多いようです。

しかし実際に超高額サラリーをもらえる年が来ても、すんなりその金額をもらえるのは稀です。必要とされる選手でなくなれば解雇されてしまいますし、必要とされる選手であれば、「新しい契約を結び直そうじゃないか」という話になります。もともと超高額サラリーを設定した時点で、両者が「この年が来たら契約を見直す」と同意したようなもので、必ずしも「目先の補強のために無茶な契約を結んだ」ということではないのです。

◆ 契約ボーナス ◆

契約を結んだ時点で一括して全額もらえるのが契約ボーナス。しかしサラリーキャップに計上するのは、契約年数の均等割りになります。例えば「$5ミリオンの契約ボーナス含む5年契約」と言ったら、毎年$1ミリオンずつサラリーキャップに計上していくことになります。もちろんベースサラリーもそれに加わります。

ただしこの契約ボーナスは、契約の途中でその選手を解雇したとしても、残りを必ずサラリーキャップに計上しなければならないのです。例えば上記の、5年契約(契約ボーナス$5ミリオン)の2年目を終えた時点でその選手を解雇したとします。2年目までで$2ミリオンを計上してありますから残りは$3ミリオン。その選手を解雇した(3年目となるはずの)年に全額$3ミリオンを計上しなければならないのです。これは解雇に限らず、引退やトレードした場合にも同じです。

すでにいなくなった選手なのにサラリーキャップに計上しなければならない契約ボーナスのことを"Dead Money"と呼びます。2001年の場合、カウボーイズは引退したQBエイクマンや移籍したCBディオン・サンダースらの巨額の"Dead Money"がサラリーキャップを圧迫して苦しみましたし、パッカーズもWRフリーマンの"Dead Money"に苦しみました。

いつ計上するかに関係なく、実際のお金は契約時に全額もらえるわけですから、選手にとっては一番ありがたいお金。しかし逆に、チームにとっては最もリスクの大きい投資ということができます。あまりに大きい契約ボーナスを与えてしまうと、その選手の力が衰えて放出したくなった時に、「残すも地獄、解雇するも地獄」ということになります。だから契約交渉ではこの契約ボーナスが最大の焦点になるわけです。

◆ インセンティヴ ◆

つまり出来高払いのこと。 いろいろな種類があります。成績や出場試合数、プレー数によってボーナスが出るもの。また、ロースターボーナス(決められた期日にロースターに残っていればボーナスが出るもの)やワークアウトボーナス(オフシーズンの練習に参加するだけでもらえる)などもあります。

問題はそのボーナスがサラリーキャップに加算されるかどうか。
その条件が達成可能と見なされれば("Likely to be earned"略してLTBEと呼ばれます)サラリーキャップに加算されます。ではどんな成績を「達成可能」と見なすか。それはその選手の前年の成績によります。例えば前年に7インターセプトを記録した選手が「7インターセプトしたら$50万ドル」という契約を結んだとしたら、これは達成可能とみなされて50万ドルがサラリーキャップに加算されてしまいます。

しかしもし条件を、前年より上の8インターセプトに設定しておけば、LTBEとは見なされず、サラリーキャップには計上されません。これは出場試合数やプレー数に応じたボーナスの場合も同様です。前年にケガで大部分欠場したような選手だったら、「何試合出場したらボーナス」というような条件設定にすればサラリーキャップの網をかいくぐることも可能なわけです。また、ロースターボーナスやワークアウトボーナスは簡単に達成できますから、当然LTBEと見なされます。

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最低年俸 - ベテラン優遇策 -

NFLでは労使協約によって最低保証年俸が決められていますが、その額はNFLでの経験年数によって異なります。2001年までは経験4年以上のベテラン最低年俸は一律$477,000 でしたが、右下の表のとおり、今では特に7年以上の選手のサラリーが大幅に増額されています。

2009年の場合
Rookie $310,000
1年 $385,000
2年 $460,000
3年 $535,000
4-6年 $620,000
7-9年 $745,000
10年以上 $845,000

