≪ 前へ 1 2 3 4 5 次へ ≫

NPBのランボーフィールド巡礼記 4

■ 11月 10日 (日) Packers 40 - 14 Lions

全員で"This is our house !!!"と大合唱し、興奮が高まってくる。そう、俺たちはお客さんじゃない。ここは俺たちの家だ。矢でも鉄砲でも持って来い。この高揚感がたまらない。ライオンズ側から選手入場が始まった。WRシュレーダーには特別大きなブーイングをお見舞いする。そしてパッカーズの選手たち。ババ・フランクスにテリー・グレン、アーマン・グリーン。そしてブレット・ファーヴが、少し背中を屈めて走ってくる。ああ、本物のブレット・ファーヴだ。体中が痺れたようになり、逆に声が出なくなってしまった。アメリカ国歌は、5人のグループによるアカペラ。終わるところで4機編隊によるFly Overがカッコよく決まった。

クリックすると拡大します

DETのキックオフで試合開始。パッカーズは何度も3rdダウンロングをクリアしたが、結局FGどまり。7分以上使ったし、まあいいか。と思ったら、DETの最初のプレーでWRハキームへのTDパスを決められてしまい、スタンドの雰囲気が変わった。あそこはCBマッケンジーの持ち場ではないか。何故あんな超ワイドオープンになっているのだ。それにしても、わずか数秒で逆転されるとは。NFLではいつ番狂わせがあってもおかしくないが、まさか今日がその日では・・・。不吉な想像をしてしまい、一同ちょっと血の気が引く。

第1Qの終わり際からオフェンスが調子を取り戻した。長めのパスが決まり始め、敵陣14に迫ったところで第1Qが終了。ああ、せっかくこっち(北側)に進んできたのに、逆サイドに行ってしまう。第2Qに入ったところで、締めくくりのTDパスキャッチはやはりTEフランクス。ファーヴが左にポンプフェイクし、右に動いて時間を稼ぎ、真ん中にズバリだ。エンドゾーンで左手でボールを叩きつけるので、すぐにフランクスとわかった。よしこれで10-7だ。もう大丈夫。そう思いたい。

クリックすると拡大しますDETのパスがまるで通らなくなった。QBのコントロールもイマイチだし、ちょっとヒットされるとレシーバーが確保できない。逆にこちらは3rdダウンで長いパスが通り、その度にスタンドが総立ちになる。ドライバーへの38ydsパスが通り、FGで3点追加。次のDETのドライブは自陣35なのにギャンブルして失敗。メジャーリングを見守っていたディフェンス陣が躍り上がって喜ぶので、審判のコールを聞くまでもない。そのチャンスに、WRファーガソンへのTDパスが決まったかに見えたが、先にサイドラインに出てから戻ったらしい。結局また3点。16-7。

前半も2ミニッツを切り、マーチングバンドがDETサイドライン後方でスタンバっている。しかしここからが長かった。DBの誰かがショートパスをインターセプトして、そのままエンドゾーンへダイブ! シャーパーか? いやアンダーソンらしい。なんと勝負強い、頼りになるルーキーだ。一瞬にして9点差が16点差になり、場内はお祭り騒ぎだ。WRシュレーダーの捕り損なったボールをかっさらったらしい。なおさら気分がいい。相手オフェンスの出来からして、もう負ける気がしない。しかし、このところRBグリーンの姿を見えないので、それだけが心配だ。たぶんどこか痛めたのだろう。

まだ前半に見せ場が残っていた。DETがほとんど時間を使わずにパントになったため、まだ1分20秒もある。こんなときにINTだけは喰らうなよファーヴ。そう思っていたら、DET陣47で、WRテリー・グレンへ長めのパスが通った! WRドライバーのブロックを巧みに使いながら、ひときわ小柄なグレンが、素晴らしいスピードで斜めに駆け上がっていく。そのまま左隅に飛び込んだか?どうだ!審判の両手が上がった! ファーヴが物凄い勢いで駆けつけるのが見えた。祝福の輪から解放されたグレンは軽々とランボーリープ。しかしPATを蹴る前に物言いが付き、「先にヒジが付いた」 という判定で1ヤード地点に戻される。ブーー。しかしRBダヴェンポートがあっさりTDラン。こんなことなら最初からグレンの手柄にしてやればいいのに、気の利かぬ審判だ。

30-7と大量リードして、雨も上がり、最高の気分でハーフタイム。トイレはやはり大変な混雑だが、他の人を見習って出口から入ったら、比較的早く済んだ。でも時計を見ると、もう10分経った。これから行列して食い物を買っている暇はない。席に戻ると、地元高校生のマーチングバンドのドリルは終わってしまっていた。ハーフタイム前に席を立った、目の前の席のおじさん2人は、結局このまま帰ってこなかった。試合前からかなり出来上がっているようだったが、吸っていたのはタバコでなくマリファナではないかと、ジャスティンさんは言う。先週のマイアミ戦では大量の逮捕者が出たそうだし、警戒を強めたお巡りさんに引っかかってしまったのだろうか。

