ロースター枠は3人。多くて4人。昨年と同じ顔ぶれで決まりかと思われたが、元CARのラマー・スミスが加わり、競争が面白くなった。4人枠になるには、誰かがリターナーとして認められることが必要だろう。しかし現状では、リターナー候補の多くはWR。
不動のエース。3年連続で1100yds以上のラッシングを記録し、2年連続プロボウル。昨季はヒザを中心としたケガに悩まされ、肝心のシーズン最後に力を出し切れなかった。しかし今年はこれまで全く問題なく、ミニキャンプでの動きも文句なし。問題は、彼の負担をどうやって減らすか。
ルーキーだった昨季はFB兼任だったが、骨折が万全に治っていない足をかばいながらも平均4.7ydsという能力の高さを見せて、今年はRB専任に。ミニキャンプでは最も評判の良かった選手の一人で、2番手RBとしてグリーンを助けることが期待されている。250ポンド級のパワーランナーでありながらパスキャッチはグリーンより上手く、元FBだけにブロッキングも心配ない。実は昨季、キックオフリターナーとしては彼が一番良かった。他の候補が不甲斐なければ、今年も彼がキックオフリターンをやることになるかも。
昨季はドラフト外ルーキーながら、ロースター入りしたばかりか、ダヴェンポートが戦線離脱した終盤は2番手RBに昇格。グリーンが欠場した時は先発まで務めた。精神的にしっかりしていて、ブロック、パスキャッチなど穴がない。逆に言うと全てにおいて無難で、大きな取り得がないのかも。昨季は、思い切りが悪いのかショートヤーデージで1stダウンが獲れず、コーチが不満を表すこともあった。
9年間で通算4792ydsの実績あるパワー・ランナー。フィールド上では信頼が置けるが、私生活では問題がある。ルーキーだった'94年、彼が起こした飲酒運転事故のために、同乗していたDTマーク・フライアーは首の骨を折り、半身不随になっている。昨年も飲酒運転で逮捕され、これがパンサーズを解雇される一因となったようだ。グリーンベイではダヴェンポート、フィッシャーとの2番手・3番手争いだが、問題は32歳という年齢。
2001年にオクラホマ州立大からドラフト外でジェッツへ。その後、タイタンズ、ジャガーズを経て、昨季終盤にパッカーズのプラクティス・スクワッドに加わった選手。上の4人にケガ人が出ない限り、開幕ロースター入りは難しそう。
FB兼任。昨年春にユタ大からドラフト外でジャガーズへ。 開幕前にカットされ、今年の春はNFLヨーロッパでプレーした。FBとしても、今年のパッカーズは層が厚く、開幕ロースター入りは難しそうだ。
ロースター枠は通常3人。若手QBたちがよほどレベルの高い争いをしてくれれば4人残すこともありうるが、そこまでレベルは高くない。また、QBクラウチがリターナーとしてよほど素晴らしければ、彼を含めた4人になる可能性はあるが、そこまでは期待するのは酷だろう。
昨季終了時点では、「あと1年か2年」という見方が強かったが、最近のコメントでは「最低でもあと2年はやる」という感じになってきた。ミニキャンプでもモーティベーションの低下は見られず、全てにおいてこれまで通りのファーヴ。ただ、彼の引退関連の報道が多いことで、「グリーンベイもそろそろ落ち目」と見られてFAの獲得交渉に支障が出ている印象もある。チームの士気にも影響が出かねないので、引退関連のコメントはそろそろシャットアウトしてほしい。
どこといって取柄はないが、ウェストコーストオフェンスを知り尽くしている、という点では信頼のおける35歳のベテラン。昨季はレッドスキンズ戦でファーヴ負傷退場のあとを受けて無難にリリーフ登板、逃げ切り勝ちに貢献した。ライバルがノールとクラウチだけならほぼ安泰だったが、アキリ・スミスの加入で事態は複雑に。大ベテランを3番手で残してもあまり意味はないので、ノールを退けて2番手を確保することが残留の条件。解雇となれば、そのまま引退の可能性も。
昨年のドラフト5巡。NFLヨーロッパでは十分な活躍で期待に応え、控えQBの中では最も開幕ロースター入りの可能性が高い。キャンプではピダーソンを追い落として2番手となれるかがテーマ。彼が2番手になれば、アキリが3番手として残る可能性も大きくなる。ピダーソンとノールはルイジアナ州のスモール・カレッジ出身という所が共通している。
言わずと知れた元ドラフト3位指名。肩も足も申し分ないが、問題は首から上の部分。記者によって評価が大きく異なり、「CINでは力を出せなかったが、ポテンシャルは高い」という見方と、「CINでも十分な指導を受けていた。ダメなものはダメ」という見方だ。キャンプではピダーソンかノールを引きずり降ろさなければ開幕ロースター入りはない。キャンプ開始までにパッカーズのオフェンスをどれだけ消化できるかが最初の関門。学習能力がいきなり問われている。
話題の元ハイズマン男。懸念されていたほど肩が弱くない、ということだけは証明したが、それ以外はまだまだ。フットワーク、パスの正確性、オフェンスの理解など課題が多く、ミニキャンプでは被インターセプトが非常に多かった。アキリ・スミスの加入のため、トレーニングキャンプでのプレー機会も大幅に減るだろう。開幕ロースター入りは極めて困難になったが、残る希望はリターナーとして認められること。プラクティス・スクワッドで開幕を迎える、というのが現実的か。
2年以上にわたって続けられてきたランボーフィールド大改築工事も、いよいよ完成に近づいてきた。すでに全体の95%が完成し、あとは細かい部分の仕上げを残すのみ。これまでは、毎月の建設コストは$15ミリオンほどだったが、現在では毎月$5ミリオンほどになっているとのこと。
言葉で説明するよりも写真を見た方が早い。公式サイトの写真をぜひ。
フランクスがプロボウルに選ばれたために目立たないが、パッカーズのTE陣の現状は、理想的とは言いがたい。パスキャッチ8回33yds。これが控えTEデヴィッド・マーティンの、1試合でなくシーズントータルの数字だ。昨年の今頃は、彼がエースの座を脅かすとまで期待されただけに、昨季の結果は失望以外の何物でもなかった。シーズン後半には2番手の座も失った。体重オーバーでブヨブヨのTEタイロン・デイヴィスにだ。