しかし問題はサラリーキャップ。ベテラン選手が高給のために真っ先にクビになるようでは優遇策が逆効果になりかねません。そこで現在のNFLでは、「経験4年以上の選手が右表の最低年俸(プラス契約ボーナスは$4万ドルまで)で契約する場合、サラリーキャップにはNFL経験2年(今年3年目)の選手の最低年俸と同額(2009年の場合は$460,000)しかカウントしなくてよい」というルールを設けています。

たとえば10年以上のベテランの場合、最低年俸の$845,000で契約しても、サラリーキャップ上は$460,000で済み、チームはベテランと契約しやすくなるわけです。球団側とベテラン選手の両方にメリットのある仕組みと言えるでしょう。

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プロ経験4年以上の場合

NFL選手はその年のベースサラリーを17週に分けて、17分の1ずつ毎週受け取るのが決まりです。ですから、その年のベースサラリーが$1.7ミリオンの選手は、毎週$10万ドルの小切手を受け取るわけです。

プロ4年未満の選手の場合、たとえば1週在籍しただけで解雇されたら契約額の17分の1しかもらえずに終わりますが、プロ4年以上の選手は、開幕週に在籍しただけで1シーズン分全額が保証され、たとえシーズン中に解雇されても全額もらうことができます。これはサラリーキャップに対しても同じで、4年以上の選手が開幕週に在籍したら、たとえ第2週に解雇してもキャップ上の得はありません。

そのような規定があるため、プロ4年以上の選手の補強を開幕直前に検討するチームは、開幕戦が終わるのを待って契約することがしばしばあります。プロ4年以上の選手であっても、開幕戦さえ終わってしまえば、在籍した長さに応じたサラリー負担で済むからです。

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Rookie Pool

いわばルーキー・サラリーキャップ。 ルーキーたちに支払えるサラリーの総額は、毎年NFLによって上限が定められ、"Rookie Pool"と呼ばれています。そのチームのドラフト指名順位と指名数により、NFLが決定し(算出基準があって自動的に決まるようです)、ドラフト終了後に通達がなされます。指名権のトレードがドラフト当日にも盛んに行われるため、ドラフト前では決めようがないわけです。

たとえば2005年の場合、最高額の49ersは約$6.18ミリオン、最低額のジャイアンツは約$1.68ミリオンでした。パッカーズは何度もトレードダウンして指名権を7個から11個に増やしたため、ドラフト前は$3ミリオン以内と予想されていたのが、最終的には約$4.8ミリオンになりました。(2005年の全球団リストはこちら

もちろん、この"Rookie Pool"もサラリーキャップの一部です。高い順位の指名権がたくさんあるチームは有望ルーキーをたくさん獲得できるわけですが、その分だけサラリーキャップの空きを作らなければなりません。

なお、2006年に妥結した新労使協約により、ドラフト指名ルーキーの契約年数に制限が設けられ、ドラフト1巡の16位までは6年、17位から32位が5年、2巡以下は4年契約までしかできないことになりました。

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"Dead Money"

各球団のサラリーキャップの中で、すでにチームを去った選手が占めている分を通称 "Dead Money" と呼びます。なぜこのようなことになるのかというと、長期契約の際に支払われた高額の契約ボーナスのせいです。

契約ボーナスの項で説明したように、このボーナスは契約年数の均等割りでサラリーキャップに計上されていきます。ところが契約期間が満了になる前に解雇・トレード・引退ということになった場合は、まだ計上しきれていなかった残り分を、一度に計上しなければならないのです。これは、解雇、トレード、引退、どれも同じ扱いです。

例えば、契約ボーナス$5ミリオンの5年契約をした選手が、その2年目を終えたところで解雇されたとします。となると、契約ボーナスのうち、残り$3ミリオンはまだ計上されていません。だから、チームを去った年に、残り$3ミリオン全てを一括して計上しなければならないのです。それが "Dead Money"。

