プレシーズン最終戦から一夜明ければ、75人から53人に減らす最終ロースターカット期限。今日だけで704人(単純計算)がNFLの職を失うことになる。パッカーズは下表の18選手を解雇、LTデレク・シェロッドをシーズンPUPリスト(第6戦終了まで出場できなくなる)に入れ、OLBヴィック・ソート(足首)をインジャリーリザーブに入れた。
これで開幕ロースターが確定したわけではなく、他球団から解雇された選手の獲得やトレードも十分ありうる。2007年にRBグラント(トレード)やFBクーン(ウェイバー)を獲得したのも最終ロースターカットの後だった。今年の場合、OLがわずか7人なのだから、補強がなければむしろおかしいだろう。逆に6人も確保しているWRからは、ジェームズ・ジョーンズまたは新人ジャレット・ボイキンがトレード材料となるかもしれない。
また出場停止選手はロースター枠にカウントされない。DEマイク・ニール(4試合)とOLBエリック・ウォルデン(1試合)については、出場停止期間が終わったときに解雇するか代わりの選手を解雇するか決めればよい。
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オフェンスでサプライズ気味なのは、キャンプ途中でFA補強したG/Tレジー・ウェルズの解雇。先発経験を買われてキャンプ途中でFA加入したが、プレー内容はおおいに物足りず、OTでダメだったのも減点材料だった。OLを7人にしてしまったのだから、よほど期待外れだったのだろう。また、NFL経験4年以上の選手は開幕週にロースターにいると年俸全額が保証される(シーズン途中で解雇されても)、という金銭的な事情もある。
ディフェンスのサプライズは、今夏好調だったNTダニエル・ミューアの解雇。ラジとピケットが軽度の負傷のためなおさら大丈夫と思われたが、イマイチに見えたDEフィリップ・マーリングに敗れた。DEとNTのデプスの差か、サイズの割にランに対して強固でなかったせいか。上記の「4年以上選手のサラリー保証」の問題もあり、シーズン中の再契約はあるかもしれない。昨年プラクティス・スクワッドにいたSアンソニー・レヴィーンは先発SS争いに加わることもあったが、新人Sショーン・リチャードソンの伸びシロとスペシャルチーム能力が買われたのだろう。
勝ち残った中でサプライズは、キャンプ・プレシーズンを通して不振だった5巡指名ILBテレル・マニング、昨年プラクティス・スクワッドにいたCBブランディアン・ロスといったところ。ただしこのあたりは今後補強があれば解雇の可能性がもっとも高そうだ。ドラフト外ルーキーからは、早くから確実視されていたOLBデズマン・モーゼスに加え、WRジャレット・ボイキン、OLドン・バークレー、Sショーン・リチャードソンが喜びのロースター入りを果たしている。(代わりに7巡指名の2人が解雇)
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NFL経験4年未満の解雇選手は自動的にウェイバー公示の対象となり、獲得希望(claim)を出した中で最も優先順の高い球団が獲得できる仕組みとなっている。ウェイバー優先順はドラフトと同じく前年の成績順なので、今季のパッカーズは28番目となる。解雇から1日経って獲得希望球団が1つもなければ無制限FAとなり、いつでも好きな球団と契約できる。FBクーンやCBブッシュはこうしてパッカーズにやってきた選手だ。
過去4年間のパッカーズは最終ロースターカット後のウェイバー獲得希望を1つも出していない。一昨年はパッカーズから解雇された中から、NFL最多の5人が他球団に拾われた。システムに習熟していないことを承知で開幕ロースターに入れるのだから、それだけ能力を買われたことになる。
8人枠のプラクティス・スクワッド(以下 PS)に契約ができるのも解雇から1日経ってから。下表の解雇選手の中にも、球団から「PSに入れるつもりなので街に残っていてくれ」と伝えられた選手はすでに何人もいる。といっても必ずしもパッカーズと契約する必要はない。自分のポジションの層が厚いと思えば、他球団のPSを狙った方がロースター昇格の望みがある。新労使協定ではPS資格がややこしくなったが、下表の中でG/TウェルズとNTミューア以外は全員がPS資格を残しているはず。
Packers 2012 Final Roster Cuts | ||||
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Pos. | Name | College | Exp. | 備考 |
QB | B.J. Coleman | Tennessee-Chattanooga | R | PSで修業へ |
RB | Marc Tyler | Southern California | R | プレシーズンでいいところなし |
FB | Nic Cooper | Winston-Salem State | R | フルバックは今年も1人体制に |
WR | Diondre Borel | Utah State | 1 | 2年目の成長を見せられず。今年もPS候補 |
WR | Tori Gurley | South Carolina | 1 | 同上 |
WR | Dale Moss | South Dakota State | R | アスレチックだが粗削り。PSの可能性なら |
WR | Curenski Gilleylen | Nebraska | R | 大学ではRB兼任の器用貧乏 |
TE | Brandon Bostick | Newberry College | R | TEの層が厚い。PSの可能性なら |
OT | Andrew Datko | Florida State | R | 7巡指名だが脳震盪が長引く。PS濃厚 |
OT | Shea Allard | Delaware | R | こちらもPS候補だがダトコよりは下 |
G/T | Reggie Wells | Clarion | 10 | キャンプ中のFA加入も期待外れ |
C/G | Tommie Draheim | San Diego State | R | キャンプ序盤は好評だったが |
C/G | Sampson Genus | South Florida | 1 | 昨季PSも2年目は目立たないキャンプだった |
OG | Greg Van Roten | Pennsylvania | R | 1on1練習の成績は優秀。PSで成長を見たい |
DE | Lawrence Guy | Arizona State | 2 | 昨年7巡指名。悪くないがDLの層が厚い |
NT | Daniel Muir | Kent State | 5 | よく頑張ったがNTの層が厚かったか |
CB | Otis Merrill | Illinois State | R | 好リターンもあった。身体能力高くPS候補 |
S | Anthony Levine | Tennessee State | 1 | 過去2年PS。ちょっとだけ先発SS争いに加わった |
Reserve/Physically Unable to Perform | ||||
Pos. | Name | College | Exp. | 備考 |
OT | Derek Sherrod | Mississippi State | 2 | 昨季終盤のスネ骨折で復帰遅れる |
Injured Reserve | ||||
Pos. | Name | College | Exp. | 備考 |
OLB | Vic So'oto | Brigham Young | 2 | 昨日のゲームで足首負傷 |
Suspended | ||||
Pos. | Name | College | Exp. | 備考 |
DE | Mike Neal | Purdue | 3 | ドーピング違反で4試合。今年の出来はまずまず |
OLB | Erik Walden | Middle Tennessee State | 5 | 家庭内暴力事件で1試合。プレーは好調で残留濃厚 |