グリーンベイ・パッカーズ ニュース
2012年9月 2日
解雇選手リストは昨日の記事を参照のこと。注目点を簡単にまとめると、OLがわずか7人で補強が必至であること、RBとWRがそれぞれ例年より1人多いこと、さほどハイレベルでないのにDBが11人もいること。
地元紙によると、パッカーズは他球団から解雇されたウェイバー選手への獲得希望を1つも出さなかったとのこと。ということは、補強があるとすればFAかトレードということになる。プラクティス・スクワッド契約(8人枠)はすでに始まり、QBコールマン、RBタイラー、WRボレル、TEボスティック、OTダトコ、OGヴァンローテン、DEガイの7人がすでに判明している。
以下は各ポジションの人数と詳細。
QB (2) ロジャース、ハレル
- QB2人体制は4年連続。7巡指名B.J.コールマンはプラクティス・スクワッドに入って実質3番手となる例年どおりのパターン。他球団にさらわれる心配がないのは、いいことなのか悪いことなのか。
- 過去2年プラクティス・スクワッド(終盤にはロースター昇格したが)で修業してきたグレアム・ハレルが初の開幕ロースター入り。プレシーズン第2戦・3戦と不振だったが、第4戦の大活躍でクビがつながったか。
- まだ補強の可能性は残っている。プレシーズン最終戦の活躍にもかかわらず、試合後のマッカーシーHCはハレルの2番手QB確定を明言しなかったらしい。イーグルスから解雇されたマイク・カフカに興味を示している4球団の1つ、という報道もある。
RB (4) ベンソン、スタークス、グリーン、セイン
- 例年より1人多く、RB軽視のチームとしては珍しい。
- エースとなるはずだったジェームズ・スタークスは"Turf Toe"が長引いていて、9月中に復帰できるかどうか。そのため現状ではセドリック・ベンソンがエース格、アレックス・グリーンが2番手。
- ブランドン・セインはハムストリングがようやく治ってきたところ。プレシーズンを全休しながらロースター入りできるのだから、3rdダウンバックとしてよほど信頼されているのだろう。
FB (1) クーン
- 昨年と同じ1人体制。RBグリーンのパスプロが悪かったりRBセインの復帰が遅れれば、ジョン・クーンが3rdダウンバックを兼ねるだろう。
- 新人ニック・クーパー(ウィンストンセーラム州立大)はプラクティス・スクワッドに入らないようだ。
WR (6) ジェニングス、ネルソン、ジョーンズ、ドライバー、コブ、ボイキン
- 昨年の5人にドラフト外ルーキーのジャレット・ボイキンが加わった。ケガ人もなく、万全の体制。WR6人はマッカーシーHCの就任以来初めて。例年は5人で、2006年開幕時は4人だった。
- ジャレット・ボイキンはドラフト外ルーキーながら、昨季プラクティス・スクワッドのトリ・ガーリーやディオンドレ・ボレルに完勝。スピードはないが6フィート2(188cm)のサイズがあり、フリーになるのが巧み。巨大な手を持ちキャッチングも安定している。
- 落選組の中から、ディオンドレ・ボレルが2年連続プラクティス・スクワッド入りしている。トリ・ガーリーはヴァイキングスのプラクティス・スクワッドへ。賢い選択だ。彼は昨季終盤にヴァイキングスから誘われて断っている。
TE (4) フィンリー、クラブトリー、D.J.ウィリアムズ、テイラー
- 昨年と同じ顔ぶれだが、アンドリュー・クウォレス(ヒザ)がPUPリストに入ったため5人から4人に。それでも例年よりは多い。シーズン半ばにクウォレスが復帰・復調してきたら、他のポジションから解雇するのか、TEから犠牲者が出るのか。
- 昨年の5巡指名D.J.ウィリアムズがキャンプで成長を見せており、フィンリーに次ぐレシービングTEとして期待が大きい。
OT (2) LTニューハウス、RTブラガ
- LTデレク・シェロッドがPUPリストに入り、復帰は第6戦以降に。 「さらに時間を与えることが、本人のためでありチームのためでもあると感じたからだ。我々が復帰を急がせたくなる誘惑を封じるためでもある。リハビリは進んでいる」とトンプソンGM。
- あまりにも層が薄い。ケガ人が出た場合は先発LG T.J.ラングをOTに回すのでは。
- 7巡指名OTアンドリュー・ダトコはプレシーズン第2戦が良かったが、その後脳震盪のためプレーできず解雇。プラクティス・スクワッドに入った。ケガ人が出れば昇格の可能性がありそう。
