グリーンベイ・パッカーズ ニュース
2010年7月15日
労使交渉がらみでこれまでになく大きな注目を集めるなか、グリーンベイ・パッカーズの昨会計年度(3月末まで)の収支報告が発表された。パッカーズは昨年に続いてなんとか黒字を確保したものの、経常利益の大幅ダウンや選手コストの増加、ローカル・レベニューの伸び悩みが目立っている。全体としては、労使交渉におけるオーナー側の主張を裏付ける内容といえそうだ。(昨年や一昨年の記事も参照)
- 総収入は過去最高の$258ミリオンを記録。前年は$248ミリオンだった。
- 純利益は前年の$4ミリオンからわずかに増えて$5.2ミリオン。ただし、投資収益や納税引当金を含まない経常利益は前年の$20.1ミリオンから$9.8ミリオンへと大幅にダウンしている(前年は投資での損失が$11.2ミリオンもあった)。
- 経常経費は前年の$228ミリオンから$248ミリオンに増加。選手コストが前年の$139ミリオンから$161ミリオンへと上昇したのが響いている。「選手コスト」とは、サラリーや契約ボーナスやインセンティブに加え、医療や年金のコストも含まれる。
- マーク・マーフィ社長。「選手コストの伸び率は収入の伸び率の2倍だ。(2006年春に結んだ)労使協定から早期離脱した我々リーグ側の判断が正しかったことを示している」
- 球団首脳が最も大きな懸念を示したのはローカル・レベニューの伸び悩み。昨年パッカーズはプレーオフに進出したにもかかわらず、ローカル・レベニューは前年の$100.8ミリオンから$100.4ミリオンへの微減となってしまった。
- 「ローカル・レベニュー」とはレベニュー・シェアリングの対象とならない各球団個別の収入のこと。ボックス席、公式プロショップ、ラジオ契約、各種マーケティング収入などが含まれる。各球団の地力といっていい。
- ローカル・レベニューのうち、アトリウム(レストランやパブ、スタジアム・ツアーなど、ほぼ年中無休。パーティや結婚式や会議にも利用できる)やパッカーズ・ホール・オブ・フェイムの売り上げを含むセールス&マーケティング収入は前年の$43.7ミリオンから$43ミリオンへと微減。
- マーフィ社長。「経済の影響は非常に大きかった。たとえばプロショップの収入だ。不況の影響を最も大きく感じるのがローカル・レベニューだ。もし(2003年に)スタジアムの大改築を行っていなかったら、と考えるだけでも恐ろしい。ローカル・レベニューの増加を図らなければならないが、シーズンチケット・ホルダーに負担をかける方法はとりたくない。我々は(数年かけて買い集めてきた)ランボーフィールド西側の土地を活用したプロジェクトや、(現在は馬蹄形に開いている)スタジアム南側部分のスタンド増席など、考えうるプランを検討しているところだ」
- ナショナル・レベニューの総額は前年の$147ミリオンから$157ミリオンにアップ。そのうち、テレビ収入は前年の$94.5ミリオンから$95.7ミリオンへと微増。
- 同じくナショナル・レベニューのうち、ロード・ゲーム収入(一般席売り上げの40%はアウェー球団が受け取る)は前年の$16ミリオンから$16.1ミリオンに微増。
- 大富豪オーナーを持たないパッカーズは、いざというときにも球団が存続して競争力を保てるよう "Packers Franchise Preservation Fund" という基金を設け、将来の危機に備えている。つまりパッカーズの貯金箱だ。この基金は前年に続いて積み増しゼロで、$127.5ミリオンのまま据え置きとなっている。