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NPBのランボーフィールド巡礼記 3

■ 11月 10日 (日) 試合開始まで

7時前に目を覚まし、窓の外を見ると、やはり道路が濡れている。歩いている人が傘をさしていないので、降ったり止んだりなのだろう。天気予報チャンネルをつけたが、昨夜時点の予報とは変わっていないようだ。すでに気温は10℃を超えているから、これなら寒さは大丈夫。1階ロビーで簡単な朝食。私の好きなドラマ「The Practice」をやっていたが、字幕がないのでさっぱりわからない。部屋に戻り、カイロなどで厳重な寒さ対策をしたあと、10時過ぎに出発。

Fox Riverの河口近くに開けたグリーンベイ市のダウンタウンから、何キロか離れたところにランボーフィールドは位置している。スタジアム周辺は基本的に住宅街だ。中流というよりも少し小さめの家が多いように感じる。どこも並木がゆったりと枝を茂らせていて、絵のように美しい。並木が立派な分、落ち葉の量もかなりのものだ。歩道のところどころに巨大な落ち葉の山を作ってある。

スタジアムに近づくと、自宅の前庭を一時的に駐車場として貸す地元の人が、値段を書いたボードを掲げている。10ドルからはじまって5ドル刻みに、10ドル、15ドルと、スタジアムに近づくほど上がっていく。(新しい名古屋ドームは知らないが)旧ナゴヤ球場の周辺の相場と似たようなものか。最高値は25ドルだったが、そこまで近いと逆に帰りが面倒になるとのことで、結局Ridge Road 沿いの15ドルの家を選んだ。この家の女性に導かれて進むと、前庭ではなく裏庭へ回って、物干し場のようなところに車をとめた。

落ち葉を踏みしめてスタジアムまで歩く。あちこちでテールゲート・パーティが始まっているが、今日はさすがにテントの下に集まっている人たちが多い。貸した駐車スペースでそのままテールゲートをやらせている家もあるようだ。ワイワイガヤガヤと賑やかなファンたちの熱気の上に、時おり大粒の雨が落ちてくるので、まるで点心のセイロのフタを開けたような雰囲気だ。パッカーズ関係のアパレルを着ていない人が本当に少ない。もうじき憧れのランボーフィールドに入るのだということが、次第に実感されてきた。スタジアムの照明灯にはもう灯がともっている。


試合開始の正午まであと1時間半ほどあるので、入場ゲートはまだガラガラだ。この天気だし、早めに入ってしまおうということになった。制服を着たセキュリティ・チェックの係員がいて、その向こうに入場ゲートがある。しかし、けんちゃんの持っていた8ミリビデオがセキュリティーチェックで拒否され、仕方なく車まで置きに行くことになってしまった。kobyさんと私だけが先に入場してしまっていたので、2人で先に席まで行くことにした。大きな渦巻状のスロープを登りながら下を見ると、テールゲートパーティで賑やかな駐車場が手前に、道路の向こうにキャンプで使うClark Hinkle Field、その向こうに室内練習場のDon Hutson Centerが見える(写真下左)。SF在住のkobyさんは、夏にグリーンベイまでキャンプを見に来たのだそうだ。羨ましい話だ。

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上部コンコースを通って、我々の席へ。すぐに見つかった。セクション111は、北側エンドゾーンのほぼ延長線上の東サイド。60列目だったが、フィールドがとても近く感じられ、見下ろす角度もちょうどいい(写真右上)。ランボーフィールドは2階席がなく、緩やかなボウル状のスタンドになっていて、角度はきつすぎず緩すぎず。サイドラインの両軍のスペースが狭いこともあって、小さなフィールドを皆で取り囲んでいるような、とても親密な感じがある。

クリックすると拡大しますそのうちにジャスティンさんとけんちゃんもやってきたが、2人ともイスのようなものを手に持っている。ランボーフィールドは旧式のベンチシートなので、そこにはめる方式の背もたれつきクッションと言ったらいいのだろうか(写真右)、これをゲート付近で大量に貸し出しているのだ。我々も慌てて借りに行ったが、kobyさんが借りたところで売り切れになってしまい、私の分は手に入らず。まあよい。我々の席はブロックの最後列で、すぐ後ろにコンクリート壁があるので、それにもたれればいい。

トイレに行ったり、ホットドッグを買ったりしているうちに、キッカーたちが出てきて、練習が始まった。ライオンズのKジェイソン・ハンソンが、両手を前に出す独特なフォームで蹴っている。フィールドの南東角にあるゲートから、選手たちがバラバラと入ってくる。歓声の大きさで、どの程度の選手が入ってきたのかが分かる。WRドライバーとWRグレンが仲良く肩を並べてジョギングで入ってくると、やはり歓声が大きい。やがてRBグリーンに続いて、親分のQBファーヴが出てくると、ひときわ大きな歓声が沸き上がった。ファーヴは(元パッカーズのQBコーチだった)モーニンウェグHCたちと、フィールド中央でずいぶん長いこと話し込んでいた。

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パス練習が始まった。幸い、我々のいる北側半分を使ってパッカーズが練習してくれている。フィールド中央からファーヴとピダーソンが投げ、エンドゾーン側からはルーキーのノールが投げている。レシーバーたちは両方のパスを受けながらグルグル回る仕組み。思わず最前列まで出ていって見入ってしまった。初めて見る憧れの選手たちが、軽やかなハーフスピードで目の前を走り抜けていく。簡単なパスを取り損なったWRファーガソンに汚いヤジが飛び、シングルハンドキャッチを見せたRBグリーンに拍手。非常にイージーなパスを捕った選手には「お前はラッキーだった!」と意地悪なヤジを飛ばす奴がいて、笑ってしまった。

時間が経つのが早い。いつの間にかスタンドも大部分が埋まっている。我々4人全員がポンチョを着込んだ。時おり大粒の雨が落ちてくるので、そのたびにフードを上げたり下げたりする。寒さは全く感じないが、クッションのない私はケツだけが冷たいので、その部分のポンチョの裏側に予備のカイロを貼って、これでOK。いつの間にか選手たちが全員引っ込んで、あとはセレモニーを待つばかりだ。

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updated : 2002/12/20