そのような選手が何人もいるとチームのサラリーキャップを大幅に圧迫してしまい、必要な選手を放出せざるをえない、というハメに陥ります。ファンとしては「なんでいなくなった選手に苦しめられるんだ」 と理不尽に感じるかもしれませんが、すでに支払ってしまった金である以上、いつかはサラリーキャップに計上しなければいけないのです。また、そのような事態を恐れては実績のあるベテランを獲得できず、また衰えたベテランを解雇して世代交代することもできなくなってしまう。毎年多少の "Dead Money" が発生するのはやむをえないところでしょう。

繰り返しますが、解雇、トレード、引退のどれでも同じこと。ですから契約年数の途中でトレードに出した場合、旧所属チームは残り契約ボーナスを一括してサラリーキャップに計上しなければならず、新チームの側は、ベースサラリーインセンティヴだけを負担すればいい、ということになります。(ただし、移籍した時に新たに契約を結びなおすことも多い)

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6月1日

上記の契約ボーナスに関係してくる日付が6月1日。 まだ契約の残っている選手を解雇したとき、本来なら残り分の契約ボーナス(上記の例で言えば$3ミリオン)の全額を一度に計上しなければならないのですが、解雇するタイミングを遅らせて6月1日以降にすれば、今年$1ミリオン、来年に残りの全額$2ミリオンというように分けて計上することができるのです。つまり2年以上契約が残っている選手に限り、この6月1日が関係してくる、と言えます。

そのため毎年、6月1日には何人もの高給のベテラン選手が解雇されてFA市場に出回ることになります。そうなると7月末のトレーニングキャンプまで間がなく、しかもすでにサラリーキャップ枠を使い切っているチームも多いため、実績のある選手が安く買い叩かれる、という気の毒なパターンも多いのです。どうせクビにするなら3月にしてくれ、というのが選手の本音でしょう。

こうした不満が選手側に多いため、2006年に妥結した新労使協約では、各球団が指名した2人の選手に限り、3月前に解雇してもキャップヒットを2年に分けることが可能になりました。

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Franchise Player

主力選手のFA流出を防ぐため、無制限FA予定選手の中から、各球団1名をフランチャイズ・プレイヤーに指名することができます。高額の1年契約(契約ボーナスなし)をオファーすることによって、無理やり1年間引き留めることができる仕組みです。金額は、「そのポジションのNFL高額年俸者上位5名の平均額」 以上、または前年のサラリーの20%増し、のどちらか高い方。このフランチャイズ・プレーヤーに指名することを、「フランチャイズ・タグ(Tag)を付ける」とか、単に「タグを付ける」と表現することも多いです。

指名された選手は他チームからの"Offer Sheet"にサインすることができますが、旧所属チームは7日以内にそれと同等の契約を提示することによって、移籍を阻止することができます。旧所属チームがそれを放棄した場合には移籍が成立します。そして旧所属チームは移籍先のチームから、補償として、2つのドラフト1巡指名権を受け取ることができます。

なお、フランチャイズ指名された選手がたとえそのオファーにサインする前でも、その金額はサラリーキャップに加算される決まりになっています。

2006年に妥結した新労使協約により、ある選手を3回もフランチャイズ指名した場合、その3回目には最高額ポジションのトップ5の平均額を支払わなければならないというルールができました。つまり、キッカーを3年連続フランチャイズ指名してもQBのトップ5の額が必要になります。フランチャイズ・プレーヤー制度の安易な利用を牽制するための措置でしょう。

ドラフト1巡指名権を2つ、というのは非常に大きな代償なので、実際にはフランチャイズプレイヤーに指名するということは移籍拒否に近いのです。そのかわり、無理やり引き留められた形のスター選手は、どうしてもフロントとの関係が冷え込んでしまいます。チームとしても、1年契約でそれだけの高額サラリーとなると、サラリーキャップへの打撃も大きく、避けられればそれに越したことはありません。

