グリーンベイ・パッカーズ ニュース
2010年1月23日
3月4日いっぱいまでに新しい労使協定を締結できない場合、3月5日から"Final League Year" に突入し、2010年シーズンはサラリーキャップなしとなる。サラリーキャップがなければいわば青天井だが、さまざまな規定があって、選手たちは決して喜べないはず。こうした特殊な"最終年"を設定してあったのは、2011年春の労使協定失効よりも早く交渉をまとめるよう、両者に自然な圧力をかけるためだ。
以下は、2010年がサラリーキャップなしとなった場合の規定。
- サラリー総額の上限(2009年は$123ミリオン)がなくなるいっぽう、サラリー総額の下限(2009年は$107ミリオン)もなくなってしまう。経営の苦しいオーナー、給料をケチって懐に入れたいオーナーは好きなようにできる。
- 通常は、「NFL経験が4年以上で契約の切れた選手」が無制限フリーエージェント(UFA: 用語集へ)になることができたが、その年数制限がキツくなる。NFL経験が6年ない場合は制限付きフリーエージェント(RFA: 用語集へ)にしかなることができない。
- キャリアで最も高額な契約を手にできる26歳から28歳あたりの選手が最も損をすることになる。労使交渉の行方を最も注目しているのは彼らだろう。
- パッカーズでは、FSコリンズ、SSビグビー、DEジョリー、C/Gスピッツ、LGカレッジ、FBクーン、CB/KRブラックモンといった選手たちが該当する。
- 例年ならUFAになれるが、今年はRFAにしかなれない全選手リストはこちら。(3週間前の記事なので、その後契約延長した選手がいるかも) パッカーズのFSコリンズもそうだが、例年ならばとっくに契約延長していそうな有力選手が多く含まれていて、球団側が労使交渉の行方を見守りながら契約を遅らせている傾向がわかる。RFAであれば、たとえ最高額オファーをしたとしても安価に引き留められるからだ。
- 逆に、NFL経験が6年以上あるUFA確定選手の顔ぶれはこちら。(2ヶ月前の記事で情報が古い) 年齢やケガの問題のある選手ばかりで、魅力に乏しいFA市場となるのは明らか。パッカーズではLTクリフトン、NTピケット、OLBキャンプマンなど。
- UFA市場が魅力に乏しいぶん、若い有力選手ひしめくRFAの市場が活発になるはず。
- "Final 8 Plan"という規定があり、ディビジョナル・プレーオフに勝ち残った8球団にはUFA獲得制限が課せられる。カンファレンス決勝に勝ち残った4球団は、失ったUFAと同数しかUFAを獲得することができない(1年目のサラリーは流出選手の額を超えてはならない)。ディビジョナルで敗退した4球団は、失ったUFA選手分に加え、年俸制限付きでUFAを獲得できる。
- これまでは、フランチャイズ・プレーヤー(用語集へ)かトランジション・プレーヤー(用語集へ)のどちらかを1人指名することができた。しかし今年は、さらにトランジション・プレーヤーを1人追加することができる。つまり、フランチャイズおよびトランジションを1人ずつとしてもよいし、トランジションを2人としてもよい。
- 個々の選手の最低保証年俸(用語集へ)は、これまでどおり存在する。
- さまざまな福利厚生は減額される見込み。2009年は各球団$10ミリオン以上を支出していたが、"Final League Year" にはその義務がない。ただし、引退した選手たちの年金や障害者給付金は減額しないことですでに合意している。
このようなわけで、仮に今年サラリーキャップがなくても、選手や代理人が喜ぶような狂乱のFA市場にはとてもなりそうにない。また(1年かぎりであれば)大きな戦力不均衡の心配もなさそうだ。「むしろ本当のデッドラインは労使協定が完全に失効する来年の春であって、それまでに新協定がまとまればいい」との声も出てきている。