マイク・マッカーシーHCは以下のとおりアシスタントコーチ陣を組み替えることを発表した。エドガー・ベネットWRコーチをオフェンシブ・コーディネーターとし、トム・クレメンツOCをオフェンス担当のアソシエイト・ヘッドコーチに。WRコーチはアレックス・ヴァンペルトQBコーチが兼ねる。スペシャルチームコーディネーターには予想どおりロン・ズックがアシスタントから昇格。そのほか、2人の新入団コーチも発表された。
こうした肩書きよりも重要なのがオフェンスのプレーコーラー。マッカーシーHCが初めてプレーコールの権限を手放し、トム・クレメンツ・アソシエイトHCに任せることが発表された。得点NFL1位を達成したオフェンスにこうした変革が必要なのかわからないが、マッカーシーHCは、これまでのようなオフェンス一辺倒でなく、ディフェンスやスペシャルチームの采配にも自分が大きく関わっていくための権限移譲であることをあきらかにしている。昨年バイウィークに彼がディフェンス変革の音頭をとって成功を収めたこともきっかけになったかもしれない。
こちらのESPN記事によれば、ヘッドコーチがプレーコーラーを兼ねているのは現在10球団。(オフェンス8、ディフェンス2)
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トム・クレメンツはこれまでプレーコールをしないOCだったが、今年からはアソシエイト・ヘッドコーチの肩書でプレーコールを担当することに。「プレーコーラーとアーロン・ロジャースの関係はきわめて重要であり、それが今回の決断の大きな要素となった」とマッカーシーHCは語っている。実質共同OCのようなQBロジャースはマッカーシーHCとの議論がヒートアップしてしまうことも時々あるので、そうした状況を避けて一歩下がったところで全体像を見たい、というマッカーシーHCの考えが今回の権限移譲にはあったかもしれない。
トム・クレメンツ Tom Clementsはペンシルヴェニア州ピッツバーグ出身の61歳。名門ノートルダム大でQBとして活躍し、1973年には無敗の全米王座にも貢献。ハイズマン賞投票でも4位に入った。卒業後はCFL4球団で活躍をつづけ、新人王、MVP、グレーカップ優勝2回、オールスター選出7回。CFLの殿堂入りも果たしている。そのかたわらロースクールも卒業し、引退後は4年間弁護士として働いた。1992年に母校ノートルダム大のQBコーチとなり、その後セインツ(1997-99)、チーフス(2000)、スティーラーズ(2001-03)でもQBコーチを務めた。2004年からビルズでOCを務めたものの、マイク・ムラーキーHCとともに2年で解任。マッカーシーHC初年度からパッカーズのQBコーチとなった。
つねに冷静で、細部まで妥協を許さぬ指導はQBロジャース育成に大きく貢献し、マッカーシーHCとともにロジャース育成の立役者とみなされている。2012年にジョー・フィルビンが退団すると後任OCとなり、マッカーシーHC中心のオフェンス指導を助けてきた。
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エドガー・ベネットはRBコーチとWRコーチを経て、ついにオフェンシブ・コーディネーターへの昇格を果たした。前述のとおりゲームデイのプレイコールはトム・クレメンツ・アソシエイトHCが担当し、ベネットはこれまでのクレメンツと同じアドバイザー的な役回りとなる。実質OCでないとはいえ、元RBがオフェンシブ・コーディネーターまで出世するのは珍しいことではないか。
エドガー・ベネット Edgar Bennett はフロリダ州ジャクソンヴィル出身の45歳。フロリダ州立大から1992年4巡指名でパッカーズに入団し、1995年にはエースRBとして1000ydsラッシングも記録。レシービングも上手いウェストコーストオフェンス向きのRBだった。1996年のスーパーボウル制覇にも貢献したが、1997年プレシーズンにアキレス腱を断裂。2年間ベアーズでプレーしたあと引退となった。裏方として選手たちのアドバイザー役(2002年記事へ)を4年間務めたあと、2005年からRBコーチに。徹底したボールセキュリティ指導は評価が高かった。2011年にはWRコーチへ。スタッツ的に優秀なだけでなく、ボールセキュリティ強化、献身的なランブロッキングでも大きな成果を上げている。
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スペシャルチームコーディネーター(当サイトでは省略してSTコーチにしてしまっているが)にはロン・ズックが昇格。先日解任されたショーン・スローカムの後任となった。快活でエネルギッシュで誰からも好かれるモティベーターのタイプ。いっぽう戦術面の実績はあまり評価が高くない。アシスタントだったズックにも不振の責任があるのに昇格させるのは筋が通らない、という声があるのもたしか。
ロン・ズック Ron Zook はオハイオ州アシュランド出身の60歳。マイアミ大(オハイオ)でDBとして活躍し、卒業後は高校のアシスタントしてコーチ修業をスタート。1978年のマレー州立大を皮切りに、ディフェンスまたはスペシャルチームのコーチとしてキャリアを重ねてきた。1996年から3年間はスティーラーズのSTコーチを務め、その間のスペシャルチームランキングは23位、12位、23位だった。2000年から2年間セインツでDCを務め、そのときにマッカーシーHC(当時OC)と縁ができた。2002年から3年間フロリダ大でHCを務めたあと解任されたものの(23勝15敗)、彼のリクルートした選手たちが2006年の全米制覇を成し遂げた。イリノイ大のHCを7年間務めたが、通算57勝65敗の不振で解任されている。
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アシスタントOLコーチとしてマイク・ソラリ Mike Solari が入団。ジェッツに移ったスティーヴ・マーシャルの後任となる。ソラリはNFLで四半世紀以上の実績を持つ60歳のベテランで、過去5年は49ersで強力OL陣を指導していた。チーフスではハーマン・エドワーズHCの下で2年間OCを務めた経験もある。1997年から98年にチーフスでマッカーシーHC(当時QBコーチ)と同僚だった縁で誘われたものと見られている。実績からいってアシスタントOLコーチでは役不足の感が否めないが、本人としては浪人するよりマシといった感じか。
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"Defensive Front Assistant"としてジェリー・モンゴメリー Jerry Montgomery が加わることになった。フロント7の担当としてDLコーチとLBコーチの両方をアシストする。アイオワ大出身の35歳。大学で4年間DTをプレー(アーロン・キャンプマンのチームメイト)したあと、ドラフト外でセインツに入るがロースターに残れず、高校のアシスタントコーチを務めながらアリーナリーグでプレーした。その後本格的にコーチの道へ進み、ノーザンアイオワ、ワイオミング、オクラホマでDLコーチ。その実績が認められて共同コーディネーターへと先日昇格したばかりだった。
ウィスコンシン大のデイヴ・アランダDCも先日パッカーズと面談を行い、その結果としてモンゴメリーが選ばれたようだ。おもにドム・ケイパースDCのそばでアシストするのが役目、とマッカーシーHCは説明しているので、ポジションコーチよりも実質DC補佐の役目が大きいのかもしれない。
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ジェイソン・シモンズ Jason Simmons がアシスタントSTコーチに昇格した。アリゾナ州立大出身の38歳。1998年ドラフト5巡でスティーラーズに入団し、2002年からはテキサンズでプレー。NFL10年間のうちほとんどはスペシャルチーマーで、先発は12試合のみ。2011年にパッカーズにくわわってcoaching administrator を3年間務め、昨季はディフェンスとスペシャルチーム両方のアシスタントだった。