G/C (5) LGラング、Cサタデー、RGシットン、C/Gディートリック=スミス、G/Tバークレー
- 先発3人はしっかりしているが、こちらも控えの層が薄い。
- C/Gイヴァン・ディートリック=スミスがインサイド3ポジションの控えを兼ねる。
- 新人ドン・バークレーは実質「レッドシャツ」のシーズンだろう。公式ロースター表ではガード扱いとなっているが、実際はタックル兼任。大学では左タックル専門、今プレシーズン後半は右タックルを主にプレーしている。
- プラクティス・スクワッドにはアイビーリーガーのOGグレッグ・ヴァンローテン(ペンシルヴェニア大)が入った。
DL (6) NT/DEラジ、NT/DEピケット、DEウィルソン、DEウォージー、DEダニエルズ、DEマーリング、(DEニール4試合出場停止)
- 6人枠は例年どおりだが、不振だった昨季とは半数が入れ替わった。
- 3年目のDE C.J.ウィルソンがベース隊形のスターターの座を確保。DEフィリップ・マーリング(元MIA)もラン守備に強くベース隊形要員。
- 2巡指名DEジェレル・ウォージーと4巡指名DEマイク・ダニエルズはどちらもクイックネスに優れ、ニッケルやダイムでのパスラッシュ要員。B.J.ラジの負担も軽減させたい。
- キャンプで好評のNTダニエル・ミューアが予想外の落選だが、ケガ人が出れば再契約の可能性もありそう。同じく落選のDEローレンス・ガイ(昨年の7巡指名)はプラクティス・スクワッドへ。
- 3年目のDEマイク・ニールはドーピング違反で開幕から4試合出場停止。今夏のプレー内容は悪くなかったが、ルーキー時のパワフルさには欠けるとの声もある。処分が解けたあとロースターに残れるのか、解雇されるのか微妙なところ。
OLB (4) マシューズ、ペリー、モーゼス、ジョーンズ (ウォルデン1試合出場停止)
- 予想されていたとおりの顔ぶれ。LB全体で9人、ウォルデンが1試合出場停止から帰ってくれば10人となる。
- 先発は右OLBクレイ・マシューズ(昨年とサイドが変わった)、左OLBが1巡指名ニック・ペリー。
- ドラフト外ルーキーのデズマン・モーゼスは早くからロースター入りが確実視され、プレシーズンを通して評価が下がることはなかった。パワフルなパスラッシュ能力だけでなく、LBとしてのセンスもいい。昨年人気を集めたOLBソートよりかなり上。
- エリック・ウォルデンは不祥事で1試合出場停止になっているが、汚名返上のため熱心に取り組んでおり、今夏のプレー内容はかなりよかった。処分が明ければロースターに戻してもらえそう。
- ブラッド・ジョーンズは今年もしぶとく残ってしまった。インサイドを兼ねられることとスペシャルチーム能力が取り柄だが、OLBとしてはモーゼスやウォルデンより力が落ちる。
- 昨年プレシーズンのヒーローとなったヴィック・ソートはインジャリーリザーブへ。今夏はあまり成長が見られず、いずれ解雇となるかもしれない。
ILB (5) ホーク、D.J.スミス、ラティモア、フランソワ、マニング
- デズモンド・ビショップのインジャリーリザーブ入りで、昨年6巡指名のD.J.スミスが先発に繰り上がった。昨季代役スターターとして小気味良い活躍を見せたので、大きな不安はない。ただ今年のプレシーズンではあまり大きなプレーがなかった。
- ジャマリ・ラティモアはインサイドへのコンバートが成功。嗅覚に優れ、早くから当選が確実だった。ロバート・フランソワは昨季代役スターターで見せたようにパスカバレッジが器用。
- 5巡指名テレル・マニングは今年のドラフト組の中で最もキャンプの内容が悪く、ビショップのケガにも助けられて最下位当選か。開幕戦が終わってOLBウォルデンが帰ってくれば、彼は解雇されてプラクティス・スクワッドに入るのでは。
CB (7) ウッドソン(S兼任)、トラモン・ウィリアムズ、シールズ、ブッシュ、ハウス、ヘイワード、ロス
- CBが7人もロースターに残った。ウッドソンがセーフティ兼任とはいえ、DB全体で11人というのも例年より1人多い。
- プロ15年目のチャールズ・ウッドソンはベース隊形でストロングセーフティに、ニッケルやダイム隊形ではスロットCBを務める。ベース隊形は全体の25%ほどしか使わないので、本職はCBのままと言っていいかもしれない。SSを務めるのは、昨年パッカーズが苦しんだ、アスレチックなTE対策でもある。
