グリーンベイ・パッカーズ ニュース

2015年4月27日

ニーズ分析 ディフェンス編

いよいよドラフトウィークになったので、攻守2回に分けて大急ぎでニーズを考えてみよう。今オフは、昨季NFL最多得点を記録したオフェンスの全員を引き留めることができており、ニーズはディフェンスに集中している。

毎年書いているとおり、じつは大事なのは新人よりも2年目・3年目選手の成長。今年のパッカーズディフェンスの場合、CBディミトリ・グッドソン、ILBカール・ブラッドフォード、OLBジェイロン・エリオット、NTマイク・ペネルといった選手たちがそれにあたる。いざシーズンになれば、新人の加入分よりも2年目・3年目選手たちの伸びシロの方が大きな戦力増になるものだ。

だからパッカーズにとってドラフトは常に「将来への投資」だが、トンプソンGMは1巡にかぎれば意外なほどニーズ重視で、口で言うほどBPA(Best Player Available)方針は徹底していない。また、1巡では人格的リスクを避ける傾向も見受けられる。

◆ ラインバッカー

CBとならんで最大のニーズと目されているのがインサイドラインバッカーだ。昨季半ばにA.J.ホークとブラッド・ジョーンズを降格させ、クレイ・マシューズをアウトサイドからコンバートし、サム・バーリントン(2013年7巡)が先発に昇格。荒療治のおかげでラン守備が劇的に改善された。ただパスシチュエーションでアスレチックなTEについていけない、という数年来の弱点は解消されていない。

今オフはホークとジョーンズを解雇することで無駄なサラリーを削ぎ落としたが、FA市場ではまったく補強に動かなかった。そのため暫定スターターは昨季末とおなじくマシューズ&バーリントン。アウトサイドからコンバートされたカール・ブラッドフォード(昨年4巡)とネイト・パーマー(2013年6巡)はともに昨年キャンプ終盤にアウトサイドからコンバートされた選手で、今夏の成長が楽しみなところ。昨年ドラフト外のジョー・トーマスもキャンプでは光るものを見せており、控えのデプスはそれなりにある。

世評によると今ドラフトはILBが豊作ではないらしい。それでもILBが必要なチームは多いので、「1巡ではふさわしい選手がおらず、見送ったら2巡末では目ぼしいのが残っていなかった」という事態もありうる。もし即先発ILBを獲れればマシューズを本来のアウトサイドに戻すことができ、ペッパーズ、ペリー、ニールとの4人で強力OLB陣を形成できる。上位指名権を使うなら、パスカバレッジもできる万能タイプがほしい。

マシューズ抜きでもアウトサイドラインバッカー陣(パスシチュエーションではマシューズはアウトサイドもやる)はそこそこやれそうだが、将来的な不安は大きい。昨季よく頑張ったジュリアス・ペッパーズはすでに35歳。ニック・ペリーとマイク・ニールは今年が契約最終年。頼みのマシューズもアウトサイドからのラッシュに以前ほどのキレがなく、昨季OLB専任の8試合でわずか2.5サックだった。

今ドラフトはOLBが豊作らしいので、ILBでなくOLBを上位指名しておく手は十分考えられる。一般にILBは1年目から活躍しやすいが、OLBは修業期間がある方がいい。マシューズがILB/OLBを兼任できるおかげで、将来への投資と短期的なニーズを両方満たすことができる。今年はCB陣の層が薄くなっただけに、パスラッシュでCBたちへの負担を軽くしてやりたいところだ。

◆ コーナーバック

先発トラモン・ウィリアムズと4番手(あるいは5番手)のデヴォン・ハウスがFA退団したことで、ずっとディフェンスを支えてきたCB陣のデプスが崩れた。昨季SSバーネットをボックスに上げてラン守備に使えたのは、アウトサイド両CBが頑張ってくれたからこそだ。

暫定スターターはサム・シールズ(昨年大型契約)とケイシー・ヘイワード(契約最終年)、ニッケルがマイカ・ハイド(2013年5巡)。ただヘイワードはショートエリアのクイックネスと嗅覚に特徴のある、ゾーン向きのタイプ。縦へのスピード勝負には不安があり、アウトサイドを1on1で安心して任せられるかというと疑問が残る。控えにはディミトリ・グッドソン(昨年6巡)がいるが、大学3年までバスケ専門で、素材重視で獲った選手。昨夏キャンプでは開幕ロースター入りにふさわしいプレーができておらず、今年4番手CBとして使えるかというとおおいに疑問だ。

現代NFLではまともなCBが4人は必要なので、ドラフト1巡指名予想が多いのは当然のこと。順当なら1巡か2巡、遅くとも3巡で指名があるのではないか。タイプ的には、アウトサイドでマンカバレッジできるスピードのある選手が望ましい。

◆ ディフェンシブライン

DEマイク・ダニエルズがパッカーズディフェンスの顔へと成長し、NT B.J.ラジ(昨季全休)とNTルトロイ・ガイオンも安価な1年契約でキープできた。DEデイトン・ジョーンズ(2013年1巡)とDEジョシュ・ボイド(2013年5巡)もまずまず伸びてきている。NTガイオンは数試合出場停止の可能性があるが、NTマイク・ペネル(昨年ドラフト外)の伸びシロは期待できる。

そういったわけで、ドラフト上位指名は贅沢な状況ではないか。ただ、めぼしいLBがいなければ1・2巡でCBとDLを獲ってLBを後回しにする手もある。トンプソンGMはそういうタイプだろう。ラジとガイオンが1年契約なのでNT優先のように思えるが、パスラッシュ力のあるDEがいればそちらでもいい。

◆ セーフティ

SSモーガン・バーネット(5年契約3年目)とFSハハ・クリントン=ディクス(昨年1巡)でスターターは問題なく、ニック・コリンズ負傷引退以来のセーフティ問題がようやく解消された。FSクリントン=ディクスが成長してビッグプレー能力を発揮するようになってくれれば楽しみは大きい。

問題はデプス。CB不足のため、これまでセーフティ兼任だったマイカ・ハイドをCB専任にせざるをえなくなったからだ。ケガ人が出たときにショーン・リチャードソン(RFAで誘われたが引き留め)やクリス・バンジョーが代役先発では心許ない。ただ上位指名権を使う余裕はないので、あるとしても5巡以下だろう。パス守備に優れたフリーセーフティのタイプが望ましい。

カテゴリ : Draft