ですから、チーム側にとってもフランチャイズプレイヤー指名は最後の手段。むしろFA交渉の際の武器として「フランチャイズ・プレイヤーに指名するぞ」と脅しをかける、というパターンが多いようです。また、フランチャイズ指名して引き留めた上でトレードに出す、というやり方も最近は増えてきました。どうせFAで出て行かれるのなら、なんらかの代償をもらう方がトクということでしょう。

いったんフランチャイズ・プレイヤーに指名して引き留めたあと、交渉を続けて長期契約の締結にいたる、というパターンも多く、'98年のRBレヴェンズ、'99年のWRフリーマンがそうでした。

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Transition Player

上記フランチャイズ・プレーヤーと似ていますが、無制限FA予定選手の中から、各球団1人の選手をトランジション・プレイヤーに指名することができます。フランチャイズ指名よりは多少安いものの、高額の1年契約となります。金額は「そのポジションのNFL高額年俸者上位10名の平均額」 以上、または前年のサラリーの10%増し、のどちらか高い方。

指名された選手は他チームからの"Offer Sheet"にサインすることができますが、旧所属チームは7日以内にそれと同等の契約を提示することによって、移籍を阻止することができます。もし旧所属チームがそれを放棄した場合に移籍が成立します。しかしこの場合は、旧所属チームはなんの補償も受け取ることができません。そのため他球団が無理やり引き抜くことが可能で、それが嫌なら上記のフランチャイズ指名にしておくべき。このトランジション・プレーヤーに指名するのはやや中途半端なやり方、と言えるでしょう。

なお、トランジション指名された選手がたとえそのオファーにサインする前でも、その金額はサラリーキャップに加算される決まりになっています。

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ロースター

チームに所属している選手のリスト。一軍に残れなくてもマイナーリーグが充実している野球と違い、NFLでは、一軍入りできないということは即、解雇を意味します。シーズン中のロースター枠は53人で、多くの選手にとってここに残ることが大変なのです。

オフの間のロースター枠は80人の大所帯。その80人に加え、NFLヨーロッパに派遣した選手と未契約のドラフト指名選手もロースターに入れておくことができます。プレシーズン終盤(8月下旬ごろ)にいったん65人(プラスNFLヨーロッパ派遣選手)に絞り込まれ、開幕直前(9月上旬ごろ)には再び53人にしなければなりません。

◆ 53人ロースター ◆

シーズン中のロースター枠。一般に「ロースター入り」と言ったらこの53人枠を指します。英語ではこのロースター入りすることを"make a team"という言い方をすることも多いです。この53人枠に入ってこそ一人前のNFL選手と言えます。キャンプからプレシーズンゲームを通して熾烈なポジション争いを勝ち抜いた選手が、ようやくこの開幕ロースターに残ることができるわけです。

◆ Active / Inactive ◆

その週の試合に出場可能な45人の選手のリストを Active Roster と呼びます。野球に例えると、「ベンチ入り選手」と言うことが出来るかもしれません。逆にそこから外れた8人の選手が Inactive というわけです。現在では、この45人のリストを試合直前にオフィシャルに届け出ればいいことになっているので、ケガをしていて微妙な選手などは、ウォームアップの結果で出否を決めることもできるわけです。

例外として、第3QBだけは、"Emargency QB"として届け出れば、45人枠から外れていても、QBが続けてケガした場合に限り出場させることができるようです。

もうひとつ、インジャリー・リザーブやPUPリストでない通常のロースターのことを Active Roster と呼ぶ広義の使い方もあります。「ケガが治ったのでPUPリストから出してアクティブロースターに入れる」といった使い方です。

◆ Practice Squad ◆

いわば練習生。上記の53人ロースターの他に、各チームとも8人ずつプラクティス・スクワッドとして練習に参加させることができます。「まだ粗削りだが才能はありそう」というドラフト外入団のルーキーが入ることが多く、またドラフト下位指名の選手でも、キャンプでの出来しだいではロースターに入れずここに入れられたりします。アウェー戦には帯同しないのが一般的なようです。

