グリーンベイ・パッカーズ ニュース
2009年6月22日
7月の定例株主総会を前に、マーク・マーフィ社長とラリー・ウェイアーズ会計担当が、グリーンベイ・パッカーズの昨会計年度(3月まで)の収支報告を明らかにした。それによると、利益幅は前年の約$23ミリオンからわずか$4ミリオンへと大幅にダウン。しかし世界中で景気が悪化し、NFLでも職員を大量解雇する球団が多いことを考えると、レイオフなしで黒字を出せただけでも上出来と言えるかもしれない。
パッカーズの収益悪化は景気後退だけが理由ではない。全米のパッカーズ人気を支えてきたブレット・ファーヴが大騒動のうえ移籍し、さらに秋が深まるとチームの成績不振も加わった。夏のファーヴ・ショック、秋口のリーマン・ショック、そして6勝10敗ショックのトリプル・ショックにより、ファン心理が大きく冷え込んだのは否めない。
利益が$19ミリオンもダウンしたのは、ご多分に漏れず投資で$16ミリオンの損失を出したこと、プロショップの売り上げダウン、そして選手サラリーの上昇、この3つが大きな要因だとマーフィ社長は説明している。
(選手組合の要求にもかかわらず)会計内容を明らかにしているNFL球団はグリーンベイ・パッカーズだけなので、強欲オーナーたちの懐具合が実際はどうなっているのか、外部からはわかりにくい。とくに、新労使協約へ向けた交渉がこれから本格化するとあって、パッカーズが利益を減らしながらも黒字を確保したことは、選手組合側にとって心強い材料なのではないか、という見る向きもある。
- 総収入は$6.9ミリオン増えて過去最高の$247.9ミリオンを記録。
- 各球団に配分されるナショナル・レベニュー($147.1ミリオン、そのうちTV収入は$94.5ミリオン)のアップが収入増の理由で、ローカル・レベニューのダウンを補う形となった。前年のナショナル・レベニューは$135ミリオン、うちTV収入が$87ミリオンだった。
- 各球団独自の収入であるローカル・レベニューは約$5ミリオンのダウン。チーム成績の躍進もあって一昨年の$93ミリオンから昨年は$105ミリオンへと上昇していたが、今回は$100.8ミリオン。
- 選手サラリーが$14ミリオンもアップ。それ以外の経費を$6.1ミリオン切り詰めたものの、経常経費は$7.9ミリオン上昇してしまった。
- 公式プロショップを含むセールス&マーケティング収入は、前年の$50.2ミリオンから$43.7ミリオンへとダウン。NFC決勝に出場した前年が記録的な売り上げだったため、なおさらダウン幅が大きくなった。ショップを訪れるファンの数はさほど減っていないので、客単価が大きく下がったことになる。
- 前述のように、投資で$16ミリオンもの損失。前年は$8ミリオンの利益だった。
- 大富豪オーナーを持たないパッカーズは、いざというとき(サラリーキャップなしの完全自由競争になるなど)にも球団が存続して競争力を保てるよう "Packers Franchise Preservation Fund" という基金を設け、将来の危機に備えている。2005年に$97.7ミリオンで始まったこの基金は、以後$17.8ミリオン、$10ミリオン、$2ミリオンと積み増してきたが今年の積み増しはゼロで、総額$127.5ミリオンのまま。貯金に手を付けずに済んだだけマシというところか。