責任は自分にある、とマーティン本人は率直に認めている。「悪い試合をしてしまって、自分から穴に入り込んでしまった。次第に自信を失っていったんだ。その穴から抜け出せず、けっきょく1シーズン不振が続いてしまった」 とマーティン。ジャゴジンスキTEコーチは、「いろいろとフットボール以外の出来事が影響してしまったようだ。詳しくは言いたくないが、私生活がプレーに影響していたのは確かだ」と説明する。
「しかし今年は、3年目の彼に大きな期待をしている。goodでなく、greatなシーズンをね。彼にはNFLじゅうのどのタイトエンドにも負けないほどの才能があるのだから」とジャゴジンスキTEコーチ。その期待通り、ここまで2回のミニキャンプでは、見違えるような動きを見せている。FAで新たなTEを獲得することがなければ、このまま2番手を確保するだろう。昨年は彼の不振のために、ダブルTE隊形を使う機会そのものが減ってしまった。優勝した96年の、チュムラとキース・ジャクソンのコンビを見ればわかるように、良いTEが2人いれば、パッカーズのオフェンスの幅は大きく広がる。
マーティンの強みは、そのスピード。260ポンドのTEでありながら、40ydsを4.5秒台で走ることができる。テネシー大ではWRだったため、ブロックにはまだ信頼がおけないが、パスキャッチはもともと上手い。「信じられないほどのスピードでフィールドをストレッチしてくれる。私は彼に言っているんだ。『スターターのように振る舞え。おまえの精神状態はバックアップのものだ。そうじゃない。自分がエースのつもりでいる必要がある。練習でもそのつもりでやれ』とね。」 とジャゴジンスキTEコーチ。
そのように、メンタル面での自信回復に務めてきた今年のオフシーズン。最近、男の子も産まれた。過去のトラブルはもう乗り越えたという自信はある。「ゼロからのスタートだと思っているんだ。これまでは、出来の悪い試合があると、その後は完璧であろうとして考えすぎてしまった。今はもう新しい年がやってきて、去年のことはどうすることもできない。今年をより良い年にしようと、頑張るだけだよ」
昨年の夏は不名誉な事件で話題になってしまったRBナジェ・ダヴェンポートだが、今年は余裕のあるオフを過ごしているようだ。マイアミ大で演劇学の学位をとった彼は、その経験を活かして、映画に出演することになったのだ。題名は"Blood Money" 。人気ラッパーのバスタ・ライムズと50セントが主演するアクション・ムービーだ。
彼の役どころは、騒ぎに巻き込まれるナイトクラブのオーナー。あまり重要な役ではないが、セリフのあるシーンも(編集次第だが、最大で)4つある。「最初は、別の役をやるはずだったんだよ。バスタ・ライムズの仲間のギャングのメンバーだ。でも、ミニキャンプの日程と重なってしまったから、この役になったんだ」とダヴェンポート。今回の出演は代理人の勧めがあってのことだそうだ。
マイアミ大では、授業の中で演技をすることはあっても、実際の舞台ではいつも裏方に回っていたらしい。「大学の舞台では、オーディションを受けたことがないんだ。そんなことしたら、フットボールのチームメイトにエライ目に遭わされただろうからね。それに、大学での劇にはあまり興味が持てなかった」と語るダヴェンポート。興味のあるのはやはり映画。
今回は初出演とあって、 まだ慣れないことも多い。「早くスタジオ入りして、衣装を着たりやメーキャップをするんだけど、何もせずに待つ時間が長いんだよね。トレーニングキャンプだって長いプロセスだけど、少なくとも常に何かやることはある」。最初は新米の彼が質問する側だったが、彼の本職が知れ渡ると、逆に質問攻めされるようになった。「たいていはまず、『パッカーズでプレーするってどんな感じ?』ってことを聞かれるね。それから、ブレット・ファーヴについてだ。実際の彼がどんな風か。みんな必ずブレット・ファーヴのことを知りたがる」
フットボールが最優先なのはもちろんだが、映画の仕事はこれからも続けて行きたいと思っている。7月に撮影が始まる "Barbershop 2" の出演もオファーされていたのだが、キャンプと重なるので断らざるを得なかった。2月に撮影の始まる映画なら、もっと大きな役をこなせる時間が作れるからちょうどいいのだが。彼の好きなのは、スター・ウォーズとかロード・オブ・ザ・リングスなどのファンタジー・アドベンチャー。いつか大ヒット作で大きな役を演じられたら最高だ、と彼は語っている。
NFLヨーロッパのフランクフルト・ギャラクシーでプレーしていたRB/FBアダム・テイトと契約。テイトはユタ大出身の25歳。昨年春にドラフト外でジャガーズと契約するが開幕ロースターには残れずに解雇。そのまま昨年はフットボールから離れていた。
過去3年間で2回のプロボウル出場を果たしたSダレン・シャーパー。しかし彼はまだ貪欲に、上を目指している。今オフは、ニューオーリンズの著名なトレーナー、トム・ショウの元でトレーニングを行い、かつてないほど研ぎ澄まされた体になったと本人は感じている。「もう一段上のレベルへ、というのがモーティベーションなんだ。僕は、自動的にプロボウルに選ばれるような選手になりたい。誰もがあまり考えることもなく、毎年選んでくれるような選手にね」
5月22日にマリファナ所持で逮捕されたDEジョー・ジョンソン(の弁護人)が、無罪を主張。あらかじめ無罪の主張を提出し、罪状認否の手続きは放棄した。今回は本人は出廷していない。
合衆国における罪状認否とは、起訴状に対し、無罪か有罪かを被告が答弁すること。ここではまだ陪審はいない。ここで無罪を申し立てた場合に初めて裁判の手続きに入る。有罪を認めた場合は裁判は行われず、量刑手続きに入る。
