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ウィスコンシンの思い出 6

無事に、セントポール・ミニアポリス空港に到着した。ゲートを抜けると、アブラハムソン夫妻がいた (まだ、T嬢のホストファミリーは到着していなかった)。 こういう場合は、まず、ニッコリとするしかない。ニッコリする。さぁ~、自己紹介しようとすると、T嬢が、ペラペラと彼女の自己紹介をやってくれた。どうせなら、オレのもお願いしたいぐらいだった。こちらは、自己紹介のタイミングを失ったのは、言うまでもない。そこで、またニッコリ。目の前の「このお二人」が、向こう半年ほどとは言え、ボクの両親となるのか? ちょっと無理な話だな?と思った。

少しして、T嬢のホストファミリーが現れて、お互いの健闘を祈って分かれた。そして、夫妻の車に乗りこんだ。ハイウェイを走らせる。都会の風景が続く。突然、風景が変る。草原となる。それが合図だった。そこが、我がウィスコンシンだった。決して、紫から緑になる訳ではないが、ウィスコンシンは、確かに「緑」のイメージだった。

車中、オフクロが喋りまくった。T嬢からバトンタッチしたようなものだった。が、その話し方は、ゆっくりで、結構分かり易い英語だった。とことん、こちらが分からないと分かると、話題を変えている・・・ようだった(それすら、あまり分かっていないというのが実際のところだった)。オヤジは、本当に無口。この夫妻の「アンバランスさ」は、今も変らない。まず、オヤジは必要以外は話さない。オフクロは、いつも話している。

管理人より

オッセオとフェアチャイルドは、ミネソタ州境に近いウィスコンシン西部に位置します。われらがグリーンベイからは直線距離で200kmほど西にあり、車では3時間以上かかるようです。ミルウォーキーや州都マディソンはさらにずっと遠くなります。オッセオとフェアチャイルドを書き込んだ地図を作ってみましたので参考にどうぞ。さらに詳しいウィスコンシン州地図は、こちらから。

4時間も走ったところで、隣町のOsseoに着いた。そこで、夕食ということになる。いわゆる「ファミレス」だ。何をオーダーしたか忘れたが、サラダをオーダーしたのは覚えている。ウエイトレスが、ドレッシングは何にするか?と聞いてきた。ドレッシングの種類を、ペラペラと言う。理解できない。が、「フレンチ」という言葉だけは拾えた。当然、「フレンチ」をオーダーする。当時の日本では、黄色い色のフレンチドレッシングしかドレッシングを知らない。 それ以外は、マヨネーズぐらいだった。ところが、出てきたサラダを見て、ビックリした。ドレッシングがオレンジ色なのだ。食べてみる。口の中で、独特のクサミが走る。だが、渡米前のオリエンテーションでは、とにかく、「ホストファミリーは変るな」と「出された食事は、有難く頂くこと。すべては、ホストファミリーの負担であり、好意なのだから」と言われ続けた。当然、全てを平らげた。

食後、オフクロが、」朝食は何がいい?」と聞いてきた。気分的に、「コーンフレークス」と答えた。この会話が、向こう数ヶ月の私の食生活を決定するとは思わなかった。

そして、レストランを後にして、Fairchildに向かった。もう、あたりは真っ暗で、何も見えない。街路灯などもなく、たまに、民家の電灯が見える程度で、あとは、まったく分からない。どうも、林か森の中を抜けている感じがする場所もあったが、とにかく、よく分からない。30分も走ったらだろうか、少し車が減速して、左に曲がった。曲がって、しばらくしると、集落になる。そして、もっと減速して、その集落を抜けて、一軒の家で右折した。大きなバスがガレージの前に駐車したあった。その横で車が止まった。これが、半年間の我が家、アブラハムソン家だった。

ガレージ際の勝手口から、家に入った。3歳になる息子ジョンは、もう寝ていた。ベビーシッターとも挨拶。 シャワーを浴びて、その日は、あてがわれた部屋で、早々に寝た。

オリエンテーションでは、いろいろなトラブルも聞かされた。英語でのトラブル、人種差別のトラブル、太平洋戦争がらみのトラブル。とにかく、「政治と宗教に関しては、議論するな」なども、ノウハウとして教わった。 実際、アメリカ人は、政治に関しては、各人各様の意見を持っているように思える。しかも、政治の話は好きだ。

宗教に関してでは、親しくなると、必ず、聞かれる項目のひとつだ。「おまえの宗教は、何か?」と聞かれたら、要注意である。本当に、クリスチャンだったり、仏教徒の場合は別だが、一般的に、生まれたら「お宮参り」して、結婚式は「神道」か「キリスト教」、葬式&法事の類は「仏教」という場合は、間違っても、「仏教」とか「神道」とか言わない方が正解だ。「何もない」というのも問題がある。無宗教主義論戦になる可能性があるからだ。この場合、I have never practicedが一番無難な答えだろう。「勉強もしたことがない」ぐらいの意味になる。

updated : 2004/2/9


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