グリーンベイ・パッカーズ ニュース

2011年5月 4日

Packers' Draft Consequences

今年はドラフト指名選手が10人もいて人物紹介に時間がかかるので、ドラフト指名がチームに与える影響についての考察を先にまとめておく。とはいっても、パッカーズはニーズを順に埋めていくドラフトをしないので、ドラフト結果をもとに既存の選手の評価や強化の意図について深読みをしてもあまり意味がない。

■ フリーエージェント

FA予定選手は2月の記事を参照(その後SSペプラーが再契約)。ただ、新労使協定が締結しないままロックアウトだけ解除されて暫定FAルール実施となった場合、2010年の変則ルール続行となって「NFL経験が6年以上の選手しかFAになれない」可能性がある。その場合、パッカーズからFAになれるのはDEジェンキンズだけだ。とりあえずここでは、「NFL経験4年でFA」の通常ルールとしておく。

■ ホッとした選手たち

  1. アウトサイドLB陣: 最大のニーズと見られていたが、6巡でようやく2人指名。上位指名がなかったことに「ホッとする」どころか狂喜しているに違いない。これで今年も右OLB争いは低レベルの戦国時代。彼ら自身も6巡(ウォルデン)や7巡(ブラッド・ジョーンズ)やドラフト外(ゾンボ)だったのだから、6巡ルーキーが即戦力にならないと決まったわけではない。
  2. ディフェンシブライン陣: 新ライバルが7巡指名のDEローレンス・ガイだけなのは、彼らにとって嬉しいところだろう。チームとしては、2年目のマイク・ニールやC.J.ウィルソンの成長を見込んでいる。
  3. インサイドLB陣: 指名なし。6巡b指名OLB D.J.スミスは将来インサイドへ移る可能性がある。高額サラリーのニック・バーネット(またはブランドン・チラー)を放出した場合、実績ある控えは1人だけとなり、4番手ILBの席がワイドオープンに。
  4. セーフティ陣: 指名なし。先発SSをペプラーとモーガン・バーネットが争い、4番手セーフティの座はワイドオープン。
  5. インサイドOL陣: 指名は6巡OGケイレブ・シュローダロフだけで、1巡指名OTシェロッドは昨年のブラガと比べてガード向きのタイプではない。先発左ガードや控えセンター争いが激しくなったとはあまり言えないだろう。ただ、ブラガが左ガードに回ってくるなら話は別だ。
  6. QBグレアム・ハレル: QB指名がなかったことで、3番手として残れる可能性が大幅アップ。ただロックアウトのため、マッカーシーHC自慢の「クォーターバック・スクール(毎年これがQB成長のキモと言われている)」に参加することができず、2年目の成長が心配なところだ。

■ ケツに火のついた選手たち

  1. 控えタイトエンド陣: TE2人指名でえらいことに。7巡のライアン・テイラーはプラクティス・スクワッド候補としても、5巡のD.J.ウィリアムズはレシービング実績豊富で、昨年5巡のクウォレスよりも即戦力に近いかもしれない。安泰なのは先発フィンリーだけで、キャンプで頑張らなければクウォレスも開幕ロースター入りが確実ではない。クラブトリーとヘイヴナーはなおさらだ。TE4人体制をとる可能性もある。
  2. RBライアン・グラント: パワーランナーかつ万能型RBらしきアレックス・グリーンの入団で、走るしか能のない高額サラリー選手は立場が悪くなったかも。開幕前に解雇の可能性もあり、そうならなくても契約最終年なのでパッカーズ最後のシーズンになりそう。
  3. 控えCB陣: 安泰なのは3番手のサム・シールズまで。ジャレット・ブッシュ、パット・リー、ブランドン・アンダーウッドに4巡指名デヴォン・ハウスを加えた4人による4番手争いになりそうだ。ハウス指名はシールズが慢心しないよう尻を叩く効果もあるはず。
  4. LTクリフトン&RTタウシャー: 2年連続の1巡OT指名により、「クリフトン&タウシャー後」に向けた補強は完了したといえる。すでにRTタウシャーは事実上戦力外で、相当安いサラリーを受け入れない限り解雇となるのではないか。LTクリフトンはスターターの座を守っているが、衰えが始まったら今年がパッカーズ最後の年になるかも。
  5. WRドナルド・ドライバー: ランドール・コブ指名によって「ドライバー後」のWR陣の形が整いつつあるのはたしか。彼のことなので死にもの狂いでトレーニングを積み、放出されないよう頑張るだろう。

■ その他の影響

  1. リターナー: パントリターン、キックオフリターンとも新人WRランドール・コブがダントツの最有力候補に。CBアレン・ロッサム以来10年ぶりのダイナミックなリターナーになってほしいところだ。プロボウルCBに成長したトラモン・ウィリアムズをこれでパントリターナーから外すことができる。
  2. QBマット・フリン: けっこうな高値でトレード材料となるのでは、との見方も多かったが、ドラフトでQBを指名しなかったことで残留が濃厚となった。現状では3番手グレアム・ハレルとの実力差は大きく、ドラフト外でQBを獲得できない状況もある。ロジャース負傷の場合のリスクはあまりにも大きい。
  3. RTブライアン・ブラガ: 将来の先発左タックルのはずが、シェロッド入団で右タックルのままになる可能性が高くなってきた。タイプ的にも、アスレチック能力で劣り馬力に優れるブラガの方が右タックル向きと見られている。おそらく今夏のキャンプでは右タックルのまま据え置かれ、シェロッドがコケた場合にのみ左タックルをプレーするのではないか。
カテゴリ : Draft