かつてのドラフト1巡3位QBアキリ・スミス、ハイズマン受賞QBエリック・クラウチと話題の多いパッカーズ控えQB陣。しかし実際にカギを握るのは、2年目のクレイグ・ノールだと言って間違いない。NFLヨーロッパでは、QBレーティング1位など期待通りの記録を残し、リーグMVPこそ同僚のRBサイモントン(BUF所属)に譲ったものの、オールNFLE(QBは一人)に選出されている。「今年のNFLEのQBの中では、格が違った」というのが大方の見方のようだ。
もちろん、NFLとNFLヨーロッパでは、レベルに大きな隔たりがあるのは言うまでもない。パスプロテクションにも比較的恵まれていたし、上記のRBサイモントンなど強力なRB陣が、ランアフターキャッチで稼いでくれたヤーデージもかなりある。それでも、プロ1年目に全く経験できなかった実戦経験を積めたことは大きい。スモールカレッジ出身のノールならなおさらだ。
「ヨーロッパでの彼は、QBに期待されるいろいろな能力の高さを、確かに見せてくれた。リーダーシップ能力もその一つだ。試合中、彼のマイクを通して、常に彼の振る舞いを観察していたのだが、進歩が見られたと思う。また、パスの正確性も進歩した」とシャーマンHCは満足そうだ。「彼がNFLEで成し遂げたことは、今後の彼に役立つはずだ。最初はヨーロッパに送るつもりなどなく、手元に置いて指導した方が良いと考えていた。しかし我々とよく似たオフェンスのクレイモアズに送り込めることになったから、このようにしたのだ。おかげで、ミニキャンプでは得られないような経験を、向こうですることができた」
このノールと、35歳のピダーソンをキャンプで争わせよう、というのが首脳陣の考えだ。ピダーソンの強みは、経験豊富で、パッカーズのオフェンスを知り尽くしていること。これまで2回のミニキャンプでは十分なプレーを見せており、やすやすと2番手の座を明け渡すことはなさそうだ。逆に言えば、ピダーソンを負かせられないようでは、「ファーヴの後継者候補」などおこがましい。
逆に、ピダーソンが開幕ロースターに残るためには、2番手の座を守り抜くしか道はなさそう。彼のような大ベテランを3番手として残してもあまり意味はないからだ。もしピダーソンが敗れてノールが2番手になれば、他の若手QBたちにもチャンスが出てくる。加入後まもないアキリ・スミスは、現時点ではピダーソンとノールを追いかける形。ただでさえ学習能力に問題がある(単に頭が悪いのだと酷評する記者も・・・)、と指摘される彼のこと、短期間で新しいオフェンスを吸収するのは至難の技だ。エリック・カウチはさらに望みが薄いと見られている。
NFLヨーロッパのフランクフルト・ギャラクシーで活躍したリターン・スペシャリスト、ブライアン・マクドナルドと契約。キックオフリターンは平均28.7ydsでリーグ2位、WRとしてはパスキャッチ19回312ydsの成績で、ギャラクシーの優勝に貢献している。
マクドナルドはルイヴィル大出身の26歳。一昨年はアリーナ・リーグで活躍し、昨年1月にイーグルスと契約。そこからNFLヨーロッパへ派遣され、WR/KRとしてプレー。今年はどのNFLチームにも所属せず、NFLヨーロッパでプレーしたようだ。
今オフ、グリーンベイと契約したC/OGグレイ・ルーガマー。"グレイ"というのはニックネームではなく、ちゃんと親がつけた名前なのだそうだ。その名に違わず、早くも高校1年生の時には、前髪のあたりがグレーになり始めた。「だんだん範囲が広くなってきたんだ。今じゃあ、かなり目立ってきてるよね。でかいスカンクみたい」と本人は笑う。
アリゾナ州立大から、1999年のドラフト3巡でドルフィンズに指名されたルーガマーだが、1年目はほとんど出番なし。そして翌年、ジミー・ジョンソンHCからウォンシュテッドHCに代わると、彼は解雇されてしまった。スティーラーズのプラクティス・スクワッドを経て、2000年シーズンの第11週からペイトリオッツへ。それ以来、2年半を控えラインマンとして過ごし、この春フリーエージェントになった。
インサイドの3つのポジション全てをこなせる彼に、パッカーズを含む数チームが目をつけていたようだ。その中から彼がパッカーズを選んだのは、3年契約を提示してくれたことの他に、ペイトリオッツでの同僚ジョー・アンドルージ(元GB)が、パッカーズをベタ褒めしていたせいもあるらしい。「僕は比較的無名で、多くのチームのレーダー・スクリーンから外れていたんだと思う。でも僕は自分のできることには自信を持っている。スターターをプッシュし、質の高いデプスを作るためにここに呼ばれたんだ」
競争の激しいセンターとガードの控えを、ウィンタース、ブラント、フェラリオらと争っているルーガマー。先日のミニキャンプでは、センターと左右ガードの3ポジションを均等にプレーした。まだシステムやプレーブックを消化しきれていないが、コーチたちは彼の動きに満足している。「テクニック面でまだ少し苦戦しているが、いずれは全てうまくいくはずだ。我々コーチよりも、本人の方が少し心配しすぎて、体を動かす前に考えてしまうところがある。でもこのまま続けていけば問題はないよ」とベクトルOLコーチ。誰が開幕ロースターに残るかは、「トレーニングキャンプでフルコンタクト練習をやってみなければ」とOLコーチは慎重だが、多くの記者は「ルーガマーは当確だろう」 と見ている。
ルーガマーは、ペイトリオッツがスーパーボウルを制覇したあのフィールドゴールの瞬間、スペシャルチームの一員としてフィールドに立っていた。「あれは、本当に驚くべき年だった。たくさんの幸運に恵まれ、それが雪だるまのようになっていった。全てがうまく転がり、選手たちはひとつにまとまっていた。わがままや不平不満を言う選手はいなかった。先発QB(ブレッドソー)がルーキーみたいなQB(ブレイディ)の後ろに控えたことでも、それは明らかだよね」と彼は振り返る。「でも、ここでも多くの選手にあの時と同じような雰囲気を感じるんだ。たくさんの類似点がある。同じことを成し遂げられない理由はないよ」