最低保証サラリーは週$4,350ドルで、他チームからも誘いがあるような場合は少しアップすることもあります。ロースター入りしたルーキーの最低年俸は$275,000ドル、週給に直すと$16,176ドルですから、プラクティス・スクワッド選手はその4分の1の薄給というわけです。

ロースター上の選手をこのプラクティス・スクワッドに入れるには、いったんチームから解雇(waiver)しなければならず、解雇から丸一日たってどこからも声がかからない場合にのみ、プラクティス・スクワッドに契約することができます。プラクティス・スクワッドに入る選手の資格は、NFLでの経験が1年以内であること(有資格シーズンの項を参照)、唯一経験したシーズンでもActive Roster入りしたことが9試合未満のこと。

プラクティス・スクワッドの選手は、他チームと自由に契約することができます。ただし横取りした側のチームは、その選手を即座に53人ロースターに入れなければならない決まりなので、多少の覚悟は必要となります。特定のポジションにケガ人が続出した場合に、やむなく他チームのプラクティス・スクワッドをあさる、というパターンが多いようです。

もちろん自分のチームのプラクティス・スクワッド選手をロースターに昇格させることも多く、その場合は自チームのシステムに習熟しているメリットが活きてきます。2005年のパッカーズの場合、RBサムコン・ガドーがこのようにしてシンデレラ・ボーイになりました。

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ドラフト指名ルーキーの扱い

ドラフト指名されたルーキーは、正式契約(7月のキャンプ開始前がふつうです)を結ぶまではロースター枠にカウントされない決まりになっています。そのため、ドラフト組が次々と契約を結ぶ7月には、代わりに誰かが解雇されることになります。

いっぽう、ドラフト外ルーキーたちは契約(ドラフト直後がふつうです)した時点でロースター枠にカウントされます。

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Injured Reserve

大きなケガをした選手を、インジャリー・リザーブ(以下IR)に入れることができます。IR入りした選手はそのシーズンはもう出場できません(プレーオフにも出られません)。そのかわり、チーム側はそのケガ人を手放すことなく53人のロースター枠から除外することができ、空いた枠で新たな選手と契約できるという利点があります。ヒザの前十字靭帯(ACL)断裂やアキレス腱断裂などの大ケガが多数を占めますが、シーズン終盤のケガでは回復が間に合わないため、比較的軽いケガでもIRに入れてしまうことがしばしばあります。

IR入りした選手にも契約どおりサラリーが支払われ、サラリーキャップから除外することはできません。チーム側は代わりの選手(安い選手ばかりですが)と契約しなければなりませんから、大きなケガ人が増えるほどサラリーキャップが窮屈になってしまうわけです。そういった事態に備え、各チームともある程度のキャップの余裕を持ってシーズン入りするのが普通です。

なお当サイトではインジャリー・リザーブとカナ表記していますが、正しくは "Injured Reserve" です。

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Physically Unable to Perform (PUP) List

7月末のトレーニングキャンプ開始時にケガでプレーできない選手をPhysically Unable to Perform(以下PUP)リストに入れることができ、その分はロースター枠外とすることができます。PUPの選手は試合にもチーム練習にも参加できませんが、ミーティングには参加することができます。PUPの選手は、トレーニングキャンプ中ならいつでも(キャンプ2日目でも)ロースターに復帰してチーム練習に合流することができます。しかし逆にトレーニングキャンプ開始時にアクティブロースターにいた選手は、PUPリストに入れることができません。

PUPリストのまま開幕を迎えた選手は、シーズン第6戦が終わるまでロースターに戻ることができません。シーズン第6戦が終わると、選手はチーム練習への参加が可能になり、チームにはPUP選手の扱いについて3週間の猶予期間が与えられます。その期間中に、53人ロースターに入れるか、インジャリー・リザーブ(今季は出場できない)に入れるかを決めることになっています。その3週間の間は53人ロースター枠にはカウントされずにすみますが、もちろん試合に出したければロースターに加える他ありません。

キャンプ開始時はごく軽いケガでもPUPに入れて様子を見ることも多いですが、レギュラーシーズン開幕時にPUPリストにいる選手は、6週間出場できないことが確定しているわけで、大ケガからの復帰途上であるのが一般的です。