- 先発争いをリードしていたデヴォン・ハウスは肩の負傷で脱落。あと1週か2週ほどで復帰できそうだが、プレーへの悪影響は残りそう、と本人が認めている。
- プレシーズン後半はジャレット・ブッシュが先発したが、サム・シールズもプレシーズン最終戦の活躍で追いついたかもしれない。一流WRについていけるスピードならシールズ、フィジカルなタックリングはブッシュ。
- 2巡指名ケイシー・ヘイワードはすでに先発争いできる力がありそうに見えるが、首脳陣は実戦起用に慎重な様子。しだいに出番を増やしていくかもしれない。スピードはあまりない方なので、アウトサイドよりスロット向き。
- ブランディアン・ロスは昨年ドラフト外入団からキャンプで活躍してプラクティス・スクワッドに入った選手。今夏は一部で高く評価する人もいたが、全般的に地元メディアはロースター圏外と見ていた。もし今後補強があれば、解雇される有力候補なのはたしか。
S (4) バーネット、マクミリアン、M.D.ジェニングス、リチャードソン
- 例年どおりの4人枠、プラスCB兼任のウッドソン。先発FSバーネットは3年目といっても経験は実質1年のみ、SSを争う選手たちは先発経験がゼロ。経験がものをいうセーフティでこの若さはディフェンスの命取りになりかねない。パスラッシュ強化で昨年よりもカバレッジの負担が小さくなることを期待したいところだが。
- キャンプ終盤になって1stチームに入った4巡指名SSジェロン・マクミリアンだが、彼とM.D.ジェニングスのどちらが開幕スターターとなるのか、コーチたちはまだ明言していない。マクミリアンはアグレッシブなランサポートで光るものがあるが、パスカバレッジは未知数。身体能力は高く、どうせなら彼を先発で鍛えたいところ。
- M.D.ジェニングスはキャンプ前半ずっとスターターだったが、実戦のプレー内容でライバルを引き離すことができなかった。NFL2年目といっても昨季はスペシャルチーム専門で、実戦経験は浅い。
- ドラフト外ルーキーのSショーン・リチャードソンはヴァンダービルト大でCBヘイワードのチームメイト。6フィート2のサイズと、40yds走4.44秒の素晴らしいスピードがある。「そのわりにプレーはイマイチ」というのがドラフトされなかった理由だが、今キャンプではプレー内容もなかなかよかったらしい。スペシャルチームでの働きも期待されての当選だろう。補強があれば解雇されてプラクティス・スクワッドに入るかも。
- 過去2年プラクティス・スクワッドにいたSアンソニー・レヴィーンは、新人リチャードソンに敗れて落選となった。
ST (3) Kクロスビー、Pマステイ、LSグード
- 2年連続でまったくの無風。昨年急成長したPティム・マステイはさらに安定感を増している。
- リターナーは今年もWRランドール・コブが一手に引き受ける。課題があるとすればボールセキュリティだけ。
その他
- 今後補強の可能性があるのは、なんといってもオフェンシブライン。いくらなんでも7人でシーズンには入らないだろう。ゲームデイのアクティブ登録は通常7人なので、1試合ぐらいならなんとかなるのかもしれないが。
- OLに次いで補強があるとすればセーフティ、その次がクォーターバックか。
- ベテランを補強する場合、開幕戦終了を待つ手もよくある。NFL経験4年以上の選手が開幕週にロースターにいた場合は年俸全額が保証され、途中で解雇しても球団側は1シーズン分のサラリーを支払わなければならないからだ。開幕戦さえ終えていれば、在籍期間分を週割りで支払えばいい。
- ここまで書いてきたとおり、今後補強した場合に解雇される有力候補は、ILBテレル・マニング、CBブランディアン・ロス、Sショーン・リチャードソン、OLBブラッド・ジョーンズ、DEフィリップ・マーリング、WRジャレット・ボイキンといったところか。
- ドラフト外ルーキーからWRジャレット・ボイキン、OLドン・バークレー、OLBデズマン・モーゼス、Sショーン・リチャードソンの4人がロースター入り。とくにWRボイキンとOLバークレーはキャンプ前はまったく注目されていなかった選手で、やはりやってみなければわからないものだ。
- ドラフト指名8選手のうち7巡指名の2人が落選。ドラフト外4選手を含めて新人10人がロースター入りとなった。