QBザク・クストクが解雇された。クストクは、ノースウェスタン大からドラフト外で昨年の春にドルフィンズと契約したが、開幕ロースターに残れずに解雇され、今オフに入ってからパッカーズと契約した。しかしQBエリック・クラウチやQBアキリ・スミスがチームに加わったため、押し出されてしまった形だ。これでパッカーズのQB陣はファーヴ、ピダーソン、ノール、アキリ・スミス、クラウチの5人。ファーヴ以外の4人が2つの控えQBの座を争うことになる。
元NYGのキッカー、Owen Pochman を獲得した。彼はその飛距離に特色があり、2001年シーズンはジャイアンツのキックオフ専門として起用された選手。パッカーズでも一昨年のシーズン中には、(ロングウェルは飛距離が出ないため)キックオフ専門のキッカー起用が検討されたことがあるが、昨年はロースターにそのような余裕はなかったし、今年もおそらくないだろう。今回の契約は、ロングウェルが安心しないよう尻を叩くこと、そしてキャンプのスペシャルチーム練習でのロングウェルの負担を減らすことが目的と思われる。もちろんロングウェルを打ち負かして正キッカーの座を奪い取れば話は別だ。
Pochman はブリガム・ヤング大出身の25歳。大学では兄イーサンからキッカーの座を受け継ぎ、兄弟でいくつものチーム記録を作っている。2001年のドラフト7巡でペイトリオッツに指名されるが、開幕ロースターに残れずに解雇。すぐにジャイアンツと契約し、10試合にキックオフ専門として出場。55ydsと63ydsのFGにも挑戦するがどちらも失敗に終わっている。ジャイアンツの正キッカーを目指していた昨年は、キャンプでヒザを痛めてしまい、シーズンをまるまる棒に振ってしまった。つまり、まだNFLで一つもFGを成功させていない。
つい最近、ルーキーDTピーターソンが「今までにアルコールを飲んだことがない」と告白して話題になったばかり。ではいったい現在のパッカーズの中で飲まない選手はどれぐらいいるのだろうか。80年代から90年代前半にパッカーズに在籍した元LBブライアン・ノーブルは、「全く飲まない、または、たまのつきあい程度に少量しか飲まない選手は、今では65%ぐらいいるのではないか」と見積もっている。
彼がルーキーとしてグリーンベイにやってきたころは、数字がその逆だったらしい。「私が1985年にプロ入りしたとき、あまりに多くの選手が飲むのに驚いたものだ。その頃は、およそ65%の選手が飲んでいたと思う」と元LBノーブルは振り返る。アシスタント・トレーナーのカート・フィールディングによると、アルコール消費量が減ったのはここ10年ぐらいのことらしい。「あまりに多くのものがフットボールにかかっているからね。代理人も選手に飲まないよう勧めるし、もちろんチーム側もリーグ側もそうだ」
元RBエドガー・ベネットや元SSリロイ・バトラーは、昔から飲まない側の選手だった。「独身のころは、みんなで飲みに出かけるわけだけど、僕らだけは"シャーリー・テンプル"(ノンアルコールのカクテル)とかセブンアップを飲んでた。他の連中は気にしちゃいなかったけどね」とエドガー・ベネット。また、80年代半ばにLBとしてレイダーズでプレーしたプロ人事部長のレジー・マッケンジーは、「私は、飲まない5%の一人だった。今とはかなり違ったよ」と笑う。DTジョン・マツザックがスーパーボウルの前夜にホテルを抜け出して、明け方近くまで飲み騒いでいたのは有名な武勇伝だ。
"director of player development"という肩書きで選手たちの世話役を務めている元RBエドガー・ベネットによると、パッカーズの選手たちは、アルコール依存についてのカウンセリングを受けさせられるだけでなく、ある電話番号の書かれたキーホルダーが配られるのだと言う。アルコールが入ったら、そこに電話するだけで、無条件で好きな場所に乗せていってもらえる仕組み(運転代行のようなものか?)になっているらしい。
プロスポーツ選手が若者の良いお手本でないという批判は多いが、アルコールに関して言えば、大酒のみは大幅に減ってきている。これだけ大金がかかるようになれば、選手たちもそれだけ体の手入れに真剣に取り組まざるを得ないということなのだろう。
今年のパッカーズのDB陣で、最も注目を集めている一人がジャコビー・シェパード。昨シーズンの終わり際に契約した若い選手だ。シャーパーやアンダーソンのケガでセーフティ不足となった4月のミニキャンプで、大型CBの彼をテスト的にセーフティに入れたところ、予想以上に良い動きを見せた。6月のミニキャンプでもそのままセーフティを続けており、もしこのままFA補強がなければ、4番手としてロースターに残りそうな勢いだ。
「今は主にセーフティをやらせているが、いつでもCBに戻せると我々はわかっている。今は全く経験のないポジションに取り組んでいて、毎日が勉強だ」と説明するのはスロウィックDBコーチ。「彼はデカくて、速く、アスレチックで、ボールハンドリングのスキルもある。とても優れた本能を持ってる。まったくもってアスリートだね」
元はといえば、2000年のラムズのドラフト2巡指名。1年目は15試合に出場(1試合先発)したものの、次第にマーツHCからの信頼を失い、2年目は7試合出場しただけで昨年春にはトレードに出されてしまった。ケガの手当てを怠ったり、ミーティングへの遅刻を繰り返した彼自身に問題があったのだ。「基本的には、僕とヘッドコーチの間の誤解が元だったと思う。僕は性格が悪いんじゃない。まだ若く未熟で、たくさんの過ちを犯してしまった」とシェパードは振り返る。
「マイク・マーツはすごい人だよ。でも、厳しい人でもある。そう多くのチャンスはくれないんだ。なのに僕は2巡指名選手がすべきじゃない類の過ちを犯し、チームは僕に見切りをつけたわけだ」とシェパード。7巡指名権と交換でテキサンズにトレードされたが、開幕ロースターに残れずに解雇。そしてプレーオフの直前、今年の元旦にグリーンベイにやってきた。パッカーズはプレーオフに使おうと考えたのではなく、彼の将来性を買って、貴重なロースター枠を使ったのだ。