インジャリー・リザーブと同じく、PUPの選手にも契約したとおりのサラリーが保証され、サラリーキャップから除外することもできません。

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Unrestricted Free Agents (UFA)

無制限フリーエージェント。一般に「FA」「フリーエージェント」と言ったらこのUFAを指します。NFLに4年以上在籍し、チームとの契約が切れた選手は、UFAの資格を得ます。どのチームと契約しようと自由です。4年以上NFLに在籍していれば、それ以降は契約が切れるたびに何度でもFAになります。

UFA選手は、7月22日まではどのチームと交渉するのも自由です。しかし6月1日に旧チームが"tender offer" を提示していて7月22日までに新チームと契約しなかった場合、7月23日以降は旧チームが独占交渉権を持つことになります。6月1日に旧所属チームから"tender offer"を提示されていなければ、全くのフリー。

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Restricted Free Agents (RFA)

制限つきフリーエージェント。これは少し難しいです。NFLに3年在籍し、チームとの契約が切れた選手は、RFAの資格を得ます。このRFAの場合、移籍を阻止するためのいろいろな権利が旧所属のチームにあり、移籍は実現しにくい仕組みになっています。通常、1巡や2巡指名選手は入団時に4年以上の契約を結ぶため、一度もこのRFAを経験せず、契約が切れた時にいきなりUFAとなるのが普通です。

まず、RFAになる際にその選手は旧所属チームからQualifying Offerという1年契約を提示され、これによって移籍の際に旧所属チームがどれだけの補償を受け取るかが決まります。Qualifying Offerをしない場合には、その選手は無制限フリーエージェント(UFA)となります。

その選手を欲しいという他チームからの "Offer Sheet"にその選手がサインした場合、旧所属チームは7日以内に、その"Offer Sheet" と同等以上の契約を提示することで、移籍を阻止することが出来ます。この権利は "Right of First Refusal" と呼ばれ、旧所属チームに優先権が認められているわけです。

もしそれを提示せずに移籍を許す場合、最初に提示したQualifying Offerしだいで旧所属チームは移籍先チームからドラフト指名権を受け取ることになります。

RFA選手が他チームと交渉できるのは、毎年ドラフトの8日前まで。所属チームが "Right of First Refusal" を行使する期限はその1週間後ですから、必ずドラフトの前日となります。 つまり各球団首脳としては、その年のRFA選手が残留するか去るかが決まってからドラフトに臨むことができる仕組みです。

このQualifying Offer分の金額は、サイン前であってもサラリーキャップに加算される決まりとなっています。

RFA選手の移籍は以前は少なかったのですが、最近は有力なRFA選手の獲得に乗り出すFA戦術も目立ってきました。その影響で、こういった入団4年目の面倒を避けるために、入団時から下位指名選手とも4年以上の契約を結ぶチームが増えてきました。そうしておけば、3年目終了時にRFAとなることがないためです。

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Exclusive-Rights Free Agents (EFA)

NFL在籍が3年に満たず、チームとの契約が切れた選手はEFAになります。その選手は旧所属チームから、最低年俸での1年契約を提示された場合、旧所属チームとしか契約することができません。旧チームがその提示さえしなかった場合にのみ、EFA選手はUFA(無制限FA)となります。RFAよりも、さらに移籍の可能性は低くなります。

ドラフト指名された選手は下位指名であっても3年契約以上を結ぶのが普通なので、 初めて契約が切れる時にはこのEFAを飛び越してRFAUFAとなります。ですからこのEFAとなるのは、ドラフト外入団してきた選手、またはドラフト指名されてもいったん解雇されてから1年契約を結んだ選手、と言ってもいいでしょう。

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Qualifying Offer

RFA選手に、旧所属チームから提示される1年契約のこと。これは4段階のランクに分かれています(2006年までは3段階)。旧所属チームは、FA期間が始まる(毎年3月はじめ頃)までに下記のどれかをRFA選手に提示しておき、他チームから誘いがあるかどうかを待つのです。提示されなかった選手は、いわば所属チームから見放されたことになり、自動的にUFAとなります。