前半で試合が決まってしまい、後半の内容はあまり印象に残ってない。第3Qの途中には雲間から陽が差してきて眩しかったが、すぐに陽がかげって目が楽になった。もう雨の心配はなさそうなので、ポンチョを脱いでクッション代わりにした。心配されたアーマン・グリーンも、第3Q途中でサイドラインに戻って来て拍手を浴びているのが見えた。まだパッドを付けているし、大量リードがあるので大事を取っているだけなのだろう。ルーキーRBダヴェンポートがガンガン走ってくれて頼もしい。相変わらずハリントンのパスが3rdダウンで通らず、パントばかり蹴っている。FGで3点追加した次のドライブで、またグレンへ長いパスが通った。最後はがら空きのFBヘンダーソンにTDパスが通って、40-7。

クリックすると拡大しますもうスタンドはリラックスムードで、他球場の途中経過に一喜一憂する余裕が出来ている。第3Qが終わるとパッカーズはQBファーヴを下げてしまい、完全な楽勝モード。サイドラインのファーヴに「MVP!MVP!」の大合唱が起こる。これまでも、ウェーブを起こそうと何度もトライしているグループがあったが、なかなか横に伝わらなかった。しかしここにきてついにウェーブ始動に成功。気がつくと2つのウェーブが同時にグルグルと回っている。こんな嬉しいことなら何回でもやってやる。タイムアウトが明けてDETのオフェンスが始まって、しばらくたってからようやくウェーブが収まるほど、よく回るウェーブだった。(右はウェーブが来た瞬間の写真)

第4Qの始めにブリッツに入ったLBウェインがパスをはたき、またインターセプト。 次のドライブで、ゴール前でギャンブルを敢行したDETがようやく久々のタッチダウンを決めた。少しだれた雰囲気になってきたところで、おなじみの"YMCA"がかかり、スタンドに活気が戻ってきた。二十数年ぶりにYMCAを踊る。もう何もかもが嬉しい。DETが2回ほどGB陣深くに攻め込むが、どちらも4thダウンギャンブル失敗に。周囲に軽く挨拶して、早めに帰っていく人も出てきた。残り数秒になってもプレーを続けるライオンズに軽いブーイングを浴びせたところで、試合終了。 (スタッツはこちら

クリックすると拡大します クリックすると拡大します クリックすると拡大します

酔ったような、陶然とした気分で、人波についてふわふわとゲートまで歩く。どこをどう歩いたのか、よく覚えていない。「あっ、こっちです」などと促されながら、ぼんやりと皆について車まで歩き、ぼんやりと車に乗り込んだ。途中の道はさすがに混んでいて、信号を何回も待たなければならない交差点もあった。


快い疲れ、とはこのことだろう。ホテルに戻ると、テレビでNE@CHIの試合を途中から観戦。QBチャンドラーはすでに負傷退場したらしい。他の試合の結果や途中経過が刻々と入ってくる。STLはSDに逆転勝ち。PHIはINDに完敗してしまった。NOがCARに競り勝ち。ATLがPITに追いついて、なんと珍しい引き分け。もうこちらは勝ってしまったのだから、気楽なものだ。「こっちは勝って良かったよねえ」というセリフが、お互いに何度も口をついて出る。

ベアーズに21点差を付けられたペイトリオッツがじわじわと追い上げを始めた。4人でワーワーと声を挙げながら見る。やはりテレビ観戦も皆で集まって騒ぎながら見るのが楽しい。微妙な判定にも助けられたQBブレイディが、ついに逆転のTDパスを決めてしまった。今年のシカゴはいったいどうしてしまったのだろう。

クリックすると拡大しますちょうど良い時間になったので、晩メシを食べに"Brett Favre Steakhouse"へ向かう。試合のある週末は予約ができないとのことで、待たされるのは覚悟の上だ。場所はランボーフィールドのすぐ近く、Packers Hall of Fameや室内練習場の裏だ。スタジアムを眺めると、まだ照明灯がついている。店の中に入ると、思ったよりかなり広い。ファミレスの3倍ほどはあるだろうか。TVモニターがある一角もあって、MIA@NYJのサンデーナイトゲームをやっている。案の定、しばらく待たされることになったので、併設のショップを覗いたりして時間をつぶす。球団直営のプロショップとは違うオリジナルのロゴのグッズを売っていた。

20分ほど待った後、呼ばれてテーブルへ。私は14オンスのステーキ。言葉がわからないので、付け合せを選ぶのに立ち往生したが、まあ当てずっぽうでいいや。量が多いので、肉はなんとか食べたけれど、ポテトは食べきれなかった。今日の試合を振り返ったり、ホルムグレンの行く末を心配したり、フットボール談議に花が咲く。きっとどのテーブルでもそうに違いない。大きなメニューの裏には、ファーヴの雄姿を描いた水彩画が印刷されていて(右上写真)、皆がそれを土産に持って帰るようになっている。もちろん我々全員もこれを抱えて帰った。

クリックすると拡大します24時間営業の大型スーパー、Kmart に買出しに行くと、グリーンベイならではの面白い自販機があった(右写真は、思わずファーヴにスナップしたけんちゃん)。ホテルへ戻り、MIA@NYJの後半を見る。他の試合の結果も挿入してくれるのだが、DET@GBは順当な楽勝だったためか、あまり取り上げてもらえない。今週もMIAはオフェンスがスランプだな、と思っているうちに疲れでウトウトしてしまい、試合の最後は見逃してしまった。仕事のため、明朝6時台の飛行機でサンフランシスコに帰ってしまうkobyさんがこちらの部屋にやってきて、今夜のうちに別れの挨拶。

≪ 前へ 1 2 3 4 5 次へ ≫

updated : 2002/12/20