「もっと大人になるべきだった」 と認めるシェパードには、セントルイスでの失敗を繰り返すまい、という心構えは出来ている。20歳でプロ入りした彼は、まだ23歳。やり直す時間はある。「人生のどこかで、ああしたことは起きるものだ。でもあのような出来事が、僕の若い時に起きたのは良かったと思う。そこから学んで前に進むことができるからね。チャンスはそう多くないのだから、失敗を糧にして前に進まなければ。今はこのチャンスをモノにしようと頑張っているところだ」
元ベンガルズのQBアキリ・スミスとの契約に合意した、とパッカーズが発表した。契約の詳細は不明だが、ESPNのJohn Clayton によると、$15,000の契約ボーナスを含む$545,000の1年契約とのこと。6月はじめに解雇された彼に、4チームが興味を示したと言われるが、どのチームも高額サラリーを提示して誘ったわけではない。彼本人も、6月5日のニュースで紹介したように、QBとしてやり直すためにじっくりと指導が受けられるチーム、ということを金額よりも重視したと思われる。
サンディエゴ出身のアキリ・スミスは現在27歳。身長191cm、体重104kg。オレゴン大で素晴らしい成績(98年は32TD、8INT、1試合平均314yds)を挙げて1999年のドラフト1巡3位で指名された。しかしシンシナティでの4年間の通算成績はパス成功率46.6%、5TD、13INT、QBレーティング52.8という惨憺たるもの。17試合に先発して3勝14敗に終わっている。
パッカーズとしては、2年か3年後に引退が予想されるQBファーヴの後継者探しの一環だろう。この夏のキャンプでは、35歳のQBピダーソン、2年目のノール、そしてこのアキリ・スミスの3人で控えQB2つのイスを争うことになりそうだ。仮にアキリを開幕前に解雇することになっても、この契約ならばサラリーキャップへの痛手は極めて小さい。
大ベテランLBハーディ・ニッカーソン(37歳)が、ESPNのインタビューで、引退を決意したこと、すでにそのための書類をNFL側に提出済みであることを明らかにした。昨年はグリーベイで期待通りの活躍ができなかったが、16年間にわたって素晴らしいキャリアを築いてきたニッカーソン。今は、スポーツで活躍する娘や息子たちの応援や送り迎えを楽しむ毎日だが、これからはビジネスだけでなく、ロー・スクール(法科)に進むことも考えていると言う。
ニッカーソンは、カリフォルニア大から1987年のドラフト5巡指名でスティーラーズ入り。2年目の途中から先発に定着し、スティーラーズ、バッカニアーズ、ジャガーズ、パッカーズの4チームで通算225試合出場、200試合先発。1993年に移籍したバッカニアーズでは7年間で5回のプロボウル選出を果たしている。ワークアウトを趣味のひとつとして挙げるほどの練習の虫で、MLBとしては小柄な体を、そのハードワークと強いハートで支えてきた。
ニッカーソンはフットボール選手としてだけでなく人間的にも非常に素晴らしく、かつてのチームメイトたちに良い影響を与えてきた。慈善活動にもきわめて熱心で、1997年シーズンにはNFL選手協会から、Byron "Whizzer" White Award を受賞している。ついにスーパーボウル・リングに手の届かなかった彼だが、この受賞を心から誇りにしており、「スーパーボウル・リングとだって交換したくはない」と語っている。
ドラフト6巡ルーキーのOTブレナン・カーティンと、7巡のWR/KRデアンドリュー・ルービンとの契約が成立した。どちらも、少額の契約ボーナスを含む3年契約と見られている。これで9人の指名選手のうち3人と契約がまとまった。今年のパッカーズは指名選手が多いせいか、例年より早いペースで契約が進んでいる。
今年で4回目となる、QBファーヴ主催のチャリティ・ソフトボール大会が、グリーンベイ南西のアップルトン市のFox Cities Stadiumで開催された(写真はこちら)。 ここはMLBシアトル・マリナーズ傘下のシングルA、ウィスコンシン・ティンバーラトラーズの本拠地だが、この日はパッカーズの選手たちを見るために、スタジアム記録となる7123人のファンが集まった。地元ではテレビ中継もされたらしい。
試合はいつもどおり、オフェンス組とディフェンス組に分かれての7イニング。昨年、一昨年はディフェンス組が勝利を収めているが、今年は8本のホームランを打ちまくったオフェンス組が24-10で勝利。WRファーガソンとFBヘンダーソンが2本ずつ、そしてリハビリ中のOTタウシャーもホームランを放っている。ディフェンス側もルーキーLBヒレンマイヤーとPビドウェルの満塁ホームランで追い上げるが、時すでに遅し。
試合開始当初はかなりの雨が降っていたが、 終わる頃には青空が戻ってきた。試合がオフェンス組の勝利に終わると、オフェンスの選手たちはクリーム・パイを手にディフェンスの選手たちを追いかけ始め、ファンをどっと沸かせた。そんな中で、ファーヴの長女ブリタニーがWRドライバーの顔にパイをぶつけると、他の選手まで寄ってたかってドライバーをパイまみれに。「こうやって、ファンたちの声援を受けながら楽しめるのは素晴らしいよね。ブレットはいつもこのような素晴らしいイベントを用意してくれる。これからも毎年出るつもりだよ」とドライバー。
今回の収益金は、"The Brett Favre Forward Foundation" を通じて、ウィスコンシンに住む恵まれない子供たちや体の不自由な子供たちのために寄付されることになっている。
Fox Cities Stadium | OTタウシャー(右端) も元気に参加 |
親分ファーヴも 一発を放つ |
ズダボロにされる WRドライバー |