◆ 最高 ◆ ("Highest Tender"と呼ぶのが一般的)

最も高い"Qualifying Offer"を提示した場合。2007年の場合は$2.35ミリオンです。この選手の移籍が成立したときには、旧所属チームは移籍先のチームから、「ドラフト1巡および3巡指名権」を受け取ることが出来ます。これほどのオファーはまずないでしょう。

◆ 高 ◆ 

2番目に高い"Qualifying Offer"を提示した場合。2007年の場合は$1.85ミリオンです。この選手の移籍が成立したときには、旧所属チームは移籍先のチームから、「ドラフト1巡指名権」を受け取ることができます。このケースは時々ありますが、このあたりのRFA選手を積極的に狙うFA戦術が最近は増えてきました。

◆ 中 ◆ 

2006年に新設されたクラス。2007年の場合は$1.3ミリオンです。この選手の移籍が成立したときには、旧所属チームは移籍先のチームから、「ドラフト2巡指名権」を受け取ることが出来ます。下位指名入団やドラフト外入団の選手は、後述の「低」オファーでは他チームから狙われやすいため、このクラスが最近よく活用されています。

◆ 低 ◆ ("Minimum Tender"または"Lowest Tender"と呼ぶのが一般的)

最も安い"Qualifying Offer"を提示した場合。2007年の場合は$850,000ドルです。このクラスが最もよく使われます。このオファーをされた選手の移籍が成立したときには、旧所属チームは移籍先のチームから、「その選手がドラフト指名された時と同じ順位の指名権」を受け取ることができます。ですから、もしドラフト外でNFL入りしていた場合、旧所属チームはなんの補償も受け取れなくなってしまいます。それを避けるためには、より上のオファーをしておくか、いっそRFAにならないよう長期契約を結ぶなど、何らかの工夫が必要になるでしょう。

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Accrued season (有資格シーズン)

上記の、例えば「4年以上NFLに在籍」と言った場合、なにをもって1年間在籍したと見なすのでしょう。所属するチームの、下記の3つのうちのいずれかに6試合以上登録されると、その選手は有資格シーズンを得たことになります。

  1. Active/Inactve (つまり53人ロースター入りすれば、試合に出なくても可)
  2. Injured Reserve (インジャリーリザーブ)
  3. Physically Unable to Perform List (PUPリスト)

つまり、オフの間に契約し開幕前に解雇されてしまう三十数人の選手は、有資格シーズンを経たことにはならないのです。プラクティス・スクワッドでもダメです。

この"Accrued season"を何年経たかで、上記の最低年俸も変わってきますし、フリーエージェント資格、引退後の年金など、全てにおいてこの"Accrued season"が元になります。

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Compensatory Draft Pick

NFLにおける戦力均衡政策の一つ。何らかの形で選手を失ったチームが、その補償として翌年のドラフト指名権を与えられるという仕組みです。2つの場合があります。

まず一つは、RFA選手を他チームに奪われた場合に旧所属チームが受け取る補償としてのドラフト指名権。これはRFAの項で説明したとおり。

もう一つは、FA流出に対する補償としてリーグから受け取るドラフト指名権です。その前年に、流出したUFA選手が獲得したUFA選手より多かった場合に、最大4つまで、NFLからドラフト指名権をもらえるのです。ドラフト3巡から7巡までの、それぞれの巡の最後に付け加える形となっていて、この制度で受け取った指名権はトレードに出すことは出来ない決まりです。

どのチームがどれだけもらえるか、毎年ドラフトの1ヶ月ほど前に発表されます。NFLの "Management Council" が定めた基準があり(外部には発表されていない)、どのような契約で、どれだけ選手を失ったかによって指名順位と数が変わります。また、UFA選手をたくさん獲得したからといってそのチームがドラフト指名権を失うことはありません。