グリーンベイ・パッカーズ ニュース
2013年7月17日
株主総会を1週間後に控え、グリーンベイ・パッカーズが昨会計年度(3月末まで)の収支報告を発表した。昨年に続いて総収入、経常利益、純利益の3部門が過去最高を記録。これは主にナショナル・レヴェニュー(後述)の伸びと選手コストの低下によるもので、ローカル・レヴェニューはややダウンしている。優勝直後の興奮に15勝1敗シーズンが続いた前年度(~2012年3月)と比べれば、ある程度沈静化するのは仕方のないところだろう。
非営利団体グリーンベイ・パッカーズは収支報告書を公開している唯一のNFL球団。ナショナル・レベニューは全球団均等に配分されるため、毎年パッカーズからの発表は注目を集める。利益がオーナーの懐に入ってしまう(あるいはプライベート機などに浪費される)他球団と違い、すべてフットボール部門やスタジアムの向上に充てられるのはパッカーズの強みとなっている。
- 総収入は過去最高の$308.1ミリオン。過去最高だった前年度($302ミリオン)からさらに$6.1ミリオン増えた。
- 支出は$253.8ミリオンで、前年度より$5.2ミリオン増。
- 経常利益は過去最高の$54.3ミリオン。前年度から26.4%のアップ。
- 純利益$43.1ミリオンも過去最高だが、伸び幅はわずか$40万ドル。
- ローカル・レヴェニューは1.7%ダウンして$128.2ミリオン。前年度は過去最高の$130.4ミリオンだった。
- ローカル・レヴェニューとは、一般席チケット売り上げ(の3分の2がホームチーム分)・ボックス席チケット・ラジオ契約・プロショップ売上げ・各種スポンサー契約など、いわば経営努力の成果であり、各球団の地力といっていい。
- 優勝の興奮が続いていた前年度と比べ、プロショップ、スタジアム・ツアー、パッカーズ・ホール・オブ・フェームの収入がややダウンしたが、再び上向いてきている、とマーフィ社長。
- 今年は7000席の増設が完成し、さらなる収入増が期待できる。チケットおよび売店収入で約$8ミリオン増、スポンサー収入で約$2ミリオン増の見込み。
- 2010会計年度のランキングでは、パッカーズのローカル・レヴェニューはNFL10位。
- 2009年シーズンを調べたブラウン郡の研究によれば、ホームゲーム1試合におけるブラウン郡への経済波及効果は$12ミリオン以上とのこと。
- ナショナル・レヴェニューは$179.9ミリオンとなり、前年度から4.9%もの増加。総収入の58.4%を占める。
- ナショナル・レヴェニューとは、一般席チケット売り上げ(の3分の1をアウェー分としてリーグが集めて均等に配分)・放映権料・ライセンス収入などレヴェニュー・シェアリングからの分配分。
- 今年アップした分の多くは、ナイキとの新契約、NFL Networkの収入増(より広いマーケットで放送されるようになった)によるもの。
- 選手コストは$136.4ミリオンとなり、前年度($155.5ミリオン)より$19ミリオンもダウンした。
- この収支報告は3月末までの分なので、最近大型契約を結んだQBロジャースやOLBマシューズたちの契約ボーナス(2人合わせて$55.5ミリオン)は含まれない。彼らの高額ボーナスが反映される来年度分は選手コストがアップするはず、とマーフィ社長。
- 放映権料が大幅に増える2014年からサラリーキャップ枠が大きく伸びると思っている人々は多いが、そうはならないとマーフィ社長。(当サイトで以前説明したように)過去2年は本来の計算法ならキャップ枠が減額するところを、労使の話し合いにより「微増」まで持ち上げていたため。つまり選手側が前借りしていた。
- 選手コストとは、サラリーや契約ボーナスなどサラリーキャップに含まれるものばかりではない。ヘルスケア、引退プラン、オフシーズンワークアウトの日当、旅費、宿泊費、食費といった、労使協定で定められた球団負担分がすべて含まれる。
- 大富豪オーナーを持たないパッカーズは、いざというときにも球団が存続して競争力を保てるよう基金を設けて運用している。その"corporate reserve fund"は前年度から$8ミリオン増えて$254ミリオンに。新労使協定(10年)の締結でストライキの危機が去ったため、かつての貯金 "Packers Franchise Preservation Fund" ($127.5ミリオン)をとくに区別する必要がなくなり他の基金と統合したとのこと。
- チャリティ活動を行うパッカーズ財団への寄付はこれまでの年$3ミリオンから$5ミリオンへ大幅に増額。
- ランボーフィールド拡張工事について。
- 南側エンドゾーンの大スタンドを中心とした第一期工事はぶじ完了(写真集はこちら)。総工費$146ミリオンのうち$61ミリオンをNFLからの借り入れでまかなった。(15年払い、無利子)
- これにより収容人員は7000人増え、NFL3位の80,750人となる。(1位はワシントンDCのフェデックス・フィールド、2位はニューヨークのメットライフ・スタジアム)
- 始まったばかりの$140.5ミリオンの第2期工事では、プロショップやホール・オブ・フェイムを含めたアトリウムの大改造や練習・トレーニング施設の拡張がメインとなる。第一期工事とおなじく、こちらも公的資金が用いられることはなく、4割ほどをNFLからの借り入れでまかなう。2015年6月に完成の予定。
- スタジアム内での携帯電話サービス(AT&T, Verizon)は増強された。WiFiサービスの向上も検討中、とマーフィ社長。
- フォーブズ誌が先日掲載した世界スポーツチーム資産価値ランキングでは、パッカーズは$1.16ビリオンで18位、NFLにかぎれば10位となっている。1位レアル・マドリード、2位マンチェスター・ユナイテッド、3位バルセロナ、4位NYヤンキース、5位ダラス・カウボーイズ。
- マーフィ社長は会見でブレット・ファーヴの永久欠番セレモニーについても質問され、「殿堂入りする2016年までには永久欠番にしたい。しかし今後1年以内に行うことはないだろう」と語っている。