ここまで期待はずれの選手が多い、2001年ドラフト組。彼らにとっては、3年目となる今シーズン、いやこの夏のキャンプが正念場だ。
一番困った人。サラリーキャップの問題(今年が5年契約の3年目)があるだけに、カットすることもできない。昨年も、シーズン中に解雇されなかったのは高額サラリーのおかげであり、チーム内には、他の選手がカットされてレイノルズが残ったことに不満を表した選手もいたらしい。
サイズがないのは最初からわかっていたことだが、スピードもクイックネスも足りないのが致命的。地元ベテラン記者の参加するチャットでは毎回のように「LBにコンバートしたら?」という意見が寄せられるが、そのたびに「そんなスピードがないから苦労してるのだ」と記者が答えるパターン。今年はヒザの問題もなく、「これまでの2年間よりはマシ」という見方が一般的だが、それでも足りるかどうか。サラリー並とは言わないが、せめて実力でロースター入り(DLは9人か10人)してほしいものだ。
WRウォーカーとの2番手WR争いを一歩リード。ただし、去年もミニキャンプの時点ではそのように言われていただけに安心はできない。時おりイージーなキャッチミスがあるWRウォーカーと比べると、ファーガソンはパスキャッチが上手いのが大きな武器。WRテリー・グレンを放出したのは、ファーガソンとウォーカーの成長を妨げないためだったのだから、高いレベルでのスターター争いを続けてほしい。
ジュニアカレッジ出身の彼が、テキサスA&Mで1年プレーしただけでプロ入りしたのは、やはり時期尚早だったようだ。ゲームへの理解も足りず、精神的にも幼かった彼はここまで来るのに時間がかかってしまった。
1年目は、バトラーの代役としてセーフティで7試合に先発したが、2年目は鼠蹊部や足首のケガで大幅に後退。鼠蹊部のヘルニアとわかったのがシーズンに入ってからで、けっきょく手術でシーズンのほとんどを棒に振った。完治した今年は良い動きを見せ、ウェストブルックと3番手CB・ニッケルバックを争っている。いまのところはCB専門だが、セーフティの経験もあるのは強み。ロースター入りは間違いないが、スターターを脅かすところまで行ってほしい。
いまのところは、レイノルズと並ぶ "BUST"。フィジカル能力は化け物じみたものがあるが、いかんせんフットボールのセンスがない。判断が遅く、ゲームへの理解も不十分。ミドル、ウィークサイド、ストロングサイドを試し、昨季はついにフルバック起用をテストされるまでになってしまった。
しかし今年は、ダフナー新LBコーチの指導が合っているらしく、「成長を見せている」と見る記者も増えてきた。ドラフトで3人もLBが指名されたこともあり、今年ダメなら開幕前の解雇もありうる。トレーニングキャンプとプレシーズンゲームが彼にとっての正念場だ。彼にとっての救いは、先発組の3人のなかにミドルLBの専門家がいないこと。
控えG/Cの座をルーガマー、ブラント、ウィンタースらと争っている。ここは先発組がしっかりしている上にライバルが多いので大変だ。現時点ではルーガマーが少しリードしているらしい。本来はNFLヨーロッパでフェラリオにセンターの修業をさせる予定だったのだが、イラクでの戦争を嫌った本人が渡欧を拒否した。マーシャル同様、開幕ロースター入りのためには、この夏が勝負だ。
1年目、2年目ともミニキャンプでは非常に評判がいい。それがトレーニングキャンプ、プレシーズンゲーム、レギュラーシーズンと進むうちに尻すぼみになってしまう。今年も今のところは「今度こそ良さそうだぞ」と言われているが、期待していいものかどうか。
2番手TEの座を争うタイロン・デイヴィスが今年も体重オーバーでだらしがないので、マーティンの開幕ロースター入りは大丈夫そうな雰囲気。しかし今後ベテランTEと契約する可能性もあり、安心はできない。先日も元JAXのTEピート・ミッチェルがグリーンベイを訪れてワークアウトを行ったばかりだ。
毎年6月のミニキャンプでは、チーム内のケミストリーを高めるためのレクリエーションの日を作るのが、シャーマンHC時代になってからの恒例。今週金曜日がそうなるだろうというのが大方の予想だったが、シャーマンHCは意表をついて水曜日に決行した。昨年はゴルフ、一昨年はペイントボールを使っての戦争ゲームだったが、今年はボウリング。選手・コーチ・スタッフ全員がバスに乗り込んで、"Ashwaubenon Bowling Alley" へと繰り出した。(写真はこちら)
ベテラン選手たちがそれぞれチームキャプテンとなって4人ずつのチームを構成。そのキャプテンがドラフトで好きな選手を指名していく、という仕組みだ。最高齢のCウィンタースに次いで、1巡2位指名権を持っているQBファーヴは、ロスリーOCを指名。ベクトルOLコーチは大変な下手くそで、指名したRGリヴェラを最後まで苦しめることになった。210という最高のスコアを叩き出したのは、TEマーティンだった。
「毎年毎年が新しいチームだからね。練習で顔を合わせることはあっても、名前さえ知らなかったり、相手がどんなヤツかよく知らないんだ。こうした機会をコーチが作ってくれるおかげで、若手とベテランが入り混じって、声援を送ったり、ハイファイブをしたりする。しだいにケミストリーが出来てきて、7月のトレーニングキャンプの頃には、みんなが一つになっている」とRGリヴェラは語っている。
NFLヨーロッパに派遣されて、スコティッシュ・クレイモアズでプレーしているQBクレイグ・ノールは、パッカーズ首脳の期待にたがわぬ活躍を続けている。第9週を終わってQBレーティング96.0(1位)、1903yds(2位)、16TD(1位)。インターセプトは6個。パス成功率は58.2%。
シーズン中盤は調子を落とし、パス成功率が5割を切ってしまったが、この3試合は再び調子を上げ、レーティングはそれぞれ95.7、135.6、158.3 と絶好調。いったんは2勝4敗に追い込まれたクレイモアズも、そこからの3連勝で再び優勝争いに加わっている。
そもそも、ノールの所属チームがクレイモアズになったことも、パッカーズ側が希望してのこと(一部の選手に限ってこういうことが可能らしい)。クレイモアズはウェストコーストオフェンスを採用しているからだ。ノールがここで期待通りの成長を見せれば、グリーンベイに戻ってから、2番手QB争いを優位に進めることができる。
NFLヨーロッパのシーズンは、残すところあと1試合。上位2チームが6月14日のワールド・ボウルで優勝を争うことになっている。
ドラフト指名選手の先陣を切って、5巡指名のDTジェームズ・リーがパッカーズと契約を結んだ。詳細は明らかになっていないが、契約ボーナス$100,000から$200,000を含む3年契約と見られている。(通常、1巡指名選手は5年以上、2巡指名選手は4年、3巡以下は3年契約というのが一般的)
ベンガルズを解雇された、'99年のドラフト1巡3位指名、QBアキリ・スミス。パッカーズは、彼に興味を示している数チームのうちの一つのようだ。アキリの側も、パッカーズを候補の一つと考えている。パッカーズ側の条件はもちろん、最低額に近いサラリーを受け入れること。「彼の意図がどこにあるか、調べているところだ。彼を呼んでトライアウトをするかどうか」 と語るのは、プロ人事部長のレジー・マッケンジー。
アキリの代理人ケナード・マグワイアは、そのマッケンジー部長とテネシー大のチームメイトだった。すでに予備的な話し合いは済んで、球団側の反応を待っている状態らしい。「いますぐにプレーさせてもらおうとは、それほど強く望んでいるわけじゃない。望んでいるのは、適切な指導を受けることだ」と代理人。金銭面についても、「今は、あまり重要な問題ではない」と明言している。つまり、QBとして成長するために、良いコーチ、良い環境でやり直させたい、というのが代理人の考えのようだ。
パッカーズにキャップ上の余裕が少ないのは周知の事実だが、控えQB陣がまだ固まっていないこと、そしてQBファーヴの後継者を探していることが、アキリの側にとっては大きな魅力だ。「それが、パッカーズにアプローチした理由だ。我々は、目先の利益を考えているのではない。長期的なことを考えているのだ」
つい先日、14歳の息子を失ったばかりのレイ・シャーマンWRコーチ。ミニキャンプの初日、いつもどおりにフィールドに立ち、笑顔を見せた。「レイには『来月のトレーニングキャンプからでいい』 と言ったのだが、彼自身が仕事に復帰すること、前に進むことを望んだのだ。どんなにか困難なことだろうと思う」 とマイク・シャーマンHC。
「今回のことについては、まだ何も話したくない」との本人の希望で、地元の記者たちさえも、遠巻きに彼の様子を眺めることしか今はできない。その代わりに、多くの選手やコーチたちが、亡き息子レイJr. への弔意と、仕事に戻ったレイ・シャーマンへのいたわりの気持ちを表している。5月23日の葬儀にはフットボール関係者も多く集まり、ミネソタで4年間一緒に過ごした元WRクリス・カーターも感動的なスピーチを行ったという。
先週からの噂どおり、元ドルフィンズのOTマーカス・スプリッグスと契約。スプリッグスは昨年、左タックルとして4試合に先発。パッカーズ戦でDEバジャ=ビアミラに3サックを許したように、素晴らしい活躍とは言い難いプレーぶりだった。しかし、LTクリフトンが順調に復帰できる保証がないチーム状況では、「保険」としてちょうどよい控え選手かもしれない。
OTスプリッグスは現在29歳。QBファーヴと同じミシシッピ州ハティスバーグの出身。さらに、昨日契約したRBラマー・スミスと同じヒューストン大出身。1997年のドラフト6巡でビルズに入り、4年間で13試合に先発。ドルフィンズに移った2001年の開幕戦で左ヒザの前十字靭帯を断裂し、残りのシーズンを棒に振ってしまった。復帰した昨年は、負傷したOTディクソンに代わって4試合に先発している。
マリファナ所持で逮捕されたDEジョー・ジョンソンが、事件以来初めて報道陣の前に現れた。彼の主張によると、逮捕されたのは彼ではない、とのこと。ジョンソンは、その車は自分の物だが、乗っていたのは別の人物で、自分はそのとき慈善団体の人々と一緒にいた、と説明している。なお、公判は6月20日から。チーム側は、仮に有罪となったとしても、NFLからの処分は罰金どまりだろうと見ている。
パッカーズは元パンサーズのRBラマー・スミスと契約した。スミスは通算4792ydsの実績のある、32歳のパワー・ランナー。彼は先日グリーンベイを訪れてワークアウトを行った、数人のベテランFA選手のひとりだった。パッカーズが契約したということは、おそらくベテラン最低額に近い金額と思われる。下記のWR/KRチャットマンとともに、ミニキャンプ初日からチームに加わる。
ラマー・スミスは、ヒューストン大から、1994年のドラフト3巡でシーホークス入り。シーホークスで4年、セインツで2年プレーするが、最も活躍したのはドルフィンズ。2000年シーズンのプレーオフのコルツ戦では、40回209ydsの大活躍で勝利の原動力になった。マイアミでの2年間で、合計2107yds。昨年はR・ウィリアムズに押し出される形でパンサーズに移り、11試合に先発。しかし11月末に肩を痛め、そのままシーズンを終えている。今年に入り、S・デイヴィスを獲得したパンサーズから、3月はじめに解雇されている。
パッカーズは、元アリーナ・リーグのWR/KRアントニオ・チャットマンと契約したことも発表した。チャットマンはシンシナティ大出身の24歳。身長175cmの小兵。アリーナ・リーグのシカゴ・ラッシュでは、WRとして123回1608yds、29TD。キックオフリターン84回で2062yds、7TD。オール・パーパス・ヤードで3678ydsのアリーナ・リーグ記録を作ったばかり。
フロリダ州ノース・マイアミ出身。カーソン?ニューマン大というのは、テネシー州ジェファーソンにあるディビジョンIIの大学。昨年は12勝1敗の素晴らしい成績で、ディビジョンIIのプレーオフに進んでいる。ジョシューは48タックル、7サックの活躍。ディビジョンIIのオールスターゲーム、Cactus Bowl では、ディフェンスのMVPを受賞している。
40yds走4.5秒を切る、LBとしては素晴らしいスピード。ボールへの嗅覚も良く、サイドラインからサイドラインまでカバーする。一歩目の速さを活かし、パスラッシャーとして使われることも多かった。
いろいろな面で未熟。手の使い方が下手で、ブロッカーをかわすことができない。ミスタックルが多い。
故郷に近い、マイアミ大のPro Dayに参加して、そこでスカウトの目に留まったらしい。情報があまりにも少ない。
控えウィークサイドLBの座を争うが、1年目はプラクティス・スクワッド行きとなる可能性が高そう。ロースターに残るにはスペシャルチームでの活躍が不可欠。
ミシガン州モンロー出身。高校時代は陸上やバスケもプレー。トレド大では1年目から6試合に先発し、3年目から完全にスターターに定着した。3年生で46回646yds、4年生になって79回1062yds、9TDと急成長した。キックオフ・リターンでも通算24回455ydsを記録している。
40yds走4.43秒と、十分なスピードがある。ランアフターキャッチに優れるビッグプレー・メーカー。スリムで、入団時のWRドナルド・ドライバー(彼も7巡指名だった)を思い出させるタイプ。パスキャッチもスムーズ。
まだあまりにも細く、パワーが足りない。相手CBのジャムにルートを乱されやすい。プロでやっていくためには、かなりの筋肉をつける必要がある。時間がかかりそう。
同じ7巡指名のルービンがリターンスペシャリスト的だったのと比べると、純粋なWRに近い。キックオフリターンの経験はあるが、パントリターンの経験はほとんどないようだ。とはいえ、ロースターに残るには、スペシャルチームでの貢献が欠かせない。それがだめなら、1年目はプラクティス・スクワッド行きとなる可能性も高い。
フロリダ州セントピータースバーグ出身。QBブラックウェル(ドラフト外でNYJへ)とは高校・大学でチームメイト。4年時には、大学記録となる29回432yds(平均14.9yds)のパントリターンを記録。キックオフリターンでも、15回平均26.8yds、1TD。WRとしては4年間で13試合に先発し、91回1306yds、14TD。
WRというよりも、リターンスペシャリスト。大学1年目からパントリターンとキックオフリターンの両方で大きな実績を残してきた。40yds走は4.42秒と十分。クイックネスと鋭い加速があり、フィールド・ビジョンが良く、最初の一人をかわす能力がある。
WRとしてはサイズも強さも物足りない。パスキャッチが不安定。相手CBのジャムに弱い。ややケガが多く、足首の重い捻挫で何度か欠場したことがある。今は問題ないとのこと。
自分勝手なタイプで、"work ethic"に問題がある、という指摘が一部にある。関係ないが、彼は生まれて11ヶ月で父親を亡くし、その父がくれたテディベアを試合の時には必ずロッカーに飾る。
リターンスペシャリストをドラフト指名するのは2000年の5巡でジョーイ・ジェイミソンを指名して以来。その時は大ハズレで、トレーニングキャンプの2週目に解雇されている。
昨年から続く、リターナー探しの一環としての指名。リターナーとして認められるためには、キャッチミスをしないこと、そしてボールをしっかり守れることが条件だ、とボナメイゴSTコーチ。シャーマンHCの希望は、リターナー専門でなく、WRとしても5番手か6番手に入ること。
パッカーズのリターナー争いは本命不在だが人数は多い。内部の人材でダメなら、ファルコンズに移籍したアレン・ロッサムをトレードで取り戻すことも、首脳陣は考えているようだ。
テキサス州ロングビュー出身。すでに高校時代には100mを10秒4で走ったという。ジュニアカレッジでの2年間を経てルイヴィル大に編入。3年生シーズンの終わりごろからスターターを争うようになる。4年生シーズンの前半はハムストリングのケガで苦しんだが、治ってからはスターターに定着したようだ。(昨季のスタッツは不明)
とにかく速い。40yds走を4.21秒(本人の主張では4.18秒)というのは、今年のドラフトで最速らしい。柔軟性もある。サイズもまずまず。リターナーの経験もある。問題はフィールド上でのスピードだが、最初のミニキャンプでは、WRウォーカーなどスピードのあるレシーバー相手に1on1でぴったりカバーして見せ、「意外と早く戦力になるかも」と期待が高まっている。7巡指名の4人の中で最も注目を集めている選手。
ジュニアカレッジ出身ということもあり、経験不足は否めない。技術的には非常に未熟。2年間でインターセプトが1つしかない(ジュニアカレッジでの2年間では7つ)。
来年のドラフト6巡指名権(WRグレンをトレードに出したため、6巡が2つある)をトレードに出して、この指名権を手に入れた。パッカーズのコーチがルイヴィル大を訪れて彼をテストした時、レイダーズの代表も次に控えていた。シャーマンHCはドラフトでレイダーズに先を越されることを恐れ、わざわざトレードアップしたらしい。「典型的な"アル・デイヴィス指名"じゃないかと思ってね」
パッカーズにとって ルイヴィル大の採用していた"read-and-react"スキームには合っておらず、本来はバンプ&ランや、WRと密着して走る方がずっと得意だろう、とルイヴィル大のコーチも認めている。つまりパッカーズの方が向いている、ということらしい。本人も、「常にスクリメージから数ヤード離れてセットするスキームだったため、得意なプレスカバレッジの能力を示す機会がなかった」と語っている。
さしあたっては、CBとして鍛えつつ、スペシャルチームでの活躍を期待することになりそう。特に、パントカバーの際の"Gunner"役にはうってつけかも。